【解決手段】固形製剤Tの表面に文字等を印刷する固形製剤印刷方法であって、印刷装置21、31で文字等を印刷し、検査装置41、51で印刷検査を行なうとともに印刷不良の固形製剤Tにおける不良内容と不良個所を特定し、修正印刷装置61、71で当該不良個所に対して前記不良内容に応じた修正印刷を行うことを特徴とする固形製剤印刷方法。
固形製剤の表面に文字等を印刷する固形製剤印刷方法であって、印刷装置で文字等を印刷し、検査装置で印刷検査を行なうとともに印刷不良の固形製剤における不良内容と不良個所を特定し、修正印刷装置で当該不良個所に対して前記不良内容に応じた修正印刷を行うことを特徴とする固形製剤印刷方法。
前記不良内容が文字等の滲みである固形製剤に対して、当該滲み部分に当該固形製剤と同色のインクを重ねる前記修正印刷を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の固形製剤印刷方法。
前記不良内容が文字等のずれである固形製剤に対して、当該ずれ部分に固形製剤と同色のインクを重ねて前記修正印刷を行った後、文字等を再印刷することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固形製剤印刷方法。
固形製剤の表面に文字等を印刷する固形製剤印刷機であって、固形製剤に文字等を印刷する印刷装置と、印刷文字等を検査するとともに印刷不良の固形製剤における不良内容と不良個所を特定する検査装置と、当該不良個所に対して前記不良内容に応じた修正印刷を行う修正印刷装置と、前記印刷装置、前記検査装置、及び前記修正印刷装置を制御する制御装置とを備えたことを特徴とする固形製剤印刷機。
前記制御装置は、前記不良内容が文字等の欠けである固形製剤に対して、当該欠け部分にインクを補充する前記修正印刷を行うように前記修正印刷装置を制御することを特徴とする請求項5に記載の固形製剤印刷機。
前記修正印刷装置は、文字等の色のインクによる印刷に加えて固形製剤と同色のインクによる印刷も選択可能に構成され、前記制御装置は、前記不良内容が文字等の滲みである固形製剤に対して当該滲み部分に固形製剤と同色のインクを重ねる前記修正印刷を行うように前記修正印刷装置を制御することを特徴とする請求項5又は6に記載の固形製剤印刷機。
前記修正印刷装置は、文字等の色のインクによる印刷に加えて固形製剤と同色のインクによる印刷も選択可能に構成され、前記制御装置は、前記不良内容が文字等のずれである固形製剤に対して当該ずれ部分に固形製剤と同色のインクを重ねるように前記修正印刷装置を制御するとともに、再印刷選別装置を制御して当該固形製剤を再印刷用収納箱に収納することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の固形製剤印刷機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、印刷不良を区別して排除するものであるため、印刷不良になったとはいえ、薬効に変わりはなく高価な薬剤を無駄にしてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決して、印刷不良の固形製剤であっても無駄にしないで救済することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、固形製剤の表面に文字等を印刷する固形製剤印刷方法であって、印刷装置で文字等を印刷し、検査装置で印刷検査を行なうとともに印刷不良の固形製剤における不良内容と不良個所を特定し、修正印刷装置で当該不良個所に対して前記不良内容に応じた修正印刷を行うことを特徴とする固形製剤印刷方法を提供するものである。
【0008】
この構成により、印刷不良の固形製剤であっても無駄にしないで救済することができる。
【0009】
前記不良内容が文字等の欠けである固形製剤に対して、当該欠け部分にインクを補充する前記修正印刷を行うようにしてもよい。
