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特開2017-225821ミルク−空気エマルジョンを形成する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-225821(P2017-225821A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】ミルク−空気エマルジョンを形成する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20171201BHJP
   A47J 31/40 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   A47J31/44 410
   A47J31/40 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-122005(P2017-122005)
(22)【出願日】2017年6月22日
(31)【優先権主張番号】10 2016 111 423.5
(32)【優先日】2016年6月22日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510098962
【氏名又は名称】メリッタ プロフェッショナル コーヒー ソリューションズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Melitta Professional Coffee Solutions GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ブーフホルツ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ディースター
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA27
4B104BA33
4B104BA34
4B104BA38
4B104BA40
4B104BA64
4B104CA02
4B104DA13
4B104DA22
4B104DA44
4B104DA45
4B104DA47
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ミルク−空気エマルジョンの品質および性質の、有利には連続的な監視および調整を可能にする、ミルク−空気エマルジョンを形成する方法を提供すること。
【解決手段】ミルクフォームを形成する装置であって、装置が、少なくとも、a)ミルクにより貫流されるミルク管路3と、b)ミルク−空気エマルジョンを形成する少なくとも1つの空気供給システム7と、c)有利には前記ミルク−空気エマルジョンをさらに処理する、特に前記空気−ミルクエマルジョンを加温/加熱する少なくとも1つの加熱装置90b、90cを備えた少なくとも1つの処理装置9とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミルク−空気エマルジョン、特にミルクフォームを、ミルクフォームを形成する装置により製造する方法であって、求められた少なくとも1つの物理的物性に依存して該方法の制御を行うことを特徴とする、ミルク−空気エマルジョンを製造する方法。
【請求項2】
前記装置が、少なくとも
a)ミルクにより貫流されるミルク管路(3)と、
b)ミルク−空気エマルジョンを形成する少なくとも1つの空気供給システム(7)と、
c)有利には前記ミルク−空気エマルジョンをさらに処理する、特に前記空気−ミルクエマルジョンを加温/加熱する少なくとも1つの加熱装置(92b、92c)を備えた少なくとも1つの処理装置(9)と
を備え、
前記方法が、
A)前記ミルク−空気エマルジョンの前記物理的物性を少なくとも1つの第1の測定ユニット(8)により求め、
B)前記物理的物性の実際値と目標値範囲を比較し、
C)前記実際値が前記目標値範囲外にある場合に、前記方法において、前記物理的物性に影響を与えるように、少なくとも1つの調節量を調節する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記物理的物性が、前記ミルク−空気エマルジョンの電気伝導率である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記調節量の調節が、前記空気供給システムにより供給される空気の空気圧の制御を含む、請求項1、2または3記載の方法。
【請求項5】
前記調節量の調節が、前記ミルク管路(3)を通じた前記ミルクまたは前記ミルク−空気エマルジョンの貫流の制御、有利には、前記ミルク−空気エマルジョンが形成される混合室を通じた前記ミルクまたは前記ミルク−空気エマルジョンの貫流の制御を含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記調節量の調節が、前記処理装置(9)の調節、特に前記処理装置(9)の加熱装置の調節を含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記装置が、第1の測定ユニット(8)と、第2の測定ユニット(11)とを有しており、前記第1の測定ユニット(8)は、前記ミルク−空気エマルジョンを形成する前記空気供給システム(7)と、前記ミルク−空気エマルジョンを加熱する前記処理装置(9)との間に配置されており、前記第2の測定ユニット(11)は、前記ミルクもしくは前記ミルク−空気エマルジョンの貫流方向Rで前記処理装置(9)の下流側に配置されており、前記物理的物性を、前記ミルク−空気エマルジョンの加熱の前後に測定する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記装置が、前記ミルクもしくは前記ミルク−空気エマルジョンの貫流方向Rで前記処理装置(9)の後方に配置されかつ前記ミルク−空気エマルジョンの前記温度を求める温度センサを有しており、前記制御および評価ユニットが、求められた