【解決手段】遊技機は、遊技領域5aを有する遊技ユニット5を着脱可能に装着してなる。遊技ユニット5は、外側を囲うケース体1202等の固定的なユニット構成部材と、待機位置で停止している停止状態から所定の軌道を通って作動状態に変化する可動装飾体1207,1209とを備えると共にユニット構成部材の一部に、可動装飾体が作動状態に変化する際に通る軌道を横断し得る移動阻止部材1256a,1256bを装着するための貫通孔1257a又は隙間1257bを設けてなり、貫通孔又は隙間に移動阻止部材を進入させて可動装飾体のほぼ待機位置からの移動を阻止し得るようになし、一方、貫通孔又は隙間から移動阻止部材を退避させることにより可動装飾体の作動状態への変化を可能にするようにした。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1、
図2Aを参照して本実施形態のパチンコ機1の全体構成について説明する。
図1は本発明の一実施形態であるパチンコ機の正面図であり、
図2Aは本体枠から扉枠を開放させると共に外枠から本体枠を開放させた状態で前から見たパチンコ機の斜視図である。
【0010】
本実施形態のパチンコ機1は、遊技ホールの島設備(図示しない)に設置される枠状の外枠2と、外枠2の前面に開閉回動可能に設けられた扉枠3と、扉枠3を回動可能に支持していると共に外枠2に開閉可能に取付けられている本体枠4と、本体枠4に前側から着脱可能に取付けられると共に扉枠3を通して遊技者側から視認可能とされ遊技者によって遊技球が打込まれる遊技領域5aを有した遊技ユニット5と、を備えている。
【0011】
[外枠]
前記外枠2は、左枠部材(符合が付されていないものは図示を省略している。以下同じ。)及び右枠部材40の下端同士を連結し下枠部材20の前側に取付けられる幕板部材50と、上枠部材10の正面視左端部側に取付けられている外枠側上ヒンジ部材60と、幕板部材50の正面視左端側上部と左枠部材とに取付けられている外枠側下ヒンジ部材70と、を備えている。外枠2の外枠側上ヒンジ部材60と外枠側下ヒンジ部材70とによって、本体枠4及び扉枠3が開閉回動可能に取付けられている。
【0012】
[扉枠]
パチンコ機1の扉枠3は、
図1及び
図2A等に示すように、正面視の外形が上下に延びた四角形で前後に貫通している貫通口111を有した枠状の扉枠ベースユニット100と、扉枠ベースユニット100の貫通口111よりも下側で前面右下隅に取付けられており遊技球を遊技ユニット5の遊技領域5a内へ打込むために遊技者が操作可能なハンドルユニット300と、扉枠ベースユニット100の貫通口111よりも下側で前面下部に取付けられている皿ユニット320と、皿ユニット320の中央に取付けられており遊技領域5a内に遊技球が打込まれることで変化する遊技状態に応じて遊技者に参加型の演出を提示することが可能な演出操作ユニット400と、皿ユニット320の上側で扉枠ベースユニット100における貫通口111よりも左側の前面左部に取付けられている扉枠左サイドユニット530と、皿ユニット320の上側で扉枠ベースユニット100における貫通口111よりも右側の前面右部に取付けられている扉枠右サイドユニット550と、扉枠左サイドユニット530及び扉枠右サイドユニット550の上側で扉枠ベースユニット100における貫通口111よりも上側の前面上部に取付けられている扉枠トップユニット570と、を備えている。
【0013】
[扉枠ベースユニット]
扉枠3の扉枠ベースユニット100は、正面視の外形が上下に延びた長方形(四角形)で前後に貫通している貫通口111を有した板状の扉枠ベース110と、扉枠ベース110の後側に取付けられている枠状の補強ユニット130と、補強ユニット130の正面視左端側の上下両端に取付けられており本体枠4に対してヒンジ回転可能に取付けられる扉枠側上ヒンジ部材及び扉枠側下ヒンジ部材と、扉枠ベース110の後面に取付けられ貫通口111を閉鎖するガラスユニット190と、ガラスユニット190の後面下部を覆う防犯カバー200と、扉枠ベース110の後面に扉枠ベース110を貫通して前方に突出するように取付けられ開閉可能とされている扉枠3と本体枠4、及び本体枠4と外枠2との間を施錠するための開閉シリンダユニット210と、扉枠ベース110の後面下部に取付けられ遊技球を球発射装置680に送るための球送りユニット250と、扉枠ベース110の後面下部に取付けられ球発射装置680により発射されて遊技領域5a内に到達しなかった遊技球を受けて下皿322へ排出させるファールカバーユニット270と、を備えている。
【0014】
[ハンドルユニット]
扉枠3のハンドルユニット300は、回転可能なハンドル301を遊技者が回転操作することで、上皿321内に貯留されている遊技球を、ハンドル301の回転角度に応じた強さで遊技ユニット5の遊技領域5a内に打込むことができるものである。
【0015】
[皿ユニット]
扉枠3の皿ユニット320は、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース110の前面において貫通口111の下側の部位に取付けられ、前面が前方へ膨出していると共に、左右方向中央の前端に演出操作ユニット400が取付けられる。皿ユニット320は、遊技領域5a内に打込むための遊技球を貯留する上皿321と、上皿321の下側に配置されており上皿321やファールカバーユニット270から供給される遊技球を貯留可能な下皿322と、上皿321に貯留されている遊技球を下皿322へ抜くための上皿球抜きボタン327と、球貸機に投入した現金やプリペイドカードの残金の範囲内で遊技者に遊技球を貸し出すための球貸ボタンと、球貸機から貸出された遊技球の分を差し引いた現金やプリペイドカードを返却させるための返却ボタンと、球貸機に投入した現金やプリペイドカードの残数等を表示する球貸返却表示部と、下皿322内の遊技球を皿ユニット320の下方へ排出するための下皿球抜きボタン333と、を備えている。
【0016】
[演出操作ユニット]
扉枠3の演出操作ユニット400は、皿ユニット320の正面視左右方向中央の前部に取付けられるものであり、遊技者が押圧操作することができる大型の操作ボタン410を備えている。
【0017】
[扉枠左サイドユニット]
扉枠3の扉枠左サイドユニット530は、皿ユニット320の上側で扉枠ベースユニット100における貫通口111よりも左側の前面左部に取付けられ、貫通口111(遊技領域5a)の左外側を装飾するものである。扉枠左サイドユニット530は、発光装飾可能な左ユニット装飾レンズ部材を備えている。
【0018】
[扉枠右サイドユニット]
扉枠3の扉枠右サイドユニット550は、皿ユニット320の上側で扉枠ベースユニット100における貫通口111よりも右側の前面右部に取付けられ、貫通口111(遊技領域5a)の右外側を装飾するものである。この扉枠右サイドユニット550は、発光装飾可能な右ユニット装飾レンズ部材を備えている。
【0019】
[扉枠トップユニット]
扉枠3の扉枠トップユニット570は、扉枠左サイドユニット530及び扉枠右サイドユニット550の上側で扉枠ベースユニット100の扉枠ベース110の前面における貫通口111の上側に取付けられ、扉枠3の上部を装飾するものである。扉枠トップユニット570は、発光装飾可能なトップユニット装飾レンズ部材を備えている。
【0020】
[本体枠]
パチンコ機1の本体枠4は、一部が外枠2の枠内に挿入可能とされると共に遊技ユニット5の外周を支持可能とされた枠状の本体枠ベース600と、本体枠ベース600の正面視左側の上下両端に取付けられ外枠2の外枠側上ヒンジ部材60及び外枠側下ヒンジ部材70に夫々回転可能に取付けられると共に扉枠3の扉枠側上ヒンジ部材及び扉枠側下ヒンジ部材が夫々回転可能に取付けられる本体枠側上ヒンジ部材620及び本体枠側下ヒンジ部材と、本体枠ベース600の正面視左側面に取付けられる補強フレームと、本体枠ベース600の前面下部に取付けられており遊技ユニット5の遊技領域5a内に遊技球を打込むための球発射装置680と、本体枠ベースの正面視右側面に取付けられており外枠2と本体枠4、及び扉枠3と本体枠4の間を施錠する施錠ユニット700と、本体枠ベース600の正面視上辺及び左辺に沿って後側に取付けられており遊技者側へ遊技球を払出す逆L字状の払出ユニット800と、本体枠ベース600の後面下部に取付けられている基板ユニットと、本体枠ベース600の後側に開閉可能に取付けられ本体枠ベース600に取付けられた遊技ユニット5の後側を覆う裏カバー980と、を備えている。
【0021】
[払出ユニット]
本体枠4の払出ユニット800は、本体枠ベース600の後側に取付けられる逆L字状の払出ユニットベースと、払出ユニットベースの上部に取付けられており上方へ開放された左右に延びた箱状で図示しない島設備から供給される遊技球を貯留する球タンク802と、球タンク802の下側で払出ユニットベースに取付けられており球タンク802内の遊技球を正面視左方向へ誘導する左右に延びたタンクレールと、払出ユニットベースにおける正面視左側上部の後面に取付けられタンクレールからの遊技球を蛇行状に下方へ誘導する球誘導ユニットと、球誘導ユニットの下側で払出ユニットベースから着脱可能に取付けられており球誘導ユニットにより誘導された遊技球を払出制御基板ボックスに収容された払出制御基板からの指示に基づいて一つずつ払出す払出装置と、払出ユニットベースの後面に取付けられ払出装置によって払出された遊技球を下方へ誘導すると共に皿ユニット320における上皿321での遊技球の貯留状態に応じて遊技球を通常放出口又は満タン放出口の何れかから放出させる上部満タン球経路ユニットと、払出ユニットベースの下端に取付けられ上部満タン球経路ユニットの通常放出口から放出された遊技球を前方へ誘導して前端から扉枠3の貫通球通路273へ誘導する通常誘導路及び満タン放出口から放出された遊技球を前方へ誘導して前端から扉枠3の満タン球受口274へ誘導する満タン誘導路を有した下部満タン球経路ユニット860と、を備えている。
【0022】
[遊技ユニット(概要)]
パチンコ機1の遊技ユニット5は、詳細について後述するが、
図1、
図2A、
図25等に示すように、遊技球が打込まれる遊技領域5aの外周を区画し後述する球発射装置680の発射レール684から発射された遊技球を遊技領域5aの上部に案内する外レール1001及び内レール1002を有した遊技パネル1100と、該遊技パネル1100の裏側に設けられる演出ユニット1200と、を備えている。
遊技ユニット5の遊技領域5aには、領域内のほぼ中央に開設された開口1111に取り付けられたセンター役物1028と、遊技球を受け入れると共にその遊技球を検出する入賞球センサを備えた入賞口1024と、同じく遊技球を受け入れると共にその遊技球を検出する入賞球センサ1025s(
図24A参照)を備えた始動入賞口1025と、入賞しなかった遊技球を回収するアウト誘導部1003と、図示を省略するが、遊技球の落下に不規則な変化を与える風車や障害釘、等が設けられている。
一方、演出ユニット1200には、遊技パネル1100の裏面を囲うように取り付けられた演出ケース体1202と、その演出ケース体1202の後面であって前記センター役物1028(開口1111)に表示面1201gを向けた液晶等の表示装置1201と、入賞口1024や始動入賞口1025の前記入賞球センサ1025sの各検出信号やパチンコ機1に設けられる各種のスイッチからの入力信号を受けて処理する一つあるいは複数の制御装置1027が設けられている。この制御装置1027は、前記した各種スイッチからの入力信号を受けると共に遊技の当り外れを決める抽選等の遊技の進行を司る遊技進行制御や、扉枠3の扉枠左サイドユニット530、扉枠右サイドユニット550、扉枠トップユニット570の各装飾レンズ部材や、後述する透明発光装飾手段1206及び導光板ユニット1205、さらには後述する第1〜第3可動装飾体1207,1208,1209の発光や駆動を司る演出制御等を行うものである。
【0023】
本実施形態のパチンコ機1は、上皿321に遊技球を貯留した状態で、遊技者がハンドルユニット300のハンドル301を回転操作すると、球発射装置680によってハンドル301の回転角度に応じた強さで打ち出される遊技球が、前記発射レール684と外レール1001と内レール1002とによる発射通路部1012で形成された発射球通路(
図7参照)を通って遊技ユニット5の遊技領域5a内へ案内される。そして、遊技領域5a内に打込まれた遊技球が、入賞口1024に受入れられると、受入れられた入賞口1024に応じて、所定数の遊技球が払出装置によって球用開口から上皿321に払出される。
【0024】
なお、遊技球の打込強さ等の関係で、発射した遊技球が遊技領域5a内に到達しなかった場合は、
図7に示したように、発射レール684の端部(終端部)と外レール1001の端部(始端部)との間に開設されたファール球落下口1013に落下し、それが後述する返却通路部1014を構成するファールカバーユニット270のファール球受部275に受けられ、ファールカバーユニット270内を通って球用開口たる下皿球供給口323cから下皿322に排出される。
【0025】
[球送りユニット]
扉枠ベースユニット100の球送りユニット250について、主に
図3及び
図4を参照して詳細に説明する。
図3(a)は扉枠ベースユニットの球送りユニットを前から見た斜視図であり、(b)は球送りユニットを後ろから見た斜視図である。
図4(a)は球送りユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、(b)は球送りユニットの後ケースと不正防止部材を外して後から見た分解斜視図である。球送りユニット250は、皿ユニット320の上皿321から供給される遊技球を一つずつ球発射装置650へ供給することができると共に、上皿321内に貯留された遊技球を、上皿球抜きボタン327の操作によって下皿へ抜くことができるものである。
