特開2017-226097(P2017-226097A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 理想科学工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2017226097-画像形成装置 図000003
  • 特開2017226097-画像形成装置 図000004
  • 特開2017226097-画像形成装置 図000005
  • 特開2017226097-画像形成装置 図000006
  • 特開2017226097-画像形成装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-226097(P2017-226097A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/46 20060101AFI20171201BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20171201BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20171201BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20171201BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   B41J29/46 Z
   B41J2/165 211
   B41J2/175 121
   B41J2/175 131
   B41J2/175 301
   B41J2/175 119
   B41J2/18
   H04N1/00 106B
   H04N1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-122279(P2016-122279)
(22)【出願日】2016年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】松嶺 恭守
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EA25
2C056EB20
2C056EB21
2C056EB50
2C056EC15
2C056EC23
2C056EC57
2C056EC64
2C056JA03
2C056JA13
2C056JB04
2C056KB08
2C056KB16
2C056KB37
2C056KC02
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061HH03
2C061HH13
2C061HK06
2C061HK11
2C061HN08
2C061HV32
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC05
5C062AC58
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】複数の消耗品を使用する場合に消耗品の無駄な廃棄を減らす。
【解決手段】画像形成装置の制御部190は、複数の消耗品それぞれの残量と交換の目安となる第1閾値とに基づいて交換時期に達した消耗品があるか否かを判定し、第1閾値に基づき交換時期に達した消耗品があると判定された場合、他の消耗品で残量がその第1閾値よりも残量が多い値である第2閾値以下のものがあるか否かを判定し、第1閾値に基づき交換時期に達した消耗品があると判定され、かつ、他の消耗品で残量が第2閾値以下のものがあると判定された場合、残量が第2閾値以下の消耗品についてメンテナンス動作を実行し、その後、メンテナンス動作を実行した他の消耗品および交換時期に達した消耗品の交換を促すメッセージを出力するように制御する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の消耗品を使用する画像形成装置であって、
前記複数の消耗品それぞれの残量を検出する検出手段と、
前記複数の消耗品それぞれの残量と関連付けられた値であって、交換の目安となる所定の第1閾値と、前記第1閾値よりも残量が多い値である所定の第2閾値とを記憶した閾値記憶手段と、
前記検出手段により検出された前記複数の消耗品それぞれの残量と前記第1閾値とに基づいて交換時期に達した消耗品があるか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1閾値に基づき交換時期に達した消耗品があると判定された場合、他の消耗品で前記検出手段により検出された残量が前記第2閾値以下のものがあるか否かをさらに判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段により肯定判定された場合に、前記第2判定手段に肯定判定された消耗品を使って画像形成装置内のメンテナンス動作を実行し、前記第1判定手段および前記第2判定手段のそれぞれに肯定判定された複数の消耗品の交換を促すメッセージを出力するように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
インクを吐出するノズルを有するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドへ供給されるインクを貯留する交換可能なインクタンクと、
前記インクジェットヘッドからインクを強制的に排出させてクリーニングを行うクリーニング手段とを、さらに備え、
前記制御手段は、
前記第2判定手段により肯定判定された消耗品が前記インクタンク内のインクである場合であって、インク残量が前記第2閾値以下であると判定された場合、前記クリーニング手段に前記メンテナンス動作として前記インクジェットヘッドのクリーニング動作を実行させ、消費された分のインクの少なくとも一部が前記インクタンクから補填されるように前記インクタンクからのインク供給を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記インクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドへインクを供給する上流タンクと、前記インクジェットヘッドで消費されなかったインクを回収するとともに前記上流タンクへインクを供給する下流タンクとを備えるインク循環経路と、
前記インクタンクと前記下流タンクとを接続するインク供給経路と、
前記下流タンク内のインク量を検出する検出手段とを、さらに備え、
