【解決手段】上下方向に延びる脚体10と、脚体10の上部に接合される当て板20と、当て板20に載置されることにより周面が支持される筒状の処理槽30と、処理槽30と当て板20とを固定する処理槽第1固定部40と、を備える加熱殺菌装置1であって、処理槽第1固定部40は、一端部が処理槽30の周面に取り付けられ処理槽30の径方向に延びる固定ボルト部41と、当て板20に形成され固定ボルト部41が挿通される長穴部22であって、少なくとも周方向の長さが固定ボルト部41の径よりも大きく形成される長穴部22と、固定ボルト部41が長穴部22に挿通された状態で、当て板20と処理槽30とを、固定ボルト部41が当て板20に対して周方向に移動可能に固定する固定ナット部43と、を備える。
上下方向に延びる脚体と、該脚体の上部に接合される当て板と、該当て板に載置されることにより周面が支持される筒状の処理槽と、前記処理槽と前記当て板とを固定する処理槽第1固定部と、を備える加熱殺菌装置であって、
前記処理槽第1固定部は、
一端部が前記処理槽の周面に取り付けられ処理槽の径方向に延びる固定ボルト部と、
前記当て板に形成され前記固定ボルト部が挿通される長穴部であって、少なくとも周方向の長さが前記固定ボルト部の径よりも大きく形成される長穴部と、
前記固定ボルト部が前記長穴部に挿通された状態で、前記当て板と前記処理槽とを、前記固定ボルト部が前記当て板に対して周方向に移動可能に固定する固定ナット部と、を備える加熱殺菌装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の加熱殺菌装置の好ましい一実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態の加熱殺菌装置1は、貯湯式のレトルト殺菌装置であり、
図1に示すように、設置面L上に設置され、レトルト食品等の殺菌対象物を殺菌するために用いられる。殺菌対象物は、加熱殺菌装置1の内部に収容された後、加圧された状態で熱湯に浸されることにより殺菌される。
【0014】
この加熱殺菌装置1は、
図1〜
図3に示すように、円筒状の処理槽30と、この処理槽30を支持する脚体10と、処理槽30と脚体10との間に配置される当て板20と、を備える。また、加熱殺菌装置1は、これら処理槽30、脚体10、当て板20及び設置面Lを互いに固定又は締結する構成として、処理槽30と当て板20とを移動可能に固定する処理槽第1固定部40と、処理槽30と当て板20とを移動不能に固定する処理槽第2固定部としての処理槽締結部50と、脚体10の下端部と設置面Lとを移動可能に固定する脚体第1固定部60と、脚体10と設置面Lとを移動不能に固定する脚体第2固定部としての脚体締結部70と、を備える。
【0015】
処理槽30は、
図1及び
図2に示すように、筒状部31と、この筒状部31の一端部(後端部)に配置される後壁部32と、筒状部31の他端部(前端部)に配置される開閉扉33と、を備える。本実施形態において、処理槽30は、SUS(ステンレス鋼)により形成される。
【0016】
筒状部31は、複数の殺菌対象物を収容可能な内径及び長さで形成される。本実施形態において、筒状部31は、円筒形状に形成される。後壁部32は、筒状部31の軸方向の外側に膨出した形状に形成され、筒状部31の一端部を閉塞する。
開閉扉33は、筒状部31の他端部に、この他端部を開閉可能に取り付けられる。
以上の処理槽30は、軸方向が水平方向に沿うように配置される。
【0017】
脚体10は、処理槽30の軸方向に所定間隔をあけて複数(本実施形態では3つ)配置される。
それぞれの脚体10は、
図3に示すように、処理槽30の周方向に所定間隔をあけて配置される一対の脚体本体11を備え、脚体本体11のそれぞれは、矩形形状の底板12と、この底板12の3つの辺からそれぞれ起立する側板13と、を備える。脚体10は、SUS(ステンレス鋼)又は鉄により形成される。
【0018】
底板12は、脚体10の下端部を構成し、接地面Lに接触する。底板12は、
図2に示すように、一対の辺(本実施形態では短辺)が処理槽30の軸方向に沿うように配置される。
側板13は、底板12の周縁である4つの辺のうち、処理槽30の軸方向に沿う一対の辺及び処理槽30の他端(前端)側に配置される辺から鉛直方向に起立する。
