(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-226061(P2017-226061A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】ワイヤソー用のガイドローラ
(51)【国際特許分類】
B24B 27/06 20060101AFI20171201BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20171201BHJP
B28D 5/04 20060101ALI20171201BHJP
B23D 57/00 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
B24B27/06 Q
H01L21/304 611W
B28D5/04 A
B23D57/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-125828(P2016-125828)
(22)【出願日】2016年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000152675
【氏名又は名称】コマツNTC株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000136354
【氏名又は名称】株式会社フコク
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 雅一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 克彦
(72)【発明者】
【氏名】杉原 勉
(72)【発明者】
【氏名】金井 和之
【テーマコード(参考)】
3C040
3C069
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C040AA10
3C069AA01
3C069BA06
3C069BC01
3C069CA00
3C069CA04
3C069EA03
3C158AA05
3C158AA14
3C158CA01
3C158CB06
3C158DA03
5F057AA37
5F057BA01
5F057BB01
5F057CA02
5F057DA15
5F057FA24
(57)【要約】
【課題】ウレタンゴム製のガイドローラと比較して、円板部材の剛性を大きくできるとともに、イナーシャを同等にできるガイドローラを提供する。
【解決手段】円板部材2を備えたワイヤソー用のガイドローラであって、円板部材2は、回転軸Sに固定される軸受部10と、ワイヤWが巻き掛けられる環状の外周縁部20と、軸受部10と外周縁部20とを接続する接続部30とを備え、接続部30は、円板部材2の厚さ方向Lの一端側に位置する第一接続面部31と、厚さ方向Lの他端側に位置する第二接続面部32とを備えており、第一接続面部31および第二接続面部32は、円板部材2の厚さの中心を通るとともに厚さ方向Lを法線とする仮想平面Pからそれぞれ離間した位置に形成されていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板部材を備え、ワーク加工用のワイヤの走行を案内するためのワイヤソー用のガイドローラであって、
前記円板部材は、回転軸に固定される軸受部と、前記ワイヤが巻き掛けられる環状の外周縁部と、前記軸受部と前記外周縁部とを接続する接続部とを備え、
前記接続部は、前記円板部材の厚さ方向の一端側に位置する第一接続面部と、前記厚さ方向の他端側に位置する第二接続面部とを備えており、
前記第一接続面部および前記第二接続面部は、前記円板部材の厚さの中心を通るとともに前記厚さ方向を法線とする仮想平面からそれぞれ離間した位置に形成されている
ことを特徴とするワイヤソー用のガイドローラ。
【請求項2】
前記第一接続面部と前記第二接続面部は、前記円板部材の周方向に沿って交互に配置されており、隣り合う前記第一接続面部と前記第二接続面部とは、板状の連結部にて接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤソー用のガイドローラ。
【請求項3】
前記接続部の前記外周縁部寄りの位置に、肉抜き孔が形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワイヤソー用のガイドローラ。
【請求項4】
前記円板部材は、金属または繊維強化プラスチックからなる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワイヤソー用のガイドローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤソー用のガイドローラに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体材料や磁性材料などのワークをワイヤによって切断するワイヤソーでは、複数のガイドローラによってワイヤの走行を案内している。
