特開2017-225815(P2017-225815A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイコー化学工業株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社 MTGの特許一覧

<>
  • 特開2017225815-押圧器具 図000003
  • 特開2017225815-押圧器具 図000004
  • 特開2017225815-押圧器具 図000005
  • 特開2017225815-押圧器具 図000006
  • 特開2017225815-押圧器具 図000007
  • 特開2017225815-押圧器具 図000008
  • 特開2017225815-押圧器具 図000009
  • 特開2017225815-押圧器具 図000010
  • 特開2017225815-押圧器具 図000011
  • 特開2017225815-押圧器具 図000012
  • 特開2017225815-押圧器具 図000013
  • 特開2017225815-押圧器具 図000014
  • 特開2017225815-押圧器具 図000015
  • 特開2017225815-押圧器具 図000016
  • 特開2017225815-押圧器具 図000017
  • 特開2017225815-押圧器具 図000018
  • 特開2017225815-押圧器具 図000019
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-225815(P2017-225815A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】押圧器具
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/22 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   A45D44/22 A
   A45D44/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-118298(P2017-118298)
(22)【出願日】2017年6月16日
(31)【優先権主張番号】特願2016-119734(P2016-119734)
(32)【優先日】2016年6月16日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108926
【氏名又は名称】ダイコー化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】趙 明剛
(57)【要約】
【課題】金属製のベアリングを廃しても、回転体の回転を良好に維持することができるとともに、シャフト部材に対する回転体のガタを抑制することができる押圧器具を提供する。
【解決手段】略球状の回転部材から成るとともに、表面が人体に押圧され得る回転体1と、把持可能な把持部2の先端に形成されたシャフト部3と、回転体1とシャフト部3との間に介装され、シャフト部3に対して当該回転体1を回転自在に支持する連結部材4とを有し、把持部2を把持しつつ回転体1の表面を人体に押圧し得る押圧器具において、連結部材4は、回転体1に対してシャフト部3の軸方向に常時付勢力を付与する付勢手段としてのコイルスプリング8を具備したものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略球状の回転部材から成るとともに、表面が人体に押圧され得る回転体と、
把持可能な把持部の先端に形成されたシャフト部と、
前記回転体とシャフト部との間に介装され、前記シャフト部に対して当該回転体を回転自在に支持する連結部材と、
を有し、前記把持部を把持しつつ前記回転体の表面を人体に押圧し得る押圧器具において、
前記連結部材は、前記回転体に対して前記シャフト部の軸方向に常時付勢力を付与する付勢手段を具備することを特徴とする押圧器具。
【請求項2】
前記付勢手段は、弾性部材から成ることを特徴とする請求項1記載の押圧器具。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記シャフト部に挿通されたコイルスプリングから成ることを特徴とする請求項2記載の押圧器具。
【請求項4】
前記連結部材は、前記付勢手段の付勢力によって前記シャフト部の軸方向に変位可能なカラーを具備し、当該付勢手段の付勢力により前記連結部材を前記シャフト部に押圧させ得ることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の押圧器具。
【請求項5】