【0026】
球送りユニット250は、皿ユニット320の上皿321に貯留された遊技球が、皿ユニットベース323の上皿球送り口323d、扉枠ベース110の球送り開口115を通して供給され前後方向に貫通した進入口251a、及び進入口251aの下側に開口する球抜口251bを有し後方が開放された箱状の前カバー251と、前カバー251の後端を閉鎖すると共に前方が開放された箱状で、前後方向に貫通し前カバー251の進入口251aから進入した遊技球を球発射装置650へ供給するための打球供給口252aを有した後カバー252と、後カバー252及び前カバー251の間で前後方向へ延びた軸周りに回動可能に軸支され前カバー251の後側で進入口251aと球抜口251bとの間を仕切る仕切部253aを有した球抜き部材253と、球抜き部材253の仕切部253a上の遊技球を一つずつ後カバー252の打球供給口252aへ送り前カバー251と後カバー252との間で上下方向へ延びた軸周りに回動可能に支持された球送り部材254と、球送り部材254を回動させる球送ソレノイド255と、を備えている。
【0027】
この球送りユニット250は、図示するように、正面視で、球送り部材254が進入口251aの右側に配置されており、球送り部材254の左側に球抜き部材253が、球送り部材254の右側に球送ソレノイド255が夫々配置されている。
【0028】
球送りユニット250の前カバー251は、正面視で球抜口251bの左側に、球抜き部材253の回転中心に対して同心円状に形成された円弧状のスリット251cを備えており、このスリット251cから後述する球抜き部材253の作動棹253cが前方へ延びだすようになっている。また、前カバー251は、進入口251aの上縁から上側が上方へ延びだしており、扉枠3を組立てた際に、皿ユニットベース323の球送り誘導路323e及び球抜き誘導路323fの上流端側の後方へ開放されている部位を後側から閉鎖するように形成されている。
【0029】
球抜き部材253は、進入口251aよりも下側で進入口251aと球抜口251bとの間を仕切り上面が球送り部材254の方向へ向かって低くなる仕切部253aと、仕切部253aの球送り部材254とは反対側の端部から下方へ延出すると共に上下方向の中間付近から球抜口251bの下側中央へ向かってく字状に屈曲し下端が前後方向へ延びた軸周りに回動可能に支持される回動棹部253bと、回動棹部253bの上端から前方へ向かって突出する棒状の作動棹253cと、作動棹253cよりも下側で回動棹部253bの側面から仕切部253aとは反対側へ突出した錘部253dと、を備えている。球抜き部材253の作動棹253cは、前カバー251に形成された円弧状のスリット251cを通して前方へ突出するように形成されている(
図3(a)を参照)。作動棹253cは、扉枠ベース110の球送り開口115を介して皿ユニット320の上皿球抜きボタン327の押圧操作によって動作する作動伝達部327aの上端と当接する。
【0030】
球送り部材254は、進入口251a及び球抜き部材253の仕切部253aの方を向き上下方向へ延びた回転軸芯を中心とした平面視が扇状の遮断部254aと、遮断部254aの後端から回転軸芯側へ円弧状に窪んだ球保持部254bと、球保持部254bの後端から下方へ延出する棒状の棹部254cと、を備えている。球送り部材254における遮断部254aと球保持部254bは、夫々回転軸芯を中心とした約90゜の角度範囲内に夫々形成されている。また、球送り部材254の球保持部254bは、一つの遊技球を保持可能な大きさとされている。球送り部材254は、球送ソレノイド255の駆動によって回転軸芯と偏芯した位置に配置された棹部254cが左右方向へ移動させられることで、回転軸芯周りに回動する。
【0031】
この球送り部材254は、遮断部254aが仕切部253aの方向を向くと同時に球保持部254bが打球供給口252aと連通した方向を向いた供給位置と、球保持部254bが仕切部253aの方向へ向いた保持位置との間で回動するようになっている。球送り部材254が供給位置の時には、球保持部254bに保持された遊技球が、打球供給口252aから球発射装置650へ供給されると共に、進入口251aから仕切部253a上に進入した遊技球が、遮断部254aによって球保持部254b(打球供給口252a)側への移動が遮断されて仕切部253a上に留まった状態となる。一方、球送り部材254が保持位置へ回動すると、球保持部254bが仕切部253aの方向を向くと共に、球保持部254bの棹部254c側の端部が打球供給口252aを閉鎖した状態となり、仕切部253a上の遊技球が一つだけ球保持部254b内に保持される。
【0032】
また、球送りユニット250は、球送ソレノイド255の駆動(通電)によって先端が上下方向へ揺動する球送り作動桿256と、球送り作動桿256における上下方向へ揺動する先端の動きによって前後方向へ延びた軸周りに回動すると共に、球送り部材254を上下方向へ延びた軸周りに回動させる球送りクランク257と、を備えている。球送りクランク257は、球送り作動桿256の上下動する先端と係合可能とされ左右方向へ延びた係合部257aと、係合部257aの球送り作動桿256と係合する側とは反対側に配置され前カバー251と後カバー252との間で前後方向へ延びた軸周りに回動可能に軸支される軸部257bと、軸部257bから上方へ延出し球送り部材254における回動中心に対して偏芯した位置から下方へ突出する棒状の棹部254c(
図4(b)を参照)と係合する伝達部257cと、を備えている。
【0033】
この球送りユニット250は、球送り作動桿256及び球送りクランク257によって、上下方向へ進退する球送ソレノイド255の駆動により揺動する球送り作動桿256の動きを伝達させて球送り部材254を回動させることができる。なお、球送ソレノイド255の非駆動時(通常時)では、球送り作動桿256が球送ソレノイド255の下端から離れて揺動する先端が下方へ位置した状態となり、この状態では球送り部材254が供給位置に位置した状態となる。また、球送ソレノイド255の駆動時では、球送り作動桿256が球送ソレノイド255の下端に吸引されて揺動する先端が上方へ位置した状態となり、球送り部材254が保持位置へ回動する。つまり、球送ソレノイド255が駆動される(ONの状態)と、球送り部材254が遊技球を一つ受入れ、球送ソレノイド255の駆動が解除される(OFFの状態)と、球送り部材254が受入れた遊技球を球発射装置650側の発射レール684の発射位置へ送る(供給する)ことができる。この球送りユニット250における球送ソレノイド255の駆動は、払出制御基板の発射制御部(図示は省略)により発射ソレノイド654の駆動制御と同期して制御される。
【0034】
また、球送りユニット250における回動可能に軸支された球抜き部材253は、錘部253cによって正面視反時計周りの方向へ回転するようなモーメントがかかるようになっているが、前方へ突出した作動棹253cが皿ユニット320の上皿球抜きボタン327の押圧操作によって動作する作動伝達部327aの上端と当接することで、その回動が規制されるため、通常時では、球抜き部材253の仕切部253aが進入口251aと球抜口251bとの間を仕切っており、球抜口251b側へ遊技球が侵入することはない。
【0035】
そして、遊技者が、皿ユニット320の上皿球抜きボタン327を下方へ押圧操作すると、図示しない上皿球抜きスライダが作動伝達部327aと共に下方へスライドして、作動伝達部327aの下方への移動に伴って作動棹253cも相対的に下方へ移動することとなる。作動伝達部327aと共に作動棹253cが下方へ移動すること、球抜き部材253が正面視反時計周りの方向へ回動し、仕切部253aによる進入口251aと球抜口251bとの間の仕切りが解除される。これにより、進入口251aから進入した遊技球が、球抜口251bから皿ユニット320の球抜き誘導路323fへと排出され、下皿球供給口323cを介して下皿322へ排出(供給)させることができる。
【0036】
なお、球抜き部材253の作動棹253cが当接する作動伝達部327aが形成されている上皿球抜きスライダは、上皿球抜きバネによって上方へ付勢されているので、仕切部253a上に遊技球が勢い良く供給されても、その衝撃を、作動棹253cを介して上皿球抜きバネによって吸収させることができ、球抜き部材253等が破損するのを防止することができると共に、遊技球が仕切部253aで跳ね返るのを防止することができる。
【0037】
また、球送りユニット250は、後カバー252における打球供給口252aの背面視で右上に前方へ窪んだ矩形状の取付凹部252b(
図4(b)等を参照)が形成されていると共に、その取付凹部252b内に第1の不正防止手段たる操作線無効化部材260が収容されるように取付けられている。球送りユニット250の操作線無効化部材260は、工具鋼やステンレス等の硬質の金属板により形成されており、後カバー252の取付凹部252a内に対して後側から脱着可能に取付けられている。なお、ここで、操作線の無効化とは、操作線を切断又は挟止(挟んで止める)又は絡める(巻き取る)又はホットメルト等で接着する等して不正球の操作が正常に行えない状態にすることをいう。
【0038】
[第1の不正防止手段(操作線無効化部材)]
操作線無効化部材260は、正面視の外形が左右に延びた長方形状に形成されており、右辺から左方へ所定距離の間において、上下方向略中央で上下に分離している第一片部261及び第二片部262と、第一片部261及び第二片部262の互いに対向している辺の先端側(正面視右端側)でC面取り状に夫々形成されている傾斜部263と、を備えている。操作線無効化部材260の第一片部261は、操作線無効化部材260の平板面に対して、
図4(a)において正面視右端が後方へ突出するように屈曲させられている。一方、第二片部262は、操作線無効化部材260の平板面と同一面上に延びている。これにより、平面視において、第一片部261と第二片部262とによって、右方に向かうに従ってV字状に広がる剪断部260vを形成している。
【0039】
操作線無効化部材260は、後カバー252の取付凹部252bに取付けられることで、第一片部261と第二片部262とで形成されるV字状の剪断部260vが打球供給口252a内と連通した状態となる。
【0040】
この操作線無効化部材260によれば、柔軟な紐状の操作線(糸、ピアノ線、ワイヤーあるいはカテーテル等の線状部材)を取付けた不正球(遊技球か又はそれとほぼ同径の球)を、上皿321から球送りユニット250を介して球発射装置680により遊技領域5a内に打込み、不正球に取付けられた上皿321側に出ている操作線を操作して、不正球を用いて不正な球流路を形成したり、不正球を第一始動口等に出し入れさせるような不正行為が行われる際に、球発射装置680により発射(打球)された不正球の勢いによって、不正球に取付けられた操作線を、第一片部261と第二片部262との間に挿入させた上で、第一片部261と第二片部262とによって形成された剪断部260vの狭くなった部位によりハサミのごとくに切断させることができ、そうして操作線を無効化して不正球を用いた不正行為が行われるのを抑止することができる。なお、球送りユニット250に設けられる第1の不正防止手段としては、上記した形態のものに限らず、他の形態であってもよい。例えば、不正球に取付けられた操作線を切断或は狭止して、不正行為を抑止する構成であれば、金属板を上述と異なる形態に屈曲させたり、折り曲げた操作線無効化部材260を設ける構成としてもよいし、不正球に取付けられた操作線を切断或は狭止し得る形状を有した樹脂成型部材を、金属板に代えて設ける構成としてもよい。
【0041】
[ファールカバーユニット]
扉枠ベースユニット100のファールカバーユニット270について、
図5乃至
図8を参照して詳細に説明する。
図5(a)は扉枠ベースユニットのファールカバーユニットを前から見た斜視図であり、(b)はファールカバーユニットを後ろから見た斜視図である。また、
図6(a)はファールカバーユニットを蓋部材を外して前から見た分解斜視図であり、(b)はファールカバーユニットを蓋部材を外して後ろから見た分解斜視図である。さらに、
図7は、
図6(a)のX−X線断面図、
図8は、一部拡大図を含む
図7のY−Y線断面図である。
【0042】
ファールカバーユニット270は、図示するように、扉枠ベース110の後側に取付けられ前側が開放された浅い箱状のユニット本体271と、ユニット本体271の前面に取付けられている平板状の蓋部材272と、を備えている。ファールカバーユニット270は、正面視左上隅において前後に貫通しており本体枠4の下部満タン球経路ユニット860の通常誘導路と皿ユニット320の球用開口である上皿球供給口323aとを連通させる貫通球通路273と、貫通球通路273の正面視右下側で後方へ向かって開口しており本体枠4の下部満タン球経路ユニット860の満タン誘導路と連通可能な満タン球受口274と、を備えている。
【0043】
また、ファールカバーユニット270は、満タン球受口274の正面視右側で上方へ向かって開口しており本体枠4の球発射装置680により発射されたにも関わらず遊技領域5a内へ到達しなかった遊技球(発射レール684と外レール1001の間に形成されたファール球落下口1013に落下したファール球)を受けるファール球受部275と、正面視右下隅付近で前方へ向かって開口しており満タン球受口274及びファール球受部275に受入れられた遊技球を前方へ放出すると共に皿ユニット320の球用開口たる下皿球供給口323cと連通する球放出口276と、該球放出口276(厳密には後述する貯留通路277)と前記ファール球受部275とをつなぐ連絡通路2751と、を備えている。この連絡通路2751は、ファール球受部275の底壁2750の下側に該底壁2750とは逆の勾配にして配設された上部通路壁2752と、該上部通路壁2752から遊技球ほぼ1個分の間隔を離して平行に配設された下部通路壁2753とからなり、始端部がファール球受部275の底壁2750の下傾端部に上向きに開口し、終端部が貯留通路277に対して下向きに開口する。
