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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-225813(P2017-225813A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】蒸気温熱具及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/03 20060101AFI20171201BHJP
   A61H 33/12 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   A61F7/08 334S
   A61F7/08 334F
   A61F7/08 334H
   A61H33/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2017-115815(P2017-115815)
(22)【出願日】2017年6月13日
(31)【優先権主張番号】特願2016-120864(P2016-120864)
(32)【優先日】2016年6月17日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】土屋 滋美
(72)【発明者】
【氏名】斉田 泰人
(72)【発明者】
【氏名】小田 英志
【テーマコード(参考)】
4C094
4C099
【Fターム(参考)】
4C094AA04
4C094DD09
4C094EE03
4C094GG03
4C099AA01
4C099CA05
4C099EA04
4C099EA08
4C099GA02
4C099JA04
4C099LA04
4C099LA05
4C099LA07
4C099LA11
4C099LA14
4C099NA01
4C099NA20
(57)【要約】
【課題】蒸気感、リラックス感が得られ、鼻及び喉の乾燥感が改善される蒸気温熱具を提供する。
【解決手段】蒸気温熱具は、使用者の口と鼻とを覆う被覆部を有する被覆部材と、前記被覆部の前記使用者側の面に保持される水蒸気発生体と、を備え、使用時に前記被覆部と前記使用者の顔とで挟まれた空間が形成され、下記式(1)〜(3)を満たす。
300≦VG≦1500 (1)
40≦MV≦150 (2)
5≦VG/MV≦25 (3)
(式(1)〜(3)中、VGは前記水蒸気発生体の水蒸気発生開始から10分間に前記空間内に放出される累積水蒸気発生量〔mg〕を示し、MVは前記空間の容積〔mL〕を示す。)
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の口と鼻とを覆う被覆部を有する被覆部材と、
前記被覆部の前記使用者側の面に保持される水蒸気発生体と、
を備え、
使用時に前記被覆部と前記使用者の顔とで挟まれた空間が形成され、下記式(1)〜(3)を満たす、蒸気温熱具。
300≦VG≦1500 (1)
40≦MV≦150 (2)
5≦VG/MV≦25 (3)
(式(1)〜(3)中、VGは前記水蒸気発生体の水蒸気発生開始から10分間に前記空間内に放出される累積水蒸気発生量〔mg〕を示し、MVは前記空間の容積〔mL〕を示す。)
【請求項2】
前記蒸気温熱具の前記被覆部の縦中央線の最大長さ(La)が12〜20cmである、請求項1に記載の蒸気温熱具。
【請求項3】
前記被覆部の上辺の長さ(Lb)に対する、前記被覆部の縦中央線の最大長さ(La)の比(La/Lb)が、0.6〜1.7である、請求項1または2に記載の蒸気温熱具。
【請求項4】
次式(4)を満たす、請求項1乃至3いずれか一項に記載の蒸気温熱具。
30.0≦T≦45.0 (4)
(式(4)中、Tは前記水蒸気発生体の水蒸気発生開始から10分間における前記使用者の鼻部の最高温度〔℃〕示す。)
【請求項5】
前記水蒸気発生体が前記使用者の鼻を覆う領域に保持される、請求項1乃至4いずれか一項に記載の蒸気温熱具。
【請求項6】
前記被覆部材は、前記蒸気温熱具を前記使用者の顔に固定する固定部を有する、請求項1乃至5いずれか一項に記載の蒸気温熱具。
【請求項7】
前記被覆部は、折り畳み可能に構成され、折り畳まれた状態から広げられた状態で使用されることにより前記空間を形成する、請求項1乃至6いずれか一項に記載の蒸気温熱具。
【請求項8】
前記被覆部は、縦中央部に折り畳み線を有し、当該折り畳み線により二つ折りにされた状態から展開されることで前記空間を形成する、請求項7に記載の蒸気温熱具。
【請求項9】
前記水蒸気発生体が被酸化性金属の酸化反応により水蒸気を発生するものである請求項1乃至8のいずれか一項に記載の蒸気温熱具。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の蒸気温熱具を、前記被覆部により前記使用者の鼻及び口を覆うように使用する、蒸気温熱具の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気温熱具及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マスクは、口および鼻を覆うことで、外気中の粉塵、花粉等を遮り、アレルギー性鼻炎、風邪などの予防効果があることが知られている。近年、口および鼻を覆うマスクの機能が多様化し、様々なマスクが開発されている。中でも、蒸気による効能が注目され、のど及び鼻に効果的に蒸気を供給できるマスクに対する要求が高まっている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、中空の保形立体形状となるマスク本体に水蒸気を発生する発熱体を備える水蒸気発生具が開示されている。また、特許文献2には、加湿体を顔面にフィットさせて保湿させる観点から、顔面の形状に倣って変形可能なシートを備えた顔面装着用の加湿体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−73828号公報
【特許文献2】特開2004−358110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らが検討したところ、上記の先行技術文献に開示された技術では、以下の点で改善の余地のあることが判明した。
特許文献1に開示された技術では、マスク本体の中空部の体積が大きいため、蒸気量と蒸気による効果とのバランスにおいて改善の余地があり、需要者の高い要求を充分満たすものではなかった。また、特許文献2には、加湿体を顔面にフィットさせるための技術が開示されているにとどまり、加湿体が発生する蒸気量についても、蒸気による効果についても全く記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、需要者の高い要求に応え、蒸気による効果を効率よく得るために鋭意検討の結果、蒸気温熱具において、特定の条件を満たすことが、上記課題を解決する指針として有効であるという知見を得た。すわなち、水蒸気発生体の水蒸気発生開始から10分間の累積水蒸気量という指標と、使用者の鼻と口を覆う空間容積とを組み合わせ、これらのバランスを高度に制御することで、蒸気感、リラックス感、鼻及び喉の乾燥感の改善を感じることができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、使用者の口と鼻とを覆う被覆部を有する被覆部材と、
前記被覆部の前記使用者側の面に保持される水蒸気発生体と、
を備え、
使用時に前記被覆部と前記使用者の顔とで挟まれた空間が形成され、下記式(1)〜(3)を満たす、蒸気温熱具を提供する。
300≦VG≦1500 (1)
40≦MV≦150 (2)
5≦VG/MV≦25 (3)
(式(1)〜(3)中、VGは前記水蒸気発生体の水蒸気発生開始から10分間に前記空間内に放出される累積水蒸気発生量〔mg〕を示し、MVは前記空間の容積〔mL〕を示す。)
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蒸気感、リラックス感が得られ、鼻及び喉の乾燥感が改善される蒸気温熱具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態における蒸気温熱マスクを模式的に示した斜視図である。
図2】第1実施形態における蒸気温熱マスクの使用状態時のマスクの断面図である。
図3】第1実施形態における蒸気温熱マスクの一部を使用者側の面からみた平面図である。
図4】第1実施形態における蒸気温熱マスクの一部を上面(使用者の目側)からみた断面図である。
図5】第1実施形態における蒸気温熱マスクの変形例を使用者側の面からみた平面図である。
図6】第1実施形態における蒸気温熱マスクの変形例を使用者側の面からみた平面図である。
図7】第3実施形態における蒸気温熱マスクに水蒸気発生体を使用する前の使用者側の面からみた一部平面図である。
図8】第3実施形態における蒸気温熱マスクの一部を上面(使用者の目側)からみた断面図である。
図9】水蒸気発生体の一例を示す断面図である。
図10】通気抵抗測定装置を示す模式図である。
図11】水蒸気発生量を測定する装置を示す模式図である。
図12】第2実施形態における蒸気温熱マスクを模式的に示した斜視図である。
図13】第2実施形態における蒸気温熱マスクの使用状態時の断面図である。
図14】鼻部の温度を測定する方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、本明細書中において「〜」は特に断りがなければ以上から以下を表す。また、各実施形態に記載される構成・要素は発明の効果を損なわない限りにおいて適宜組み合わせることもできる。
【0011】
本実施形態において、シート等の通気度は、以下のようにして計測することができる。
通気度はJIS P8117(2009年改正版)によって測定される値であり、一定の圧力のもとで100mlの空気が6.42cmの面積を通過する時間として定義される。したがって、通気度の数値が大きいことは空気の通過に時間がかかること、即ち通気性が低いことを意味している。逆に、通気度の数値が小さいことは通気性が高いことを意味している。このように、通気度の数値の大小と通気性の高低とは逆の関係を示す。通気度は、王研式通気度計で計測することができる。
なお、本明細書中において、この通気度が30000秒/100ml以上となるものを「難通気」、80000秒/100ml以上となるものを「非通気」であるものとして扱う。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、蒸気温熱マスク100の一例を示す斜視図である。蒸気温熱マスク100は、マスク本体部101を有するマスク110と水蒸気発生体120とを備えるものである。図2は、蒸気温熱マスク100の使用状態の一例を示す図である。図3は、第1実施形態におけるマスク110の一部を使用者側の面からみた平面図である。図4は、第1実施形態におけるマスクの一部を上面(使用者の目側)からみた断面図である。
【0013】
本実施形態において、蒸気温熱マスク100はマスク110と水蒸気発生体120とが分離され、この水蒸気発生体120は、収容体104に出し入れ可能であり、使用時に収容体104に収納して使用する蒸気温熱マスクセットが記載されている。ただし、蒸気温熱マスク100は、マスク110の収容体104内部に水蒸気発生体120が予め封入されたものであってもよい。
【0014】
〔蒸気温熱マスク〕
