特開2017-225953(P2017-225953A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-225953(P2017-225953A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】脱酸素剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20171201BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20171201BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20171201BHJP
   A23L 3/3436 20060101ALI20171201BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20171201BHJP
   B65D 81/26 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   B01D53/14 311
   B01J20/30
   B01J20/28 Z
   A23L3/3436
   B65D85/50 A
   B65D81/26 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-125425(P2016-125425)
(22)【出願日】2016年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100140578
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 萌
(72)【発明者】
【氏名】村井 絵美子
【テーマコード(参考)】
3E035
3E067
4B021
4D020
4G066
【Fターム(参考)】
3E035AB10
3E035BA02
3E035BA05
3E035BA08
3E035BD02
3E035DA10
3E067AB01
3E067BA10A
3E067BA12A
3E067CA03
3E067FA01
3E067FC01
3E067GB13
3E067GD01
4B021LA01
4B021LA16
4B021MC04
4B021MK02
4B021MK08
4B021MP07
4D020AA02
4D020BA19
4D020BB07
4D020CA04
4D020CD03
4D020DB10
4D020DB20
4G066AA05C
4G066AA17D
4G066AA47D
4G066AB06B
4G066AC02D
4G066BA09
4G066BA12
4G066CA37
4G066DA03
4G066EA07
4G066FA01
4G066FA27
4G066FA28
4G066FA38
(57)【要約】
【課題】粒状の脱酸素剤に関して、酸素吸収能力の更なる向上を図ること。
【解決手段】多孔質の担持体、及び担持体に担持された酸素吸収組成物を含む、造粒物と、造粒物の表面に付着している親水性無機微粒子と、を備える複数の複合粒子を含む粉体である脱酸素剤が開示される。酸素吸収組成物は、酸素吸収物質を含む液剤、アルカリ性化合物、及び遷移金属化合物を含有する。親水性無機微粒子の静かさ密度が0.50g/cm以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質の担持体、及び前記担持体に担持された酸素吸収組成物を含む、造粒物と、
前記造粒物の表面に付着している親水性無機微粒子と、
を備える複数の複合粒子を含む粉体である脱酸素剤であって、
前記酸素吸収組成物が、酸素吸収物質を含む液剤、アルカリ性化合物、及び遷移金属化合物を含有し、
前記親水性無機微粒子の静かさ密度が0.50g/cm以下である、
脱酸素剤。
【請求項2】
前記親水性無機微粒子の静かさ密度が0.20g/cm以下である、請求項1に記載の脱酸素剤。
【請求項3】
前記親水性無機微粒子が、150μm以下の平均粒径を有する、請求項1又2に記載の脱酸素剤。
【請求項4】
前記親水性無機微粒子が、0.5mL/g以上の細孔容積を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の脱酸素剤。
【請求項5】
前記親水性無機微粒子の量が、前記造粒物の質量100質量部に対して0.1〜30質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の脱酸素剤。
