特開2017-225940(P2017-225940A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-225940高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-225940(P2017-225940A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 24/02 20060101AFI20171201BHJP
   B01D 24/38 20060101ALI20171201BHJP
   B01D 29/88 20060101ALI20171201BHJP
   B01D 24/46 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   B01D23/16
   B01D23/20
   B01D23/24 D
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-124510(P2016-124510)
(22)【出願日】2016年6月23日
(71)【出願人】
【識別番号】511140529
【氏名又は名称】三晃海洋開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(72)【発明者】
【氏名】濱 博昭
【テーマコード(参考)】
4D041
【Fターム(参考)】
4D041BA04
4D041BB04
4D041BC17
4D041BC20
4D041CB04
4D041CC08
(57)【要約】
【課題】各飼育水槽へろ過処理された水を供給するための高架貯水槽を別途設置する必要がなく、ろ過処理の効率化やろ過能力の高度化が可能な、高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置を提供する。
【解決手段】ろ過処理された水を貯水する高架貯水槽30と、上部ろ過材13を介して配置された上部ろ過室11及び上部処理水水槽12を有する上部ろ過器10と、下部ろ過材23を介して配置された下部ろ過室21及び下部処理水水槽22を有する下部ろ過器20と、上部処理水水槽12と高架貯水槽30とを連結する上部連結管15と、下部処理水水槽22と高架貯水槽30とを連結する下部連結管25とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過処理された水を貯水する高架貯水槽と、上部ろ過材を介して配置された上部ろ過室及び上部処理水水槽を有する上部ろ過器と、下部ろ過材を介して配置された下部ろ過室及び下部処理水水槽を有する下部ろ過器と、前記上部処理水水槽と前記高架貯水槽とを連結する上部連結管と、前記下部処理水水槽と前記高架貯水槽とを連結する下部連結管とを有し、
処理水の貯水時には、前記上部ろ過器及び前記下部ろ過器に送水された水がろ過処理された後、前記高架貯水槽に送水されて貯水され、
処理水の供給時には、前記高架貯水槽に貯水された水が重力により供給され、
ろ過材の逆洗時には、前記高架貯水槽に貯水された水が重力により前記上部連結管を経由して前記上部処理水水槽に送水されて前記上部ろ過材を洗浄した後、前記上部ろ過室を経由して外に排出されるとともに、前記高架貯水槽に貯水された水が重力により前記下部連結管を経由して前記下部処理水水槽に送水されて前記下部ろ過材を洗浄した後、前記下部ろ過室を経由して外に排出されることを特徴とする高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置。
【請求項2】
前記処理水の貯水時に、前記上部ろ過室に送水された水が前記上部ろ過材によりろ過処理された後、前記上部処理水水槽から前記上部連結管を経由して前記高架貯水槽に送水されるとともに、前記下部ろ過室に送水された水が前記下部ろ過材によりろ過処理された後、前記下部処理水水槽から前記下部連結管を経由して前記高架貯水槽に送水されることを特徴とする請求項1に記載の高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置。
【請求項3】
前記上部処理水水槽と前記下部ろ過室とを連結する上下連結管を有し、