【0010】
この構成により、文字等が欠けて印刷された固形製剤であっても無駄にしないで救済することができる。
【0011】
前記不良内容が文字等の滲みである固形製剤に対して、当該滲み部分に当該固形製剤と同色のインクを重ねる前記修正印刷を行うようにしてもよい。
【0012】
この構成により、文字等が滲んで印刷された固形製剤であっても無駄にしないで救済することができる。また、品質に影響のない汚れについても救済することができる。
【0013】
前記不良内容が文字等のずれである固形製剤に対して、当該ずれ部分に固形製剤と同色のインクを重ねて前記修正印刷を行った後、文字等を再印刷するようにしてもよい。
【0014】
この構成により、文字等がずれて印刷された固形製剤であっても無駄にしないで救済することができる。
【0015】
また、上記課題を解決するために本発明は、固形製剤の表面に文字等を印刷する固形製剤印刷機であって、固形製剤に文字等を印刷する印刷装置と、印刷文字等を検査するとともに印刷不良の固形製剤における不良内容と不良個所を特定する検査装置と、当該不良個所に対して前記不良内容に応じた修正印刷を行う修正印刷装置と、前記印刷装置、前記検査装置、及び前記修正印刷装置を制御する制御装置とを備えたことを特徴とする固形製剤印刷機を提供するものである。
【0016】
この構成により、印刷不良の固形製剤であっても無駄にしないで救済することができる。
【0017】
前記制御装置は、前記不良内容が文字等の欠けである固形製剤に対して、当該欠け部分にインクを補充する前記修正印刷を行うように前記修正印刷装置を制御するものであってもよい。
【0018】
この構成により、文字等が欠けて印刷された固形製剤であっても無駄にしないで救済することができる。
【0019】
前記修正印刷装置は、文字等の色のインクによる印刷に加えて固形製剤と同色のインクによる印刷も選択可能に構成され、前記制御装置は、前記不良内容が文字等の滲みである固形製剤に対して当該滲み部分に固形製剤と同色のインクを重ねる前記修正印刷を行うように前記修正印刷装置を制御するものであってもよい。
【0020】
この構成により、文字等が滲んで印刷された固形製剤であっても無駄にしないで救済することができる。また、品質に影響のない汚れについても救済することができる。
【0021】
前記修正印刷装置は、文字等の色のインクによる印刷に加えて固形製剤と同色のインクによる印刷も選択可能に構成され、前記制御装置は、前記不良内容が文字等のずれである固形製剤に対して当該ずれ部分に固形製剤と同色のインクを重ねるように前記修正印刷装置を制御するとともに、再印刷選別装置を制御して当該固形製剤を再印刷用収納箱に収納するものであってもよい。
【0022】
この構成により、文字等がずれて印刷された固形製剤であっても無駄にしないで救済することができる。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0024】
以下、
図1〜
図3を参照しながら、本発明の実施例1について説明する。
図1は、本発明の実施例1における固形製剤印刷機の構成を説明する図である。
図2は、本発明の実施例1における固形製剤印刷機の印刷装置部分を説明する図である。
図3は、本発明の実施例1における印刷欠け不良の例を説明する図である。
【0025】
本発明の実施例1における固形製剤印刷機100は、
図1に示すように、ディスク11、ディスク12、ディスク13、パーツフィーダ14、固形製剤投入部15、印刷装置21、印刷装置31、撮像装置41、撮像装置51、修正印刷装置61、修正印刷装置71、再印刷選別装置16、収納箱17、再印刷用収納箱18等からなっている。ディスク11は、主面を垂直にして設けられ、ディスク12は、ディスク11と直交かつ側面同士が近接するように垂直に設けられ、ディスク13はディスク12と直交かつ側面同士が近接するように水平に設けられている。ディスク11、ディスク12、ディスク13は、側面円周上に複数の吸着孔を備え、この吸着孔に固形製剤Tを吸着保持することができる。