【請求項6】
前記複合粒子の質量が、前記複合粒子1個当たり0.3〜10.0mgである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の脱酸素剤。
【請求項7】
前記造粒物の表面に付着している前記親水性無機微粒子が、厚み1mm以下の層を形成している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の脱酸素剤。
【請求項8】
前記親水性無機微粒子が、前記複合粒子の表面をエネルギー分散型X線分析によって元素分析したときに前記酸素吸収物質、前記アルカリ性化合物又は前記遷移金属化合物に含まれる元素が検出されるように、前記造粒物の表面に付着している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の脱酸素剤。
【請求項9】
前記造粒物に前記親水性無機微粒子を付着させる工程を備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の脱酸素剤を製造する方法。
【請求項10】
複数の前記造粒物からなる造粒物粉体と複数の前記親水性無機微粒子とを混ぜ合わせることにより、前記造粒物に前記親水性無機微粒子を付着させる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の脱酸素剤と、該脱酸素剤を収容した通気性包材と、を備える、脱酸素剤包装体。
【請求項12】
請求項11に記載の脱酸素剤包装体と、該脱酸素剤包装体が封入された食品包装容器と、を備える、食品包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱酸素剤及びその製造方法に関する。本発明はまた、脱酸素剤を含む脱酸素剤包装体及び食品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の長期保存のために、食品包装容器内に脱酸素剤が封入されることがある。従来の一般的な脱酸素剤は、液状の酸素吸収物質が担持体とともに造粒された粒状物である(例えば、特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4821692号公報
【特許文献2】特開2003−144112号公報
【特許文献3】特許第3541859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、粒状の脱酸素剤に関して、酸素吸収能力の更なる向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面は、多孔質の担持体、及び前記担持体に担持された酸素吸収組成物を含む、造粒物と、造粒物の表面に付着している親水性無機微粒子と、を備える複数の複合粒子を含む粉体である脱酸素剤を提供する。
【0006】
本発明の別の側面は、多孔質の担持体、及び前記担持体に担持された酸素吸収組成物を含む、造粒物に、親水性無機微粒子を付着させる工程を備える、脱酸素剤を製造する方法に関する。
【0007】
酸素吸収組成物が、酸素吸収物質を含む液剤、アルカリ性化合物、及び遷移金属化合物を含有する。無機微粒子の静かさ密度が0.5g/cm以下である。
【0008】
酸素吸収組成物を含む造粒物の表面に特定のかさ密度の親水性無機微粒子を付着させることにより、酸素吸収物質が本来有する酸素吸収性が発揮されて、改善された酸素吸収能力を有する脱酸素剤が得られる。
【0009】
本発明はまた、上記脱酸素剤と、該脱酸素剤を収容した通気性包材と、を備える、脱酸素剤包装体を提供する。本発明はさらに、この脱酸素剤包装体と、脱酸素剤包装体が封入された食品包装容器と、を備える、食品包装体を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、改善された酸素吸収能力を有する粒状の脱酸素剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
一実施形態に係る脱酸素剤は、多孔質の担持体、及び前記担持体に担持された酸素吸収組成物を含む、造粒物と、造粒物の表面に付着している親水性無機微粒子とから主として構成される複数の複合粒子を含む粉体である。ここで「粉体」は多数の微粒子から構成され、全体として流動性を維持している集合体を意味する。全体として微粒子同士が互いに固着して単一の固形錠剤を形成したもの自体は粉体に含まれない。本実施形態に係る脱酸素剤に含まれる複合粒子の数は、例えば、脱酸素剤1g当たり、10個以上10000個以下であってもよい。