前記処理水の貯水時に、前記上部ろ過室に送水された水が前記上部ろ過材によりろ過処理された後、前記上部処理水水槽から前記上下連結管を経由して前記下部ろ過室に送水され、前記下部ろ過材によりろ過処理された後、前記下部処理水水槽から前記下部連結管を経由して前記高架貯水槽に送水されることを特徴とする請求項1に記載の高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介類等の飼育水槽の飼育水として海水等をろ過処理するための、砂ろ過装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、魚介類等の飼育水槽の飼育水として用いる海水等をろ過するための砂ろ過装置が用いられているが、不純物が混じった海水等のろ過を続けると、装置内のろ過室のろ過材の機能が低下する。そのため、作業員が装置内のろ過室に入り込み、ろ過材の取り替えや補修、点検をする必要があり、その作業は極めて煩雑であった。
【0003】
これに対して、砂ろ過装置の上部に、逆洗用水としてろ過処理後の処理水を貯水する逆洗用水水槽を設け、逆洗時に重力を利用してろ過材の洗浄を行うようにした重力式自動逆洗砂ろ過装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、図7及び図8を参照して、従来の重力式自動逆洗砂ろ過装置について説明する。図7は、従来例に係る重力式自動逆洗砂ろ過装置を利用したろ過処理施設を示す平面図であり、図8は、従来例に係る重力式自動逆洗砂ろ過装置の説明図である。なお図8には、同一の構成の重力式自動逆洗砂ろ過装置を2台記載している。
【0005】
ろ過処理施設には、複数の重力式自動逆洗砂ろ過装置200が配置されている。重力式自動逆洗砂ろ過装置200は、逆洗時の水を貯水する逆洗用水水槽2と、逆洗用水水槽2の下部に配置されたろ過室3と、ろ過室3の下部に配置された処理水水槽4と、ろ過室3と処理水水槽4との間に配置されたろ過材1とを有している。
【0006】
そして、処理水の貯水時には、図示しないポンプによりろ過室3に送水された水が、ろ過材1によりろ過処理された後、処理水水槽4を経由して逆洗用水水槽2に送られて貯水されるようになっている。また、ろ過材1の逆洗時には、逆洗用水水槽2に貯水された水が重力により処理水水槽4に送られてろ過材1を洗浄した後、ろ過室3を経由して外に排出されるようになっている。
【0007】
一方、重力式自動逆洗砂ろ過装置200によりろ過処理された水は、送水管80を経由して一次貯水槽5に貯水される。そして、ポンプPの揚力により送水管90を経由して高架貯水槽7に送水されて貯水され、必要に応じて重力により各飼育水槽へと供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015−223586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ろ過処理された水を各飼育水槽へ供給するまで貯水しておくための高架貯水槽7は、重力による供給のための位置エネルギーを確保する必要から高い位置(例えば、7〜8m)に設置する必要がある。そのため、これまでは基礎9の上に架台8を設けてその上に設置していた。
【0010】
しかしながら、ろ過処理施設の老朽化に伴い、高架貯水槽7についても改修が必要となるが、大量のろ過処理された水を高い位置に貯水するためには、基礎9や架台8も含めた大規模な工事が必要となり、工期が長くなりコスト負担も大きい。また、ろ過処理施設を新設する場合にも同様の問題が生じる。
【0011】
また、従来の砂ろ過装置は、ろ過器が1つであるため、ろ過処理の効率化や、ろ過能力の高度化に課題があった。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、各飼育水槽へろ過処理された水を供給するための高架貯水槽を別途設置する必要がなく、ろ過処理の効率化やろ過能力の高度化が可能な、高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置は、ろ過処理された水を貯水する高架貯水槽と、上部ろ過材を介して配置された上部ろ過室及び上部処理水水槽を有する上部ろ過器と、下部ろ過材を介して配置された下部ろ過室及び下部処理水水槽を有する下部ろ過器と、前記上部処理水水槽と前記高架貯水槽とを連結する上部連結管と、前記下部処理水水槽と前記高架貯水槽とを連結する下部連結管とを有し、処理水の貯水時には、前記上部ろ過器及び前記下部ろ過器に送水された水がろ過処理された後、前記高架貯水槽に送水されて貯水され、処理水の供給時には、前記高架貯水槽に貯水された水が重力により供給され、ろ過材の逆洗時には、前記高架貯水槽に貯水された水が重力により前記上部連結管を経由して前記上部処理水水槽に送水されて前記上部ろ過材を洗浄した後、前記上部ろ過室を経由して外に排出されるとともに、前記高架貯水槽に貯水された水が重力により前記下部連結管を経由して前記下部処理水水槽に送水されて前記下部ろ過材を洗浄した後、前記下部ろ過室を経由して外に排出されることを特徴とする。
