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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-226133(P2017-226133A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】液体吐出装置および駆動回路
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/045 20060101AFI20171201BHJP
   B41J 2/015 20060101ALI20171201BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   B41J2/045
   B41J2/015 101
   B41J2/14 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-123396(P2016-123396)
(22)【出願日】2016年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】阿部 彰
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF54
2C057AR04
2C057AR08
2C057AR16
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】液体吐出装置の消費電力を改善する。
【解決手段】駆動回路120aは、信号Ainをオフセットした電圧(Vin−V)と駆動信号COM−Aの電圧Outとを比較し、当該比較結果を示す信号を出力する比較器221と、信号Ainをオフセットした電圧(Vin+V)と電圧Outとを比較し、当該比較結果を示す信号を出力する比較器222と、電源電圧(V、V)の間に直列に接続されたトランジスター231および232と、比較器221および222を選択するセレクター223と、を備える。セレクター223は、比較器221および222を選択するときには、比較器221の出力信号をトランジスター231のゲート端子に供給するとともに、比較器222の出力信号をトランジスター232のゲート端子に供給する一方、比較器221および222を選択しないときには、トランジスター231および232をオフさせる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号の印加により駆動される圧電素子を含み、前記圧電素子の駆動により液体を吐出する吐出部と、
前記駆動信号に基づく電圧と入力信号の電圧とを、前記駆動信号に基づく電圧に対して前記入力信号の電圧を相対的に低位側にオフセットして比較し、当該比較結果を示す第1制御信号を出力する第1比較器と、
前記駆動信号に基づく電圧と前記入力信号の電圧とを、前記駆動信号に基づく電圧に対して前記入力信号の電圧を相対的に高位側にオフセットして比較し、当該比較結果を示す第2制御信号を出力する第2比較器と、
所定の電源電圧間に直列に接続されたハイサイドトランジスターとローサイドトランジスターと、
前記第1比較器および前記第2比較器を選択する選択部と、
を備え、
前記選択部は、
前記第1比較器および前記第2比較器を選択するときには、前記第1制御信号を当該ハイサイドトランジスターのゲート端子に供給するとともに、前記第2制御信号を当該ロードトランジスターのゲート端子に供給し、
前記第1比較器および前記第2比較器を選択しないときには、前記ハイサイドトランジスターをオフさせる信号を当該ハイサイドトランジスターのゲート端子に供給するとともに、前記ローサイドトランジスターをオフさせる信号を当該ローサイドトランジスターのゲート端子に供給する
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記選択部が前記第1比較器および前記第2比較器を選択しない期間の一部または全部の所定期間にわたって、前記入力信号を増幅して前記出力端に向けて出力するリニア増幅器を、
備えることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記リニア増幅器と前記出力端との間に可変抵抗を有し、
前記可変抵抗の抵抗値は、前記選択部が前記第1比較器および前記第2比較器を選択する期間よりも前記所定期間において小さくなる
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記可変抵抗は、前記入力信号の電圧変化が閾値以下であれば、オンするスイッチである
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記スイッチは、
前記入力信号の電圧変化が閾値以下であるか否かを示す指定信号に基づいてオンまたはオフする
ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記リニア増幅器と前記出力端との間に設けられた抵抗素子を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記リニア増幅器と前記出力端との間に設けられ、前記選択部が前記第1比較器および前記第2比較器を選択しない期間にオンするスイッチを含み、
前記選択部は、
前記入力信号の電圧変化が閾値以下であれば、前記第1比較器および前記第2比較器を選択しない
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記スイッチは、
前記入力信号の電圧変化が閾値以下であるか否かを示す指定信号に基づいてオンまたはオフし、
前記選択部は、
前記指定信号に基づいて、
前記第1比較器および前記第2比較器を選択する
ことを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記吐出部と、前記第1比較器と、前記第2比較器と、前記ハイサイドトランジスターと、前記ローサイドトランジスターと、前記選択部と、が可動式のキャリッジに搭載された
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項10】
駆動信号により容量性負荷を駆動する駆動回路であって、
前記駆動信号に基づく電圧と入力信号の電圧とを、前記駆動信号に基づく電圧に対して前記入力信号の電圧を相対的に低位側にオフセットして比較し、当該比較結果を示す第1制御信号を出力する第1比較器と、
前記駆動信号に基づく電圧と前記入力信号の電圧とを、前記駆動信号に基づく電圧に対して前記入力信号の電圧を相対的に高位側にオフセットして比較し、当該比較結果を示す第2制御信号を出力する第2比較器と、
所定の電源電圧間に直列に接続されたハイサイドトランジスターとローサイドトランジスターと、
前記第1比較器および前記第2比較器を選択する選択部と、
を備え、
前記選択部は、
前記第1比較器および前記第2比較器を選択するときには、前記第1制御信号を当該ハイサイドトランジスターのゲート端子に供給するとともに、前記第2制御信号を当該ロードトランジスターのゲート端子に供給し、
前記第1比較器および前記第2比較器を選択しないときには、前記ハイサイドトランジスターをオフさせる信号を当該ハイサイドトランジスターのゲート端子に供給するとともに、前記ローサイドトランジスターをオフさせる信号を当該ローサイドトランジスターのゲート端子に供給する
ことを特徴とする駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置および駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出して画像や文書を印刷するインクジェットプリンターには、圧電素子(例えばピエゾ素子)を用いたものが知られている。圧電素子は、ヘッドユニットにおいて複数のノズルのそれぞれに対応して設けられ、それぞれが駆動信号にしたがって駆動される。このような駆動により、ノズルから所定のタイミングで所定量のインク(液体)が吐出されて、ドットが形成される。圧電素子は、電気的にみればコンデンサーのような容量性負荷であるので、各ノズルの圧電素子を動作させるためには十分な電流を供給する必要がある。
【0003】
このため、インクジェットプリンターでは、駆動信号の元となる元駆動信号を増幅回路で増幅し、駆動信号としてヘッドユニットに供給して、圧電素子を駆動する構成となっている。増幅回路としては、元駆動信号をAB級などで電流増幅する方式(リニア増幅、特許文献1参照)が挙げられる。ただし、リニア増幅では消費電力が大きく、エネルギー効率が悪いので、近年では、D級増幅についても提案されている(特許文献2参照)。D級増幅は、端的にいえば、元駆動信号をパルス変調するとともに、当該変調信号にしたがって電源電圧間において直列に挿入されたハイサイドトランジスターおよびローサイドトランジスターをスイッチングし、このスイッチングによる出力信号をローパスフィルターで濾波することで、元駆動信号を増幅する、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−190287号公報
【特許文献2】特開2010−114711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、D級増幅方式では、リニア増幅方式と比較してエネルギー効率が高いものの、ローパスフィルターで消費される電力が無視できないので、消費電力を改善する点において改良の余地がある。
そこで、本発明のいくつかの態様の目的の一つは、消費電力を改善した液体吐出装置、駆動回路およびヘッドユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的の一つを達成するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、駆動信号の印加により駆動される圧電素子を含み、前記圧電素子の駆動により液体を吐出する吐出部と、前記駆動信号に基づく電圧と入力信号の電圧とを、前記駆動信号に基づく電圧に対して前記入力信号の電圧を相対的に低位側にオフセットして比較し、当該比較結果を示す第1制御信号を出力する第1比較器と、前記駆動信号に基づく電圧と前記入力信号の電圧とを、前記駆動信号に基づく電圧に対して前記入力信号の電圧を相対的に高位側にオフセットして比較し、当該比較結果を示す第2制御信号を出力する第2比較器と、所定の電源電圧間に直列に接続されたハイサイドトランジスターとローサイドトランジスターと、前記第1比較器および前記第2比較器を選択する選択部と、を備え、前記選択部は、前記第1比較器および前記第2比較器を選択するときには、前記第1制御信号を当該ハイサイドトランジスターのゲート端子に供給するとともに、前記第2制御信号を当該ロードトランジスターのゲート端子に供給し、前記第1比較器および前記第2比較器を選択しないときには、前記ハイサイドトランジスターをオフさせる信号を当該ハイサイドトランジスターのゲート端子に供給するとともに、前記ローサイドトランジスターをオフさせる信号を当該ローサイドトランジスターのゲート端子に供給することを特徴とする。
