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特開2017-225407作業機の刈刃交換治具および刈刃交換方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-225407(P2017-225407A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】作業機の刈刃交換治具および刈刃交換方法
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/64 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   A01D34/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-124640(P2016-124640)
(22)【出願日】2016年6月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 英志
(72)【発明者】
【氏名】笠井 康治
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA12
2B083BA18
2B083CA09
2B083CB02
2B083HA46
(57)【要約】
【課題】刈刃の交換作業を効率よく行うことが可能な刈刃交換治具を提供する。
【解決手段】ディスク貫通孔を貫通するボルトとボルトに締結するナットとにより、ディスクの周縁部に取り付けられる刈刃を交換するための作業機の刈刃交換治具であり、ナットを保持するナットホルダ30と、ナットホルダ30に保持されたナット上に、ブレードの貫通孔の中心線とナットの中心線とをほぼ一致させた状態でブレードを保持するブレードホルダ40と、を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクの周縁部に穿設されたディスク貫通孔を貫通する第1締結部材と前記第1締結部材に締結する第2締結部材とにより、前記ディスクの周縁部に取り付けられ、前記第1締結部材が貫通する刈刃貫通孔が穿設された刈刃を交換するための作業機の刈刃交換治具であって、
前記第2締結部材を保持する締結部材保持部と、
前記締結部材保持部に保持された前記第2締結部材上に、前記刈刃貫通孔の中心線と前記第2締結部材の中心線とをほぼ一致させた状態で前記刈刃を保持する刈刃保持部と、を備えることを特徴とする作業機の刈刃交換治具。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機の刈刃交換治具において、
前記締結部材保持部は、前記第2締結部材が載置する載置面を有し、
前記刈刃保持部は、前記載置面に載置された前記第2締結部材上に配置された前記刈刃に係合し、前記第2締結部材と前記刈刃とを一体に保持する刈刃係合部を有することを特徴とする作業機の刈刃交換治具。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機の刈刃交換治具において、
前記第2締結部材および前記刈刃が前記刈刃交換治具から一体に離脱するように、前記第2締結部材および前記刈刃をスライド可能に支持するスライド支持部をさらに備えることを特徴とする作業機の刈刃交換治具。
【請求項4】
請求項2または3に記載の作業機の刈刃交換治具において、
前記第2締結部材と前記刈刃とを一体に保持したまま、前記刈刃貫通孔の前記中心線が前記ディスク貫通孔の中心線とほぼ一致するように、前記刈刃交換治具を前記ディスクの周縁部に取り付け可能な治具取付け部をさらに備えることを特徴とする作業機の刈刃交換治具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業機の刈刃交換治具において、
前記第2締結部材の先端部は、前記ディスクに回転不能に嵌合可能であり、
前記締結部材保持部は、前記第2締結部材の周方向の位置を規制する位置規制部を有することを特徴とする作業機の刈刃交換治具。
【請求項6】
ディスクの周縁部に穿設されたディスク貫通孔を貫通する第1締結部材と該第1締結部材に締結する第2締結部材とにより、前記ディスクの周縁部に取り付けられ、前記第1締結部材が貫通する刈刃貫通孔が穿設された刈刃を交換するための作業機の刈刃交換方法であって、
予め、前記第2締結部材の中心線と前記刈刃貫通孔の中心線とをほぼ一致させた状態で前記第2締結部材と前記刈刃とを刈刃交換治具に保持し、
前記刈刃貫通孔の中心線が前記ディスク貫通孔の中心線とほぼ一致するように前記ディスクの周縁部に前記刈刃交換治具を配置し、
