【課題】 樹脂中に蓄光材料が含有された誘導用部材をカーペットに取り付けて誘導用カーペットを簡単に得ることができるようにすると共に、誘導用部材における蓄光材料からの光を適切に反射させて、暗い場所での案内等の表示が長期にわたって安定して適切に行えるようにする。
【解決手段】 本発明の誘導用カーペットは、樹脂中に蓄光材料xが含有された表面部111の下に、表面部からの光を反射させる反射部112が設けられた本体部110と、この本体部をカーペット10に固定させる固定部120とを有する誘導用部材100を用い、前記の本体部と固定部とがカーペットを貫通するようにして、表面部がカーペットの表面側に位置するように、誘導用部材をカーペットに固定させている。
樹脂中に蓄光材料が含有された表面部の下に、前記の表面部からの光を反射させる反射部が設けられた本体部と、前記の本体部をカーペットに固定させる固定部とを有する誘導用部材を用い、前記の本体部と固定部とがカーペットを貫通するようにして、前記の表面部がカーペットの表面側に位置するように、誘導用部材がカーペットに固定されていることを特徴とする誘導用カーペット。
請求項1又は請求項2に記載した誘導用カーペットにおいて、前記の誘導用部材における反射部の下面から取付用脚部が下方に延出されると共に、前記の固定部に前記の取付用脚部を取り付ける取付部が設けられ、反射部から延出された取付用脚部が前記の固定部における取付部に取り付けられて、誘導用部材がカーペットを貫通するようにして固定されていることを特徴とする誘導用カーペット。
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載した誘導用カーペットにおいて、前記の誘導用部材における表面部の表面の位置が、前記のカーペットの表面の位置以下になっていることを特徴とする誘導用カーペット。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る誘導用カーペットを添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る誘導用カーペットは、特に下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0021】
この実施形態に係る誘導用カーペットにおいては、カーペット10として、
図1(A),(B)に示すように、基布12の表面にパイル11が植設されると共にその裏面に裏打ち材13が設けられて、所定大きさの矩形状になったタイルカーペットを用いるようにした。なお、カーペット10はこのようなタイルカーペットに限定されず、長尺状になったものや、面積が広いものであってもよい。
【0022】
ここで、前記のパイル11には、一般にナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂繊維が用いられ、このパイル11として、
図1(B)に示すようなループパイルになったものを用いるようにしたが、カットパイルであってもよい。
【0023】
また、前記の基布12は、織布又は不織布等のシート体からなり、前記のパイル11を十分に植設でき且つ破損などを生じない強度的にも優れたものであれば特にその素材は限定されず、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン等の合成繊維や、セルロース、ウール等の天然繊維を1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0024】
また、基布12の裏面に設けられる前記の裏打ち材13としては、例えば、塩化ビニル樹脂等のペーストゾル等を用いることができ、必要に応じて、カーボンブラック等の黒色顔料などの各種顔料、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの充填剤、安定剤、老化防止剤などを混合してもよい。
【0025】
また、この実施形態においては、前記の裏打ち材13として、
図1(B)に示すように、合成樹脂からなる単層のものを用いるようにしたが、
図1(C)に示すように、パイル11が植設された基布12を安定的に固定するための合成樹脂ペーストゾル等からなる結合層13aを基布12の裏面に設けると共に、この結合層13aの裏面にガラス繊維製ヤーンの網状体等からなる補強布13bを設け、さらにこの補強布13bの裏面に、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂や、SBR、NBR等の合成ゴム等からなるバッキング材13cを設けたものを用いることもできる。
【0026】
