【課題】搬送路における印刷処理後の用紙の画像を読取って画像特性の検出を行う際に、背景部材の色が用紙を透過して読み取られてしまうことに対する対策を実行しない場合と比較して、用紙が薄紙の場合でも、画像特性の検出を精度良く行う。
【解決手段】画像読取部60は、用紙搬送路における印刷処理後の印刷用紙の特定位置の画像を読取る。印刷制御部40は、画像読取部60により画像が読取られる前の印刷用紙に対して、画像読取部60により画像を読取る特定位置に裏地画像を印刷し、裏地画像が印刷された後の印刷用紙を反転機構70により反転させ、反転された後の印刷用紙に対して印刷処理を実行する。画像処理部50は、画像読取部60により読取られた画像データに基づいて、トナーかぶりの発生有無を検出する。
前記印刷制御手段は、前記読取手段により画像が読取られる前の用紙に対して、前記読取手段により画像を読取る特定位置の裏側の位置にのみ裏地画像を印刷するよう制御する請求項1記載の画像形成装置。
前記読取手段により用紙の画像を読取る際に用紙の背面に位置するように設置され、当該用紙の色とは異なる色の背景部材をさらに備えた請求項1から6のいずれか記載の画像形成装置。
搬送路における印刷処理後の用紙の特定位置の画像を読取る読取手段により画像が読取られる前の用紙に対して、前記読取手段により画像を読取る特定位置の裏側の位置に、裏地画像を印刷するステップと、
裏地画像が印刷された後の用紙の特定位置の画像を前記読取手段により読取るステップと、
前記読取手段により読取られた画像データに基づいて画像特性を検出するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
業務用のプリントには、画像読取手段を用いて、搬送路における印刷処理後の用紙の画像を読取って、読取った画像データに基づいて画像特性を検出し、検出された画像特性に基づいて、階調補正、面内むら調整等の画質調整を行う機能を設けられたものがある。
【0006】
このような画像読取手段により用紙の位置を検出する場合には、用紙角及び用紙エッジの検知精度を高める必要がある。そのために、白色の用紙との輝度値の差が大きくなる黒色が用紙を読取る際の背景色として用いられている。つまり、画像読取手段により用紙の画像を読取る位置の搬送路の色を黒色にするよう構成されている。
【0007】
そのため、印刷処理を行う用紙として薄紙を用いる場合、背景の黒色が透けてしまい、画像特性を精度良く検出することができないという問題が発生する。
【0008】
特にトナーかぶりと呼ばれるトナーの意図しない微量転写の発生有無を、画像読取手段を用いて検出するような場合、背景の黒色が透けてしまったのでは、トナーかぶりが背景と同化して隠ぺいされてしまうため、トナーかぶりの発生有無を精度良く検出することができない。
【0009】
本発明の目的は、搬送路における印刷処理後の用紙の画像を読取って画像特性の検出を行う際に、背景部材の色が用紙を透過して読み取られてしまうことに対する対策を実行しない場合と比較して、用紙が薄紙の場合でも、画像特性の検出を精度良く行うことが可能な画像形成装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[画像形成装置]
請求項1に係る本発明は、搬送路における印刷処理後の用紙の特定位置の画像を読取る読取手段と、
前記読取手段により読取られた画像データに基づいて画像特性を検出する検出手段と、
前記読取手段により画像が読取られる前の用紙に対して、前記読取手段により画像を読取る特定位置の裏側の位置に、裏地画像を印刷するよう制御する印刷制御手段とを備えた画像形成装置である。
【0011】
請求項2に係る本発明は、前記印刷制御手段が、前記読取手段により画像が読取られる前の用紙に対して、前記読取手段により画像を読取る特定位置の裏側の位置にのみ裏地画像を印刷するよう制御する請求項1記載の画像形成装置である。
【0012】
請求項3に係る本発明は、前記印刷制御手段が、印刷処理を実行しようとする用紙の厚さ情報に基づいて、印刷する裏地画像の網点面積率を変化させる請求項1又は2記載の画像形成装置である。
【0013】
請求項4に係る本発明は、前記印刷制御手段が、印刷処理を実行しようとする用紙の厚さが薄い程、裏地画像の網点面積率が高くなるように印刷処理を制御する請求項3記載の画像形成装置である。
【0014】
請求項5に係る本発明は、前記裏地画像が、白色の色材により形成されている請求項1から4のいずれか記載の画像形成装置である。
【0015】