【0014】
また好ましくは、前記処理水の貯水時に、前記上部ろ過室に送水された水が前記上部ろ過材によりろ過処理された後、前記上部処理水水槽から前記上部連結管を経由して前記高架貯水槽に送水されるとともに、前記下部ろ過室に送水された水が前記下部ろ過材によりろ過処理された後、前記下部処理水水槽から前記下部連結管を経由して前記高架貯水槽に送水されることを特徴とする。
【0015】
また好ましくは、前記上部処理水水槽と前記下部ろ過室とを連結する上下連結管を有し、前記処理水の貯水時に、前記上部ろ過室に送水された水が前記上部ろ過材によりろ過処理された後、前記上部処理水水槽から前記上下連結管を経由して前記下部ろ過室に送水され、前記下部ろ過材によりろ過処理された後、前記下部処理水水槽から前記下部連結管を経由して前記高架貯水槽に送水されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置は、ろ過処理された水を貯水する高架貯水槽と、上部ろ過材を介して配置された上部ろ過室及び上部処理水水槽を有する上部ろ過器と、下部ろ過材を介して配置された下部ろ過室及び下部処理水水槽を有する下部ろ過器と、上部処理水水槽と高架貯水槽とを連結する上部連結管と、下部処理水水槽と高架貯水槽とを連結する下部連結管とを有している。そして、処理水の貯水時には、上部ろ過器及び下部ろ過器に送水された水がろ過処理された後、高架貯水槽に送水されて貯水され、処理水の供給時には、高架貯水槽に貯水された水が重力により供給され、ろ過材の逆洗時には、高架貯水槽に貯水された水が重力により上部連結管を経由して上部処理水水槽に送水されて上部ろ過材を洗浄した後、上部ろ過室を経由して外に排出されるとともに、高架貯水槽に貯水された水が重力により下部連結管を経由して下部処理水水槽に送水されて下部ろ過材を洗浄した後、下部ろ過室を経由して外に排出されるようになっている。
【0017】
従って、ろ過処理した水は、上部の高架貯水槽に貯水して必要に応じて重力により供給先である各飼育水槽に供給することができるので、各飼育水槽へろ過処理水を供給するための高架貯水槽を別途設置する必要がない。重力式自動逆洗砂ろ過装置は逆洗用水を貯水するものであるため、元々基礎を頑丈に設計する必要があり、また本発明では高架貯水槽に貯水した水を逆洗用水としても使用するため、高架貯水槽を追加したとしても基礎工事が大幅に増加することはない。特に、既存の重力式自動逆洗砂ろ過装置を代替えする場合には、既存の基礎が有効に活用できる。
【0018】
また、上部ろ過器と下部ろ過器との2つのろ過器を有しているので、2つのろ過器を並列に接続すれば、ろ過処理を効率化することができる。また、2つのろ過器を直列に接続すれば、ろ過能力を高度化することができる。
【0019】
また、処理水の貯水時に、上部ろ過室に送水された水が上部ろ過材によりろ過処理された後、上部処理水水槽から上部連結管を経由して高架貯水槽に送水されるとともに、下部ろ過室に送水された水が下部ろ過材によりろ過処理された後、下部処理水水槽から下部連結管を経由して高架貯水槽に送水されるようにした場合には、2つのろ過器を並列に接続してろ過処理することができる。
【0020】
また、上部処理水水槽と下部ろ過室とを連結する上下連結管を有し、処理水の貯水時に、上部ろ過室に送水された水が上部ろ過材によりろ過処理された後、上部処理水水槽から上下連結管を経由して下部ろ過室に送水され、下部ろ過材によりろ過処理された後、下部処理水水槽から下部連結管を経由して高架貯水槽に送水されるようにした場合には、2つのろ過器を直列に接続してろ過処理することができる。
【0021】
このように、本発明によれば、各飼育水槽へろ過処理された水を供給するための高架貯水槽を別途設置する必要がなく、ろ過処理の効率化やろ過能力の高度化が可能な、高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置の説明図である。
図2】高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置の使用方法の説明図である。
図3】高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置の使用方法の説明図である。