前記制御手段は、前記クリーニング動作の実行後に前記下流タンク内のインク残量が所定量未満となった場合、前記インクタンクから前記下流タンクへインクの供給を開始し、前記下流タンク内のインク量が通常の供給動作では供給停止となる基準量に到達してからさらに所定時間経過した後にインクの供給を停止させる動作を前記メンテナンス動作としてさらに実行する
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記インクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドへインクを供給する上流タンクと、前記インクジェットヘッドで消費されなかったインクを回収するとともに前記上流タンクへインクを供給する下流タンクとからなるインク循環経路と、
前記インクタンクと前記上流タンクとを接続するインク供給経路と、
前記上流タンク内のインク量を検出する検出手段とを、さらに備え、
前記制御手段は、前記クリーニング動作の実行後に前記上流タンク内のインク残量が所定量未満となった場合、前記インクタンクから前記上流タンクへインクの供給を開始し、前記上流タンク内のインク量が通常の供給動作では供給停止となる基準量に到達してからさらに所定時間経過した後にインクの供給を停止させる動作を前記メンテナンス動作としてさらに実行する
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクや印刷用紙等の複数の消耗品を使用する画像形成装置に関し、特に、これらの消耗品の無駄を削減することができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置、複写装置、ファクシミリ装置などの画像形成装置では、例えばインク、トナー等に代表される消耗品を使用して画像形成動作を行なっている。そのため、この種の画像形成装置では、定期的に消耗品の残量を検出するとともに、この検出結果に基づいて消耗品の交換時期を予測し、交換時期が近づいたら、その旨を操作パネルのモニタ等に表示することで、消耗品の交換を促している。
【0003】
このような画像形成装置では、消耗品の寿命によって動作中に停止する回数を減らすため、複数の消耗品それぞれの寿命に達するまでの残量を取得し、複数の消耗品のうち少なくとも1つの消耗品の残量が寿命に近い交換の目安となる第1閾値以下になった場合は、寿命に達する消耗品があると判定すると共に、それ以外の他の消耗品についてもそれらの寿命までの残量が第1閾値より大きく、かつ、第2閾値以下であるか否かを判定して、残量が第1閾値より大きく、且つ、第2閾値以下の消耗品があれば追加して交換すべき消耗品があると判定するように構成した画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−135900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の画像形成装置では、複数の消耗品のうち1の消耗品の残量が第1閾値以下になった場合、それ以外の他の消耗品についても第1閾値より残量があっても第2閾値以下であれば併せて交換を促すように構成したため、消耗品の交換回数を減らすことが出来るものの、消耗品を無駄に廃棄する、という問題があった。
【0006】
つまり、ある消耗品の残量が寿命に近い第1閾値以下になり、他の消耗品でその残量が寿命に近い第1閾値より大きく交換する必要がないのに、第2閾値以下である場合は、他の消耗品についても交換され、無駄に廃棄されることになる。
【0007】
また、インクや印刷用紙等の消耗品については、印刷によって消費されるため交換や補充作業も必要であるが、それ以外に、例えば一定枚数の印刷毎にインクジェットヘッドの汚れを除去するパージやワイピング等のヘッドクリーニングや、印刷用紙を搬送する搬送ベルの汚れを除去するベルトクリーニング等のメンテナンス動作が必須であり、印刷動作を中断して行われていた。そのため作業性が低下していた。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、複数の消耗品を使用する場合に消耗品の無駄な廃棄を削減することが出来ると共に、消耗品の交換と消耗品に関連するメンテナンス動作とを同時期ないしは近いタイミングで行えるようにして作業性を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置の第1の特徴は、
複数の消耗品を使用する画像形成装置であって、
前記複数の消耗品それぞれの残量を検出する検出手段と、
前記複数の消耗品それぞれの残量と関連付けられた値であって、交換の目安となる所定の第1閾値と、前記第1閾値よりも残量が多い値である所定の第2閾値とを記憶した閾値記憶手段と、
前記検出手段により検出された前記複数の消耗品それぞれの残量と前記第1閾値とに基づいて交換時期に達した消耗品があるか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1閾値に基づき交換時期に達した消耗品があると判定された場合、他の消耗品で前記検出手段により検出された残量が前記第2閾値以下のものがあるか否かをさらに判定する第2判定手段と、
前記第2の判定手段により肯定判定された場合に、前記第2判定手段に肯定判定された消耗品を使って画像形成装置内のメンテナンス動作を実行し、前記第1判定手段および前記第2判定手段のそれぞれに肯定判定された複数の消耗品の交換を促すメッセージを出力するように制御する制御手段と、を備えたことにある。
【0010】
また、本発明に係る画像形成装置の第2の特徴は、
インクを吐出するノズルを有するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドへ供給されるインクを貯留する交換可能なインクタンクと、
前記インクジェットヘッドからインクを強制的に排出させてクリーニングを行うクリーニング手段とを、さらに備え、
前記制御手段は、
前記第2判定手段により肯定判定された消耗品が前記インクタンク内のインクである場合であって、インク残量が前記第2閾値以下であると判定された場合、前記クリーニング手段に前記メンテナンス動作として前記インクジェットヘッドのクリーニング動作を実行させ、消費された分のインクの少なくとも一部が前記インクタンクから補填されるように前記インクタンクからのインク供給を制御するように制御することにある。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置の第3の特徴は、