【0013】
脱酸素剤の粉体を構成する個々の複合粒子の質量は、複合粒子1個当たり0.3mg以上、又は0.5mg以上であってもよく、10.0mg以下、又は7.0mg以下であってもよい。複合粒子がこのように微小であると、より高い酸素吸収能力が得られる傾向がある。
【0014】
担持体は、酸素吸収組成物を担持できる多孔質粒子であればよい。通常、担持体に酸素吸収組成物が含浸することで、酸素吸収物質が担持体に担持される。担持体は、例えば、活性炭、ゼオライト粒子、ベントナイト粒子、活性アルミナ粒子、活性白土、ケイ酸カルシウム粒子、及び珪藻土から選ばれる。
【0015】
酸素吸収組成物は、酸素吸収物質を含む液剤、アルカリ性化合物、及び遷移金属化合物を含有する。
【0016】
酸素吸収物質を含む液剤は、常温(例えば5〜35℃)で液状の酸素吸収物質であってもよいし、液状又は固体の酸素吸収物質を含む溶液であってもよい。酸素吸収物質は、酸素吸収組成物の主剤であり、酸素を吸収する物質である。酸素吸収物質は、例えば、それ自身が酸化することによって酸素を消費し、酸素を吸収する化合物であってもよい。本実施形態では、常温で液状、又は溶媒へ溶解した状態の酸素吸収物質を用いることができる。このような酸素吸収物質は、例えば、グリセリン、1,2−グリコール、及び糖アルコールからなる群から選ばれる1種以上の化合物である。1,2−グリコールの具体例としては、エチレングリコール、及びプロピレングリコールが挙げられる。糖アルコールの具体例としては、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、アドニトール、マンニトール、及びソルビトールが挙げられる。液剤が酸素吸収物質の溶液であるとき、酸素吸収物質が溶解する溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、第2級ブタノール、第3級ブタノール及び第3級アミルアルコール等の低級脂肪族アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール及びトリメチレングリコール等のグリコール;並びにフェノールが挙げられる。酸素吸収物質としてはこれらを単独で、複数組み合わせて用いることができる。
【0017】
酸素吸収物質の量は、担持体の質量100質量部に対して、通常80〜200質量部であり、100〜180質量部であってもよい。酸素吸収物質の量がこれらの範囲内にあると、適切な酸素吸収能力を有する脱酸素剤が得られ易い傾向がある。
【0018】
酸素吸収物質は、酸素を吸収する反応に水を必要とする場合がある。このため、酸素吸収物質自身が常温で液体であっても、必要に応じて水を液剤に添加する。必要に応じて添加される水の量は、酸素吸収物質100質量部に対して、通常0〜80質量部であり、20〜60質量部であってもよい。水の量は、担持体100質量部に対して、通常0〜90質量部であり、20〜70質量部であってもよい。
【0019】
アルカリ性化合物は、水に溶解したときにアルカリ性の水溶液を形成する化合物である。酸素吸収物質が水酸基を持つ場合、水酸基をアルカリ性化合物がイオン化させることで、酸素吸収反応が活性化される。酸素吸収組成物の状態では、アルカリ性化合物の一部が酸素吸収物質を含む液剤に溶解していることが多い。アルカリ性化合物は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、第三リン酸塩、又は第二リン酸塩であってもよい。アルカリ性化合物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化ラジウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、第三リン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、及び第二リン酸カリウムからなる群より選ばれる1種以上の化合物であってもよい。
【0020】
アルカリ性化合物の量は、担持体の質量100質量部に対して、通常100〜300質量部であり、150〜250質量部であってもよい。酸素吸収物質の量がこれらの範囲内にあると、適切な酸素吸収能力を有する脱酸素剤が得られ易い傾向がある。
【0021】