ワイヤソー用のガイドローラとしては、金属製の回転軸にウレタンゴム製の円板部材を取り付けてなるガイドローラがあった。ガイドローラの外周面には、ガイド溝が形成されており、このガイド溝にワイヤが掛け回されていた。ところで、ワイヤソーにおける加工時間を短縮するために、ワイヤの走行速度の高速化が進んできている。ワイヤの走行速度が高速化すると、ガイドローラの回転速度が速くなるが、前記構成のガイドローラでは、円板部材の剛性が小さいため、円板部材が振動してワイヤの走行に支障をきたす問題があった。
【0003】
そこで、振動を抑制するためのガイドローラとして、特許文献1に示すようなものがあった。特許文献1のガイドローラは、回転軸に取り付けられる金属製の円板部材の外周面に取付溝が形成されており、この取付溝にウレタンゴム製の環状の外周部材が嵌め合わされ、外周部材の外周面にガイド溝が形成されている。前記の円板部材では、ウレタンゴム製の円板部材よりも剛性が大きいので、高回転時における振動を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−286752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、ワイヤソーにおける加工精度を向上させるために、ワイヤが細くなってきている。特許文献1のガイドローラでは、金属製の円板部材を備えているため、円板部材の重量が大きくイナーシャが大きくなってしまう。そのため、ガイドローラの回転反転時などに、ワイヤが切断されてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決し、ウレタンゴム製のガイドローラと比較して、円板部材の剛性を大きくできるとともに、イナーシャを同等にできるガイドローラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、円板部材を備え、ワーク加工用のワイヤの走行を案内するためのワイヤソー用のガイドローラであって、前記円板部材は、回転軸に固定される軸受部と、前記ワイヤが巻き掛けられる環状の外周縁部と、前記軸受部と前記外周縁部とを接続する接続部とを備え、前記接続部は、前記円板部材の厚さ方向の一端側に位置する第一接続面部と、前記厚さ方向の他端側に位置する第二接続面部とを備えており、前記第一接続面部および前記第二接続面部は、前記円板部材の厚さの中心を通るとともに前記厚さ方向を法線とする仮想平面からそれぞれ離間した位置に形成されていることを特徴とする。
【0008】
前記した構成のガイドローラによれば、第一接続面部と第二接続面部とが互いに離間した位置に配置されるので、円板部材の曲げ剛性を大きくすることができる。さらに、第一接続面部と仮想平面との間、および第二接続面部と仮想平面との間に空間が形成されるので、肉抜きをすることができ、円板部材の軽量化を図れるので、イナーシャをウレタンゴム製のガイドローラと比較して同等にすることができる。
【0009】
本発明のガイドローラにおいて、前記第一接続面部と前記第二接続面部は、前記円板部材の周方向に沿って交互に配置されており、隣り合う前記第一接続面部と前記第二接続面部とは、板状の連結部にて接続されているものが好ましい。前記構成によれば、第一接続面部と第二接続面部を交互に配置したことで、円板部材のさらなる軽量化を図れる。また、第一接続面部と第二接続面部を連結部で繋いだことで、円板部材の曲げ剛性を大きくすることができる。さらに、円板部材は閉じられた中空部を有さないので、鋳造、鍛造あるいは切削加工等の製造方法を用いて、1ピースで構成することができる。したがって、製作の加工手間および費用を低減することができる。
【0010】
また、本発明のガイドローラにおいて、前記接続部の前記外周縁部寄りの位置に、肉抜き孔が形成されているものが好ましい。前記構成によれば、円板部材の外周縁部が軽量化されるので、効率的にイナーシャを小さくすることができる。
【0011】
さらに、本発明のガイドローラにおいて、前記円板部材は、金属または繊維強化プラスチックからなるものが好ましい。前記構成によれば、円板部材の曲げ剛性を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガイドローラでは、ウレタンゴム製のガイドローラと比較して、円板部材の剛性を大きくできるとともに、イナーシャの増大を防いで、イナーシャをガイドローラと同等にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るガイドローラを示した斜視図である。
【
図2】(a)は本発明の第一実施形態に係るガイドローラを示した側面図、(b)は
図2(a)のA−A線断面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係るガイドローラにワイヤを掛けた状態を示した側面図である。
【
図5】(a)および(b)は円板部材の接続部の変形例を示した断面図である。