蒸気温熱マスク100は、使用者の口と鼻とを覆うマスク本体部101を有するマスク110と、マスク本体部101の使用者側の面に保持される水蒸気発生体120と、を備え、使用時にマスク本体部101と使用者の顔とで挟まれた空間が形成され、下記式(1)〜(3)を満たすものである。
300≦VG≦1500 (1)
40≦MV≦150 (2)
5≦VG/MV≦25 (3)
(式(1)〜(3)中、VGは水蒸気発生体120の水蒸気発生開始から10分間に上記空間内に放出される累積水蒸気発生量〔mg〕を示し、MVは上記空間の容積〔mL〕を示す。)
【0015】
VGは水蒸気発生体120の水蒸気発生開始から10分間に上記空間内に放出される累積水蒸気発生量〔mg〕を示す。すなわち、蒸気温熱マスク100が装着された後、最初の10分間に適切な量の水蒸気を供給することにより、より効果的に蒸気による効果を与えることができる。また、最初の10分間において蒸気による効果が印象づけられることで、その後においても効果が持続し、リラックス感や鼻・喉の潤い感を与えられるようになる。VGは、300以上であり、水蒸気による効果をより与える観点から、好ましくは400以上である。
【0016】
MVは空間の容積〔mL〕を示し、蒸気温熱マスク100使用時にマスク本体部101と使用者の顔とで挟まれた空間の容積である。例えば、図2に示すように、蒸気温熱マスク100を適切に装着すると、マスク本体部101と使用者の顔とで挟まれた空間が形成される。すなわち、マスク本体部101の使用者側の面と使用者の顔とで挟まれた空間である。
ここで、マスク本体部101と使用者の顔とで挟まれた空間とは、マスク本体部101が使用者の顔に接することにより形成される閉じられた空間に限られず、マスク本体部101と使用者の顔との間にわずかな隙間を有するものであってもよい。隙間は、通常の方法でマスクを装着した際に生じるものであって、水蒸気発生体120が発生する蒸気による効果が損なわれない程度の大きさである。また、隙間がある場合の空間の容積は、隙間形成部分においてはマスク本体部101の縁部の形状に沿って空間が形成されているものとして測定することができる。
【0017】
MVは、次のようにして測定することができる。
有限会社デジタルヒューマンテクノロジー社製の平均人頭データ(出願時における最新データ)を用いて造形された人頭モデルを使用し、蒸気温熱マスク100の使用状態を再現し、三次元データ化して、測定することができる。また特開2012−205926号公報に示されているように、マスクの内側に液不透過性のフィルムを配置し、この部分に水を注ぎ、マスクを装着したのと同じ状態になるようにし、下向きに顔をつけて、残った水の量を測定する方法でも、ほぼ同様なMV値が得られるので、蒸気温熱マスクの形状により、三次元データ化が困難な場合は、特開2012−205926号公報に開示されている方法でMVを測定してもよい。
【0018】
VG/MVは、5以上25以下であり、蒸気感、リラックス感、乾燥感の改善のバランスの観点から、10以上15以下であることが好ましい。
【0019】
〔水蒸気発生量測定法〕
水蒸気発生量は、以下のようにして測定することができる。
水蒸気発生体120の水蒸気発生量は図11に示す装置30を用いて、次のように測定される数値である。図11に示す装置30は、アルミニウム製の測定室(容積4.2L)31、測定室31の下部に除湿空気(湿度2%未満、流量2.1L/分)を流入させる流入路32、測定室31の上部から空気を流出させる流出路33、流入路32に設けられた入口温湿度計34と入口流量計35、流出路33に設けられた出口温湿度計36と出口流量計37、測定室31内に設けられた温度計(サーミスタ)38からなっている。温度計38としては、温度分解能が0.01℃程度のものを使用する。
【0020】
水蒸気発生体120の肌側に位置する面の表面温度の測定は、測定環境温度30℃(30±1℃)において水蒸気発生体120を酸素遮断袋から取り出し、水蒸気発生体120または蒸気温熱マスク100の肌側に位置する面、すなわち水蒸気放出面を上にして測定室31に載置し、金属球(4.5g)をつけた温度計38をその上に載せて計測する。また、この状態で下部より除湿空気を流し、入口温湿度計34と出口温湿度計36で計測される温度及び湿度から測定室31に空気が流入する前後の絶対湿度の差を求め、さらに入口流量計35と出口流量計37で計測される流量から水蒸気発生体120または蒸気温熱マスク100が放出した水蒸気量を算出する。なお、本明細書における水蒸気発生量とは、水蒸気発生体120を酸素遮断袋から取り出した時点を起点とし、10分後までに測定された水蒸気量の総量をいう。
【0021】
なお、蒸気温熱マスク100の水蒸気発生量も、上述した水蒸気発生体120の測定方法と同様にして測定することができる。
【0022】
〔マスク〕
図1、2に示すように、マスク110は、着用時に使用者の鼻と口とを覆うマスク本体部101と、該マスク本体部101の左右両端に設けられた一対の耳掛け部102と、を備える。マスク本体部101は、縦中央部に折り畳み線103を有している。本実施形態において、マスク本体部101を縦方向に二等分する縦中央線上に、折り畳み線103が形成されている。折り畳み線103は、使用時にマスク本体部101が鼻部に沿って突出するための凸部を有し、上部と下部が貼り合わされている。すなわち、折り畳み線103は、マスク本体部101の上端から下端に達する線であり、上部と下部が貼り合わされている領域を含む。なお、マスク本体部101の縦中央部とは、縦中心線を含む幅をもった領域であり、マスク110を適切に使用した際に顔の鼻部を通る縦方向の領域である。
【0023】
マスク本体部101は、折り畳み可能に構成され、折り畳み線103により二つ折りにされる。マスク本体部101は、使用前は、折り畳み線103に沿って山折りにされ、平面状に折り畳まれた状態であるが、使用時には、折り畳み線103とは反対側の辺から開かれ、マスク本体部101が折りたたまれていた内側の面が使用者側の面となるようにして、着用される。折り畳み線103は、マスク110を着用した際に、マスク本体部101の前方へ突出する。
第1実施形態において、折り畳み線103により二つ折りにされた状態から展開されることで、使用者の鼻および口を覆う空間が形成される。折り畳み線103により、マスク本体部101の上部が鼻の形状に沿って密接するため、使用者の顔とマスク本体部101との間の隙間が生じにくくなり、加温加湿効果を高めることができる点から好ましい。
【0024】
なお、第1実施形態では、マスク本体部101が折り畳み線103を有したものについて説明するが、用途等にあわせて、この折り畳み線103を有さない平坦形状のマスク110としてもよい。なお、折り畳み線103を有さない平坦形状のマスク110としては、たとえば、後述する第2実施形態で説明する横方向のプリーツ部を有するマスクが挙げられる。
【0025】
図1、2には、マスク本体部101の縦中央線の最大長さ(La)と、マスク本体部101の上辺の長さ(Lb)が示されている。
マスク本体部101の縦中央線の最大長さ(La)とは、マスク本体部101の幅方向(長手方向)に垂直な線である。また、マスク110を着用した際に使用者の顔の中心を通り、マスク本体部101を二等分にする線である。図1に示すように、第1実施形態において、マスク本体部101の縦中央線の最大長さ(La)は、折り畳み線103の長さに相当する。
マスク本体部101の縦中央線上での断面視において、縦中央線は、直線である場合に限られず、円弧状、凹凸形状を有するもの等であってもよい。また、縦中央線は、マスク本体部101に実在する線であってもよく、仮想の線であってもよい。
【0026】
第1実施形態において、マスク本体部101の縦中央線の最大長さ(La)が12〜20cmであることが好ましい。これにより、マスク本体部101と使用者の顔との間に適度な大きさの空間が形成される。その結果、蒸気感、リラックス感が得られやすくなる。
【0027】
マスク本体部101の上辺の長さ(Lb)とは、マスク本体部101の上側の辺の、一方の端部から、他方の端部までの長さである。また、マスク本体部101の上辺の長さ(Lb)とは、マスク110を着用した際、使用者の目の下方に位置し、使用者の一方の頬部から鼻を経て他方の頬部に至る領域において、マスク本体部101と使用者の顔とが近接または接する部分の長さである。
マスク本体部101の長手方向の両端部に耳掛け部102が形成されている場合、マスク本体部101と耳掛け部102との繋ぎ目が端部となる。
マスク本体部101の上辺は、直線である場合に限られず、円弧状、凸部を有するもの、曲線部を有するものであってもよい。
【0028】
第1実施形態において、マスク本体部101の上辺の長さ(Lb)の合計に対する、マスク本体部101の縦中央線の最大長さ(La)の比(La/Lb)が、0.6〜1.7であることが好ましい。これにより、マスク110が使用者の顔により密接できると共に、マスク本体部101と使用者の顔との間に適度な大きさの空間が形成される。その結果、蒸気感、リラックス感が得られやすくなる。
【0029】
マスク本体部101は、シート状であり、さらに具体的には、一枚のシートから形成されている。
【0030】
マスク本体部101を形成する一枚のシートとは、単一の構造(即ち1プライ)でもよく、或いは複数枚のシートが積層されて一体的な構造(即ちマルチプライ)でもよい。複数枚のシートを用いることにより、各シートに別個の機能を付与することで、マスク本体部101に種々の機能を付与することができる点から好ましい。複数枚のシートを用いる場合には、各シート同士は、全面接合されたラミネート状態でもよく、シート間が離間した状態でもよい。また、各シート間が離間した状態の場合の各シート同士の接合は、マスク本体部101の形状に沿って各シートの縁をシールしてもよく、縁の一部をポイントシールにより接合するのみでもよい。
本実施形態では、図4に示すように、マスク本体部101が単一の構造である例について説明する。
【0031】
マスク本体部101の材料は、マスクの技術分野において従来から用いられているものを用いることができ、一定の通気性を有するものであれば特にその種類に制限はない。例えば、不織布やガーゼ等の繊維シートを用いることができ、加工のしやすさや経済性の観点から不織布を用いることが好ましい。不織布の繊維素材としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル;PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、エチレンプロピレン共重合体等のポリオレフィン;レーヨン;コットン等から選択される1種又は2種以上の繊維で構成されるものが好ましい。また、不織布としては、前記の1種又は2種以上の素材の繊維を用いて、エアスルー法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、メルトブローン法、カード法、熱融着法、水流交絡法、溶剤接着法等により製造されたものを用いることができる。
【0032】
マスク本体部101は、水蒸気発生体120から発生した水蒸気をマスク110内に滞留させる観点、呼吸を楽にする観点から、適度な通気抵抗を有することが好ましい。
具体的には、マスク本体部101の通気抵抗は、好ましくは5Pa以上であり、より好ましくは20Pa以上であり、さらに好ましくは50Pa以上である。また、マスク本体部101の通気抵抗は、好ましくは200Pa以下であり、より好ましくは190Pa以下であり、さらに好ましくは180Pa以下である。
