特開2017-226143(P2017-226143A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2017-226143画像記録方法およびインクジェットインク組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-226143(P2017-226143A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】画像記録方法およびインクジェットインク組成物
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/00 20060101AFI20171201BHJP
   C09D 11/322 20140101ALI20171201BHJP
   C09D 11/38 20140101ALI20171201BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   B41M5/00 A
   C09D11/322
   C09D11/38
   B41M5/00 E
   B41J2/01 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2016-123669(P2016-123669)
(22)【出願日】2016年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 徹
(72)【発明者】
【氏名】中野 景多▲郎▼
(72)【発明者】
【氏名】餘田 敏行
(72)【発明者】
【氏名】土屋 斉
(72)【発明者】
【氏名】佐野 強
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056FA04
2C056FA13
2C056FC01
2H186AB11
2H186BA08
2H186DA09
2H186FA18
2H186FB04
2H186FB08
2H186FB36
2H186FB38
2H186FB44
2H186FB46
2H186FB54
4J039AD21
4J039BE01
4J039BE22
4J039BE27
4J039BE28
4J039CA04
4J039CA07
4J039DA05
4J039EA04
4J039EA15
4J039EA17
4J039EA41
4J039EA46
4J039FA02
4J039FA04
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】顔料を含有するインクジェットインク組成物を用いた画像記録方法において、吐出不良を低減させて吐出安定性に優れる画像記録方法および、その画像記録方法に用いるインクジェットインク組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る画像記録方法は、顔料を含有するインクジェットインク組成物を用いた画像記録方法であって、前記顔料の最大粒子径が2.5μm以下であり、連続走査時間10分間以上で記録を行うことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料を含有するインクジェットインク組成物を用いた画像記録方法であって、
前記顔料の最大粒子径が2.5μm以下であり、
連続走査時間10分間以上で記録を行う、画像記録方法。
【請求項2】
記録媒体の記録幅以上の幅を有するラインヘッドを有するラインプリンターを用いて、1パス印刷により記録を行う、請求項1に記載の画像記録方法。
【請求項3】
前記インクジェットインク組成物の溶存酸素濃度が10kPa以下である、請求項1または請求項2に記載の画像記録方法。
【請求項4】
前記顔料が、アスペクト比が2.5以上であり、かつ、平均粒子径が170nm以上を有する、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像記録方法。
【請求項5】
前記インクジェットインク組成物が、放射線硬化型インクジェットインク組成物である、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の画像記録方法。
【請求項6】
下記一般式(Ι)で表される化合物および下記一般式(Ι)で表される化合物以外の芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項5に記載の画像記録方法。
CH=CR−COOR−O−CH=CH−R ・・・(Ι)
(式(I)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2〜20の2価の有機残基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
【請求項7】