【0019】
当て板20は、
図1及び2に示すように、脚体10ごとに設けられ、本実施形態においては3つの脚体10ごとに3つの当て板20が設けられる。当て板20は、SUS(ステンレス鋼)又は鉄により形成される。
当て板20は、矩形の金属板が処理槽30の外面の形状に対応するように円弧状に湾曲されて形成される。
以上の当て板20は、
図2に示すように、凸状となった面の両端部近傍において、一対の脚体本体11の側板13の先端面に接合されることにより、脚体10に接合される。また、この当て板20の凹状となった面側に、処理槽30が配置される。
【0020】
次に、処理槽第1固定部40、処理槽締結部50、脚体第1固定部60、及び脚体締結部70について説明する。
【0021】
処理槽第1固定部40は、処理槽30と当て板20とを移動可能に固定する。処理槽第1固定部40は、
図1〜
図5に示すように、処理槽30の周面に取り付けられる固定ボルト部41と、当て板20に形成され固定ボルト部41が挿通される長穴部22と、ワッシャ42と、固定ボルト部41に螺合される固定ナット部43と、を備える。本実施形態において、処理槽第1固定部40は、1つの当て板20ごとに、2箇所設けられる。
【0022】
固定ボルト部41は、いわゆるスタッドボルトであり、棒状に形成される。固定ボルト部41の両端部には、ねじ山44,44が形成される。固定ボルト部41は、一端部が処理槽30の周面に形成されたねじ溝(図示せず)に螺合されることで処理槽30の周面に取り付けられる。本実施形態では、固定ボルト部41は、処理槽30の周面における下半分の部分に配置される
【0023】
長穴部22は、当て板20の長手方向の両端部における脚体10との接合部よりも外側に形成される。長穴部22は、少なくとも処理槽30の周方向に沿う方向の長さが固定ボルト部41の径よりも大きく形成される。本実施形態では、長穴部22の幅(処理槽30の軸方向に沿う方向の長さ)は、固定ボルト部41の径と略等しく、長さ(処理槽30の周方向に沿う方向の長さ)は、固定ボルト部41の両側にそれぞれ5mmから30mmの余裕スペース、好ましくは10mmから20mmの余裕スペースを持つ長さに形成される。
【0024】
ワッシャ42は、板状に形成される。ワッシャ42には、板厚方向に貫通する貫通穴45が形成され、貫通穴45の径は、固定ボルト部41と略同径に形成される。
【0025】
固定ナット部43は、一対のナット46,46によって構成される、いわゆるダブルナットである。一対のナット46,46のそれぞれには、板厚方向に貫通する貫通穴47が形成され、貫通穴47の径は、固定ボルト部41の径と略同径に形成される。そして、貫通穴47の内面には、ねじ山44に螺合可能なねじ溝が形成されている。
【0026】
以上の処理槽第1固定部40によれば、固定ボルト部41が長穴部22に挿通された状態で、当て板20と処理槽30とが、処理槽30の周方向に移動可能に固定される。
【0027】
処理槽締結部50は、処理槽30と当て板20とを移動不能に固定する。本実施形態では、処理槽締結部50は、処理槽30と当て板20とを締結により移動不能に固定している。処理槽締結部50は、
図2及び
図3に示すように、処理槽30の周面の底部の近傍に取り付けられる締結ボルト部51と、当て板20に形成され締結ボルト部51が挿通される締結穴部23と、ワッシャ52と、締結ボルト部51に螺合される締結ナット部53と、を備える。本実施形態において、処理槽締結部50は、処理槽30の周面の底部(最下端部)に配置され、当て板20に形成された締結穴部23の数に合わせ、当て板20ごとに1つ設けられる。
【0028】
締結ボルト部51は、固定ボルト部41と同様、スタッドボルトにより構成される。締結ボルト部51は、一端部が処理槽30の周面の下端部に形成されたねじ溝(図示せず)に螺合されることで処理槽30の周面の下端部に取り付けられる。
締結穴部23は、当て板20の長手方向の中央部に形成される。締結穴部23は、締結ボルト部51の径と略同径の円形に形成される。
【0029】
ワッシャ52は、板状に形成される。ワッシャ52には、板厚方向に貫通する貫通穴が形成され、貫通穴の径は、締結ボルト部51と略同径に形成される。
【0030】