なお、発射レール684と外レール1001の間に開設されたファール球落下口1013からファール球受部275と連絡通路2751と貯留通路277を通って球放出口276に至る一連の通路がファール球返却通路であり、これら一連の要素によって返却通路部1014が形成される。
【0044】
さらに、ファールカバーユニット270は、ユニット本体271及び蓋部材272によって、満タン球受口274及びファール球受部275と球放出口276との間に形成されており所定量の遊技球を貯留可能な広さを有している貯留通路277と、貯留通路277の内壁の一部を構成しており下端が回動可能にユニット本体271に取付けられている平板状の可動片278と、可動片278の貯留通路277から遠ざかる方向への回動を検知する満タン検知センサ279と、可動片278を貯留通路277の中心側へ付勢しているバネ280と、を備えている。
【0045】
このファールカバーユニット270は、皿ユニット320の下皿322内が遊技球で一杯になって、球放出口276から遊技球が下皿322側へ放出されなくなると、貯留通路277内にある程度の数の遊技球を貯留することができる。そして、貯留通路277内にある程度の数の遊技球が貯留されると、遊技球の重さによって可動片278の上端がバネ280の付勢力に抗して貯留通路277から遠ざかる方向へ移動するように可動片278が回動し、その回動が満タン検知センサ279によって検知される。これにより、下皿322が遊技球で満タンになっていると判断することができるため、満タン検知センサ279により満タンが検知されると、これ以上の遊技球の払出しを停止させると共に、その旨を遊技者や遊技ホールの係員等に報知して、下皿322の満タンを解消させるように促すことができる。
【0046】
また、ファールカバーユニット270は、ユニット本体271の後側で貫通球通路273の下側に取付けられており、本体枠4の後述する払出ユニット800における下部満タン球経路ユニット860の誘導路開閉扉863の作動突部863eが当接可能な扉開閉当接部281を備えている(
図108を参照)。扉開閉当接部281は、後面が下方へ向かうに従って前方へ移動するように傾斜している。この扉開閉当接部281は、本体枠4に対して扉枠3を閉じると、誘導路扉部材863の作動突部863eが当接するように形成されている。この扉開閉当接部281に誘導路開閉部863の作動突部863eが当接することで、誘導路扉部材863が回動して通常誘導路及び満タン誘導路の下流端(前側開口)を開放させることができる。
【0047】
また、ファールカバーユニット270には、前記操作線Lを取付けた不正球Qによる不正を抑止するための第2の不正防止手段たる操作線無効化部材2600が設けられ、同じく前記発射レール684と外レール1001の間に開設されたファール球落下口1013には第3の不正防止手段たる操作線無効化部材2600H,2600Sが設けられている。
【0048】
[第2の不正防止手段(操作線無効化部材)]
ファールカバーユニット270に設けられた第2の操作線無効化部材2600は、連絡通路2751の上部通路壁2752とファール球受部275の底壁2750との間の内部空間であって、
図8拡大図に示したようにユニット本体271の取付孔271h及び蓋部材272の取付孔272hに両横の凸部2601が嵌合支持され且つ上部通路壁2752の上面に固着(接着)して取り付けられ、さらに、安全上の配慮から従業員や遊技機組立作業員等の手が接触困難なように、ユニット本体271及び蓋部材272によって外部からカバーして収容されている。
具体的な操作線無効化部材2600は、前記球送りユニット250に設けられた前記操作線無効化部材260と同等の構成要素を備えており、
図4の屈曲した第一片部261に相当する第一片部2610と、真っ直ぐな第二片部262に相当する前記凸部2601から延設された第二片部2620とによって、連絡通路2751の球の流下方向と対向する向きに開口するV字状の剪断部2600vが形成されている。
なお、実施形態のファールカバーユニット270は、
図8拡大図に示したように、操作線無効化部材2600の前記V字状の剪断部2600vの中心が、ファールカバーユニット270を構成する蓋部材272の内面とほぼ面一になるように配設されると共にファール球受部275の底壁2750と連絡通路2751の上部通路壁2752との折り返し部分に操作線無効化部材2600の剪断部2600vに向けて操作線Lを誘導し得るテーパ状の誘導部2754が設けられている。具体的にはファール球受部275の底壁2750は、その上面を遊技球が流下するに必要な面幅を有しつつ、上部通路壁2752との折り返し部分に、蓋部材272側に向けて操作線無効化部材2600側に下る第一の傾斜部2754aと、その第一の傾斜部2754aに連続するように蓋部材272沿いに操作線無効化部材2600の剪断部2600vに向かって幅が狭くなる先窄み形状(操作線Lを捕獲し得る形状)の第二の傾斜部2754bと、からなるテーパ状の誘導部2754を有している。そして、この誘導部2754に不正球Qの転がりや外部からの引張りで張力を受けた操作線Lが巻回状に摺接すると、操作線Lに加わる張力によって前記第一の傾斜部2754aから第二の傾斜部2754bを滑るようにして該操作線Lが操作線無効化部材2600に誘導される。これにより、操作線Lを操作線無効化部材2600で確実に捉えることができる。このようにして正常なファール球の円滑な流下と、不正球Qに取り付けられた操作線Lの誘導を担っている。なお、操作線Lをより捕獲しやすくするために、誘導部2754の第一の傾斜部2754aと第二の傾斜部2754bの角部を湾曲状に形成しておくようにしてもよい。
【0049】
ファールカバーユニット270に設けられた第2の操作線無効化部材2600は以上のように構成されているため、下皿球供給口323cから遊技領域5aに連通する空間を用いて、操作線Lを取付けた不正球Qを遊技領域5aに侵入させるとともに、下皿球供給口323c側に出ている操作線Lを操作して、不正球Qを用いて不正な球流路を形成したり、不正球Qを第一始動口等に出し入れさせるような不正行為を抑止することができる。
例えば、下皿球供給口323cからセル板等の専用工具を使って不正球Qを返却通路部1014に押し込んで逆流させて球発射装置680の発射位置に送り込むような不正行為(以下「不正行為A」という。)が行われた場合、不正球Qが連絡通路2751の上部通路壁2752とファール球受部275の底壁2750との折り返し部分を越えて発射レール684の発射位置に向かうと、それに引っ張られて(張力が負荷されて)操作線Lが同折り返し部分に沿ってUターン状に回り込む。そうすると操作線Lが、誘導部2754のテーパに沿って操作線無効化部材2600に案内され、第一片部2610と第二片部2620によるV字状の剪断部2600vに入り込んで最終的に切断され、結果的に操作線Lが操作できなくなるから不正球Qを用いた不正行為を抑止することが可能となる。
また、操作線Lに複数の不正球Qをつなげてそのうちの1つを打球供給口252aから発射位置に送り込み、それを意図的にファール球にして、球用開口である下皿球供給口323cからファール球となった不正球に繋げられた操作線Lを掴んで後続の不正球Qを遊技領域5aに発射する不正行為(以下「不正行為B」という。)が行われた場合にも、連絡通路2751の上部通路壁2752とファール球受部275の底壁2750との折り返し部分に存在する操作線Lが、後続の不正球Qの発射により引っ張られて(張力が負荷されて)操作線Lが同折り返し部分に押し付けられ、上記と同様に操作線Lが剪断部2600vに入り込んで切断され、結果的に操作線Lが操作できなくなるから不正球Qを用いた不正行為を抑止することが可能となる。なお、
図7、
図8は、不正行為Bが行われた場合を想定した説明図である。また、上記した不正行為Bに対しては、第1の不正防止手段たる操作線無効化部材260等がファール球となる不正球Qに十分に効果を発揮できない可能性(例えば、ファール球となる程度の強さで不正球Qが発射されても操作線Lが第1の不正防止手段で無効化されない可能性)もあるため、本実施形態は、第1の不正防止手段による不正対策を補強する効果も有している。このため、不正行為Bを対象にする場合には、第1、第2の不正防止手段たる操作線無効化部材260,2600、さらには後述する第3の不正防止手段たる操作線無効化部材2600H,2600Sを適宜併用することが好ましい。
【0050】
ところで上記した第1、第2の不正防止手段たる操作線無効化部材260,2600は、剪断部260v,2600vによって操作線Lを切断して無効化するものであるが、操作線Lを挟止させる、すなわち操作線Lを例えば二枚の金属板2611,2622間に挟み込んで柔軟な操作線Lを押し引き不能又は押し引き困難な状態にして操作線Lに繋がる不正球Qを容易に操作できないように無効化するようにしてもよい。
【0051】
具体的には、例えば
図9、
図10に示したように操作線無効化部材2600を
図9拡大図の斜線部で接合した二枚の金属板2611,2622で形成し、該金属板2611,2622の先端の非接合部前半をV字状に拡開させて導入案内部2633とし、非接合部後半を挟止部2644とする。このような操作線無効化部材2600は、蓋部材272の内面に固着して取り付けられ、さらに、安全上の配慮から従業員や遊技機組立者等の手に接触困難なように、ユニット本体271及び蓋部材272によって外部からカバーして収容されている。
かかる操作線無効化部材2600によれば、
図10拡大図に示したように操作線Lが、不正球Qに引っ張られて連絡通路2751の上部通路壁2752とファール球受部275の底壁2750との折り返し部分をUターン状に回り込むとき、同折り返し部分の誘導部2754のテーパに沿って操作線無効化部材2600に案内され、金属板2611と金属板2622の非接合部後半の挟止部2644によってピンセットのごとくに挟まれて挟止される。
これにより、前述した不正行為Aにより下皿球供給口323cから逆流した不正球Qが発射レール684の発射位置に到達すること、或は、不正行為Bにより意図的にファール球にした不正球Qが球用開口である下皿球供給口323cに到達することを抑制することが可能になると共に、仮にそこまで到達したとしても、操作線Lが操作線無効化部材2600に挟まれた状態にあるため、下皿球供給口323cから柔軟な操作線Lをいくら押し入れようとしてもそこで弛むのみであって結果的に操作線Lの繰り出し量が調整できない(遊技領域5aにぶら下がった不正球Qの高さが調整できない)ようになるから不正球Qを用いた不正行為を抑止することが可能となる。
なお、上述した実施形態では、二枚の金属板2611,2622の先端の非接合部前半をV字状に拡開させて導入案内部2633とし、非接合部後半を挟止部2644とする構成としたが、これに代えて、一枚の金属板を板面を重ねるように折り曲げて、折り曲がった一方の板面の先端部分をV字状に拡開させて導入案内部2633(誘導部)とし、両板面の挟幅部分を挟止部2644とする構成としてもよい。これにより、上述の不正抑止効果と同様の効果を奏しつつ、金属板の部品点数を減らすことによる組付作業効率を向上させることができる。
【0052】
また、操作線Lを挟止させる操作線無効化部材2600は、図示しないが
図10の第二の傾斜部2754bの隙間に両面テープを設置するか或は硬化しない性質の粘着剤を充填するなどして粘着部を形成し、そうして第二の傾斜部2754bに誘導された操作線Lが該粘着部に接着されて動けなくなるようにしてもよい。
【0053】
また、操作線Lを挟止させる操作線無効化部材2600は、二枚の金属板2611,2622からなる上記のものを、
図11に示したようにコイルスプリングに変更し、このコイルスプリングを、前記誘導部2754の第二の傾斜部2754bの誘導方向と自己の中心軸線とが略直交するように設置して形成してもよい。かかるコイルスプリングの隣合うコイル同士の間に第二の傾斜部2754bで案内された操作線Lが嵌り込んで挟止される。
なお、コイルスプリングは、引張りコイルスプリングや捩りコイルスプリングのような無荷重時に隣合うコイル同士が当接している構造のものが、圧縮コイルスプリングのように圧縮状態にして設置する必要があるものに比べて設置作業上有利である。
また、コイルスプリングは、無荷重時の真っ直ぐな状態で設置してももちろんよいが、
図11に示したように操作線Lの進入側のコイル同士が若干拡開する向きに湾曲させて設置する方が、操作線Lの進入が円滑になるため好ましい。
このように操作線無効化部材2600をコイルスプリングで形成した場合には、安価に製造できるため低コストにすることができる。
【0054】
また、上記の操作線無効化部材2600に対し、球用開口(下皿球供給口323c)からセル板等の異物を差し込んで該セル板で操作線無効化部材2600への誘導部2754を塞ごうとするさらなる不正工作が考えられるが、これに対応すべく上述した実施形態では、ファール球の返却通路部1014の進路変更部分(本実施形態では下皿球供給口323c直上に対応する部分)に、かかるセル板(異物)が入り込むスリット1015を形成している(
図6、