前記シャフト部に対して前記連結部材及び回転体が回転し得るとともに、前記付勢手段による付勢力は、当該連結部材及び回転体の重量に抗し得る値に設定されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の押圧器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容等を目的として、回転体の表面を人体に押圧し得る押圧器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時において、美容を目的とした美容用品が種々提供されるに至っており、その一つとして例えば略球状の回転部材から成る回転体と、把持可能とされるとともに回転体を回転自在に支持するシャフト部が先端に形成された把持部とを具備した押圧器具が提案されている。かかる押圧器具は、例えば顔面の皮膚に回転体の表面を押圧させつつ回転させ、所望部位に繰り返し押圧力を付与させるものとされている。
【0003】
さらに、従来の押圧器具として、例えば特許文献1にて開示されているように、回転体とシャフト部との間に介装されて当該シャフト部に対して回転体を回転自在に支持する連結部材を具備したものが挙げられる。かかる従来の押圧器具は、その連結部材に金属製のベアリング(ボールベアリングやニードルベアリング等)が形成されており、シャフト部に対して回転体を円滑に回転させ得るよう構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−236650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の押圧器具においては、内部に金属製のベアリングが形成されていたため、例えば浴槽や洗面所等で使用した場合、金属製のベアリングが水に浸ってしまい、錆等が発生して円滑な回転を阻害してしまう虞があった。そこで、金属製のベアリングを用いないでシャフト部に対して回転体を回転させる構造が求められていたが、その場合、シャフト部の軸方向に対して回転体との間に回転のためのクリアランスを形成する必要がある。
【0006】
しかるに、回転体及びシャフト部には製造上の寸法公差があることから、回転体をシャフト部に組み付ける際にばらつきが生じてしまい、クリアランスが過大となってしまうと必要以上にガタが生じてしまうとともに、反対にクリアランスがなくなってしまうと回転体を良好に回転させることができなくなってしまうという問題があった。なお、錆が生じにくい金属製のベアリングを用いることも考えられるが、その場合、高価なベアリングが必要とされ、製造コストが嵩んでしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、金属製のベアリングを廃しても、回転体の回転を良好に維持することができるとともに、シャフト部材に対する回転体のガタを抑制することができる押圧器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、略球状の回転部材から成るとともに、表面が人体に押圧され得る回転体と、把持可能な把持部の先端に形成されたシャフト部と、前記回転体とシャフト部との間に介装され、前記シャフト部に対して当該回転体を回転自在に支持する連結部材とを有し、前記把持部を把持しつつ前記回転体の表面を人体に押圧し得る押圧器具において、前記連結部材は、前記回転体に対して前記シャフト部の軸方向に常時付勢力を付与する付勢手段を具備することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の押圧器具において、前記付勢手段は、弾性部材から成ることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の押圧器具において、前記弾性部材は、前記シャフト部に挿通されたコイルスプリングから成ることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の押圧器具において、前記連結部材は、前記付勢手段の付勢力によって前記シャフト部の軸方向に変位可能なカラーを具備し、当該付勢手段の付勢力により前記連結部材を前記シャフト部に押圧させ得ることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1つに記載の押圧器具において、前記シャフト部に対して前記連結部材及び回転体が回転し得るとともに、前記付勢手段による付勢力は、当該連結部材及び回転体の重量に抗し得る値に設定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、連結部材は、回転体に対してシャフト部の軸方向に常時付勢力を付与する付勢手段を具備するので、金属製のベアリングを廃しても、回転体の回転を良好に維持することができるとともに、シャフト部に対する回転体のガタを抑制することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、付勢手段は、弾性部材から成るので、回転体に対して所望の付勢力を確実に付与することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、弾性部材は、シャフト部に挿通されたコイルスプリングから成るので、弾性部材をシャフト部に容易に取り付けることができるとともに、回転体に対して所望の付勢力をより確実に付与することができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、連結部材は、付勢手段の付勢力によってシャフト部の軸方向に変位可能なカラーを具備し、当該付勢手段の付勢力により連結部材をシャフト部に押圧させ得るので、回転体に対して付勢手段の付勢力を安定して付与することができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、シャフト部に対して連結部材及び回転体が回転し得るとともに、付勢手段による付勢力は、当該連結部材及び回転体の重量に抗し得る値に設定されたので、回転体が下方に向かう方向に把持した場合であっても、回転体に対して付与される付勢手段の付勢力を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る押圧器具を示す正面図及び側面図