前記物理的物性の温度補償を実施する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記温度センサまたは前記温度センサのうちのそれぞれ1つの温度センサが、前記第1の測定ユニット(8)および/または前記第2の測定ユニット(11)の構成部分である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記処理装置(9)が、前記ミルク−空気エマルジョンを加熱する少なくとも1つの加熱管路(91bまたは91c)を有しており、該加熱管路(91bまたは91c)内に加熱媒体、有利には蒸気がガイドされており、前記加熱管路(91bまたは91c)は、該加熱管路(91bまたは91c)内の前記加熱媒体の貫流を制御する少なくとも1つの作動弁(93bまたは93c)を有しており、該作動弁(93bまたは93c)を、前記温度センサにより求められた温度に依存して、かつ/または前記求められた物理的物性に依存して制御する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記処理装置(9)内における前記ミルク−空気エマルジョンの滞在時間を前記求められた物理的物性に依存して調節する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
ミルク−空気エマルジョン、特にミルクフォームを、有利には請求項1から11までのいずれか1項記載の方法により形成する装置であって、
a)ミルクにより貫流されるミルク管路(3)と、
b)ミルク−空気エマルジョンを形成する少なくとも1つの空気供給システム(7)と、
c)第1の温度T1のミルク−空気エマルジョンを加熱する処理装置(9)と、
d)前記ミルク−空気エマルジョンの物理的物性を求める少なくとも1つの第1の測定ユニット(8または11)と、
e)前記ミルク−空気エマルジョンの前記物理的物性に基づいて制御量を調節するために設けられた制御および評価ユニット(75)と
を備えることを特徴とする、ミルク−空気エマルジョンを形成する装置。
【請求項13】
絞り、有利には調節可能な絞りとして構成された、前記制御量を調節する作動ユニット(73)が設けられており、該作動ユニット(73)は前記空気供給システム(7)の一部であり、該空気供給システム(7)を通じて供給される空気の空気圧を制御する、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記物理的物性を求めるために、前記ミルク−空気エマルジョンの温度が考慮される、請求項12または13記載の装置。
【請求項15】
前記空気供給システム(7)は、該空気供給システム(7)の空気管路(71)内へ空気を送り込む空気源(74)を有している、請求項12から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記第1の測定ユニット(8)は、構成部分としてミルクポンプ(6)の吐出側に直接に配置されている、請求項12から15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
前記第1の測定ユニット(8)または第2の測定ユニット(11)は、ミルク−空気エマルジョン内の空気の分布を最適化する後加工装置(10)の吐出側の下流に配置されている、請求項12から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
前記制御および評価ユニット(75)は、データメモリを有しており、該データメモリに、温度および/または所望のミルク含有飲料および/または供給されるミルクの種類に依存する目標値および/または目標値範囲のデータセットが保存されている、請求項12から17までのいずれか1項記載の装置。
【請求項19】
前記制御および評価ユニット(75)は、関連付け中に目標値および/または目標値範囲の一定ではない推移を求め、かつ該関連付け中に可変の推移を求め、その後に制御を実施する、請求項12から18までのいずれか1項記載の装置。
【請求項20】
ミルクフォーム含有飲料、特にミルク含有のコーヒまたはチョコレート−ホット飲料を排出する機器における、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法または請求項12から19までのいずれか1項記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミルク−空気エマルジョン、有利にはミルクフォームを形成する方法および装置に関する。
【0002】
ミルクフォームを有するミルク含有飲料の製造時に、ミルクフォームの異なる品質は飲料の風味および飲料の外観に著しい影響を与え得る。このために、出願人によりミルクフォームを製造する装置における幾つかの改善が既に実施されている。
【0003】
独国特許出願公開第102014105108号明細書(DE102014105108A1)は、たとえば、ミルクフォームが衝突する衝突体に基づくミルクフォームの最適化を実施するホモジナイザを開示している。
【0004】
後から公開された独国特許出願公開第102014119062号明細書(DE102014119062A1)は、ミルクフォームのための加熱システムを開示している。この加熱システムにおいて、ミルクフォームは、互いに異なる2つの温度範囲に加熱され得る。このことは、多様なミルクフォームのバリエーションの実現を可能にする。
【0005】
独国特許出願公開第102014112178号明細書(DE102014112178A1)は、空気のための吸込装置を供えた空気供給システムと、ミルクを自動的に起泡するためにミルク内に意図的に空気を射出する絞りとを開示している。
【0006】
本発明の課題は、ミルク−空気エマルジョンの品質および性質の、有利には連続的な監視および調整を可能にする、ミルク−空気エマルジョンを形成する方法を提供することにある。
【0007】
本発明は、請求項1に記載の特徴を有する方法と、請求項12に記載の特徴を有する装置とにより上記課題を解決する。