前記インクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドへインクを供給する上流タンクと、前記インクジェットヘッドで消費されなかったインクを回収するとともに前記上流タンクへインクを供給する下流タンクとを備えるインク循環経路と、
前記インクタンクと前記下流タンクとを接続するインク供給経路と、
前記下流タンク内のインク量を検出する検出手段とを、さらに備え、
前記制御手段は、前記クリーニング動作の実行後に前記下流タンク内のインク残量が所定量未満となった場合、前記インクタンクから前記下流タンクへインクの供給を開始し、前記下流タンク内のインク量が通常の供給動作では供給停止となる基準量に到達してからさらに所定時間経過した後にインクの供給を停止させる動作を前記メンテナンス動作としてさらに実行するように制御することにある。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置の第4の特徴は、
前記インクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドへインクを供給する上流タンクと、前記インクジェットヘッドで消費されなかったインクを回収するとともに前記上流タンクへインクを供給する下流タンクとからなるインク循環経路と、
前記インクタンクと前記上流タンクとを接続するインク供給経路と、
前記上流タンク内のインク量を検出する検出手段とを、さらに備え、
前記制御手段は、前記クリーニング動作の実行後に前記上流タンク内のインク残量が所定量未満となった場合、前記インクタンクから前記上流タンクへインクの供給を開始し、前記上流タンク内のインク量が通常の供給動作では供給停止となる基準量に到達してからさらに所定時間経過した後にインクの供給を停止させる動作を前記メンテナンス動作としてさらに実行するように制御することにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る画像形成装置の第1の特徴によれば、消耗品それぞれの残量と関連付けられた値であって、交換(印刷用紙等の消耗品の場合は補充または補給の意も含む。)の目安となる第1閾値に基づいて交換時期に達した消耗品がある場合、他の消耗品においてその第1閾値よりも残量が多い第2閾値に達したものがあれば、当該他の消耗品についてメンテナンス動作を実行し、その後、メンテナンス動作を実行した他の消耗品および交換時期に達した消耗品の交換を促すメッセージを出力する。
【0014】
そのため、他の消耗品が交換される前にメンテナンス作業によって消費された場合には、使い残しで廃棄されるはずの他の消耗品の無駄な廃棄を削減出来る。
【0015】
また、他の消耗品の交換される前にメンテナンス作業によってクリーニング等された場合には、他の消耗品に関連するクリーニング等のメンテナンス動作のタイミングを別途設ける必要がなくなり、消耗品の交換と消耗品に関連するメンテナンス動作とを同時期ないしは近いタイミングで行えるので、作業性を向上させることができる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置の第2の特徴によれば、さらに、インクジェットヘッドと、インクジェットヘッドへ供給されるインクを貯留する交換可能なインクタンクと、インクジェットヘッドからインクを強制的に排出させてクリーニングを行うクリーニング手段とをさらに備え、制御手段は、第2判定手段により肯定判定された消耗品がインクタンク内のインクである場合であって、インク残量が第2閾値以下であると判定された場合、クリーニング手段にメンテナンス動作としてインクジェットヘッドのクリーニング動作を実行させ、消費された分のインクの少なくとも一部がインクタンクから補填されるようにインクタンクからのインク供給を制御する。
【0017】
そのため、交換時期に達した消耗品が用紙切れとなった印刷用紙である場合、他の消耗品であるインクの残量が所定の第2閾値以下であればインクのメンテナンス動作であるインクジェットヘッドのクリーニング動作が実行された後、クリーニング動作で消費された分のインクの少なくとも一部がインクタンクからインクジェットヘッドへ補填されるので、使い残しで廃棄されるはずのインクの無駄な廃棄を削減できる共に、印刷時の印字擦れ等も防止できる。
【0018】
また、本発明に係る画像形成装置の第3の特徴によれば、交換時期に達した消耗品が用紙切れとなった印刷用紙である場合、他の消耗品であるインクの残量が所定の第2閾値以下であればインクのメンテナンス動作であるインクジェットヘッドのクリーニング動作が実行され、そのクリーニング動作の実行後に下流タンク内のインク残量が所定量未満となっている場合、インクタンクから下流タンクへインクの供給を開始し、下流タンク内のインク量が通常の供給動作では供給停止となる基準量に到達してからさらに所定時間経過した後にインクの供給を停止させる動作がメンテナンス動作としてさらに実行される。
【0019】
そのため、この場合には基準量よりも大目のインクがインクタンクから上流タンクへ供給されるので、インクタンクにおけるインクの消費量がさらに増大して、インクタンクにおける使い残しで廃棄されるインクをさらに削減することが可能となり、端材在庫となるインクをさらに削減することが出来る。
【0020】
また、本発明に係る画像形成装置の第4の特徴によれば、交換時期に達した消耗品が用紙切れとなった印刷用紙である場合、他の消耗品であるインクの残量が所定の第2閾値以下であればインクのメンテナンス動作であるインクジェットヘッドのクリーニング動作が実行され、そのクリーニング動作の実行後に上流タンク内のインク残量が所定量未満となっている場合、インクタンクから上流タンクへインクの供給を開始し、上流タンク内のインク量が通常の供給動作では供給停止となる基準量に到達してからさらに所定時間経過した後にインクの供給を停止させる動作がメンテナンス動作としてさらに実行される。
【0021】
そのため、この場合には基準量よりも大目のインクがインクタンクから上流タンクへ供給されるので、インクタンクにおけるインクの消費量がさらに増大して、インクタンクにおける使い残しで廃棄されるインクをさらに削減することが可能となり、端材在庫となるインクをさらに削減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る実施形態1の画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】本発明に係る実施形態1の画像形成装置の印刷ユニットとインク循環部の構成を示す図である。