図2図1におけるII−II線断面図
図3】同押圧器具における回転体及びシャフト部を示す正面図
図4図3におけるIV−IV線断面図
図5】同押圧器具の先端部側の分解図
図6図5におけるVI−VI線断面図
図7】本発明の第2の実施形態に係る押圧器具における回転体及びシャフト部を示す正面図
図8図7におけるVIII−VIII線断面図
図9】同押圧器具の先端部側の分解図
図10図9におけるX−X線断面図
図11】本発明の実施形態に係る押圧器具に適用される他の形態のカラーを示す平面図及び側面図
図12】本発明の他の実施形態(回転体を2つ具備)に係る押圧器具を示す斜視図
図13】同押圧器具を示す側面図及び正面図
図14図13におけるA−A線断面図
図15】本発明の更に他の実施形態(回転体を4つ具備)に係る押圧器具を示す斜視図
図16】同押圧器具を示す側面図及び正面図
図17図16におけるB−B線断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係る押圧器具は、美容を目的として顔面の皮膚を押圧しつつ微弱電流を付与可能とされたもので、図1〜6に示すように、回転体1と、先端にシャフト部3が形成された把持部2と、係止爪4aが形成された連結部材4と、カラー5と、電源部7と、コイルスプリング8(付勢手段)とから主に構成されている。
【0020】
回転体1は、略球状の回転部材から成るとともに、表面が人体(例えば顔面の肌)に押圧され得るよう構成されている。本実施形態に係る回転体1は、少なくともその表面が通電可能な導電性材料で構成されており、電源部7から供給される電力にて微弱電流が流れ得るようになっている。また、回転体1は、図4、6に示すように、その下部から上方に向かって延びる挿通凹部Aが形成されており、当該挿通凹部Aにシャフト部3の先端側が挿通して連結可能とされている。
【0021】
なお、挿通凹部Aの所定位置には、連結部材4の係止爪4aが係止可能な係止部1aが形成されている。把持部2は、回転体1を回転自在に支持するシャフト部3が先端に形成されるとともに、片手で握って把持可能な棒状部から成る。かかる把持部2には、太陽光を受けて発電し得る太陽光発電器等の電源部7が内部に収容されており、上述のように、回転体1に微弱電流等を供給可能とされている。
【0022】
シャフト部3は、把持部2の先端に取り付けられる金属製のシャフト状部材から成り、図4〜6に示すように、周方向に亘ってそれぞれ形成された段形状3a〜3dを有して構成されている。そして、シャフト部3の先端側に連結部材4を介して回転体1が組み付けられると、図4に示すように、段形状3aに連結部材4の下面4bが当接しつつ段形状3bにCリング6の開口縁部6aが当接するようになっている。
【0023】
連結部材4は、回転体1とシャフト部3との間に介装され、シャフト部3に対して当該回転体1を回転自在に支持するためのもので、本実施形態においては、シャフト部3の先端側に取り付けられて回転体1と把持部2とを連結するための樹脂製の筒状部材から成る。かかる連結部材4は、図4〜6に示すように、その中央部においてシャフト部3を挿通可能な挿通孔4cが形成されるとともに、側面に複数の係止爪4aが形成されている。これら係止爪4aは、連結部材4と一体成形された部位から成り、当該連結部材4の側方に所定寸法突出するとともに、内側に向かって撓み得る爪状とされている。
【0024】
すなわち、係止爪4aは、通常状態において、連結部材4の側面から所定寸法突出した突出状態とされており、内側に向かって負荷が付与されると、内側に撓んで当該側面に没入した没入状態とされるのである。そして、連結部材4がシャフト部3の先端側に取り付けられた後、回転体1の挿通凹部Aに挿通される過程において、係止爪4aは、当該挿通凹部Aの内周壁面で内側に押圧されて没入状態とされるとともに、係止部1aの形成位置に達すると、突出状態に戻って当該係止部1aと係止し得るようになっている。
【0025】
なお、カラー5は、その中央部においてシャフト部3を挿通可能な挿通孔5aが形成されており、シャフト部3の先端側が連結部材4の挿通孔4c及びカラー5の挿通孔5aを挿通して取り付けられるとともに、更に先端側にCリング6が取り付けられており、シャフト部3から連結部材4及びカラー5が抜け落ちてしまうのを防止し得るよう構成されている。かかるカラー5は、連結部材4に形成された取付凹部fに嵌合することにより、当該連結部材4の軸方向に変位可能に取り付けられている。
【0026】