【
図6】本発明の第二実施形態に係るガイドローラを示した一部破断斜視図である。
【
図7】(a)は本発明の第二実施形態に係るガイドローラを示した側面図、(b)は
図7(a)のC−C線断面図である。
【
図8】(a)は本発明の第三実施形態に係るガイドローラを示した側面部、(b)は
図8(a)のD−D線断面図、(c)は
図8(a)のE−E線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第一実施形態に係るガイドローラについて、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態のガイドローラ1は、ワイヤソーに用いられるものであり、
図4に示すように、ワーク加工用のワイヤWの走行を案内するものである。本実施形態のガイドローラ1は、円板部材2と、環状の外周部材3とを備えている。
【0015】
外周部材3は、円環状の部材であり、本実施形態の外周部材3は、ウレタンゴム製の弾性部材にて構成されている。外周部材3は、円板部材2の外周面に嵌め合わされている。外周部材3の外周面には、ガイド溝4が形成されている。ガイド溝4は、ワイヤWが掛けられる凹溝である。ガイド溝4は、断面V字形状を呈しており、外周部材3の外周面の全周に亘って形成されている。
【0016】
図1および
図2に示すように、円板部材2は、軸受部10と外周縁部20と接続部30とを備えている。円板部材2は、アルミニウム合金製の1ピースの部材からなる円板であり、軸受部10と外周縁部20と接続部30とが一体に形成されている。
【0017】
軸受部10は、回転軸S(
図4参照)に固定される部位であって、軸受強度を確保するために所定厚さを備えた円板形状を呈している。軸受部10の中心部には、円形の中心孔11が貫通している。中心孔11には、回転軸Sが挿通される(
図4参照)。中心孔11の周囲には、複数(本実施形態では四つ)の取付孔12が貫通している。各取付孔12は、中心孔11の周方向に沿って等間隔に配置されている。
図4に示すように、各取付孔12には、回転軸Sのフランジ部S1の孔部S2に挿通されたボルトBが挿通され取り付けられる。このようにして、ガイドローラ1の軸受部10が回転軸Sに固定されている。
【0018】
外周縁部20は、外周部材3を介してワイヤWが巻き掛けられる部位であって環状を呈している。外周縁部20の外周面には、凹溝21が全周に亘って形成されている。凹溝21は、互いに対向する一対の側壁22,22と、底板23とで構成されている。凹溝21には、外周部材3が嵌め込まれる。外周縁部20の厚さ寸法(側壁22,22の外側面間の距離)は、軸受部10の厚さ寸法より大きい。
【0019】
図3にも示すように、接続部30は、軸受部10と外周縁部20とを接続する部位であって、軸受部10から外周縁部20に延在している。接続部30は、第一接続面部31と第二接続面部32と連結部33とを備えている。
【0020】
第一接続面部31は、円板部材2の厚さ方向L(
図2の(b)参照)の一端側(
図2の(b)中、左側)に位置している。第一接続面部31は、平板状を呈しており、円板部材2の厚さの中心を通るとともに厚さ方向Lを法線とする仮想平面Pから離間した位置に形成されている。第一接続面部31の内周側端部は、軸受部10に連続している。第一接続面部31の表面は、軸受部10の一方の表面と面一になっている。第一接続面部31の外周側端部は、外周縁部20の底板23に繋がっている。第一接続面部31は、所定の中心角で複数形成されており、軸受部10から放射状に広がっている。第一接続面部31には肉抜き孔34が形成されている。肉抜き孔34は、円形を呈しており、外周縁部寄りの位置に形成されている。
【0021】
第二接続面部32は、円板部材の厚さ方向Lの他端側(
図2の(b)中、右側)に位置している。第二接続面部32は、平板状を呈しており、仮想平面Pから離間した位置に形成されている。第二接続面部32の内周側端部は、軸受部10に連続している。第二接続面部32の表面は、軸受部10の他方の表面と面一になっている。第二接続面部32の外周側端部は、外周縁部20の底板23に繋がっている。第二接続面部32は、第一接続面部31と同じ所定の中心角で複数形成されており、軸受部10から放射状に広がっている。第二接続面部32にも、肉抜き孔34が形成されている。肉抜き孔34は、第一接続面部31と同様に円形を呈しており、外周縁部寄りの位置に形成されている。第一接続面部31と第二接続面部32の各肉抜き孔34は、中心が同一円周上に位置するように配置されている。
【0022】
第一接続面部31と第二接続面部32は、円板部材2の周方向に沿って交互に配置されている。第一接続面部31と第二接続面部32は、接続部30の全周に亘って交互に並んでおり、接続部30が、表面に凹凸を有した環状となっている。つまり、第一接続面部31の裏面(仮想平面Pに対向する面)側には、厚さ方向Lの他端側に開口する凹部35が形成されている。第二接続面部32の裏面(仮想平面Pに対向する面)側には、厚さ方向Lの一端側に開口する凹部36が形成されている。