遷移金属化合物は、遷移金属元素を含む化合物であり、酸素吸収物質の酸素吸収反応を促進するために添加される。遷移金属化合物は、酸素吸収組成物の状態では、酸素吸収物質を含む液剤に溶解していることが多い。遷移金属元素の具体例としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、及びマンガンが挙げられる。遷移金属化合物は、例えば、遷移金属のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、有機酸塩、酸化物、水酸化物、又はキレート化合物であってもよい。遷移金属化合物は、遷移金属元素を含む複塩であってもよい。遷移金属化合物は、塩化銅(I)、塩化銅(II)、硫酸銅(II)、水酸化銅(II)、酸化銅(I)、酸化銅(II)、塩化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、及び塩化ニッケルからなる群より選ばれる1種以上の化合物であってもよい。
【0022】
遷移金属化合物の量は、担持体の質量100質量部に対して、通常10〜70質量部であり、30〜50質量部であってもよい。遷移金属化合物の量がこれらの範囲内にあると、適切な酸素吸収能力を有する脱酸素剤が得られ易い傾向がある。
【0023】
酸素吸収組成物は、造粒物が容易に形成できるように、バインダーを更に含有していてもよい。バインダーの具体例としては、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン及びセルロースが挙げられる。バインダーの量は、担持体の質量100質量部に対して、通常0〜30質量部であり、10〜20質量部であってもよい。
【0024】
酸素吸収組成物は、必要によりその他の物質を更に含有していてもよい。その他の物質としては、例えば、カテコール系化合物が挙げられる。その他の物質の量は、担持体の質量100質量部に対して、通常、30質量部以下程度である。
【0025】
親水性無機微粒子が付着する前の造粒物の粒径(最大幅)は、特に制限されないが、例えば0.3mm以上であってもよく、8.0mm以下、4.5mm以下、1.8mm以下、又は1.5mm以下であってもよい。造粒物の形状は、特に限定されないが、例えば円柱状であってもよい。円柱状の造粒物の場合、その直径は0.3mm以上であってもよく、4.5mm以下であってもよい。円柱状の造粒物の高さが、0.3mm以上であってもよく、1.8mm以下、又は1.5mm以下であってもよい。造粒物の粒径又はサイズが小さいと、より高い酸素吸収能力が得られる傾向がある。
【0026】
担持体及び酸素吸収組成物から構成される造粒物は、担持体と、酸素吸収組成物を構成する成分とを含む混合物を造粒することにより、得ることができる。酸素吸収組成物を構成する各成分は、一括して混合してもよいし、別々に混合してもよい。混合するための混合機は、特に限定されるものではなく、例えば、円筒型、V型等の容器回転型混合機であってもよいし、リボン型、水平スクリュー型、バドル型、遊星運動型等の容器固定型混合機であってもよい。
【0027】
造粒物は、例えば、押出造粒、攪拌造粒、流動層造粒、転動造粒、又は圧縮造粒によって造粒することにより、得ることができる。押出造粒は、例えば、所定の開孔を有するスクリーンを用いて行うことができる。押出造粒によって得られる造粒物は、円柱状であることが多い。
【0028】
親水性無機微粒子は、無機物質を主成分として含む非水溶性の粒子である。親水性無機微粒子は、その全体質量を基準として、通常、50質量部以上の無機物質を含む。無機物質は、例えば、親水性二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム水和物、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び炭(活性炭)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0029】
親水性無機微粒子は、静かさ密度が小さいと、分散性がよく、造粒物に均一に付着し易い。親水性無機微粒子が造粒物に均一に付着できることが、脱酸素剤の酸素吸収能力向上に寄与し得る。具体的には、親水性無機微粒子の静かさ密度が0.50g/cm以下であると、高い酸素吸収能力が得られる傾向がある。同様の観点から、親水性無機微粒子の静かさ密度は、0.20g/cm以下、0.15g/cm以下、又は0.10g/cm以下であってもよい。静かさ密度の下限は、特に制限されないが、親水性無機微粒子が舞いやすく取扱いが難しくなることから、例えば、0.05g/cm以上であってもよい。
【0030】
親水性無機微粒子の静かさ密度は、容積100cmの円筒状の容器に親水性無機微粒子をふるい入れ、容器に収容されたみかけの容積100cmの親水性無機微粒子の重量を測定する方法により、決定することができる。親水性無機微粒子を容器に投入し、その後、親水性無機微粒子の重量を測定するまでの間、容器が静置された状態が維持される。静かさ密度を測定するための円筒状の容器の深さは、6.5cm程度であることができる。静かさ密度の測定方法の詳細は、後述の実施例において説明される。