図7参照)。これにより、球用開口(下皿球供給口323c)から異物を差し込んで誘導部2754を塞ごうとするさらなる不正工作も抑止することができる。なお、球用開口(下皿球供給口323c)からセル板等の異物を差し込んで誘導部2754を塞ごうとする不正工作の対応としては、上述のスリット1015のようにセル板等の異物を取り込む取り込み口を形成するものに限らず、
図7に二点鎖線で示したように、セル板等の異物を衝突させて誘導部2754までの到達を阻害する突起状の障害部1016を設ける構成として、さらに高度な不正防止が達成できるようにしてもよい。
【0055】
また、これまで説明した第1、第2の操作線無効化部材260,2600は、操作線Lの進入を待って無効化する静的構造になっているが、
図17、
図18、
図19、
図20、
図21に示したように、不正球Qの存在によって操作線Lを積極的に無効化する動的な操作線無効化部材2600Dにしてもよい。
【0056】
図17、
図18、
図19は、動的な操作線無効化部材2600Dの一つの具体例を示したものであり、その操作線無効化部材2600Dは、ファール球返却通路(返却通路部1014)の進路変更部(下皿球供給口323c直上に対応する角部)に揺動可能に軸着されている。
【0057】
すなわち、操作線無効化部材2600Dは、
図17において、水平な板状の球受部2645と、該球受部2645の右端に垂直に突設した板状の無効化部2646と、球受部2645と無効化部2646が交わる角部に形成した軸孔2647と、無効化部2646の上縁から右側に突設された前記軸孔2647を中心とする弧状の球止部2648と、を有し、前記軸孔2647にファールカバーユニット270に植設された支持軸2649が回転自在に挿通されていて、
図18(a)の球受け姿勢から反時計回りに約90゜回転した
図18(b)のリリース姿勢に揺動し得る。また、操作線無効化部材2600Dには、前記球受部2645と無効化部2646の軸孔2647を挟んだ反対側にバランスウェイト2650が設けられており、該バランスウェイト2650の付勢によって球受部2645に外力(具体的には遊技球1個分の荷重)が作用しない状態で
図18(a)の球受け姿勢が保たれ、一方、球受部2645に遊技球1個分の荷重が作用したとき
図18(b)のリリース姿勢に揺動するようになっている。
また、操作線無効化部材2600Dの無効化部2646の端縁は、軸孔2647を中心に旋回してファール球返却通路(返却通路部1014)を横切る交差辺部2651になっており、操作線無効化部材2600Dが
図18(b)のリリース姿勢に揺動したとき該交差辺部2651がファール球返却通路の受部2652に嵌まるようになっている。
【0058】
以上の動的な操作線無効化部材2600Dを備えたファールカバーユニット270に通常のファール球が流入した場合は、該ファール球が
図18(a)のようにファール球返却通路の連絡通路2751を流下し、進路変更部で下向きに進路を変えた直後に球受け姿勢にある操作線無効化部材2600Dの球受部2645に載る。このファール球の荷重により操作線無効化部材2600Dが支持軸2649を中心に反時計回りに回動して
図18(b)のリリース姿勢に変わる。そうすると操作線無効化部材2600Dの球受部2645に載っていたファール球が下流の貯留通路277に放出されるため、該ファール球から解放された操作線無効化部材2600Dがバランスウェイト2650の付勢により元の球受け姿勢に復動する。
なお、まれに複数のファール球が一度に発生する場合があるが、そうした場合でも先のファール球が操作線無効化部材2600Dで処理される間、後のファール球が
図18(b)のように弧状の球止部2648で止められ、操作線無効化部材2600Dが復動してから続けて処理される。したがってファール球が複数個同時に発生しても、一個ずつ順番に支障なく処理することができる。
【0059】
次に、動的な操作線無効化部材2600Dを備えたファールカバーユニット270に上記した不正行為B(操作線Lに複数の不正球Qをつなげてそのうちの1つを打球供給口252aから発射位置に送り込み、その不正球を意図的にファール球にして球用開口である下皿球供給口323cから取り出し、さらにその不正球に繋げられた操作線Lを掴んで後続の不正球Qを遊技領域5aに発射する不正行為)による不正球Qが流入した場合は、該不正球Qが
図19(a)のように連絡通路2751を流下し、進路変更部で下向きに進路を変えた直後に球受け姿勢にある操作線無効化部材2600Dの球受部2645に載る。そしてこの不正球Qの荷重により操作線無効化部材2600Dが支持軸2649を中心に反時計回りに回動して
図19(b)のリリース姿勢に変わる。このとき操作線無効化部材2600Dの無効化部2646も回動し、その端縁の交差辺部2651がファール球返却通路を横切って通路側の受部2652に嵌まるが、交差辺部2651がファール球返却通路を横切る際、そこを通る操作線Lも当然に横切るため、該操作線Lが
図19(b)のように交差辺部2651と受部2652の間に挟まって動けない状態(挟止)になる。そうすると操作線Lに繋がっている不正球Qが落下不能になるため、操作線無効化部材2600Dの球受部2645が不正球Qから解放されずにリリース姿勢を継続することになる。もちろん操作線無効化部材2600Dは、球用開口たる下皿球供給口323cから手を入れても届かない位置にあるため、この位置に止まる不正球Qが外部から取り出されるおそれはない。
なお、交差辺部2651と受部2652の間で操作線Lを蛇行させるなどして操作線Lの逆進が困難になるようにしておけば、操作線無効化部材2600Dに捕捉された状態の不正球Qを打球供給口252a側に引き戻すことも困難になる。これにより操作線無効化部材2600Dに残った不正球Qを証拠球として保存・回収することができる。
【0060】
以上の動的な操作線無効化部材2600Dは、不正球Qの自重を利用したものであるが、該操作線無効化部材2600Dを
図20に示したように電動駆動手段で作動させるようにしてもよい。
すなわち
図20の操作線無効化部材2600Dは、前記のバランスウェイト2650を設けた部分に電動駆動手段たるソレノイド2653のプランジャ2654を連結すると共に操作線無効化部材2600Dの無効化部2646に球検出器2655を設けてなり、球受部2645に遊技球が載ってそれが球検出器2655によって検出されるとソレノイド2653のプランジャ2654が上昇して操作線無効化部材2600Dが球受け姿勢からリリース姿勢に変化し、また、球受部2645から遊技球が放出されてそれが球検出器2655によって検出(遊技球有りから無しへの信号の変化)されるとソレノイド2653のプランジャ2654が下降して操作線無効化部材2600Dがリリース姿勢から球受け姿勢に復動するようになっている。
斯かる操作線無効化部材2600Dの球受部2645に正常なファール球が載った場合は、ファール球の発生と放出が球検出器2655の信号の変化によって検出され、それを受けてソレノイド2653が適宜作動するため、自重利用の操作線無効化部材2600Dと同様にファール球が一個ずつ処理される。
一方、操作線無効化部材2600Dの球受部2645に不正球Qが載った場合は、不正球Qが球検出器2655で検出されるため、ソレノイド2653のプランジャ2654が上昇して操作線無効化部材2600Dが不正球Qを伴ってリリース姿勢に変化するものの、上記のように操作線Lが無効化部2646の交差辺部2651と受部2652に挟止されて不正球Qが落下せず、球検出器2655から放出の信号が発せられないため、ソレノイド2653のプランジャ2654が上昇位置に止まる。よって不正球Qが狙った球用開口から取り出せないため、不正を未然に防止することができる。
【0061】
なお、上記した動的な操作線無効化部材2600Dは、無効化部2646の交差辺部2651及び/又は受部2652に切断刃を設けておくことにより、操作線Lを切断して無効化することができる。また、実施形態の操作線無効化部材2600Dは、球受部2645が返却通路部104を塞いだ状態で球用開口側からの不正球Qの侵入を阻止する機能を有するため、後述する不正球逆進防止手段として利用することもできる。よって、より高い不正防止機能を発揮する。
また、動的な操作線無効化部材2600Dは、上記の構成以外にも、例えば無効化部を、直線的に進退して連絡通路2751を開閉するシャッター板構造に形成すると共にそのシャッター板の先端をファール球返却通路を横切る交差辺部となし、また、連絡通路2751の流路の途中であって前記交差辺部の可動領域より下流に球検出器を設置すると共に交差辺部の可動領域を通過した後の不正球Qを該球検出器で検出して無効化部を作動させるようになし、そうして連絡通路2751を横切った交差辺部で操作線Lを挟止又は切断させるようにしてもよい。
また、上記した動的な操作線無効化部材2600Dは、球送りユニット250の第1の操作線無効化部材260に適用することもできる。具体的には、球送りユニット250に設けられている球送ソレノイド255を操作線無効化部材2600Dのソレノイド2653に置き換え、球送り部材254を操作線無効化部材2600Dに置き換える。この場合、不正球Qが球送りユニット250内に止まって球発射装置650へ供給されなくなるため、不正抑止効果を確実に高めることができる。
【0062】
また、
図21は、動的な操作線無効化部材2600Dであって、操作線Lを巻き取って無効化するものである。
すなわち、この操作線無効化部材2600Dは、ファールカバーユニット270の連絡通路2751内に該通路と直交する向きの回転軸2656を中心に回転し得るように取り付けられた角リング状の無効化部2646と、該無効化部2646を回転させる電動駆動手段たるモーター2657と、該無効化部2646の連絡通路2751を横切る横棒を交差辺部2651として該交差辺部2651の可動(回転)領域より下流に設けられた球検出器2655と、からなり、該球検出器2655でファール球が検出される度に無効化部2646を1回転させるようにしたものである。
斯かる操作線無効化部材2600Dを備えたファールカバーユニット270に通常のファール球が流入した場合は、該ファール球が連絡通路2751に入って無効化部2646を潜り抜け、そのファール球が球検出器2655で検出されることで無効化部2646が1回空回りするが、ファール球はそのまま流下して球用開口から外部に放出される。
一方、この操作線無効化部材2600Dを備えたファールカバーユニット270に上記した不正行為Bによる不正球Qが流入した場合は、不正球Qが無効化部2646を潜った時点で操作線Lも無効化部2646を通るため、不正球Qが球検出器2655で検出されて無効化部2646が1回転すると操作線Lが無効化部2646に巻き付く。したがって不正球Qが連絡通路2751内に止まるため、不正者の手に渡るおそれがない。
なお、不正球Qを検出する球検出器2655は、不正球Qに付された操作線Lの張力を受けて変位するものでもよく、そうした場合は、不正球Qを確実に検出することができるため、前記した操作線Lを巻き取る操作線無効化部材2600Dの無駄な空回しをなくすることができる。
【0063】
以上、動的な操作線無効化部材に関する実施形態の説明には、次のような技術的思想が含まれる。
「遊技球で遊技を行う遊技領域と、
遊技球を発射する球発射装置と、
前記球発射装置の発射位置から前記遊技領域に連通する発射球通路を形成する発射通路部と、
前記発射球通路の途中に開設されたファール球落下口と機前の外部に遊技球を放出する球用開口とを結ぶファール球返却通路を形成する返却通路部と、
不正球に付された操作線の機前からの操作を防止し得る不正防止手段と、を備え、
前記不正防止手段は、前記操作線を挟止又は切断又は巻き取って無効化する操作線無効化部材であり、
該操作線無効化部材は、遊技球の前記ファール球返却通路を横切る交差辺部を備えると共に前記不正球が該交差辺部の可動領域を通過した後に該交差辺部を作動させて前記ファール球返却通路を横切らせるようになし、そうして前記交差辺部で前記ファール球返却通路を通る前記操作線を挟止又は切断又は巻き取って無効化するものであることを特徴とする遊技機。」
【0064】
[第3の不正防止手段(操作線無効化部材)]
次に、前記したファール球落下口1013に設けられた第3の不正防止手段は、
図2A、
図2B、
図7、
図15、
図16に示したように、発射レール684の端部(終端部)に設けられた操作線無効化部材2600Hと外レール1001の端部(具体的には樹脂製のレール基台1001x)に設けられた操作線無効化部材2600Sとからなる。
【0065】
発射レール684の飛び出し側の端部に設けられた操作線無効化部材2600Hは、鋭利な切断刃であり、その刃先に作業者の手が直接触れないように金属製の三角プレートを櫛歯状に並べた安全カバー部1017でカバーしてなる。なお、切断刃は、この安全カバー部1017によって支持されている。
したがって、前記のように、下皿球供給口323cからセル板等の専用工具を使って不正球Qを返却通路部1014に押し込んで逆流させ、球発射装置680の発射位置に送り込むような不正行為Aが行われた場合、不正球Qが発射レール684の端部に載って傾斜により転がって発射位置に向かうと、それに引っ張られて(張力が負荷されて)操作線Lが操作線無効化部材2600Hの切断刃に触れて切断される。よって操作線Lが操作できなくなる。
また、操作線Lに複数の不正球Qをつなげてそのうちの1つを打球供給口252aから発射位置に送り込み、それを意図的にファール球にして球用開口である下皿球供給口323cから不正球Qに繋げられた操作線Lを掴んで後続の不正球Qを遊技領域5aに発射する不正行為Bが行われた場合にも、不正球Qがファール球となって返却通路部1014を落下する過程で操作線Lが操作線無効化部材2600Hの切断刃に触れるため、その段階で切断される。よって操作線Lが操作できなくなる。