【0023】
図1および
図3に示すように、連結部33は、第一接続面部31と第二接続面部32とを連結する部位であって平板状を呈している。連結部33は、周方向に隣り合う第一接続面部31の周方向一端の側辺部と第二接続面部32の他端の側辺部とを接続している。連結部33は、円板部材2の厚さ方向Lに広がるとともに、第一接続面部31および第二接続面部32の側辺部に沿って延在する長方形形状を呈している。連結部33は、第一接続面部31および第二接続面部32に直交して連続している。
【0024】
なお、本実施形態の接続部30では、第一接続面部31と連結部33が直交し、第二接続面部32と連結部33も直交しているが、接続部の構成は、前記構成に限定されるものではなく、
図5に示すような構成であってもよい。
【0025】
図5の(a)に示すように、他の形態に係る接続部30aは、断面が直線状の波板形状を呈している。具体的には、第一接続面部31aと第二接続面部32aと連結部33aは、平面形状を呈しており、連結部33aが、第一接続面部31aおよび第二接続面部32aに対する直交方向から傾斜している。第一接続面部31aと連結部33aとが成す角度と、第二接続面部32aと連結部33aとが成す角度の両方が鈍角となるように、連結部33aは傾斜している。第一接続面部31aの裏面(仮想平面Pに対向する面)側には、厚さ方向Lの他端側に開口する断面台形の凹部35aが形成されている。第二接続面部32aの裏面(仮想平面Pに対向する面)側には、厚さ方向Lの一端側に開口する断面台形の凹部36aが形成されている。
【0026】
図5の(b)に示すように、さらに他の形態に係る接続部30bは、断面が曲線状の波板形状を呈している。具体的には、第一接続面部31bと第二接続面部32bは、断面円弧形状を呈しており、連結部33bは、平面形状を呈している。連結部33bは、第一接続面部31bの端部と、第二接続面部32bの端部と面一となっている。第一接続面部31bの裏面(仮想平面Pに対向する面)側には、厚さ方向Lの他端側に開口する底面孤状断面の凹部35bが形成されている。第二接続面部32bの裏面(仮想平面Pに対向する面)側には、厚さ方向Lの一端側に開口する底面孤状断面の凹部36bが形成されている。
【0027】
第一実施形態に係るガイドローラ1によれば、第一接続面部31と第二接続面部32とが互いに離間した位置に配置され、接続部30の厚さ寸法が大きくなっているので、円板部材2の曲げ剛性を大きくすることができる。さらに本実施形態では、第一接続面部31と第二接続面部32とが連結部33にて接続されているので、第一接続面部31、第二接続面部32および連結部33が一体化され、接続部30の曲げ剛性をより一層大きくすることができる。
【0028】
一方、第一接続面部31仮想平面Pとの間、および第二接続面部32と仮想平面Pとの間には、空間が形成されるので、その空間部分の肉抜きをすることができる。したがって、同じ厚さ寸法で中実のアルミニウム製の円板部材と比較して、円板部材2の軽量化を図れるので、イナーシャを小さくすることができる。
【0029】
また、本実施形態では、第一接続面部31と第二接続面部32を交互に配置したことで、第一接続面部31の裏面側に凹部35が形成され、第二接続面部32の裏面側に凹部36が形成されるので、円板部材2のより一層の軽量化を図れる。さらに、第一接続面部31と第二接続面部32に、肉抜き孔34が形成されているので、円板部材2のさらなる軽量化が図れる。したがって、イナーシャも小さくすることができる。
【0030】
また、肉抜き孔34は、第一接続面部31と第二接続面部32の外周縁部寄りの位置にそれぞれ形成されているので、外周縁部の軽量化が図れる。したがって、効率的にイナーシャを小さくすることができる。
【0031】
よって、本実施形態のガイドローラ1は、剛性が大きいので、ガイドローラ1の回転速度が速い場合であっても、円板部材2の振動を抑制することができる。さらに、ウレタンゴムよりも比重が大きいアルミニウム製の円板部材2を備えたガイドローラ1でありながら、ウレタンゴム製のガイドローラと同等のイナーシャにすることができる。これによって、ワイヤWが細い場合、或いはガイドローラ1の回転速度が速い場合であっても、ワイヤWが切断されることが抑制される。
【0032】
さらに、本実施形態の円板部材2は、閉じられた中空部を有さないので、鋳造、鍛造あるいは切削加工等の製造方法を採用して、1ピースで構成することができる。したがって、製作の加工手間および費用を低減することができる。
【0033】
次に、第二実施形態に係るガイドローラについて、
図6および
図7を参照しながら説明する。第二実施形態に係るガイドローラの円板部材102は、接続部130の構成が第一実施形態と異なる。接続部130は、第一接続面部131と第二接続面部132とを備えている。なお、その他の軸受部10と外周縁部20は、第一実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0034】
