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特開2017-226021ロボット、ロボット制御装置およびロボットシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-226021(P2017-226021A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】ロボット、ロボット制御装置およびロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   B25J13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-121491(P2016-121491)
(22)【出願日】2016年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】清澤 勇貴
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS07
3C707BS13
3C707BS26
3C707CT05
3C707ES05
3C707HT26
3C707LU09
3C707LV02
3C707LV17
(57)【要約】
【課題】容易かつ迅速に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができるロボット、ロボット制御装置およびロボットシステムを提供すること。
【解決手段】ロボットアームと、前記ロボットアームに設けられ、力を検出する力検出器と、を備え、前記ロボットアームにより第1対象物を移動させ、挿入部を有する第2対象物に前記第1対象物を接触させる第1動作を行った後、前記力検出器の検出結果に基づいて、前記ロボットアームにより前記第1対象物を回転させつつ並進させ、前記第1対象物を前記挿入部に挿入する第2動作を行うことを特徴とするロボット。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームと、
前記ロボットアームに設けられ、力を検出する力検出器と、を備え、
前記ロボットアームにより第1対象物を移動させ、挿入部を有する第2対象物に前記第1対象物を接触させる第1動作を行った後、
前記力検出器の検出結果に基づいて、前記ロボットアームにより前記第1対象物を回転させつつ並進させ、前記第1対象物を前記挿入部に挿入する第2動作を行うことを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記第1対象物の挿入方向に対して垂直な方向の断面形状は、真円ではない請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記第2動作における前記第1対象物の回転は、前記第1対象物を通る軸を回転中心とする回転である請求項1または2に記載のロボット。
【請求項4】
前記第1動作では、前記第1対象物を前記挿入部に接触させる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項5】
前記第2動作では、前記挿入部に前記第1対象物の2箇所以上を接触させる動作を行う請求項1ないし4のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項6】
前記第1動作では、前記第1対象物は、前記第1対象物の挿入方向に対して所定角度傾斜しており、
前記第2動作では、前記挿入部に前記第1対象物の2箇所以上が接触した後に、前記第1対象物を起立させる請求項5に記載のロボット。
【請求項7】
前記第2動作では、前記挿入部に前記第1対象物の2箇所以上を接触させる際に、前記第1対象物の並進により生じるモーメントを打ち消す制御を行う請求項5または6に記載のロボット。
【請求項8】
前記第2動作では、前記第1対象物の並進については、前記力検出器の検出値が小さくなる方向に移動させる請求項1ないし7のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項9】
前記第2動作では、前記第1対象物の回転については、前記力検出器の検出値が所定の範囲に入るように回転させる請求項1ないし8のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載のロボットを制御することを特徴とするロボット制御装置。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載のロボットと、
前記ロボットを制御するロボット制御装置と、を備えることを特徴とするロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット、ロボット制御装置およびロボットシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基台と、複数のアーム(リンク)を有するロボットアームとを備えるロボットが知られている。ロボットアームの隣り合う2つのアームのうちの一方のアームは、関節部を介して、他方のアームに回動可能に連結され、最も基端側(最も上流側)のアームは、関節部を介して、基台に回動可能に連結されている。関節部はモーターにより駆動され、その関節部の駆動により、アームが回動する。また、最も先端側(最も下流側)のアームには、エンドエフェクターとして、例えば、着脱可能にハンド等が装着される。そして、ロボットは、例えば、ハンドで対象物を把持し、その対象物を所定の場所へ移動させ、組立等の所定の作業を行う。
【0003】
特許文献1には、円柱状の第1対象物を第2対象物に形成された孔(挿入部)に挿入する作業を行うロボットが開示されている。
【0004】
このロボットでは、ハンドにより第1対象物を把持して第2対象物に押し当て、その状態で第1対象物を第2対象物上で移動させ、第2対象物に形成された孔を探索する。また、孔を探索する際は、第1対象物の進行方向の端部を持ち上げ、第1対象物を第2対象物に対して予め設定された傾斜角度で傾斜させる。そして、第1対象物の一部が孔に挿入されると、第1対象物の角度を前記傾斜角度分だけ元に戻し、第1対象物全体を孔に挿入する。