図4】高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置の使用方法の説明図である。
図5】高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置の使用方法の説明図である。
図6】高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置の使用方法の説明図である。
図7】従来例に係る重力式自動逆洗砂ろ過装置を利用したろ過処理施設を示す平面図である。
図8】従来例に係る重力式自動逆洗砂ろ過装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、図1乃至図6を参照して、本発明の実施形態に係る高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置について説明する。まず、図1を参照して本実施形態に係る高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置100の構成について説明する。
【0024】
図1に示すように、高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置100は、主として、高架貯水槽30、上部ろ過器10及び下部ろ過器20から構成されている。高架貯水槽30は上部ろ過器10の上に配置されており、上部ろ過器10は下部ろ過器20の上に配置されており、設置面積は下部ろ過器20のみの場合と変わらない。
【0025】
高架貯水槽30は、ろ過処理した水を貯水するためのものである。また、高架貯水槽30に貯水された水は、上部ろ過器10及び下部ろ過器20の逆洗用水としても使用される。高架貯水槽30には、飼育水槽へ飼育水を供給するための送水管50が接続されている。また、必要に応じて水を排水するための排水管60が接続されている。
【0026】
上部ろ過器10は、上部ろ過室11及び上部処理水水槽12を有しており、上部ろ過室11と上部処理水槽12との間には上部ろ過材13が配置されている。従って、上部ろ過室11及び上部処理水槽12は、上部ろ過材13を介して上下に配置されている。上部ろ過室11には、上部原水入口14が設けられている。また、上部ろ過室11は排水管60に接続されており、途中に弁(バルブ)が設けられている。また、上部処理水水槽12と高架貯水槽30との間は、上部連結管15により連結されており、上部連結管15には弁(バルブ)が設けられている。
【0027】
下部ろ過器20は、下部ろ過室21及び下部処理水水槽22を有しており、下部ろ過室21と下部処理水槽22との間には下部ろ過材23が配置されている。従って、下部ろ過室21及び下部処理水槽22は、下部ろ過材23を介して上下に配置されている。下部ろ過室21には、下部原水入口24が設けられている。また、下部ろ過室21は排水管60に接続されており、途中に弁(バルブ)が設けられている。また、下部処理水水槽22と高架貯水槽30との間は、下部連結管25により連結されており、下部連結管25には弁(バルブ)が設けられている。また、上部処理水水槽12と下部ろ過室21との間は、上下連結管40により連結されており、上下部連結管40には弁(バルブ)が設けられている。
【0028】
次に、図2乃至図6を参照して、高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置100の使用方法について説明する。図2は、処理水の貯水時に、上部ろ過器10及び下部ろ過器20を並列に接続して、別々にろ過処理する場合の水の流れを示すものである。なお、上部連結管15の弁及び下部連結管25の弁は開かれている。上下連結管40の弁、上部ろ過室11から排水管60への弁及び下部ろ過室21から排水管60への弁は閉じられている。
【0029】
上部ろ過器10によりろ過処理される水は、送水管70を経由して上部原水入口14から上部ろ過室11に送水される。上部ろ過室11に送水された水は、上部ろ過材13によりろ過処理された後、上部処理水水槽12から上部連結管15を経由して高架貯水槽30に送水されて貯水される。
【0030】
下部ろ過器20によりろ過処理される水は、送水管70を経由して下部原水入口24から下部ろ過室21に送水される。下部ろ過室21に送水された水は、下部ろ過材23によりろ過処理された後、下部処理水水槽22から下部連結管25を経由して高架貯水槽30に送水されて貯水される。
【0031】
このように、2つのろ過器を並列に接続すれば、ろ過処理を効率化することができる。