請求項6に係る本発明は、前記検出手段が、前記読取手段により読取られた画像データに基づいて、色材かぶりの発生有無を検出する請求項1から5のいずれか記載の画像形成装置である。
【0016】
請求項7に係る本発明は、前記読取手段により用紙の画像を読取る際に用紙の背面に位置するように設置され、当該用紙の色とは異なる色の背景部材をさらに備えた請求項1から6のいずれか記載の画像形成装置である。
【0017】
[プログラム]
請求項8に係る本発明は、搬送路における印刷処理後の用紙の特定位置の画像を読取る読取手段により画像が読取られる前の用紙に対して、前記読取手段により画像を読取る特定位置の裏側の位置に、裏地画像を印刷するステップと、
裏地画像が印刷された後の用紙の特定位置の画像を前記読取手段により読取るステップと、
前記読取手段により読取られた画像データに基づいて画像特性を検出するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る本発明によれば、搬送路における印刷処理後の用紙の画像を読取って画像特性の検出を行う際に、背景部材の色が用紙を透過して読み取られてしまうことに対する対策を実行しない場合と比較して、用紙が薄紙の場合でも、画像特性の検出を精度良く行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0019】
請求項2に係る本発明によれば、用紙の裏側の全面に裏地画像を印刷する場合と比較して、色材の消費量を削減することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0020】
請求項3に係る本発明によれば、一定量の色材を用いて裏地画像を印刷する場合と比較して、背景部材の色が用紙を透過して読み取られることを防ぎつつ色材の消費量を削減することが可能な画像形成装置を提供することができる
【0021】
請求項4に係る本発明によれば、一定量の色材を用いて裏地画像を印刷する場合と比較して、背景部材の色が用紙を透過して読み取られることを防ぎつつ色材の消費量を削減することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0022】
請求項5に係る本発明によれば、搬送路における印刷処理後の白色の用紙の画像を読取って画像特性の検出を行う際に、背景部材の色が用紙を透過して読み取られてしまうことに対する対策を実行しない場合と比較して、用紙が薄紙の場合でも、画像特性の検出を精度良く行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0023】
請求項6に係る本発明によれば、搬送路における印刷処理後の白色の用紙の画像を読取って画像特性の検出を行う際に、背景部材の色が用紙を透過して読み取られてしまうことに対する対策を実行しない場合と比較して、用紙が薄紙の場合でも、色材かぶりの発生有無の検出を精度良く行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0024】
請求項7に係る本発明によれば、搬送路における印刷処理後の用紙の画像を読取って画像特性の検出を行う際に、用紙の色とは異なる色の背景部材の色が用紙を透過して読み取られてしまうことに対する対策を実行しない場合と比較して、用紙が薄紙の場合でも、色材かぶりの発生有無の検出を精度良く行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0025】
請求項8に係る本発明によれば、搬送路における印刷処理後の用紙の画像を読取って画像特性の検出を行う際に、背景部材の色が用紙を透過して読み取られてしまうことに対する対策を実行しない場合と比較して、用紙が薄紙の場合でも、画像特性の検出を精度良く行うことが可能なプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1は本発明の一実施形態の画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【0029】
本発明の一実施形態の画像形成システムは、
図1に示されるように、ネットワーク30により接続された画像形成装置10、および端末装置20により構成される。端末装置20は、印刷データを生成して、ネットワーク30経由にて生成した印刷データを画像形成装置10に対して送信する。
【0030】
画像形成装置10は、いわゆるプロダクションプリンタと呼ばれる業務用の高速プリンタである。画像形成装置10は、端末装置20からの印刷データに基づいた画像を印刷用紙上に印刷する。
【0031】