上記一態様に係る液体吐出装置によれば、D級増幅方式と比較して、ローパスフィルターが不要であるので、構成の簡易化とともに、当該ローパスフィルターにおいて消費される電力が発生しないので、その分、低消費電力化が図られる。
なお、接続とは、2以上の要素間の直接的および間接的な結合を意味し、当該2つ以上の要素間に、1または2以上の中間要素が存在することも含む。上述の例でいえば、ハイサイドトランジスターとローサイドトランジスターとの間に逆流防止用のダイオードが設けられても良い。
【0007】
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記選択部が前記第1比較器および前記第2比較器を選択しない期間の一部または全部の所定期間にわたって、前記入力信号を増幅して前記出力端に向けて出力するリニア増幅器を、備える構成としても良い。この構成によれば、ハイサイドトランジスターおよびローサイドトランジスターがオフする期間においては、リニア増幅器が入力信号を増幅して出力端に向けて出力するので、両トランジスターのオフに伴って駆動信号の波形精度が低下するのを防止することができる。
なお、「出力端に向けて」とは、出力端までの途中に別の中間要素が介在しても良い、という意味である。
【0008】
上記構成において、前記リニア増幅器と前記出力端との間に可変抵抗を有し、前記可変抵抗の抵抗値は、前記選択部が前記第1比較器および前記第2比較器を選択する期間よりも前記所定期間において小さくなっても良い。
また、前記可変抵抗は、前記入力信号の電圧変化が閾値以下であれば、オンするスイッチであっても良いし、前記スイッチは、前記入力信号の電圧変化が閾値以下であるか否かを示す指定信号に基づいてオンまたはオフしても良い。
【0009】
上記リニア増幅器を備える場合に、前記リニア増幅器と前記出力端との間に設けられた抵抗素子を含んだ構成として良い。この構成によれば、スイッチの代わりとして、抵抗素子を用いることができるので、構成の簡易化を図ることができる。
【0010】
また、上記リニア増幅器を備える場合に、前記リニア増幅器と前記出力端との間に設けられ、前記選択部が前記第1比較器および前記第2比較器を選択しない期間にオンするスイッチを含み、前記選択部は、前記入力信号の電圧変化が閾値以下であれば、前記第1比較器および前記第2比較器を選択しない構成としても良い。上記構成において、前記スイッチは、前記入力信号の電圧変化が閾値以下であるか否かを示す指定信号に基づいてオンまたはオフし、前記選択部は、前記指定信号に基づいて、前記第1比較器および前記第2比較器を選択しても良い。指定信号によってスイッチのオンオフと選択部の選択との双方が制御されるので、構成の簡易化が図られる。
【0011】
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記吐出部と、前記第1比較器と、前記第2比較器と、前記ハイサイドトランジスターと、前記ローサイドトランジスターと、前記選択部と、が可動式のキャリッジに搭載された構成としても良い。
なお、液体吐出装置とは、液体を吐出するものであれば良く、これには後述する印刷装置のほかに、立体造形装置(いわゆる3Dプリンター)、捺染装置なども含まれる。
また、本発明は、液体吐出装置に限られず、種々の態様で実現することが可能であり、例えば当該圧電素子のような容量性負荷を駆動する駆動回路や、液体吐出装置におけるヘッドユニットなどとしても概念することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】印刷装置の概略構成を示す図である。
図2】印刷装置のヘッドユニットにおけるノズルの配列等を示す図である。
図3】ノズルの配列を拡大して示す図である。
図4】ヘッドユニットにおける要部構成を示す断面図である。
図5】印刷装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図6】駆動信号の波形等を説明するための図である。
図7】選択制御部の構成を示す図である。
図8】デコーダーのデコード内容を示す図である。
図9】選択部の構成を示す図である。
図10】選択部から圧電素子に供給される駆動信号を示す図である。
図11】印刷装置に適用される駆動回路(その1)の構成を示す図である。
図12】駆動回路(その1)の動作を説明するための図である。
図13】駆動回路(その1)の動作を説明するための図である。
図14】入力信号と出力信号との関係でトランジスターの動作を示す図である。
図15】入力信号の電圧をオフセットする構成の例を示す図である。
図16】駆動回路(その2)を示す図である。
図17】駆動回路(その3)の構成を示す図である。
図18】駆動回路(その4)の構成を示す図である。
図19】駆動回路(その3等)における比較器221の構成を示す図である。
図20】駆動回路(その3等)における比較器222の構成を示す図である。
図21】駆動回路(その5)の構成を示す図である。
図22】駆動回路(その6)の構成を示す図である。
図23】比較例に係る駆動回路の動作を説明するための図である。
図24】比較例に係る駆動回路の動作を説明するための図である。
図25】一般的な比較器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について、印刷装置を例にとって説明する。
【0014】
図1は、印刷装置の概略構成を示す斜視図である。
この図に示される印刷装置1は、液体の一例であるインクを吐出することによって、紙などの媒体Pにインクドット群を形成し、これにより、画像(文字や図形等などを含む)を印刷する液体吐出装置の一種である。
【0015】
図1に示されるように、印刷装置1は、キャリッジ20を、主走査方向(X方向)に移動(往復動)させる移動機構6を備える。
移動機構6は、キャリッジ20を移動させるキャリッジモーター61と、両端が固定されたキャリッジガイド軸62と、キャリッジガイド軸62とほぼ平行に延在し、キャリッジモーター61により駆動されるタイミングベルト63と、を有している。
キャリッジ20は、キャリッジガイド軸62に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト63の一部に固定されている。そのため、キャリッジモーター61によりタイミングベルト63を正逆走行させると、キャリッジ20がキャリッジガイド軸62に案内されて往復動する。
【0016】
キャリッジ20には、印刷ヘッド22が搭載されている。この印刷ヘッド22は、媒体Pと対向する部分に、インクを個別にZ方向に吐出する複数のノズルを有する。なお、印刷ヘッド22は、カラー印刷のために、概略的に4個のブロックに分かれている。4個のブロックの各々は、それぞれブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)のインクを吐出する。
なお、キャリッジ20には、フレキシブルフラットケーブル190を介してメイン基板(この図では省略)から各種の制御信号等が供給される構成となっている。
【0017】
印刷装置1は、媒体Pを、プラテン80上で搬送させる搬送機構8を備える。搬送機構8は、駆動源である搬送モーター81と、搬送モーター81により回転し、媒体Pを副走査方向(Y方向)に搬送する搬送ローラー82と、を備える。
【0018】
このような構成において、キャリッジ20の主走査に合わせて印刷ヘッド22のノズルから印刷データに応じてインクを吐出させるとともに、媒体Pを搬送機構8によって搬送する動作を繰り返すことで、媒体Pの表面に画像が形成される。
なお、本実施形態において主走査は、キャリッジ20を移動させることで実行されるが、媒体Pを移動させることで実行しても良く、キャリッジ20と媒体Pとの双方を移動させても良い。要は、媒体Pとキャリッジ20(印刷ヘッド22)とが相対的に移動する構成であれば良い。
【0019】
図2は、印刷ヘッド22におけるインクの吐出面を媒体Pからみた場合の構成を示す図である。この図に示されるように、印刷ヘッド22は、4個のヘッドユニット3を有する。4個のヘッドユニット3の各々は、それぞれブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)に対応し、主走査方向であるX方向に沿って配列する。
【0020】
図3は、1個のヘッドユニット3におけるノズルの配列を示す図である。
この図に示されるように、1個のヘッドユニット3では、複数のノズルNが2列で配列する。ここで、説明の便宜上、この2列をそれぞれノズル列NaおよびNbとする。
【0021】
ノズル列NaおよびNbでは、それぞれ複数のノズルNが、副走査方向であるY方向に沿ってピッチP1で配列する。また、ノズル列NaおよびNb同士は、X方向にピッチP2だけ離間する。ノズル列Naに属するノズルNとノズル列Nbに属するノズルNとは、Y方向に、ピッチP1の半分だけシフトした関係となっている。
このようにノズルNを、ノズル列NaおよびNbの2列で、Y方向にピッチP1の半分だけシフトして配置させることにより、Y方向の解像度を、1列の場合と比較して実質的に倍に高めることができる。
なお、1個のヘッドユニット3におけるノズルNの個数を便宜的にm(mは2以上の整数)とする。
【0022】
ヘッドユニット3は、後述するように、m個のノズルNと、これらm個のノズルNの各々に対応して設けられる圧電素子とを含むアクチュエーター基板に、各種の素子が実装された回路基板が接続された構成である。そこで説明の便宜のために、アクチュエーター基板の構造について説明する。
【0023】
図4は、アクチュエーター基板の構造を示す断面図である。詳細には図3におけるg−g線で破断した場合の断面を示す図である。