【0032】
図3は、処理水の貯水時に、上部ろ過器10及び下部ろ過器20を直列に接続して、二段階でろ過処理する場合の水の流れを示すものである。なお、上下連結管40の弁及び下部連結管25の弁は開かれている。上部連結管15の弁、上部ろ過室11から排水管60への弁及び下部ろ過室21から排水管60への弁は閉じられている。
【0033】
上部ろ過器10及び下部ろ過器20によりろ過処理される水は、送水管70を経由して上部原水入口14から上部ろ過室11に送水される。上部ろ過室11に送水された水は、上部ろ過材13によりろ過処理された後、上部処理水水槽12から上下連結管40を経由して下部ろ過室21に送水され、下部ろ過材23によりろ過処理された後、下部処理水水槽22から下部連結管25を経由して高架貯水槽30に送水されて貯水される。
【0034】
このように、2つのろ過器を直列に接続すれば、ろ過能力を高度化することができる。
【0035】
処理水の飼育水槽への供給時には、高架貯水槽30に貯水された水が、重力により送水管50を経由して供給先である各飼育水槽へと供給される。
【0036】
図4は、上部ろ過器10の上部ろ過材13の逆洗時おける水の流れを示すものである。なお、上部連結管15の弁及び上部ろ過室11から排水管60への弁は開かれている。下部連結管25の弁、上下連結管40の弁、及び下部ろ過室21から排水管60への弁は閉じられている。
【0037】
高架貯水槽30に貯水された水は、重力により上部連結管15を経由して上部処理水水槽12に送水されて上部ろ過材13を洗浄した後、上部ろ過室11を経由して排水管60から外に排出される。
【0038】
図5は、下部ろ過器20の下部ろ過材23の逆洗時おける水の流れを示すものである。なお、下部連結管25の弁及び下部ろ過室21から排水管60への弁は開かれている。上部連結管15の弁、上下連結管40の弁、及び上部ろ過室11から排水管60への弁は閉じられている。
【0039】
高架貯水槽30に貯水された水は、重力により下部連結管25を経由して下部処理水水槽22に送水されて下部ろ過材23を洗浄した後、下部ろ過室21を経由して排水管60から外に排出される。
【0040】
図6は、下部ろ過器20によるろ過処理と、上部ろ過器10の上部ろ過材13の逆洗処理を同時に行う場合の水の流れを示すものである。なお、上部連結管15の弁、下部連結管25の弁及び上部ろ過室11から排水管60への弁は開かれている。上下連結管40の弁、及び下部ろ過室21から排水管60への弁は閉じられている。
【0041】
下部ろ過器20によりろ過処理される水は、送水管70を経由して下部原水入口24から下部ろ過室21に送水される。下部ろ過室21に送水された水は、下部ろ過材23によりろ過処理された後、下部処理水水槽22から下部連結管25を経由して高架貯水槽30に送水されて貯水される。そして、必要に応じて重力により送水管50を経由して供給先である各飼育水槽へと供給される。
【0042】
高架貯水槽30に貯水された水は、重力により上部連結管15を経由して上部処理水水槽12に送水されて上部ろ過材13を洗浄した後、上部ろ過室11を経由して排水管60から外に排出される。
【0043】
高架貯水槽30に貯水された水が上部ろ過材13の逆洗処理に使用されると、高架貯水槽30の水位が低下するが、図6に示すように、逆洗処理と同時に下部ろ過器20によるろ過処理を行い高架貯水槽30に送水して貯水することにより、高架貯水槽30の水位を維持することができる。なお、上部ろ過器10と下部ろ過器20の役割を逆にして、上部ろ過器10によるろ過処理と、下部ろ過器20の下部ろ過材23の逆洗処理を同時に行うようにすることもできる。
【0044】
上記説明したように、処理水の貯水時、処理水の供給時及びろ過材の逆洗時には、それぞれの水の流れに応じて各送水管や各連結管に設置された弁(バルブ)が適宜開閉される。
【0045】
高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置100を構成する高架貯水槽30、上部ろ過室10及び下部ろ過室20は、例えばFRPにより一体的に形成される。製造にあたっては、内部型枠とし外部FRP機械巻方式により製造することが好ましい。
【0046】
高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置100の下には、基礎6が構築されている。基礎6は、高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置100の各槽に入る水の量を勘案して構築する。