【0026】
次に、固形製剤印刷機100の動作について説明する。まず、固形製剤投入部15から固形製剤Tがパーツフィーダ14に投入される。パーツフィーダ14に投入された固形製剤Tは、パーツフィーダ14の振動又は回転によって次第に水平方向に整列させられる。整列させられた固形製剤Tはパーツフィーダ14の最終端において、ディスク13の側面円周上に設けられた複数の吸着孔のうち近接の吸着孔にその側面を吸着される。ディスク13の側面円周上の吸着孔に吸着保持された固形製剤Tはディスク13の反時計方向への回転に伴って、ディスク12に近づくように水平回転移動させられる。そして、ディスク12に近接移動した固形製剤Tは、ディスク12における近接の吸着孔への吸着を開始するとともに、ディスク13の当該吸着孔の吸着を解除して、固形製剤Tの第1面を当該吸着孔に吸着させる。ディスク12は、時計方向に回転することにより、吸着保持した固形製剤Tをディスク11に近接するように垂直回転する。そして、ディスク11に近接移動した固形製剤Tは、ディスク11における近接の吸着孔への吸着を開始するとともに、ディスク12における当該吸着孔の吸着を解除して、固形製剤Tの側面をディスク11の当該吸着孔に吸着保持させる。ディスク11に吸着保持された固形製剤Tは、ディスク11の回転に伴って反時計方向に垂直回転移動される。
【0027】
次に、ディスク11に吸着された固形製剤Tの文字等の印刷、印刷検査及び修正印刷について
図1、
図2を参照して詳しく説明する。ディスク11は、ディスク12から直立姿勢の固形製剤Tの側面を吸着することにより受け取り、固形製剤Tを直立姿勢で吸着保持する。ディスク11が反時計方向に回転することにより、吸着保持した固形製剤Tを反時計方向に回転移動させる。固形製剤Tが印刷装置21及び印刷装置31が印刷できる位置に回転移動させられると、図示しないセンサーにより固形製剤Tが検出されて、印刷装置21によって固形製剤Tの第1面に文字等を印刷し、印刷装置31によって固形製剤Tの第2面に文字等を印刷する。印刷装置21及び印刷装置31は共に、インクジェットプリンターで構成され、ディスク11の回転方向に略直交する方向に1列に配列した複数のノズルからインクを吐出することにより、回転移動中の固形製剤Tに所定の文字等を印刷することができる。文字等は予め図示しない印刷データ記憶装置に記憶されていて、適宜、図示しない制御装置が所定の文字等の印刷データを指示して印刷装置21及び印刷装置31を制御する。
【0028】
なお、印刷装置21及び印刷装置31におけるノズル列は、1列に限定するものではなく、複数のノズル列を有するものであってもよい。また、印刷装置21及び印刷装置31は、インクジェットプリンターに限定されるものではなく、レーザープリンターでもタンポ印刷装置でもスクリーン印刷装置であってもよい。
【0029】
印刷された固形製剤Tは、さらに反時計方向にディスク11が回転することにより回転移動を継続させられる。撮像装置41及び撮像装置51が撮像できる位置に固形製剤Tが回転移動させられると、図示しないセンサーにより固形製剤Tが検出されて、撮像装置41が回転移動中の固形製剤Tの第1面を撮像し、撮像装置51が回転移動中の固形製剤Tの第2面を撮像する。撮像装置41及び撮像装置51は共にCMOSセンサーで構成され、電子シャッタとストロボを使用して回転移動中の固形製剤Tをぶれないように撮像する。撮像装置41及び撮像装置51で撮像された画像は、図示しない検査装置に送られ、各面に印刷された文字等の検査を行なう。その際、検査装置は、制御装置から当該固形製剤Tの文字等の印刷に使用された印刷データを受け取り、当該固形製剤Tの印刷に使用した印刷データと当該印刷文字等とを重ねて比較して検査を行なう。そして検査装置は、印刷不良と判断した固形製剤Tの不良内容と不良個所を特定する。