また、マスク本体部101の通気抵抗は、好ましくは5Pa以上200Pa以下であり、より好ましくは、20Pa以上190Pa以下であり、さらに好ましくは、50Pa以上180Pa以下である。なお、マスク本体部101の構造がマルチプライのときは、複数枚のシートを全て重ね合わせた状態で測定される通気抵抗となる。
【0033】
マスク本体部101の通気抵抗は、以下のようにして測定できる。
図10に示すように、マスクテスターMTS−2(柴田科学社製)の通気抵抗評価装置本体70上部に、マスク本体部101のシート材から3.5〜5cm角のサイズに切り出したシート101aを配置し、シート固定用治具71で、漏れがないように固定する。測定は、試験面積7cm(内径30mm)、試験流量10L/min.にて10秒間行い、シート101aへの空気流入側(入口側)と空気流出側(出口側)との差圧から通気抵抗を求める。
【0034】
マスク本体部101の坪量は、マスク110の内部が透けて見えてしまうことを防止する観点や保温性、柔軟性、厚み、シート強度をバランスよく高める観点から、坪量が5g/m以上であることが好ましく、10g/m以上であることがより好ましく、30g/m以上であることがさらに好ましく、また、200g/m以下であることが好ましく、150g/m以下であることがより好ましく、120g/m以下であることがさらに好ましい。また、坪量が5g/m以上200g/m以下であることが好ましく、10g/m以上150g/m以下であることがより好ましく、30g/m以上120g/m以下であることがさらに好ましい。
【0035】
本実施形態において、蒸気温熱マスク100は、水蒸気発生体120を備える。本実施形態において、マスク本体部101に水蒸気発生体120を固定する固定手段を有し、使用時に固定して使用するものとなっている。具体的には、図1、2に示すように、マスク本体部101は、シール部分107により、使用者側の面に収容体104が設けられている。収容体104は、水蒸気発生体120を出し入れ自在に収容するものである。これにより、マスク110を使用した後、水蒸気発生体120を使用前のものと取り替えることで、何回もマスク110を使用することができる。
【0036】
なお、水蒸気発生体120は、予めマスク本体部101に組み込まれていてもよい。
【0037】
収容体104の形成方法としては、図3に示されるように、横方向に並んだ2つの水蒸気発生体120の上部を除く外周を囲うシール部分107aにより形成することができる。具体的には、マスク本体部101の使用者側の面に収容体104を構成するシートを重ね合わせ、図3に示したシール部分107aを熱融着等によりシールする方法や、マスク本体部101を作製する際に、収容体104を構成するシートを重ね合わせ、マスク本体部101の縦中央線を含む近傍の領域をシールし、その後、図3に示したシール部分107aをシールする方法等が挙げられる。これにより、マスク本体101の上方から水蒸気発生体120を挿入できるポケット状の収容体104を形成することができる。
【0038】
なお、収容体104の形成方法は、これに限られない。図5図6は、第1実施形態における蒸気温熱マスクの変形例を使用者側の面からみた平面図である。すなわち、図5、6に示されるように、収容体104は、水蒸気発生体120の下方の一部分が固定されるような位置に、マスク本体部101を構成するシートと、収容体104を構成するシートとを固着したシール部分107b、シール部分107cにより、形成されたものであってもよい。図5には、蒸気温熱マスク100aのマスク本体部101の中央部横方向であって、水蒸気発生体120の下方に接するように延在する直線と、水蒸気発生体120の耳掛け部102側の側面下部の一部に延在する縦方向の直線とからなるシール部分107bが示されている。図6には、蒸気温熱マスク100bのマスク本体部101の中央部よりやや上方の横方向であって、水蒸気発生体120の下部の形状に沿って、変形した直線状のシール部分107cが示されている。
【0039】
本実施形態において、収容体104は、マスク本体部101の縦中央線近傍及びマスク本体部101の上端部近傍に固定されていることが、水蒸気発生体120を所定の位置でマスク本体部101に固定でき、使用者の鼻から頬にかけてのマスク110内の空間を加温加湿しやすくなる点から好ましい。
本実施形態において、収容体104は、上端部又は耳掛け部102側に水蒸気発生体120を出し入れできるよう開口部を有し、その他の端部はマスク本体部101に固定されている。開口部の位置は、特に限定されないが、マスク110着用時において水蒸気発生体120が収容体104外に出ないものであればよい。また、収容体104の大きさは、水蒸気発生体120を収容しつつ水蒸気発生体120の位置を固定できるものであればよい。
【0040】
収容体104は、通気性を有し、マスク本体部101と同様の材料とすることができる。収容体104の通気抵抗は、過度な発熱を防止しつつ、水蒸気発生体120による加温加湿性能をマスク110内に効果的に付与する観点から、1Pa以上100Pa以下であることが好ましく、より好ましくは1Pa以上50Pa以下であり、さらに好ましくは1Pa以上30Pa以下である。
【0041】
耳掛け部102は、蒸気温熱マスク100を使用者の顔に固定するものである。耳掛け部102は、マスク本体部101の長手方向(X方向)の左右端部に一対で設けられている。
本実施形態において、耳掛け部102は、図1,2に示すように、ゴム紐のような伸縮性をもった紐状の材料をマスク本体部101の端部に形成されている。
耳掛け部102は、マスク本体部101と同様な材料であってもよく、異なる材料であってもよい。
【0042】
なお、耳掛け部102は、マスク本体部101と一体となった伸縮性を有する部材を用いても形成してもよい。
【0043】
〔水蒸気発生体〕
水蒸気発生体120は、マスク本体部101の使用者側の面に保持されている。水蒸気発生体120は、使用者の鼻を覆う領域に保持されることが好ましい。
より詳細には、着用した際にマスク本体部101の使用者側に、鼻部と頬部の間の顔の窪みと水蒸気発生体120で囲まれた空間を生じさせ、水蒸気発生を抑制せずにマスク110内の温度と絶対湿度を高める観点から、図1に示すように、マスク本体部101の縦中央線近傍及びマスク本体部101の上端近傍に、左右対称に取り付けられることが好ましい。
縦中央線近傍及びマスク本体部101の上端部近傍とは、縦中央線およびマスク本体部101の上端部に接する場合に限られず、折り畳み線103およびマスク本体部101の上端部の周囲の領域を示しており、マスク本体部101に取り付けられた水蒸気発生体120が使用者の鼻部を覆う領域である。
また、水蒸気発生体120の位置は、マスク110を装着した際に水蒸気発生を抑制せずにマスク110内の温度と絶対湿度を高める観点から、水蒸気発生体120の鼻側端部が直線状である場合は、当該直線の両端の縦中央線からの各最短距離の平均が、また、水蒸気発生体120の鼻側端部が曲線状である場合は、当該曲線の縦中央線からの最短距離が、15mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましい。また、水蒸気発生体120の位置は、同様の観点から、水蒸気発生体120の上側端部のマスク本体部101の上端部からの最短距離が15mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましい。
【0044】
なお、水蒸気発生体120は、使用者の鼻部の少なくとも一部を覆うように配置されることが好ましく、鼻部から頬部に跨って配置されることが、着用した際にマスク本体部101の肌側に、鼻部と頬部の間の顔の窪みと水蒸気発生体120で囲まれた空間が生じ、水蒸気発生を抑制せずにマスク110内の温度と絶対湿度を高める観点から好ましい。
【0045】
また、水蒸気発生体120の平面形状は、特に限定されず、円形、多角形等であってもよい。製造効率、取り扱い易さ、加温加湿効果の観点から、長方形、略正方形等の四角形が好ましく、取り扱いやすさの観点から略正方形がより好ましい。また、水蒸気発生体120の鼻側端部が直線状である場合、マスク本体部101の縦中央線の水蒸気発生体120に接する部分は直線状であることが好ましい。
【0046】
水蒸気発生体120をマスク110に対して着脱できるような態様とする場合、水蒸気発生体120は、使用前は、酸素遮断袋に入っている。
酸素遮断袋は、その全体が酸素バリア性を有し、水蒸気発生体120が空気中の酸素と接触しないようになっている。酸素遮断袋の酸素バリア性の材料としては、例えばその酸素透過係数(ASTM D3985)が10cm・mm/(m・day・MPa)以下、特に2cm・mm/(m・day・MPa)以下であるようなものが好ましい。具体的には、エチレン−ビニルアルコール共重合体やポリアクリロニトリル等のフィルム、又はそのようなフィルムにセラミック若しくはアルミニウム等を蒸着したフィルム等が挙げられる。
また、水蒸気発生体120がマスク110に対して封入されている態様を採用する場合は、このマスク110全体を酸素遮断袋に封入して、水蒸気発生体120と空気中の酸素との接触を避ければよい。
【0047】
〔水蒸気発生部〕
図9に示すように、水蒸気発生体120は内部に水蒸気発生部121を収容している。本実施形態において、水蒸気発生体120は、水蒸気発生部121、およびこれを収容する袋体122を有している。袋体122は、使用者側(肌側)の面に第1シート122A、及び使用者側(肌側)の面とは反対側の面に第2シート122Bを備える。
なお、水蒸気発生体120は、空気中の酸素と反応することにより、発熱すると共に水蒸気を発生するものである。これにより、温められた水蒸気を供給することができる。
【0048】
水蒸気発生部121は種々の形態をとり得る。水蒸気発生部121は、例えば、粉体の混合物、抄造シートなどのシート状、または基材に分散液等を塗布した塗工シートのいずれであってもよい。
【0049】
水蒸気発生部121は、被酸化性金属、吸水剤、水、電解質、その他必要に応じて反応促進剤等を含んでいる態様が挙げられる。
水蒸気発生部121が空気と接触すると、それに含まれている被酸化性金属の酸化反応が起こり、熱が発生する。この熱によって水蒸気発生部121に含まれている水が加熱されて所定温度の水蒸気となり、袋体122を通じて外部へ放出される。水蒸気は、袋体122のうち通気性部位から外部へ放出される。これにより、簡便な方法で蒸気を得ることができる。
【0050】
被酸化性金属は、酸化反応熱を発する金属であり、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、及びカルシウムから選ばれる1種又は2種以上の粉末あるいは繊維が挙げられる。中でも、取り扱い性、安全性、製造コスト、保存性及び安定性の点から鉄粉が好ましい。鉄粉としては、例えば、還元鉄粉、及びアトマイズ鉄粉から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0051】
被酸化性金属が粉末である場合、酸化反応が効率的に行われるという観点から、その平均粒径が、0.1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。同様の観点から、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましい。