図3】本発明に係る実施形態1の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図4】本発明に係る実施形態2の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図5】本発明に係る実施形態2の画像形成装置の他の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態1,2について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態1,2の画像形成装置は、この発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定されるものではなく、この発明の技術的思想の範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0024】
<本発明に係る実施形態1の画像形成装置100の構成>
図1は、本実施形態に係る実施形態1の画像形成装置100の概要を示す図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、印刷ユニット110と、外部給紙トレイ120と、筐体内部に設けられた複数の内部給紙トレイ131〜134と、搬送部140と、印刷済の印刷用紙を排出する排紙機構として排紙台150と、切替機構160と、インク循環部170と、操作パネル180と、制御部190等を備えている。
【0026】
印刷ユニット110は、印字機構として用紙搬送方向に直交する方向に伸び、多数のノズルが形成されたインクジェットヘッド111を複数本備え、それぞれのインクジェットヘッド111から黒またはカラーインクを吐出して印刷を行なう。なお、印刷ユニット110の構成は、図2にて詳述する。 外部給紙トレイ120および内部給紙トレイ131〜134は、本発明の消耗品の一つである各サイズの印刷用紙を収容して、印刷用紙を1枚ずつ給紙するもので、それぞれ、用紙切れを検出するための用紙切れセンサ120a,131a〜134aが設けられている。印刷用紙は、ローラ等の駆動機構によって筐体内の給紙系搬送路FRに沿って搬送され、レジスト部Rgに導かれる。ここでレジスト部Rgは、1対のレジストローラを備えて構成されており、印刷用紙の先端の位置あわせ等を行って一時停止させて、搬送部140へ用紙を送り出す。
【0027】
搬送部140は、搬送ベルト140aを有しており、レジスト部Rgから供給された印刷用紙を搬送ベルト140a上に載置して印刷ユニット110へ搬送する。印刷用紙は、印刷ユニット110の対向面に設けられた環状の搬送ベルト140aによって印刷条件により定められる速度で搬送されながら、各印刷ユニット110のインクジェットヘッド111から吐出されたインクによりライン単位で画像形成される。そして、印刷済の印刷用紙は、搬送ベルト140aやローラ等の駆動機構によって筐体内を搬送される。印刷用紙の片側の面のみに印刷を行なう片面印刷の場合は、そのまま排紙台150に導かれる。
【0028】
排紙台150は、傾斜しており、印刷済みの印刷用紙が排紙され積載する。
【0029】
切替機構160は、片面印刷と両面印刷の切替を行なう。つまり、両面印刷を行う場合は、表面印刷終了時に排紙台150に印刷済み用紙を排出せずに、スイッチバック経路SRに印刷済み用紙を送ってスイッチバックを行ない、印刷済み用紙の表裏を反転させる。そして、表裏を反転させた印刷済み用紙を再度レジスト部Rgに導き、所定のタイミングで印刷ユニット110に送り出し、表面側と同様の手順で裏面側の印刷を行なう。両面に画像が形成された印刷用紙は、排紙台150へ排紙される。
【0030】
インク循環部170は、インクを循環させつつ印刷ユニット110にインクを供給する。インク循環部170の構成は、図2にて詳述する。 操作パネル180は、電源ボタンや、テンキー、印刷枚数や印刷用紙のサイズ、印刷濃度等の各種設定を行う各種設定ボタン、印刷状態やエラーメッセージ等の本装置1の動作状態を表示するモニタ等が設けられている。
【0031】
記憶部200は、印刷用紙とインクなどの消耗品それぞれの残量と関連付けられた値であって、交換(印刷用紙等の消耗品の場合は補充または補給の意も含む。)の目安となる所定の第1閾値と、第1閾値よりも残量が多い値である所定の第2閾値とを記憶している。尚、所定の第1閾値および第2閾値は、後述するように任意の値であり、消耗品毎に異なる値が設定可能である。
【0032】
制御部190は、画像形成装置100における印刷処理、メンテナンス処理、その他の処理を制御する機能部であり、ハードウェア的には図示省略したCPUやRAM、ROM、ハードディスク等を備えており、ROMやハードディスク等に格納されたプログラムをCPUが実行することによって、本発明の第1判定手段、第2判定手段、および制御手段として機能する。また、制御部190のRAMやROM等が本発明の閾値記憶手段として機能する。
【0033】
制御部190は、第1判定手段として機能し、複数の消耗品それぞれの残量と第1閾値とに基づいて交換時期に達した消耗品があるか否かを判定したり、第2判定手段として機能し、第1閾値に基づき交換時期に達した消耗品があると判定された場合、他の消耗品で残量が第2閾値以下のものがあるか否かを判定する。
【0034】
また、制御部190は、制御手段として機能し、第1閾値に基づき交換時期に達した消耗品があると判定され、かつ、他の消耗品で残量が第2閾値以下のものがあると判定された場合、残量が第2閾値以下の消耗品についてメンテナンス動作を実行し、その後、メンテナンス動作を実行した他の消耗品および交換時期に達した消耗品の交換を促すメッセージを出力するように制御する。
【0035】
図2は、本発明に係る実施形態の画像形成装置100の印刷ユニット110とインク循環部170の構成を示す図である。
【0036】
図2に示すように、本発明に係る実施形態の画像形成装置100は、消耗品である着脱可能なインクタンク171に貯留されたインクをインク循環部170内で循環させて印刷ユニット110へ供給する。
【0037】
印刷ユニット110は、インクジェットヘッド111と、集合器112と、分配器113とを備えている。
【0038】
インクジェットヘッド111は、複数ブロックに分割されており、多数のノズルが設けられたノズルプレート111aからインクを吐出する。なお、本図の例では、1つのインク色について説明するが、画像形成装置100が複数色のインクでカラー印刷を行なうカラープリンタとする場合には、インク色毎にインク流路関連の概略構成を設ければよい。
【0039】