前記ディスクの周縁部に配置された前記刈刃交換治具の前記ディスク貫通孔と前記刈刃貫通孔とに前記第1締結部材を貫通させるとともに、前記第1締結部材を前記第2締結部材に螺合させて、前記刈刃を前記ディスクに取り付けることを特徴とする作業機の刈刃交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝刈り機や刈払機等の作業機に取り付けられる刈刃を交換するための作業機の刈刃交換治具および刈刃交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、芝刈り機の刈刃取付けプレートに刈刃を着脱するために用いられる刈刃交換治具(刈刃交換工具)が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の治具は、刈刃取付け用ボルトのナット部を嵌合案内するボルト案内溝を形成した刈刃ソケットを有し、刈刃から刈刃取付けプレートの先端部にかけて刈刃ソケットを嵌合し、刈刃ソケットにより刈刃取付けプレートに対する刈刃の回転を阻止した状態で、ナット部を操作して刈刃の着脱を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−54568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の治具を用いるためには、予め刈刃取付けプレートに対し刈刃を位置合わせして刈刃取付けプレートおよび刈刃の各貫通孔に下方からボルトを挿入し、このボルトの先端部にナットを螺合しておく必要がある。したがって、刈刃の着脱に手間がかかり、効率よく刈刃の交換作業を行うことが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、ディスクの周縁部に穿設されたディスク貫通孔を貫通する第1締結部材と第1締結部材に締結する第2締結部材とにより、ディスクの周縁部に取り付けられ、第1締結部材が貫通する刈刃貫通孔が穿設された刈刃を交換するための作業機の刈刃交換治具であって、第2締結部材を保持する締結部材保持部と、締結部材保持部に保持された第2締結部材上に、刈刃貫通孔の中心線と第2締結部材の中心線とをほぼ一致させた状態で刈刃を保持する刈刃保持部と、を備える。
また、本発明の別の態様は、ディスクの周縁部に穿設されたディスク貫通孔を貫通する第1締結部材と第1締結部材に締結する第2締結部材とにより、ディスクの周縁部に取り付けられ、第1締結部材が貫通する刈刃貫通孔が穿設された刈刃を交換するための作業機の刈刃交換方法であって、予め、第2締結部材の中心線と刈刃貫通孔の中心線とをほぼ一致させた状態で第2締結部材と刈刃とを刈刃交換治具に保持し、刈刃貫通孔の中心線がディスク貫通孔の中心線とほぼ一致するようにディスクの周縁部に刈刃交換治具を配置し、ディスクの周縁部に配置された刈刃交換治具のディスク貫通孔と刈刃貫通孔とに第1締結部材を貫通させるとともに、第1締結部材を第2締結部材に螺合させて、刈刃をディスクに取り付ける。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第2締結部材と刈刃とを同時に保持しながら刈刃貫通孔を介して第2締結部材に第1締結部材を締結することができ、刈刃の交換作業を容易かつ効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る刈刃交換治具が適用される芝刈り機の概略構成を示す側面図。
図2図1の芝刈り機を斜め下方から見た斜視図。
図3図1の芝刈り機の作業領域の一例を示す平面図。
図4図2の要部拡大図。
図5図4のV-V線に沿った断面図。
図6図5のディスク単体の斜視図。
図7図5のブレード単体の平面図。
図8図5の要部拡大図。
図9図5の要部の分解斜視図。
図10】本発明の実施形態に係る刈刃交換治具を斜め上方から見た斜視図。
図11】本発明の実施形態に係る刈刃交換治具を斜め下方から見た斜視図。
図12A図10,11の治具の平面図。
図12B図12のB−B線に沿って切断した治具の断面図。
図13A】本発明の実施形態に係る刈刃交換方法の治具準備工程を説明する図。
図13B図13Aに続く治具準備工程を説明する図。
図14A】本発明の実施形態に係る刈刃交換方法の治具取付け工程を説明する図。
図14B図14Aに続く治具取付け工程を説明する図。
図15A】本発明の実施形態に係る刈刃交換方法のボルト締結工程および治具取り外し工程を説明する図。