図4に示されるように、アクチュエーター基板40は、流路基板42のうち、Z方向の負側の面上に圧力室基板44と振動板46とが設けられる一方、Z方向の正側の面上にノズル板41が設置された構造体である。
アクチュエーター基板40の各要素は、概略的にはY方向に長尺な略平板状の部材であり、例えば接着剤等により互いに固定される。また、流路基板42および圧力室基板44は、例えばシリコンの単結晶基板で形成される。
【0024】
ノズルNは、ノズル板41に形成される。ノズル列Naに属するノズルに対応する構造と、ノズル列Nbに属するノズルに対応する構造とは、Y方向にピッチP1の半分だけシフトした関係にあるが、それ以外では、略対称に形成されるので、以下においてはノズル列Naに着目してアクチュエーター基板40の構造を説明することにする。
【0025】
流路基板42は、インクの流路を形成する平板材であり、開口部422と供給流路424と連通流路426とが形成される。供給流路424および連通流路426は、ノズル毎に形成され、開口部422は、複数のノズルにわたって連続するように形成されるとともに、対応する色のインクが供給される構造となっている。この開口部422は、液体貯留室Srとして機能し、当該液体貯留室Srの底面は、例えばノズル板41によって構成される。具体的には、流路基板42における開口部422と各供給流路424と連通流路426とを閉塞するように流路基板42の底面に固定される。
【0026】
圧力室基板44のうち流路基板42とは反対側の表面に振動板46が設置される。振動板46は、弾性的に振動可能な平板状の部材であり、例えば酸化シリコン等の弾性材料で形成された弾性膜と、酸化ジルコニウム等の絶縁材料で形成された絶縁膜との積層で構成される。振動板46と流路基板42とは、圧力室基板44の各開口部422の内側で互い間隔をあけて対向する。各開口部422の内側で流路基板42と振動板46とに挟まれた空間は、インクに圧力を付与するキャビティ442として機能する。各キャビティ442は、流路基板42の連通流路426を介してノズルNに連通する。
振動板46のうち圧力室基板44とは反対側の表面には、ノズルN(キャビティ442)毎に圧電素子Pztが形成される。
【0027】
圧電素子Pztは、振動板46の面上に形成された複数の圧電素子Pztにわたって共通の駆動電極72と、当該駆動電極72の面上に形成された圧電体74と、当該圧電体74の面上に圧電素子Pzt毎に形成された個別の駆動電極76とを包含する。このような構成において、駆動電極72および76によって圧電体74を挟んで対向する領域が圧電素子Pztとして機能する。
【0028】
圧電体74は、例えば加熱処理(焼成)を含む工程で形成される。具体的には、複数の駆動電極72が形成された振動板46の表面に塗布された圧電材料を、焼成炉内での加熱処理により焼成してから圧電素子Pzt毎に成形(例えばプラズマを利用したミーリング)することで圧電体74が形成される。
【0029】
なお、ノズル列Nbに対応する圧電素子Pztも同様に、駆動電極72と、圧電体74と、駆動電極76とを包含した構成である。
また、この例では、圧電体74に対し、共通の駆動電極72を下層とし、個別の駆動電極76を上層としたが、逆に駆動電極72を上層とし、駆動電極76を下層とする構成としても良い。
【0030】
圧電素子Pztの一端である駆動電極76には、吐出すべきインク量に応じた駆動信号の電圧Voutが回路基板から個別に印加される一方、圧電素子Pztの他端である駆動電極72には、電圧VBSの保持信号が共通に印加される。
このため、圧電素子Pztは、駆動電極72および76に印加された電圧に応じて、上または下方向に変位する。詳細には、駆動電極76を介して印加される駆動信号の電圧Voutが低くなると、圧電素子Pztにおける中央部分が両端部分に対して上方向に撓む一方、当該電圧Voutが高くなると、下方向に撓む構成となっている。
ここで、上方向に撓めば、キャビティ442の内部容積が拡大(圧力が減少)するので、インクが液体貯留室Srから引き込まれる一方、下方向に撓めば、キャビティ442の内部容積が縮小(圧力が増加)するので、縮小の程度によっては、インク滴がノズルNから吐出される。このように、圧電素子Pztに適切な駆動信号が印加されると、当該圧電素子Pztの変位によって、インクがノズルNから吐出される。このため、少なくとも圧電素子Pzt、キャビティ442、およびノズルNによってインクを吐出する吐出部が構成されることになる。
【0031】
次に、印刷装置1の電気的な構成について説明する。
【0032】
図5は、印刷装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、印刷装置1は、メイン基板100にフレキシブルフラットケーブル190を介してヘッドユニット3が接続された構成となっている。
【0033】
印刷装置1では、4個のヘッドユニット3が設けられ、メイン基板100が、4個のヘッドユニット3をそれぞれ独立に制御する。4個のヘッドユニット3では、吐出するインクの色以外において異なるところがないので、以下においては便宜的に1個のヘッドユニット3について代表して説明することにする。
【0034】
図5に示されるように、メイン基板100は、制御部110および電圧生成回路130を含む。
このうち、制御部110は、特に図示しないがCPU、RAMおよびROMなどを有する一種のマイクロコンピューターであり、印刷対象となる画像データがホストコンピューター等から供給されたときに、所定のプログラムを実行して各部を制御するための各種の信号等をそれぞれ出力する。
【0035】
具体的には、第1に、制御部110は、データdAおよびdBと、信号OEaおよびOEbとを、それぞれ回路基板50に供給する。
ここで、データdAは、駆動信号COM−Aを規定するデジタルのデータである。信号OEaは、それぞれデータdAで規定される駆動信号COM−Aの電圧変化に応じた論理レベルとなる信号であり、詳細については後述する。
同様に、データdBは、駆動信号COM−Bを規定するデジタルのデータである。信号OEbは、データdBで規定される駆動信号COM−Bの電圧変化に応じた論理レベルとなる信号であり、詳細については後述する。
【0036】
第2に、制御部110は、移動機構6および搬送機構8に対する制御に同期して、ヘッドユニット3に各種の制御信号Ctrを供給する。なお、制御信号Ctrには、ノズルNから吐出させるインクの量を規定する印刷データSI(吐出制御信号)、当該印刷データの転送に用いるクロック信号Sck、印刷周期等を規定する信号LAT、CHが含まれる。
なお、制御部110は、移動機構6および搬送機構8を制御するが、このような構成については既知であるので説明を省略する。
【0037】
また、電圧生成回路130は、電圧VBSの保持信号を生成する。電圧VBSの保持信号は、例えばフレキシブルフラットケーブル190および回路基板50を介して、アクチュエーター基板40における複数の圧電素子Pztの他端にわたって共通に印加される。電圧VBSの保持信号は、複数の圧電素子Pztの他端を、それぞれ一定の状態に保つためのものである。
【0038】
ヘッドユニット3は、アクチュエーター基板40と、回路基板50とに大別される。
このうち、回路基板50は、D/A変換器(DAC、Digital to Analog Converter)113aおよび113bと、電圧増幅器115aおよび115bと、駆動回路120aおよび120bと、選択制御部510と、圧電素子Pztに一対一に対応した選択部520と、を有する。
【0039】
DAC113aは、デジタルのデータdAをアナログの信号ainに変換する。電圧増幅器115aは、信号ainの電圧を例えば10倍に増幅し、信号Ainとして駆動回路120aに供給する。同様に、DAC113bは、デジタルのデータdBをアナログの信号binに変換し、電圧増幅器115bは、信号binの電圧を例えば10倍に増幅し、信号Binとして駆動回路120bに供給する。
【0040】
駆動回路120aは、詳細については後述するが、信号OEaを用いて信号Ainを、駆動能力を高めて(低インピーダンスに変換して)駆動信号COM−Aとして出力する。同様に、駆動回路120bは、信号OEbを用いて信号Binを、駆動能力を高めて駆動信号COM−Bとして出力する。
なお、アナログ変換後の信号ainおよびbinと、インピーダンス変換前の信号AinおよびBinと、駆動信号COM−AおよびCOM−Bとについては、それぞれ後述するように台形波形である。
【0041】
選択制御部510は、選択部520の各々における選択をそれぞれ制御する。詳細には、選択制御部510は、制御部110からクロック信号に同期して供給される印刷データを、ヘッドユニット3のノズル(圧電素子Pzt)の数個分、一旦蓄積するとともに、各選択部520に対し、印刷データにしたがって駆動信号COM−A、COM−Bの選択を、タイミング信号で規定される印刷周期の開始タイミングで指示する。
各選択部520は、選択制御部510による指示にしたがって、駆動信号COM−A、COM−Bのいずれかを選択し(または、いずれも選択せずに)、電圧Voutの駆動信号として、対応する圧電素子Pztの一端に印加する。
【0042】
回路基板50は、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)に、トランジスターなどの素子、および、半導体回路が実装された構成であり、当該FPCの一端がFFC190に接続され、他端がアクチュエーター基板40に接続される。回路基板50に実装される半導体回路には、例えばDAC113aおよび113bと、電圧増幅器115aおよび115bと、駆動回路120aおよび120bと、選択制御部510と、複数の選択部520とにおける一部の機能が集積化される。
【0043】
信号ain(bin)は、低耐圧の半導体回路のDAC113a(113b)により変換されるので、例えば電圧0〜4V程度で比較的小さく振幅する。これに対して、圧電素子Pztに印加される駆動信号の組み合わせ元である駆動信号COM−A(COM−B)には、圧電素子Pztを十分に駆動するために0〜40V程度の比較的大きな電圧振幅が必要となる。
このため、DAC113a(113b)により変換された信号ain(bin)の電圧を、電圧増幅器115a(115b)が増幅し、当該電圧増幅された信号Ain(Bin)を、駆動回路120a(120b)がインピーダンス変換して、駆動信号COM−A(COM−B)として出力し、1つの圧電素子Pztに対応する選択部520が、吐出すべきインクの量に応じて、駆動信号COM−A、COM−Bを選択して(または、選択しないで)、当該圧電素子Pzt)の一端に印加する構成となっている。