前記顔料として、C.I.ピグメントイエロー 155およびC.I.ピグメントイエロー 128、C.I.ピグメントレッド 122からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の画像記録方法。
【請求項8】
インク圧力室を備えるピエゾインクジェットヘッドを用いて、ノズルから液滴を1打滴ずつ吐出する記録方法であって、
下記式(1)を満たす打滴を少なくとも用いて記録を行う、請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載の画像記録方法。
0.13≦{(1打滴あたりの吐出量)/(インク圧力室の容積)}×100 ・・・(1)
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の画像記録方法に用いる、インクジェットインク組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録方法およびインクジェットインク組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット方式の記録方法において、高い耐水性、耐溶剤性、および耐擦性などを有する画像を記録媒体の表面に形成するため、色材として顔料を用いたインクジェット組成物(以下、「インク」とも呼ぶ。)が使用されており、特に、より高い耐水性などを有する画像を記録するために、インクとして、放射線を照射すると硬化する、放射線硬化型インクジェットインク組成物が使用されている。一般に、放射線硬化型インクジェットインク組成物は、単官能モノマーや多官能モノマーなどの重合性化合物、光重合開始剤および顔料などから構成されている。
【0003】
そのような顔料インクを用いた画像記録方法において、例えば、記録用のヘッドとしてラインヘッドを有するインクジェット記録装置を用いることがある。ヘッドとしてラインヘッドを用いることにより、インクジェット記録装置を用いた画像記録において、高速連続印刷が可能となる。
【0004】
ここで、ラインヘッドを有するインクジェット記録装置で高速連続印刷を長時間行うためには、インクを安定的に吐出させるための吐出安定性が特に重要となる。そこで、例えば、特許文献1には、サーマル方式のインクジェット記録用の記録ヘッドとして、インク吐出口の開口面積が100μm以上350μm以下、ノズル列の総ノズル数が1200以上、ノズル列の長さが2インチ以上であり、かつ、駆動周波数1kHz以上10kHz以下で駆動させることが可能なライン型ヘッドを用い、インクとして、色材、アセチレングリコール系界面活性剤および水を含有するインクを用いたインクジェット記録方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−51579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記記録方法においても、連続印刷を長時間(例えば、10分間以上)行うと、吐出不良が発生する場合がある。特に、特定の顔料(例えば、特定のイエロー顔料)を含有するインクを用いた高速連続印刷においては、粗大粒子の堆積や、ヘッド内でキャビテーションが発生することなどに起因したノズルの目詰まりにより、特に吐出不良が発生しやすくなることが明らかとなった。
【0007】
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、顔料を含有するインクジェットインク組成物を用いた画像記録方法において、吐出不良を低減させて吐出安定性に優れる画像記録方法、および、その画像記録方法に用いるインクジェットインク組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0009】
[適用例1]
本発明に係る画像記録方法の一態様は、
顔料を含有するインクジェットインク組成物を用いた画像記録方法であって、
前記顔料の最大粒子径が2.5μm以下であり、
連続走査時間10分間以上で記録を行うことを特徴とする。
【0010】
適用例1の画像記録方法によれば、顔料の最大粒子径が2.5μm以下であることにより、連続走査時間が10分間以上の記録においても、吐出不良が低減されて吐出安定性に優れる画像記録方法が得られる。
【0011】
[適用例2]
上記適用例において、
記録媒体の記録幅以上の幅を有するラインヘッドを有するラインプリンターを用いて、1パス印刷により記録を行うことができる。
【0012】
適用例2によれば、ラインヘッドを有するラインプリンターを用いた1パス印刷による記録において、吐出安定性に優れた画像記録を長時間行うことが可能となる。
【0013】
[適用例3]
上記適用例において、
前記インクジェットインク組成物の溶存酸素濃度が10kPa以下であることができる。
【0014】
適用例3によれば、溶存酸素濃度を10kPa以下とすることにより、ヘッド内でのキャビテーションの発生が抑制され、より吐出安定性に優れる画像記録方法を提供できる。