【0008】
ミルク−空気エマルジョン、特にミルクフォームを製造する本発明に係る方法は、このようなミルク−空気エマルジョンを形成する装置により実現される。この場合、方法の制御を、求められた少なくとも1つの物理的物性に依存して行う。これにより、ミルク−空気エマルジョンの性質は所望の設定に対応して簡単、確実かつ良好に監視され、調節され、かつ適合され得る。
【0009】
この方法は、有利にはミルクフォーム含有飲料、たとえばコーヒ飲料の製造時に利用され得る。ミルクフォームを有するホット飲料もコールド飲料も、本発明の方法の枠内で実現可能である。
【0010】
上述の装置は、有利には少なくとも以下の構成部分もしくはエレメントa)〜c)を有している:
a)ミルクによって貫流されるミルク管路
ミルク管路は、ミルク貯蔵容器、ミルク冷蔵庫等から、ミルクフォームが飲料内または飲料上に射出される排出ユニットにまで延びていてよい。
b)ミルク−空気エマルジョンを形成する少なくとも1つの空気供給システム
空気供給システムは、吸込装置に基づいて働くことができるか、または圧縮空気管路、たとえばエアボトルが接続されていてもよい。この場合、「空気/エア」という概念は、周辺空気の具体的な組成のみに制限されていない。「空気」は、食品技術的に懸念のないあらゆるガスであってよく、たとえば純粋な窒素または酸素であってよい。
c)ミルク−空気エマルジョンを有利にはさらに処理する、特にミルク−空気エマルジョンを加温/加熱する少なくとも1つの加熱装置を備えた少なくとも1つの処理装置
この場合、ミルクまたはミルク−空気エマルジョンは、第1の温度T1を有していてよく、温かい温度T2および/または高温の温度T3へと加熱され得る。この場合、T3>T2>T1とする。
【0011】
処理装置は、直接的または間接的な加熱のために設計されていてよい。ミルクフォームを高温の温度T3にまで加熱するためには、ガス状の食品調和性の加熱媒体、特に蒸気の導入による直接的な加熱が設定されており、かつミルクフォームをT3よりも低い温かい温度T2にまで加熱するためには、たとえば加熱媒体との熱交換または電気的な加熱エレメント、たとえば電熱線等による間接的な加熱が設定されていると有利である。高温のミルクフォームの温度T3は、有利には55℃〜80℃であり、温かいミルクフォームの温度T2は、変性的に作用する温度であり、特に温度T2は、40℃〜54℃である。
【0012】
本発明に係る方法はさらに、ミルク−空気エマルジョンの少なくとも1つの物理的物性を求めることが、少なくとも1つの第1の測定ユニットにより行われることを含んでいる。
【0013】
第1の測定ユニットは、1つまたは複数のセンサを有していてよい。測定ユニットは、測定値を、たとえば電圧の形で測定することができる。測定値からたとえば物理的物性が求められ得る。
【0014】
本発明に係る方法は、この物理的物性の実際値と目標値もしくは目標値範囲との間の比較を行い、実際値が目標値範囲外にある限り、方法において、物理的物性に所望の設定に相応して、もしくは目標値範囲に相応して影響が与えられるように、少なくとも1つの調節量の調節を行うことをさらに含んでいる。
【0015】
比較および調節は、有利には制御および評価ユニットにより実施され得る。
【0016】
物理的物性は、有利にはミルク−空気エマルジョンの電気伝導率であってよい。この物性は、伝導率センサにより、比較的に小さな変動誤差で求められ得る。これにより、本発明の知識に基づいて、特に良好にエマルジョンの性質が求められかつ判断され得る。この物性は、一方では良好に測定可能かつ他方では良好に影響を与えることもできる物性である。
【0017】
求められた物理的物性に基づいて、調節量の調節が、空気供給システムにより供給される空気の空気圧の制御により行われ得る。本発明の枠内では同様に空気供給システムとも理解され得る空気吸込システムでは、このことは空気の負圧の制御を意味していてもよい。
【0018】
択一的にまたは付加的には、調節量の調節が、有利には、ミルク管路を通るミルクまたはミルク−空気エマルジョンの貫流の制御を含んでいてもよい。このことは有利には、ミルク−空気エマルジョンが形成される混合室を通るミルクまたはミルク−空気エマルジョンの貫流の制御により行われ得る。貫流制御は、所定のタイムインターバルに亘るゼロ貫流も含むことができ、つまり混合室内におけるミルクの滞在時間が制御され得る。ミルクが混合室内に長く留まれば留まるほど、ミルクは一定の空気圧でも強く発泡させられる。
【0019】
調節量の調節は、さらに有利にはまたは択一的には、加熱媒体、特に高温蒸気の貫流の制御または処理装置内の電気的な加熱ユニットもしくは加温ユニットの出力の制御も含んでいてよい。これにより、求められた物理的物性に基づいて、ミルク−空気エマルジョンの温度も調節され得る。
【0020】
さらに方法は、以下のステップを含んでいてよい:
−たとえばミルクポンプを用いてミルク管路内でミルクを圧送するステップ。
このようなミルクポンプは任意に形成されていてよく、したがってたとえばサクションポンプとして形成されていてもよい。
−空気供給システムからミルク内に空気を導入(吸込み)することによりミルクと空気を混合するステップ。
ミルクと空気の混合は、有利には空気供給システムのミルク混合室内で行われ得る。低温のまたは予熱されたミルクはこれにより発泡させられ得る。
場合によっては、次いでミルク−空気エマルジョンを加熱するステップが行われ得る。
有利には、40℃よりも高い温度T2またはT3への加熱が行われ得る。
【0021】
たしかに本発明に係る装置では常に加熱ユニットを備えた処理装置が設けられているが、この加熱ユニットは、全てのミルクフォームにおいて接続させられるのではなく、ミルクまたはミルクフォームは、加熱なしに処理装置を通じてガイドされ得るので、低温のミルクフォームも排出され得る。加熱ユニットまたは加温ユニットという概念は、本発明の枠内では同義的に使用される。
【0022】
したがって加熱媒体による加熱は、任意に行われ得る。強制的に加熱が行われる必要はなく、低温のミルクフォームも直接に排出され得る。しかし、ミルクフォームを温めまたは加熱するために、処理装置が使用され得る。