図2は、本実施形態の画像形成装置10の構成を示す図である。
【0032】
図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成ユニット14C、14M、14Y、14K、中間転写ベルト16、用紙トレイ17、用紙搬送路18、定着器19、印刷制御部40、画像処理部50、画像読取部60及び用紙反転機構70を有する。
【0033】
まず、画像形成装置10の概略を説明すると、LANなどのネットワーク回線を介して端末装置20等から入力された画像データは画像処理部50において階調補正及び解像度補正などの画像処理が施され、画像形成ユニット14に対して出力される。印刷制御部40は、画像形成ユニット14C、14M、14Y、14K、中間転写ベルト16、用紙トレイ17、用紙搬送路18、定着器19等を制御することにより、画像処理部50において画像処理された画像データに基づいて、印刷用紙上に画像を印刷する処理を実行する。
【0034】
なお、本実施形態の画像形成装置10には、カラー画像を構成する色に対応して、4つの画像形成ユニット14が配設されている。本実施形態では、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色に対応して4つの画像形成ユニット14K、14Y、14M、14Cが、中間転写ベルト16に沿って一定の間隔を空けて水平に配列されている。中間転写ベルト16は、中間転写体として図中矢印Aの方向に回動し、これら4つの画像形成ユニット14K、14Y、14M、14Cは、画像処理部50から入力された画像データに基づいて各色のトナー像を順次形成し、これら複数のトナー像が互いに重ね合わせられるタイミングで中間転写ベルト16に転写(1次転写)する。なお、各画像形成ユニット14K、14Y、14M、14Cの色の順序は、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の順に限定されるものではなく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順序など、その順序は任意である。
【0035】
用紙搬送路18は、中間転写ベルト16の下方に配設されている。用紙トレイ17から供給された印刷用紙32は、この用紙搬送路18上を搬送され、中間転写ベルト16上に多重に転写された各色のトナー像が一括して転写(2次転写)され、転写されたトナー像が定着器19によって定着され、画像読取部60の下方を通過して装置の外部に排出される構成となっている。
【0036】
画像読取部60は、用紙搬送路における印刷処理後の印刷用紙の特定位置の画像を読取る読取手段である。画像形成装置10の設定調整等を行う際には、予め生成されたテストチャートを印刷用紙上に印刷して、画像読取部60により、テストチャートの画像を読取ることにより画像特性を検出し、検出された画像特性に基づいて、階調補正、面内むら調整等の画質調整が行われるような構成になっている。
【0037】
用紙反転機構70は、定着器19により定着処理が行われた後の印刷用紙の表裏を反転することができるような機構を備えている。そのため、両面印刷を実行する場合には、定着器19により定着処理が行われた後の用紙が用紙反転機構70により反転され、用紙搬送路18に搬送されるような構成となっている。
【0038】
なお、以下の説明では、この画像特性の一例として、トナーかぶりと呼ばれるトナーの意図しない微量転写の発生有無を、画像読取部60を用いて検出する場合について説明する。
【0039】
ここで、「トナーかぶり」とは、本来何も印刷されるべきではない用紙の白地部分に、トナーが微量転写されてしまい、白地部分が僅かに汚れたような状態になってしまう現象のことを意味する。このトナーかぶりは、高温高湿環境下等によりトナーの帯電特性が変化したり、帯電量が低すぎる等の原因により発生することが知られている。
【0040】
印刷制御部40は、画像読取部60により画像が読取られる前の印刷用紙に対して、画像読取部60により画像を読取る特定位置の裏側の位置に、裏地画像を印刷するよう制御する。なお、本実施形態では、印刷用紙の地色が白色であるため、白色トナー(白色の色材)により裏地画像を形成する。
【0041】
ここで、印刷制御部40は、画像読取部60により画像が読取られる前の印刷用紙に対して、画像読取部60により画像を読取る特定位置の裏側の位置にのみ裏地画像を印刷するよう制御する。
【0042】
具体的には、印刷制御部40は、画像読取部60により画像が読取られる前の印刷用紙に対して、画像読取部60により画像を読取る特定位置に裏地画像を印刷し、裏地画像が印刷された後の印刷用紙を反転機構70により反転させ、反転された後の印刷用紙に対して印刷処理を実行する。