【0015】
[適用例4]
上記適用例において、
前記顔料が、アスペクト比が2.5以上、かつ、平均粒子径170nm以上を有することができる。
【0016】
適用例4によれば、アスペクト比が2.5以上、かつ、平均粒子径170nm以上の顔料を用いた場合においても、吐出不良を低減させてより吐出安定性に優れる画像記録方法を提供することができる。
【0017】
[適用例5]
上記適用例において、
前記インクジェットインク組成物が、放射線硬化型インクジェットインク組成物であることができる。
【0018】
適用例5によれば、インクジェットインク組成物が、放射線硬化型インクジェットインク組成物である場合にも、吐出安定性に優れる画像記録方法を提供することができる。
【0019】
[適用例6]
上記適用例において、
下記一般式(Ι)で表される化合物および下記一般式(Ι)で表される化合物以外の芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種を含有することができる。
CH=CR−COOR−O−CH=CH−R ・・・(Ι)
(式(I)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2〜20の2価の有機
残基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
【0020】
適用例6によれば、インクの硬化性に優れた画像が得られる。
【0021】
[適用例7]
上記適用例において、
前記顔料として、C.I.ピグメントイエロー 155およびC.I.ピグメントイエロー 128、C.I.ピグメントレッド 122からなる群から選択される少なくとも1種を含有することができる。
【0022】
適用例7によれば、顔料として、C.I.ピグメントイエロー 155およびC.I.ピグメントイエロー 128、C.I.ピグメントレッド 122のような分散しにくく、粗大粒子化しやすい顔料の場合においても、吐出不良を低減させてより吐出安定性に優れる画像記録方法を提供することができる。
【0023】
[適用例8]
上記適用例において、
インク圧力室を備えるピエゾインクジェットヘッドを用いて、ノズルから液滴を1打滴ずつ吐出する記録方法であって、
下記式(1)を満たす打滴を少なくとも用いて記録を行うことができる。
0.13≦{(1打滴あたりの吐出量)/(インク圧力室の容積)}×100 ・・・(1)
【0024】
適用例8によれば、式(1)を満たすヘッドはキャビテーションが発生し易いため、吐出がインク組成による影響を受けてノズルが詰まりやすく、吐出不良が起こりやすいが、適用例のインクを使用することにより、吐出安定性に優れた画像記録方法を提供することができる。
【0025】
[適用例9]
本発明に係るインクジェットインク組成物の一態様は、
適用例1ないし適用例8のいずれか一例に記載の画像記録方法に用いることを特徴とする。
【0026】
適用例9によれば、顔料の最大粒子径が2.5μm以下であることにより、連続走査時間が10分間以上の記録においても、吐出不良が低減されて吐出安定性に優れた、連続走査1パス印刷用のインクジェットインク組成物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施形態で用いるインクジェット記録装置の全体構成の一例を示すブロック図。
図2】インクジェット記録装置のヘッドを模式的に示す分解斜視図。
図3】インクジェット記録装置のヘッドの要部の断面の模式図。
図4】インクジェット記録装置の一例であるラインプリンターにおけるヘッドユニット、搬送ユニット、および照射ユニットの周辺の一例を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の幾つかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
【0029】
1.画像記録方法
本発明の一実施形態に係る画像記録方法は、顔料を含有するインクジェットインク組成物を用いた画像記録方法であって、前記顔料の最大粒子径が2.5μm以下であり、連続走査時間10分間以上で記録を行うことを特徴とする。
【0030】
以下、本実施形態に係る画像記録方法について、これを実施可能な装置の構成、インクジェットインク組成物の順に説明した上で、その工程を詳細に説明する。
【0031】
ここで、本明細書において、画像記録方法とは、インクジェット記録装置のヘッドのノズルからインクを吐出させて、記録媒体に画像を記録することを意味する。「(記録)画像」とは、ドット群から形成される印字パターンを示し、テキスト印字、ベタ印字も含める。
【0032】