【0030】
すなわち、当該固形製剤Tの印刷に使用した印刷データと当該印刷文字等の撮像画像とを重ねて比較し、欠け、滲み、又はずれ等のいずれかの不良があるかを判断する。つまり、当該印刷文字等の一部に印刷の欠如がある場合は、当該印刷不良の内容を欠け不良と判断するとともに不良個所を特定する。また、印刷データ以外の部分に余分な印刷個所がある場合は、当該印刷不良を滲み不良と判断するとともに滲み不良個所を特定する。さらに、当該印刷文字等が本来印刷されなければならない位置が大きくずれている場合は、当該印刷不良をずれ不良と判断するとともにずれ不良個所を特定する。また、複数の不良内容が存在する場合は、存在する不良内容全てについての不良内容と不良個所を特定する。
【0031】
実施例1においては、欠け不良がある場合について詳しく説明する。
図3(a)に印刷データを示す。この印刷データに基づき印刷した結果、
図3(b)に示すような印刷文字等の画像が撮像されたとする。検査装置は、当該印刷文字等の撮像画像と印刷データの画像とを重ねて比較し差分画像を演算する。
図3(c)に差分画像の例を示す。当該印刷文字等が印刷データによって正しく印刷されておれば、差分画像はゼロ、すなわち真っ白な画像を表示するように制御される。ところが、当該印刷文字等の撮像画像と印刷データの画像とに異なる部分が存在すれば、差分画像には当該異なる部分が黒く表示される。この黒く表示された領域内の画素数をカウントし、予め設定された閾値以上であれば、不良と判断する。そしてこの閾値以上の黒表示の部分が印刷される文字等の領域内であれば、不良内容を欠け不良と判断する。また、この欠け不良の個所、すなわち、閾値以上の画素数を有する黒表示領域を不良個所と特定する。しかし、黒表示ではあるが閾値未満の画素数で構成される領域は白表示に変更する。これは、検査が厳しくなり過ぎないよう配慮したものである。そして、当該黒表示領域の不良個所を示す画像を不良個所画像として制御装置に記憶する。
【0032】
印刷検査の次に、固形製剤Tは修正印刷装置61及び修正印刷装置71が印刷可能な位置に回転移動させられるが、印刷不良と判断されなかった固形製剤Tは、修正印刷することなくさらに回転させられて収納箱17に収納される。
【0033】
印刷不良と判断された固形製剤Tには修正印刷装置61及び修正印刷装置71により修正印刷が施される。つまり、修正印刷装置61及び修正印刷装置71が印刷できる位置に固形製剤Tが回転移動させられると、図示しないセンサーにより固形製剤Tが検出されて、当該固形製剤Tが印刷不良と判断されたものであれば、修正印刷装置61によって回転移動中の固形製剤Tの第1面に修正印刷を施し、修正印刷装置71によって回転移動中の固形製剤Tの第2面に修正印刷を施す。修正印刷装置61及び修正印刷装置71は共に、2つの異なる色を吐出可能にインクジェットプリンターで構成されている。具体的には、修正印刷装置61及び修正印刷装置71をそれぞれ2つのインクジェットプリンターで構成し、それぞれ文字等の色及び固形製剤Tと同色の2種類のインクを選択吐出可能に構成している。
【0034】
実施例1においては、欠け不良の固形製剤Tが回転搬送されると、上述の制御装置に記憶されている不良個所画像の黒表示領域にのみ、固形製剤Tに文字等の色のインクを吐出して欠け部分に
インクを補充する。これにより固形製剤Tの欠け部分にインクが補充されて欠けがなくなり当該固形製剤Tを救済することができる。救済された固形製剤Tは、印刷不良と判断されなかった固形製剤Tと同様に収納箱17に収納される。
【0035】