そして、この実施形態に係る誘導用カーペットにおいては、本体部110と固定部120とを有する誘導用部材100を用い、本体部110と固定部120とが前記のカーペット10を貫通するようにして、誘導用部材100をカーペット10に固定させるようにしている。
【0027】
ここで、前記の誘導用部材100においては、前記の本体部110として、
図2(A)〜(C)に示すように、透明樹脂中に蓄光材料xが含有された平面長方形状の表面部111の下に、前記の表面部111からの光を反射させる白色系顔料が含有された白色系樹脂で構成された反射部112と、前記の反射部112の下面に、その長手方向に所要間隔を介した位置から下方に向けて延出された複数(図では3つ)の取付用脚部113を一体成形させたものを用いるようにした。なお、この実施形態においては、前記の本体部110の平面形状が、長辺の長さが100mm、短辺の長さが30mmになった長方形状であって、前記の表面部111の厚みが2mm、反射部112の厚みが1mmになったものを用いるようにした。しかし、本体部110の平面形状は、特に長方形状に限定されず、図示していないが、円形状や矢印状等の様々な形状になったものであってもよい。また、前記の表面部111や反射部112の厚みも、前記のようなものに限定されず、本体部110の強度や、表面部111に含有させる蓄光材料xの量などに応じて適宜変更することができる。
【0028】
また、前記の誘導用部材100においては、前記の固定部120として、
図3(A)〜(C)に示すように、円板状になった受け部121の上に、前記の本体部110の反射部112から下方に延出された1つの取付用脚部113を取り付ける取付部122が設けられたものを用いるようにした。
【0029】
ここで、前記のような固定部120を用いた場合には、本体部110の反射部112から下方に延出された各取付用脚部113に対応した数の固定部120を用いることなる。しかし、このように1つの本体部110に対して、必ずしも複数の固定部120を用いる必要はなく、例えば、
図4に示すように、固定部120を前記の本体部110と同様の長方形状に形成し、本体部110の反射部112に設けられた各取付用脚部113と対応するようにして、固定部120の受け部121の上に複数(図では3つ)の取付部122を設けるようにすることも可能である。
【0030】
そして、前記の誘導用部材100において、本体部110の表面部111に用いる透明樹脂は、特に限定はされないが、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性もしくは熱可塑性プラスチックが挙げられる。ここで、これらの樹脂の中で、特に透明性の高いものが好ましいアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等を用いることが好ましく、特に、可視光透過率が80%以上のものを用いるのが望ましい。また、人が歩行することによって、表面部111が割れたり、すぐに摩耗したりしないように、強度や耐摩耗性などの耐久性に優れた樹脂を用いることが好ましく、特に、ポリカーボネート樹脂を用いることが好ましい。
【0031】
また、前記の表面部111において、透明樹脂中に含有させる蓄光材料xとしては、一般に使用されている公知のものを用いることができ、特に、長く繰り返して使用することができ、放射性物質を含まず、残光輝度が高く、残光時間が長く、耐光性や耐久性に優れたものを用いることが好ましい。例えば、硫化カルシウム/ビスマス系(CaS/Bi)、硫化カルシウム・ストロンチウム/ビスマス系〔(Ca,Sr)S/Bi)、硫化亜鉛/銅系(ZnS/Cu)、硫化亜鉛・カドミウム/銅系〔(Zn,Cd)S/Cu〕等の硫化物系蓄光材料や、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム等の金属酸化物を母体結晶としたものに、賦活剤としてセリウム、プラセオジム、ネオジム、サマルウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等の希土類元素加えたもの等を用いることができる。具体的には、N夜光ルミノーバ(根本特殊化学株式会社製)や、アルミン酸ストロンチウム系蓄光性蛍光体であるケミテックピカリコCP−04、ケミカラーNL(ケミテック株式会社製)や、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等が主成分となるウルトラグロー(日亜化学株式会社製)等を用いることができる。
【0032】
また、前記の蓄光材料xが透明樹脂中に均一に分散させるようにすると共に、表面部111における強度が低下するのを抑制して、高い残光輝度が得られるようにするため、その平均粒径が0.1〜500μmの範囲のもの、好ましくは10〜70μmの範囲のものを用いるようにする。なお、前記の平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積重量平均値(D50)として求めた値である。