第一接続面部131は、円板部材102の厚さ方向L(
図7の(b)参照)の一端側(
図7の(b)中、左側)に位置している。第一接続面部131は、円環の平板状を呈しており、円板部材102の厚さの中心を通るとともに厚さ方向Lを法線とする仮想平面P(
図7の(b)参照)から離間した位置に形成されている。第一接続面部131の内周側端部は、全周に亘って軸受部10に連続している。第一接続面部131の表面は、軸受部10の一方の表面と面一になっている。第一接続面部131の外周側端部は、全周に亘って外周縁部20の底板23に繋がっている。
【0035】
第一接続面部131には肉抜き孔134が形成されている。肉抜き孔134は、円形を呈しており、外周縁部寄りの位置に形成されている。肉抜き孔134は、周方向に沿って所定間隔で複数形成されている。
【0036】
第二接続面部132は、円板部材102の厚さ方向Lの他端側(
図7の(b)中、右側)に位置している。第二接続面部132は、円環の平板状を呈しており、仮想平面Pから離間した位置に形成されている。第二接続面部132の内周側端部は、全周に亘って軸受部10に連続している。第二接続面部132の表面は、軸受部10の他方の表面と面一になっている。第二接続面部132の外周側端部は、全周に亘って外周縁部20の底板23に繋がっている。
【0037】
第二接続面部132にも、肉抜き孔134が形成されている。肉抜き孔134は、第一接続面部131と同様に円形を呈しており、外周縁部寄りの位置に形成されている。肉抜き孔134は、周方向に沿って所定間隔で複数形成されている。
【0038】
第一接続面部131と第二接続面部132とは、間をあけて互いに対向して平行に配置されている。第一接続面部131と第二接続面部132との間には、中空部135が形成されている。中空部135は、第一接続面部131、第二接続面部132、軸受部10の外周面および外周縁部20の底板23とで区画されている。円板部材102は、仮想平面Pにて二分割された2ピースの部材を組み合わせて形成されており、その内側に中空部135を備える構造となっている。
【0039】
本実施形態の円板部材102によれば、第一接続面部131と第二接続面部132が全中に亘って環状に形成されているので、円板部材102の剛性をより一層高めることができる。さらに、内部に中空部135が形成されているので、円板部材102の軽量化を図ることができる。したがって、ガイドローラのイナーシャを小さくすることができる。
【0040】
なお、本実施形態の接続部130では、第一接続面部131と第二接続面部132とは互いに対向していて直接連結されていないが、連結部を設けて第一接続面部131と第二接続面部132とを連結してもよい。この場合、連結部はガイドローラの径方向に延在する板状であることが好ましい。連結部を設ければ、円板部材102の剛性をさらに高めることができる。
【0041】
また、本実施形態の接続部130では、第一接続面部131と第二接続面部132とは互いに平行になっているが、これに限定されるものではない。第一接続面部と第二接続面部が、外周に向かうにしたがって、間隔が狭くなるような構成であってもより。
【0042】
次に、第三実施形態に係るガイドローラについて、
図8を参照しながら説明する。第三実施形態に係るガイドローラの円板部材202は、接続部230の構成が第一実施形態および第二実施形態と異なる。接続部230は、軸受部10と外周縁部20とを接続するスポーク239にて構成されている。なお、その他の軸受部10と外周縁部20は、第一実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0043】
スポーク239は、中空の角柱形状を呈しており、軸受部10から放射状に広がっている。スポーク239は、90°ピッチで4本設けられている。なお、スポーク239の配置ピッチおよび本数は、90°で4本に限定されるものではなく、要求される剛性に応じて適宜決定されるものである。また、スポーク239の形状は、断面正方形に限定されるものではなく、たとえば断面円形、長方形あるいは多角形であってもよい。
【0044】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。前記実施形態では、円板部材2,102,202は、アルミニウム合金にて形成されているがこれに限定されるものではない。チタン、マグネシウムなどの他の金属や、繊維強化プラスチック(FRP)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)など、ウレタンゴムよりも強度が大きい部材であれば、他の材料にて形成されてよい。
【符号の説明】
【0045】
1 ガイドローラ
2 円板部材
10 軸受部
20 外周縁部
30 接続部
31 第一接続面部
32 第二接続面部
33 連結部
34 肉抜き孔
102 円板部材
130 接続部
131 第一接続面部
132 第二接続面部
134 肉抜き孔
202 円板部材
230 接続部
L 厚さ方向
P 仮想平面
W ワイヤ