【0005】
このように第1対象物を傾斜させて移動させることにより、第1対象物を傾斜させずに移動させる場合に比べて、第2対象物に対する第1対象物の接触面積が小さくなり、第1対象物が第2対象物に存在する凹凸に引っ掛かり難くなり、孔を容易に探索することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−137299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のロボットでは、第1対象物と第2対象物の孔との間の隙間が小さい場合は、第1対象物を挿入することができないか、または、作業が完了するまでに長時間を要するという問題がある。また、第1対象物の長手方向に対して垂直な方向の断面形状が真円以外の形状、例えば、多角形や、キー溝等の突起のある形状等の場合は、第1対象物を挿入することができないか、または、作業が完了するまでに長時間を要するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
本発明のロボットは、ロボットアームと、
前記ロボットアームに設けられ、力を検出する力検出器と、を備え、
前記ロボットアームにより第1対象物を移動させ、挿入部を有する第2対象物に前記第1対象物を接触させる第1動作を行った後、
前記力検出器の検出結果に基づいて、前記ロボットアームにより前記第1対象物を回転させつつ並進させ、前記第1対象物を前記挿入部に挿入する第2動作を行うことを特徴とする。
【0010】
これにより、容易かつ迅速に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。また、第1対象物と第2対象物の挿入部との間の隙間が小さい場合でも迅速に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。また、第1対象物の挿入方向に対して垂直な方向の断面形状が真円ではない場合でも迅速に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。
【0011】
本発明のロボットでは、前記第1対象物の挿入方向に対して垂直な方向の断面形状は、真円ではないことが好ましい。
【0012】
第1対象物の挿入方向に対して垂直な方向の断面形状が真円ではない場合でも迅速に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。
【0013】
本発明のロボットでは、前記第2動作における前記第1対象物の回転は、前記第1対象物を通る軸を回転中心とする回転であることが好ましい。
【0014】
これにより、第1対象物と第2対象物の挿入部との間の隙間がより小さい場合でも第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。
【0015】
本発明のロボットでは、前記第1動作では、前記第1対象物を前記挿入部に接触させることが好ましい。
これにより、より迅速に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。
【0016】
本発明のロボットでは、前記第2動作では、前記挿入部に前記第1対象物の2箇所以上を接触させる動作を行うことが好ましい。
これにより、適確に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。
【0017】
本発明のロボットでは、前記第1動作では、前記第1対象物は、前記第1対象物の挿入方向に対して所定角度傾斜しており、
前記第2動作では、前記挿入部に前記第1対象物の2箇所以上が接触した後に、前記第1対象物を起立させることが好ましい。
これにより、適確に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。
【0018】
本発明のロボットでは、前記第2動作では、前記挿入部に前記第1対象物の2箇所以上を接触させる際に、前記第1対象物の並進により生じるモーメントを打ち消す制御を行うことが好ましい。
これにより、適確に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。
【0019】
本発明のロボットでは、前記第2動作では、前記第1対象物の並進については、前記力検出器の検出値が小さくなる方向に移動させることが好ましい。
これにより、適確に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。
【0020】
本発明のロボットでは、前記第2動作では、前記第1対象物の回転については、前記力検出器の検出値が所定の範囲に入るように回転させることが好ましい。
これにより、適確に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。
【0021】
本発明のロボット制御装置は、本発明のロボットを制御することを特徴とする。
これにより、容易かつ迅速に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。また、第1対象物と第2対象物の挿入部との間の隙間が小さい場合でも迅速に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。また、第1対象物の挿入方向に対して垂直な方向の断面形状が真円ではない場合でも迅速に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。
【0022】
本発明のロボットシステムは、本発明のロボットと、
前記ロボットを制御するロボット制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0023】