【0031】
親水性無機微粒子の平均粒径が、150μm以下であってもよい。親水性無機微粒子の平均粒径が150μm以下であることにより、脱酸素剤の酸素吸収能力をより一層改善することができる。造粒物の表面には、通常、微細な凹凸が形成されており、小さい粒径の親水性無機微粒子は、造粒物表面の凹部に入り込み易い。このことが結果的に造粒物の表面積を大幅に増加させることになり、酸素吸収能力向上に寄与すると考えられる。同様の観点から、親水性無機微粒子の平均粒径は、100μm以下、又は50μm以下であってもよい。平均粒径の下限は、特に制限されないが、ナノサイズの微粒子が高価であることと、取扱が難しくなることから、例えば、0.1μm以上であってもよい。ここでの平均粒径は、レーザー回析法により測定される二次粒子径の値である。
【0032】
親水性無機微粒子の細孔容積が、0.5mL/g以上であってもよい。親水性無機微粒子の細孔容積が0.5mL/g以上であることにより、脱酸素剤の酸素吸収能力をより一層改善することができる。大きな細孔容積を有する親水性無機微粒子は、造粒物表面近傍の酸素吸収組成物を吸収し易いと考えられる。酸素吸収組成物(特に酸素吸収物質)が親水性無機微粒子に吸収されると、酸素吸収物質と環境下の酸素と接触する面積が増え、その結果、酸素吸収能力が向上すると推察される。同様の観点から、親水性無機微粒子の細孔容積は、0.8mL/g以上、又は1.2mL/g以上であってもよい。細孔容積の上限は、特に制限されないが、例えば、10mL/g以下であってもよい。ここでの細孔容積は、窒素吸着法又は水銀圧入法により測定される値である。窒素吸着法又は水銀圧入法のうち少なくともいずれか一方の方法で測定される細孔容積が上記数値範囲内であればよい。
【0033】
以上例示した平均粒径、細孔容積及びかさ密度を有する親水性無機微粒子は、通常の方法によって製造することが可能であり、市販品の中から適宜選択して入手することもできる。
【0034】
造粒物の表面に付着している親水性無機微粒子の量(付着量)は、造粒物の質量100質量部に対して、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、2質量部以上又は3質量部以上であってもよい。親水性無機微粒子の付着量がこれらの範囲内にあると、脱酸素剤の適切な酸素吸収能力が得られ易い。親水性無機微粒子の付着量の上限は、特に制限されないが、造粒性等の観点から、30質量部以下、25質量部以下、15質量部以下、10質量部以下又は8質量部以下であってもよい。造粒物に付着していない単独の親水性無機微粒子が、脱酸素剤の粒子と混在していることがあり得るが、単独の親水性無機微粒子の量は上記付着量に含まれない。
【0035】
脱酸素剤全体を基準とした造粒物の体積比は、60%を超えていてもよい。造粒物の体積比が適切な範囲にあることで、特に高い酸素吸収能力が得られ易い。同様の観点から、造粒物の体積比は、70%以上、又は80%以上であってもよく、98%以下であってもよい。
【0036】
親水性無機微粒子は、通常、造粒物の表面全体にわたって付着している。ただし、造粒物の表面が親水性無機微粒子によって隙間なく被覆されている必要は必ずしもなく、親水性無機微粒子が互いに間隔をあけながら造粒物の表面全体にわたって分布していてもよい。
【0037】
脱酸素剤は、例えば、担持体及び酸素吸収組成物を含む複数の造粒物を含む造粒物粉体と複数の無機微粒子とを混ぜ合わせることにより、造粒物の表面に無機微粒子を付着させる工程を備える方法によって、得ることができる。造粒物粉体と親水性無機微粒子とが全体として混ぜ合わせられた粉体混合物を形成することにより、個々の造粒物の表面に複数の親水性無機微粒子が付着する。例えば、造粒物と、親水性無機微粒子とを混合し、得られた粉体混合物を振とうすることにより、造粒物に親水性無機微粒子を付着させることができる。
【0038】