【0033】
また、前記の表面部111に含有させる蓄光材料xの割合が少ないと、十分な蓄光性能を得ることが困難になり、残光輝度が低下したり、残光時間が短くなったりする一方、蓄光材料xの割合が多くなりすぎると、表面部111の強度が低下するため、透明樹脂に対する蓄光材料xの含有割合が5〜30質量%の範囲、好ましくは7〜17質量%の範囲、より好ましくは8〜11質量%になるようにする。
【0034】
また、前記の反射部112において、白色材料が含有された白色系樹脂における樹脂としては、反射部112と表面部111との接合性を高めて、高い強度が得られるようにするため、前記の表面部111と同じポリカーボネート樹脂等を用いて一体成形させるようにすることが好ましい。
【0035】
また、前記の反射部112において、前記の白色材料としては、白色の顔料や染料を用いることができるが、表面部111からの光の反射性、耐光性、下地の色が見えないようにする隠蔽性等の点からは白色顔料を用いることが好ましい。そして、このような顔料としては、有機顔料と無機顔料とに分類することができるが、光の反射性、耐光性、隠蔽性等の点からは無機顔料を用いることが好ましい。
【0036】
前記の反射部112に用いる白色系の無機顔料としては、例えば酸化チタン(TiO
2:チタニウムホワイト)、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、鉛白(炭酸亜鉛)、亜鉛華(ジンクホワイト)、鉛白(主成分:塩基性炭酸鉛)、リトポン(硫化亜鉛と硫酸バリウムとの混合物)、バライト(主成分:硫酸バリウム)、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、沈降性シリカ(ホワイトカーボン)、酸化アルミニウム、アルミナ水和物、アルミペースト、微粉ケイ酸、合成珪酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、タルク、クレイなどの無機顔料が挙げられるが、これらの中で隠蔽性、耐光性などの観点から、酸化チタンやアルミペーストを用いることが好ましい。また、酸化チタンには、ルチル形とアナターゼ形があるが、前者の方が、着色力、隠蔽力が大きく、隠蔽性顔料の中で最も好ましい。ここで、前記の酸化チタンの平均粒径は、通常0.1〜3.0μm程度である。前記の平均粒径も蓄光材料の平均粒径と同様、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積重量平均値(D50)として求めた値である。
【0037】
なお、これらの顔料は一種を単独で用いてもよく、複数の顔料を併用することもできる。また、必要に応じて、例えば、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片などの金属顔料、や、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片などからなる光沢顔料等を併用することもできる。これらの顔料は、反射部112の隠蔽性や反射性を高めるだけでなく、光の反射に独自性を付与して意匠性を増すことも可能となる。
【0038】
また、前記の反射部112において、前記の白色材料を樹脂に含有させるにあたり、白色材料の含有量が少ないと、下地の色が透けるなど隠蔽性が低下する一方、白色材料の含有量が多くなりすぎると、樹脂の耐衝撃性が低下すると共にコストも高くつくため、白色材料の含有量を1〜10質量%の範囲にすることが好ましく、より好ましくは1.5〜6質量%の範囲になるようにする。
【0039】
また、この実施形態においては、前記の本体部110の周縁部を、前記の表面部111から下の反射部112に向けてテーパー状に収縮するように形成し、後述するように、誘導用部材100をカーペット10に固定させた場合に、このテーパー状に収縮した本体部110の周縁部によって、本体部110が取り付けられるカーペット10の周縁部におけるパイル11を覆うようにしている。
【0040】
また、前記のように本体部110における表面部111の下に、白色系顔料が含有された白色系樹脂で構成された反射部112を設けると、表面部111における蓄光材料xからの光が、この反射部112おいて適切に反射されて表面部111から出射される光が増加すると共に、この反射部112を通して、誘導用部材100が取り付けられるカーペット10の色が透けて見えるのが防止される。
【0041】