【0047】
本実施形態に係る高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置100は、ろ過処理された水を貯水する高架貯水槽30と、上部ろ過材13を介して配置された上部ろ過室11及び上部処理水水槽12を有する上部ろ過器10と、下部ろ過材23を介して配置された下部ろ過室21及び下部処理水水槽22を有する下部ろ過器20と、上部処理水水槽12と高架貯水槽30とを連結する上部連結管15と、下部処理水水槽22と高架貯水槽30とを連結する下部連結管25とを有している。そして、処理水の貯水時には、上部ろ過器10及び下部ろ過器20に送水された水がろ過処理された後、高架貯水槽30に送水されて貯水され、処理水の供給時には、高架貯水槽30に貯水された水が重力により供給され、ろ過材13,23の逆洗時には、高架貯水槽30に貯水された水が重力により上部連結管15を経由して上部処理水水槽12に送水されて上部ろ過材13を洗浄した後、上部ろ過室11を経由して外に排出されるとともに、高架貯水槽30に貯水された水が重力により下部連結管25を経由して下部処理水水槽22に送水されて下部ろ過材23を洗浄した後、下部ろ過室21を経由して外に排出されるようになっている。
【0048】
従って、ろ過処理した水は、上部の高架貯水槽30に貯水して必要に応じて重力により供給先である各飼育水槽に供給することができるので、各飼育水槽へろ過処理水を供給するための高架貯水槽を別途設置する必要がない。重力式自動逆洗砂ろ過装置は逆洗用水を貯水するものであるため、元々基礎を頑丈に設計する必要があり、また本実施形態では高架貯水槽30に貯水した水を逆洗用水としても使用するため、高架貯水槽30を追加したとしても基礎工事が大幅に増加することはない。特に、既存の重力式自動逆洗砂ろ過装置を代替えする場合には、既存の基礎が有効に活用できる。
【0049】
また、上部ろ過器10と下部ろ過器20との2つのろ過器を有しているので、2つのろ過器10,20を並列に接続すれば、ろ過処理を効率化することができる。また、2つのろ過器10,20を直列に接続すれば、ろ過能力を高度化することができる。
【0050】
また、処理水の貯水時に、上部ろ過室11に送水された水が上部ろ過材13によりろ過処理された後、上部処理水水槽12から上部連結管15を経由して高架貯水槽30に送水されるとともに、下部ろ過室21に送水された水が下部ろ過材23によりろ過処理された後、下部処理水水槽22から下部連結管25を経由して高架貯水槽30に送水されるようにした場合には、2つのろ過器10,20を並列に接続してろ過処理することができる。
【0051】
また、上部処理水水槽12と下部ろ過室21とを連結する上下連結管40を有し、処理水の貯水時に、上部ろ過室11に送水された水が上部ろ過材13によりろ過処理された後、上部処理水水槽12から上下連結管40を経由して下部ろ過室21に送水され、下部ろ過材23によりろ過処理された後、下部処理水水槽22から下部連結管25を経由して高架貯水槽30に送水されるようにした場合には、2つのろ過器10,20を直列に接続してろ過処理することができる。
【0052】
このように、本実施形態に係る高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置100によれば、各飼育水槽へろ過処理された水を供給するための高架貯水槽を別途設置する必要がなく、ろ過処理の効率化やろ過能力の高度化が可能である。
【0053】
以上、本発明の実施形態に係る高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 ろ過材
2 逆洗用水水槽
3 ろ過室
4 処理水水槽
5 一次貯水槽
6 基礎
7 高架貯水槽
8 架台
9 基礎
10 上部ろ過器
11 上部ろ過室
12 上部処理水水槽
13 上部ろ過材
14 上部原水入口
15 上部連結管
20 下部ろ過器
21 下部ろ過室
22 下部処理水水槽
23 下部ろ過材
24 下部原水入口
25 下部連結管
30 高架貯水槽
40 上下連結管
50 送水管
60 排水管
70 送水管
80 送水管
90 送水管
100 高架貯水槽付重力式自動逆洗二段式砂ろ過装置
200 重力式自動逆洗砂ろ過装置
P ポンプ
図1
図2
図3
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図5
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図8