分配器113は、インクジェットヘッド111の各ブロックにインクを供給する。
【0040】
集合器112は、インクジェットヘッド111の各ブロックから印刷に用いられなかったインクを集める。
【0041】
インク循環部170は、インクタンク171と、上流タンク172と、下流タンク173と、メンテナンス機構174と、第1ポンプ175と、第2ポンプ176と、廃液タンク177と、インク循環経路178a〜178cと、インク供給経路179aと、開閉弁178、179等を備えている。
【0042】
インクタンク171に貯留されたインクは、インク供給経路179aを通って、インクジェットヘッド111の下流に設けられた下流タンク173に供給され一旦溜められる。下流タンク173に溜められたインクはインク循環経路178aの途中に設けられた第1ポンプ175によりインクジェットヘッド111の上流に設けられた上流タンク172に送られ、上流タンク172からインク循環経路178bを通ってインクジェットヘッド111に供給される。インクジェットヘッド111で印刷に用いられなかったインクは、インク循環経路178cを通って再び下流タンク173に戻される。印刷で消費されたインク分はインクタンク171から開閉弁179を介して下流タンク173に補給される。
【0043】
インクジェットヘッド111は、下流タンク173より高い位置に配置され、上流タンク172は、インクジェットヘッド111より高い位置に配置されている。この位置関係に基づく水頭差により、上流タンク172からインクジェットヘッド111へのインク供給と、インクジェットヘッド111から下流タンク173へのインク帰還が行なわれる。
【0044】
上流タンク172および下流タンク173には、タンク内を密閉状態と大気開放状態とを切り替える大気開放弁172a、173aがそれぞれ設けられている。また、上流タンク172および下流タンク173には、それぞれ、タンク内のインク液面を検知する上流タンク液面センサ172b、下流タンク液面センサ173bが設けられている。
【0045】
インク循環動作は、上流タンク液面センサ172b、下流タンク液面センサ173bの検出結果に基づき行われる。具体的には、制御部190は、まず、大気開放弁173aを閉じ、大気開放弁172aを開いた状態とする。そして、上流タンク液面センサ172bにより上流タンク172に所定量のインクが存在しないことが検出されると、制御部190は第1ポンプ175を動作し、下流タンク173から上流タンク172へインクを供給する。また、上流タンク液面センサ172bおよび下流タンク液面センサ173bの両方のセンサが上流タンク172および下流タンク173内にそれぞれ予め定められる量のインクが存在しないことを検出すると、制御部190は、開閉弁179を開いてインクタンク171から下流タンク173へインクが供給されるように制御する。
【0046】
メンテナンス機構174は、インクジェットヘッド111のメンテナンスを行なうもので、インクジェットヘッド111のノズルプレート111aを覆う形状をしており、印刷が行なわれない場合には、インクジェットヘッド111と密着してインク成分の揮発や蒸発、酸化などによるインクの変質を防ぐ。
【0047】
また、メンテナンス機構174は、インクジェットヘッド111と密着した状態で、ゴムブレードやローラを用いてノズルプレート111aの表面のインクを除去するワイピング機能と、第2ポンプ176の動作によりノズルプレート111aからインクを吸引してノズル周辺の異物を除去するパージ機能を有している。メンテナンス機構174は、インクジェットヘッド111においてクリーニング動作であるパージ動作、すなわちインクジェットヘッド111からインクを吸引した後にワイピング動作を行う。なお、吸引されたインクは廃液タンク177に溜められる。
【0048】
制御部190はメンテナンス機構174を使って、所定のタイミングにてインクジェットヘッド111のメンテナンスを実行する。この所定のタイミングは、電源投入時、前回の画像形成後からの経過時間が所定の時間以上たっている場合、連続して画像形成しているのが所定の枚数を超えた場合、等の任意のタイミングである。
【0049】
<本発明に係る実施形態1の画像形成装置100の作用>
次に、本発明に係る実施形態1の画像形成装置100の動作について説明する。
【0050】
図3は、実施形態1の画像形成装置100の動作を示すフローチャートである。
【0051】
なお、ここでは、消耗品として印刷用紙とインクとがあるものとし、印刷用紙の残量が交換の目安となる第1閾値(例えば、0%)、すなわち用紙切れとなった時に、他の消耗品であるインクのインクタンク171における残量がその交換の目安となる所定の第1閾値(例えば、3%)よりも大きい値である所定の第2閾値(例えば、5%)に達した場合について説明する。
【0052】
画像形成装置100では、ユーザが操作パネル180を操作したり、あるいはネットワーク(図示せず。)を介してコンピュータ装置(図示せず。)から印刷ジョブを受信すると、制御部190は、本装置100全体を制御して、外部給紙トレイ120または内部給紙トレイ131〜134のいずれかのトレイから印刷用紙を給紙して、搬送部140を介して印刷ユニット110へ送り、印刷を実行させる(ステップS101)。
【0053】
その際、制御部190は、外部給紙トレイ120や内部給紙トレイ131〜134に設けられた用紙切れセンサ120a,131a〜134aや、インクタンク171に設けられたインクタンク液面センサ171a、上流タンク172および下流タンク173に設けられた上流タンク液面センサ173b、下流タンク液面センサ173b等の各種センサから各機能部の動作状態や各消耗品の残量状況を取得する(ステップS103)。
【0054】
そして、制御部190は、第1判定手段と機能して、印刷動作中に印刷用紙やインク等の各消耗品それぞれにおいて、それぞれの残量と関連付けられた値であって、交換の目安となる第1閾値に達した消耗品があるか否かを判定する(ステップS105)。
【0055】
ここで、各種センサからの検出値に基づいて第1閾値を超えた消耗品があり(ステップS105;YES)、第1閾値を超えた消耗品がインクである場合(ステップS107;インク)、インクタンク171におけるインクの残量が0%になったということなので、制御部190は、制御手段として機能して、従来通り、操作パネル180のモニタにインクタンク交換メッセージを表示して(ステップS109)、ユーザにインクタンク171の交換作業を実行させる。
【0056】