これにより、容易かつ迅速に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。また、第1対象物と第2対象物の挿入部との間の隙間が小さい場合でも迅速に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。また、第1対象物の挿入方向に対して垂直な方向の断面形状が真円ではない場合でも迅速に第1対象物を第2対象物の挿入部に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明のロボットシステムの実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示すロボットシステムのロボットの概略図である。
図3図1に示すロボットシステムのロボットに装着されるエンドエフェクターおよび力覚センサーを示す図である。
図4図1に示すロボットシステムの主要部のブロック図である。
図5図1に示すロボットシステムのロボットの動作を説明するための図である。
図6図1に示すロボットシステムのロボットの動作を説明するための図である。
図7図1に示すロボットシステムのロボットの動作を説明するための図である。
図8図1に示すロボットシステムのロボットの動作を説明するための図である。
図9図1に示すロボットシステムのロボットの動作を説明するための図である。
図10図1に示すロボットシステムのロボット制御装置の制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のロボット、ロボット制御装置およびロボットシステムを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明のロボットシステムの実施形態を示す斜視図である。図2は、図1に示すロボットシステムのロボットの概略図である。図3は、図1に示すロボットシステムのロボットに装着されるエンドエフェクターおよび力覚センサーを示す図である。図4は、図1に示すロボットシステムの主要部のブロック図である。図5図9は、図1に示すロボットシステムのロボットの動作を説明するための図である。図10は、図1に示すロボットシステムのロボット制御装置の制御動作を示すフローチャートである。
【0027】
なお、以下では、説明の便宜上、図1図5図9中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。また、図1図5図9中のベース側を「基端」または「上流」、その反対側を「先端」または「下流」と言う。また、図1図5図9中の上下方向が鉛直方向である。
【0028】
図1および図4に示すように、ロボットシステム10は、ロボット1と、ロボット1を制御するロボット制御装置900とを備えている。このロボットシステム10のロボット1は、双腕ロボットであり、例えば、腕時計のような精密機器等を製造する製造工程等で用いることができる。ロボット制御装置900は、ロボット1にその一部または全部が内蔵されていてもよく、また、ロボット1とは、別体であってもよい。本実施形態では、ロボット制御装置900は、ロボット1の後述するベース210内に内蔵されている。
【0029】
なお、ロボット1とロボット制御装置900とを別体で構成する場合は、例えば、ロボット1とロボット制御装置900とをケーブルで接続し、有線方式で通信を行うようにしてもよく、また、前記ケーブルを省略し、無線方式で通信を行うようにしてもよい。
【0030】
また、ロボット1の配置としては、特に限定されないが、以下では、説明の便宜上、ロボット1を水平な床に配置する場合、すなわち、後述する回動軸O1が鉛直方向と平行な場合を例に挙げて説明する。
【0031】
(ロボット)
図1に示すように、ロボット1は、ベース(基台)210と、ベース210に連結されている胴体220と、胴体220の左右に連結されている一対のロボットアームの1例である一対の多関節アーム230、240と、胴体220に設けられているステレオカメラ250および信号灯260と、各多関節アーム230、240に設けられている図示しないハンドカメラと、胴体220の背面側に設けられたモニター270とを備えている。
【0032】
このようなロボット1(ロボットシステム10)によれば、ステレオカメラ250やハンドカメラを用いて作業台上の部品、工具等の位置を確認しながら作業を行うことができる。また、信号灯260によって、ロボット1の状態、例えば、駆動状態、正常停止状態、異常停止状態等を容易に確認することができる。また、モニター270にロボット1に関する情報が表示されるため、ロボット1の状態を簡単に確認することができる。モニター270は、例えば、タッチパネルになっており、タッチパネルを操作することによって、表示画面を切り替えたり、ロボット1に指令を与えたり、与えた指令を変更したりすることができる。
【0033】
−ベース−
ベース210には、ロボット1の移動を容易とする図示しない複数の車輪(回転部材)と、各車輪をロックする図示しないロック機構と、ロボット1を移動する際に把持するハンドル(把持部)211とが設けられている。ロック機構を解除し、ハンドル211を把持して押したり引いたりすることで、ロボット1を自在に移動させることができ、ロック機構によって車輪をロックすることで、ロボット1を所定の位置で固定することができる。このように、ロボット1を移動可能とすることで、ロボット1の利便性が向上する。なお、車輪、ロック機構およびハンドル211は、それぞれ、省略してもよい。
【0034】
また、ベース210には、図示しない作業台に当接させるためのバンパー213が設けられている。バンパー213を作業台の側面に当接させることによって、ロボット1を所定の間隔を隔てて作業台と向き合わせることができる。そのため、ロボット1と作業台との意図しない接触等を防止することができる。なお、バンパー213は、作業台に当接する当接部213aと、ベース210に固定される固定部213bを有し、図1では、当接部213aが固定部213bよりも下側に位置するようにベース210に装着されている。このようなバンパー213は、ベース210に対して着脱可能であり、バンパー213の向きを上下反転することができる。すなわち、図1とは反対に、当接部213aが固定部213bよりも上方に位置するようにバンパー213をベース210に装着することもできる。このように、当接部213aの高さを変更することで、高さの異なる作業台に対応することが可能となる。