【0044】
一方、ヘッドユニット3におけるアクチュエーター基板40は、図4で説明したように、ノズルN毎に圧電素子Pztが1個ずつ設けられる。圧電素子Pztの各々における他端は共通接続されて、当該他端には電圧生成回路130による電圧VBSが印加される。
【0045】
本実施形態において、1つのドットについては、1つのノズルNからインクを最多で2回吐出させることで、大ドット、中ドット、小ドットおよび非記録の4階調を表現させる。この4階調を表現するために、本実施形態では、2種類の駆動信号COM−AおよびCOM−Bを用意するとともに、各々の1周期にそれぞれ前半パターンと後半パターンとを持たせている。そして、1周期のうち、前半・後半において駆動信号COM−AおよびCOM−Bを、表現すべき階調に応じた選択して(または選択しないで)、圧電素子Pztに供給する構成となっている。
そこで先に、駆動信号COM−AおよびCOM−Bについて説明し、この後、駆動信号COM−AおよびCOM−Bを選択するための選択制御部510および選択部520の詳細な構成について説明する。
【0046】
図6は、駆動信号COM−AおよびCOM−Bの波形等を示す図である。
図に示されるように、駆動信号COM−Aは、印刷周期Taのうち、制御信号LATが出力されて(立ち上がって)から制御信号CHが出力されるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、印刷周期Taのうち、制御信号CHが出力されてから次の制御信号LATが出力されるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを繰り返す波形となっている。
【0047】
本実施形態において台形波形Adp1およびAdp2とは、互いにほぼ同一の波形であり、仮にそれぞれが圧電素子Pztの一端である駆動電極76に供給されたとしたならば、当該圧電素子Pztに対応するノズルNから所定量、具体的には中程度の量のインクをそれぞれ吐出させる波形である。
【0048】
駆動信号COM−Bは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを繰り返す波形となっている。本実施形態において台形波形Bdp1、Bdp2とは、互いに異なる波形である。このうち、台形波形Bdp1は、ノズルN付近のインクを微振動させてインクの粘度の増大を防止するための波形である。このため、仮に台形波形Bdp1が圧電素子Pztの一端に供給されたとしても、当該圧電素子Pztに対応するノズルNからインク滴が吐出されない。また、台形波形Bdp2は、台形波形Adp1(Adp2)とは異なる波形となっている。仮に台形波形Bdp2が圧電素子Pztの一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子Pztに対応するノズルNから上記所定量よりも少ない量のインクを吐出させる波形である。
【0049】
台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、およびBdp2の開始タイミングにおける電圧と、終了タイミングにおける電圧とは、いずれも電圧Vcenで共通である。すなわち、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、およびBdp2の各々は、それぞれ電圧Vcenで開始し、電圧Vcenで終了する波形となっている。
【0050】
なお、駆動回路120a(120b)は、本例では信号Ain(Bin)をインピーダンス変換するものであるから、入力である信号Ain(Bin)の波形は、多少の誤差を伴うものの、駆動信号COM−A(COM−B)の波形そのままである。一方で、信号Ain(Bin)は、信号ain(bin)の電圧を10倍に増幅したものであるから、信号ain(bin)の波形は、信号Ain(Bin)の電圧を1/10倍とした関係にある。信号ain(bin)は、データdA(dB)をアナログ変換したものであるので、駆動信号COM−A(COM−B)の電圧波形は、制御部110によって規定されることになる。
【0051】
制御部110は、駆動信号COM−Aの台形波形に応じて、次のような論理レベルとなる信号OEaを駆動回路120aに供給する。詳細には、制御部110は、信号OEaを、駆動信号COM−A(信号ain)について電圧を低下させる期間と電圧を上昇させる期間とにわたってLレベルとし、それ以外の駆動信号COM−Aの電圧を一定とさせる期間にわたってHレベルとする。換言すれば、駆動信号COM−Aの台形波形において電圧が変化する期間では、信号OEaがLレベルとなり、電圧が一定となる期間では、信号OEaがHレベルとなる。
【0052】
同様に、制御部110は、駆動信号COM−Bの台形波形に応じて、次のような論理レベルとなる信号OEbを駆動回路120bに供給する。詳細には、制御部110は、信号OEbを、駆動信号COM−B(信号bin)について電圧を低下させる期間と電圧を上昇させる期間とにわたってLレベルとし、それ以外の駆動信号COM−Bの電圧を一定とさせる期間にわたってHレベルとする。換言すれば、駆動信号COM−Bの台形波形において電圧が変化する期間では、信号OEbがLレベルとなり、電圧が一定となる期間では、信号OEbがHレベルとなる。
【0053】
図7は、図5における選択制御部510の構成を示す図である。
この図に示されるように、選択制御部510には、クロック信号Sck、印刷データSI、制御信号LATおよびCHが供給される。選択制御部510では、シフトレジスタ(S/R)512とラッチ回路514とデコーダー516との組が、圧電素子Pzt(ノズルN)のそれぞれに対応して設けられている。
【0054】
印刷データSIは、印刷周期Taにわたって、着目しているヘッドユニット3において、すべてのノズルNによって形成すべきドットを規定するデータである。本実施形態では、非記録、小ドット、中ドットおよび大ドットの4階調を表現するために、ノズル1個分の印刷データは、上位ビット(MSB)および下位ビット(LSB)の2ビットで構成される。
印刷データSIは、クロック信号Sckに同期してノズルN(圧電素子Pzt)毎に、媒体Pの搬送に合わせて制御部110から供給される。当該印刷データSIを、ノズルNに対応して2ビット分、一旦保持するための構成がシフトレジスタ512である。
詳細には、m個の圧電素子Pzt(ノズル)の各々に対応した計m段のシフトレジスタ512が縦続接続されるとともに、図において左端に位置する1段のシフトレジスタ512に供給された印刷データSIが、クロック信号Sckにしたがって順次後段(下流側)に転送される構成となっている。
なお、図では、シフトレジスタ512を区別するために、印刷データSIが供給される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表記している。
【0055】
ラッチ回路514は、シフトレジスタ512で保持された印刷データSIを制御信号LATの立ち上がりでラッチする。
デコーダー516は、ラッチ回路514によってラッチされた2ビットの印刷データSIをデコードして、制御信号LATと制御信号CHとで規定される期間T1、T2ごとに、選択信号Sa、Sbを出力して、選択部520での選択を規定する。
【0056】
図8は、デコーダー516におけるデコード内容を示す図である。
この図において、ラッチされた2ビットの印刷データSIについては(MSB、LSB)と表記している。デコーダー516は、例えばラッチされた印刷データSIが(0、1)であれば、選択信号Sa、Sbの論理レベルを、期間T1ではそれぞれH、Lレベルで、期間T2ではそれぞれL、Hレベルで、出力するということを意味している。
なお、選択信号Sa、Sbの論理レベルについては、クロック信号Sck、印刷データSI、制御信号LATおよびCHの論理レベルよりも、レベルシフター(図示省略)によって、高振幅論理にレベルシフトされる。
【0057】
図9は、図5における選択部520の構成を示す図である。
この図に示されるように、選択部520は、インバーター(NOT回路)522aおよび522bと、トランスファーゲート524aおよび524bとを有する。
デコーダー516からの選択信号Saは、トランスファーゲート524aにおいて丸印が付されていない正制御端に供給される一方で、インバーター522aによって論理反転されて、トランスファーゲート524aにおいて丸印が付された負制御端に供給される。同様に、選択信号Sbは、トランスファーゲート524bの正制御端に供給される一方で、インバーター522bによって論理反転されて、トランスファーゲート524bの負制御端に供給される。
トランスファーゲート524aの入力端には、駆動信号COM−Aが供給され、トランスファーゲート524bの入力端には、駆動信号COM−Bが供給される。トランスファーゲート524aおよび524bの出力端同士は、共通接続されるとともに、対応する圧電素子Pztの一端に接続される。
トランスファーゲート524aは、選択信号SaがHレベルであれば、入力端および出力端の間を導通(オン)させ、選択信号SaがLレベルであれば、入力端と出力端との間を非導通(オフ)させる。トランスファーゲート524bについても同様に選択信号Sbに応じて、入力端および出力端の間をオンオフさせる。
【0058】
図6に示されるように、印刷データSIは、ノズル毎に、クロック信号Sckに同期して供給されて、ノズルに対応するシフトレジスタ512において順次転送される。そして、クロック信号Sckの供給が停止すると、シフトレジスタ512のそれぞれには、各ノズルに対応した印刷データSIが保持された状態になる。
ここで、制御信号LATが立ち上がると、ラッチ回路514のそれぞれは、シフトレジスタ512に保持された印刷データSIを一斉にラッチする。図6において、L1、L2、…、Lm内の数字は、1段、2段、…、m段のシフトレジスタ512に対応するラッチ回路514によってラッチされた印刷データSIを示している。
【0059】
デコーダー516は、ラッチされた印刷データSIで規定されるドットのサイズに応じて、期間T1、T2のそれぞれにおいて、選択信号Sa、Saの論理レベルを図8に示されるような内容で出力する。