なお、実施例1においては、印刷装置21及び印刷装置31、撮像装置41及び撮像装置51、修正印刷装置61及び修正印刷装置71というように固形製剤Tの回転移動方向に各装置を配置して、印刷不良となった固形製剤Tを救済する構成としたが、必ずしもこれに限定されず、固形製剤印刷機の都合により適宜変更が可能である。例えば、印刷装置21及び印刷装置31と撮像装置41及び撮像装置51を備える構成とし、不良となった固形製剤Tは不良排出した後、再度、固形製剤印刷機100に投入して、印刷装置21及び印刷装置31を修正印刷装置と位置付けて修正印刷するように構成してもよい。
【0036】
また、実施例1においては、印刷装置21、印刷装置31で固形製剤Tの両面に文字等を印刷し、撮像装置41、撮像装置51で固形製剤Tの両面を撮像して印刷検査を行なうように構成したが、これに限定されず固形製剤印刷機の都合により適宜変更できる。例えば、いずれかの一方の面のみ文字等の印刷を行い、印刷を行った面のみ印刷検査を行ない、修正印刷するように構成してもよい。また、印刷する前に、固形製剤Tの外観検査を行なうようにしてもよい。さらに、ディスク12に第1面が吸着されている固形製剤Tの側面を撮像装置で撮像して外観検査を行なうように構成してもよい。
【0037】
また、実施例1においては、ディスク11の回転に伴って吸着保持された固形製剤TはディスクTに対して位置がずれることがないため、制御装置に記憶された不良個所画像の黒表示領域に基づいて修正印刷装置61及び修正印刷装置71がインクを吐出して修正印刷するように構成した。また、ドラムやマガジンで固形製剤Tを搬送する場合も位置がずれることがほとんどないため同様の構成で修正印刷が可能である。しかし、コンベアにより固形製剤Tが搬送される場合は位置がずれる可能性があるため、修正印刷の前に固形製剤Tの位置認識を行い、固形製剤T又は不良個所画像の位置補正を行ってから修正印刷を行うように構成してもよい。
【0038】
以上のように、本発明の実施例1においては、固形製剤の表面に文字等を印刷する固形製剤印刷方法であって、印刷装置で文字等を印刷し、検査装置で印刷検査を行なうとともに印刷不良の固形製剤における不良内容と不良個所を特定し、修正印刷装置で当該不良個所に対して前記不良内容に応じた修正印刷を行うことを特徴とする固形製剤印刷方法により、印刷不良の固形製剤であっても無駄にしないで救済することができる。
【0039】
また、固形製剤の表面に文字等を印刷する固形製剤印刷機であって、固形製剤に文字等を印刷する印刷装置と、印刷文字等を検査するとともに印刷不良の固形製剤における不良内容と不良個所を特定する検査装置と、当該不良個所に対して前記不良内容に応じた修正印刷を行う修正印刷装置と、前記印刷装置、前記検査装置、及び前記修正印刷装置を制御する制御装置とを備えたことを特徴とする固形製剤印刷機により、印刷不良の固形製剤であっても無駄にしないで救済することができる。
【実施例2】
【0040】
本発明の実施例2は、印刷不良内容が滲み不良である点で実施例1と異なっている。以下、
図4を参照して実施例2について説明する。
図4は、本発明の実施例2における印刷滲み不良の例を説明する図である。
図4(a)は、印刷データ、
図4(b)は、滲み不良の撮像画像の例、
図4(c)は、印刷データと滲み不良画像との差分画像の例を示している。
【0041】
実施例2における固形製剤印刷機100の動作について、
図1、
図2を参照して説明する。実施例1と同様に、ディスク11は、ディスク12から直立姿勢の固形製剤Tの側面を吸着することにより受け取り、固形製剤Tを直立姿勢で吸着保持する。ディスク11が反時計方向に回転することにより、吸着保持した固形製剤Tを反時計方向に回転移動させる。固形製剤Tが印刷装置21及び印刷装置31が印刷できる位置に回転移動させられると、図示しないセンサーにより固形製剤Tが検出されて、印刷装置21によって回転移動中の固形製剤Tの第1面に文字等を印刷し、印刷装置31によって回転移動中の固形製剤Tの第2面に文字等を印刷する。印刷装置21及び印刷装置31は共に、インクジェットプリンターで構成され、ディスク11の回転方向に略直交する方向に1列に配列した複数のノズルからインクを吐出することにより、所定の文字等を固形製剤Tに印刷することができる。文字等は予め図示しない印刷データ記憶装置に記憶されていて、適宜、図示しない制御装置が所定の文字等の印刷データを指示して印刷装置21及び印刷装置31を制御する。