図15B】本発明の実施形態に係る刈刃交換方法の治具取り外し工程後の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図15Bを参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る刈刃交換治具は、種々の作業機の刈刃を交換するために用いることができるが、以下では、特に芝刈り機の刈刃を交換するために用いる例を説明する。
【0009】
まず、芝刈り機の構成について説明する。本発明の実施形態に係る芝刈り機は、自律走行しながら芝刈り作業を行う移動式芝刈り機として構成される。図1は、本発明の実施形態に係る刈刃交換治具が適用される芝刈り機100の概略構成を示す側面図であり、図2は、芝刈り機100を斜め下方から見た斜視図である。
【0010】
図1,2に示すように、芝刈り機100は、シャシとフレームとを有する車体101と、車体101を接地面GRから走行可能に支持する左右一対の前輪102および左右一対の後輪103とを備える。シャシとフレームとで包囲された芝刈り機100の内部空間には、ECU104と、作業装置105と、作業装置駆動用の作業用アクチュエータ106と、後輪駆動用の走行用アクチュエータ107と、充電ユニット108と、バッテリ109とが配置される。ECU104は、CPU,ROM,RAM、その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成される。作業用アクチュエータ106と走行用アクチュエータ107とは、例えば電動モータにより構成される。
【0011】
走行用アクチュエータ107の出力軸は、左右の後輪103の回転軸にそれぞれ連結され、走行用アクチュエータ107は、左右の後輪103を互いに独立に回転駆動する。左右の後輪103の回転に速度差を生じさせることで、芝刈り機100は任意の方向に旋回することができる。
【0012】
充電ユニット108は、フレームの前端部に設けられた端子110に配線を介して接続されるとともに、バッテリ109に配線を介して接続される。バッテリ109は、端子110が接点を介して充電ステーション200(図3参照)に接続することで、充電される。バッテリ109は、配線を介して作業用アクチュエータ106と走行用アクチュエータ107とに接続され、各アクチュエータ106,107は、バッテリ109から供給される電力により駆動する。芝刈り機100の前部には、車幅方向に互いに離間した一対の磁気センサ111が配置される。磁気センサ111は、磁界の大きさ(磁界強度)を示す信号を出力する。
【0013】
なお、図示は省略するが、芝刈り機100には、さらにYawセンサ、Gセンサ、方位センサ、接触センサ、車輪速センサ、および電圧センサ等が設けられる。Yawセンサは、芝刈り機100の高さ方向の軸線(Z軸)回りに生じる角速度(ヨーレート)を示す信号を出力する。Gセンサは、芝刈り機100に作用する直交3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向の加速度を示す信号を出力する。方位センサ(地磁気センサ)は、地磁気に応じた信号を出力する。接触センサは、芝刈り機100が障害物等に接近または接触するとオン信号を出力する。車輪速センサは、左右の後輪103の車輪速を示す信号をそれぞれ出力する。電圧センサは、バッテリ109の残電圧を示す信号を出力する。
【0014】
以上のように構成された芝刈り機100は、予め定められた作業領域内を自律走行して作業を行う。図3は、作業領域ARの一例を示す平面図である。作業領域ARは、例えば予め庭に敷設(例えば接地面GRから所定深さに埋設)されたエリアワイヤ201によって画定され、エリアワイヤ201により芝刈り機100の走行範囲が規定される。エリアワイヤ201には電流が流され、これにより作業領域ARに磁界が発生する。作業領域ARの磁界強度は、左右一対の磁気センサ111によりそれぞれ検出される。
【0015】
磁界強度は、エリアワイヤ201からの距離に応じて変化する。ECU104は、磁気センサ111からの信号により、芝刈り機100がエリアワイヤ201に到達したか否かを判定する。そして、エリアワイヤ201に到達したと判定すると、走行用アクチュエータ107に制御信号を出力し、図3の矢印に示すように、芝刈り機100を作業領域ARの内側に向けて旋回させる。このようにECU104は、磁気センサ111からの信号に応じて走行用アクチュエータ107に制御信号を出力し、これにより芝刈り機100が作業領域AR内を自律走行する。このときECU104は、作業用アクチュエータ106にも制御信号を出力し、作業領域AR内で芝刈り作業を行わせる。
【0016】