すなわち、第1に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(1、1)であって、大ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてもH、Lレベルとする。第2に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(0、1)であって、中ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第3に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(1、0)であって、小ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第4に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(0、0)であって、非記録を規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Hレベルとし、期間T2においてL、Lレベルとする。
【0060】
図10は、印刷データSIに応じて選択されて、圧電素子Pztの一端に供給される駆動信号の電圧波形を示す図である。
印刷データSIが(1、1)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてH、Lレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオンし、トランスファーゲート524bがオフする。このため、期間T1において駆動信号COM−Aの台形波形Adp1が選択される。選択信号Sa、Sbは期間T2においてもH、Lレベルとなるので、選択部520は、駆動信号COM−Aの台形波形Adp2を選択する。
このように期間T1において台形波形Adp1が選択され、期間T2において台形波形Adp2が選択されて、駆動信号として圧電素子Pztの一端に供給されると、当該圧電素子Pztに対応したノズルNから、中程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pにはそれぞれのインクが着弾し合体して、結果的に、印刷データSIで規定される通りの大ドットが形成されることになる。
【0061】
印刷データSIが(0、1)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてH、Lレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオンし、トランスファーゲート524bはオフする。このため、期間T1において駆動信号COM−Aの台形波形Adp1が選択される。次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてL、Hレベルとなるので、駆動信号COM−Bの台形波形Bdp2が選択される。
したがって、ノズルから、中程度および小程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pには、それぞれのインクが着弾して合体して、結果的に、印刷データSIで規定された通りの中ドットが形成されることになる。
【0062】
印刷データSIが(1、0)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてともにLレベルとなるので、トランスファーゲート524a、524bがオフする。このため、期間T1において台形波形Adp1、Bdp1のいずれも選択されない。トランスファーゲート524a、524bがともにオフする場合、当該トランスファーゲート524a、524bの出力端同士の接続点から圧電素子Pztの一端までの経路は、電気的にどの部分にも接続されないハイ・インピーダンス状態になる。ただし、圧電素子Pztの両端では、自己が有する容量性によって、トランスファーゲートがオフする直前の電圧(Vcen−VBS)が保持される。
次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてL、Hレベルとなるので、駆動信号COM−Bの台形波形Bdp2が選択される。このため、ノズルNから、期間T2においてのみ小程度の量のインクが吐出されるので、媒体Pには、印刷データSIで規定された通りの小ドットが形成されることになる。
【0063】
印刷データSIが(0、0)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてL、Hレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオフし、トランスファーゲート524bがオンする。このため、期間T1において駆動信号COM−Bの台形波形Bdp1が選択される。次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてともにLレベルとなるので、台形波形Adp2、Bdp2のいずれも選択されない。
このため、期間T1においてノズルN付近のインクが微振動するのみであり、インクは吐出されないので、結果的に、ドットが形成されない、すなわち、印刷データSIで規定された通りの非記録になる。
【0064】
このように、選択部520は、選択制御部510による指示にしたがって駆動信号COM−A、COM−Bを選択し(または選択しないで)、圧電素子Pztの一端に印加する。このため、各圧電素子Pztは、印刷データSIで規定されるドットのサイズに応じて駆動されることになる。
なお、図6に示した駆動信号COM−A、COM−Bはあくまでも一例である。実際には、媒体Pの性質や搬送速度などに応じて、予め用意された様々な波形の組み合わせが用いられる。
また、ここでは、圧電素子Pztが、電圧の低下に伴って上方向に撓む例で説明したが、駆動電極72、76に印加する電圧を逆転させると、圧電素子Pztは、電圧の低下に伴って下向に撓むことになる。このため、圧電素子Pztが、電圧の低下に伴って下方向に撓む構成では、図に例示した駆動信号COM−A、COM−Bが、電圧Vcenを基準に反転した波形となる。
【0065】
次に、回路基板50における駆動回路120aおよび120bについて説明する。
なお、駆動回路120aおよび120bには、いくつかの態様が存在するので、区別するために駆動回路(その1)、駆動回路(その2)というように符号の代わりに括弧書を付与する場合がある。
【0066】
まず、駆動回路(その1)について、駆動信号COM−Aを出力する駆動回路120aを例にとって説明する。
【0067】
図11は、駆動回路120aを示す図である。この図に示されるように、駆動回路120aは、基準電源211および212と、比較器221および222と、セレクター223と、リニア増幅器230と、トランジスター231および232と、スイッチ293と、コンデンサーC0とを含む。
【0068】
このうち、基準電源211は、正端子および負端子の間で電圧Vを出力する。ここで、基準電源211の正端子は、電圧増幅器115a(図5参照)から信号Ainが供給されるノードN1に接続され、基準電源211の負端子は、比較器221の負入力端(−)に接続されている。このため、比較器221の負入力端(−)には、信号Ainの電圧Vinから電圧Vを減じた電圧(Vin−V)が印加されることなる。比較器221の正入力端(+)は、駆動信号COM−Aが出力されるノードN2に接続されている。
比較器(第1比較器)221は、正入力端(+)の印加電圧と負入力端(−)の印加電圧との比較結果に応じた信号Ga1を第1制御信号として出力する。詳細には、比較器221は、正入力端(+)に印加された電圧Out(駆動信号COM−Aの電圧)が負入力端(−)に印加された電圧(Vin−V)以上であれば信号Ga1をHレベルで出力し、電圧Outが電圧(Vin−V)よりも低ければ信号Ga1をLレベルで出力する。
【0069】
一方、基準電源212は、正端子および負端子の間で電圧Vを出力する。ここで、基準電源212の負端子はノードN1に接続され、基準電源212の正端子は、比較器222の負入力端(−)に接続されている。このため、比較器222の負入力端(−)には、信号Ainの電圧Vinに電圧Vを加えた電圧(Vin+V)が印加されることなる。比較器222の正入力端(+)は、ノードN2に接続されている。
比較器222(第2比較器)は、正入力端(+)の印加電圧と負入力端(−)の印加電圧との比較結果に応じた信号Ga2を第2制御信号として出力するものであり、詳細には、正入力端(+)に印加された電圧Outが入力端(−)に印加された電圧(Vin+V)以上であれば信号Ga2をHレベルで出力し、電圧Outが電圧(Vin+V)よりも低ければ信号Ga2をLレベルで出力する。
【0070】
セレクター(選択部)223は、比較器221の出力信号および比較器222の出力信号、または、HレベルおよびLレベルを、信号OEaにしたがって選択する。詳細には、セレクター223は、信号OEaがLレベルであれば、比較器221および222を選択して、信号Ga1をトランジスター231のゲート端子に信号Gt1として供給するとともに、信号Ga2をトランジスター232のゲート端子に信号Gt2として供給する。
一方、セレクター223は、信号OEaがHレベルであれば、比較器221および222を選択しないで、HおよびLレベルを選択して、当該Hレベルをトランジスター231のゲート端子に信号Gt1として供給するとともに、当該Lレベルをトランジスター232のゲート端子に信号Gt2として供給する。
【0071】
換言すれば、セレクター223は、信号Ain(駆動信号COM−A)の電圧が上昇または低下する変化期間であれば、トランジスター231のゲート端子に比較器221の信号Ga1を供給し、トランジスター232のゲート端子に比較器222の信号Ga2を供給する一方、信号Ainの電圧一定期間であれば、トランジスター231のゲート端子に、当該トランジスター231がオフするHレベルを供給し、トランジスター232のゲート端子に、当該トランジスター232がオフするLレベルを供給する。
【0072】
トランジスター対は、トランジスター231および232によって構成される。このうち、高位側のトランジスター231(ハイサイドトランジスター)は、例えばPチャネル型の電界効果トランジスターであり、ソース端子には電源の高位側電圧Vが印加されている。低位側のトランジスター232(ローサイドトランジスター)は、例えばNチャネル型の電界効果トランジスターであり、ソース端子が電源の低位側電圧Vが印加されている。トランジスター231および232のドレイン端子同士は、互いに接続されて、駆動回路120aの出力端であるノードN2となっている。