締結ナット部53は、単一のナットによって構成される。締結ナット部53には、板厚方向に貫通する貫通穴が形成され、貫通穴の径は、締結ボルト部51の径と略同径に形成される。
【0031】
以上の処理槽締結部50によれば、この処理槽締結部50においては、処理槽30は、当て板20に対して移動不能に固定(締結)される。
【0032】
脚体第1固定部60は、脚体10の下端部と設置面Lとを移動可能に固定する。脚体第1固定部60は、
図2、
図3、
図6及び
図7に示すように、設置面Lに取り付けられる固定ボルト部61と、脚体10(底板12)に形成される長穴部14と、ワッシャ62と、固定ボルト部61に螺合される固定ナット部63と、を備える。
本実施形態では、脚体第1固定部60は、3つの脚体10のうち、他端部(前端部)に配置された脚体10以外の2つの脚体10に設けられる。
【0033】
固定ボルト部61は、固定ボルト部41と同様、スタッドボルトにより構成される。固定ボルト部61は、一端部が設置面Lに形成されたねじ溝(図示せず)に螺合されることで設置面Lに取り付けられる。
【0034】
長穴部14は、底板12の中央部に形成される。長穴部14は、少なくとも処理槽30の軸方向に沿う方向の長さが固定ボルト部61の径よりも大きく形成される。本実施形態では、長穴部14の幅(処理槽30の周方向に沿う方向の長さ)は、固定ボルト部61の径と略等しく、長さ(処理槽30の軸方向に沿う方向の長さ)が固定ボルト部61の径の2倍〜3倍の長さに形成される。
【0035】
ワッシャ62は、板状に形成される。ワッシャ62には、板厚方向に貫通する貫通穴が形成され、貫通穴の径は、固定ボルト部61と略同径に形成される。
【0036】
固定ナット部63は、一対のナット66,66によって構成される、いわゆるダブルナットである。一対のナット66,66のそれぞれには、板厚方向に貫通する貫通穴が形成され、貫通穴の径は、固定ボルト部61の径と略同径に形成される。
【0037】
以上の脚体第1固定部60によれば、固定ボルト部61が長穴部14に挿通された状態で、脚体10が設置面Lに対して処理槽30の軸方向に移動可能に固定される。
【0038】
脚体締結部70は、脚体10と設置面Lとを移動不能に固定する。本実施形態では、脚体締結部70は、脚体10と設置面Lとを締結により移動不能に固定している。脚体締結部70は、
図2、
図3、
図6及び
図7に示すように、設置面Lに取り付けられる締結ボルト部71と、脚体10(底板12)に形成される締結穴部15と、ワッシャ72と、締結ボルト部71に螺合される締結ナット部73と、を備える。
本実施形態では、脚体締結部70は、3つの脚体10のうち、他端部(前端部)に配置された脚体10に設けられる。
【0039】
締結ボルト部71は、固定ボルト部61と同様、スタッドボルトにより構成される。締結ボルト部71は、一端部が設置面Lに形成されたねじ溝(図示せず)に螺合されることで設置面Lに取り付けられる。
【0040】
締結穴部15は、底板12の中央部に形成される。締結穴部15は、締結ボルト部71の径と略同径の円形に形成される。
【0041】
ワッシャ72は、板状に形成される。ワッシャ72には、板厚方向に貫通する貫通穴が形成され、貫通穴の径は、締結ボルト部71と略同径に形成される。
【0042】
締結ナット部73は、単一のナットによって構成される。締結ナット部73には、板厚方向に貫通する貫通穴が形成され、貫通穴の径は、締結ボルト部71の径と略同径に形成される。
【0043】
以上の脚体締結部70によれば、この脚体締結部70においては、脚体10は、設置面Lに対して移動不能に固定(締結)される。
【0044】
以上説明した本実施形態の加熱殺菌装置1は、例えば、以下のようにして設置される。
まず、当て板20と一対の脚体本体11とを溶接等により接合し、当て板20が接合された脚体10を製造する。また、処理槽30の所定箇所に締結ボルト部51及び固定ボルト部41を取り付ける。
【0045】
次いで、脚体第1固定部60及び脚体締結部70において、当て板20が接合された脚体10を設置面Lに固定又は締結する。具体的には、設置面Lに配置する3つの脚体10のうち、処理槽30の他端(前端)側に配置される脚体10を脚体締結部70により設置面Lに締結する。また、残りの脚体10(処理槽30の中央部に配置される脚体10及び処理槽30の一端(後端)側に配置される脚体10)を、脚体第1固定部60により設置面Lに固定する。