ここで、前記のような誘導用部材100を用い、この誘導用部材100における本体部110と固定部120とを前記のカーペット10に貫通させるようにして、誘導用部材100をカーペット10に固定させるにあたっては、例えば、
図5(A),(B)に示すように、カーペット10の一辺の近傍において、前記の誘導用部材100における平面長方形状の表面部111に対応するようにして、カーペット10におけるパイル11を削り取った取付用カット部14を、カーペット10の一辺方向に所要間隔を介して複数(図では2つ)設けると共に、各取付用カット部14に、本体部110の反射部112から下方に延出された各取付用脚部113に対応するようにして、それぞれ複数(図では3つ)の貫通穴15を設けるようにしている。
【0042】
そして、この実施形態においては、誘導用部材100における本体部110と固定部120とをカーペット10に貫通させるようにして、カーペット10に設けられた各取付用カット部14に誘導用部材100を固定させるにあたり、
図6(A)に示すように、誘導用部材100の本体部110を取付用カット部14の上に位置させると共に、誘導用部材100における各固定部120を、取付用カット部14の下において各貫通穴15が設けられた位置に対応するように配置させるようにする。
【0043】
次いで、
図6(B)に示すように、本体部110の反射部112から下方に延出された各取付用脚部113とこれに対応した各固定部120における取付部122とを、カーペット10の取付用カット部14に対応して設けられた各貫通穴15を通して、本体部110における各取付用脚部113を各固定部120における取付部122に取り付けるようにする。
【0044】
ここで、この実施形態における誘導用カーペットにおいては、前記の誘導用部材100の本体部110における表面部111の表面位置が、前記のカーペット10におけるパイル11の表面位置以下になるようにしている。このようにすると、人がこの誘導用カーペットの上を歩行する場合などに、前記の誘導用部材100に躓いたりするのが防止されるようになる。
【0045】
また、この実施形態における誘導用カーペットにおいては、前記の誘導用部材100の本体部110における反射部112の下面を、前記のようにカーペット10においてパイル11を削り取った取付用カット部14における基布12の表面に押し付けるようにして取り付ける構成となっている。この場合、誘導用部材100における反射部112の裏面が、カーペット10の取付用カット部14の表面と密着した状態となる。このため、誘導用部材100がカーペット10に対してがたつき無く安定して固定される。同時に、前記の本体部110は、カーペット10を各固定部120で挟み込む形で安定して強固に取り付けられる。
【0046】
また、カーペット10を床面に敷設する際にカーペット10の底面は接着剤や粘着材などによって床面に固定されるため、各固定部120は、カーペット10の裏面と床面に挟まれた状態で固定されるため、誘導用部材100は極めて外れにくい構造で固定されることとなる。加えて、誘導用部材100における反射部112の裏面と取付用カット部14の表面は、隙間無く密着した状態とすることができ、カーペット10におけるパイル11との配置関係も安定するので、前記の表面部111を通して認識される色等のばらつきも抑制されるようになる。
【0047】
ここで、前記の誘導用部材100の本体部110における表面部111と反射部112との合計の厚みが大きい場合や、カーペット10におけるパイル11が短い場合において、誘導用部材100の本体部110における表面部111の表面位置が、カーペット10におけるパイル11の表面位置よりも高くなるような場合には、図示していないが、カーペット10に前記のような取付用カット部14を形成するにあたり、カーペット10におけるパイル11だけではなく、前記の基布12や、裏打ち材13を適当な深さに削り取って、誘導用部材100の本体部110における表面部111の表面位置が、前記のカーペット10におけるパイル11の表面位置以下になるようにすることができる。
【0048】
また、この実施形態における誘導用カーペットにおいては、カーペット10に設ける取付用カット部14の平面形状を、誘導用部材100における本体部110の平面形状よりも若干小さくなるようにしている。このようにすると、前記のように表面部111から下の反射部112に向けてテーパー状に収縮するように形成された本体部110の周縁部が、取付用カット部14の周縁部におけるパイル11の上に被さるようになり、取付用カット部14のラインが少し蛇行していても、この部分が誘導用部材100における本体部110により覆われて隠れ、綺麗な仕上がり状態が得られるようになる。
【0049】