【0035】
なお、バンパー213は、ベース210ではなく、後述する昇降機構800の昇降する部分に固定されていてもよい。これにより、バンパー213が胴体220と共に一体的に昇降するため、昇降機構800によって、バンパー213の高さが自動的に調節されることとなる。したがって、利便性の高いロボット1となる。
【0036】
また、ベース210には、非常停止ボタン214が設けられており、非常時にはこの非常停止ボタン214を押すことによって、ロボット1を緊急停止させることができる。
【0037】
−胴体−
胴体220は、昇降機構(移動機構)800を介して、ベース210に対して鉛直方向(回動軸O1方向)に昇降可能に連結されている。昇降機構800の構成としては、胴体220をベース210に対して昇降させることができれば、特に限定されない。なお、昇降機構800は、例えば、駆動源としてのモーター850と、モーター850の回転角度を検出する位置センサー860等を有している(図4参照)。また、昇降機構800は、モーター850の回転速度を減じる減速機を有していてもよい。
【0038】
また、胴体220は、関節機構310を介して、ベース210(昇降機構800)に対して回動軸O1まわりに回動可能に連結されている。回動軸O1は、鉛直方向に延在している。関節機構310の構成としては、胴体220をベース210(昇降機構800)に対して回動軸O1まわりに回動させることができれば、特に限定されないが、本実施形態では、図4に示すように、駆動源としてのモーター311と、モーター311の回転速度を減じる減速機(図示せず)と、モーター311の回転角度を検出する位置センサー312とを有している。前記モーター311、850および後述する各モーターとしては、例えば、ACサーボモーター、DCサーボモーター等のサーボモーターを用いることができる。前記減速機および後述する各減速機としては、例えば、遊星ギア型の減速機、ハーモニックドライブ(「ハーモニックドライブ」は登録商標)等を用いることができる。前記位置センサー312、860および後述する各位置センサーとしては、例えば、エンコーダー、ロータリーエンコーダー、レゾルバー、ポテンショメーター等を用いることができる。
【0039】
−多関節アーム−
図1および図2に示すように、多関節アーム230は、関節機構410を介して胴体220に連結されている第1肩部(第1アーム)231と、関節機構420を介して第1肩部231に連結されている第2肩部(第2アーム)232と、捻り機構430を介して第2肩部232の先端に連結されている上腕部(第3アーム)233と、関節機構440を介して上腕部233の先端に連結されている第1前腕部(第4アーム)234と、捻り機構450を介して第1前腕部234の先端に連結されている第2前腕部(第5アーム)235と、関節機構460を介して第2前腕部235の先端に連結されている手首部(第6アーム)236と、捻り機構470を介して手首部236の先端に連結されている連結部(第7アーム)237とを有している。また、連結部237にはハンド部238が設けられており、ハンド部238には、図3に示すように、ロボット1に実行させる作業に応じたエンドエフェクター610が力覚センサー740を介して着脱可能に装着される。
【0040】
また、図2に示すように、関節機構410は、第1肩部231を胴体220に対して回動軸O1と直交する回動軸O2まわりに回動させる。また、関節機構420は、第2肩部232を第1肩部231に対して回動軸O2に直交する回動軸O3まわりに回動させる。また、捻り機構430は、上腕部233を第2肩部232に対して回動軸O3に直交する回動軸O4まわりに回動させる(捻る)。また、関節機構440は、第1前腕部234を上腕部233に対して回動軸O4に直交する回動軸O5まわりに回動させる。また、捻り機構450は、第2前腕部235を第1前腕部234に対して回動軸O5に直交する回動軸O6まわりに回動させる(捻る)。また、関節機構460は、手首部236を第2前腕部235に対して回動軸O6に直交する回動軸O7まわりに回動させる。また、捻り機構470は、連結部237を手首部236に対して回動軸O7に直交する回動軸O8まわりに回動させる(捻る)。このような多関節アーム230によれば、比較的簡単な構成によって、人間の腕部と同様に、関節(肩、肘、手首)の曲げ伸ばし、上腕および前腕の捻りを実現することができる。
【0041】
関節機構410、関節機構420、捻り機構430、関節機構440、捻り機構450、関節機構460および捻り機構470の構成としては、それぞれ、特に限定されないが、本実施形態では、前述した関節機構310と同様の構成となっている。すなわち、図4に示すように、関節機構410は、駆動源としてのモーター411と、モーター411の回転速度を減じる減速機(図示せず)と、モーター411の回転角度を検出する位置センサー412とを有している。また、関節機構420は、駆動源としてのモーター421と、モーター421の回転速度を減じる減速機(図示せず)と、モーター421の回転角度を検出する位置センサー422とを有している。また、捻り機構430は、駆動源としてのモーター431と、モーター431の回転速度を減じる減速機(図示せず)と、モーター431の回転角度を検出する位置センサー432とを有している。また、関節機構440は、駆動源としてのモーター441と、モーター441の回転速度を減じる減速機(図示せず)と、モーター441の回転角度を検出する位置センサー442とを有している。また、捻り機構450は、駆動源としてのモーター451と、モーター451の回転速度を減じる減速機(図示せず)と、モーター451の回転角度を検出する位置センサー452とを有している。また、関節機構460は、駆動源としてのモーター461と、モーター461の回転速度を減じる減速機(図示せず)と、モーター461の回転角度を検出する位置センサー462とを有している。また、捻り機構470は、駆動源としてのモーター471と、モーター471の回転速度を減じる減速機(図示せず)と、モーター471の回転角度を検出する位置センサー472とを有している。