【0046】
次いで、設置面Lに固定又は締結された脚体10の上部に接合された当て板20の上面側に処理槽30を配置し、処理槽第1固定部40及び処理槽締結部50において、処理槽30を当て板20に固定又は締結する。ここで、処理槽30は、開閉扉33が配置された軸方向の他端側が脚体締結部70により設置面Lに締結された脚体10側に位置するように配置される。
【0047】
これにより、加熱殺菌装置1が設置面Lに設置される。
【0048】
以上の加熱殺菌装置1は、以下のようにして用いられる。
まず、開閉扉33が開放され、処理槽30の内部に殺菌対象物が搬入される。殺菌対象物の搬入の後に開閉扉33が閉止され処理槽30は密閉される。そして、処理槽30の内部が加圧されるとともに熱湯により満たされ加熱される。これにより、殺菌対象物が殺菌される。
【0049】
処理槽30の内部が熱湯により満たされることにより、処理槽30は、熱湯から得た熱により軸方向及び周方向に膨張する。一方で、脚体10及び当て板20には急激な熱膨張は発生しない。処理槽30が周方向に膨張することにより、処理槽締結部50の固定ボルト部41,41のそれぞれは、当て板20の長穴部22,22に沿って移動する。これにより、ワッシャ42,42及び固定ナット部43,43のそれぞれも、固定ボルト部41,41の移動に伴って移動する。また、処理槽締結部50が当て板20に処理槽30を移動不能に締結していることにより、処理槽30が軸方向を中心として回動することが防止される。
【0050】
また、処理槽30が軸方向に膨張することにより、処理槽30は、設置面Lに対して軸方向に移動しようとする。このとき、処理槽締結部50及び処理槽第1固定部40を介して、脚体10及び当て板20も同様に軸方向に移動しようとする。脚体第1固定部60により、底板12が長穴部14の形成方向(処理槽30の軸方向)に沿って移動できるので、処理槽30、当て板20、及び、脚体10の軸方向への移動が許容される。このように、脚体第1固定部60は、脚体10(処理槽30)の軸方向への移動を許容しつつ、設置面Lと脚体10とを固定できる。また、処理槽30の他端(前端)側において、脚体締結部70により脚体10を設置面Lに対して移動不能に締結していることにより、処理槽30の前端部の位置が移動してしまうことが防止される。
【0051】
一方、殺菌対象物の殺菌が終わり、熱湯が処理槽30から除去されることにより、処理槽30は、冷却される。これにより、処理槽30は、軸方向及び周方向に収縮する。処理槽30が周方向に収縮することにより、処理槽締結部50の固定ボルト部41,41のそれぞれは、当て板20の長穴部22,22に沿って移動する。これにより、ワッシャ42,42及び固定ナット部43,43のそれぞれも、固定ボルト部41,41の移動に伴って移動する。このように、処理槽第1固定部40は、処理槽30(固定ボルト部)の周方向への移動を許容しつつ、処理槽30と当て板20とを固定することができる。
【0052】
また、処理槽30が軸方向に収縮することにより、脚体第1固定部60を介して脚体10及び当て板20も同様に軸方向に移動しようとする。このとき、処理槽締結部50及び処理槽第1固定部40を介して、脚体10及び当て板20も同様に軸方向に移動しようとする。脚体第1固定部60により、底板12が長穴部14の形成方向(処理槽30の軸方向)に沿って移動できるので、処理槽30、当て板20、及び、脚体10の軸方向への移動が許容される。このように、脚体第1固定部60は、脚体10(処理槽30)の軸方向への移動を許容しつつ、設置面Lと脚体10とを固定できる。
【0053】
以上、説明した一実施形態の加熱殺菌装置1によれば、以下のような効果を奏する。
【0054】