【0023】
したがって有利には物理的物性を求めることが、第1の測定ユニットと、制御および評価ユニットにより行われる。物理的物性を求めることは、物性の直接的な測定を含んでいてよく、または次いで制御および評価ユニットにより相応する物性を表す値へと計算される測定データの測定を含んでいてよい。
【0024】
したがって、処理装置内におけるミルクフォームの温度の制御された適合および/または空気供給システム内におけるミルクの制御された発泡が生じる。両適合時に、有利には物性、たとえば伝導率が変化する。なぜならば、物性は有利には温度に依存しているからである。
【0025】
制御は、有利には物性のための実際値を求めることにより行われ得る。次いで物性のための保存された目標値および/または目標値範囲との比較が、制御および評価ユニットにより行われ得る。保存された目標値および/または目標値範囲を実際値が下回るかまたは上回った場合には1つまたは複数の調節量の適合が生じ、この場合に、空気圧、ミルクの貫流速度および/または熱エネルギの供給の適合が生じる。このことは、1つまたは複数の弁の制御によって、または電気的に作用する1つまたは複数の構成要素の駆動制御によって行われ得る。したがって、ミルクフォームの品質は、その温度およびミルクに対する空気の比に関して調節され得る。後者の比は、物理的物性を求めることによって、つまり密度、粘度および熱伝導率および/または特に有利には電気伝導率を求めることにより求められる。
【0026】
制御は、有利には、本発明に係る装置の連続的な運転において、ミルク−空気エマルジョンの求められた物理的物性に依存したミルクの貫流、加熱媒体の貫流および/または空気圧の連続的な適合を可能にする。
【0027】
電気伝導率を求める第1の測定ユニットまたは第2の測定ユニットは、さらに、ミルクの欠如、または本発明に係る装置の自動的なクリーニングにおけるクリーニング流体の欠如を確認するためにも使用され得る。
【0028】
さらに、製品個別の目標値、つまりミルクフォームのタイプおよび使用されるミルク(脂肪分、豆乳、動物性乳等)に応じた個別の目標値が、制御および評価ユニットのデータメモリに保存されていてよい。この目標値は、ユーザによる使用するミルクの種類の選択および選択された飲料の選択によって、制御および評価ユニットにより選択可能および呼出し可能である。
【0029】
有利な態様は従属請求項に挙げられている。
【0030】
装置が、第1の測定ユニットと、第2の測定ユニットとを有しており、第1の測定ユニットが、ミルク−空気エマルジョンを形成する空気供給システムと、ミルク−空気エマルジョンを加熱する処理装置との間に配置されており、第2の測定ユニットが、ミルクもしくはミルク−空気エマルジョンの貫流方向Rで処理装置の下流側に配置されており、物理的物性が、ミルク−空気エマルジョンの加熱の前後に測定されると有利である。第1の測定ユニットと第2の測定ユニットとは、有利には、物理的物性を求めるために働き、同様に有利には制御および評価ユニットに関連している。測定ユニットは特に電気伝導率を測定する2つの伝導率センサであってよい。
【0031】
装置は、さらに温度センサを有していてよい。温度センサは、ミルクもしくはミルク−空気エマルジョンの貫流方向Rで処理装置の下流側に配置されていて、ミルク−空気エマルジョンの温度を求め、制御および評価ユニットは求められた物理的物性の温度補償を実施する。
【0032】
温度センサは、有利にはコンパクトな構成において第2の測定ユニットの構成部分であってよく、かつ/または電気伝導率センサを備えた構造ユニットとして形成されていてよい。
【0033】
処理装置はさらに、ミルク−空気エマルジョンを加熱する少なくとも1つの処理管路を有していてよく、処理管路内には加熱媒体、有利には高温の液体または蒸気がガイドされている。この場合、処理管路は、処理管路内の加熱媒体の貫流を制御する少なくとも1つの作動弁を有しており、作動弁は、温度センサにより求められた温度に依存して、かつ/または求められた物理的物性に依存して、特に制御および評価ユニットにより制御される。
【0034】
混合室内でのミルク−空気エマルジョンの滞在時間は、求められた物理的物性に依存して調節され得る。したがって、たとえば、空気が一定の空気圧でミルク内に吹き込まれるが、たとえば混合室内におけるミルクの滞在時間は、物理的物性に依存して調節可能であることが考えられる。当然ながら、空気供給システムの混合室内でのミルクの滞在時間は、空気圧に対して付加的に調節可能であってもよい。
【0035】
ミルク−空気エマルジョン、特にミルクフォームを形成する本発明に係る装置は、ミルクにより貫流されるミルク管路と、ミルク−空気エマルジョンを形成する少なくとも1つの空気供給システムとを含んでいる。さらにミルク−空気エマルジョンを加熱する処理装置と、ミルク−空気エマルジョンの物理的物性を求める少なくとも1つの測定ユニットと、ミルク−空気エマルジョンの物理的物性に基づいて制御量を調節する制御および評価ユニットとが設けられている。
【0036】
測定ユニットは、測定器の測定検出器または複数の測定検出器の組み合わせもしくは測定器の複数のセンサであってよい。制御および評価ユニットは、測定器の測定変換器であってよい。物理的物性は、たとえば密度、粘度、熱伝導率および/または電気伝導率であってよい。
【0037】
制御および評価ユニットは、求められた物理的物性に依存して制御量を調節するために調整されている。
【0038】
したがって、本発明に係る装置では、ミルクフォームの物性に依存して空気供給を調節することが可能である。
【0039】
装置が、制御量を調節する作動ユニットを有していると有利であり、この作動ユニットは、空気供給システムの一部であり空気供給システムにより供給される空気の空気圧を制御する絞り、有利には調節可能な絞りである。特に好適かつ有利には、調節可能な絞りとしてニードル弁、有利には自動的に調節可能なニードル弁が使用され得る。
【0040】