上記のような粉体同士を混ぜ合わせる方法により造粒物に付着した親水性無機微粒子は、比較的薄い層を形成しており、この点で、本実施形態の脱酸素剤の形態は、例えば打錠成形によって得られた外郭部を有する錠剤とは一般に異なる。具体的には、造粒物の表面に付着している親水性無機微粒子は、厚み1mm以下、又は0.7mm以下の層を形成し得る。親水性無機微粒子の層が薄いことは、複合粒子の表面をエネルギー分散型X線分析(EDX分析)によって元素分析したときに、造粒物を構成する材料(酸素吸収物質、アルカリ性化合物又は遷移金属化合物)に含まれる元素が検出されることから、確認することもできる。一般に、本実施形態に係る脱酸素剤の場合、造粒物を構成する材料に含まれる少なくとも1種の元素が、0.05原子数%以上、又は0.1原子数%以上の濃度で検出されることが多い。一方、造粒物を内包するある程度の厚さの外郭部が打錠成形によって形成されている場合、造粒物を構成する材料の元素がEDX分析によって実質的に検出されることはない。
【0039】
一実施形態に係る脱酸素包装体は、上記の実施形態に係る脱酸素剤と、この脱酸素剤を収容した通気性包材とから主として構成され得る。通気性包材は、当該技術分野で通常用いられるものから適宜選択することができる。通気性包材の具体例としては、有孔プラスチックフィルム、不織布、マイクロポーラスフィルム、紙又はこれらの組み合わせからなる基材よって形成された袋体が挙げられる。この脱酸素剤包装体は、例えば、各種の食品包装容器の中に収容して、食品の鮮度維持等の目的で使用することができる。
【0040】
一実施形態に係る食品包装体は、上記脱酸素剤包装体と、この脱酸素剤包装体が封入された食品包装容器とを備える。食品包装容器は、食品包装の分野で通常用いられるものから適宜選択することができ、密封可能な容器が好適である。食品包装容器としては、袋体、深絞り包装体、トレイ包装体、ストレッチ包装体等が挙げられる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0042】
1.造粒物
表1に示す原料を密封状態で均一に混合して、活性炭と、活性炭に担持された脱酸素剤、アルカリ化合物、遷移金属塩及びバインダーを含む酸素吸収組成物とを含有する混合物を得た。得られた混合物をスクリーン孔径1.0mmφ、開孔率22.6%のスクリーンを設けた押出し造粒機により造粒し、顆粒状の造粒物からなる造粒物粉体を得た。表1は、各原料の配合量を質量部で示す。
【0043】
【表1】
【0044】
2.親水性無機微粒子
以下の親水性無機微粒子を準備した。
<親水性二酸化ケイ素(SiO)粒子>
・サイロページ720(富士シリシア化学製)
・サイロページ760(富士シリシア化学製)
・NIPGEL AZ−200(東ソー・シリカ製)
・マイコンF(富田製薬製)
・乳糖(関東化学製)
<非晶質ケイ酸カルシウム水和物(CaO・mSiO・nHO)粒子>
・フローライト(富田製薬製)
【0045】
3.静かさ密度
親水性無機微粒子の静かさ密度を、以下の手順で測定した。表2に各親水性無機微粒子の静かさ密度の値を示す。
(1)開口を有し、深さ6.5cm、容積100cmの円筒状の容器を準備し、容器の空重量を測定する。
(2)容器に親水性無機微粒子を静かにふるい入れて、容器の開口全体にわたって容器から上にはみ出す均一な山ができるまで親水性無機微粒子を投入する。
(3)親水性無機微粒子の山の部分をすり切ってから、容器と親水性無機微粒子を合わせた全体の重量を測定する。
(4)以下の式により、静かさ密度を計算する。
静かさ密度[g/cm]=(全体の重量[g]−空重量[g])/100[cm
【0046】
4.脱酸素剤
各種親水性無機微粒子0.9gを、酸素バリア性の袋に入れた。そこに、30gの造粒物を入れ、袋をヒートシールした。袋を振とうして、親水性無機微粒子によって造粒物が被覆された複合粒子を含む粉体である脱酸素剤を形成させた。袋を開け、内部の空気を追い出すように再びヒートシールして、脱酸素剤を保管した。
【0047】
5.酸素吸収能力
脱酸素剤2.0gを、有孔包材によって形成された袋(縦60mm、横60mm)に収納し、脱酸素剤包装体を作製した。有効包材として、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/紙/ポリエチレンから構成される積層材料を用いた。脱酸素剤包装体を、ショ糖44%水溶液を浸した脱脂綿(水分活性0.95)とともに、ガスバリア性の袋の中に入れた。袋を密封し、その中に空気500cmを注入してから、袋を25℃の雰囲気に放置した。24時間後、及び48時間後の袋内の酸素濃度を測定した。酸素濃度が低いことは、酸素吸収能力が高いことを意味する。
【0048】
6.結果
表2に、親水性無機微粒子の種類、特性及び酸素吸収能力の評価結果を示す。参考例は、造粒物を親水性無機微粒子によって被覆せず、そのまま脱酸素剤として用いた例である。0.5g/cm以下の静かさ密度を有する親水性親水性無機微粒子を多孔質の担持体に担持させた各実施例の脱酸素剤は、優れた酸素吸収能力を示すことが確認された。
【0049】
【表2】