【0042】
印刷された固形製剤Tは、さらに反時計方向にディスク11が回転することに伴って回転移動が継続させられる。撮像装置41及び撮像装置51が撮像できる位置に固形製剤Tが回転移動させられると、図示しないセンサーにより固形製剤Tが検出されて、撮像装置41が回転移動中の固形製剤Tの第1面を撮像し、撮像装置51が回転移動中の固形製剤Tの第2面を撮像する。撮像装置41及び撮像装置51は共にCMOSセンサーで構成され、電子シャッタとストロボを使用して回転移動中の固形製剤Tをぶれないように撮像する。撮像装置41及び撮像装置51で撮像された画像は、図示しない検査装置に送られ、各面に印刷された文字等の検査を行なう。その際、検査装置は、制御装置から当該固形製剤Tの文字等の印刷に使用された印刷データを受け取り、当該固形製剤Tの印刷に使用した印刷データと当該印刷文字等とを重ねて比較して検査を行なう。そして検査装置は、印刷不良と判断した固形製剤Tの不良内容と不良個所を特定する。また、印刷不良とは判断しなかった固形製剤Tに対しては何もすることなく回転移動を継続させる。
【0043】
すなわち、当該固形製剤Tの印刷に使用した印刷データと当該印刷文字等とを重ねて比較し、欠け、滲み、又はずれ等のいずれかの不良があるかを判断する。実施例2においては、滲み不良がある場合について説明する。検査装置は、当該印刷文字等の撮像画像と印刷データの画像とを重ねて比較し差分画像を演算する(
図4(c)参照)。当該印刷文字等が印刷データによって正しく印刷されておれば、差分画像はゼロ、すなわち真っ白な画像を表示するように制御される。ところが、当該印刷文字等の撮像画像と印刷データの画像とに異なる部分が存在すれば、差分画像には当該異なる部分が黒く表示される。この黒く表示された領域内の画素数をカウントし、予め設定された閾値以上であれば、不良と判断する。そしてこの閾値以上の黒表示の部分が印刷される文字等の領域外であれば、不良内容を滲み不良と判断する。また、この滲み不良の個所、すなわち、閾値以上の画素数を有する黒表示領域を不良個所と特定する。しかし、黒表示ではあるが閾値未満の画素数で構成される領域は白表示に変更する。これは、検査が厳しすぎることがないように配慮するためである。そして、当該黒表示領域の不良個所を示す画像を不良個所画像として制御装置に記憶する。
【0044】
印刷検査の次に、固形製剤Tは修正印刷装置61及び修正印刷装置71が印刷可能な位置に回転移動させられる。固形製剤Tが修正印刷装置61及び修正印刷装置71が印刷できる位置に回転移動させられると、図示しないセンサーにより固形製剤Tが検出されて、当該固形製剤Tが印刷不良と判断されたものであれば、修正印刷装置61によって回転移動中の固形製剤Tの第1面に修正印刷を施し、修正印刷装置71によって回転移動中の固形製剤Tの第2面に修正印刷を施す。修正印刷装置61及び修正印刷装置71は共に、2つの異なる色を吐出可能にインクジェットプリンターで構成されている。具体的には、修正印刷装置61及び修正印刷装置71をそれぞれ2つのインクジェットプリンターで構成し、それぞれ文字等の色及び固形製剤Tと同色の2種類のインクを選択吐出可能に構成している。
【0045】
そして、滲み不良の固形製剤Tが回転移動されると、上述の不良個所画像の黒表示領域にのみ固形製剤Tと同色のインクを吐出して当該滲み部分にインクを重ねて修正印刷するように制御装置が制御する。これにより当該固形製剤Tにおける滲み部分が固形製剤Tの色と同じになって滲みがなくなり、印刷不良であった当該固形製剤Tを救済することができる。救済された固形製剤Tは、印刷不良と判断されなかった固形製剤Tと同様に収納箱17に収納されるように制御装置が制御する。