しかして、シャフト部3の先端側に連結部材4(カラー5が取り付けられた状態)を取り付け、Cリング6にて抜け止めを図った後、回転体1の挿通凹部Aに挿通して連結部材4の係止爪4aを係止部1aに係止させることにより組み付けが行われる。これにより、回転体1の表面を人体の肌に押圧しつつ移動させると、連結部材4がシャフト部3を中心として回転するので、その部位においてマッサージ効果を得ることができ、美容によい影響が及ぼされるのを期待することができる。
【0027】
一方、把持部2の内部には、電気的に接続された板状の導電性部材E1及び環状の導電性部材E2が配設されており、板状の導電性部材E1の一端が電源部7のプラス端子に接続されるとともに、環状の導電性部材E2がシャフト部3の基端に形成された細径部(段形状)3dに接触して組み付けられている。また、電源部7のマイナス端子は、把持部2の表面に形成された導電性部材E3に接続されている。さらに、本実施形態に係る連結部材4は、例えば導電性樹脂等の導電性材料から成り、シャフト部3と電気的に接触して組み付けられているとともに、シャフト部3と回転体1との間には絶縁性の部材9が取り付けられている。
【0028】
これにより、把持部2を把持して導電性部材E3に接触した状態で人体の所望部位(顔面等)に回転体1を接触させて転動させると、電源部7からの電流(微弱電流)が導電性部材E1、E2、シャフト部3及び連結部材4を介して回転体1まで流れるので、回転体1によるマッサージ効果に加え、微弱電流を表皮に付与することによる電気的効果を期待することができる。
【0029】
ここで、本実施形態に係る連結部材4は、内部に付勢手段としてのコイルスプリング8を圧縮状態にて収容するとともに、そのコイルスプリング8(付勢手段)の付勢力によってシャフト部3の軸方向(図4中上方)に変位可能なカラー5を具備している。すなわち、コイルスプリング8は、その一端が連結部材4に当接しつつ他端がカラー5の下面5bに当接して収容されるとともに、所定寸法圧縮されており、コイルスプリング8の付勢力がカラー5及びCリング6に付与されるようになっている。
【0030】
そして、コイルスプリング8の付勢力が付与されたカラー5は、Cリング6と共に上方に変位しようとし、当該Cリング6の開口縁部6aをシャフト部3の段形状3bに押圧させるとともに、その反力によって連結部材4の下面4bがシャフト部3の段形状3aに押圧される。このように、本実施形態においては、コイルスプリング8を具備しているので、カラー5及びCリング6を介して、回転体1に対してシャフト部3の軸方向に常時付勢力を付与することができるのである。
【0031】
すなわち、本実施形態に係る連結部材4は、コイルスプリング8(付勢手段)の付勢力によってシャフト部3の軸方向に変位可能なカラー5を具備し、当該コイルスプリング8の付勢力により連結部材4をシャフト部3に押圧させ得るように構成されているので、コイルスプリング8の付勢力により、カラー5を変位させてガタを吸収しつつ連結部材4をシャフト部3に押圧させることができ、当該連結部材4とシャフト部3との間の電気的接触を確実に維持することができるのである。
【0032】
コイルスプリング8にて付与される付勢力は、回転体1及び連結部材4とシャフト部3との間のガタを吸収しつつシャフト部3に対する回転体1及び連結部材4の回転を円滑に維持する程度に設定されるのが好ましく、特に本実施形態においては、連結部材4及び回転体1の重量(回転部総重量)に抗し得る値(バネ荷重)に設定されている。例えば、コイルスプリング8のバネ荷重を連結部材4及び回転体1の重量(回転部総重量)の1.1〜3.0倍程度に設定するのが好ましい。
【0033】
コイルスプリング8として、線径d=0.5mm、有効巻数Na=4.5、線中心径=φ6、弾性係数G=6.85×10、自由長5mmのものを使用する場合、k=G・d/8・Na・D=6.85×10×0.5/8×4.5×6(N/mm)=56(gf/mm)となる。そして、カラー5及びCリング6の変位変化によるバネ荷重の変化(Δf)は、変位変化前のバネ荷重をf1、変位をΔX1とし、変位変化後のバネ加重をf2、変位をΔX2とすると、Δf=f2−f1=k(ΔX2−ΔX1)となる。
【0034】
したがって、変位変化によるバネ荷重の変化率(Δf/f1)=k(ΔX2−ΔX1)/(k・ΔX1)=(ΔX2−ΔX1)/ΔX1となり、ΔX1=2、ΔX2−ΔX1=0.1とした場合、0.1/2=5%となる。これにより、コイルスプリング8によって軸方向に付与されるバネ荷重f1(付勢力)=k・ΔX1=−56×2=112(gf)となり、連結部材4及び回転体1の重量(回転部総重量)の2.6倍程度に設定されている。
【0035】
次に、本発明に係る第2の実施形態の押圧器具について説明する。
本実施形態に係る押圧器具は、第1の実施形態と同様、美容を目的として顔面の皮膚を押圧しつつ微弱電流を付与可能とされたもので、図7〜10に示すように、回転体1と、先端にシャフト部3が形成された把持部2(図1、2参照)と、係止爪4aが形成された連結部材4と、カラー5と、電源部7と、コイルスプリング8(付勢手段)とから主に構成されている。なお、第1の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0036】