エリアワイヤ201上には、バッテリ109を充電するための充電ステーション200が配置される。作業時に、電圧センサによってバッテリ109の電圧不足が検出されると、ECU104は、走行用アクチュエータ107に制御信号を出力し、例えばエリアワイヤ201に沿って芝刈り機100を充電ステーション200まで帰還させ、バッテリ109を充電する。バッテリ109の充電が完了すると、ECU104は、走行用アクチュエータ107に制御信号を出力して芝刈り機100を充電ステーション200から離脱させ、その後、作業用アクチュエータ106を駆動して作業を再開する。ECU104は、作業終了後にも芝刈り機100を充電ステーション200まで帰還させ、作業を開始するまで充電ステーション200で待機させる。
【0017】
作業装置105の構成についてより詳細に説明する。図4は、図2の要部拡大図である。図4に示すように、作業装置105は、上下方向の軸線CL1を中心に回転可能な略円形状のディスク1と、ディスク1の周縁部に取り付けられた複数枚(図では3枚)の芝刈り用のブレード(刈刃)2とを有する。ブレード2は、ボルト6およびナット7を介してディスク1の周縁部に交換可能に取り付けられる(図8参照)。
【0018】
図5は、図4のV-V線に沿った断面図、図6は、ディスク1単体の斜視図である。なお、図5には、作業状態における芝刈り機100の上下方向を矢印で示す。図5,6に示すように、ディスク1は、作業状態で上方に位置する上面10aと、下方に位置する下面10bとを有し、ディスク1の中央部に貫通孔1aが開口される。貫通孔1aには、軸線CL1に沿って延在する回転軸3の一端部が挿入され、回転軸3の端部にナット4が螺合して、ディスク1は回転軸3に支持される。回転軸3の他端部は作業用アクチュエータ106(図1)に連結され、作業用アクチュエータ106の駆動により、軸線CL1を中心にしてディスク1と一体にブレード2が回転する。
【0019】
ディスク1の周縁部には、全周にわたって上方に立ち上がる略リング状のフランジ部11が形成される。フランジ部11の径方向内側には、周方向3箇所かつ周方向等間隔に円弧状の切り欠き10が設けられる。切り欠き10の径方向内側には、径方向所定位置1bから径方向外側の切り欠き10にかけてフランジ部11から離間する方向に傾斜する傾斜部12が形成される。傾斜部12の外周面12aは、軸線CL1(図5)を中心として円弧状に形成される。
【0020】
図7は、ブレード2単体の平面図である。図7に示すように、ブレード2は、全体が略矩形の平板形状を呈し、長手方向の両側面にそれぞれ刃部2aが形成される。ブレード2の端部には、ブレード取付け用の円形の貫通孔2bが開口される。
【0021】
図8は、図5の要部拡大図であり、図9は、その分解斜視図である。図8,9に示すように、ディスク1の傾斜部12には、貫通孔13が開口される。貫通孔13は、軸線(中心線)CL2を中心とした円形状の孔部13aと、互いに対向して孔部13aから軸線CL2を中心とした径方向外側(軸線CL1を中心とした周方向)に所定幅で延在する一対の切り欠き部13bとを有する。ブレード2の貫通孔2bの径は孔部13aの径よりも大きい。孔部13aにはボルト6のねじ部61が挿入される。
【0022】
ねじ部61は、ディスク1の傾斜部12の上面10aに載置されたブレード2の貫通孔2bを貫通し、ナット7に螺合する。ボルト6は六角穴付きボルトであり、ボルト6の頭部62に、工具挿入用の六角形状の溝63が設けられる。頭部62の表面は、その径方向外側にかけて斜めに傾斜して形成される。これにより、ボルト6の頭部62の突出量を最小限に抑えることができるとともに、頭部62の表面が滑らかに形成される。
【0023】
ナット7は、頭部71と、頭部71の底部に設けられた略円形状のフランジ部72と、フランジ部72の底面から下方に突出した円筒部73とを有する。円筒部73の端面74には、ディスク1の貫通孔13の切り欠き部13bに対応して一対の凸部75が突設される。ボルト6とナット7とが締結された状態では、円筒部73がブレード2の貫通孔2bを貫通するとともに、その端面74がディスク1の傾斜部12の上面10aに当接し、ボルト6とナット7との間に傾斜部12が挟持される。このとき、ナット7の凸部75は切り欠き部13bに嵌合し、ディスク1に対するナット7の位置が規制され、ナット7の回転が阻止される。
【0024】
ブレード2は、ナット7のフランジ部72とディスク1の傾斜部12との間に配置される。ブレード2の貫通孔2bの径は円筒部73の径よりも大きく、かつ、ブレード2の厚さは円筒部73の長さよりも短い。したがって、ボルト6とナット7とが締結された状態において、ブレード2は円筒部73の周囲を、軸線CL2を中心に回転可能である。
【0025】
このようにブレード2は、ボルト6とナット7とを介してディスク1に取り付けられる。このブレード2の取付けおよび取り外し、すなわちブレード2の交換作業を容易に行うため、本実施形態では、以下のような刈刃交換治具を用いる。