【0042】
多関節アーム240は、前述の多関節アーム230と同様の構成である。すなわち、図1に示すように、多関節アーム240は、関節機構510を介して胴体220に連結されている第1肩部(第1アーム)241と、関節機構520を介して第1肩部241に連結されている第2肩部(第2アーム)242と、捻り機構530を介して第2肩部242の先端に連結されている上腕部(第3アーム)243と、関節機構540を介して上腕部243の先端に連結されている第1前腕部(第4アーム)244と、捻り機構550を介して第1前腕部244の先端に連結されている第2前腕部(第5アーム)245と、関節機構560を介して第2前腕部245の先端に連結されている手首部(第6アーム)246と、捻り機構570を介して手首部246の先端に連結されている連結部(第7アーム)247とを有している。また、連結部247にはハンド部248が設けられており、ハンド部248には、図3に示すように、ロボット1に実行させる作業に応じたエンドエフェクター620が力覚センサー750を介して着脱可能に装着される。
【0043】
また、図2に示すように、関節機構510は、第1肩部241を胴体220に対して回動軸O1に直交する回動軸O2’まわりに回動させる。また、関節機構520は、第2肩部242を第1肩部241に対して回動軸O2’に直交する回動軸O3’まわりに回動させる。また、捻り機構530は、上腕部243を第2肩部242に対して回動軸O3’に直交する回動軸O4’まわりに回動させる(捻る)。また、関節機構540は、第1前腕部244を上腕部243に対して回動軸O4’に直交する回動軸O5’まわりに回動させる。また、捻り機構550は、第2前腕部245を第1前腕部244に対して回動軸O5’に直交する回動軸O6’まわりに回動させる(捻る)。また、関節機構560は、手首部246を第2前腕部245に対して回動軸O6’に直交する回動軸O7’まわりに回動させる。また、捻り機構570は、連結部247を手首部246に対して回動軸O7’に直交する回動軸O8’まわりに回動させる(捻る)。このような多関節アーム240によれば、比較的簡単な構成によって、人間の腕部と同様に、関節(肩、肘、手首)の曲げ伸ばし、上腕および前腕の捻りを実現することができる。
【0044】
関節機構510、関節機構520、捻り機構530、関節機構540、捻り機構550、関節機構560および捻り機構570の構成としては、それぞれ、特に限定されないが、本実施形態では、前述した関節機構310と同様の構成となっている。すなわち、図4に示すように、関節機構510は、駆動源としてのモーター511と、モーター511の回転速度を減じる減速機(図示せず)と、モーター511の回転角度を検出する位置センサー512とを有している。また、関節機構520は、駆動源としてのモーター521と、モーター521の回転速度を減じる減速機(図示せず)と、モーター521の回転角度を検出する位置センサー522とを有している。また、捻り機構530は、駆動源としてのモーター531と、モーター531の回転速度を減じる減速機(図示せず)と、モーター531の回転角度を検出する位置センサー532とを有している。また、関節機構540は、駆動源としてのモーター541と、モーター541の回転速度を減じる減速機(図示せず)と、モーター541の回転角度を検出する位置センサー542とを有している。また、捻り機構550は、駆動源としてのモーター551と、モーター551の回転速度を減じる減速機(図示せず)と、モーター551の回転角度を検出する位置センサー552とを有している。また、関節機構560は、駆動源としてのモーター561と、モーター561の回転速度を減じる減速機(図示せず)と、モーター561の回転角度を検出する位置センサー562とを有している。また、捻り機構570は、駆動源としてのモーター571と、モーター571の回転速度を減じる減速機(図示せず)と、モーター571の回転角度を検出する位置センサー572とを有している。
【0045】
−エンドエフェクター−
多関節アーム230、240の先端に取り付けられるエンドエフェクター610、620は、例えば、対象物を把持する機能を有している。エンドエフェクター610、620の構成は実行させる作業によって異なるが、例えば、図5に示すように、エンドエフェクター610は、4本の指611、612、613および614を有する構成とすることができ、エンドエフェクター620は、4本の指621、622、623および624を有する構成とすることができる。このような構成のエンドエフェクター610では、指611〜614のうちの所定の離間距離を調整することにより、対象物を把持することができ、同様に、エンドエフェクター620では、指621〜624のうちの所定の離間距離を調整することにより、対象物を把持することができる。
【0046】
また、ロボット1は、多関節アーム230に設けられ、力を検出する力検出器の1例である力覚センサー740と、多関節アーム240に設けられ、力を検出する力検出器の1例である力覚センサー750とを備えている。
【0047】
エンドエフェクター610とハンド部238との間に配置される力覚センサー740と、エンドエフェクター620とハンド部248との間に配置される力覚センサー750は、エンドエフェクター610、620に加えられる力を検出する機能、すなわち、エンドエフェクター610、620が把持した対象物を介して受ける反力等の力を検出する機能を有している。なお、前記力には、モーメントも含まれる。
【0048】
この力覚センサー740、750の検出結果、すなわち、力覚センサー740、750から出力される信号は、ロボット制御装置900に入力され、ロボット制御装置900は、力覚センサー740、750の検出結果に基づいて所定の制御を行う。力覚センサー740、750の検出結果をロボット制御装置900にフィードバックすることにより、ロボット1は、より精密に作業を実行することができる。