【0043】
そして、画像処理部50は、画像読取部60により読取られた画像データに基づいて画像特性を検出する。本実施形態では、画像処理部50は、画像読取部60により読取られた画像データに基づいて、トナーかぶりの発生有無を検出する。なお、トナーかぶり検出の具体的方法等については後述する。
【0044】
画像形成ユニット14K、14Y、14M、14C(像形成手段)は、形成する画像の色が異なる他は、ほぼ同様に構成されている。そこで、以下、画像形成ユニット14Kについて説明する。なお、各画像形成ユニット14の構成は、K、Y、M又はCを付すことにより区別する。
【0045】
画像形成ユニット14Kは、画像処理部50から入力された画像データに応じてレーザ光を走査する光走査装置140Kと、この光走査装置140Kにより走査されたレーザ光により静電潜像が形成される像形成装置150Kとを有する。
【0046】
光走査装置140Kは、レーザ光を黒色(K)の画像データに応じて変調して、このレーザ光を像形成装置150Kの感光体ドラム152K上に照射される。
【0047】
像形成装置150Kは、矢印Aの方向に沿って所定の回転速度で回転する像担持体としての感光体ドラム152Kと、この感光体ドラム152Kの表面を一様に帯電する帯電手段としての帯電装置154Kと、感光体ドラム152K上に形成された静電潜像を現像する現像器156Kと、クリーニング装置158Kとから構成されている。感光体ドラム152Kは、帯電装置154Kにより一様に帯電され、光走査装置140Kにより照射されたレーザ光により静電潜像が形成される。感光体ドラム152Kに形成された静電潜像は、現像器156Kにより黒色(K)のトナーで現像され、中間転写ベルト16に転写される。なお、トナー像の転写工程の後に感光体ドラム152Kに付着している残留トナー及び紙粉等は、クリーニング装置158Kによって除去される。
【0048】
他の画像形成ユニット14Y、14M及び14Cも、上記と同様に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像を形成し、形成された各色のトナー像を中間転写ベルト16に転写する。中間転写ベルト16は、矢印Aの方向に所定の速度で循環駆動されている。
【0049】
用紙搬送路18は、用紙トレイ17から給紙ローラにより取り出された印刷用紙32および用紙反転機構70から搬送された印刷用紙32を搬送している。この用紙搬送路18上の2次転写位置には、2次転写ロール186が配設されており、中間転写ベルト16上に多重に転写された各色のトナー像は、この2次転写ロール186による圧接力及び静電気力で印刷用紙32上に2次転写される。各色のトナー像が転写された印刷用紙32は、搬送ベルトによって定着器19へと搬送される。
【0050】
定着器19は、上記各色のトナー像が転写された印刷用紙32に対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、トナーを印刷用紙32に溶融固着させる。
【0051】
なお、中間転写ベルト16に付着した残留トナーは、2次転写位置の下流に設けられたベルト用クリーニング装置189のクリーニングブレード又はブラシにより除去される。
【0052】
次に、本実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置10のハードウェア構成を
図3に示す。
【0053】
画像形成装置10は、
図3に示されるように、CPU51、メモリ52、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置53、ネットワーク30を介して外部の端末装置20等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IF)54、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UI)装置55、上記で説明した画像形成ユニット14K、14Y、14M、14C等により構成されるプリントエンジン56を有する。これらの構成要素は、制御バス57を介して互いに接続されている。
【0054】