さらに、塗工性を良好にする観点から、平均粒径が10μm以上200μm以下であることが好ましく、平均粒径が20μm以上150μm以下であることがより好ましい。
また、繊維状物等の保水材への定着性、反応のコントロールを良好にする観点から、粒径が0.1〜150μmのものを50質量%以上含有するものを用いることも好ましい。
なお、被酸化性金属の粒径は、粉体の形態における最大長さをいい、篩による分級、動的光散乱法、レーザー回折・散乱法等により測定される。
【0052】
水蒸気発生部121における被酸化性金属の含有量は、坪量で表して、100g/m以上であることが好ましく、200g/m以上であることがより好ましい。また、水蒸気発生部121における被酸化性金属の含有量は、坪量で表して3000g/m以下であることが好ましく、1600g/m以下であることがより好ましい。
また、好ましくは、100g/m以上3000g/m以下であり、さらに好ましくは、200g/m以上1600g/m以下である。これにより、水蒸気発生体120の発熱温度を所望の温度に上昇させることができる。
ここで、被酸化性金属の含有量は、JIS P8128に準じる灰分試験や、熱重量測定器で求めることができる。他に外部磁場を印加すると磁化が生じる性質を利用して振動試料型磁化測定試験等により定量することができる。
【0053】
吸水剤としては、水の保持が可能なものであればその種類に特に制限はないが、例えば、炭素成分、繊維状物、吸水性ポリマー、及び吸水性の粉体から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。吸水剤は、水蒸気発生部121の形態に応じて適切なものが用いられる。
【0054】
炭素成分としては、保水能、酸素供給能、及び、触媒能を有するものを用いることができ、例えば、活性炭、アセチレンブラック、及び黒鉛から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。このなかでも、活性炭が好ましく、椰子殻炭、木粉炭、及びピート炭から選ばれる1種又は2種以上の微細な粉末状物又は小粒状物がより好ましい。中でも、良好な加温加湿効果を得る観点から、木粉炭がさらに好ましい。
【0055】
吸水剤は、平均粒径が10μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがさらに好ましい。また、吸水剤は、平均粒径が200μm以下であることが好ましく、さらには、100μm以下であることが好ましい。
また、吸水剤は平均粒径が10μm以上200μm以下であることが好ましく、平均粒径が12μm以上100μm以下であることがより好ましい。
なお、吸水剤の平均粒径は、粉体の形態における最大長さをいい、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される。炭素成分は粉体状の形態のものを用いることが好ましいが、粉体状以外の形態のものを用いることもでき、例えば、繊維状の形態のものを用いることもできる。
【0056】
繊維状物としては、天然又は合成の繊維状物を特に制限無く用いることができる。
天然の繊維状物としては、例えばコットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わら等の植物繊維が挙げられる。また羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルパカ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維等の動物繊維が挙げられる。更に、石綿等の鉱物繊維が挙げられる。
一方、合成の繊維状物としては、例えばレーヨン、ビスコースレーヨン、キュプラ、アセテート、トリアセテート、酸化アセテート、プロミックス、塩化ゴム、塩酸ゴム等の半合成繊維が挙げられる。またナイロン、アラミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンに加え、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン等の合成高分子繊維が挙げられる。更に金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維等を用いることもできる。これらの繊維は単独でまたは混合して用いることもできる。これらの中でも、被酸化性金属や反応促進剤との定着性、水蒸気発生部121の柔軟性、酸素透過性、シート形態の維持機能、製造コスト等の点から、木材パルプ、コットン、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維が好ましく用いられる。また、木材パルプ、コットンは、鉄粉等の固体物を担持、固定化する機能を有している。
【0057】
吸水性ポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収・保持できる架橋構造を持つ親水性のポリマー等が挙げられる。
【0058】
吸水性の粉体としては、バーミキュライト、ケイ酸カルシウム、おがくず、アルミナ、シリカゲル、及びパルプ粉末から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0059】
水蒸気発生部121がシート状である場合には、吸水剤として繊維状物を用いることが好ましい。この理由は、繊維状物が保水材としての機能と、水蒸気発生部121がシート形態を維持する機能とを兼ね備えるからである。その結果、被酸化性金属の偏りが起こりにくくなり、水蒸気発生部121はその発熱温度分布が均一になる。
【0060】
水蒸気発生部121が粉体からなる混合物である場合には、吸水剤として高吸収性ポリマー、バーミキュライト、ケイ酸カルシウム、シリカゲル、シリカ系多孔質物質、アルミナ、木粉などを用いることが好ましい。
【0061】
吸水剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上であり、より好ましくは1質量部以上であり、さらに好ましくは3質量部以上である。また、吸水剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、好ましくは100質量部以下であり、より好ましくは80質量部以下であり、さらに好ましくは60質量部以下である。
また、吸水剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、0.3質量部以上100質量部以下が好ましく、1質量部以上80質量部以下がより好ましく、3質量部以上60質量部以下がさらに好ましい。こうすることで、得られる水蒸気発生体120中に、酸化反応を持続させるために必要な水分を蓄積できる。また、水蒸気発生部121への酸素供給が十分に得られて発熱効率が高い水蒸気発生体120が得られる。また、得られる発熱量に対する水蒸気発生体120の熱容量を小さく抑えることができるため、発熱温度上昇が大きくなり、所望の温度上昇が得られ、発熱反応を促進させることができる。
【0062】
なお、吸水剤の含有量は、坪量で表して、4g/m以上290g/m以下であることが好ましく、更に7g/m以上160g/m以下であることが好ましい。このようにすることで、水蒸気発生部121の厚みを薄くすることができ、製品として嵩張らず、柔軟性がでる。たとえば、水蒸気発生部121の厚みを0.1mm以上2mm以下とすることができる。
【0063】
電解質としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属又は遷移金属の硫酸塩、炭酸塩、塩化物又は水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点からアルカリ金属、アルカリ土類金属又は遷移金属の塩化物が好ましく用いられ、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄が好ましく用いられる。
【0064】
水蒸気発生部121は、水を含む。水は、電解質水溶液(たとえば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の水溶液)由来のものであってもよく、また、水単独で、水蒸気発生部121に添加されたものでもよく、特に限定されない。
【0065】
水蒸気発生部121における水分量は、被酸化性金属100質量部に対し、35質量部以上200質量部以下であることが好ましい。水蒸気発生部121の水分量を被酸化性金属100質量部に対し、200質量部以下とすることで、水蒸気発生部121が良好に発熱し、発熱温度の立ち上がりが速くなる(昇温時間が速くなる)。また、水蒸気発生部121の水分量を被酸化性金属100質量部に対し、35質量部以上とすることで、水蒸気発生部121の発熱反応に必要な水分量を確保でき、水蒸気発生部121の発熱反応を良好に持続させることができる。
このように、水蒸気発生部121の水分量を被酸化性金属100質量部に対し、35質量部以上、200質量部以下とすることで、良好な発熱状態の水蒸気発生部121とすることができる。すなわち、水蒸気発生部121の水分量は発熱速度を左右する。被酸化性金属100質量部に対し、水分量を35質量部以上、200質量部以下とすることで良好に発熱し、発熱温度の立ち上がりが速く、発熱温度が持続する。
同様の観点から、水蒸気発生部121の水分量は被酸化性金属100質量部に対し、40質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることがさらに好ましい。また、水蒸気発生部121の水分量を被酸化性金属100質量部に対し、200質量部以下であることが好ましく、150質量部以下であることがより好ましく、100質量部以下であることがさらに好ましく、80質量部以下であることがことさらに好ましい。
また、水蒸気発生部121の水分量は被酸化性金属100質量部に対し、40質量部以上150質量部以下であることがより好ましく、50質量部以上100質量部以下であることがさらに好ましく、50質量部以上80質量部以下であることがことさらに好ましい。
【0066】
水蒸気発生部121は、上述した各成分に加えて、増粘剤、界面活性剤、薬剤、凝集剤、着色剤、紙力増強剤、pH調整剤(例えば、リン酸三カリウムなど)、嵩高剤等を含むこともできる。
【0067】
増粘剤としては、水分を吸収して稠度を増大させるか、チキソトロピー性を付与する物質を用いることができる。例えば、アルギン酸ソーダ等のアルギン酸塩、アラビアゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガムなどの多糖類系増粘剤;デキストリン、α化澱粉、加工用澱粉などの澱粉系増粘剤;カルボキシメチルセルロース、酢酸エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体系増粘剤;ポリビニルアルコール(PVA)などの増粘剤;ステアリン酸塩などの金属石鹸系増粘剤;ベントナイトなどの鉱物系増粘剤等から選ばれた1種又は2種以上の混合物を用いることができる。なかでも、水蒸気発生部121中の水分量を一定に維持する観点から、多糖類系増粘剤が好ましく、キサンタンガムが好ましい。
【0068】