また、本明細書において、連続走査とは、ノズルに対して記録媒体が一方向に相対的に連続で移動し、走査を中断することなく、連続して行うことを意味する。なお、連続して同一ノズルからインクの吐出を行う連続吐出のみならず、間欠的にインクを吐出する場合も含む。つまり、インクジェット記録装置がラインプリンターであって、搬送される記録媒体に連続して画像記録を行うことを意味する。したがって、間欠的にインクを吐出するとは、全ノズル、または、一部のノズルに不吐出時間が存在することを意味する。ここで、不吐出時間は10秒以下であり、好ましくは1秒以下であり、より好ましくは0.1秒以下である。
【0033】
なお、連続走査時間は20分間以上であることが好ましく、30分間以上であることがより好ましい。連続して画像記録を行う際には、ノズル等のメンテナンス動作が入るため実際には10分間以上の連続走査にならない事が通常であるが、本願発明によれば、走査を停止し、ノズル等のメンテナンス動作を行うこと無く、10分間以上の連続走査を行うことができる。
【0034】
なお、本明細書において、「吐出安定性」とは、安定したインクの液滴をノズルから吐出させる性質をいう。
【0035】
1.1.装置構成
本実施形態に係る画像記録方法に用いるインクジェット記録装置は、インクをノズルから吐出させる方式として、インクに圧電素子で圧力と記録情報信号を同時に加え、インクの液滴を吐出・記録させるピエゾ方式を採用したピエゾインクジェットヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)を備える。このようなインクジェット記録装置は、例えば、インク組成物を吐出するノズルと、このインク組成物に圧力を付与してノズルから吐出させる圧力室と、圧力室とノズルとを接続する接続部と、を備えるピエゾインクジェットヘッドを備えている。
【0036】
以下、本実施形態で用いるピエゾインクジェットヘッドを有する装置について、インクカートリッジがキャリッジに搭載されたオンキャリッジタイプのプリンターを例に挙げて説明するが、本発明で用いられるピエゾインクジェットヘッドを有する装置は、オンキャリッジタイプのプリンターであることに限定されるものではなく、インクカートリッジがキャリッジに搭載されないで外部に固定された、オフキャリッジタイプのプリンターであってもよい。
【0037】
また、以下の説明に用いるプリンターは、ヘッドが記録媒体の幅以上の幅を有するように形成され、ヘッドが移動せずに記録媒体上に液滴を吐出し、1パス印刷により記録を行
うラインプリンターであるが、本発明で用いられるインクジェット記録装置はラインプリンターに限定されるものではなく、所定の方向に移動するキャリッジにヘッドが搭載されており、キャリッジの移動に伴ってヘッドが移動することにより記録媒体上に液滴を吐出するシリアルプリンターであってもよい。
【0038】
以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0039】
図1は、本実施形態に係る画像記録方法を行うピエゾインクジェットヘッドを有する装置の一例であるプリンター1の構成の一例を示すブロック図である。プリンター1はコンピューター700に電気的に接続されている。コンピューター700にはプリンタードライバーがインストールされており、プリンター1に画像を記録させるため、当該画像に応じた印刷データをプリンター1に出力する。プリンター1は、搬送ユニット200、ヘッドユニット300、照射ユニット400、コントローラー500、検出器群600およびインターフェイス(I/F)501を有する。外部装置であるコンピューター700から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー500によって各ユニットが制御され、印刷データに従い、記録媒体上に画像を記録する。
【0040】
搬送ユニット200は、記録媒体を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。
【0041】
ヘッドユニット300は、記録媒体に後述するインクを噴射するためのものである。
【0042】
照射ユニット400は、インクとして、後述の放射線硬化型インクジェットインク組成物を用いて記録した場合に、記録媒体に着弾したインクに向けて放射線を照射するものである。記録媒体上に形成されたドットは、照射ユニット400からの放射線の照射を受けることにより、硬化する。本実施形態において、照射ユニット400は、仮硬化用照射部420a、420b、420c、420d、および本硬化用照射部440(図4参照)を備えており、記録媒体に形成されたドットに対して仮硬化と本硬化の2段階の硬化(放射線照射)を行う構成とする。各照射部は、照射の光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)またはLD(Laser Diode)や、ランプ(メタルハライドランプ、水銀ランプなど)を備えている。各照射部は、入力電流の大きさを制御することによって、照射エネルギーを容易に変更することが可能である。
【0043】