物理的物性を求めることに加えて、ミルク−空気エマルジョンの温度が考慮され得る。このことはたとえば温度センサにより温度を求めることにより行われ、求められた物理的物性の、たとえば25℃である標準温度への温度補償が行われる。したがって、目標値は改善されて実際値と比較され得る。択一的には、目標値も種々異なる温度で保存されていてもよく、これにより求められた温度において、物理的物性の実際値と目標値とが、測定の箇所および時点に占めるミルクフォームの温度において比較され得る。
【0041】
空気供給システムは、空気供給システムの空気管路内に空気を吸い込む空気管路を含んでいてよい。
【0042】
この空気管路内において調節可能な絞りを作動ユニットとして、種々異なる加熱ユニットを制御する可能性と組み合わせて使用することにより、供給される空気量は、物理的物性に関連して、特に製造されたミルク−空気混合物の伝導率および温度に依存して調節可能である。
【0043】
制御および評価ユニットは、有利にはマイクロコントローラおよび/またはデータメモリを有していてよい。データメモリには、温度および/または所望のミルク含有飲料および/または使用されるミルクの種類に依存する目標値および/または目標値範囲のデータセットが保存されている。
【0044】
しかし、制御および評価ユニットが、関連付けの間に目標値および/または目標値範囲の一定ではない推移(プロフィル)を求め、かつその関連付けの間に目標値および/または目標値範囲の可変の推移(プロフィル)を求め、その後に方法の制御を実施することも考えられる。
【0045】
制御および評価ユニットは、特に有利には、フォームの種類、とりわけ最終製品の所望の硬さ、ミルク温度、ミルク種類および/または機械の設置条件での各製造プロセスを考慮することができる。この要素は、調整および/または較正の枠内で目標値範囲に関するデータセットにより考慮され得る。種々異なるミルクフォーム種類は、さらに同様に種々異なって供給される空気量を必要とし、このことは、相応するデータセットにより考慮され得る。
【0046】
たとえば手動でテストされなければならなかったこの調節は、今や自動的に本発明に係る装置により実施され得る。
【0047】
全体的に、本発明に係る装置の自己調整が達成され得る。
【0048】
ミルクおよび/またはミルク−空気エマルジョンの貫流は、ミルクポンプ出力の調節により調節され得る。
【0049】
有利に求められる物理的物性は、ミルク−空気エマルジョンの電気伝導率である。なぜならば、電気伝導率により、本発明の知識に基づいて特に良好にエマルジョンの性質が求められかつ判断され得るからである。電気伝導率は、一方では良好に測定可能であり、かつ他方では良好に影響を与えることができる測定サイズである。
【0050】
本発明の枠内では、本発明に係る装置および/または本発明に係る装置が、ミルク含有飲料、特にミルク含有のコーヒ飲料の排出および特に調製のための機器において使用され得る。相応する機器は有利には自動コーヒマシンとして形成されている。
【0051】
以下に本発明を、図面を参照しながら実施の形態につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】ミルク−空気エマルジョン、特にミルクフォームを製造する、本発明に係る第1の装置の構造を示す概略図である。
図2】種々異なる温度および空気割合を有するミルクフォームの電気伝導率を表すグラフである。
【0053】
以下ではミルク−空気混合物、ミルク−空気エマルジョンおよびミルクフォームという概念は同義的に使用される。
【0054】
図1に示した装置は、以下の構造を有している。
【0055】
ミルク管路3は、ミルクMを有するミルク容器1と、流出装置2とを互いに接続する。流出装置2は流出部として形成されており、この流出部の下には、カップのような容器が置かれてよい。以下では、流出装置2と流出部という概念は同義的に使用される。この場合、ミルク管路3にはミルク容器1と流出装置2との間で、ここに示す順序で以下の構成要素が接続されている:遮断弁4、ミルクポンプ6、空気供給システム7、第1の測定ユニット8、処理装置9ならびに後加工装置10および第2の測定ユニット11。
【0056】
空気供給システム7は、空気管路71と、場合によっては混合室70とを有している。この混合室70内に、ミルクがミルク管路3を介して圧送される。空気導入により、泡立てもしくは発泡が行われる。空気供給部は、空気源74に(たとえば空気ポンプまたは圧力容器または圧力下にない容器に、または開口もしくは管路端部によって(吸引式に)周囲の機械の内部または外部の周辺空気に)接続されていてよい。
【0057】
混合室70と空気源74との間で、空気管路71内に、または空気管路71に第1の逆止弁72が接続されている。さらに、空気管路71に沿って第1の逆止弁72と空気源74との間に、作動ユニット73が配置されている。この作動ユニット73は、空気管路71により空気がミルク内に吹き込まれる際の空気圧の調節を可能にする。
【0058】
これにより、ミルクの少なくとも一部が発泡させられ、ミルク−空気エマルジョンが形成される。
【0059】
作動ユニット73は、制御および評価ユニット75から制御命令を受け取る。この制御命令は、信号線路76を介して作動ユニット73に伝送される。信号線路76は、たとえばケーブルとして、またはワイヤレスの接続部として形成されていてよい。
【0060】
第1の測定ユニット8は、物理的物性を求めるための測定データを測定する/求める。
【0061】
この物性は、ミルクフォームの品質、特にミルクフォームの1立方センチメートルあたりのミルクに対する空気の比によって変化する。
【0062】
このような物理的物性は、特に有利には電気伝導率であってよい。電気伝導率の値は、ミルクフォーム中の空気の割合に相関している。しかし電気伝導率の他にも、熱伝導率、密度および/または粘度が求められ得る。このためには、第1の測定ユニット8は、有利には伝導率センサを有している。さらに有利には、第1の測定ユニットは、求められた伝導率を温度補償するための温度センサを有していてよい。さらに好適かつ有利には、ミルクもしくはミルク−空気エマルジョンの温度の目標値への適合が、供給される低温空気の量の制御により行われ得る。