水蒸気発生部121が塗工シートの場合、増粘剤の含有量は、塗工し易さの点から、被酸化性金属100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましい。また、増粘剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、5質量部以下が好ましく、4質量部以下であることがより好ましい。そして、増粘剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下が好ましく、0.2質量部以上4質量部以下であることがより好ましい。
【0069】
また、水蒸気発生部121が、シート状である場合、多数の孔及び/又は切り込みが形成されていることが好ましい。これによってシート状の水蒸気発生部121が薄くても十分に高い発熱特性が得られ、所望の水蒸気放出特性が得られる。当該孔の面積は、0.01〜10mm、特に、0.1〜8mmであることが、十分な発熱特性が得られることから好ましい。同様の理由により、孔は、シート状の水蒸気発生部121に0.1〜20個/cm、特に1〜15個/cm形成されていることが好ましい。孔の形状は、例えば円形、矩形、多角形、楕円形、長円形又はこれらの2種以上の組み合わせなどが挙げられる。一方、切込みを形成する場合、その長さは1〜50mm、特に5〜30mmとすることが好ましい。
【0070】
水蒸気発生部121は、水蒸気発生体120の第1シート122Aと第2シート122Bを備える袋体122に収容されている。すなわち、水蒸気発生体120は、第1シート122Aと第2シート122Bとを含んで構成されており、これらの第1シート122Aと第2シート122Bの周縁部を好ましくは密閉接合することで袋体122が構成されている。第1シート122Aと第2シート122Bの周縁部以外の領域は非接合領域であり、非接合領域内に水蒸気発生部121が配置される。
【0071】
本実施形態において、水蒸気発生部121の使用者側の面に第1シート122Aが配置され、水蒸気発生部121の使用者側の面と反対側の面上に第2シート122Bが配置される。
それぞれの通気度について、以下詳述する。
【0072】
第1シート122Aの通気度は、好ましくは7000秒/100ml以下である。第1シート122Aの通気度は、水蒸気発生体120と鼻部及び頬部の間の顔の窪みで囲まれた空間を保持し、通気性を確保すると共に、水蒸気発生体120からの水蒸気を袋体122外部に多量に放出しやすくする観点から、より好ましくは5000秒/100ml以下であり、さらに好ましくは2500秒/100ml以下であり、ことさら好ましくは1000秒/100ml以下であり、さらには、600秒/100ml以下、10秒/100ml以下、5秒/100ml以下、0秒/100mlの順でより好ましい。
【0073】
このような通気度を有する第1シート122Aとしては、例えば透湿性は有するが透水性を有さない合成樹脂製の多孔性シートを用いることが好適である。具体的には、ポリエチレンまたはポリプロピレンに炭酸カルシウム等を含有させ延伸したフィルムを用いることができる。かかる多孔性シートを用いる場合には、多孔性シートの外面にニードルパンチ不織布、エアスルー不織布、及び、スパンボンド不織布から選択される1種又は2種以上の不織布を始めとする各種の繊維シートをラミネートして、第1シート122Aの風合いを高めてもよい。
また、第1シート122Aは、上記の通気度を満足すれば、その一部が通気性を有しない非通気性シートであってもよい。
【0074】
第2シート122Bは、その一部が通気性を有する通気性シートであってもよいし、通気性を有しない非通気性シートであってもよいが、全体としては通気性の低いシートが採用される。具体的にはこの第2シート122Bの通気度として8000秒/100ml超であることが好ましく、効果的にマスク本体部101内を安定的に加温加湿できる観点から、非通気性シートであることがより好ましい。
【0075】
第2シート122Bは、上記の通気度を満足すれば、用途に応じ、一層又は多層の合成樹脂製のフィルムや、該一層又は多層の合成樹脂製のフィルムの外面にニードルパンチ不織布、エアスルー不織布、及びスパンボンド不織布から選択される1種又は2種以上の不織布を始めとする各種の繊維シートをラミネートして、第2シート122Bの風合いを高めることもできる。具体的には、ポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムからなる2層フィルム、ポリエチレンフィルムと不織布とからなるラミネートフィルム、ポリエチレンフィルムとパルプシートからなるラミネートフィルムなどが用いられるが、ポリエチレンフィルムとパルプシートからなるラミネートフィルムが殊更に好ましい。
【0076】
第2シート122Bは、上述の通気度の値を満足すれば、第1シート122Aと同様の素材を用いることができるし、あるいは、異なる素材を用いることができる。
【0077】
また、第2シート122Bの通気度は、10000秒/100ml以上であることがより好ましく、30000秒/100ml以上とすることがさらに好ましく、80000秒/100ml以上とすることがことさら好ましい。第2シート122Bの通気性をこのように設定することで、水蒸気発生部121で発生した蒸気を第1シート122A側から効率よく放出することができ、水蒸気発生体120の膨張を抑制することができる。
なかでも、被酸化性金属の酸化反応を良好とし、第1シート122A側から多量の水蒸気を発生し易くする観点から、第1シート122Aの通気度を2500秒/100ml以下とし、第2シート122Bの通気度を80000秒/100ml以上とすると殊更に好ましい。
この場合、水蒸気発生部121の使用者側に位置する面と反対側の面上、すなわち水蒸気発生部121から水蒸気発生体120の使用者とは反対側の最外層までの間に、非通気性又は難通気性のシート、より好ましくは、非通気性のシートが配置されている。これにより、水蒸気発生部121により発生した水蒸気が、マスク110の外部に漏れることを抑制し、マスク110内部、すなわち使用者側に、水蒸気を付与することができる。
【0078】
水蒸気発生部121の製造方法の例について、以下、説明する。
水蒸気発生部121がシート状である場合には、例えば本出願人の先の出願にかかる特開2003−102761号公報に記載の湿式抄造法や、ダイコーターを用いたエクストルージョン法を用いることができる。この場合には、まず、被酸化性金属、吸水剤及び反応促進剤を含む成形シートを湿紙抄造法によって形成し、この成形シートに電解質水溶液を添加することでシート状の水蒸気発生部121が得られる。得られたシート状の水蒸気発生部121は1枚で用いてもよく、或いは複数枚を重ねて用いてもよい。或いは1枚の水蒸気発生部121を折り畳み、折り畳まれた複数枚の水蒸気発生部121を重ねて使用してもよい。
【0079】
水蒸気発生部121が粉体により構成される場合には、構成材料を均一混合することで、粉体の水蒸気発生部121が得られる。より具体的には、はじめに高吸収性ポリマー等の吸水剤と被酸化性金属とを均一混合し、そこに電解質水溶液を添加して、吸水剤の表面に被酸化性金属を付着させる。その後、残りの材料である反応促進剤等を添加することで水蒸気発生部121を調製することができる。このようにして水蒸気発生部121を調製することで、酸化反応の立ち上がり時間が早くなり、単位時間当たりの水蒸気の蒸散量が容易に最大となる。
【0080】
また、水蒸気発生部121が、塗工シートからなる場合は、例えば本出願人の先の出願に係る特開2013−146554号公報に記載の方法で、保水シートに発熱粉体水分散液を塗工して、発熱層と保水シートとを備える発熱物の連続長尺物を任意の大きさに裁断して得られるものであってもよい。水蒸気発生部121は、1枚でもよく、複数枚を積層させた多層状態で収容してもよい。
【0081】
ここで、水蒸気発生部121が、塗工シートからなる場合の水蒸気発生体120の構成について、以下、説明する。
図9に示すように、水蒸気発生部121は、基材層121Bと保水シート121Cとの間に、水蒸気発生層121Aを有している。水蒸気発生層121Aと保水シート121Cは直接接触している。水蒸気発生体120は、第1シート122A及び第2シート122Bを有する袋体122内に、保水シート121C側、すなわち第1シート122A側が使用者の肌側に位置し、基材層121Bが第2シート122B側に配置されるよう、水蒸気発生部121を備えている。これにより水蒸気発生部121からの蒸気を第1シート122Aから効率よく排出することができる。
なお、水蒸気発生層121Aは、保水シート121Cの一方の面に設けられてもよいし、保水シート121C及び基材層121Bに挟まれた形で設けられていてもよい。図9には、水蒸気発生層121Aが保水シート121Cと基材層121Bに挟まれた形で設けられている例を示す。
【0082】
保水シート121Cは、水を含有している。水の含有量は、たとえば、当該保水シート121Cの最大吸水量の10質量%以上45質量%以下とすることができる。
【0083】
保水シート121Cの最大吸水量は、以下のようにして算出できる。
保水シート121Cを25cmのサイズにカットした質量(W)を測定した後、5質量%塩化ナトリウム水溶液に5分間浸漬する。ピンセットで取り出して、1分間空気中に吊り下げ放置して抱えきれない水分をしたたり落とした後、質量(W)を測定し、下記の式より最大吸水量(Wmax)を算出する。
max=W−W
【0084】
また、保水シート121Cに含まれる水分量は、坪量で表して、50〜350g/mが好ましく、更に180〜260g/mであることがより好ましい。保水シート121Cに含まれる水分量は水蒸気発生源となるため、保水シート121Cに含まれる水分量を、坪量で表して、好ましくは50g/m以上とすることで、良好な蒸気発生量を確保できる。また、保水シート121Cは、吸水により通気抵抗(吸水膨潤により、乾燥時に比べて通気性が下がる)が発生する。そのため、坪量で表して、好ましくは350g/m以下とすることで、保水シート121Cから蒸気を放出しやすくすることができ、加えて、水蒸気発生層121Aへの通気性が十分に確保されるため、酸素供給が十分に得られて発熱効率が高い水蒸気発生体120が得られる。
【0085】
また、保水シート121Cの通気度は、水分を含んだ状態の通気度で500秒/100ml以下であることが好ましく、通気性、蒸気の通しやすさを考慮すると、300秒/100ml以下であることがより好ましく、50秒/100ml以下であることがさらに好ましい。
なお、水分を含んだ状態(すなわち、水分量が当該保水シート121Cの最大吸水量の15質量%以上30質量%以下)の通気度下限値は、たとえば、1秒/100mlである。
【0086】
ここで、保水シート121Cとしては、水分の吸収保持が可能であり、柔軟性を有するシート材料が用いられる。そのような材料としては、例えば繊維を原料とする紙、不織布、織物、編み物等の繊維シートが挙げられる。またスポンジ等の多孔体などが挙げられる。前記の繊維としては、例えば植物繊維や動物繊維などの天然繊維を主成分とするものや化学繊維を主成分とするもの挙げられる。植物繊維としては、例えばコットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わらから選択される1種又は2種以上が挙げられる。動物繊維としては、例えば羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルパカ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維から選択される1種又は2種以上が挙げられる。化学繊維としては、例えばレーヨン、アセテート、セルロースから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