(1)加熱殺菌装置1における処理槽30は、急激な加熱又は冷却により周方向に膨張又は収縮する。一方、脚体10及び当て板20には、処理槽30のような急激な温度変化は生じない。そのため、処理槽30と当て板20との間に温度差が生じて熱応力が発生してしまう。そこで、加熱殺菌装置1を、処理槽30と当て板20とを固定する処理槽第1固定部40を含んで構成し、この処理槽第1固定部40を、処理槽30に取り付けられた固定ボルト部41と、当て板20に形成され処理槽30の周方向に延びる長穴部22と、固定ボルト部41が長穴部22に挿通された状態で、当て板20と処理槽30とを、固定ボルト部41が当て板20に対して周方向に移動可能に固定する固定ナット部43と、を含んで構成した。これにより、処理槽30が加熱又は冷却されて周方向に膨張又は収縮した場合に、処理槽第1固定部40において、固定ボルト部41(処理槽30)の周方向への移動を許容しつつ処理槽30と当て板20とを固定できる。よって、処理槽30と当て板20との間に熱応力が発生した場合であっても、これら処理槽30と当て板20とを移動不能に固定(溶接)した場合に比して、処理槽30と当て板20との固定部分における破損の発生を抑制できる。
【0055】
(2)加熱殺菌装置1を、処理槽30の周面の下端部に配置され、当て板20と処理槽30とを締結する処理槽締結部50を含んで構成した。これにより、一点においては、処理槽30と当て板20とを移動不能に固定(締結)できるので、処理槽30と当て板20とをより安定的に固定できる。
【0056】
(3)加熱殺菌装置1における処理槽30は、急激な加熱又は冷却により軸方向にも膨張又は収縮する。そこで、加熱殺菌装置1を、脚体10の下端部と設置面Lとを固定する脚体第1固定部60を含んで構成し、この脚体第1固定部60を、設置面Lに取り付けられた固定ボルト部61と、脚体10に形成され処理槽30の軸方向に延びる長穴部14と、固定ボルト部61が長穴部14に挿通された状態で、設置面Lと脚体10とを、脚体10が固定ボルト部61に対して軸方向に移動可能に固定する固定する固定ナット部63と、を含んで構成した。これにより、処理槽30が加熱又は冷却されて軸方向に膨張又は収縮した場合に、脚体第1固定部60において、脚体10(つまり処理槽30)の軸方向への移動を許容しつつ設置面Lと脚体10とを固定できる。よって、設置面Lと脚体10とを移動不能に固定(締結)した場合に比して、処理槽30における破損の発生を抑制できる。
【0057】
(4)脚体10を処理槽30の軸方向に複数配置し、加熱殺菌装置1を、処理槽30の前端部に配置される脚体10と設置面Lとを締結する脚体締結部70を含んで構成した。これにより、処理槽30の端部においては、設置面Lと処理槽30とを移動不能に固定(締結)できるので、加熱殺菌装置1の位置決めを好適に行える。
【0058】
以上、本発明の加熱殺菌装置の好ましい一実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、処理槽30を円筒形状として説明したが、角柱形状であってもよい。これに合わせ、当て板20は、屈曲する形状であってもよい。また、脚体10及び当て板20の数は、処理槽30を支持可能な数だけ設けられればよく、3つに限定されない。
【0059】
また、本実施形態では、固定ボルト部41を、スタッドボルトにより構成し、このスタッドボルトの一端部を処理槽30の周面に螺合させて処理槽30に取り付けたが、これに限らない。即ち、固定ボルト部41を、処理槽30の周面に溶接して取り付けてもよい。
【0060】
また、当て板20ごとに処理槽第1固定部40を2つ設けることとしたが、処理槽30及び当て板20の間の固定が確保できる限り、処理槽第1固定部40を当て板20ごとに1つとしてもよい。また、3つ以上の処理槽第1固定部40によって、処理槽30及び当て板20が固定されていてもよい。
【0061】
また、長穴部22を固定ボルト部41の径よりも大きな径をもつ断面円形状で形成することにより、処理槽30の周方向への膨張による周方向への固定ボルト部41の移動を許容してもよい。このとき、長穴部22の径は、固定ボルト部41の周方向への移動を十分に許容できる大きさに形成することが好ましい。
【0062】
また、本実施形態では、処理槽第2固定部を、処理槽30と当て板20とを締結により移動不能に固定する処理槽締結部50により構成したが、これに限らない。即ち、処理槽30に取り付けられたボルトを当て板20に形成された貫通穴に挿入した状態で、貫通穴の周囲においてボルトと当て板20とを溶接することにより、処理槽30と当て板20とを移動不能に固定する処理槽第2固定部の構成としてもよい。これにより、当て板とボルトとの溶接線を短くできるので、熱による膨張・収縮の影響を小さくできる。