本実施形態に係る連結部材4は、内部に付勢手段としてのコイルスプリング8を圧縮状態にて収容するとともに、そのコイルスプリング8(付勢手段)の付勢力によってシャフト部3の軸方向(図8中下方)に変位可能なカラー5’を具備している。すなわち、コイルスプリング8は、その一端が連結部材4に当接しつつ他端がカラー5’の上面5’bに当接して収容されるとともに、所定寸法圧縮されており、コイルスプリング8の付勢力がカラー5’及びCリング6に付与されるようになっている。
【0037】
そして、コイルスプリング8の付勢力が付与されたカラー5’は、下方に変位しようとし、当該カラー5’の下面をシャフト部3aに押圧させるとともに、その反力によってCリング6の開口縁部6aがシャフト部3の段形状3bに押圧される。このように、本実施形態においては、コイルスプリング8を具備しているので、カラー5’及びCリング6を介して、回転体1に対してシャフト部3の軸方向に常時付勢力を付与することができるのである。
【0038】
コイルスプリング8にて付与される付勢力は、回転体1及び連結部材4とシャフト部3との間のガタを吸収しつつシャフト部3に対する回転体1及び連結部材4の回転を円滑に維持する程度に設定されるのが好ましく、特に本実施形態においては、連結部材4及び回転体1の重量(回転部総重量)に抗し得る値(バネ荷重)に設定されている。例えば、コイルスプリング8のバネ荷重を連結部材4及び回転体1の重量(回転部総重量)の1.5〜2倍程度に設定するのが好ましい。
【0039】
上記第1、2の実施形態によれば、連結部材4は、回転体1に対してシャフト部3の軸方向に常時付勢力を付与するコイルスプリング8(付勢手段)を具備するので、金属製のベアリングを廃しても、回転体1の回転を良好に維持することができるとともに、シャフト部3に対する回転体1のガタを抑制することができる。特に、付勢手段は、弾性部材から成るので、回転体に対して所望の付勢力を確実に付与することができ、更には、弾性部材が、シャフト部3に挿通されたコイルスプリング8から成るので、コイルスプリング8(弾性部材)をシャフト部3に容易に取り付けることができる(すなわち、シャフト部3にコイルスプリング8を挿通させることにより容易に位置決めして取り付け可能)とともに、回転体1に対して所望の付勢力をより確実に付与することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る連結部材4は、コイルスプリング8(付勢手段)の付勢力によってシャフト部3の軸方向に変位可能なカラー(5、5’)を具備し、当該カラー(5、5’)を介してコイルスプリング8(付勢手段)の付勢力が回転体1又はシャフト部3に付与されるので、回転体1に対してコイルスプリング8(付勢手段)の付勢力を安定して付与することができる。
【0041】
さらに、本実施形態によれば、シャフト部3に対して連結部材4及び回転体1が回転し得るとともに、コイルスプリング8(付勢手段)による付勢力(バネ荷重)は、当該連結部材4及び回転体1の重量に抗し得る値に設定されたので、回転体1が下方に向かう方向に把持した場合であっても、回転体1に対して付与されるコイルスプリング8(付勢手段)の付勢力を維持することができる。
【0042】
加えて、本実施形態においては、連結部材4内にコイルスプリング8(付勢手段)が収容(格納)されているので、コイルスプリング8に対する外部からの物理的接触を抑制することができ、バネとしての性能を安定させることができる。また、本実施形態によれば、シャフト部3に対する回転体1のガタを抑制することができるので、回転体1を顔などに押圧して回転させた際、回転体1のガタに起因する不必要な衝撃が付与されてしまうのを防止することができ、不快感を生じさせてしまうのを回避することができる。
【0043】
さらに、本実施形態に係る回転体1は、略球状とされているため、様々な角度で使用されることが予想されることから、回転体1を顔等の表皮に押圧して回転させる際、連結部材4が回転方向以外にも負荷がかかって摩耗してしまう虞がある。これに対し、本実施形態によれば、連結部材4がコイルスプリング8の付勢力により予圧されているので、摩耗によって生じた隙間を埋めることができ、ガタが生じてしまうのを防止することができる。
【0044】
しかるに、第1実施形態及び第2実施形態におけるカラー5、5’に代えて、図11に示すようなカラー10としてもよい。かかるカラー10は、中央にシャフト部3を挿通し得る挿通孔10aが形成された筒状部材から成るとともに、その側面には、側方に突出した突出部Sが形成されている。この場合、連結部材4の取付凹部fには、カラー10における突出部Sの輪郭形状に倣った溝部faが形成されており、カラー10を取付凹部fに取り付けると、突出部Sが溝部faに合致して嵌合し得るとともに、カラー10全体が連結部材4の軸方向に変位可能とされている。
【0045】
このようなカラー10によれば、連結部材4に取り付けられてコイルスプリング8の付勢力を受け得るとともに、突出部Sによる嵌合によって、回転体1が回転した場合であっても、連結部材4に対する相対的な回転を防止することができる。これにより、回転体1を回転させた際、連結部材4に対してカラー10が相対的に回転してしまい、コイルスプリング8が変形して特性に影響が及ぼされてしまうのを回避することができる。
【0046】