【0087】
なかでも保水シート121Cとしては、前述した繊維で構成される繊維材料と、吸水性のポリマーとを含むものが好ましい。
【0088】
吸水性ポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収・保持でき且つゲル化し得るヒドロゲル材料を用いることが保水シート121Cに含まれる水の含有量を、保水シート121Cの最大吸水量の15〜30質量%に維持でき好ましい。
吸水性ポリマーの粒子の形状としては、球状、塊状、ブドウ房状、繊維状等が挙げられる。
また、吸水性ポリマーの粒子の粒径は、製造時の取り扱い易さの観点から、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。また、吸水性ポリマーの粒子の粒径は、吸水速度の観点から、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。
また、吸水性ポリマーの粒子の粒径は、1μm以上1000μm以下であることが好ましく、10μm以上500μm以下であることがより好ましい。
なお、吸水性ポリマー粒子の粒径は動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される。
【0089】
吸水性ポリマーの具体例としては、デンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体から選択される1種又は2種以上が挙げられる。中でも、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体を用いることが、好ましい。
【0090】
基材層121Bは、水蒸気発生層121Aの保水シート121Cとは反対側の表面に設けられている。基材層121Bは、水蒸気発生層121Aに直接接触し、水蒸気発生層121Aを被覆している。この基材層121Bは、非通気性又は難通気性のシートのものが好ましく、例えば樹脂シートを用いると好ましい。非通気性又は難通気性のシート(50000秒/100ml以上であり、80000秒/100ml以上が好ましい)とすることで保水シート121C側から蒸気をより確実に放出させることができるのみならず、基材層121B側から気化熱が奪われることを防止できる。
基材層121Bとしては、たとえば合成樹脂フィルムがあげられ、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。
【0091】
なお、保水シート121Cを水蒸気発生層121A上に形成し、基材層121Bを設けない場合、水蒸気発生部121が第2シート122Bに直接接触してしまう可能性があるため、第2シート122Bは耐水性を有するシートとすることが好ましい。
【0092】
また、本実施形態の水蒸気発生体120の単位面積あたりの水蒸気発生量は、使用者に適度な蒸気感を与える観点から、水蒸気発生体120全体として、好ましくは1mg/cm・10min以上であり、より好ましくは1.5mg/cm・10min以上であり、さらに好ましくは5mg/cm・10min以上であり、さらに好ましくは7mg/cm・10min以上であり、ことさらに好ましくは9mg/cm・10min以上である。
また、本実施形態の水蒸気発生体120の単位面積あたりの水蒸気発生量は、マスク中の結露を抑止する観点から、水蒸気発生体120全体として、好ましくは20mg/cm・10min以下であり、より好ましくは18mg/cm・10min以下であり、さらに好ましくは15mg/cm・10min以下である。
また、本実施形態の水蒸気発生体120の単位面積あたりの水蒸気発生量は、水蒸気発生体120全体として、好ましくは1mg/cm・10min以上20mg/cm・10min以下であり、より好ましくは1.5mg/cm・10min以上18mg/cm・10min以下であり、さらに好ましくは5mg/cm・10min以上15mg/cm・10min以下であり、さらに好ましくは7mg/cm・10min以上15mg/cm・10min以下であり、ことさらに好ましくは9mg/cm・10min以上15mg/cm・10min以下である。
【0093】
続いて、蒸気温熱マスク100による効果について説明する。
蒸気温熱マスク100は、使用者の口と鼻とを覆うマスク本体部101を有するマスク110と、マスク本体部101の使用者側の面に保持される水蒸気発生体120と、を備え、使用時にマスク本体部101と使用者の顔とで挟まれた空間が形成され、下記式(1)〜(3)を満たすものである。
300≦VG≦1500 (1)
40≦MV≦150 (2)
5≦VG/MV≦25 (3)
(式(1)〜(3)中、VGは水蒸気発生体120の水蒸気発生開始から10分間に上記空間内に放出される累積水蒸気発生量〔mg〕を示し、MVは上記空間の容積〔mL〕を示す。)
蒸気温熱マスク100によれば、式(1)〜(3)を満たすことにより、使用者に対して効果的に蒸気を供給することができるようになるため、蒸気感、リラックス感が得られ、鼻及び喉の乾燥感が改善できるようになる。また、式(2)を満たすことにより、使用者の鼻及び口を覆う空間が適度な大きさとなり、使用時の装着感が良好になる。
【0094】
また、蒸気温熱マスク100は、次式(4)を満たすことが好ましい。
30.0≦T≦45.0 (4)
(式(4)中、Tは水蒸気発生体120の水蒸気発生開始から10分間における使用者の鼻部の最高温度〔℃〕示す。)
これにより、適度な温感が得られるとともに、蒸気によるリラックス効果をさらに向上できる。すなわち、加温加湿による心地よさと喉や鼻の粘膜の潤い感を向上させ、鼻づまり等による不快感を低減することで呼吸を楽にするとともに、粘膜線毛輸送機能を高め、異物排出機能を促進する効果が得られる。これにより風邪予防の効果が期待できる。さらに、入眠感も誘発される。また、唇部分は、角層が薄いため、温度に敏感であるため、水蒸気発生体120が鼻の横部を温めることで、唇部分が過敏に熱く感じやすいのを低減できる。
【0095】
また、使用者の鼻部の温度は、以下のようにして測定することができる。
図14に示すように、蒸気温熱マスク100を装着する前に鼻の穴の前にデジタル温湿度センサーSH−T75(センシリオン社製)を肌に触れないように配置し、サージカルテープで動かないように固定する。20℃60%RH環境下、蒸気温熱マスクを装着し、温湿度評価キットEK−H4(センシリオン社製)により、1秒毎の温湿度変化を測定する。
【0096】
蒸気温熱マスク100は、たとえば、以下のようにして使用される。
すなわち、マスク110と水蒸気発生体120が分離されている場合、蒸気温熱マスク100は、酸素遮断袋を開封して水蒸気発生体120を取り出し、マスク110の所定の位置に固定する。蒸気温熱マスク100は、各耳掛け部102を使用者の耳に掛けて、マスク本体部101を使用者の口と鼻を覆うように装着される。
また、水蒸気発生体120がマスク110における収容体104に予め封入されている場合は、通常、蒸気温熱マスク100全体として、酸素遮断袋に封入される。この場合の使用方法としては、この酸素遮断袋を開封の上、蒸気温熱マスク100を取り出し、各耳掛け部102を使用者の耳に掛けて、マスク本体部101を使用者の口と鼻を覆うように装着する。
【0097】
そして、水蒸気発生体120が保持されたマスク本体部101により、使用者の口と鼻を覆うように使用することで、水蒸気発生体120がマスク本体部101内で発生した水蒸気が使用者の口と鼻から吸引されることになる。
【0098】
(第2実施形態)
第1実施形態では、マスク本体部101が、縦中央部に円弧状の折り畳み線103を有し、折り畳み線103により二つ折りにされた状態から展開されることで空間を形成する蒸気温熱マスク100について説明したが、第2実施形態では、マスク本体部101が、横方向のプリーツ部を有する蒸気温熱マスク200について説明する。以下、第1実施形態と同様の構成、効果についての説明は適宜省略する。
【0099】
図12(a)は、第2実施形態における蒸気温熱マスク200の使用前の状態を模式的に示した斜視図であり、図12(b)は、第2実施形態における蒸気温熱マスク200の使用状態を模式的に示した斜視図である。図13は、第2実施形態における蒸気温熱マスク200の使用状態時の断面図である。
【0100】
図12(a)に示すように、蒸気温熱マスク200は、マスク本体部101の横方向(長手方向)に3つのプリーツ部108を有している。これにより、マスク本体部101は、折り畳み可能となっている。図12(b)に示すように、使用時には、プリーツ部108は折り畳まれた状態からマスク本体部101の縦方向(短手方向)に拡幅され、使用者の鼻と口を覆う空間を形成することができる。すなわち、折り畳まれた状態から広げられた状態で使用されることにより、マスク本体部101と使用者の顔とで挟まれた空間を形成することができる。
なお、プリーツ部108の数は、1つまたは2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
【0101】
第2実施形態において、MVは、図13に示すように、マスク本体部101のプリーツ部108を広げて蒸気温熱マスク200を装着した際、マスク本体部101と使用者の顔とで挟まれた空間の容積として算出される。
【0102】
また、第2実施形態において、マスク本体部101の縦中央線の最大長さ(La)とは、図13に示すように、マスク本体部101のプリーツ部108を広げて蒸気温熱マスク200を適切に装着した際の、マスク本体部101の最上端から最下端までの長さ(道のり)である。
第2実施形態において、マスク本体部101の縦中央線の最大長さ(La)が12〜20cmであることが好ましい。これにより、マスク本体部101と使用者の顔との間に適度な大きさの空間が形成される。
【0103】
また、図12(a)には、マスク本体部101の上辺の長さ(Lb)が示されている。第2実施形態において、マスク本体部101の上辺の長さ(Lb)の合計に対する、マスク本体部101の縦中央線の最大長さ(La)の比が、0.6〜1.4であることが好ましい。
これにより、マスク110が使用者の顔により密接できると共に、マスク本体部101と使用者の顔との間に適度な大きさの空間が形成される。
【0104】
蒸気温熱マスク200は、マスク本体部101の上辺に可撓性部材109を備える。これにより、マスク本体部101の形状を使用者の顔の凹凸に合わせて変形できると共に、変形した形状が保持できるようになる。そのため、マスク本体部101と使用者の顔とをより密接させることができる。可撓性部材109としては、例えば、樹脂製または金属製のワイヤーなどが挙げられる。
【0105】
なお、上記第1実施形態、及び第2実施形態では、耳掛け部102を有する例について説明したが、耳掛け部102を有さなくてもよく、マスク本体部101を使用者が手などで保持し、使用者の顔に密接させてもよい。この場合、マスク本体部101の形状は、特に限定されず、カップ状、ドーム状であってもよい。または、通常の耳掛け部を有するマスク内に、カップ状、ドーム状のマスク本体部101を収納させ、使用者の鼻と口を覆うようにマスク本体部101を密接させてもよい。
また、上記第1実施形態、及び第2実施形態では、蒸気温熱具100を使用者の顔に固定する固定部として、耳掛け部102を有する例について説明したが、蒸気温熱具100を使用者の顔に固定する固定部としては、頭部に装着することで使用者の顔に固定してもよい。例えば、伸縮性を有する帯、または一対の帯等を頭部に巻き付けてもよい。