コントローラー500は、プリンター1の制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラー500は、CPU502、メモリー503およびユニット制御回路504を有し、インターフェイス501を介して、外部装置であるコンピューター700とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU502は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。ユニット制御回路504は、各ユニットを制御するための回路を備える。メモリー503は、CPU502のプログラムを格納する領域や作業領域などを確保するためのものであり、RAM、EEPROMなどの記憶素子を有する。CPU502は、メモリー503に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路504を介して各ユニットを制御する。
【0044】
プリンター1内の状況は検出器群600によって監視されており、検出器群600は、検出結果をCPU502に出力する。検出器群600は、例えば、ロータリー式エンコーダ(図示せず)、記録媒体検出センサ(図示せず)などが含まれる。ロータリー式エンコーダは、搬送ユニット200の搬送ドラム260(図4参照)の回転量を検出し、ロータリー式エンコーダの検出結果に基づいて、記録媒体の搬送量を検出することができる。記録媒体検出センサは、記録媒体の先端の位置を検出する。コントローラー500は、検出
器群600から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0045】
本実施形態において、プリンター1は、様々な色のインクを記録媒体に記録する(画像を形成する)ことができる。画像記録方法としては、例えば、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色のインクを用いて画像を形成したり、白色のインクを用いて記録媒体に優れた隠蔽性を付与する下地の画像を形成したりすることが挙げられる。
【0046】
上記したように、本実施形態において、プリンター1はライン方式のインクジェット記録装置であり、ヘッドとして記録媒体の記録幅以上の幅を有するラインヘッドを備える。画像記録においては、当該ラインヘッドと記録媒体とが当該幅方向と交差する走査方向に相対的に位置を移動しながら、記録媒体に向けて、即ちラインヘッドと相対的に走査される記録媒体に向けて、ラインヘッドからインクが吐出される。そして、ラインプリンターでは、ヘッドが(ほぼ)移動せずに固定されて、1パス(シングルパス)で記録が行われる。ラインプリンターは記録速度が大きい点でシリアルプリンターよりも有利である。
【0047】
ここで、上記の「記録媒体の記録幅以上の幅を有するラインヘッド」は、ラインヘッドの長さ(幅)が、インクが吐出されるべき(画像が記録されるべき)記録媒体の幅(記録幅)に相当する長さ以上の長さであるラインヘッド、を意味する。
【0048】
これに対し、シリアル方式のインクジェット記録装置であるシリアルプリンターは、ヘッドが記録媒体の副走査方向と交差した主走査方向に移動しながらインクの吐出を行う主走査(パス)を行い、通常2パス以上(マルチパス)で記録が行われるものである。
【0049】
1.1.1.ピエゾインクジェットヘッド
図2は、プリンター1のラインヘッドを構成するピエゾインクジェットヘッド100を模式的に示す分解斜視図である。図3は、ピエゾインクジェットヘッド100の要部の断面の模式図であり、インクの吐出動作の際のインク供給室40からノズル12までのインクの流れを、破線矢印で模式的に示してある。
【0050】
なお、図2および図3では、圧電素子32は簡略化して図示されている。また、本実施形態ではピエゾインクジェットヘッド100は連通板110とカバー150を備える構成であるが、図2では省略されている。
【0051】
プリンター1が有するヘッドユニット300(図1参照)は、後述するインクを記録媒体に向けて吐出して記録を行うピエゾインクジェットヘッド100を備える。プリンター1は、1色のインクにつきヘッドを1個設ける構成としてもよく、複数個設ける構成としてもよい。1色のインクにつきピエゾインクジェットヘッドを複数個設ける場合には、複数個のヘッドを記録媒体の幅方向に並べることによりラインヘッドを構成してもよく、この場合、上述の記録幅を長くすることができる。複数色のインクを用いて記録を行う場合には、プリンター1はインク毎にピエゾインクジェットヘッドを備える。ピエゾインクジェットヘッドドは、例えば、以下のようにして構成することができる。
【0052】
図2に示すように、ピエゾインクジェットヘッド100は、記録媒体と対向する面に複数のノズル孔12を有するノズルプレート10と、ノズルプレート10に形成された複数のノズル孔12のそれぞれに連通する複数の圧力室20と、複数の圧力室20のそれぞれの容積を変化させる振動板30と、複数の圧力室20にインクを供給するインク供給室40と、筐体130を備える。