一方、各種センサからの検出値に基づいて第1閾値を超えた消耗品があり(ステップS105;YES)、第1閾値を超えた消耗品が印刷用紙、すなわち外部給紙トレイ120または内部給紙トレイ131〜134のいずれかにおいて用紙切れが発生した場合(ステップS107;印刷用紙)、制御部190は、第2判定手段として機能して、他の消耗品であるインクタンク171のインクタンク液面センサ171aの検出値に基づいて、インクタンク171の残量がその第2閾値(例えば、5%)以下に達しているか否かを判定する(ステップS111)。なお、インクタンク171の第2閾値(例えば、5%)の値は、無駄に廃棄されるインクの量が極力少なくなるように、例えば、第2閾値(例えば、5%)と第1閾値(例えば、3%)との差分のインク量が、インクジェットヘッド111におけるパージ等のクリーニング動作で消費されるインクの消費量とほぼ同じになるように決定してRAMやROM等に登録しておいても良い。なお、消耗品が印刷用紙の場合、第1閾値は0%で良いが、インクの場合、第1閾値が0%は好ましくないため、3%に設定している。インクの場合は気泡の混入を確実に防止する必要があるためである。この目的を達することができる限り、各消耗品の第1閾値や第2閾値は任意の数値で構わない。
【0057】
ここで、外部給紙トレイ120または内部給紙トレイ131〜134のいずれかにおいて用紙切れが発生しているものの(ステップS107;印刷用紙)、インクタンク171の残量がその第2閾値(例えば、5%)以下に達していない場合(ステップS111;NO)、制御部190は、制御手段として機能して、従来通り、操作パネル180で印刷用紙補給メッセージを出力する(ステップS127)。これにより、ユーザは、印刷用紙補給メッセージに従って、用紙切れが発生した外部給紙トレイ120または内部給紙トレイ131〜134のいずれかにおいて印刷用紙の補給を行う。
【0058】
これに対し、外部給紙トレイ120または内部給紙トレイ131〜134のいずれかにおいて用紙切れが発生し(ステップS107;印刷用紙)、インクタンク171の残量がその第2閾値(例えば、5%)以下に達していた場合(ステップS111;YES)、制御部190は、以降、制御手段として機能して、インクジェットヘッド111においてパージ動作等のクリーニング動作を実行させる(ステップS113)。
【0059】
そのため、用紙切れが発生し、他の消耗品であるインクタンク171の残量が所定の第2閾値以下である場合、後述するステップS125のインクタンク交換メッセージに基づくインクタンク171の交換作業前に、インクタンク171内に残っている少量のインクが消費されるので、使い残しで廃棄されるインクを削減することができる。
【0060】
次に、制御部190は、下流タンク液面センサ173bがオフであるか否かを判定する(ステップS115)。
【0061】
ここで、下流タンク液面センサ173bがオフでない、すなわちオンである場合は(ステップS115;NO)、下流タンク173に十分にインクが貯留されており、第1ポンプ175によって上流タンク172へ十分にインクを供給できる状態にあることを示している。つまり、上流タンク172においてインク不足が発生せず、インクジェットヘッド111においてインク切れないしは印字擦れ等が発生しない状態を示している。
【0062】
そのため、ステップS113によるインクジェットヘッド111のクリーニング動作後、下流タンク液面センサ173bがオンの場合(ステップS115;NO)、制御部190は、操作パネル180のモニタ等にインクタンク171の交換メッセージを出力し(ステップS125)、その後、印刷用紙補給メッセージを出力する(ステップS127)。
【0063】
これにより、外部給紙トレイ120や内部給紙トレイ131〜134のいずれかにおいて収容していた消耗品である印刷用紙の残量が交換(印刷用紙であるので補充または補給の意である。)の目安となる第1閾値の0%、すなわち用紙切れが発生し、他の消耗品であるインクタンク171の残量が所定の第2閾値以下である場合、印刷用紙補給メッセージに基づく用紙補給作業の前に、インクジェットヘッド111におけるクリーニング動作後、インクタンク171が交換されることになる。
【0064】
つまり、用紙切れが発生した外部給紙トレイ120や内部給紙トレイ131〜134への印刷用紙の補給前に、インクタンク171においてインク切れは発生していないものの、第2閾値(例えば、5%)より小さい、例えば4%や3.5%等のインク切れ間近の少量のインクが残っていた場合、その少量のインクをクリーニング動作によって消費した後、インクタンク171が交換されることになる。
【0065】
その結果、インクの残量が第2閾値以下でインク切れ間近のインクタンク171の交換を報知する前に、インクタンク171内に残っている少量のインクをクリーニング動作に使用するため、使い残しで廃棄されるはずのインクを有効に活用することができる。
【0066】
また、ステップS115の判定処理において下流タンク液面センサ173bがオフである場合(YES)、制御部190は、大気開放弁173aや開閉弁179を開放する等して、インクタンク171から下流タンク173へインクを供給する(ステップS117)。
【0067】
そして、制御部190は、下流タンク液面センサ173bがオンになっても(ステップS119;YES)、所定時間、例えば、100msec経過するまで(ステップS121;NO)、ステップS117によってインクタンク171から下流タンク173へインクの供給を継続する。
【0068】
なお、通常の印刷動作時は、制御部190は、下流タンク173の下流タンク液面センサ173bがオフになった場合、インクタンク171から下流タンク173へインクを供給し、下流タンク液面センサ173bがオンになった時点で下流タンク173へのインクの供給を中止するので、この場合ステップ121の動作によって通常の印刷動作時よりも多目のインクが下流タンク173へ供給されることになる。
【0069】
その結果、この場合には、ステップS113のインクジェットヘッド111のクリーニング動作で消費したインクの消費量だけでなく、下流タンク液面センサ173bがオン後も100msec経過するまでインクタンク171から下流タンク173へインクが供給されるので、通常の印刷動作時よりも大目のインクがインクタンク171から下流タンク173へ供給されることになる。
【0070】
これにより、インクタンク171におけるインクの消費量がさらに増大するので、インクタンク171における使い残しで廃棄されるインクをさらに削減することが可能となり、端材在庫となるインクをさらに削減することが出来る。
【0071】