【0066】
一方、外レール1001を構成する樹脂製のレール基台1001xに設けられた操作線無効化部材2600Sは、
図2A、
図7及び
図15に示したように硬質樹脂製の線材をブラシ状に多数突設してなる。
かかる操作線無効化部材2600Sによれば、仮に不正球Qが遊技領域5aに到達して操作線Lにつながった状態でぶら下がり、その操作線Lの端を球用開口である下皿球供給口323cを介して不正者が掴んでいるとしても、遊技領域5aの不正球Qを上昇させるべく操作線Lを外部から引っ張ったとき、その張力により操作線Lが操作線無効化部材2600Sの線材同士の間に入り込むため、その後、不正球Qを下降させるべく操作線Lを操る手の力を緩めても、操作線Lが操作線無効化部材2600Sの線材群から受ける抵抗で滑りにくくなっているから緩めた手の動きが不正球Qに伝わらない。つまり遊技領域5aにある不正球Qが下げられないため、結果的に不正球Qを用いた不正行為を抑止することができる。
【0067】
このように第3の不正防止手段は、不正行為A、Bの初期段階で発射レール684側の操作線無効化部材2600Hが効果を発揮し、また、仮にそれが破られたとしても外レール1001側の操作線無効化部材2600Sが効果を発揮するため、より高度な不正防止効果が得られる。
なお、操作線無効化部材2600H,2600Sの何れか一方を単独で使用することももちろん可能であり、また、操作線無効化部材2600Hと操作線無効化部材2600Sの具体的な無効化部材も実施形態同士で入れ替えたり、同じ無効化部材を採用してもよい。
また、操作線無効化部材2600H,2600Sを実施形態のように別部品化して発射レール684や外レール1001に取り付ける場合の他、例えば発射レール684を構成する金属板を適宜加工して操作線無効化部材2600Hを一体に形成したり、或は外レール1001を構成する樹脂製のレール基台1001xに線材を一体成形するか、または該レール基台1001xの角部に
図2BのようにV溝状の挟止部2600Svを刻設し該挟止部2600Svの溝奥に操作線Lを誘引して挟止するようにしてもよい。
さらにまた、外レール1001の操作線無効化部材2600Sを、
図16に示したように第2の操作線無効化部材2600と同じ構成、例えば
図9、
図10で説明した二枚の金属板2611,2622で形成し、外レール1001のレール基台1001xに第一の傾斜部2754aと第二の傾斜部2754bとからなる誘導部2754を設ける構成にしてもよい。
【0068】
以上、不正球Qに取り付けられた操作線Lを無効化する第2の操作線無効化部材2600を返却通路部1014に設ける実施形態について、また、同じく第3の操作線無効化部材2600をファール球落下口1013に設ける実施形態について説明したが、もちろん本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では操作線無効化部材2600をファール球受部275の底壁2750と連絡通路2751の上部通路壁2752との折り返し部分、つまり連絡通路2751の入口部分に設けたが、当該操作線無効化部材2600を連絡通路2751の出口部分(
図7矢示z参照)に設けたり、
図6(a)の球放出口276の後面側に設けたり、ファール球落下口1013を構成する外レール1001の始端部と発射レール684の終端部のそれぞれに設ける等、操作線Lが返却通路部1014の一部に当接して屈曲する部位であって操作線Lが不正球Qの重量等と不正者による引張り力とによる張力を受けて真っ直ぐ張ろうとした場合に押圧力を受ける部位であることを条件として、返却通路部1014内のどの位置に設けるようにしてもよい。なお、実施形態の操作線無効化部材2600の設置位置は、球用開口から遊技者が指先を挿入しても触れることができない位置としており、この位置が、遊技者の安全面及び操作線無効化部材2600自体に対する不正工作が困難になる防犯面を考慮すると好ましい。
【0069】
また、実施形態では操作線無効化部材2600を連絡通路2751の一方に片寄せて設けるようにしたが、
図12(a),(b)のように通路幅一杯に操作線無効化部材2600として切断刃を配置するようにしてもよい。なお、
図12(a),(b)では、ファール球受部275の底壁2750の終端部分と連絡通路2751の始端部分を櫛歯状の安全カバー部1017にして切断刃の刃先が作業者に触れないようになっている。この場合の操作線無効化部材2600の切断刃は、周知の折れ刃構造又はチップ構造のものを使用し、これを上部通路壁2752の上面の鞘状ホルダー部1018に設置すると共にユニット本体271と蓋部材272の夫々に装填口1019と排出口1020を設け、そうして切断刃をところてん式に押し出して新旧交換し得るようにすれば、常にシャープな切れ味を持続させることができる。
その他、
図12(a),(b)において符合1021は、前記安全カバー部1017の谷部に切り込んだ操作線L用の挟止割線部であり、該挟止割線部1021に操作線Lが食い込み得るようになっている。したがって、もし仮に切断刃の操作線無効化部材2600が操作線Lの切断に失敗したとしても、底壁2750等の前記挟止割線部1021に操作線Lが食い込み得るため、不正防止の確実性が向上する。
【0070】
また、上述の実施形態ではファール球が下皿に返却される例を示したが、ファール球が上皿(下皿がない場合を含む)に返却される構造の遊技機もあり、こうした遊技機の場合、上皿球供給口(球用開口)から遊技領域5aに連通する空間を用いて、操作線Lを取付けた不正球Qを遊技領域5aに侵入させる不正行為(上述した不正行為A、Bに類似する不正行為)が行われる虞がある。こうした遊技機の場合には、上皿球供給口から遊技領域5aに連通する空間に位置するファール返却通路の所定部位に、上述した実施例と同様に第2の不正防止手段を設けることが例示できる。
【0071】
また、上述の実施形態では、返却通路部1014を構成するファールカバーユニット270を扉枠3側に設けたが、該ファールカバーユニット270は本体枠4側に設けてもよい。これにより、装飾変更等により扉枠3側だけを交換する際にも、第2の不正防止手段を有するファールカバーユニット270を流用することが可能になる。
【0072】
また、上述の実施形態では、返却通路部1014を構成するファールカバーユニット270に第2の不正防止手段を一つ設けるようにしたが、複数設けるようにしてもよい。例えば、返却通路部1014に上述した実施形態の折り返し部分のような屈曲部が複数形成される通路構成の場合、屈曲部の各々に(折り返し部分の各々に)、上述した実施形態のような第2の不正防止手段を設けるようにしてもよい。これにより、不正球Qを用いた不正行為の抑止効果を一層高めることが可能となる。
【0073】
また、上述の実施形態では、返却通路部1014を構成するファールカバーユニット270に第2の不正防止手段として金属板を設けるようにしたが、金属板でなく同様の構成の樹脂成型物を設けるものとしたり、あるいは、ファールカバーユニット270の成型そのものを特殊な形状として第2の不正防止手段として機能し得るようにしてもよい。例えば、前述した実施形態における第2の不正防止手段である金属板を設けず、代わりに、ファール球受部275の底壁2750と連絡通路2751の上部通路壁2752との折り返し部分に設けられるテーパ状の誘導部2754の最も幅が狭い部分(最狭部分)で操作線Lを捕獲し得るように、返却通路部1014を構成する樹脂成型部品にスリット状の捕獲部を形成するようにしておき、この誘導部2754の最狭部分である捕獲部で不正球Qに取り付けられた操作線Lが挟止される構成としてもよい。このような構成でも、上述した実施形態と同等の不正抑止効果を奏することができる。
【0074】
また、上述の実施形態では不正球Qに取り付けられた操作線Lを操作線無効化部材2600によって切断又は挟止するようにしたが、上述した不正行為Aの対策に特化したものとして、
図13,
図14,
図17では、正常なファール球の流下に影響を与えることなく、球用開口からの不正球Qの侵入を阻止する(不正球Qの逆進・逆流を阻止する)不正球逆進防止手段を設けることによって、不正球Qによる不正を防止するようにしている。
具体的には、
図13のように、返却通路部1014の進路変更部(下皿球供給口323c直上に対応する部分)に、例えば不正球Qを押し込むセル板(異物)のような専用工具だけでなく、不正球Qそのものを別通路に誘引して動きを封じるための誘引部1022を設けることが例示できる(第1の不正球逆進防止手段)。これにより、正常なファール球の流下に影響を与えることなく、上述した不正行為Aのような不正球Qを逆流させる不正行為を抑止できる。加えて、誘引部1022の入口部分に、逆流した不正球Qの該誘引部1022への侵入方向にのみ揺動可能な捕獲弁(誘引部1022への侵入を許容し、且つ、誘引部1022からの離脱を不能とする片開き式の弁、図示省略)を設けるようにしてもよく、これにより不正球Qを使用した痕跡、不正行為を行った証拠を残すことができる。
また、
図14のように、返却通路部1014の所定部位に遊技球の流下方向にのみ揺動可能な逆止弁1023を設けて、不正球Qの逆進(逆流)を阻止することが例示できる(第2の不正球逆進防止手段)。このような構成によっても、正常なファール球の流下に影響を与えることなく、上述した不正行為Aのような不正球Qを逆流させる不正行為を抑止できる。なお、
図17の操作線無効化部材2600Dも一種の逆止弁であり、前記逆止弁1023と同様な効果を発揮する。
また、上記した静的な操作線無効化部材と動的な操作線無効化部材は、両方を兼ね備えるようにしてももちろんよい。
【0075】
[遊技ユニットの全体構成]
次に、パチンコ機1の遊技ユニット5の全体構成について、
図22乃至
図42を参照して詳細に説明する。
前記のように遊技ユニット5は、
図1、
図2A、
図25、
図26等に示したように外レール1001と内レール1002で区画された遊技領域5aを有する遊技パネル1100と、該遊技パネル1100の裏側に設けられる演出ユニット1200と、を備えている。
【0076】
[遊技パネル]
遊技パネル1100は、外レール1001と内レール1002を有する枠状の前構成部材1000と、該前構成部材1000に裏側から嵌め込まれてその前面に遊技領域5aが形成される透明な遊技基板1110と、その遊技基板1110のほぼ中央に開設された開口1111の内周を縁取るように取り付けられた枠状で透明なセンター役物1028(
図26参照)と、前記した入賞口1024、始動入賞口1025、アウト誘導部1003、風車、障害釘等が設けられている。そして、これらのなかの前記障害釘とアウト誘導部1003を除く殆どの部材が透明な樹脂で形成されており、したがって遊技領域5aの裏側、すなわち演出ユニット1200が遊技者から良好に見通せる。
【0077】
[センター役物]
センター役物1028は、前記のように枠状に形成されており、
図23において左側の外周面に遊技領域5aからの遊技球が進入可能なように開口しているワープ入口1029と、そのワープ入口1029に進入した遊技球をセンター役物1028内に流入させるワープ出口1030と、ワープ出口1030から放出された遊技球を左右方向に遊動させた後に遊技領域5a内へ落下させるステージ棚1031と、を備えている。
【0078】
なお、遊技領域5aのステージ棚1031の直下には始動入賞口1025が配置されており、ステージ棚1031の中央から遊技球が下方へ落下すると、高い確率で始動入賞口1025に入球する。
また、センター役物1028は、外レール1001に沿って自己の上部を飛び越えた遊技球を遊技領域5aの右側下方に案内する右打ち案内通路1032が設けられている。この右打ち案内通路1032は、ほぼ遊技球一個分の広さを有すると共に通路内の正面視右内壁と同左内壁に蒲鉾状の障害凸条1033が互い違いにほぼ等ピッチに突設されている。したがって、この右打ち案内通路1032に入った遊技球は、多数の障害凸条1033に接触し蛇行しながら、あたかも遊技領域5a内で障害釘に衝突しながら落下するかのような状態で適度な時間を掛けて遊技領域5aの右側下方に導かれる。
また、センター役物1028は、遊技パネル1100の遊技基板1110の前面より前方へ突出する囲い枠1034よってステージ棚1031を除外する状態で周囲が囲われており、これにより遊技領域5a内に打ち込まれた遊技球が枠内(開口1111内)に侵入しないようになっている。
【0079】
[演出ユニット]
遊技パネル1100の裏側に取り付けられる演出ユニット1200は、
図25に示したように、後壁に前記表示装置1201を有する前面が開口する箱状の演出ケース体1202を備えており、該演出ケース体1202の内部に、表示装置1021に近い方から順に、可動装飾部1204と、導光板ユニット1205と、透明発光装飾手段1206と、が設けられている。
【0080】
[演出ケース体]
演出ケース体1202は、前面に遊技パネル1100の外形とほぼ同じ大きさの開口を有する前面開口状の箱であって、後壁に液晶等の表示装置1201が装着されている。
また、演出ケース体1202には、底壁に遊技パネル1100の入賞口1024や始動入賞口1025に連通する球誘導路1203が形成されており、該球誘導路1203に始動入賞口1025の入賞球センサ1025sや入賞口1024の入賞球センサが設けられている。
【0081】
[可動装飾部]
実施形態の可動装飾部1204は、表示装置1201と導光板ユニット1205との間の空間に設けられた第1の可動装飾体(以下「第1可動装飾体」という。)1207と、第2の可動装飾体(以下「第2可動装飾体」という。)1208と、第3の可動装飾体(以下「第3可動装飾体」という。)1209とからなる。