CPU51が、メモリ52または記憶装置53に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行することにより、上記で説明した印刷制御部40および画像処理部50が構成される。なお、本実施形態では、CPU51は、メモリ52または記憶装置53内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明したが、当該プログラムをCD−ROM等の記憶媒体に格納してCPU51に提供することも可能である。
【0055】
次に、画像読取部60が印刷用紙32の画像を読取る際の読取り位置における構成を、
図4を参照して説明する。
【0056】
図4に示されるように、画像読取部60が画像を読取る際の読取り位置の背景は黒色画像となっている。なお、
図4では、黒色の背景部材80が設けられた構成が示されている。
【0057】
背景部材80は、画像読取部60により印刷用紙32の画像を読取る際に印刷用紙32の背面に位置するように設置され、この印刷用紙32の色である白色とは異なる黒色となるように構成されている。
【0058】
このように印刷用紙32の背景を黒色としているのは、用紙角及び用紙エッジの検知精度を高めることにより、表裏見当精度を向上させるためである。つまり、印刷用紙の背景画像を、白色の印刷用紙との輝度値の差が大きくなる黒色とすることにより、用紙角や用紙エッジを確実に検出して、印刷用紙の位置を確実に検出するためにこのような構成となっている。
【0059】
次に、画像読取部60により読取られるテストチャート画像の例を
図5に示す。
図5に示されたテストチャート画像例では、白色の背景に対して濃度値を測定するための3つの測定パッチ61〜63が配置されたような画像となっている。
【0060】
次に、この
図5に示したテストチャート画像が印刷された印刷用紙から、画像読取部60が画像を読取る際の読取りエリア例を
図6に示す。
【0061】
画像読取部60は、
図6に示すように、測定パッチ61〜63の濃度を測定するための濃度値検知エリア71〜73、印刷用紙32の角位置を検知するための用紙角検知エリア81〜84、トナーかぶりの発生有無を判定するための輝度値を測定するためのトナーかぶり検知エリア91の画像のRGB値を読取っている。
【0062】
次に、本実施形態の画像形成装置10において白色トナーを画像読取部60の読取り位置の裏側の位置に印刷し、印刷用紙の表裏を反転させた後に印刷用紙32の画像を画像読取部60により読み取る様子について図面を参照して説明する。
【0063】
まず、印刷制御部40は、
図7に示すように、画像読取部60の画像読取り位置である、濃度値検知エリア71〜73、用紙角検知エリア81〜84、トナーかぶり検知エリア91に対応する位置に白色トナーによる裏地画像を印刷する。そして、
図8に示すように、画像読取部60は、この裏地画像が印刷された印刷用紙32に対しては画像の読取りを行わず、用紙搬送路上を通過する。
【0064】
そして、裏地画像が印刷された印刷用紙は、用紙反転機構70により表裏が反転されることにより、白色トナーにより印刷された裏地画像は印刷用紙の裏側(印刷処理が行われる面と反対側)となる。
【0065】
次に、印刷制御部40は、用紙反転機構70により表裏が反転された後の印刷用紙に対して、
図5に示したようなテストチャート画像を印刷するような制御を行う。
【0066】
そして、テストチャート画像が印刷された後の印刷用紙32は、
図9に示すように、用紙搬送路により再度画像読取部60の読取り位置まで搬送されてくる。
【0067】
すると、画像読取部60は、用紙搬送路上の印刷用紙32の画像の濃度値検知エリア71〜73、用紙角検知エリア81〜84、トナーかぶり検知エリア91の画像の読取りを行う。この際には、
図9に示すように、白色トナーにより形成された裏地画像は、画像読取部60により画像が読み取られる面の反対側の面に構成されている。
【0068】
次に、画像読取部60によりテストチャート画像を読み取る際の読取り例を、
図10を参照して説明する。なお、この
図10では印刷用紙32が薄紙である場合の読取り例が示されている。
【0069】
そして、
図10に示した読取り例では、印刷用紙32の右側領域においてトナーかぶりが発生している。この
図10では、印刷用紙が薄紙であるため、トナーかぶりが発生していない領域においても、背景画像80の黒色が印刷用紙を透過してしまっている。
【0070】
そして、トナーかぶりが発生している領域では、背景画像80の黒色が印刷用紙を透過した色とトナーかぶりによる色とが混ざった色となってしまっている。
【0071】
しかし、濃度値検知エリア71〜73、用紙角検知エリア81〜84、トナーかぶり検知エリア91の裏側には白色トナーによる裏地画像が印刷されているため、これらの検知エリアは背景部材80による黒色の影響をあまり受けていないのが分かる。