【0049】
また、力覚センサー740、750としては、特に限定されず、各種のものを用いることができるが、例えば、互いに直交する3軸の各軸方向の力および各軸回りのモーメントを検出する6軸力センサー等が挙げられる。
【0050】
(ロボット制御装置)
ロボット制御装置900は、例えば、CPU(Central Processing Unit)が内蔵されたパーソナルコンピューター(PC)等で構成することができる。
【0051】
このロボット制御装置900は、胴体220、多関節アーム230、240および昇降機構800をそれぞれ独立して作動させることができる。言い換えると、ロボット制御装置900は、モータードライバー等を介して、各関節機構310、410、420、440、460、510、520、540、560、各捻り機構430、450、470、530、550、570および昇降機構800が備える各モーター311、411〜471、511〜571および850を独立して制御することができる。この場合、ロボット制御装置900は、位置センサー312、412〜472、512〜572および860により検出を行い、その検出結果に基づいて、各モーター311、411〜471、511〜571および850の駆動(例えば角速度や回動角度等)を制御する。この制御プログラムは、ロボット制御装置900の記憶部921に予め記憶されている。
【0052】
具体的な構成としては、図4に示すように、ロボット制御装置900は、モーター311の駆動を制御する第1駆動源制御部901と、モーター411の駆動を制御する第2駆動源制御部902と、モーター421の駆動を制御する第3駆動源制御部903と、モーター431の駆動を制御する第4駆動源制御部904と、モーター441の駆動を制御する第5駆動源制御部905と、モーター451の駆動を制御する第6駆動源制御部906と、モーター461の駆動を制御する第7駆動源制御部907と、モーター471の駆動を制御する第8駆動源制御部908と、モーター511の駆動を制御する第9駆動源制御部909と、モーター521の駆動を制御する第10駆動源制御部910と、モーター531の駆動を制御する第11駆動源制御部911と、モーター541の駆動を制御する第12駆動源制御部912と、モーター551の駆動を制御する第13駆動源制御部913と、モーター561の駆動を制御する第14駆動源制御部914と、モーター571の駆動を制御する第15駆動源制御部915と、モーター850の駆動を制御する第16駆動源制御部916と、各情報を記憶する記憶部921等を備えている。
【0053】
次に、図5図9と、図10のフローチャートとに基づいて、ロボット1が作業を行う場合のロボット1の動作、すなわち、作業の手順について説明する。また、同時に、前記作業の際のロボット制御装置900の制御動作について説明する。
【0054】
なお、本実施形態では、作業の1例として、一方のエンドエフェクター610で第1対象物41を把持し、他方のエンドエフェクター620で第2対象物51を把持し、第1対象物41を搬送し、第1対象物41を第2対象物51に設けられた挿入部の1例である孔52に挿入する作業を例に挙げて説明する。
【0055】
また、第1対象物41の形状、第2対象物51の孔52の形状は、それぞれ、特に限定されないが、本実施形態では、代表的に、第1対象物41の形状が長手形状(長尺形状)である場合、具体的には、第1対象物41の形状と、第2対象物51の孔52の形状とがそれぞれ八角柱状である場合を例に挙げて説明する。
【0056】
このように本実施形態では、第1対象物41の挿入方向に対して垂直な方向の断面形状は、真円ではなく、八角形である。なお、第1対象物41の挿入方向に対して垂直な方向の断面形状は、真円でもよく、また、他の例としては、例えば、楕円や、三角形、四角形、五角形、六角形等の他の多角形等が挙げられる。
【0057】
また、第2対象物51の孔52には、貫通孔と、貫通していない孔、すなわち、有底の孔とが含まれるが、本実施形態では、代表的に、貫通孔を例に挙げて説明を行う。なお、第2対象物51の挿入部は、前記孔52には限定されず、挿入可能な形状のものであればよく、例えば、凹部等が挙げられる。
【0058】
作業の際は、力制御の1例であるインピーダンス制御を行う。これにより、第1対象物41および第2対象物51を損傷させることなく、適確に第1対象物41を第2対象物51の孔52に挿入することができる。
【0059】
まず、図5に示すように、ロボット1は、一方のエンドエフェクター610で第1対象物41を把持し、他方のエンドエフェクター620で第2対象物51を把持する。そして、多関節アーム230により、第1対象物41(第1対象物41を通り水平面に対して垂直な軸)を鉛直方向、すなわち、第1対象物41の挿入方向に対して所定角度傾斜させる。この第1対象物41の傾斜角度は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定される。また、第2対象物51は、作業台61上に載置する。
【0060】
次に、図6に示すように、多関節アーム230により第1対象物41を移動させ、孔52を有する第2対象物51に第1対象物41を接触させる第1動作を行う(ステップS101)。
【0061】
そして、前記第1動作を行った後、図7図9に示すように、力覚センサー740の検出結果に基づいて、多関節アーム230により第1対象物41を回転させつつ並進させ、第1対象物41を孔52に挿入する第2動作を行う(ステップS102〜S104)。
【0062】
前記第2動作では、まず、図7に示すように、多関節アーム230により第1対象物41を回転させつつ並進させ、第1対象物41と孔52との位置合わせを行う(ステップS102)。この位置合わせでは、第1のインピーダンス制御を行う。
【0063】
次に、多関節アーム230により、第1対象物41の回転方向の力、すなわち、モーメント(力のモーメント)と、並進方向の力をそれぞれ調整する(ステップS103)。この調整では、第2のインピーダンス制御を行う。なお、この調整は、省略してもよい。