この第1〜第3可動装飾体1207,1208,1209は、それぞれが逆五角形をデザインのモチーフにしたものであり、最も前方に位置する第1可動装飾体1207が小さい逆五角形の第1造形物1210を、中間に位置する第2可動装飾体1208が前記第1造形物1210を囲い得るリング型の第2造形物1211を、また、最も後方に位置する第3可動装飾体1209が表示装置1201の表示面1201gのほぼ全体を覆い得る大きい逆五角形の第3造形物1212を備えている。
【0082】
[第1可動装飾体]
第1可動装飾体1207は、
図34に示したように、固定的な支持板1213と、該支持板1213の一側に上向きに突設した縦レール1214と、該縦レール1214に対して上下摺動自在に取り付けられた前記第1造形物1210と、前記支持板1213の前記縦レール1214とは反対側の端に揺動自在に取り付けられた第1原動リンク1215と、該第1原動リンク1215に第1歯車群1216を介して連結された第1モータ1217と、からなる。そして、第1原動リンク1215の先端が第1造形物1210に連結されており、したがって、第1原動リンク1215を上下方向に揺動させることによって第1造形物1210が、
図36実線に示したようにセンター役物1028の枠内の下方に自己の頂部が若干臨む高さの待機位置(通常位置)と、同図想像線に示したようにセンター役物1028の枠内のほぼ中央に位置する変化位置との間で昇降し得る。このように第1可動装飾体1207は、待機位置で停止している状態から所定の軌道(少なくとも遊技者に対向する垂直面内で移動する軌道)を通って作動状態に変化して遊技を演出し得るようになっている。なお、第1造形物1210には発光体(図示せず)が設けられており、第1造形物1210は発光体と一体になって、通常位置と変化位置との間での昇降移動が可能に構成されている。
【0083】
[第2可動装飾体]
第2可動装飾体1208は、
図37に示したように、固定的な額縁状の支持フレーム1218と、該支持フレーム1218の上部に上下摺動自在に取り付けられた第2造形物1211の上辺部1219と、該上辺部1219の両端に回動自在に軸着された第2造形物1211の斜辺部1220と、支持フレーム1218の上部に揺動自在に軸着された第2原動リンク1221と、該第2原動リンク1221に第2歯車群1222を介して連結された第2モータ1253と、からなる。そして、第2原動リンク1221が第2造形物1211の上辺部1219と斜辺部1220の各長孔に摺動且つ回動可能に軸着されており、したがって第2原動リンク1221を上下方向に揺動させることによって、第2造形物1211の上辺部1219が、
図38実線に示したように支持フレーム1218の上部に沿った待機位置と、同図想像線に示したように表示装置1201の表示面1201gの前面上方に出現する変化位置との間で昇降し、さらに第2造形物1211の斜辺部1220が、
図38実線に示したように支持フレーム1218の側部に沿った待機位置と、同図想像線に示したように表示装置1201の表示面1201gの前面側方に出現して前記上辺部1219とリング型に合体する変化位置との間で揺動し得る。このように第2可動装飾体1208は、待機位置で停止している状態から所定の軌道(少なくとも遊技者に対向する垂直面内で移動する軌道)を通って作動状態に変化して遊技を演出し得るようになっている。なお、第2造形物1211は、変化位置にあるときリング型の逆五角形を呈するが、そのリングのほぼ中心に前記第1可動装飾体1207の第1造形物1210が正面視で位置し得る。
【0084】
[第3可動装飾体]
第3可動装飾体1209は、表示装置1201の表示面1201gのほぼ全体を覆い得る大きい逆五角形の第3造形物1212を有するが、該第3造形物1212は、上パネル1223と中パネル1224と下パネル1225に三分割されており、そのうちの上パネル1223と中パネル1224が
図40に示した上半部1226に組み込まれ、残りの下パネル1225が
図41に示した下半部1227に組み込まれている。
【0085】
[上半部]
第3可動装飾体1209の上半部1226は、
図40に示したように、門型の上支持枠1228と、該上支持枠1228の縦支柱1229に対して上下摺動自在に取り付けられた上パネル1223及び中パネル1224と、縦支柱1229に取り付けられたスクリュー式の上動装置1230と、からなる。第3造形物1212の中パネル1224と上パネル1223は、互いに摺動可能なようにピンと長孔で連結されており、
図42の想像線に示したように中パネル1224の後方に上パネル1223が重なる重合姿勢と、
図42の実線に示したように上パネル1223の下に中パネル1224が連なる展開姿勢と、に変化し得る。また、第3造形物1212の中パネル1224は、上動装置1230に持ち支えられて上昇し、上動装置1230が下動すると自重で下降するようになっており、斯かる中パネル1224に連れ動かされて上パネル1223も上昇し或は中パネル1224と一緒に自重で下降する。中パネル1224と上パネル1223は、それぞれの上下位置と前後の姿勢がカム溝1231で適宜制御されるようになっており、
図42想像線の重合姿勢で表示装置1201の上方画面外に位置する待機位置と、同図実線の展開姿勢で表示装置1201の表示面1201gの上半部に位置する変化位置との間で昇降し得る。
【0086】
[下半部]
第3可動装飾体1209の下半部1227は、
図41に示したように、逆さ門型の下支持枠1232と、該下支持枠1232の垂直支柱1233に対して上下摺動自在に取り付けられた第3造形物1212の下パネル1225と、下支持枠1232に揺動自在に取り付けられた第3原動リンク1234と、該第3原動リンク1234に第3歯車群1235を介して連結された第3モータ1236と、からなる。そして、第3原動リンク1234の先端が下パネル1225に連結されており、したがって、第3原動リンク1234を上下方向に揺動させることによって下パネル1225が、
図42想像線に示したように表示装置1201の表示面1201gの下方画面外に隠れる高さの待機位置と、同図実線に示したように表示装置1201の表示面1201gの下半部に位置する変化位置との間で昇降し得る。
【0087】
第3可動装飾体1209の第3造形物1212は以上のように構成されているため、上パネル1223と中パネル1224と下パネル1225がそれぞれ待機位置にあるとき表示装置1201の表示面1201gの画面外に隠れ、一方、それぞれが変化位置にあるとき上パネル1223と中パネル1224と下パネル1225が
図40(b)のように展開姿勢に連なって表示装置1201の表示面1201gの全面をほぼ覆う大きな逆五角形が出現する。このように第3可動装飾体1209は、待機位置で停止している状態から所定の軌道(少なくとも遊技者に対向する垂直面内で移動する軌道)を通って作動状態に変化することにより遊技を演出し得るようになっている。
【0088】
なお、可動装飾部1204は、前記制御装置1027に接続されており、遊技の進行過程に応じて第1〜第3可動装飾体1207,1208,1209が適宜待機位置から変化位置に所定の軌道に従い変化し、或は変化位置から待機位置に復動する。
【0089】
[導光板ユニット]
導光板ユニット1205は、
図29に示したように、表示装置1201の表示面1201gの外周囲をフレーム状に装飾すると共に両横に棒状の装飾発光体1237を柵状に並べてなる装飾枠1238と、その装飾枠1238の後面に取り付けられた導光板1239と、該導光板1239の導光入射端面1240に光を投射する発光装置1241と、からなる。
【0090】
[導光板と発光装置]
導光板1239は、例えば上端面又は側端面に導光入射端面1240が設けられ且つ前面に導光出射面1242が設けられた透光性を有する薄い透明樹脂板を前後方向に複数枚(実施形態では5枚)層状に重ね合わせて形成され、一方、発光装置1241は、
図30の模式図に示したように、第1〜第4の透明樹脂板の上端面のそれぞれの導光入射端面1240に光を投射し得る4個の発光LED1243a〜1243dを一組にしてその組を適数並べた縦投射装置1244と、
図32の模式図に示したように、第5の透明樹脂板の側端面の導光入射端面1240に光を投射し得る発光LED1243eを適数並べた横投射装置1245と、からなる。
【0091】
導光板1239を構成する第1〜第5の透明樹脂板は、光の散乱によって表出する画像パターン1246がそれぞれ異なる絵柄になっており、例えば縦投射装置1244に対応する第1〜第4の各透明樹脂板には、
図31(a)〜(d)の模式図に示したように複数の逆五角形が中心に向かって段階的に縮小していく画像パターン1246が導光印刷より描かれている(なお、画像パターン1246の記録方式は導光印刷に限定されず、彫り込み等どのような方式でもよい。)。したがって、縦投射装置1244の全ての発光LED1243a〜1243dを一斉に発光させた場合には
図30のように波紋状に並ぶ逆五角形が出現し、また、縦投射装置1244の発光LED1243a〜1243dを
図31(a)〜(d)の順に且つ複数回繰り返して発光させた場合には、あたかも波紋の広がりを逆再生させたかのような動きで逆五角形のリングが中央に向かって吸い込まれるようなアニメーションが出現する。
【0092】
また、横投射装置1245に対応する第5の透明樹脂板の画像パターン1246は、
図32のように大きな「V」をモチーフにした図柄になっている。この画像パターン1246は、
図33のように扉枠左サイドユニット530と扉枠右サイドユニット550の発光装飾と融合して一つの図柄が完成するようになっており、そうすることによりパチンコ機1の横幅一杯に広がる大きな画像を表示することができる。
【0093】
[透明発光装飾手段]
透明発光装飾手段1206は、
図27、
図28、
図35、
図43に示したように、透過性を有する透明薄板に複数個の発光素子1247とコネクタ1248が配置され且つそれらを接続する配線パターン1255を有する発光基板シート1249と、該発光基板シート1249を前後両面から挟んで支持する複数枚(2枚)の透明板1250a,1250bと、からなる。
この透明発光装飾手段1206は、
図35に示したように、遊技領域5aの下方であってアウト誘導部1003の上部からセンター役物1208の枠内の下方に臨む高さの範囲をカバーし得る大きさ、つまり表示装置1201の表示面1201gの前方の一部(表示面1201gの視認性が確保出来る条件を満たす範囲)と、入賞口1024や始動入賞口1025が集中する遊技領域5aの遊技上の要部(遊技下半領域)と、を包含する範囲に多数の発光素子1247が配置されている。
【0094】
また、実施形態の透明発光装飾手段1206は、
図35に示したように、前記可動装飾部1204の待機位置にある第1造形物1210の前方であって、その第1造形物1210の輪郭(逆五角形)に沿うように一部の発光素子1247が配置され、一方、可動装飾部1204の視認性を妨げないように他の発光素子1247が分散配置されている。
なお、
図35では、待機位置にある第1造形物1210を、作図上実線同士の交錯を防いで見やすくするため便宜的に破線で表示したが、実際は透明発光装飾手段1206が透明であるため、遊技者からははっきり見える。
【0095】
また、透明発光装飾手段1206の発光基板シート1249の前側に位置する透明板1250には、発光基板シート1249の前方に突出する発光素子1247との干渉を防止する空間部1251が設けられており、該空間部1251に発光素子1247を収めることにより発光素子1247の嵩ばりを吸収して透明発光装飾手段1206を薄くすることができ且つ透明発光装飾手段1206(特に、薄い発光基板シート1249)の歪みを防止し、さらに空間部1251の内周面に反射して光が集中するため発光部分の明るさを向上させることができる。
この空間部1251は、好ましくは貫通する孔形状にするのがよい。そうすることで発光素子1247の損失を防止し且つ発光素子1247の光の視認性を向上することができる。一方、空間部1251のこれらのメリットは空間部1251の形状をある程度大きくすることで多く享受できるが、そうすると遊技機の組立等を行う作業者の指が発光素子1247に接触するおそれがある。そこで実施形態では、遊技機の組立等を行う作業者の指が発光素子1247と接触することを回避する接触回避手段として、空間部1251の開口に指を当ててもその指が中の発光素子1247に触れにくいような小さい径(例えば遊技球の直径11mmより小さい径(好ましくは直径8mm〜10mm)で空間部1251を構成して外部と連通するようにした。そうすることにより空間部1251の上記メリットを享受しつつ、発光素子1247を作業者の指との誤接触から保護することができる。また、この空間部1251は、前方にセンター役物1028、囲い枠1034が存在することで発光基板シート1249に遊技球が直接衝突することはなく、遊技球と発光基板シート1249の接触を回避している。ここで「接触を回避する」という概念には「接触しにくくする」という概念を含むものであり、偶発的な接触が回避できればよく、故意に接触しようとするものまでをも回避することを意図しない。
なお、