【0026】
図10は、本発明の実施形態に係る刈刃交換治具20を斜め上方から見た斜視図であり、図11は、斜め下方から見た斜視図である。なお、図11には、ナット7の頭部71を併せて示す。以下では、便宜上、図示のように治具20の前後方向、左右方向および上下方向を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。治具20は、樹脂材(例えばポリプロピレン)により構成され、その前端部を除き全体が左右対称形状を呈する。
【0027】
図10,11に示すように、治具20は、操作部20Aと、操作部20Aから前方に突設された保持部20Bとを有する。操作部20Aは、前後左右方向に延在する略矩形状の平板21と、平板21の左右両端部に平板21に直交して立設された左右一対の側板22,23と、平板21の前端部かつ側板22,23の前端部に平板21および側板22,23に直交して立設された前板24とを有する。側板22,23には、その上端部に前板24よりも前方に突出した突起部25がそれぞれ設けられる。
【0028】
図12Aは、治具20の平面図であり、図12Bは、図12のB−B線に沿って切断した治具20の断面図である。図12A,12Bに示すように、前板24の前面24aは、ディスク1の傾斜部12の外周面12aとほぼ同一の曲率で円弧状に形成される。平板21の前端部には、左右方向中央部に、上下方向に貫通した略コ字状の切り欠き21aが設けられる。
【0029】
前板24の左右方向中央部には、切り欠き21aに面してストッパ26が立設される。ストッパ26の左右両側には、前板24の上面から所定深さの切り欠き24bが設けられ、ストッパ26は、その下端部が前板24に支持されて、下端部を支点にして前後方向に揺動可能である。図12Bに示すように、ストッパ26の上端面は、側板22,23の上端面と同一面上に位置し、ストッパ26は前板24よりも上方に突出する。ストッパ26の前面には、前方に向けて突起部26aが突設される。
【0030】
図10,11に示すように、保持部20Bは、前板24の前面24aから前方に延在する左右一対の側壁27,28と、側壁27,28の底部同士を接続する底壁29とを有する。前板24の前面24aと底壁29の後端面29aとの間には、ナット7を保持するナットホルダ30が設けられる。ナットホルダ30は、前板24の前面24aから側壁27,28の後端部の内側面に沿って左右方向内側かつ前方に突設された左右一対の基部31と、側壁27,28から離間して基部31の前端部から前方に突設された左右一対の爪部32とを有する。爪部32は、その前端部が左右方向に拡縮可能である。
【0031】
左右の爪部32は、互いに所定距離L1(図10)だけ離れて対向し、かつ前後方向に延在する内側面32aをそれぞれ有する。図12Aに示すように、基部31の内側面32a側の端面31aは、ストッパ26の突起部26aから所定距離前方の点Pを中心とした仮想円C1に沿って円弧状に形成される。爪部32の前端部には、左右方向内側に向けて突起部32bが突設される。突起部32bは、滑らかな凸曲面状に形成され、その後端面は仮想円C1上に位置する。なお、図12Bには、点Pを通過する上下方向の軸線(中心線)CL3を示す。
【0032】
図11に示すように、ナット7の頭部71は、仮想円C1(図12A)とほぼ同一径の円筒部71aと、円筒部71aの周方向一部を切り欠いて互いに平行な一対の側面71bが形成された切り欠き部とを有する。一対の側面71b間の距離L2は、一対の爪部32の内側面32a間の距離L1とほぼ等しい。これによりナット7の頭部71を、図12Aに示す基部31の端面31aと爪部32の内側面32aと突起部32bの後端面とに沿って、一対の爪部32の間に嵌合することができる。
【0033】
図12Aに示すように、基部31の前端部から爪部32の全体にわたり、それらの上面には点Pを中心とした仮想円C2に沿って凹部33が設けられる。仮想円C2の径はナット7のフランジ部72の径とほぼ等しく、フランジ部72は凹部33に嵌合して凹部33の上面に載置される。凹部33の深さはフランジ部72の厚さとほぼ等しく、フランジ部72を基部31の上面に対して段差なく凹部33に嵌合できる。
【0034】
図10に示すように、底壁29の上面には、その前端面29bから後端面29aにかけて所定深さの溝部34が形成されるとともに、溝部34の左右両側にガイド部35が形成される。溝部34の左右方向の幅は、ナット7の頭部71の長さL2(図11)よりも長く、かつ、溝部34の深さは、ナット7の頭部71の高さよりも深い。ガイド部35の上面は、凹部33の上面とほぼ同一面上に位置する。これによりフランジ部72はガイド部35に沿って摺動可能となり、ナット7の頭部71が底壁29と干渉することなく、ナット7を前方に移動することができる。