【0064】
次に、図8に示すように、多関節アーム230により、第1対象物41を起立させ、図9に示すように、第2対象物51の孔52に挿入する(ステップS104)。この起立、挿入では、第3のインピーダンス制御を行う。以上で作業が完了する。
【0065】
次に、前記第1動作および第2動作について詳細に説明する。
(第1動作)
第1動作では、前述したように、第1対象物41(前記軸)は、第1対象物41の挿入方向に対して所定角度傾斜している。これにより、第1対象物41を容易に孔52の縁部に接触させることができる。
【0066】
また、第1動作では、第1対象物41を第2対象物51のいずれの部分に接触させてもよいが、第1対象物41を孔52、すなわち、孔52の縁部に接触させることが好ましい。これにより、より迅速に第1対象物41を孔52に挿入することができる。
【0067】
なお、第2対象物51の第1対象物41を接触させる部分としては、この他、例えば、第2対象物51の上面等が挙げられる。第1対象物41を第2対象物51の上面に接触させる場合は、その後に、第1対象物41を移動させて孔52の縁部に接触させる。
【0068】
(第2動作)
第2動作では、第1対象物41を回転させつつ並進させて、第1対象物41と孔52との位置合わせを行う。この位置合わせでは、第1対象物41の先端の輪郭が孔52内に位置するように第1対象物41を変位させる。また、この第2動作における第1対象物41の回転は、第1対象物41の前記軸を回転中心とする回転である。このような第1対象物41の前記軸を回転中心とする回転動作と並進動作とを同時に行うことにより、第1対象物41と第2対象物51の孔52との間の隙間がより小さい場合でも第1対象物41と孔52との位置合わせを迅速かつ適確に行うことができる。
【0069】
また、第2動作の位置合わせでは、孔52、すなわち、孔52の縁部に第1対象物41の2箇所以上、本実施形態では第1対象物41の前記軸方向から見て2辺以上を接触させる動作を行う。これにより、第1対象物41と孔52との位置合わせを適確に行うことができる。
【0070】
この場合、第1対象物41の並進については、力覚センサー740の検出値が小さくなる方向に移動させる。
【0071】
具体的には、力覚センサー740により検出を行い、力覚センサー740の検出値、すなわち、第1対象物41の並進により生じる力が小さくなる方向に第1対象物41を移動させ、その検出値が所定の閾値以下になると、第1対象物41の並進を停止する。これにより、第1対象物41と孔52との位置合わせを適確に行うことができる。
【0072】
また、第1対象物41の回転については、力覚センサー740の検出値が所定の範囲に入るように回転させる。
【0073】
具体的には、力覚センサー740により検出を行い、力覚センサー740の検出値、すなわち、第1対象物41の回転により生じるモーメントが小さくなる方向に第1対象物41を回転させ、その検出値が所定の範囲内になると、第1対象物41の回転を停止する。これにより、第1対象物41と孔52との位置合わせを適確に行うことができる。
【0074】
また、孔52に第1対象物41の2箇所以上を接触させる際に、第1対象物41の並進により生じるモーメントを打ち消す制御を行う。
【0075】
具体的には、第1対象物41に対し、第1対象物41の並進により生じるモーメントの方向と逆方向で、かつ、前記モーメントと絶対値が等しいモーメントを与える。以下、このモーメントを「逆方向モーメント」と言う。これにより、第1対象物41と孔52との位置合わせを適確に行うことができる。
以上で、第1対象物41と孔52との位置合わせが完了する。
【0076】
次に、第1対象物41のモーメントと、並進方向の力とをそれぞれ調整する。具体的には、前記位置合わせが完了した状態で第1対象物41に対して与えている前記逆方向モーメントおよび並進方向の力をそれぞれ除去、すなわち、0にする。
【0077】
そして、孔52、すなわち、孔52の縁部に第1対象物41の2箇所以上が接触した後、厳密には、前記位置合わせが完了し、前記逆方向モーメントおよび並進方向の力をそれぞれ除去した後に、第1対象物41を起立させ、孔52に挿入する。
【0078】
具体的には、力覚センサー740により検出を行い、力覚センサー740の検出値が所定の閾値以下になると、前記第1対象物41を起立させる動作を停止し、第1対象物41を孔52に挿入する。なお、力覚センサー740の検出値が前記閾値以下になった状態で、第1対象物41の挿入方向に対する傾斜角度は、0または0に近い値となっている。すなわち、第1対象物41は、起立している。これにより、適確に第1対象物41を孔52に挿入することができる。
【0079】
ここで、前記ロボット1のインピーダンス制御のモデルは、例えば、下記(1)式に示す運動方程式で表すことができる。
f(t)=mx’’+cx’+kx ・・・(1)
【0080】
前記(1)式において、mは、質量(慣性)、cは、粘性係数、kは、弾性(剛性)係数、f(t)は、力、xは、目標位置からの変位(位置)である。また、xの1次微分、すなわち、x’は、速度に対応し、xの2次微分、すなわち、x’’は、加速度に対応する。なお、以下では、m、cおよびkをそれぞれ単に、「パラメーター」とも言う。
【0081】
インピーダンス制御では、前記(1)式の特性を多関節アーム230の先端部に持たせるための制御系を構成する。すなわち、前記(1)式で表される仮想質量、仮想粘性係数、仮想弾性係数を、あたかも多関節アーム230の先端部が持っているかのように制御を行う。
【0082】
そして、インピーダンス制御では、前記(1)式におけるパラメーターm、cおよびkをそれぞれ設定するが、そのパラメーターm、cおよびkは、それぞれ、前記第1のインピーダンス制御、第2のインピーダンス制御および第3のインピーダンス制御で以下のように設定することが好ましい。
【0083】
まず、第1のインピーダンス制御および第3のインピーダンス制御では、パラメーターm、cおよびkをそれぞれ所定の基準値に設定する。
【0084】