【0053】
ノズルプレート10は、インクを吐出するための複数のノズル孔12を有し、これらの複数のノズル孔12は列状に配列されており、ノズルプレート10表面にノズル面13が
形成されている。ノズルプレート10に設けられるノズル孔12の数は、特に限定されない。本実施形態で用いられるヘッド100では、ノズル孔12の列方向におけるノズル密度は、200dpi以上であることが好ましい。すなわち、配列されたノズル孔12の隣り合うノズル孔12の間隔は、127μm以下であることが好ましい。ノズル密度を200dpi以上とすることにより、液滴を微小化した場合であっても、総インク打ち込み量を維持することができる。より好ましくは、ノズル密度は240dpi以上であり、さらに好ましくは250dpi以上、より好ましくは300dpi以上、さらに好ましくは400dpi以上、もっとも好ましくは500dpi以上である。ノズル密度の上限値は、好ましくは2000dpi以下であり、より好ましくは1000dpi以下である。
【0054】
ノズルプレート10の材質としては、例えば、シリコン、ステンレス鋼(SUS)などを挙げることができる。また、ノズルプレート10の材質としては、鉄(Fe)を主成分(50%以上)として、クロム(Cr)を10.5%以上含む合金であると、剛性や錆び難さを両立できるためより好ましい。ノズルプレート10の厚みは特に限定されないが、例えば、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは1μm以上10μm以下である。
【0055】
ピエゾインクジェットヘッド100は、圧力室20を形成するための圧力室基板120を備え、圧力室基板120の材質としては、例えば、シリコンなどが挙げられる。図3に示すように、圧力室基板120は、ノズルプレート10との間に流路形成基板としての連通板110を備える。連通板110がノズルプレート10と圧力室基板120との間の空間を区画することにより、インク供給室40(液体貯留部)と、インク供給室40と連通する供給口126と、供給口126と連通する圧力室20と、が形成される。すなわち、インク供給室40、供給口126および圧力室20は、ノズルプレート10、連通板110、圧力室基板120および振動板30とによって区画されている。
【0056】
連通板110は、圧力室20からノズル孔12に連通する連通孔127を有する。連通板110がノズルプレート10と接触する面に形成された連通孔127の端部には、インクの吐出口128が形成されている。吐出口128は、ノズルプレート10に形成されたノズル孔12に連通している。
【0057】
振動板30は圧力室基板120に接して設けられ、振動板30に接して圧電素子32が形成されている。圧電素子32は、コントローラー500中の圧電素子駆動回路(図示せず)に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて動作(振動、変形)することができる。振動板30は、圧電素子32の動作によって変形し、圧力室20の容積を変化させることで圧力室20の内部圧力を変化させることができる。圧電素子32としては、特に限定されないが、例えば、電圧を印加することによって変形を生じる種の素子(電気機械変換素子)を挙げることができる。このように、本実施形態では、圧電素子32と振動板30とによって圧電アクチュエーター34が構成されている。
【0058】
なお、この例では、圧力室20は、連通板110、圧力室基板120および振動板30によって区画されているが、圧力室20は、振動板30の振動によって容積が変化され得る限り、適宜の部材によって形成されることができ、そのための部材の数、形状、材質などは任意である。また、振動板30は、圧電素子32を構成する電極(例えば、Ptなどで形成される。)と一体的であってもよい。
【0059】
本実施形態において、ピエゾインクジェットヘッド100は、ノズル孔12間の間隔が127μm以下であり、圧電素子32としては、2つの電極の間に圧電材料が配置された構成であることが好ましい。すなわち、圧電アクチュエーター34は、例えば、振動板30に対して、一方の電極、圧電材料(例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛))の層、お
よび他方の電極が順次積層された全体として薄膜状の態様であることが好ましい。
【0060】