【0035】
左右の側壁27,28には、ブレード2を保持するブレードホルダ40が設けられる。ブレードホルダ40は、側壁27,28の左右方向内側面に設けられてブレード2の座面を形成する段部41と、段部41の上面にブレード2を係止する左右一対の係合爪42とを有する。ブレード2の前後方向の位置を規制するストッパ26もブレードホルダ40を構成する。側壁27側の段部41の左端面から側壁28側の段部41の右端面までの長さはブレード2の幅とほぼ同一である。段部41の上面は基部31(凹部33以外)の上面とほぼ同一面上に位置し、基部31の上面から段部41の上面にかけてブレード2を搭載可能である。
【0036】
係合爪42は、左右の側壁27,28の途中に設けられる。より詳しくは、図10,11に示すように、側壁27,28には、ナットホルダ30よりも前方においてその上下方向の厚さが薄い前後一対の薄肉部43が設けられ、薄肉部43を介して側壁27,28に係合爪42が支持される。係合爪42は上下方向に延在し、その左右方向内側には、段部41を途中で分断する上下方向の貫通孔44が形成される。係合爪42の上端部には、左右方向内側に向けて突起部42aが突設され、下端部には、左右方向外側に向けて把持部42bが突設される。左右一対の突起部42aは、把持部42bに把持力を付加することで左右方向に拡縮可能である。
【0037】
図12Bに示すように、突起部42aは、その底面が段部41の上面よりも所定長さL3だけ上方に設けられるとともに、ストッパ26の突起部26aの底面と同一高さに設けられる。所定長さL3は、ブレード2の厚さに相当する。ブレード2は、把持部42bに把持力を付加して左右の係合爪42の突起部42a間の幅を拡大し、ブレード2の後端部をストッパ26の突起部26aの下方に滑りこませながら、段部41の上面に載置される。その後、把持力を除去すると、突起部42a間の幅が縮小してブレード2の左右両端部は突起部42aにより係止され、ブレード2の後端部はストッパ26の突起部26aにより係止される。この状態では、ブレード2は段部41の上面に沿って前方にスライド可能である。
【0038】
図10,11に示すように、一方の側壁27の前端面には、略円錐形状の突起部50が設けられる。突起部50は、ボルト6の頭部の溝63に詰まった土を除去するために用いることができ、これにより作業後のブレード交換のためのボルト6の着脱が容易である。なお、図示は省略するが、治具20は、充電ステーション200(図3)に開閉可能に設けられたカバーを介して、充電ステーション200の内部に格納可能である。
【0039】
次に、本発明の実施形態に係る刈刃交換方法について説明する。以下では、ディスク1に新たにブレード2を取り付ける場合について説明する。
【0040】
まず、予めナット7とブレード2とを組み付けた状態の治具20を準備する(治具準備工程)。この場合、図13Aに示すように、ナットホルダ30を構成する一対の爪部32(図10)の間にナット7を嵌合し、ナット7のフランジ部72を円形状の凹部33(図10)の上面に載置する。この状態では、ナットホルダ30の中心線CL3とナット7の中心線CL4とがほぼ一致し、ナット7の側面71bが爪部32の内側面32aに対向して、ナット7が位置決めされる。このため、ナット7の円筒部73の先端の一対の凸部75が、治具20の左右方向に位置する。
【0041】
その後、係合爪42の把持部42bを把持して左右の突起部42aを左右方向に拡大し、ブレード2の後端部をストッパ26の突起部26aの下方に滑りこませながら、ブレードホルダ40の段部41上に、ブレード2を搭載する。この状態では、ナットホルダ30の中心線CL3とナット7の中心線CL4およびブレード2の貫通孔2bを通る中心線CL5とが一致する。
【0042】
これにより図13Bに示すように、ナット7のフランジ部72が貫通孔2bの周囲のブレード2の表面により覆われるとともに、ブレード2の上面が係合爪42の突起部42aとストッパ26の突起部26aとにより係止される。その結果、ナット7とブレード2とが治具20に一体に固定されるとともに、ブレード2の刃部2aが側壁27,28によって覆われる。ナット7とブレード2が治具20に固定された状態では、ブレード2の貫通孔2bを通る中心線とナット7の中心線とが、治具のナットホルダ30の中心線CL3(図12B)にほぼ一致する。
【0043】