【0063】
第1の測定ユニット8は、信号線路77を介して、たとえばケーブル線路またはワイヤレスのデータ回線を介して、制御および評価ユニット75に接続されていて、測定値をこの制御および評価ユニット75に伝送する。この制御および評価ユニット75は、測定データに基づいて、第1の実際値として対応する物性を求めることができ、次いで目標値範囲の設定された目標値と比較することができる。
【0064】
目標値を上回るか、または下回る場合に、ミルク内に導入される空気量は、第2の実際値が許容される目標範囲内にあるように、作動ユニット73により変更され得る。選択されるホット飲料によって、各目標値範囲のための複数の目標値が1つまたは複数のデータセットとして制御および評価ユニットのデータメモリに保存されていてよい。さらに、中央計算ユニットが設けられていて、この中央計算ユニットは、たとえば目標値および実際値の比較を各ホット飲料に特化して実施することができる。
【0065】
処理装置9は、ミルク管路3の部分路、つまり複数の処理管路32,33,34を有している。このためには、1つまたは複数の切換弁、たとえば2位置または3位置切換弁31,35が設けられていてよい。2位置または3位置切換弁は、ミルクが処理管路32,33,34のうちの1つの処理管路を通じてガイドされ得るように、切り換えられ得る。第1の処理管路32は、貫流管路であり、加熱ユニットを有していない(しかし参照符号90aにより示唆されている)。これにより低温のミルクフォームがさらにガイドされる。
【0066】
第2の処理管路33は、第1の加熱ユニット90bを有している。この第1の加熱ユニット90bは、ミルクの直接的な加熱のために働く。第1の加熱ユニット90bは、加熱管路91bを有している。この加熱管路91bを通じて、蒸気形成ユニット94bにより蒸気Dが直接にエマルジョン内に導入可能である。このためには作動弁93bが設けられている。作動弁93bと、ミルク内への蒸気Dの導入点との間には、逆止弁92bが配置されている。
【0067】
第3の処理管路34は、ミルクを直接的に加熱する第1の加熱ユニット90bに対して択一的にまたは付加的に、第2の加熱ユニット90cを有している。第2の加熱ユニット90cは、ミルクの間接的な加熱のために働く。
【0068】
第2の加熱ユニット90cは、たとえば熱伝達装置として、特に熱交換器として設計されていてよい。
【0069】
第2の加熱ユニット90cには、加熱管路91cが対応配置されていてよく、加熱管路91cを通じて、蒸気形成ユニット94cもしくは上記蒸気形成ユニットを起点として、蒸気が間接的な加熱のために加熱ユニット90c内に導入可能である。このためには、制御可能な作動弁93cが設けられている。作動弁93cにより、蒸気Dのための蒸気供給部が開閉され得る。作動弁93cと、ミルク内への、特に熱交換器による蒸気Dの熱の導入点との間には、逆止弁92cが配置されている。
【0070】
温かいミルクフォーム(ここでは「TF」=Top Foamとも呼ばれる)は、特別な種類のミルクフォームであり、硬さ(Konsistenz)、安定性、温度感覚および外観に対する規定された要求により、低温のミルクフォームの間接的な加熱を必要とする。(別の媒体の直接的な導入、たとえば蒸気Dの直接的な噴射により変更されない性質)。有利には、低温のミルクフォーム(KMS)の温度は30℃未満であり、温かいミルクフォーム(TF−T2)の温度は40℃〜54℃であり、高温のミルクフォーム(HMS)の温度は55℃〜80℃である。高温のミルクフォーム(HMS−T3)および高温のミルクは、直接的な蒸気噴射により極めて迅速にかつ極めて高温に加熱され得る(高温(55℃〜80℃)での高い排出出力)。
【0071】
有利には、処理装置9は、温度T1の貫流するミルク−空気エマルジョンもしくは低温のミルクフォームを温度T2に加熱するために設計されている。温度T2は、低温のミルクフォームKMSが有する温度T1よりも高く、高温のミルクフォームHMSが有する温度T3よりも低い。これにより、「温かい」ミルクフォームTF(温度T2)が形成される。
【0072】
第1、第2および第3の処理管路32,33,34は、有利には減圧管路として形成されていてよい。この場合、第1の処理管路32は、温度T1の低温のミルクフォームを形成するために働き、直接的な加熱を伴う第1の加熱ユニット90bを備えた第2の処理管路33は、高い温度T3を有する高温のミルクフォームを形成するために働くことができ、加熱ユニット90cを備えた第3の処理管路34は、中間の温度T2の温かいミルクフォームを形成するために働くことができ、この場合に以下の関係が成り立つ:T1<T2<T3。処理管路32,33,34は、この場合並列に接続されている。
【0073】
当然ながら、個別の処理管路、特に処理管路33および処理管路34を、加熱、特に蒸気導入することができる1つの単独の処理管路にまとめることも可能である。同様に3つ全ての処理管路32〜34は1つの処理管路にまとめられ得る。
【0074】
全体的に、高温のミルク、温かいミルクおよび低温のミルクが、高温蒸気の利用に応じて、直接的な加熱、間接的な加熱または非加熱において、排出され得る。種類に応じて、まず準備されたコーヒ内に2つの種々異なって温度調整されたミルクフォームが出されるか、またはまず、2つの種々異なって温度調整されたミルクフォームが提供され、次いでそこにコーヒが注がれる。
【0075】
たとえば組み合わせられた高温用/低温用処理管路32/33が提供されるか、もしくは設けられることができ、かつミルクフォームの間接的な加熱を伴う別の「温かい」用の処理管路34が提供されてもよい。したがってこの場合、処理管路34を通じて専ら温かいミルクフォームTFが流れ、まとめられた処理管路32/33を通じて低温のミルクフォームKMS、高温のミルクフォームHMSまたはフォームを有しない高温のミルクHMまたは低温のミルクKMが流れる。
【0076】