【0106】
(第3実施形態)
第1実施形態では、固定手段として収容体104が用いられた蒸気温熱マスク100について説明したが、第3実施形態では、固定手段として、粘着剤が用いられた蒸気温熱マスク300について説明する。以下、第1実施形態や第2実施形態と同様の構成、効果についての説明は適宜省略する。
【0107】
図7は、第3実施形態における蒸気温熱マスクに水蒸気発生体を装着する前の使用者側の面からみた一部平面図である。図8は、第3実施形態におけるマスクの一部を上面(使用者の目側)からみた断面図である。
【0108】
〔マスク〕
マスク本体部101は、上記第1実施形態や第2実施形態と同様の素材を用いることができる。
本実施形態において、図7に示すように、蒸気温熱マスク300のマスク本体部101の使用者側の面には、水蒸気発生体120を貼付する位置がわかるようにマーキング領域105が形成されていることが好ましい。図8に示すように、マーキング領域105上に、粘着剤106を介して、水蒸気発生体120がマスク本体部101に固定されている。マーキング領域105は、印刷にて領域内の色を変えてもいいし、エンボス加工を施してもよい。また、マーキング領域105は、周囲に実線、点線等のラインを設けたものであってもよい。
【0109】
また、装着感を高める観点から、水蒸気発生体120の第1シート122Aと使用者との間に、風合いの良いシート材料であるエアスルー不織布などの不織布が配されてもよい(図示なし)。この場合、不織布は、水蒸気の通過を阻害しない程度の通気性を有していることが好ましい。またさらに、不織布が水蒸気により濡れることに起因して、水蒸気の通過を阻害せず、かつ、空気の流入を阻害しないよう、撥水性を有することがより好ましい。
このような不織布は、水蒸気発生体120の第1シート122A上に形成されたものでもよく、マスク110の使用者側の面に開閉自在に取り付けられ、水蒸気発生体120を貼付後、閉じられるものであってもよい。
【0110】
〔粘着剤〕
本実施形態において、水蒸気発生体120の使用者側とは反対の面、すなわち、第2シート122Bの使用者側とは反対の面には、粘着剤106が設けられている。これにより、水蒸気発生体120をマスク110に安定的に固定できる。
粘着剤106は、少なくとも水蒸気発生体120をマスク本体部101に固定できればよく、大きさ、形状は特に限定されない。
【0111】
粘着剤106としては、好ましくはホットメルト粘着剤が用いられる。ホットメルト粘着剤は一般に粘着基剤、粘着付与樹脂及び軟化剤を構成成分として含有している。ホットメルト粘着剤の種類としては、例えば合成ゴム系、ポリオレフィン系(Polyethylene(PE)系、Ethylene Vinyl Acetate(EVA)系、Ethylene−Ethyl−Acrylate(EEA)系、Atactic Polypropylene(APP)系、Amorphous PolyAlpha Olefin(APAO)系等)、ポリアミド系(ナイロン系、ポリアミド系等)、ポリエステル系、アクリル系等が含まれる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。特に保存性、粘着力、安全性等の面から、合成ゴム系、ポリオレフィン系、アクリル系、ポリアミド系が好ましく、とりわけ合成ゴム系が好ましい。
【0112】
粘着剤106は、蒸気温熱マスク300の使用前の状態においては剥離紙によって保護されるとともに外部に付着しないようになっている。剥離紙は、特に限定されず用いることができる。
【0113】
なお、マスク本体部101の使用者側の面に、粘着剤が設けられていてもよい。具体的には、マスク本体部101の縦中央線近傍及びマスク本体部101の上端部近傍に、左右対称に一対に設けられている。これにより、水蒸気発生体120の固定位置がわかりやすくなる。この場合、繰り返し使える粘着剤とすることが好ましい。
【0114】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0115】
第1実施形態では、第1シートの通気度が7000秒/100ml以下、第2シートの通気度が8000秒/100ml超であることが好ましい例について説明したが、第2シートの通気度が250秒/100ml以上8000秒/100ml以下であり、第1シートの通気度が第2シートの通気度に対して20%以下としてもよい。これにより、水蒸気発生部121により発生した水蒸気が、マスク110の外部に漏れることを抑制し、マスク110内部、すなわち使用者側に、水蒸気を付与することができる。これにより、マスク内に加温した水蒸気を積極的に発生させ、マスク内の絶対湿度を高めることができ、加温加湿による心地よさと喉や鼻の粘膜の潤い感を向上させることができる。また、このような効果により、鼻づまり等による不快感を低減することで呼吸を楽にし、粘膜線毛輸送機能を高め、異物排出機能を促進する効果が得られる。
【0116】
第2シート122Bは、その一部が通気性を有する通気性シートであってもよいし、一部が通気性を有しない非通気性シートであってもよいが、全体として、この第2シート122Bの通気度として250秒/100ml以上8000秒/100ml以下であることが好ましい。また、水蒸気発生体の異常発熱を防止する観点、水蒸気発生部121から発生した水蒸気を適切に分配し、水蒸気を使用者側に十分に適用する観点から、4000秒/100ml以上7500秒/100ml以下であることがより好ましく、5000秒/100ml以上7000秒/100ml以下であることがさらに好ましい。
【0117】
第1シート122Aの通気度は、水蒸気発生部121から発生した水蒸気を適切に分配し、水蒸気を使用者側に十分に適用する観点、水蒸気発生体の膨らみを抑制して蒸気温熱マスク着用時の息苦しさを防止する観点から、好ましくは第2シート122Bの通気度の20%以下であり、より好ましくは10%以下であり、さらには、5%以下、3%以下、1%以下、0%の順でより好ましい。
【0118】
第1シート122Aの通気度は、この第2シート122Bの通気度の20%以下であるという条件を満たす中から適宜選択することができるが、水蒸気発生部121から発生した水蒸気を適切に分配し、水蒸気を使用者側に十分に適用する観点、水蒸気発生体の膨らみを抑制して蒸気温熱マスク着用時の息苦しさを防止する観点から、具体的には、好ましくは1600秒/100ml以下であり、より好ましくは1000秒/100ml以下であり、さらには、250秒/100ml以下、10秒/100ml以下、5秒/100ml以下、0秒/100mlの順でより好ましい。
【0119】
第1シート122A、第2シート122Bとしては、上記の通気度を満足すれば、第1実施形態に記載されたものと同様の材料を用いたシートとすることができる。
【0120】
また、上記実施形態では、水蒸気発生体120は、マスク110に、別々に2個貼付けられる例について説明したが、2個の水蒸気発生体120が一つの袋体により連なった構造であってもよい。
【0121】
また、上記実施形態では、マスク本体部101が、一枚のシートから形成され、折り畳み線103で左右対称に折られている例について説明したが、マスク本体部101は、同形の二枚のシートを重ね合わせ、一辺を貼り合わせることで折り畳み線103を形成したものであってもよい。この場合に用いられるシートは、上記実施形態で説明したものと同様のものを用いることができる。
【0122】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の組成物、製造方法、或いは用途を開示する。
<1>使用者の口と鼻とを覆う被覆部を有する被覆部材と、前記被覆部の前記使用者側の面に保持される水蒸気発生体と、を備え、使用時に前記被覆部と前記使用者の顔とで挟まれた空間が形成され、下記式(1)〜(3)を満たし、好ましくは(3')をも満たす蒸気温熱具。
300≦VG≦1500 (1)
40≦MV≦150 (2)
5≦VG/MV≦25 (3)
10≦VG/MV≦15 (3')
(式(1)〜(3)、(3')中、VGは前記水蒸気発生体の水蒸気発生開始から10分間に前記空間内に放出される累積水蒸気発生量〔mg〕を示し、MVは前記空間の容積〔mL〕を示す。)
【0123】
<2>前記蒸気温熱具の前記被覆部の縦中央線の最大長さ(La)が12〜20cmである、<1>に記載の蒸気温熱具。
<3>前記被覆部の上辺の長さ(Lb)に対する、前記被覆部の縦中央線の最大長さ(La)の比(La/Lb)が、0.6〜1.7であり、好ましくは0.6〜1.4である、<1>または<2>に記載の蒸気温熱具。
<4>次式(4)を満たす、<1>乃至<3>いずれか一に記載の蒸気温熱具。
30.0≦T≦45.0 (4)
(式(4)中、Tは前記水蒸気発生体の水蒸気発生開始から10分間における前記使用者の鼻部の最高温度〔℃〕示す。)
<5>前記水蒸気発生体が前記使用者の鼻を覆う領域に保持される、<1>乃至<4>いずれか一に記載の蒸気温熱具。
<6>前記被覆部材は、前記蒸気温熱具を前記使用者の顔に固定する固定部を有し、好ましくは耳掛け部を有する、<1>乃至<5>いずれか一に記載の蒸気温熱具。
<7>前記被覆部は、折り畳み可能に構成され、折り畳まれた状態から広げられた状態で使用されることにより前記空間を形成する、<1>乃至<6>いずれか一に記載の蒸気温熱具。
<8>前記被覆部は、縦中央部に円弧状の折り畳み線を有し、当該折り畳み線により二つ折りにされた状態から展開されることで前記空間を形成する、<7>に記載の蒸気温熱具。
<9>前記被覆部は、横方向(長手方向)にプリーツ部を有し、当該プリーツ部により折り畳まれた状態から縦方向(短手方向)に拡幅されることで前記空間を形成する、<7>に記載の蒸気温熱具。
<10>前記水蒸気発生体が被酸化性金属の酸化反応により水蒸気を発生するものである<1>乃至<9>のいずれか一に記載の蒸気温熱具。
<11>前記水蒸気発生体は水蒸気発生部を有し、前記水蒸気発生部は、被酸化性金属、炭素成分、及び水を含有し、好ましくはさらにリン酸三カリウムを含有する発熱組成物を有する、<1>乃至<10>のいずれか一に記載の蒸気温熱具。
<12>前記水蒸気発生部における水分量は、前記被酸化性金属100質量部に対し、35質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることがさらに好ましく、一方、200質量部以下であることが好ましく、150質量部以下であることがより好ましく、100質量部以下であることがさらに好ましく、80質量部以下であることがことさらに好ましい、<11>に記載の蒸気温熱具。
<13>前記水蒸気発生体の単位面積あたりの水蒸気発生量は、好ましくは1mg/cm・10min以上であり、より好ましくは1.5mg/cm・10min以上であり、さらに好ましくは5mg/cm・10min以上であり、さらに好ましくは7mg/cm・10min以上であり、ことさらに好ましくは9mg/cm・10min以上であり、一方、好ましくは20mg/cm・10min以下であり、より好ましくは18mg/cm・10min以下であり、さらに好ましくは15mg/cm・10min以下である、<1>乃至<12>のいずれか一に記載の蒸気温熱具。