図28に示したようにセンター役物1028の枠内に位置する発光素子1247については、前方にセンター役物1028、囲い枠1034が存在せず、遊技中のトラブル対応に際して扉枠3を開閉する度に発光素子1247が空間部1251を介して外部に晒されるため、遊技機の球掛かりなどの点検等を行う作業者の指や遊技球との接触も回避する必要があり、より確かな接触回避手段として空間部1251の前面に蓋部1252を設けるようにしてある。そうすることにより空間部1251の上記メリットを享受しつつ、発光素子1247を作業者の指や遊技球との誤接触から確実に保護することができる。なお、この場合の蓋部1252は、発光素子1247と接触しない程度に発光素子1247の前方に位置するように設けられる。また、本実施形態の蓋部1252は、透明板1250と一体形成されるように構成されているが、蓋部1252を透明板1250と別体に構成するようにしてもよい。また、蓋部1252を透明板1250の前面に突出させて形成するように構成すれば空間部1251の深さが確保しやすくなるため、発光素子1247との接触回避に関して十分な対策になり得る。
また、実施形態では発光基板シート1249の後側に位置する透明板1250にスリット1254が設けられており、該スリット1254により発光素子1247の熱を放出することができる。
【0096】
以上の構成を有する透明発光装飾手段1206は、発光基板シート1249と透明板1250が透過性を有するため、表示装置1201の表示面1201gの前方に設けてもその視認性を殆ど害さず、したがって発光基板シート1249の発光素子1247だけが空中に浮いているように見える。また、発光基板シート1249の配線パターン1255やコネクタ1248を可動装飾部1204の第1造形物1212(場合によっては第2、第3造形物1213,1214も)の輪郭(
図43参照)、模様、色彩或は背景となる遊技領域5aの模様、色彩等に調和させれば、カモフラージュ的な効果により配線パターン1255やコネクタ1248も目立たなくなるため、より発光素子1247の空中浮遊感が向上する。
【0097】
次に、ここまで説明したパチンコ機1による遊技の一例を示す。
まず、通常遊技時には
図1に示したように、可動装飾部1204の第1〜第3可動装飾体1207,1208,1209の第1〜第3造形物1210,1211,1212の全てが待機位置にある。したがって、第1造形物1210がセンター役物1028のステージ棚1031の後方にあって遊技領域5aを華やかに装飾し、一方、第2、第3造形物1211,1212は表示装置1201の周囲に隠れている。
【0098】
そして、遊技が進行して遊技球が遊技領域5aに設けられる始動入賞口1025に入球すると、始動入賞口1025に対応して設けられた入賞球センサ1025sにより始動入賞口1025への入球が検知される。そして、上述の制御装置1027に入賞球センサ1025sの入球検知情報が入力されることにより、制御装置1027にて当り外れを決定する抽選(たとえば1/300で当りとなる抽選)が行なわれる。この抽選結果は、遊技ユニット5の遊技パネル1100の上方角部に設けられた特別図柄表示装置1026(7セグ等)にて特別図柄を所定の変動時間に亘り変動表示して停止表示されることで示される。特別図柄は、所定時間の変動表示を経て「外れ」に対応する外れ特別図柄(たとえば「−」のセグ表示)、または、「当り」に対応する当り特別図柄(たとえば「7」のセグ表示)で停止表示される。
【0099】
しかして、特別図柄の変動表示中に、遊技を盛り上げるために、前記表示装置1201や透明発光装飾手段1206や導光板ユニット1205にて抽選結果を示唆する表示演出(キャラクタ画像や装飾用図柄画像等を用いた予告演出、リーチ演出など)を行なったり、第1〜第3可動装飾体1207,1208,1209にて抽選結果を示唆する可動演出が行なわれる。
例えば抽選結果が当りの場合等には、次の演出パターンによる可動演出が例示できる。具体的には、
図44(a)〜(e)に示したように、待機位置にある第1造形物1210に向かって、該第1造形物1210の側面形状になぞらえてくの字状に並べた数列(実施形態では正面向かって左側が4列、右側が約3列)の発光素子1247の最も遠い列から順に点滅させ、そうして待機位置にある第1造形物1210に向かう光のウェーブを演出して第1造形物1210に向かって遊技者の視線誘導を伴うことで遊技者の注意を惹き、その後、所定時間の経過を待って第1造形物1210を変化位置に上昇させる。この段階で透明発光装飾手段1206の全ての発光素子1247を消灯させ、代わって変化位置にある第1造形物1210自身に設けられている発光体を点滅させる。
次に、第1造形物1210が変化位置にある状態で第1造形物1210自身に設けられている発光体を点灯させ、導光板ユニット1205の縦投射装置1244の発光LED1243a〜1243dを順に且つ複数回繰り返して発光させ、そうして画像パターン1246によるアニメーションで逆五角形による逆波紋を第1造形物1210に集中させる。これにより第1造形物1210自身に設けられている発光体に向かうように導光板ユニット1205のアニメーションで光のウェーブを演出して、第1造形物1210にさらにパワーが注がれたような演出が行えるから、その流れを受けてさらに第2造形物1211を変化位置に移動させて第1造形物1210の周囲を囲い、或は第1造形物1210を待機位置に戻して第3造形物1212を変化位置に移動させ、第1造形物1210がパワーを受けて大きく変化したかのような演出を行う。
また、扉枠左サイドユニット530と扉枠右サイドユニット550を発光させ、引き続き導光板ユニット1205の装飾発光体1237を外側から順に発光させれば、扉枠3からセンター役物1028の枠内に向けて遊技者の視線誘導を伴うように光のウェーブを演出することもできる。
【0100】
一方、抽選結果が外れの場合等には、次の演出パターンによる可動演出が例示できる。具体的には、当り時の演出パターンと同様に、
図44(a)〜(d)に示したように、待機位置にある第1造形物1210に向かって、該第1造形物1210の側面形状になぞらえてくの字状に並べた数列(実施形態では正面向かって左側が4列、右側が約3列)の発光素子1247の最も遠い列から順に点滅させ、そうして第1造形物1210に向かう光のウェーブを演出して第1造形物1210に向かって遊技者の視線誘導を伴うことで遊技者の注意を惹く。その後、所定時間の経過を待って第1造形物1210を変化位置に上昇させることなく、当該演出を終了させる。これにより、抽選結果が外れであったことを、第1造形物1210が変化位置に上昇しないことにより遊技者に知らせることができる。
【0101】
このように、第1造形物1210による演出と、透明発光装飾手段1026による演出と、導光板ユニット1205による演出とを組み合わせた複合演出を抽選結果に応じて相違させることによって、抽選結果が当りの際に、遊技者に一層の驚きや意外性を与える演出を行うことが可能となり、遊技興趣を高められる。また、透明発光装飾手段1026による発光演出と、第1造形物1210自身による発光演出とを組み合わせることで、待機位置にある第1造形物1210に対する発光装飾だけでなく、変化位置にある第1造形物1210に対する発光装飾も可能にして、遊技興趣を一層高められる。
なお、以上の演出パターンはもちろん一例であり、各要素を適宜に組み合わせれば非常に多くの演出パターンが創造できる。
【0102】
次に、特別図柄表示装置1026に当り特別図柄が停止表示されると「大当り」となり、閉鎖状態にある大入賞口(図示を省略)が所定期間に亘り開放状態となる大当り状態に制御される。球発射装置680から発射された遊技球が開放状態となった大入賞口に入球すると、所定数の賞球(本実施形態では15個)が払い出される。その後、大当り状態の終了条件が成立することで、大当り状態が終了し、再び始動入賞口1025への入球に基づく抽選を行う状態(通常の遊技状態あるいは通常遊技状態と称す)に制御される。このように、実施形態のパチンコ機1では、球発射装置680によって遊技球が遊技領域5aに向けて発射されることによって、制御装置1027により遊技を進行させるための種々の制御が行われて遊技が進行する。
【0103】
ここまで説明した実施形態には、次のような技術的思想が含まれる。
「遊技媒体が流下可能な遊技領域を有する遊技ユニットを備えた遊技機において、
前記遊技ユニットは、
前記遊技領域が形成される遊技パネルと、
機前の遊技者から視認可能なように前記遊技パネルの後方に配置されていて表示面で画像を表示し得る表示装置と、
透過性を有すると共に複数個の発光素子が配置された発光基板シート及び該発光基板シートを支持する透明板とからなる透明発光装飾手段と、を備えており、
前記透明発光装飾手段は、前記表示装置の前記表示面の前方に前記発光素子が位置するように配置されていることを特徴とする遊技機。」
この遊技機は、表示装置の表示面の前方に設けられた透明発光装飾手段の発光基板シートと透明板が透過性を有するため殆ど目立たず、発光基板シートの発光素子だけが空中に浮いているように見える。したがって発光素子を点灯或は点滅させれば、表示装置の表示面の前方にあって空中に浮いた発光体が点灯或は点滅しているかのように見せることができる。
【0104】
なお、上記の技術的思想は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では透明発光装飾手段1206を一つにしたが、複数セットにして前後方向に並べるようにしてもよい。
また、可動装飾部1204の造形物や、導光板ユニット1205の画像パターン1246はどのようなものであってもよい。
また、実施形態では透明発光装飾手段1206を遊技領域5aの遊技下半領域に対応させて設けたが、この透明発光装飾手段1206を大きくして遊技領域5aの全体を覆うようにしてもよく、さらに実施形態では導光板ユニット1205の画像パターン1246と透明発光装飾手段1206の発光素子1247の配置に関連性を持たせていないが、例えば画像パターン1246の図柄に沿って発光素子1247を配置するなどして画像パターン1246の演出にさらなるバリエーションを付加するようにしてもよい。
具体的には
図45に示したように、透明発光装飾手段1026を遊技領域5aのほぼ全体に拡大し、また、導光板ユニット1205の画像パターン1246の図柄に沿った要所に発光素子1247を点在させる。そして、導光板ユニット1205の画像パターン1246の表示開始と同時に発光素子1247を点灯させれば、導光板ユニット1205によるアニメーション(演出)を点発光により部分強調する斬新な導光演出を実現でき、さらなる演出バリエーションを付加することができる。なお、表示装置1201の表示面1201gに対して透明発光装飾手段1026の発光素子1247は、好ましくは表示主要部である表示面1201gの中心部以外の部分(周辺部)に配置するとよい。そうすることにより表示面1201gの中心部で行われる演出表示の視認性を阻害せずに演出の幅を増大させることができ、表示装置1201による演出と、導光板ユニット1205による演出と、透明発光装飾手段1026による演出とが組み合わさった斬新な演出により、遊技者に驚きや意外性を与えられる。
【0105】
また、実施形態では透明発光装飾手段1026の発光基板シート1249を平らな面板状にしてセットしたが、発光基板シート1249は面方向に曲がり得るため、適宜な方向に湾曲させた状態にしてセットするようにしてもよい。
また、透明発光装飾手段1206は、スロットマシンの表示装置に適用することもできる。
【0106】
しかして本発明の遊技ユニット5は、外側を囲うケース体等の固定的なユニット構成部材と、待機位置で停止している停止状態からリンク機構等によって構成される所定の軌道を通って作動状態に変化することにより遊技を演出する可動装飾体と、を備えると共に、前記ユニット構成部材の一部に、前記可動装飾体が作動状態に変化する際に通る前記軌道を横断し得る移動阻止部材1256a,1256bを進退自在に装着するための貫通孔1257a又は隙間1257b(
図24B(a)参照)を設けてなる。
【0107】
[固定的なユニット構成部材]
上記実施形態において固定的なユニット構成部材は、遊技者に対向する前面側のものとして例えば遊技基板1110、センター役物1028、導光板1239等があり、また、後面側のものとして例えば演出ケース体1202があり、要するに固定的なユニット構成部材とは、各要素同士が相対的な動きを生じない状態に直接又は間接的に連結・結合されているものである。
【0108】
[遊技を演出する可動装飾体]
上記実施形態において、待機位置で停止している停止状態から少なくとも遊技者に対向する垂直面内での移動を伴う作動状態に変化して遊技を演出する可動装飾体は、例えば表示装置1201の表示面1201gの周囲に設定された待機位置で停止している停止状態から作動状態に変化して該表示面1201g前方を少なくともそれと平行に移動する前記第1〜第3可動装飾体1207〜1209である。
【0109】
[貫通孔(前面側)]
本実施形態では、例えば
図22〜
図24Bに示したように、前面側の固定的なユニット構成部材の一部である導光板1239に対し、前記第1可動装飾体1207の第1造形物1210の直上に対応する位置に貫通孔1257aが設けられており、その貫通孔1257aに
図24Cに示したような棒状の移動阻止部材1256aが進退自在に装着し得るようになっている。
なお、貫通孔1257aは、好ましくは
図30に示したように導光板1239の前記画像パターン1246から外れた位置に設けるのがよい。そうすることにより導光板1239が作動したとき画像に欠けがなく表示機能が全く低下しないため、画像の変化に集中している遊技者に貫通孔1257aの存在が気付かれにくい。
また、貫通孔1257aは、
図30に示したように表示装置1201の表示面1201gの表示領域に重なる位置に設けるのがよい。そうすることにより、表示領域の発光や画像の変化によって貫通孔1257aが目立ちにくくなるため、遊技者に貫通孔1257aの存在が気付かれにくくなる。