次に、ディスク1の周縁部に治具20を取り付ける(治具取付け工程)。この場合、芝刈り機100を上下方向にひっくり返して、あるいは持ち上げて、図14Aに示すように、ディスク1の切り欠き10に、径方向外側から矢印A方向(径方向内側)に保持部20Bを挿入する。より詳しくは、左右一対の突起部25と側壁27,28との間の隙間にディスク1の傾斜部12が配置されるように、ストッパ26が傾斜部12の外周面12aに当接するまで、ディスク1の上面10aに対向して保持部20Bを挿入する。すなわち、ディスク1の傾斜部12の軸線CL2(図8)とブレード2の貫通孔2bの中心線CL5とが一致するように治具20をディスク1の周縁部に配置する。
【0044】
これにより、図14Bに示すように、治具20に保持されたナット7の凸部75がディスク1の貫通孔13の切り欠き部13bに嵌合する。このため、左右の突起部25とナット7の凸部75とで、ディスク1を上下方向に挟みながら、治具20をディスク1に取り付けることができる。したがって、凸部75が切り欠き部13bに嵌合した後は、治具20から手を離すことができる。なお、凸部75の切り欠き部13bへの嵌合の有無は、目視にて確認することができる。凸部75が切り欠き部13bに嵌合した際に生じる金属音によっても、嵌合の有無を確認することができる。
【0045】
次に、ディスク1の下面10b側から貫通孔13にボルト6のねじ部61を挿入し、ナット7に螺合する(ボルト締結工程)。これにより図15Aに示すように、ボルト6がナット7に締結され、ブレード2がディスク1に固定される。この場合、治具20をディスク1に取り付けた状態では、ナット7の凸部75がディスク1の切り欠き部13bに嵌合しており、ナット7の回転が阻止されるため、ボルト6の締結は容易である。ディスク1の下面10b側は開放されているため、ボルト締結用の工具の取り回しも容易である。
【0046】
次いで、治具20の操作部20Aを把持して、治具20をディスク1の径方向外側、すなわち図15Aの矢印B方向に引っ張る(治具取り外し工程)。これにより治具20の段部41(図12A)がブレード2に沿って摺動しつつ、ガイド部35(図12A)がナット7のフランジ部72に沿って摺動する。その結果、図15Bに示すように、ブレード2をディスク1に取り付けたまま、ディスク1から治具20を取り外すことができる。以上により、ブレード2の交換作業(取付け作業)が完了する。ディスク1からブレード2を取り外すときは、ボルト6を緩める必要がある。この場合、ディスク1に対するナット7の位置が規制されているため、治具20を用いずにボルト6を緩めてブレード2の取り外し作業を行うことができる。
【0047】
なお、治具20を取り外した際は、ブレード2の先端部がディスク1の径方向内側を向く。この状態でディスク1を回転させると、図4に示すように、ブレード2は遠心力により径方向外側を向く。これにより、ブレード2がディスク1から径方向外側に突出し、芝刈り作業が可能となる。本実施形態では、ブレード2は切り欠き10を介してディスク1に取り付けられ、ブレード2の上方にディスク1の外周縁部が配置される。このため、作業時にブレード2全体が露出することなく、より安全性の高い作業を実現できる。
【0048】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)本発明の実施形態に係る作業機の刈刃交換治具20は、ディスク1の周縁部に穿設された貫通孔13を貫通するボルト6とボルト6に締結するナット7とによりディスク1の周縁部に取り付けられ(図8)、ボルト6が貫通する貫通孔2bが穿設されたブレード2を交換するために用いられる。この刈刃交換治具20は、ナット7を保持するナットホルダ30と、ナットホルダ30に保持されたナット7(フランジ部72)上に、貫通孔2bの中心線CL5とナット7の中心線CL4とをほぼ一致させた状態でブレード2を保持するブレードホルダ40とを備える(図10,11)。このようにナットホルダ30とブレードホルダ40とにナット7とブレード2とをそれぞれ保持することで、ナット7とブレード2とを同時に拘束しながらブレード2の貫通孔2bを介してナット7にボルト6を締結することができ、ブレード2の交換作業を容易かつ効率よく行うことができる。
【0049】
(2)ナットホルダ30は、ナット7が載置する凹部33を有し、ブレードホルダ40は、凹部33に載置されたナット7上に配置されたブレード2に係合し、ナット7とブレード2とを一体に保持する係合爪42を有する(図10,11)。このようにナット7とブレード2とを治具20に一体に保持することで、治具20からナット7とブレード2とが脱落しないため、治具20の取り扱いが容易となり、ブレード2の交換作業も容易となる。
【0050】
(3)治具20は、ナット7およびブレード2が治具20から一体に離脱するように、ナット7およびブレード2をスライド可能に支持するガイド部35および段部41を有する(図10,12A)。これにより治具20に一体化されたナット7にボルト6を締結した後に、治具20を容易に取り外すことができる。