振動板30の材質についても特に限定されないが、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化窒化シリコン(SiON)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO)、炭化ケイ素(SiC)、およびそれらの材質からなる層の積層体などを挙げることができる。振動板30の材質としては、ヤング率が250Gpa以下のものが、変位を大きくできる点、および破損を生じにくい点でより好ましく、例えば、ZrO(150GPa)、SiO(75GPa)、Si(130GPa)、SUS(199GPa)、Cr(248GPa)を含んで形成されることがより好ましい(括弧内はヤング率)。また、圧電素子32の電極がPtで形成され、振動板30と一体的に積層されている場合には、ヤング率はPtが168GPa、ZrOが150GPaであるため、組み合わせても250GPa以下となるためそのように構成してもよい。
【0061】
なお、本明細書において、ヤング率とは、静的試験(JIS G0567Jなど)(機械的試験)で測定されるヤング率を指し、例えば、II−6号試験片を用いて測定される。
【0062】
更に、ピエゾインクジェットヘッド100は、インク流路の一部を形成する部材として、コンプライアンスシート140と、圧電素子32を収容するカバー150を備える。コンプライアンスシート140は、連通板110との間に、インク供給室40と連通する供給口126を形成する。また、コンプライアンスシート140は可撓性の弾性膜であり、インクの吐出や流通のためのダンパーとしての機能や、インクの体積が膨張した場合に、変形することによってヘッド100の破損を抑制する機能を有している。
【0063】
コンプライアンスシート140は、弾性を有する膜であれば特に限定されないが、例えば、高分子膜、薄膜にした金属、ガラスファイバー、カーボンファイバーなどが用いられる。高分子膜の材質としては、特に限定されないが、ポリイミド、ナイロン、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイトなどが挙げられ、ポリフェニレンスルファイトで形成されることがより好ましい。また、金属としては、例えば、鉄やアルミニウムを含む材料が挙げられる。
【0064】
コンプライアンスシート140の厚みは、特に限定されないが、例えば、50μm以下が好ましく、より好ましく20μm以下、さらに好ましくは1μm以上10μm以下である。コンプライアンスシート140は、薄膜にしすぎるとインク吐出時に振動が大きくなり、残留振動が多く発生する場合がある。
【0065】
本実施形態では、インク供給室40、供給口126、圧力室20および連通孔127を区別して説明しているが、これらはいずれも液体の流路であって、圧力室20が形成される限り、流路はどのように設計されても構わない。例えば、図示の例では供給口126として、流路の一部が狭窄された形状を有しているが、そのような流路の拡大縮小は、設計にしたがって任意に形成することができ、また必ずしも必須の構成ではない。
【0066】
上記構成によって形成される圧力室20は、連通板110と、圧力室基板120と、振動板30とによって区画される空間であり、供給口126、連通孔127、吐出口128およびノズル孔12を含まない空間のことをいう。つまり、振動板30、圧力室基板120、連通板110などのインクに圧力を付与する部分(圧力室20の壁の変形や発熱する部分)と対向する空間、および、該空間に隣接し、インクが移動する方向に対する断面の断面積が該空間と等しい空間を圧力室20とし、圧力室20の容積はこの容積である。このように、圧力室20は、振動板30の変位によって容積が変化する空間であり、係る空間に連通する狭窄された流路などを含まない空間と定義する。
【0067】
上記したように、連通孔127は圧力室20からノズル孔12に連通している。本発明においては、圧力室からノズル側へインクが流出する部分からノズルまでの部分、すなわち、図3の例では、連通孔127、ノズル孔12、およびこれらを接続する全ての部分、を接続部132と定義する。したがって、接続部132の距離とは、図3の例では、接続部132が連通板110の厚み方向と平行に貫通するように設けられているので、連通板110の厚み方向の長さd1とノズルプレート10の厚み方向の長さd2の和に等しくなる。
【0068】
本実施形態では、例えば、連通板110の厚み方向の長さd1とノズルプレート10の厚み方向の長さd2の長さの和、つまり、d1+d2が500μm以上であることが好ましい。このように、接続部132の距離が長い構成とすることにより、ノズル面13からインクの乾燥が進むことを防止できる。
【0069】
なお、図3に示す例では、ノズルプレート10と連通板110が積層され、ノズル孔12および連通孔127が異なる部材により形成されているが、ノズルプレートと連通板が単一の部材で形成されていてもよい。ノズルプレートと連通板が単一の部材で形成されている場合においても、接続部132は、圧力室からノズル側へインクが流出する部分からノズルまでの部分となる。この場合においても、接続部の距離が500μm以上である場合には、ノズル面からインクの乾燥が進むことを防止できる。
【0070】