そして、このようにカーペット10の一辺の近傍において、前記の誘導用部材100がカーペット10の一辺方向に所要間隔を介して複数(図では2つ)設けた誘導用カーペットを、
図7に示すように、各誘導用カーペットにおける誘導用部材100が一辺方向に並ぶようにして、図示していないが通路の端側の床に敷設させて、暗い場所での案内等の表示を行うようにすることができる。
【0050】
また、前記のような誘導用カーペットを複数並べて敷設させるにあたり、例えば、カーペット10に500mm角のタイルカーペットを用いると共に、前記の誘導用部材100の長辺方向の長さL1を100mm、誘導用部材100間の間隔L2を150mm、誘導用部材100の配列方向における誘導用部材100の端部とカーペット10の端部との間隔L3を75mm(=L2/2)にした場合、連続したカーペット10に対して、前記のような誘導用部材100が一定した間隔で配置されるようになる。
【0051】
また、前記の実施形態における誘導用カーペットにおいては、カーペット10の一辺の近傍において、誘導用部材100をカーペット10の一辺方向に所要間隔を介して複数(図では2つ)設けるようにしたが、
図8に示すように、カーペット10の対向する辺の中間部分において、誘導用部材100をカーペット10の対向する辺の方向に所要間隔を介して複数(図では2つ)設けた誘導用カーペットを用い、このような誘導用カーペットにおける誘導用部材100が対向する辺の方向に並ぶようにして、図示していないが通路の中央部の床に敷設させて、暗い場所での案内等の表示を行うようにすることができる。
【0052】
次に、前記の誘導用部材100における本体部110を製造する場合の具体的な実施例を挙げて説明する。
【0053】
ここで、以下の実施例においては、本体部における反射部を製造するにあたって、樹脂としては、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製:ノバレックス7025IR)を用い、白色材料としては、平均粒径が0.5〜2μm程度の酸化チタン(濤和化学株式会社製:EX8−11−19504)を用いるようにした。
【0054】
ここで、実施例A1〜A3においては、前記の樹脂100重量部に対して前記の白色材料を3.0重量部に割合で含有させるようにし、また実施例B1〜B3においては、前記の樹脂100重量部に対して前記の白色材料を1.5重量部に割合で含有させるようにして、それぞれ3.0mm,2.0mm,1.0mmの厚みの板状になった反射部のサンプルを作成した。
【0055】
そして、前記の実施例A1〜A3及び実施例B1〜B3の各サンプルを、それぞれ明度が2.4、彩度が0.1になった黒色プラスチックの上に載置し、実施例A1〜A3及び実施例B1〜B3の各サンプルの上からそれぞれ明度と彩度とを測定し、これらの結果を下記の表1に示した。なお、前記のマンセル表色系の明度及び彩度については、JIS Z 8722に準拠した市販の色彩色差計(コニカミノルタ株式会社製:製品名「色彩測色システム(簡易型)CR−200)を用いて測定径8mmで測定した。
【0056】
【表1】
【0057】
この結果、実施例A1〜A3及び実施例B1〜B3の各サンプルを明度が2.4と低い黒色プラスチックの上に載置したにも拘わらず、実施例A1〜A3及び実施例B1〜B3の各サンプルの上から測定された明度は何れも9.2以上の高い値を示し、高い隠蔽性を有することが分かる。特に、樹脂100重量部に対して白色材料を3.0重量部に割合で含有させる実施例A1〜A3の各サンプルにおいては、測定された明度が何れも9.5以上の高い値を示し、さらに高い隠蔽性を有することが分かり、またサンプルの厚みを厚くするほど、隠蔽性が向上されることも分かる。
【0058】
なお、前記の実施例では、実施例A1〜A3及び実施例B1〜B3の各サンプルを黒色プラスチックの上に載置して、各サンプルの上から明度と彩度とを測定したが、実施例A1〜A3及び実施例B1〜B3の各サンプルを、明度が1.7、彩度が0.2になった市販のタイルカーペット(東リ株式会社製:GA−100、品番「GA1002」)の上に載置して明度と彩度とを測定した場合にも、ほぼ同様の結果が得られた。
【0059】
また、前記のポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製:ノバレックス7025IR)中に、平均粒径が約25μmになった市販の蓄光材料(株式会社ネモトルミマテリアル製:G−300M)を9.1質量%含有させた表面部を、前記の実施例A1〜A3及び実施例B1〜B3の各サンプルの上に一体成形したものを作成し、各表面部における状態を調べた結果、カーペットの色が透けて見えるということがなく、十分な残光輝度が得られ、暗い場所での案内等の表示を行うことができた。