<14>前記水蒸気発生体は、前記水蒸気発生部を収容する袋体を有し、前記袋体の少なくとも一部の通気度が、好ましくは7000秒/100ml以下であり、より好ましくは5000秒/100ml以下であり、さらに好ましくは2500秒/100ml以下であり、ことさら好ましくは1000秒/100ml以下であり、さらには、600秒/100ml以下、10秒/100ml以下、5秒/100ml以下、0秒/100mlの順でより好ましい、<1>乃至<13>のいずれか一に記載の蒸気温熱具。
<15>前記袋体が、第1シートと第2シートの周縁部を接合したものであり、前記第1シートの通気度が、好ましくは7000秒/100ml以下であり、より好ましくは5000秒/100ml以下であり、さらに好ましくは2500秒/100ml以下であり、ことさら好ましくは1000秒/100ml以下であり、さらには、600秒/100ml以下、10秒/100ml以下、5秒/100ml以下、0秒/100mlの順でより好ましく、前記第2のシートの通気度が、8000秒/100ml超であることが好ましく、10000秒/100ml以上であることがより好ましく、30000秒/100ml以上とすることがさらに好ましく、80000秒/100ml以上とすることがことさら好ましい、<14>に記載の蒸気温熱具。
<16><1>乃至<15>のいずれか一に記載の蒸気温熱具を、前記被覆部により前記使用者の鼻及び口を覆うように使用する、蒸気温熱具の使用方法。
【0124】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例】
【0125】
次に、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
【0126】
<水蒸気発生部の作製>
表1に示す組成の発熱組成物を、次の手順で調製した。
増粘剤を水に溶解し、次いでリン酸三カリウムを溶解して水溶液を用意した。一方で鉄粉、活性炭をプレ混合した粉体を用意し、前記水溶液にプレ混合粉体を入れ、ディスクタービン型攪拌羽根で150rpm、10分間攪拌してスラリー状の発熱組成物を得た。
次に、表2に示す条件で、水蒸気発生層を形成し、水蒸気発生部A〜Fを作製した。表2中、塗工量、食塩量、吸水ポリマー散布量は、水蒸気発生部の1個(4.9cm×4.9cm;面積24.0cm)あたりの量(g/24cm)として示した。
具体的には、ダイコーティング法を用い、得られた発熱組成物を基材層の片面に塗工した。基材層としては、ポリエチレンラミネート紙(ニットク株式会社製)を使用した。次に、塗工面上に食塩(局方塩化ナトリウム(大塚製薬社製))を散布して水蒸気発生層を形成した。
つづけて、得られた水蒸気発生層の発熱組成物が塗工された面側にさらに吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、球状、平均粒子径300μm、アクアリックCA、株式会社日本触媒製)を直接散布し、つづいて、吸水性シートとしてクレープ紙(大昭和紙工産業株式会社製)を上記吸水性ポリマー散布上に積層して一体化し、水蒸気発生部A〜Cをそれぞれ作製した。
また、得られた水蒸気発生層上に、さらに保水シートを重ねて水蒸気発生部Dを作製した。保水シートとしては、木材パルプ製の紙(秤量20g/m、伊野紙株式会社製)と吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、球状、平均粒子径300μm、秤量70g/m、アクアリックCA、株式会社日本触媒製)と木材パルプ製の紙(坪量30g/m、伊野紙株式会社製)を積層して一体化したポリマーシートを使用した。
また、得られた水蒸気発生部Dを、保水シートが肌側(第1シート側)に配置されるように2層に重ね、水蒸気発生部Eを作製した。
また、得られた水蒸気発生部Dを、保水シートが肌側(第1シート側)に配置されるように3層に重ね、水蒸気発生部Fを作製した。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
<水蒸気発生体の作製>
得られた水蒸気発生部A〜Fそれぞれについて、第1シート、及び第2シートからなる袋体で被覆し、水蒸気発生体を作製した。
具体的には、表2に示す第1シート及び第2シートを用意した。第1シートと第2シートとの間に水蒸気発生部A〜Fそれぞれを配置して、周縁部を密閉シールし、水蒸気発生体を得た。このとき、水蒸気発生部A〜Fの基材層は、第2シート側に配置された。この際、通気面とシール部を含めた第1シートの面積は39.7cm(6.3cm×6.3cm)であった。これを1枚とする。
水蒸気発生体は、後述する評価を実施するまで、酸素遮断袋に入れて保存した。
【0130】
<蒸気温熱マスクの作製>
口と鼻を覆う部分となるマスク本体部のシートとして、SMS不織布(スパンボンド(ポリプロピレン)−メルトブローン(ポリプロピレン)−スパンボンド(ポリプロピレン)積層一体型、坪量50g/m)が外側、坪量25gのスパンボンド不織布(ポリプロピレン)が内側(使用者側)となるように2層を重ねた。この際の、マスク本体部の0.3μm以上粒子の遮断率は25%であった。マスク本体部の縦中心の折り畳み線を挟んで両側の上方に1つずつ(計2つ)、収容体のマスク上部以外を熱融着し、水蒸気発生体を収容する収容体を作製した。マスク本体部の端部に伸縮性のあるゴム紐状の耳掛け部を取り付け、立体形状となるマスクを作製した。
マスク本体部の通気抵抗を収容体部分で計測したところ148Pa/30mmΦ・圧差であった。また、収容体に水蒸気発生体を各1つずつ(計2つ)、マスク本体部の2枚の不織布が熱融着されていないマスクの上側から入れ、マスク本体部の折り畳み線近傍及びマスク本体部の上端部近傍(鼻脇)に、左右対称に一対の水蒸気発生体をとりつけ、蒸気温熱マスクとした。
口と鼻を覆う領域の面積は変えず、蒸気温熱マスク装着時のマスク本体部の突出量を変化させ、5種類のMV値を有する蒸気温熱マスクを作成した。
なお、MV値とは、蒸気温熱マスク使用時にマスク本体部と使用者の顔とで挟まれた空間の容積〔mL〕を示す。
【0131】
・実施例および比較例
得られた蒸気温熱マスクを用いて、以下の測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
【0132】
<水蒸気発生量の測定>
水蒸気発生量は図11に示す装置30を用いて、次のように測定される数値とした。
図11に示す装置30は、アルミニウム製の測定室(容積4.2L)31、測定室31の下部に除湿空気(湿度2%未満、流量2.1L/分)を流入させる流入路32、測定室31の上部から空気を流出させる流出路33、流入路32に設けられた入口温湿度計34と入口流量計35、流出路33に設けられた出口温湿度計36と出口流量計37、測定室31内に設けられた温度計(サーミスタ)38からなっている。温度計38としては、温度分解能が0.01℃程度のものを使用した。
水蒸気発生体120の肌側に位置する面の表面温度の測定は、測定環境温度30℃(30±1℃)において水蒸気発生体120を酸素遮断袋から取り出し、水蒸気発生体120または蒸気温熱マスク100の肌側に位置する面、すなわち水蒸気放出面を上にして測定室31に載置し、金属球(4.5g)をつけた温度計38をその上に載せて計測した。また、この状態で下部より除湿空気を流し、入口温湿度計34と出口温湿度計36で計測される温度及び湿度から測定室31に空気が流入する前後の絶対湿度の差を求め、さらに入口流量計35と出口流量計37で計測される流量から水蒸気発生体120または蒸気温熱マスク100が放出した水蒸気量を算出した。
なお、水蒸気発生量とは、水蒸気発生体120を酸素遮断袋から取り出した時点を起点とし、10分後までに測定された水蒸気量の総量をいう。
【0133】
<MV値の測定>
マスク本体部と被験者の顔とで挟まれた空間の容積は、以下のようにして測定した。被験者の素顔とマスクを装着した顔とのそれぞれの3次元形状データを3次元測定器DANAE100(NEC社製)により取得した。得られた2つの3次元形状データを、3次元画像解析ソフト3D−RUGLE(株式会社メディックエンジニアリング社製)により重ねて、マスク装着による凸部の体積計算を行い、この値からマスク本体が占める体積を減じ、MV値(mL)とした。
なお、得られたMV値は、特開2012−205926号公報に示されているように、マスクの内側に液不透過性のフィルムを配置し、この部分に水を注ぎ、被験者がマスクを装着したのと同じ状態になるようにして、下向きに顔をつけて、残った水の量を測定する方法と、ほぼ同様であった。また、得られたMV値は、上述の有限会社デジタルヒューマンテクノロジー社製の平均人頭データを用いて造形された人頭モデルを使用して測定したMV値ともほぼ同様であった。
【0134】
<マスク本体部の縦中央線の最大長さ(La)、及びマスク本体部の上辺の長さ(Lb)の測定>
マスク本体部の縦中央線の最大長さ(La)、及びマスク本体部の上辺の長さ(Lb)を、顔にマスクを着用し、巻き尺を用いて測定した。
【0135】
<温度(Tmax)の測定>
図14に示すように、蒸気温熱マスクを着用する前に使用者の鼻の穴の前にデジタル温湿度センサーSH−T75(センシリオン社製)を肌に触れないように配置し、サージカルテープで動かないように顔面に固定した。20℃60%RH環境下、蒸気温熱マスクを着用し、温湿度評価キットEK−H4(センシリオン社製)により、1秒毎の温湿度変化を測定した。水蒸気発生体の水蒸気発生開始から10分間において測定された温度の最高温度をTmax〔℃〕とした。
【0136】
<評価>
22℃の環境において、男性5名の被験者にて蒸気温熱マスクの装着感を評価した。蒸気温熱マスクを装着した状態での温感、蒸気感(潤い感)、感覚の変化、気分の変化を以下の基準で評価し、最も人数の多い点数を選びスコア化した。
・装着感
1:小さい、息苦しい感じ
2:やや小さい
3:ちょうどよい大きさ
4:やや大きい
5:大きい、邪魔な感じ
・温感
1:ぬるい
2:少しぬるい
3:ちょうどよい温かさ
4:少し熱い
5:熱い
・蒸気感
1:蒸気量が少ない
2:蒸気量がやや少ない
3:ちょうどよい蒸気量
4:蒸気量がやや多い
5:蒸気量が多い
・感覚の変化(蒸気温熱マスク装着30分後)
1:鼻・喉の乾燥感が全く改善しなかった
2:鼻・喉の乾燥感がわずかに改善した
3:鼻・喉の乾燥感が少し改善した
4:鼻・喉の乾燥感が改善した
5:鼻・喉の乾燥感が著しく改善した
・気分の変化(蒸気温熱マスク装着30分後)
1:なにも変わらなかった
2:わずかにリラックスした気分になった
3:少しリラックスした気分になった
4:リラックスした良い気分になった
5:大いにリラックスした良い気分になった
【0137】
【表3】
【符号の説明】
【0138】
30 装置
31 測定室
32 流入路
33 流出路
34 入口温湿度計
35 入口流量計
36 出口温湿度計
37 出口流量計
38 温度計
70 通気抵抗評価装置本体
71 シート固定治具
100 蒸気温熱マスク
100a 蒸気温熱マスク
100b 蒸気温熱マスク
101 マスク本体部
102 耳掛け部
103 折り畳み線
104 収容体
105 マーキング領域
106 粘着剤
107a シール部分
107b シール部分
107c シール部分
108 プリーツ部
109 可撓性部材
110 マスク
120 水蒸気発生体
121 水蒸気発生部
121A 水蒸気発生層
121B 基材層
121C 保水シート
122 袋体
122A 第1シート
122B 第2シート
200 蒸気温熱マスク
300 蒸気温熱マスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14