すなわち、トランジスター231および232は、電源電圧(V−V)の間に直列に接続されて、ノードN2から駆動信号COM−Aが出力される構成となっている。
【0073】
ここで、高位側電圧Vは、例えば駆動信号COM−Aの最大電圧よりも若干高い42V程度であり、低位側電圧Vには、電圧ゼロのグランドGndが用いられる。
なお、信号Gt1のLレベルは電圧Vであり、信号Gt2のHレベルは電圧Vである。
【0074】
リニア増幅器230は、信号Ainの電圧Vinを本実施形態では電圧増幅率1倍で出力する。
スイッチ293は、可変抵抗の一例であり、リニア増幅器230の出力端とノードN2との間において信号OEaがHレベルであればオンし、信号OEaがLレベルであればオフする。
コンデンサーC0については、一端がノードN2に接続され、他端が一定電位の、例えばグランドGndに接地されている。
【0075】
このような構成の駆動回路120aにおいて、セレクター223は、信号Ainの電圧Vinが変化する期間に比較器221および222を選択する一方、電圧Vinが一定の期間にトランジスター231および232をオフさせる。
セレクター223が比較器221および222を選択したときに、ノードN2の電圧Outが電圧(Vin−V)よりも低ければ、信号Ga1がLレベルになってトランジスター231がオンするので、当該電圧Outを高くする方向に制御される一方、電圧Outが電圧(Vin+V)以上であれば、信号Ga2がHレベルになってトランジスター232がオンするので、当該電圧Outを低くする方向に制御される。このため、駆動回路120aでは、結果的に、電圧Outが電圧Vinに追従するように制御される。
この制御について具体的に説明する。
【0076】
図12および図13は、信号Ainの電圧Vinの変化に対して、駆動信号COM−A、すなわち電圧Outがどのように変化するのかを示す図である。
駆動信号COM−Aをインピーダンス変換する前の信号Ain(電圧Vin)は、台形波形であるから、当該電圧Vinの変化は次の4パターンとなる。すなわち、4パターンとは、
上昇から一定への変化(第1パターン)、
一定から低下への変化(第2パターン)、
低下から一定への変化(第3パターン)、
一定から上昇への変化(第4パターン)、
である。なお、この4パターンは、必ずしもこの順番で電圧Vinが変化することを意味するのではない。
【0077】
図12の左欄は、第1パターンで電圧Vinが変化するときの電圧Outの波形を示す図である。
電圧Vinが上昇する場合、信号OEaはLレベルである。このため、セレクター223は、比較器221から出力される信号Ga1を信号Gt1としてトランジスター231のゲート端子に供給するとともに、比較器222から出力される信号Ga2を信号Gt2としてトランジスター232のゲート端子に供給する。
電圧Vinが上昇する場合、電圧(Vin−V)も当該電圧Vinにしたがって上昇する。
このような電圧Vinの上昇に対し、電圧Outが電圧(Vin−V)よりも低くなったときに、信号Ga1(Gt1)がLレベルになってトランジスター231がオンする。このオンにより当該電圧Outが高くなり、直ちに電圧(Vin−V)以上となるので、信号Ga1(Gt1)がHレベルになってトランジスター231がオフする。電圧Vinの上昇時には、このようなトランジスター231のオンオフ動作が繰り返されて、電圧Outが信号Ainの電圧Vinに追従するような制御が実行される。
電圧Vinの上昇時において、電圧Outの波形は、理想的には図において破線(※)で示されるように階段状になるはずである。ただし、ノードN2から出力側をみた場合、駆動信号COM−Aを供給する配線抵抗、インダクタンス成分、負荷である圧電素子Pzt、および、コンデンサーC0などにより一種の積分回路が形成されるので、実際の電圧Outの波形は実線の太線で示されるように、階段状の破線(※)に対して鈍る。
なお、電圧Vinが上昇する場合、電圧Outが電圧(Vin+V)以上にならないので、信号Ga2(Gt2)はLレベルであって、トランジスター232がオフである。このため、電圧Outを電圧Vinの上昇に追従させる動作に当該トランジスター232が直接関与することはない。
【0078】
電圧Vinの上昇が停止して一定になったとき、信号OEaがHレベルになる。このため、セレクター223は、信号Gt1としてHレベルをトランジスター231のゲート端子に供給し、信号Gt2としてLレベルをトランジスター232のゲート端子に供給するので、トランジスター231および232はともにオフになる。
一方、信号OEaがHレベルになることによりスイッチ293がオンするので、ノードN2には、リニア増幅器230の出力信号、すなわち、信号Ainの電圧Vinを1倍に増幅した信号が供給される。このため、電圧Outは、電圧Vinとなる。なお、電圧Outは、図では直ちに電圧Vinとなっているが、実際には、回路の時定数にしたがった特性で電圧Vinに近づく。
【0079】
図12の右欄は、第2パターンで電圧Vinが変化するときの電圧Outの波形を示す図である。
電圧Vinが一定から低下する場合、信号OEaがLレベルである。このため、セレクター223は、信号Ga1を信号Gt1としてトランジスター231のゲート端子に供給するとともに、信号Ga2を信号Gt2としてトランジスター232のゲート端子に供給する。
電圧Vinが低下する場合、電圧(Vin+V)も当該電圧Vinに低下する。
このような電圧Vinの低下に対し、電圧Outが電圧(Vin+V)以上になれば、信号Gt2がHレベルになってトランジスター232がオンする。このオンにより当該電圧Outが低下して、直ちに電圧(Vin+V)よりも低くなるので、信号Ga2(Gt2)がLレベルになってトランジスター232がオフする。電圧Vinの低下時には、このようなトランジスター231のオンオフ動作が繰り返されて、電圧Outが信号Ainの電圧Vinに追従するような制御が実行される。
電圧Vinの低下時において、電圧Outの波形は、理想的には図において破線(※)で示されるように階段状になるはずであるが、実際には、実線の太線で示されるように、階段状の破線(※)に対して上記積分回路によって鈍る。
なお、電圧Vinが低下する場合、電圧Outが電圧(Vin−V)よりも低くならないので、信号Ga1(Gt1)はHレベルであって、トランジスター231がオフである。このため、電圧Outを電圧Vinの低下に追従させる動作に当該トランジスター231が直接関与することはない。
【0080】
図13の左欄は、第3パターンで電圧Vinが変化したときの電圧Outの波形を示す図である。電圧Vinの低下から一定に転じると、信号OEaがHレベルになる。このため、トランジスター231および232がともにオフになる一方、スイッチ293がオンするので、ノードN2には、リニア増幅器230の出力信号、すなわち、信号Ainの電圧Vinを1倍に増幅した信号が供給される。このため、電圧Outは、電圧Vinとなる。なお、電圧Outは、実際には、回路の時定数にしたがった特性で電圧Vinに近づく。
【0081】
図13の右欄は、第4パターンで電圧Vinが変化したときの電圧Outの波形を示す図である。電圧Vinの一定から上昇に転じる場合、電圧(Vin−V)も当該電圧Vinにしたがって上昇する。このような電圧Vinの上昇に対し、電圧Outが電圧(Vin−V)よりも低くなると、トランジスター231のオンオフ動作が開始して、電圧Outが信号Ainの電圧Vinに追従するような制御が実行される。
【0082】
図14は、電圧(Out−Vin)の変化に対して、トランジスター231または232がオンする領域を示す図である。詳細には、図14は、電圧Vinが変化する際に、入力電圧Vinに対する出力電圧Outの電圧偏差に対してトランジスター231または232がオンする領域を示す図である。
この図に示されるように、電圧(Out−Vin)が、(−V)よりも低くなれば、トランジスター231のみがオンし、電圧(Out−Vin)が(V)以上になれば、トランジスター232のみがオンする。
一方、電圧(Out−Vin)が、−V以上であって、かつ、Vよりも低ければ、トランジスター231および232がいずれもオフする。このため、駆動回路120aでは、電圧Outが変化しない領域(不感帯)が存在する。この不感帯のため、本実施形態では、電圧Outは電圧Vinに対して、マイナス方向では最大でV、プラス方向では最大でVの誤差が生じることになる。
ただし、基準電源211による電圧Vおよび基準電源212による電圧Vの設定次第で当該誤差を小さくすることができる。具体的には、電圧V、Vを例えば0.1V程度に設定すれば、40V程度で振幅する駆動信号COM−Aの波形において実用上問題ない程度の誤差に抑えることができる。
【0083】
また、本実施形態では、電圧Vinが一定であれば、スイッチ293がオンして、ノードN2には、リニア増幅器230により電圧Vinを1倍に増幅した信号が供給されるので、電圧Outイコール電圧Vinとなり、電圧偏差がほとんど生じない。
この点について、リニア増幅器230を有しない構成を想定して説明する。リニア増幅器230を有しない構成では、例えば電圧Vinが上昇から一定に転じたとき、電圧Outは、図23に示されるように、トランジスター231が最後にオンからオフしたときの値に、負荷である圧電素子PztやコンデンサーC0によって保持される。また例えば電圧Vinが下降から一定に転じたときにおいても、電圧Outは、図24に示されるように、トランジスター232が最後にオンからオフしたときの値に保持される。すなわち、上記構成では、電圧Vinが一定の期間では、トランジスター231および232がいずれもオフするので、不感帯の範囲で誤差が生じた状態で保持されてしまう。
これに対して、本実施形態では、電圧Vinが一定となり、トランジスター231および232がともにオフしても、上述したようにスイッチ293のオンにより、電圧Outの偏差をほとんどゼロとすることができる。
【0084】
また、駆動回路120aの負荷は、コンデンサーC0および圧電素子Pztであるので、電圧Outが一定であれば、ノードN2を経由する電流はほぼゼロである。このため、リニア増幅器230には、高い駆動能力が要求されないので、小型化・集積化が容易である。
【0085】
駆動信号COM−A(COM−B)については台形波形に限られず、正弦波などのように傾きに連続性を有する波形であっても良い。このような波形を駆動回路120aが出力する場合、駆動信号COM−Aの電圧Vout(信号Ainの電圧Vin)の変化が相対的に大きければ、具体的には、単位時間当たりの電圧変化が予め定められた閾値を超えるのであれば、信号OEaをLレベルとすれば良い。