一方、第2のインピーダンス制御では、パラメーターmは、第1のインピーダンス制御および第3のインピーダンス制御よりも小さい値に設定する。これにより、応答速度を向上させることができる。すなわち、パラメーターmを小さい値に設定すると、比較的小さい力で変位量を多くすることができ、これにより、第1のインピーダンス制御において加えた余分な力を短時間で除去または減少させることができる。
【0085】
また、パラメーターkは、0に設定する。これにより、第1のインピーダンス制御において加えた余分な力を短時間で除去または減少させることができる。
【0086】
また、パラメーターcは、第1のインピーダンス制御および第3のインピーダンス制御と同様に、所定の基準値に設定する。
【0087】
第2のインピーダンス制御において、パラメーターm、cおよびkを前記のように設定することにより、ロボット1の作業時間を短縮することができ、スループットを向上させることができる。
【0088】
以上説明したように、このロボットシステム10によれば、容易かつ迅速に第1対象物41を第2対象物51の孔52に挿入することができる。
【0089】
この場合、第1対象物41と第2対象物51の孔52との間の隙間が小さい場合や、第1対象物41の挿入方向に対して垂直な方向の断面形状が本実施形態のように八角形でも、すなわち真円ではない場合でも、第2動作において第1対象物41を回転させつつ並進させることで、第1対象物41と孔52との位置合わせを迅速かつ適確に行うことができる。これにより、迅速かつ適確に第1対象物41を孔52に挿入することができる。
【0090】
なお、本実施形態では、第1対象物41と第2対象物51の孔52との間の隙間が9μm以下、特に7μm以下であっても第1対象物41を孔52に挿入することが可能である。
【0091】
以上、本発明のロボット、ロボット制御装置およびロボットシステムを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0092】
また、本発明では、前記実施形態において、第1対象物と第2対象物とを入れ替えた構成であってもよい。この場合は、例えば、第1対象物は、八角柱状の孔を有する部材であり、第2対象物は、八角柱状の部材である。そして、第2対象物の挿入部は、八角柱状の部材自体である。
【0093】
また、前記実施形態では、移動可能なロボットについて説明したが、本発明では、これに限定されず、ロボットは、例えば、所定の部分に固定されていてもよい。具体例としては、ロボットは、例えば、ボルト等によって、設置スペースの床、天井、壁、作業台、地上等に固定されていてもよい。
【0094】
また、本発明では、ロボットは、セル内に配置されていてもよい。
また、前記実施形態では、ロボットの回動軸の数は15であるが、本発明では、これに限定されず、ロボットの回動軸の数は、1〜14でもよく、また、16以上でもよい。
【0095】
また、前記実施形態では、ロボットアームの数は、2つであるが、本発明では、これに限定されず、ロボットアームの数は、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0096】
また、本発明では、ロボットは、他の形式のロボットであってもよい。具体例としては、例えば、脚部を有する脚式歩行(走行)ロボット、スカラーロボット等の水平多関節ロボット等が挙げられる。
【符号の説明】
【0097】
1…ロボット、10…ロボットシステム、210…ベース、211…ハンドル、213…バンパー、213a…当接部、213b…固定部、214…非常停止ボタン、220…胴体、230…多関節アーム、231…第1肩部、232…第2肩部、233…上腕部、234…第1前腕部、235…第2前腕部、236…手首部、237…連結部、238…ハンド部、240…多関節アーム、241…第1肩部、242…第2肩部、243…上腕部、244…第1前腕部、245…第2前腕部、246…手首部、247…連結部、248…ハンド部、250…ステレオカメラ、260…信号灯、270…モニター、310…関節機構、311…モーター、312…位置センサー、410…関節機構、411…モーター、412…位置センサー、420…関節機構、421…モーター、422…位置センサー、430…捻り機構、431…モーター、432…位置センサー、440…関節機構、441…モーター、442…位置センサー、450…捻り機構、451…モーター、452…位置センサー、460…関節機構、461…モーター、462…位置センサー、470…捻り機構、471…モーター、472…位置センサー、510…関節機構、511…モーター、512…位置センサー、520…関節機構、521…モーター、522…位置センサー、530…捻り機構、531…モーター、532…位置センサー、540…関節機構、541…モーター、542…位置センサー、550…捻り機構、551…モーター、552…位置センサー、560…関節機構、561…モーター、562…位置センサー、570…捻り機構、571…モーター、572…位置センサー、610…エンドエフェクター、611、612、613、614…指、620…エンドエフェクター、621、622、623、624…指、740…力覚センサー、750…力覚センサー、800…昇降機構、850…モーター、860…位置センサー、900…ロボット制御装置、901…第1駆動源制御部、902…第2駆動源制御部、903…第3駆動源制御部、904…第4駆動源制御部、905…第5駆動源制御部、906…第6駆動源制御部、907…第7駆動源制御部、908…第8駆動源制御部、909…第9駆動源制御部、910…第10駆動源制御部、911…第11駆動源制御部、912…第12駆動源制御部、913…第13駆動源制御部、914…第14駆動源制御部、915…第15駆動源制御部、916…第16駆動源制御部、921…記憶部、O1、O2、O2’、O3、O3’、O4、O4’、O5、O5’、O6、O6’、O7、O7’、O8、O8’…回動軸、41…第1対象物、51…第2対象物、52…孔、61…作業台、S101〜S104…ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10