よって導光板1239に貫通孔1257aを設ける場合には、上記を総合して、画像パターン124から外れた位置で尚且つ表示装置1201の表示面1201gの表示領域に重なる位置を選択するのがよく、そうすることで最も目立ちにくく、気付かれにくくすることができる。また、貫通孔1257aを斯かる条件の範囲内であって可動装飾体が作動する演出領域内に設ける場合は、内レール1002で囲われた遊技領域5aの縦の中心線より側方に片寄らせた位置にするのがよい。なぜなら、可動装飾体が作動状態にあるとき、遊技者の意識は、可動装飾体の演出領域のほぼ中心である遊技領域5aの縦の中心線付近に集中するのが自然(通常、遊技領域5aの中心に装飾の中心が設定される、と見ることもできる。)であって、中心から外れた遊技領域5aに対する遊技者の意識は相対的に低下するから、そのような側方の遊技領域5aに貫通孔1257aを設けることでより遊技者に気付かれにくくなるためである。
また、貫通孔1257aが後方に形成された装飾用のデザインと前後に重なる位置に設けられる場合には、そのデザインと調和する形状にするとよい。例えば、後方のデザインがシャボン玉をモチーフにしている場合には、そのシャボン玉の泡の一つの輪郭と貫通孔1257aの位置・形状を一致させる、という具合であり、そうすることによっても貫通孔1257aを目立たせにくくすることができる。
【0110】
[移動阻止部材]
移動阻止部材1256aは、合成樹脂製であって、
図24Cに示したように、棒状の差込み軸部1258と、該差込み軸部1258の基端部に拡開弾性を有するように形成された二股部1259と、該二股部1259の端部に形成された摘まみ部1260と、前記二股部1259の外面に突設された引掛突片1261と、からなり、その存在が周囲から目立ちやすい色に着色されている。例えば、貫通孔1257aが前記のように表示装置1201の表示面1201gの表示領域内に設けられている場合には、表示面1201gの非作動時の地色である黒系の暗色に対して目立ちやすい明色、具体的には赤系の色に着色されている。そうすることにより移動阻止部材1256aが目立つため、抜き忘れるミスが生じ難い。
【0111】
移動阻止部材1256aは、摘まみ部1260から先の差込み軸部1258の長さが、導光板1239の貫通孔1257aに装着した
図24B拡大図(Zb)の状態で、第1可動装飾体1207の第1造形物1210の直上を横切る、すなわち第1可動装飾体1207の上昇する軌道を横断し得るように設定されている。一方、差込み軸部1258の長さは、その先端が後方の表示装置1201の表示面1201gに到達しないように上限が設定されている。そうすることにより差込み軸部1258の先端で表示面1201gを傷つけるおそれが殆どない。
【0112】
固定的なユニット構成部材(導光板1239)の貫通孔1257aと、可動装飾体(第1可動装飾体1207)と、移動阻止部材1256aは、以上のような関連性をもって構成されているため、工場から出荷する前の段階で移動阻止部材1256aの差込み軸部1258を貫通孔1257aに進入させて装着すれば、
図24Bのように差込み軸部1258が第1可動装飾体1207の直上を横断して上昇のための軌道を閉じる。したがって第1可動装飾体1207は、待機位置からの垂直面内における移動(上昇)が阻止されるため、輸送時に振動や衝撃を受けても殆ど動かない。よって、そのような振動や衝撃に起因するジョイント部品や駆動部品の狂いや破損のリスクが減少する。なお、このとき移動阻止部材1256aは、差込み軸部1258の引掛突片1261が、二股部1259の弾性により貫通孔1257aを潜り抜けて導光板1239の反対面に引っ掛かるため、自然に抜けるおそれが殆どない。
【0113】
そして、遊技ユニット5の設置が完了する等して振動や衝撃を受けるおそれが殆どなくなった段階で、上下に離れた二枚の摘まみ部1260を一緒に摘まんで二股部1259を幅狭に変形させながら移動阻止部材1256aを引き抜けば、第1可動装飾体1207の軌道から障害物である移動阻止部材1256aがなくなるため、第1可動装飾体1207の通常の作動が可能になる。
【0114】
なお、移動阻止部材1256aを抜いた後の貫通孔1257a(又は隙間1257b)から導光板1239と表示装置1201の間の空間に埃や塵或は煙草の煙等が入るおそれがある場合には、貫通孔1257aを蓋部材1262で閉じるようにしてもよい。具体的には、
図24E(a)、(b)に示したように、導光板1239の後面側に軸受1263を設けて該軸受1263に蓋部材1262aを開閉自在に軸着し、そうして貫通孔1257aを揺動自在な蓋部材1262aによるワンウェイバルブ方式で塞ぎ得るようにするか、或は、
図24F(a)〜(c)に示したように、移動阻止部材1256aの先端に脆弱な破断部1264を介して栓状の蓋部材1262bを一体成形し、移動阻止部材1256aを貫通孔1257aから抜き取るとき、蓋部材1262bを該貫通孔1257aの内部に残して破断部1264から破断させるようにする。
【0115】
ここまで遊技ユニット5の前面側の固定的なユニット構成部材として導光板1239を例に説明したが、その他の前面側の固定的なユニット構成部材としてセンター役物1028や遊技基板1110が挙げられる。
図24G、
図24Hは、センター役物1028を遊技ユニット5の前面側の固定的なユニット構成部材としたものであり、
図24Gではセンター役物1028の囲い枠1034を構成するリブと役物基板1028aとの境界線(隅角部)に沿わせて貫通孔1257aが設けてある。このように固定的なユニット構成部材に突設されたリブを利用し、そのリブと役物基板1028aとの境界線に沿わせて貫通孔1257aを設けた場合には、当該境界線と貫通孔1257aの輪郭とが視覚的に調和するため、例え遊技者から見え得る位置にあっても目立たせにくくすることができる。また、
図24Hのように、移動阻止部材1256aの外方突出部分(摘まみ部1260)がリブより低くなるようにした場合には、移動阻止部材1256aに手や異物が引っ掛かりにくくなるため、移動阻止部材1256aが不意に抜けたり、摘まみ部1260が破損したりするおそれが殆どない。また、移動阻止部材1256aの摘まみ部1260に手が当たるなどして差込み軸部1258が必要以上に押し込まれる、というおそれも殆どないため、差込み軸部1258の差し込み過ぎによる表示装置1201の破損も生じ難い。
なお、貫通孔1257aは、固定的なユニット構成部材の中核とも言うべき遊技基板1110に設けてもよい。貫通孔1257aを遊技基板1110やセンター役物1028に設けた場合には、
図24Hのように導光板1239を遊技基板1110より前方に配置することができるなど、導光板1239の配置の自由度が向上し、惹いては演出の自由度が向上する。
【0116】
[貫通孔(後面側)と移動阻止部材]
本実施形態では、例えば
図24A、
図24Bに示したように、後面側の固定的なユニット構成部材の一部である演出ユニット1200の演出ケース体1202に対し、前記第3可動装飾体1209の上パネル1223の直下に対応する位置に横長長方形状の貫通孔1257aが設けられており、その貫通孔1257aに
図24Dに示したようなプレート状の移動阻止部材1256bが進退自在に装着し得るようになっている。
かかる移動阻止部材1256bは、厚さ方向に適度な弾性を有する合成樹脂製、例えば二枚の基板の間に多数の芯部材を等間隔に並設してなるいわゆるプラスチック段ボール製であって、
図24Dに示したように、先端に凹状の切欠部1265を有する差込み板部1266と、該差込み板部1266の基端部上面に形成された指掛重合部1267と、その指掛重合部1267の下面に形成された停止重合部1268と、からなる。
【0117】
この移動阻止部材1256bは、演出ケース体1202の貫通孔1257aに装着した
図24B拡大図(Za)の状態で、前記停止重合部1268の先端が演出ケース体1202に当たって差込み位置(長さ)が決まるようになっており、その差込み位置で差込み板部1266の先端が第3可動装飾体1209の上パネル1223の直下を横切る、すなわち第3可動装飾体1209が下動する軌道を横断し得るように設定されている。
第3可動装飾体1209の上パネル1223には、下向きに二本の固定ピン1223pが突設されており、その固定ピン1223pが移動阻止部材1256bの先端の切欠部1265に係合し得るようになっている。この固定ピン1223p(可動装飾体の一部)と前記切欠部1265との係合により、移動阻止部材1256bの奥への差し込み過ぎが防止できるため、仮に前記停止重合部1268が製造段階の過誤或は途中での脱落等により欠落していたとしても安全に装着することができる。なお、移動阻止部材1256bの前記指掛重合部1267は、後述するように移動阻止部材1256bの引き抜きを補助するためのものであって、それが無くても移動阻止部材1256bの基本機能は維持できる。よって、
図24Dの移動阻止部材1256bは、仮に停止重合部1268や指掛重合部1267が何らかの理由で失われたとしても、可動装飾体の移動を阻止して輸送時の振動等から保護する基本機能は維持されるため、遊技ユニット5を設置した後、回収して繰り返し何度でも使い回せるメリットがある。
また、移動阻止部材1256bは、第3可動装飾体1209の上パネル1223の固定ピン1223pに切欠部1265を係合させる(切欠部1265を凸部に変更してそれを固定ピン1223pの間に差し入れて係合させてもよい。)ことによって上パネル1223の横振れも防止できるため、第3可動装飾体1209の上パネル1223(可動装飾体)をさらに確実に保護することができる。
【0118】
ところで後面側の貫通孔1257aに対応する移動阻止部材1256bは、
図24B(a)に示したように裏側の停止重合部1268を上側の指掛重合部1267の位置に設けて下面をフラットな状態にしてもよい。この移動阻止部材1256bは、演出ケース体1202の縁と表示装置1201の間に形成される隙間1257bに装着する場合に適する。
また、
図24B(b)に示したように移動阻止部材1256bを一枚のプラスチック段ボールで両面フラットに形成し、その先端を他の可動装飾体(例えば第3可動装飾体1209の中パネル1224の後面)に係合又は当接させるようにしてもよい。この移動阻止部材1256bは、前記貫通孔1257aと隙間1257bの何れにも対応することができる。
【0119】
固定的なユニット構成部材(演出ケース体1202)の貫通孔1257a又は隙間1257bと、可動装飾体(第3可動装飾体1209の上パネル1223)と、移動阻止部材1256bは、以上のような関連性をもって構成されているため、前記と同様に工場から出荷する前の段階で移動阻止部材1256bの差込み板部1266を貫通孔1257a又は隙間1257bに進入させれば、
図24Bのように差込み板部1266が第3可動装飾体1209の上パネル1223の直下を横断して下動のための軌道を閉じる。したがって第3可動装飾体1209の上パネル1223は、待機位置からの垂直面内における移動(下動)が阻止されるため、輸送時に振動や衝撃を受けても殆ど動かない。よって、そのような振動や衝撃に起因するジョイント部品や駆動部品の狂いや破損のリスクが減少する。
なお、移動阻止部材1256bは、厚さ方向に適度な弾性を有する合成樹脂製であるため、貫通孔1257a又は隙間1257bの幅より厚みを若干大きくして差込み時に軽く圧潰されるようにしておけば、その移動阻止部材1256bの復元力によるすべり摩擦抵抗により自然に抜けるおそれがない。
【0120】
そして、遊技ユニット5の設置が完了する等して振動や衝撃を受けるおそれが殆どなくなった段階で、指掛重合部1267の段部に指の腹が引っ掛かるように摘まんで移動阻止部材1256bを抜き取れば、第3可動装飾体1209の上パネル1223の軌道から障害物である移動阻止部材1256bがなくなるため、第3可動装飾体1209の通常の作動が可能になる。
【0121】
以上本発明を実施の形態について説明したが、もちろん本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では、前側の固定的なユニット構成部材と後側の固定的なユニット構成部材の双方に貫通孔1257aを設けて両側から移動阻止部材1256a,1256bを装着するようにしたが、可動装飾体の位置、個数、構造に応じて貫通孔1257aを設ける固定的なユニット構成部材を適宜選択してもよい。
【0122】
また、実施形態では可動装飾体が作動する演出領域の前面を導光板1239で塞いだ遊技ユニット5を例示したが、演出領域の前面を塞ぐ固定的なユニット構成部材として単なる透明板を使用することもできる。
なお、本発明の貫通孔1257a又は隙間1257bと移動阻止部材1256a,1256bの組合せは、演出領域の前面が導光板1239又は透明板で塞がれていて中の空間内の可動装飾体に触れられない構造であって該空間に緩衝材を詰め込んで可動装飾体を安定させる、という一般的な梱包手段が使えない実施形態の遊技ユニット5に対して特に優れた効果を発揮する。
【0123】
また、実施形態では移動阻止部材1256aを貫通孔1257a又は隙間1257bから完全に抜き取って退避させるようにしたが、移動阻止部材1256aをユニット構成部材に対して摺動自在又は揺動自在に装着するなどして、退避状態でもユニット構成部材に残って繰り返し使用し得るようにしてもよい。ちなみに、移動阻止部材1256aをユニット構成部材から完全に抜き取る場合には、外した移動阻止部材1256aを適切に保管しておかなければリユース等のために遊技ユニット5を輸送する際に使えないおそれがある。
【0124】
また、実施形態では遊技機としてパチンコ機1を例示したが、これに限定されるものではなく、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機に適用してもよく、この場合でも、上記と同様の作用効果を奏することができる。