【0046】
なお、固形製剤Tに滲み不良に加えて、欠け不良があると判断された場合は、両方の不良内容と不良個所が特定される。そして、修正印刷装置61及び修正印刷装置71にて、滲み不良部分に固形製剤Tと同色のインクを吐出するとともに、欠け部分に文字等の色のインクを吐出するように制御する。これによって、滲み不良及び欠け不良が救済される。
【0047】
このように実施例2においては、不良内容を滲み不良と特定するとともに当該不良個所を特定し、当該滲み部分に固形製剤Tと同色のインクを重ねて修正印刷することにより、文字等が滲んで印刷された固形製剤であっても無駄にしないで救済することができる。また、品質に影響のない汚れについても、同様の修正印刷することにより救済することができる。
【実施例3】
【0048】
本発明の実施例3は、印刷不良内容がずれ不良である点で実施例1及び実施例2と異なっている。以下、
図5を参照して実施例3について説明する。
図5は、本発明の実施例3におけるずれ不良の例を説明する図である。
図5(a)は、印刷データ、
図5(b)は、ずれ不良の撮像画像の例、
図5(c)は、印刷データとずれ不良画像との差分画像を示している。このずれ不良については、印刷文字等が本来印刷されるべき位置から大きくずれた不良内容であるので、一旦、固形製剤Tと同色のインクをずれ部分に修正印刷して排出した後、再度固形製剤印刷機に投入して再印刷することにより救済する。
【0049】
実施例3における固形製剤印刷機100の動作について
図1、
図2を参照して説明する。実施例1と同様に、ディスク11は、ディスク12から直立姿勢の固形製剤Tの側面を吸着することにより受け取り、固形製剤Tを直立姿勢で吸着保持する。ディスク11が反時計方向に回転することにより、吸着保持した固形製剤Tを反時計方向に回転移動させる。固形製剤Tが印刷装置21及び印刷装置31が印刷できる位置に回転させられると、図示しないセンサーにより固形製剤Tが検出されて、印刷装置21によって回転中の固形製剤Tの第1面に文字等を印刷し、印刷装置31によって回転中の固形製剤Tの第2面に文字等を印刷する。印刷装置21及び印刷装置31は共に、インクジェットプリンターで構成され、ディスク11の回転方向に略直交する方向に1列に配列した複数のノズルからインクを吐出することにより、所定の文字等を固形製剤Tに印刷することができる。文字等は予め図示しない印刷データ記憶装置に記憶されていて、適宜、図示しない制御装置が所定の文字等の印刷データを指示して印刷装置21及び印刷装置31を制御する。
【0050】
印刷された固形製剤Tは、さらに反時計方向にディスク11が回転することに伴って回転移動を継続させられる。撮像装置41及び撮像装置51が撮像できる位置に固形製剤Tが回転移動させられると、図示しないセンサーにより固形製剤Tが検出されて、撮像装置41が回転中の固形製剤Tの第1面を撮像し、撮像装置51が回転中の固形製剤Tの第2面を撮像する。撮像装置41及び撮像装置51は共にCMOSセンサーで構成され、電子シャッタとストロボを使用して画像がぶれないように撮像する。撮像装置41及び撮像装置51で撮像された画像は、図示しない検査装置に送られ、各面に印刷された文字等の検査を行なう。その際、検査装置は、制御装置から当該固形製剤Tの文字等の印刷に使用した印刷データを受け取り、当該固形製剤Tの印刷に使用した印
刷データと当該印刷文字等とを重ねて比較して検査を行なう。そして検査装置は、印刷不良と判断した固形製剤Tの不良内容と不良個所を特定する。印刷不良とは判断しなかった固形製剤Tについては、ここでは何もせずに回転移動を継続させる。
【0051】
すなわち、当該固形製剤Tの印刷に使用した印刷データと当該印刷文字等の撮像画像とを重ねて比較し、欠け、滲み、又はずれ等のいずれかの不良があるかを判断する。実施例3においては、ずれ不良がある場合について説明する。検査装置は、当該印刷文字等の撮像画像と印刷データの画像とを重ねて比較し差分画像を演算する(