加熱ユニット90bは、蒸気の直接的な導入による加熱に基づいている。加熱ユニット90cは、有利には蒸気により駆動されるか、または選択的に/有利には流体駆動された間接的な熱伝達器として形成されていてよい。この熱伝達器は、作動によって、ミルク−空気エマルジョンを間接的に温度T2にまで加熱する。温度T2は、有利には40℃〜54℃の間にある。
【0077】
間接的に作用する加熱ユニット90cは、種々異なる形式で、たとえばジャケット管−熱交換器として、層−熱交換器として、またはスパイラル管−熱交換器として形成されていてよい。熱伝達は、低温のミルクフォームの形成後に、排出前に行われる。温度T2を有する温かいフォームTFが、温度T1を有する低温のミルクフォームKMSおよび温度T3を有する高温のミルクフォームHMSと同様に、後加工装置、特にホモジナイザ10における任意の後加工を受けると有利である。
【0078】
間接的に作用する加熱ユニット90cの導入された熱エネルギは、有利には1つまたは複数の接触加熱面を介してミルクフォームに伝達される。この機能において、接触面を拡大し、ひいては熱伝達を拡大するためには、内側または外側の付加的な加熱通路も考えられ、かつセンサによる、エレメントの内部の温度に関する確認も考えられる。有利には、水蒸気が熱媒体として働く。
【0079】
ポンプ6から流れる、温度T1を有するまだ低温のミルクフォームKMSの硬さは、ミルクポンプ6の圧送量の調節により、特にミルクポンプ回転数の調節により変更され得る。しかしこのことは圧送出力および排出量に直接的に影響を与え得る。空気量は有利には、有利には自動的に調節可能なニードル弁として形成されている調節可能な絞り72により変更される。
【0080】
全体的な区分が冷水により洗浄可能であるとさらに有利である。このためには相応する供給管路および弁が設けられていてよい(図示せず)。
【0081】
処理装置9に続いて、有利にはホモジナイザを備えた後加工装置10がミルク管路3に配置されている。
【0082】
公知の自動コーヒマシンでは、ミルクフォームの硬さ、およびここでは何よりも気泡の形成がしばしば極めて不規則である。ホモジナイザにより、形成されたミルクフォームは有利には均一にされ得る。特に有利な実施の形態によれば、ミルクフォームを後加工するために、空気−ミルクエマルジョンもしくはミルク−空気混合物の形態のミルクフォームの気泡を細分化するために設けられるホモジナイザが形成される。このようなミルク−空気混合物は、規定された量の空気を供給された規定された量のミルクを含んでいる。任意には、このようなミルク−空気混合物は、さらに規定された量の(高温)(水)蒸気を含んでいる。ホモジナイザにより、ミルクフォームの硬さが最適化可能である。ミルクフォームの硬さは特に−入口における圧力の変更により−、小さな気泡を伴う「微細」から大きな気泡を伴う「粗い」にまで、かつ「緩い」から「クリーミー」を介して「硬い」まで変更可能である。ホモジナイザは、有利にはホット飲料自動販売機、特に有利には自動コーヒマシンのために設けられている。ホモジナイザは有利には、複数の衝突体が配置されている細分化領域を有している。衝突体の間には、ミルク−空気混合物により貫流されるために設けられているラビリンス通路が延びている。ミルク−空気混合物は、部分流でラビリンス通路を通じて押圧され得る。このためには、有利には複数の衝突体が相並んで一列に配置されている。さらに有利には衝突体がこのためにそれぞれ1つの衝突面を有している。この衝突面にミルクフォームの部分流がそれぞれラビリンス通路の貫流時に衝突する。衝突時に、部分流が分割し、気泡が分断される。これによってより小さな気泡が発生する。さらに有利には、ホモジナイザは、ミルクフォームの流れ方向であるその延在方向で、衝突体を備えた互いに上下に配置された複数の列を有している。これにより、部分流はそれぞれ延在方向で互いに上下に配置された列の衝突体に衝突するので、気泡は何回も細分化される。
【0083】
後加工装置に続いて、第2の測定ユニット11が配置されている。この第2の測定ユニット11は、有利には上述の物理的物性を求めるセンサ、特に伝導率センサを有している、かつ/またはミルクの温度を求めるセンサを有している。
【0084】
ほとんどの物理的物性は、温度依存の物性である。したがって、たとえば電気伝導率は、温度に依存している。さらに、ホット飲料を調製するためには、ホット飲料の目標温度が達成されているか否か、もしくはホット飲料の求められた実際値が予め規定された目標値範囲にあるか否かを求めることは特に重要である。相応する目標値は、それぞれのホット飲料に特化してデータセットとして制御および評価ユニット75のデータメモリに保存されていてよい。
【0085】
相応して、第2の測定ユニット11は、信号線路78を介して、制御および評価ユニット75に接続されている。この信号線路78は、たとえばケーブル接続部またはワイヤレスの接続部として形成されていてよい。したがって、物理的物性を求めるための測定データが、第2の測定ユニット11により検出され、かつ/またはミルクもしくはミルクフォームの測定データとして実際の温度が第2の測定ユニットにより検出される。これらの測定データは、次いで信号線路78により制御および評価ユニット75に伝送される。
【0086】
制御および評価ユニット75は、測定データまたは測定データに基づいて求められた物性および/または温度が規定された目標値範囲外にある場合に、第1の加熱管路91bおよび/または第2の加熱管路91cの作動弁93b,93cのうちの1つまたは複数の作動弁93b,93cを制御するための制御命令79を形成する。択一的にまたは付加的には、図示しないが、1つまたは両方の切換弁31,35の制御も、制御および評価ユニット75により行われ得る。これにより、特に目標値範囲内の目標温度へのミルクの温度の調節を達成することができ、かつミルクフォームの品質はこの目標温度において、伝導率を求めることにより検査され、再調整により相応して調節され得る。
【0087】
上述の空気供給システム7は、有利には以下のステップを有する方法により空気を供給するために働く。
a)ミルクポンプによりミルク管路内でミルクを圧送し、同時に空気管路を通じて空気を吸い込む。この場合、吸い込まれる空気量を変更するために少なくとも1つの絞りを使用する。