反対に、駆動信号COM−Aの電圧Vout(信号Ainの電圧Vin)の変化が相対的に小さければ、具体的には、単位時間当たりの電圧変化が上記閾値以下であれば、信号OEaをHレベルとすれば良い。
なお、信号OEaがHレベルであれば、リニア増幅器230の出力信号が駆動信号COM−Aとなるので、当該リニア増幅器230には、駆動信号COM−A(信号Ain)が台形波形である場合と比較して、若干高い駆動能力が要求されることになる。
【0086】
なお、ここでは、可変抵抗としてスイッチ293を例示したが、信号OEaに応じて抵抗値が切り替わる素子または回路であれば良い。詳細には、可変抵抗は、信号OEaがLレベルのときに(すなわちセレクター223が比較器221および222を選択するときに)相対的に高抵抗になり、信号OEaがHレベルのときに(すなわちセレクター223が比較器221および222を選択しないときに)相対的に低抵抗になれば良い。
【0087】
また、ここでは、駆動信号COM−Aを出力する駆動回路120aについて説明したが、駆動信号COM−Bを出力する駆動回路120bの構成については、駆動回路120aと同一であって、入出力信号だけが異なる。すなわち、駆動回路120bは、信号OEaの代わりに信号OEbが、信号Ainの代わりに信号Binが、それぞれ入力される一方、ノードN2から駆動信号COM−Bが出力される構成である。
【0088】
本実施形態における駆動回路120a(120b)によれば、D級増幅方式と比較して、入力信号を変調する際に三角波形などを発振する回路や、復調のためのローパスフィルターが不要であるので、その分、回路構成の簡略化とともに、消費電力を抑えることができる。
また、信号Ainの電圧Vinが一定である場合(信号Ainの電圧変化が閾値以下である場合)、トランジスター231および232がともにオフするので、D級増幅方式のようにスイッチングにより電力が消費される、という問題も発生しない。
したがって、駆動回路120aおよび120bによれば、回路構成の簡略化とともに、さらなる低消費電力化を図ることができる。
【0089】
なお、信号OEa(OEb)については、制御部110が出力するのではなく、別の回路が、制御部110から出力されるデータdA(dB)を次のように解析することにより生成することが可能である。
例えば、当該別の回路は、当該データdA(dB)について、時間的に隣り合う離散値(データ)同士を比較して、当該離散値同士が互いに同じであれば、電圧一定期間であるので、信号OEa(OEb)をHレベルで出力すれば良い。また、当該別の回路は、当該データdA(dB)について、時間的に隣り合う離散値同士を比較して、当該離散値同士が互い異なっていれば、電圧上昇期間または電圧低下期間のいずれかであるので、信号OEa(OEb)をLレベルで出力すれば良い。
【0090】
また、駆動回路120a(120b)では、電圧Vinが、基準電源211によって電圧Vだけオフセットされ、基準電源212によって電圧Vだけオフセットされたが、電圧Vin(または、後述するように電圧Out)をそれぞれ高低方向にオフセットした2つの電圧を得ることができれば良いので、当該オフセットのための構成については電源(電池)等の素子に限られない。例えば、次のように、ダイオードや抵抗などの素子を複数組み合わせても良い。
【0091】
図15は、電圧Vinを高低方向にそれぞれオフセットした電圧(Vin+V)、(Vin−V)を得るための構成例を示す図である。
この例では、電圧VinをダイオードD1の順方向電圧だけ高位側にオフセットした電圧から、電圧VinをダイオードD2の順方向電圧だけ低位側にオフセットした電圧までを、抵抗分割することによって電圧(Vin−V)、(Vin+V)が得ることができる。
【0092】
ところで、図11に示した構成では、信号OEaの論理レベルにしたがってオンまたはオフするスイッチ293が必要であり、構成の簡略化の点で改善の余地がある。そこで次に、この点を改善した別構成に係る駆動回路(その2)について説明する。
【0093】
図16は、駆動回路(その2)の構成を示す図である。この図に示される駆動回路(その2)が、図11に示した駆動回路(その1)と相違する点は、スイッチ293の代わりに、抵抗素子Rsが設けられている点である。
駆動回路(その1)では、駆動信号COM−Aを出力する駆動回路120aでいえば、信号OEaがHレベルである場合にスイッチ293がオンして、当該オンする期間においてのみリニア増幅器230の出力信号がノードN2に供給される構成であった。これに対して、駆動回路(その2)では、信号OEaの論理レベルにかかわらず、リニア増幅器230の出力信号がノードN2に常時供給される構成となっている。
なお、トランジスター231または232がオンオフ動作すると、ノードN2とリニア増幅器230の出力端との大きな電位差が発生するので、抵抗素子Rsが無ければ、ノードN2からリニア増幅器230の出力端に向かう方向に、または、リニア増幅器230の出力端からノードN2に向かう方向に、大電流が流れてしまう。これに対して、抵抗素子Rsを設けることによって、ノードN2とリニア増幅器230の出力端との間に流れる電流が抑えられるので、当該リニア増幅器の破損が防止される。
【0094】
駆動回路(その2)によれば、図11に示される駆動回路(その1)と比較して、トランジスターなどで構成されるスイッチ293が不要であり、抵抗素子Rsで済むので、構成の簡易化を図ることができる。
【0095】
なお、駆動回路(その1、および、その2)の負荷は、圧電素子Pztのような容量である。このため、電圧Vinが一定となる期間(電圧Vinの電圧変化が閾値以下の期間)において、トランジスター231および232がオフしても、圧電素子Pzt、および、コンデンサーC0により、出力端であるノードN2の電圧が直ちに不定とはならない。
このため、リニア増幅器230、および、スイッチ293(または抵抗素子Rs)は、無くても良い場合がある。
【0096】
次に、駆動回路(その3、および、その4)について説明する。なお、以下において駆動回路(その1、および、その2)と同様な要素については、符号を流用しつつ、詳細な説明を適宜省略する。
【0097】
図17は、駆動回路(その3)の構成を示す図である。
図17に示される駆動回路(その3)が図11と相違する部分は、電圧Vinをオフセットするために基準電源211および212を有しない点である。ただし、駆動回路(その3)では、比較器221および222の内部において、電圧Vinをオフセットする構成が設けられている。
【0098】
詳細には、駆動回路(その3)において比較器221は、電圧Out(駆動信号COM−Aの電圧)が電圧Vinを電圧Vだけ負側に内部でオフセットした電圧(Vin−V)以上であれば信号Ga1(第1制御信号)をHレベルで出力し、電圧Voutが電圧(Vin−V)よりも低ければ信号Ga1をLレベルで出力する。
同様に、駆動回路(その3)において比較器222は、電圧Outが電圧Vinを電圧Vだけ正側に内部でオフセットした電圧(Vin+V)以上であれば信号Ga2(第2制御信号)をHレベルで出力し、電圧Voutが電圧(Vin+V)よりも低ければ信号Ga2をLレベルで出力する。
【0099】
図18は、駆動回路(その4)の構成を示す図である。
図18に示される駆動回路(その4)は、図17におけるスイッチ293を、抵抗素子Rsに置き換えた構成であり、図11の駆動回路(その1)に対する図16の駆動回路(その2)との関係と同じである。
【0100】
駆動回路(その3、および、その4)における比較器221および222について説明する前に、一般的な比較器について説明する。なお、ここでいう一般的な比較器とは、正入力端(+)に印加された電圧が負入力端(−)に印加された電圧以上であればHレベルの信号を出力し、正入力端(+)に印加された電圧が負入力端(−)に印加された電圧よりも低ければLレベルの信号を出力するものである。
【0101】
図25は、一般的な比較器の構成の一例を示す図である。
この図に示されるように、一般的な比較器は、正入力端(+)に印加された電圧Vin(+)と負入力端(−)に印加された電圧Vin(-)との差動対であるトランジスターQ1およびQ2と、能動負荷であるトランジスターQ3およびQ4と、シングルエンド変換用のトランジスターQ5と、トランジスターQ6に流れる電流Iによってプルダウン抵抗として機能するトランジスターQ7およびQ8と、を含む構成となっている。
このような構成において、Vin(+)≧Vin(-)であれば、差動対の一方のトランジスターQ1に電流が流れ、他方のトランジスターQ2がオフする。このため、トランジスターQ1がトランジスターQ5のゲートを押し下げ、これにより、当該トランジスターQ5がオンして、出力信号CoutはHレベルとなる。
一方、Vin(+)<Vin(-)であれば、トランジスターQ2に電流が流れ、トランジスターQ1がオフする。このため、トランジスターQ4が電流を引っ張り、トランジスターQ3がトランジスターQ5のゲートを押し上げ、これにより、当該トランジスターQ5がオフして、出力信号CoutはLレベルとなる。
なお、ここでは説明の便宜上、Vin(+)=Vin(-)の場合、出力をHレベルとしている。
【0102】
図19は、駆動回路(その3、および、その4)における比較器221の構成の一例を示す図である。
図19においては、図25におけるトランジスターQ2が直列に接続されたトランジスターQ2aおよびQ2bに置き換えられている。ここで、当該トランジスターQ2aおよびQ2bの各々は、それぞれ単体でみたときに、ゲート電圧に対してソース・ドレイン間に流れる電流の特性がトランジスターQ1とほぼ同じとなるようにそれぞれ設計されている。ただし、トランジスターQ2aおよびQ2bの直列接続を1つのトランジスターQ2としてみたときに、トランジスターQ1およびQ2の特性が互いに異なり、トランジスターQ1は、トランジスターQ2よりも電流が流れやすくなっている。具体的には、トランジスターQ1は、正入力端(+)の電圧Outが負入力端の電圧Vinより電圧αだけ低い電圧(Vin−α)以上となったときに、電流が流れて、出力である信号Gt1がHレベルとなる。
また、ここでは、トランジスターQ2に相当するトランジスターの直列個数を「2」としているが、「3」以上であっても良い。実際には、直列個数は、電圧αが電圧Vとなるよう設定される。
【0103】