【0072】
つまり、用紙角検知エリア81、82は、印刷用紙32の地色である白色の画像となっており、用紙角検知エリア83、84、トナーかぶり検知エリア91は、トナーかぶりによる色の画像となっている。
【0073】
次に、画像処理部50によるトナーかぶりの発生有無を判定する際の判定処理を
図11のフローチャートを参照して説明する。
【0074】
先ず、画像処理部50では、トナーかぶり検知エリア91のRGB値を取得する(ステップS101)。すると、画像処理部50では、取得したトナーかぶり検知エリア91のRGB値が、予め設定されたトナーかぶり判定条件を満たすか否かが判定される(ステップS102)。
【0075】
ここで、画像処理部50では、予め印刷用紙32の白色の地色のRGB値を読取り、読取られたRGB値に基づいてトナーかぶり判定条件を設定しておく。
【0076】
例えば、256階調の場合、本来完全な白色の場合には、RGB値は(255、255、255)となるはずであるため、トナーかぶり判定条件としての閾値としてRth、Gth、Bth(例えば、230)の値を設定しておく。
【0077】
そして、画像処理部50は、測定されたRGB値のうちの少なくとも1つの値が、Rth、Gth、Bthのうちのいずれか以下となった場合、トナーかぶりが発生していると判定する。
【0078】
そして、ステップS102においてトナーかぶり判定条件が満たされている場合、画像処理部50では、トナーかぶりが発生していると判定される(ステップS103)。また、ステップS102においてトナーかぶり判定条件が満たされていない場合、画像処理部50では、トナーかぶりが発生していないと判定される(ステップS104)。そして、このトナーかぶり判定の判定結果はユーザIF等を介して表示される(ステップS105)。
【0079】
このトナーかぶりの判定処理の具体例を
図12を参照して説明する。
【0080】
例えば、
図12(A)に示すように、画像読取部60により測定されたRGBの測定輝度値のいずれもが、それぞれ、Rth、Gth、Bthより大きい値の場合には、トナーかぶりは発生していないと判定される。
【0081】
そして、
図12(B)に示すように、画像読取部60により測定されたRGBの測定輝度値のうち、G(緑色)信号の値がGth以下となっている場合、トナーかぶりが発生していると判定される。
【0082】
なお、G信号の読取り値が閾値であるGthより小さくなっていることにより、マゼンタトナーによるトナーかぶりが発生していると判定することができる。何故ならば、マゼンタトナーによるトナーかぶりが発生している場合、マゼンタの補色である緑色(G)の信号の反射量が白色に比べて低下することにより、G(緑色)信号の値が低いことによりマゼンタトナーによるトナーかぶりが発生していると判定することができる。
【0083】
なお、印刷制御部40は、裏地画像を印刷する白色トナーの量(網点面積率)を一定にせずに、印刷処理を実行しようとする印刷用紙の厚さ情報に基づいて変化させるようにしても良い。
【0084】
具体的には、印刷制御部40は、印刷処理を実行しようとする用紙の厚さが薄い程、裏地画像の網点面積率が高くなるように印刷処理を制御する。
【0085】
例えば、どの程度の裏地画像を印刷すればトナーかぶりを検出することが可能であるかを、印刷用紙の紙厚(坪量:用紙1平方メートル当たりの重量)毎に予め実験的に求めて置き、
図13に示すようなグラフを作成しておく。
【0086】
そして、印刷制御部40では、印刷する用紙の紙厚、紙質等の用紙情報を予め記憶しておき、これから印刷処理を行うという用紙の用紙情報と
図13に示したようなグラフを参照することにより、印刷する用紙に応じた量(網点面積率)の白色トナーを裏地画像として印刷する。
【0087】
なお、上記実施形態では、画像読取部60が印刷面側に設けられている場合の構成を用いて説明したが、印刷面とは逆側に画像読取部60を設けて、印刷面とは逆側から印刷用紙32の画像を読取るような構成とすることも可能である。このような構成とした場合の例を
図14に示す。
【0088】
図14に示した構成例では、画像読取部60は用紙搬送路の下方に設置され、例えば、用紙搬送路の一部が透明または隙間になっており、画像読取部60が搬送される印刷用紙32の裏側面の画像を読取り可能な構成となっている。そして、この
図14に示した構成例では、黒色の背景部材80は印刷用紙32の上方に設置された構成となっており、画像読取部60は、背景部材80に重ねられた印刷用紙32の画像を読取ることが可能になっている。