図5(c)参照)。当該印刷文字等が印刷データによって正しく印刷されておれば、差分画像はゼロ、すなわち真っ白な画像を表示するように制御される。ところが、当該印刷文字等の撮像画像と印刷データの画像とに異なる部分が存在すれば、差分画像には当該異なる部分が黒く表示される。この黒く表示された領域内の画素数をカウントし、予め設定された閾値以上を有する領域であれば不良と判断する。そしてこの閾値以上の黒表示領域が印刷されるべき文字等の領域外で、かつ当該黒表示領域の大きさが印刷されるべき文字等の大きさに近似していれば、不良内容をずれ不良と判断する。また、このずれ不良の個所、すなわち、閾値以上の画素数を有する黒表示領域を不良個所と特定する。しかし、黒表示ではあるが閾値未満である領域は白表示に変更する。これは、検査が厳しすぎることがないように配慮するためである。そして、当該黒表示領域の不良個所を示す画像を不良個所画像として制御装置に記憶する。
【0052】
印刷検査の次に、固形製剤Tは修正印刷装置61及び修正印刷装置71が印刷可能な位置に回転移動させられる。固形製剤Tが修正印刷装置61及び修正印刷装置71が印刷できる位置に回転させられると、図示しないセンサーにより固形製剤Tが検出されて、不良と判断された固形製剤Tであれば、修正印刷装置61によって回転中の固形製剤Tの第1面に修正印刷を施し、修正印刷装置71によって回転中の固形製剤Tの第2面に修正印刷を施す。修正印刷装置61及び修正印刷装置71は共に、2つの異なる色を吐出可能に2つのインクジェットプリンターで構成されている。具体的には、それぞれ文字等の色及び固形製剤Tの同色の2種類のインクを選択吐出可能に構成している。
【0053】
そして、ずれ不良の固形製剤Tが回転移動されると、上述の不良個所画像に基づいて固形製剤Tに固形製剤Tと同色のインクを吐出してずれ部分にインクを重ねて修正印刷する。これは、上述した制御装置に記憶している不良個所画像の黒表示部分のみにインクを吐出するように制御装置が制御することにより行うことができる。これによりずれ部分が固形製剤Tの色と同じになるためずれ不良がなくなり、当該固形製剤Tは救済される。つまり、印刷されていない初期状態と同じに戻すことができる。制御装置は、初期状態に戻った固形製剤Tを、再印刷選別装置16を制御して当該固形製剤Tを再印刷用収納箱18に収納させる。再印刷用収納箱16に収納された固形製剤Tは、任意のタイミングで再度、固形製剤印刷機100に投入して、印刷、検査、必要に応じて修正印刷を行う。なお、
図2は、再印刷選別装置16の記載を省略している。
【0054】
なお、実施例3においては、ずれ不良の固形製剤Tに対して、固形製剤Tと同色のインクを吐出してずれ部分にインクを重ねて修正印刷した後、再印刷用収納箱18に収納させ、再度、固形製剤印刷機100に投入して、印刷、検査、必要に応じて修正印刷を行うようにしたが、必ずしもこれに限定されず、固形製剤印刷機の都合により適宜変更が可能である。例えば、修正印刷装置61及び修正印刷装置71の固形製剤回転移動方向下流に別の印刷装置を配置して、救済された固形製剤Tに対して文字等を印刷するように構成してもよい。
【0055】
また、ずれ不良に加えて、欠け不良及び滲み不良があると判断された場合は、全ての不良の不良内容と不良個所が特定される。そして、修正印刷装置61及び修正印刷装置71にて、ずれ不良部分及び滲み不良部分に固形製剤Tと同色のインクを吐出するとともに、欠け部分に文字等の色のインクを吐出するように制御する。これによって、ずれ不良、滲み不良、及び欠け不良が救済される。
【0056】
このように実施例3においては、不良内容をずれ不良と特定し、また当該不良個所を特定して、当該ずれ部分に固形製剤Tと同色のインクを重ねて修正印刷を行った後、文字等を再印刷することにより、文字等がずれて印刷された固形製剤Tであっても救済することができる。