図20は、駆動回路(その3、および、その4)における比較器222の構成の一例を示す図である。
図20においては、図25におけるトランジスターQ2が、並列に接続されたトランジスターQ2cおよびQ2dに置き換えられている。ここで、当該トランジスターQ2cおよびQ2dの各々は、それぞれ単体でみたときに、ゲート電圧に対してソース・ドレイン間に流れる電流の特性がトランジスターQ1とほぼ同じとなるようにそれぞれ設計されている。ただし、トランジスターQ2cおよびQ2dの並列接続を1つのトランジスターQ2としてみたときに、トランジスターQ1およびQ2の特性が互いに異なり、トランジスターQ1は、トランジスターQ2よりも電流が流れにくくなっている。具体的には、トランジスターQ1は、正入力端(+)の電圧Outが負入力端の電圧Vinより電圧βだけ高い電圧(Vin+β)以上となったときに、電流が流れて、出力である信号Gt2がHレベルとなる。
【0104】
また、ここでは、トランジスターQ2に相当するトランジスターの並列個数を「2」としているが、「3」以上であっても良い。実際には、並列個数は、電圧βが電圧Vとなるように設定される。
【0105】
駆動回路(その3、および、その4)においても、駆動回路(その1、および、その3)と同様に、回路構成の簡略化とともに、さらなる低消費電力化を図ることができる。
【0106】
なお、比較器221および222では、差動対を構成するトランジスターQ1およびQ2の特性が互い異なれば良いので、直列・並列の個数のほか、当該トランジスターQ1およびQ2の各チャネルサイズを異ならせたり、各ドープ量を異ならせたりするなどしても良い。
【0107】
本発明は、上述した駆動回路(その1、その2、その3、および、その4、以下その1等と称呼する)に限定されるものではなく、例えば次に述べるような各種の応用・変形が可能である。また、次に述べる応用・変形の態様は、任意に選択された一または複数を適宜に組み合わせることもできる。
【0108】
駆動回路(その1等)では、トランジスター231をPチャネル型とし、トランジスター232をNチャネル型としたが、トランジスター231および232をPチャネル型またはNチャネル型で揃えても良い。
また、トランジスター231および232についてはオンまたはオフする、として説明したが、本発明は、これに限られない。例えば、ゲート・ソース間の電圧に応じてドレイン電流(ソース・ドレイン間の抵抗)が変化する構成としても良い。すなわち、信号Gt1(Gt2)によってトランジスター231(232)が制御される構成であれば良い。
【0109】
駆動回路(その1等)において、比較器221は、電圧Outが電圧(Vin−V)以上であるか、または、未満であるかを判別する構成であった。
すなわち、比較器221は、
Out≧Vin−V、または、
Out<Vin−V
を判別する構成であった。
ここで、上記不等式は、
Out+V≧Vin、または、
Out+V<Vin、
に変形できるので、比較器221は、電圧(Out+V)が電圧Vin以上であるか、または、未満であるかを判別しても良い。
【0110】
また、ここでの不等式は、例えば
Out+V/2≧Vin−V/2、または、
Out+V/2<Vin−V/2、
にも変形できる。
このため、比較器221は、電圧(Out+V/2)が電圧(Vin−V/2)以上であるか、または、未満であるかを判別しても良い。
要は、比較器221は、駆動信号に基づく電圧Outと、入力信号の電圧Vinとを、電圧Outに対して電圧Vinを相対的に低位側に電圧Vだけオフセットして比較する構成であれば良い。
【0111】
同様に、比較器222は、
Out≧Vin+V、または、
Out<Vin+V
を判別する構成であった。
ここで、上記不等式は、
Out−V≧Vin、または、
Out−V<Vin、
に変形できるので、比較器222は、電圧(Out−V)が電圧Vin以上であるか、または、未満であるかを判別しても良い。
【0112】
また、ここでの不等式は、例えば
Out−V/2≧Vin+V/2、または、
Out−V/2<Vin+V/2、
にも変形できる。
このため、比較器222は、電圧(Out−V/2)が電圧(Vin+V/2)以上であるか、または、未満であるかを判別しても良い。
要は、比較器222は、駆動信号に基づく電圧Outと、入力信号の電圧Vinとを、電圧Outに対して電圧Vinを相対的に高位側に電圧Vだけオフセットして比較する構成であれば良い。
【0113】
駆動回路(その1等)では、DAC113a(113b)で変換された信号(元駆動信号)を、電圧増幅器115a(115b)で電圧増幅して、信号Ain(Bin)として入力する構成とした。
これに限られず、出力である駆動信号COM−A(COM−B)の電圧Outを予め定められた縮小倍率で降圧して比較器221および222にそれぞれ帰還する駆動回路(その5)を構成としても良い。
【0114】
図21は、駆動回路(その5)の構成を示す図である。この図に示されるように、ノードN2は、抵抗素子R1を介して、比較器221の正入力端(+)および比較器221の正入力端(+)にそれぞれ帰還されるとともに、比較器221の正入力端(+)および比較器221の正入力端(+)は、抵抗素子R2を介してグランドGndに接地される。このため、比較器221の正入力端(+)および比較器221の正入力端(+)に帰還される電圧は、ノードN2の電圧Outを、抵抗素子R1、R2の抵抗値で規定される比、すなわち、R2/(R1+R2)で分圧した電圧となる。この例では、電圧Outの縮小倍率は、電圧増幅器115a(115b)の電圧増幅率「10」の逆数である「1/10」倍に設定される。
【0115】
この構成において、比較器221は、電圧Outに基づく電圧(電圧Outを1/10に降圧した電圧)と増幅前の信号ain(bin)の電圧とについて、降圧した電圧に対して信号ain(bin)の電圧を相対的に電圧Vだけ低位側にオフセットして比較し、当該比較結果を示す信号Ga1を出力すれば良い。
また、比較器222は、電圧Outを1/10に降圧した電圧と、増幅前の信号ain(bin)の電圧とについて、降圧した電圧に対して信号ain(bin)の電圧を相対的に電圧Vだけ高位側にオフセットして比較し、当該比較結果を示す信号Ga2を出力すれば良い。
【0116】
この構成によれば、降圧した駆動信号に対して増幅前の信号を比較すれば良いので、電圧増幅器115a(115b)を不要とすることができる。
なお、この構成においてリニア増幅器230は、信号ain(bin)の電圧を10倍に増幅して出力すれば良い。
また、図17におけるスイッチ293を抵抗素子Rsに置き換えても良い。
【0117】
図22は、駆動回路(その6)の構成を示す図である。
この図に示されるように、駆動回路120aにおいて、ノードN2からトランジスター231のドレイン端子に向かう電流を阻止するためのダイオードD3、および、トランジスター232のドレイン端子からノードN2に向かう電流を阻止するためのダイオードD4をそれぞれ設けても良い。
なお、図22は、図11に示した駆動回路(その1)にダイオードD3およびD4を設けた例であるが、図16の駆動回路(その2)、図17に示した駆動回路(その3)、図18に示した駆動回路(その4)、および、図21に示した駆動回路(その5)にダイオードD3およびD4を設けても良い。
【0118】
駆動回路120a(120b)が駆動する対象は、圧電素子Pztのような容量であるので、電圧Outが一定になった後において、ノードN2がハイ・インピーダンス状態になっても、当該電圧Outは一定に保持される。このため、リニア増幅器230がスイッチ293(可変抵抗)または抵抗素子Rsを介しノードN2に向けて出力信号を供給する期間は、セレクター223が比較器221および222を選択しない期間の全域である必要はなく、当該期間の一部であっても良い。例えば、リニア増幅器230がノードN2に向けて出力信号を供給する期間を、セレクター223が比較器221および222を選択しない期間のうち、時間的に前半に限る構成でも良い。この構成では、ノードN2の電圧Outは、当該期間の後半において、当該期間の前半に出力されたリニア増幅器230の電圧に、保持されることになる。
また、リニア増幅器230がノードN2に向けて出力信号を供給する期間は、多少、出力する駆動信号の波形精度が悪くなるものの、セレクター223が比較器221および222を選択しない期間の開始タイミングを含まなくても良い。
【0119】
リニア増幅器230がノードN2に向けて出力信号を供給する必要のない期間については、当該リニア増幅器230への電源をカットして、当該リニア増幅器230の動作を停止させて、消費電力を抑える構成にしても良い。
【0120】
上記説明では、液体吐出装置を印刷装置として説明したが、液体を吐出して立体を造形する立体造形装置や、液体を吐出して布地を染める捺染装置などであっても良い。
【0121】
また、駆動回路120aおよび120bの各々については、それぞれヘッドユニット3に搭載された構成としたが、それぞれメイン基板100に実装された構成として良い。
ただし、駆動回路120aおよび120bがメイン基板100に実装された構成では、大振幅の信号が長尺のフレキシブルフラットケーブル190を介してヘッドユニット3に供給する必要があるので、消費電力および耐ノイズ性で不利である。逆に言えば、駆動回路120aおよび120bがヘッドユニット3に搭載された構成では、大振幅の信号をフレキシブルフラットケーブル190に供給する必要がないので、消費電力および耐ノイズ性で有利である。
【0122】
さらに、上記説明では、駆動回路120aおよび120bの駆動対象としてインクを吐出するための圧電素子Pztを例にとって説明したが、駆動回路120aおよび120bを印刷装置から切り離して考えてみたときに、駆動対象としては、圧電素子Pztに限られず、例えば超音波モーター、タッチパネル、静電スピーカー、液晶パネルなどの容量性成分を有する負荷のすべてに適用可能である。
【符号の説明】
【0123】
1…印刷装置(液体吐出装置)、3…ヘッドユニット、100…メイン基板、120a、120b…駆動回路、221、222…比較器、223…セレクター、230…リニア増幅器、231、232…トランジスター、293…スイッチ、442…キャビティ、Pzt…圧電素子、N…ノズル、Rs…抵抗素子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
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図25