そして、下流タンク173の下流タンク液面センサ173bがオンになった後、100msec経過した場合(ステップS119;YES→ステップS121;YES)、制御部190は、大気開放弁173aや開閉弁179を閉める等して、インクタンク171から下流タンク173へインクの供給を停止する(ステップS123)。
【0072】
なお、制御部190は、ステップS113からステップS121の動作の途中において、インクタンク171内のインクの残量が第1閾値に達したと判断した場合には、それらの動作を中断し、ステップS123へと移行する。インク供給経路179a内に気泡が導入されるのを防ぐためである。
【0073】
その後、制御部190は、操作パネル180のモニタ等にインクタンク171の交換メッセージを出力し(ステップS125)、印刷用紙補給メッセージを出力する(ステップS127)。
【0074】
以上のように本発明に係る実施形態1の画像形成装置100では、外部給紙トレイ120または内部給紙トレイ131〜134のいずれかにおいて用紙切れが発生し、印刷用紙とは別の消耗品であるインクタンク171の残量がその第1閾値(例えば、3%)より大きいものの第2閾値(例えば、5%)以下に達していた場合、制御部190は、他の消耗品のメンテナンス動作、すなわちインクジェットヘッド111においてパージ動作等のクリーニング動作を実行させて、インクを余計に消費させた後、第2閾値を超えた他の消耗品であるインクタンク171の交換メッセージを出力し、その後、第1閾値(例えば、0%)に達した印刷用紙補給メッセージを出力する。
【0075】
これにより、用紙切れが発生し、他の消耗品であるインクタンク171の残量がその第1閾値(例えば、3%)より大きいものの第2閾値(例えば、5%)より小さい、例えば4%や3.5%等の少量のインクが残っていて、インク切れの時期が近いと予想される場合、その少量のインクを消費したクリーニング動作の実行後、インクタンク171の交換や、印刷用紙の補給が行われることになる。
【0076】
そのため、使い残しで廃棄されるはずのインクを有効に活用することが可能となり、端材在庫となるインクを減らすことができる。
【0077】
また、用紙切れが発生し、印刷用紙とは別の消耗品であるインクタンク171の残量がその第1閾値より大きいものの第2閾値以下に達した場合、インクタンク171のインクを使用してクリーニング動作を実行した後、インクタンク171の交換メッセージおよび印刷用紙の補給メッセージが出力されるので、複数の消耗品の交換やメンテナンスが同時期に行われることになる。
【0078】
そのため、画像形成装置100における消耗品の交換やメンテナンスにより停止する期間や回数を低減でき、画像形成装置100における作業性を向上させることができる。
【0079】
また、本発明に係る実施形態1の画像形成装置100では、制御部190は、用紙切れが発生し、印刷用紙とは別の消耗品であるインクタンク171の残量がその第1閾値より大きいものの第2閾値以下に達して、インクジェットヘッド111においてパージ動作等のクリーニング動作を実行させた後、下流タンク液面センサ173bがオフである場合、下流タンク液面センサ173bがオン後、100msec経過するまでインクタンク171から下流タンク173へインクを供給させる。
【0080】
そのため、インクタンク171におけるインクの消費量がさらに増大するので、インクタンク171における使い残しで廃棄されるインクをさらに削減することが可能となり、端材在庫となるインクをさらに削減することが出来る。
【0081】
なお、上記実施形態1の説明では、ステップS113によるノズルクリーニング動作処理後、ステップS115〜ステップS123の処理を行った後、ステップS125の処理により第2閾値を超えたインクタンク171の交換メッセージを出力し、その後、ステップS127の処理により印刷用紙補給メッセージ出力処理を実行するように説明したが、本発明では、これに限らず、ステップS115〜ステップS123の処理を省略して、ステップS113によるノズルクリーニング動作処理後、ステップS125の処理により第2閾値を超えたインクタンク171の交換メッセージを出力し、その後、ステップS127の処理により印刷用紙補給メッセージ出力処理を実行するようにしても良い。また、ステップS125とステップS127のメッセージは同時に表示させるようにしても良い。
【0082】
(実施形態2)
上記実施形態1の画像形成装置100では、第1閾値を超えた消耗品があり、第1閾値を超えた消耗品が印刷用紙であった場合、制御部190は、続いて他の消耗品であるインクタンク171の残量がその第2閾値以下に達しているか否かを判定し、インクタンク171の残量がその第1閾値より大きいものの第2閾値以下に達していた場合、インクタンク171の交換メッセージを出力する前に、インクジェットヘッド111におけるクリーニング動作によってインクタンク171のインクを消費させるように制御した。
【0083】
実施形態2の画像形成装置100では、第1閾値を超えた消耗品がインクタンク171であった場合の処理について説明する。なお、構成自体は上記実施形態1の画像形成装置100と同じであり、制御部190の制御動作が異なるだけであるので、図1図2を参照して、実施形態2の画像形成装置100の制御部190の動作を中心に説明する。
【0084】
図4は、本発明に係る実施形態2の画像形成装置100の動作を示すフローチャートである。なお、図3に示す実施形態1の画像形成装置100の動作を示すフローチャートと同じ動作には、同じステップ番号を付して説明を省略する。
【0085】
実施形態2の画像形成装置100では、実施形態1の画像形成装置100と同様に、制御部190は、印刷ジョブに基づき印刷動作を開始すると、本装置100全体を制御して、外部給紙トレイ120または内部給紙トレイ131〜134のいずれかから搬送部140を介して印刷ユニット110へ印刷用紙を送って印刷させる(ステップS101)と共に、各種センサから各消耗品の残量や動作状態を取得する(ステップS103)。
【0086】
そして、制御部190は、第1判定手段と機能して、印刷動作中に用紙やインク等の複数の消耗品それぞれにおいて、それぞれの残量と関連付けられた値であって、交換の目安となる第1閾値に達した消耗品があるか否かを判定する(ステップS105)。
【0087】
ここで、第1閾値を超えた消耗品があり(ステップS105;YES)、第1閾値を超えた消耗品が印刷用紙、すなわち外部給紙トレイ120または内部給紙トレイ131〜134のいずれかにおいて用紙切れが発生した場合(ステップS107;印刷用紙)、実施形態2の制御部190は、実施形態1の画像形成装置100とは異なり、従来通り操作パネル180で印刷用紙補給メッセージを表示する等して(ステップS127)、ユーザに用紙の補給を行わせる。