すなわち、連結部材4に対してカラー10が回転してしまうと、その回転力がコイルスプリング8に伝わって捩れが生じてしまい、バネの性能が設定したものからずれてしまう虞があるので、本実施形態の如くカラー10を連結部材4に嵌合して回転を防止することにより、コイルスプリング8に対して回転力が伝わってしまうのを回避し、バネの性能を安定させることができるのである。特に、本実施形態に係るカラー10によれば、突出部Sが溝部faに嵌合しているので、取付凹部f内において軸方向に変位する際、連結部材4に対して傾斜してしまうのを抑制でき、良好な変位を行わせることができる。
【0047】
なお、図11においては、カラー10に突出部Sが形成されるとともに連結部材4に溝部faが形成されているが、連結部材4に突出部Sを形成し、カラー10に当該突出部Sを嵌合し得る溝部faを形成するようにしてもよい。また、突出部S及び溝部faは、本実施形態の如くカラー10及び連結部材4にそれぞれ2つずつ形成されたものの他、1つずつ形成されたもの、或いは3つ以上形成されたものとしてもよい。
【0048】
さらに、第1実施形態及び第2実施形態においては、回転体1を1つ有するものとされているが、図12〜14に示すように、把持部2に対して2つの回転体1を有するものとしてもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様、略球状の回転部材から成るとともに、表面が人体に押圧され得る2つの回転体1と、これら回転体1に対応して配設され、把持部2の先端に形成されたシャフト部3と、これらシャフト部3に対応して配設され、シャフト部3に対して回転体1を回転自在に支持する連結部材4とを有し、各連結部材4は、回転体1に対してシャフト部3の軸方向に常時付勢力を付与するコイルスプリング8(付勢手段)をそれぞれ具備するものとされている。
【0049】
かかる構成によれば、金属製のベアリングを廃しても、それぞれの回転体1の回転を良好に維持することができるとともに、シャフト部3に対する各回転体1のガタを抑制することができる。したがって、人体に対して2つの回転体1を同時に押し付けて回転させた際、2つの回転体1において回転差が生じてしまうのを抑制することができ、マッサージ効果を一層向上させることができる。
【0050】
またさらに、図15〜17に示すように、把持部2に対して4つの回転体1を有するものとしてもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様、略球状の回転部材から成るとともに、表面が人体に押圧され得る4つの回転体1と、これら回転体1に対応して配設され、把持部2の先端に形成されたシャフト部3と、これらシャフト部3に対応して配設され、シャフト部3に対して回転体1を回転自在に支持する連結部材4とを有し、各連結部材4は、回転体1に対してシャフト部3の軸方向に常時付勢力を付与するコイルスプリング8(付勢手段)をそれぞれ具備するものとされている。
【0051】
かかる構成によれば、金属製のベアリングを廃しても、それぞれの回転体1の回転を良好に維持することができるとともに、シャフト部3に対する各回転体1のガタを抑制することができる。したがって、人体に対して4つの回転体1を同時に押し付けて回転させた際、4つの回転体1において回転差が生じてしまうのを抑制することができ、マッサージ効果を一層向上させることができる。
【0052】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば電源を具備せず回転体1による押圧効果のみ期待するものとしてもよい。また、本実施形態に係るコイルスプリング8は、回転体1に対してシャフト部3の軸方向に常時付勢力を付与する付勢手段であれば、他の形態(トーションスプリングや板バネ等の異なる種類のスプリングや樹脂等の弾性体など)としてもよい。さらに、適用される付勢手段として、バネ等の付勢手段の他、ゴム材や樹脂材等の弾性部材を用いることができる。
【0053】
またさらに、本実施形態においては、連結部材4に係止爪4aが形成され、回転体1に形成された係止部1aに当該係止爪4aを係止して組み付けているが、回転体1に係止爪を形成し、連結部材4に形成された係止部に当該係止爪を係止して組み付けるようにしてもよい。また、本実施形態に係る回転体1は、略球状の回転部材とされているが、楕円形状の回転部材から成るもの、或いはくびれを有した回転部材等としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
回転体に対してシャフト部の軸方向に常時付勢力を付与する付勢手段を具備する押圧器具であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能は付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 回転体
1a 係止部
2 把持部
3 シャフト部
3a〜3d 段形状
4 連結部材
4a 係止爪
4b 下面
4c 挿通孔
5 カラー
5a 挿通孔
6 Cリング
6a 開口縁部
7 電源部
8 コイルスプリング(付勢手段)
9 絶縁部材
10 カラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17