【0051】
(4)治具20は、ナット7とブレード2とを一体に保持したまま、ブレード2の貫通孔2bの中心線CL5がディスク1の貫通孔13の中心線CL2とほぼ一致するように、ブレード2をディスク1の周縁部に取り付け可能な突起部25をさらに備える(図14B)。これにより治具20から手を離した状態で、治具20をディスク1に取り付けることができ、ボルト6の締結作業を容易に行うことができる。
【0052】
(5)ナット7の先端部(凸部75)は、ディスク1に回転不能に嵌合可能であり、ナットホルダ30は、ナット7の周方向の位置を規制する爪部32を有する(図10)。これにより、治具20によってナット7の回転を阻止することができ、ボルト6の締結作業を容易に行うことができる。
【0053】
(6)本発明の実施形態に係る作業機の刈刃交換方法は、ディスク1の周縁部に穿設された貫通孔13を貫通するボルト6とボルト6に締結するナット7とにより、ディスク1の周縁部に取り付けられ、ボルト6が貫通する貫通孔2bが穿設されたブレード2を交換するための方法である。この方法は、予め、ナット7の中心線CL3とブレード2の貫通孔2bの中心線CL5とをほぼ一致させた状態でナット7とブレード2とを治具20に保持し(図13A,13B)、ブレード2の貫通孔2bの中心線CL5がディスク1の貫通孔13の中心線CL2とほぼ一致するようにディスク1の周縁部に治具20を配置し(図14A,14B)、ディスク1の周縁部に配置された貫通孔13とブレード2の貫通孔2bとにボルト6を貫通させるとともに、ボルト6をナット7に螺合させて、ブレード2をディスク1に取り付ける(図15A,15B)。このような刈刃交換方法によれば、治具20を用いてナット7とブレード2とを同時にディスク1の貫通孔13に対応した所望の位置に配置することができる。このため、ブレード2を効率よくディスク1に取り付けることができ、ブレード2の交換作業が容易である。
【0054】
なお、上記実施形態では、締結部材保持部として治具20にナットホルダ30を設けてナット7を保持するようにした。すなわち、ディスク貫通孔13を貫通するボルト6およびボルト6に締結するナット7を、それぞれ第1締結部材および第2締結部材として構成した。この代わりに、治具でボルトを保持するようにしてもよい。すなわち、ナットを第1締結部材として構成し、ボルトを第2締結部材として構成してもよく、締結部材保持部の構成は上述したものに限らない。
【0055】
上記実施形態では、ブレードホルダ40により、ナット7のフランジ部72上に、ブレード2の貫通孔2b(刈刃貫通孔)の中心線CL5とナット7の中心線CL4とをほぼ一致させた状態でブレード2を保持するようにしたが、刈刃保持部の構成はこれに限らない。上記実施形態では、治具20の凹部33の上面にナット7のフランジ部72を載置するようにしたが、載置面の構成はこれに限らない。上記実施形態では、治具20の一対の係合爪42により、ナット7とブレード2とを一体に治具20に保持するようにしたが、刈刃係合部の構成はこれに限らない。
【0056】
上記実施形態では、ナット7およびブレード2をスライド可能に支持するガイド部35および段部41を介して、ナット7およびブレード2を治具20から一体に離脱するようにしたが、スライド支持部の構成はこれに限らない。上記実施形態では、ブレード2の貫通孔2bの中心線CL5がディスク貫通孔13の中心線CL3とほぼ一致するように、突起部25を介して治具20をディスク1の周縁部に取り付けるようにしたが、治具取り付け部の構成はこれに限らない。上記実施形態では、ディスク1の貫通孔13の切り欠き部13bに嵌合するナット7の先端部の凸部75を介して、ナット7の周方向の位置を規制するようにしたが、位置規制部の構成はこれに限らない。
【0057】
以上では、自律走行可能な移動式芝刈り機100のブレード2を交換する際に刈刃交換治具20を用いたが、本発明の刈刃交換治具は、他の作業機の刈刃を交換する場合にも同様に用いることができる。例えば、手押し式芝刈り機や手持ち式芝刈り機等の他の芝刈り機や、芝刈り機以外の作業機(例えば刈払機等)に取り付けられる刈刃を交換する場合にも、本発明の治具を同様に用いることができる。
【0058】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 ディスク、2 ブレード、6 ボルト、7 ナット、13 貫通孔、20 治具、25 突起部、30 ナットホルダ、32 爪部、33 凹部、35 ガイド部、40 ブレードホルダ、41 段部、42 係合爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B