【0088】
一方、第1閾値を超えた消耗品があり(ステップS105;YES)、第1閾値を超えた消耗品がインクである場合(ステップS107;インク)、インクタンク171におけるインクの残量が3%になったということなので、制御部190は、実施形態1の画像形成装置100とは異なり、続いて他の消耗品である印刷用紙の残量が外部給紙トレイ120や内部給紙トレイ131〜134のいずれかにおいて第2閾値以下、例えば、印刷用紙の積載量が満載時の5%以下のトレイがあるか否かを判定する(ステップS201)。
【0089】
ここで、印刷用紙の残量が第2閾値(例えば、5%)以下のトレイがない場合(ステップS201;NO)、まだそれほど大量の印刷が行われてなく、搬送部140の搬送ベルト140a(図1参照。)は汚れておらず、ベルトクリーニングは不要であると予測される。
【0090】
そのため、この場合、実施形態2の制御部190は、制御手段として機能して、操作パネル180にインクタンク交換メッセージを表示したり、インクタンク交換メッセージの音声等を出力して(ステップS109)、ユーザにインクタンク171の交換作業を実行させる。
【0091】
これに対し、第1閾値を超えた消耗品がインクであって(ステップS107;インク)、かつ、他の消耗品である印刷用紙の残量が外部給紙トレイ120や内部給紙トレイ131〜134のいずれかにおいて第2閾値(例えば、5%)以下に達していた場合(ステップS201;YES)、大量の印刷が行われ、搬送部140の搬送ベルト140aのクリーニングが必要な枚数以上印刷されたものと予測される。
【0092】
そのため、この場合、実施形態2の制御部190は、制御手段として機能して、搬送部140の搬送ベルト140aのベルトクリーニング動作を実行し(ステップS203)、その後、操作パネル180のモニタに印刷用紙補給メッセージを出力して(ステップS205)、ユーザに印刷用紙の補給作業を実行させた後、同様にインクタンク交換メッセージを出力して(ステップS109)、ユーザにインクタンク171の交換作業を実行させる。
【0093】
従って、本発明に係る実施形態2の画像形成装置100によれば、消耗品であるインクタンク171の残量がその第1閾値(例えば、3%)以下となり交換時期となった場合、他の消耗品である印刷用紙の残量がその第1閾値(例えば、3%)に達していなくても、第2閾値(例えば、5%)以下になっていた場合、搬送部140の搬送ベルト140aのベルトクリーニング動作の実行後、印刷用紙補給メッセージおよびインクタンク交換メッセージが出力される。
【0094】
そのため、インクタンク171でインク切れが発生し、インクとは別の消耗品である印刷用紙の残量が外部給紙トレイ120または内部給紙トレイ131〜134のいずれかにおいてその第1閾値(例えば、0%)に達していないものの、第2閾値(例えば、5%)より小さい、例えば2%や3%等の印刷用紙が残っていて、大量の印刷動作により搬送部140の搬送ベルト140aのベルトクリーニング動作時期や用紙切れが近いと予測される場合、インクタンク171の交換の際に搬送部140の搬送ベルト140aのベルトクリーニング動作が実行された後、印刷用紙が補給され、インクタンク171が交換される。
【0095】
その結果、複数の消耗品の交換やメンテナンスが同時期ないしは近いタイミングで行われるので、画像形成装置100における消耗品の交換やメンテナンスにより停止する期間や回数を低減でき、画像形成装置100における作業性を向上させることができる。
【0096】
なお、上記実施形態2の説明では、第1閾値を超えた消耗品がインクタンク171であった場合の処理について本発明を適用し、第1閾値を超えた消耗品が印刷用紙の場合は、従来通り操作パネル180で印刷用紙補給メッセージを出力するように説明したが、本発明では、これに限らず、例えば、図5に示すように、第1閾値を超えた消耗品が印刷用紙の場合は、上述の実施形態1の画像形成装置100と同様の処理を行う、すなわち実施形態1および実施形態2の画像形成装置100双方の機能を有するように構成しても良い。このように構成すると、上述した実施形態1および実施形態2の画像形成装置100双方の効果が得られることになる。
【0097】
また、上記実施形態1,2の説明では、画像形成装置100としてインクジェットヘッド111を有するインクジェット印刷装置を一例に説明したが、本発明では、これに限定されず、孔版印刷装置やレーザー印刷装置等の画像形成装置でも、消耗品としてインクやトナー、印刷用紙等を使用するので、同様に適用可能である。
【0098】
また、上記実施形態1,2の説明では、インクタンク171と下流タンク173との間にインク供給経路179aを設け、クリーニング動作の実行後に下流タンク173内のインク残量が所定量未満となった場合、インクタンク171からインク供給経路179aを介して下流タンク173へインクの供給を開始し、下流タンク173内のインク量が通常の供給動作では供給停止となる基準量に到達してからさらに所定時間(100msec)経過後にインクの供給を停止させる動作をメンテナンス動作としてさらに実行するように説明したが、本発明ではこれに限定されず、インクタンク171と上流タンク172との間にインク供給経路が設けられている場合には、クリーニング動作の実行後に上流タンク172内のインク残量が所定量未満となった場合、インクタンク171からインク供給経路を介して上流タンク172へインクの供給を開始し、上流タンク172内のインク量が通常の供給動作では供給停止となる基準量に到達してからさらに所定時間(100msec)経過後にインクの供給を停止させる動作をメンテナンス動作としてさらに実行するように構成しても勿論良い。
【符号の説明】
【0099】
100 画像形成装置
110 印刷ユニット
120 外部給紙トレイ
120a, 用紙切れセンサ
131〜134 内部給紙トレイ
131a〜134a 用紙切れセンサ
140 搬送部
140a 搬送ベルト
150 排紙台
170 インク循環部
171 インクタンク
171a インクタンク液面センサ
172 上流タンク
172b 上流タンク液面センサ(検出手段)
173 下流タンク
173b 下流タンク液面センサ(検出手段)
174 メンテナンス機構(クリーニング手段)
178a〜178c インク循環経路
179a インク供給経路
180 操作パネル
190 制御部(閾値記憶手段、第1判定手段、第2判定手段、制御手段)
200 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5