b)空気−ミルクエマルジョンを形成するために第1の混合室内でミルクと空気を混合する。
c)温かいミルクフォームが製造されるべき場合に、場合によっては、(有利にはステップbによる)空気−ミルクエマルジョンを加熱するために、空気−ミルクエマルジョンに蒸気を添加する、
d)この場合、ステップa)において、開口横断面のサイズに関して無段階に、特に電動モータ(M)により調節可能に形成されている絞りを使用し、この場合、有利には空気管路の閉鎖部を閉じることは、調節可能な絞りにより開口横断面が閉じられることにより実現可能にされる。
【0088】
絞りは、この場合、作動ユニット73の1つの実施の形態として理解され得る。
【0089】
絞りの開口横断面は、本発明によれば、ミルクフォームの伝導率および/または所望の温度に応じて調節され得る。
【0090】
ステップa)において使用される絞りは、その開口横断面のサイズに関して無段階に調節可能に形成されていてよい。絞りの開口横断面の無段階の調節は、所望のミルク−空気混合物に依存した、ミルクに供給される空気量の調節を可能にする。これにより、単に1つの調節可能な絞りにより、種々異なる性質を有するミルク−空気混合物、特にミルクフォームが製造され得る。絞りの開口横断面は、有利には、温かいミルク−空気混合物の製造中には、低温のミルク−空気混合物の製造時に比べて有利には小さくてよい。さらに、ミルク−空気混合物の硬さは、十分に温度とは関係なしに、開口横断面の変更により変更され得る。
【0091】
開口横断面のサイズに関して無段階に、特に電動モータにより調節可能に形成されている絞りは、以下では調節可能な絞りと呼ばれる。
【0092】
調節可能な絞りの開口横断面を調節するためには、有利には電動モータが使用され得る。本発明において有利には作動ユニット73として設けられていてよい調節可能な絞りは、この場合、たとえばステッピングモータが可能にする、いわば無段階の調節部を有していてもよい。
【0093】
供給される空気量の制御に対して択一的にまたは付加的には、制御および評価ユニット75が、有利にはミルクポンプ6の圧送量およびポンプ量も、物理的物性、特に電気伝導率に依存して制御することができる。これによっても、ミルクフォームの硬さが変更可能である。
【0094】
種々異なる加熱ユニットを制御する可能性と組み合わせて、調節可能な絞りを作動ユニットとして使用することにより、供給される空気量は、物理的物性に依存して、特に製造されるミルク−空気混合物の伝導率および温度に依存して調節可能である。
【0095】
流出装置2は、弁23および排出ノズル21と、たとえば手動の発泡のために熱湯および/または高温蒸気を排出するためのランス22とを有していてよい。
【0096】
図2は、例示的に、電気伝導率と、3℃〜5℃の入口温度を有するミルク(ミルクの種類:牛乳、脂肪分1.5%、超高温殺菌)中の空気割合との間の関係を概略的に示している。数字1は、ここでは約3℃〜5℃のミルクフォームを示している。数字2は、ここでは約45℃の温かいミルクフォームを示していて、数字3は、65℃の高温のミルクフォームを示している。ミルクフォームの温度および空気割合と伝導率との関係が判る。空気圧、温度、発泡の期間といった調節量の適合により、フォーム品質に影響が与えられ得る。フォームの品質は、電気伝導率により求めることができる。
【0097】
全体的に、図1に示した装置によって、ミルクフォームを判定し、かつそのミルクフォームに供給される空気量を介して影響を与えるために、ミルクフォームの電気伝導率が利用され得る。ミルクフォームの伝導率は、特にミルクの種類、ミルク温度および空気割合に依存する。対応する測定と、とりわけ目標値データセットにおいて考慮され得る、種々異なるミルクの種類および温度の伝導特性に関する知識とによって、プロセスにおけるさらなる処理のために最適なミルク対空気の比が求められ、この比はたとえば空気供給の自動的な制御を介して形成され得る。したがって、空気量は動的に個別に制御され得る。制御を、自動的に内部および外部のパラメータに適合させることができ、このことは、運転条件の変更への反応を基本的に可能にし、かつシステムの調整および較正を著しく簡略化する。ミルク温度の変更は、制限された程度で空気の供給により補償され得る。
【0098】
上記で使用された測定ユニットは、それぞれ有利には伝導率センサおよび温度センサを含んでいる。
【0099】
特に有利には第1の測定ユニット8は、直接にミルクポンプ6の吐出側に配置されている。
【0100】
択一的にかつ付加的には、第2の測定ユニット11(または別の測定ユニット)が、図1に図示されているように、後加工装置10の下流側に配置されていてもよい。
【0101】
したがって、たとえば生乳の温度を測定し、かつ品質損傷に関して警告することが可能である。択一的にまたは付加的には、高温のミルクまたは高温のミルクフォームを温度に依存して調節することが可能である。
【0102】
上述の制御は、設置箇所における自己調整システムの枠内で実施され得る。サービスオペレータは、調節された飲料製品を検査し、顧客の要望への適合を目標値データセットの入力時に実施することができるので、所望の製品がエンドユーザに提供され得る。
【符号の説明】
【0103】
1 ミルク容器
2 流出装置
21 排出ノズル
22 ランス
23 弁
3 ミルク管路
31 3位置切換弁
32 処理管路
33 処理管路
34 処理管路
35 3位置切換弁
4 遮断弁
5 混合室
6 ミルクポンプ
7 空気供給システム
70 混合室
71 空気管路
72 逆止弁
73 作動ユニット
74 空気源
75 制御および評価ユニット
76 信号線路
77 信号線路
78 信号線路
79 信号線路
8 第1の測定ユニット
9 処理装置
90a 加熱ユニットなし
90b 第1の加熱ユニット
90c 第2の加熱ユニット
91b 加熱管路
91c 加熱管路
92b 逆止弁
92c 逆止弁
93b 作動弁
93c 作動弁
94b 蒸気形成装置
94c 蒸気形成装置
10 後加工装置、ホモジナイザ
11 第2の測定ユニット
図1
図2