接続部132の距離は、500μm以上3000μm以下であることが好ましく、700μm以上2500μm以下であることがより好ましく、更には900μm以上1500μm以下であることが好ましい。なお、連通孔がノズルプレート10に対して斜めに伸びている場合にも、連通孔の長さは連通孔に沿った長さであり、この場合には連通板110の厚み方向の長さd1よりも長くなる。つまり、圧力室20と連通孔の境界から連通孔の中を通ってノズル孔12までに到る最短の距離が連通孔の長さとなり、接続部の距離は、この連通孔の長さに、ノズル孔12およびこれらを接続する全ての部分の長さを足した長さとなる。
【0071】
圧力室の1つ当たりの圧力室および接続部の容積の合計、つまり、本実施形態において、圧力室20と連通孔127とノズル孔12の容積の合計は、4200pl以上6200pl以下であることが好ましく、4500pl以上5500pl以下であることがより好ましい。この場合には、よりノズル面13からインクの乾燥が進むことを防止することができる。
【0072】
この場合において、圧力室20の1つ当たりの容積が3700pl以下であることが好ましく、3500pl以下であることがより好ましい。更に好ましくは3300pl以下であり、より好ましくは3000pl以下である。圧力室20の1つ当たりの容積の下限値は、好ましくは1500pl以上であり、より好ましくは2000pl以上である。圧力室20の容積が3700pl以下であることにより、連通孔127の容積を充分に確保することができるため、ノズル面13からインクの乾燥が進むことを効果的に防止することができる。
【0073】
インク供給室40は、外部(例えば、インクカートリッジ)から、振動板30に設けられた貫通孔129を通じて供給されるインクを一時貯留することができる。インク供給室40内のインクは、供給口126を介して、圧力室20に供給されることができる。圧力室20は、振動板30の変形により容積が変化する。圧力室20は連通孔127を介してノズル孔12と連通しており、圧力室20の容積が変化することによって、ノズル孔12からインクが吐出されたり、インク供給室40から圧力室20にインクが導入されたりす
ることができる。ここで、ノズル孔12のノズル径は、画質を優れたものにする点や、間欠性やミスト低減の点で、好ましくは5μm以上100μm以下であり、より好ましくは10μm以上60μm以下であり、さらに好ましくは10μm以上40μm以下である。
【0074】
筐体130は、図2に示すように、ノズルプレート10、圧力室基板120および圧電素子32を収納することができる。筐体130の材質としては、例えば、樹脂、金属などを挙げることができる。筐体130は、圧電素子32を外部環境から隔てる機能を有してもよい。また、筐体130には、不活性ガスなどが封入されたり、筐体130内が減圧されてもよく、これにより、圧電材料の劣化などを抑制することができる。
【0075】
カバー150は、筐体130とは別部材として構成されている。カバー150は、振動板30に接して設けられ、圧電素子32を収容する空間を形成し、圧電素子32を当該空間に収納している。カバー150の材質は、上述の筐体130の材質と同様である。上記筐体130は圧電素子32を覆うカバーとなっているが、カバー150は圧電素子32を外部環境から隔てる機能を有し、カバー150によって形成される空間に不活性ガスなどが封入されたり、当該空間が減圧されてもよい。これにより、圧電素子32の圧電材料の劣化などを抑制することができる。この場合に、筐体130は、ピエゾインクジェットヘッド100の支持体として機能してもよい。
【0076】
以上例示したピエゾインクジェットヘッド100は、プリンター1に搭載された場合に、ノズルプレート10が記録媒体に向かって配置され、ノズルプレート10が大気(外気)と直接に接することになる。また、本実施形態において、ピエゾインクジェットヘッド100は、筐体130およびカバー150を有するため、圧電素子32および振動板30が実質的に外気と接触しない構造である。
【0077】
本実施形態において、ピエゾインクジェットヘッド100は、ノズルから液滴を1打滴ずつ吐出して記録する場合に、下記式(1)を満たす打滴を少なくとも用いて記録を行うものであることができる。
0.13≦{(1打滴あたりの吐出量)/(インク圧力室の容積)}×100 ・・・(1)
式(1)を満たすピエゾインクジェットヘッド100は、キャビテーションが発生し易く、吐出がインク組成による影響を受けやすいが、後述するインクと組み合わせることにより、キャビテーションの発生による吐出不良を低減させて吐出安定性に優れた画像記録方法を提供することができる。また、式(1)を満たすピエゾインクジェットヘッドを用いることにより、細線表現を良好とすることが可能となる。
【0078】
なお、上記式(1)中、1打滴あたりの吐出量は体積流量であり、1打滴あたりの吐出量は、振動板の変位により1打滴を吐出する際のインク圧力室の容積減少量(排除体積)に略相当する。また、上記式(1)中、1打滴とは、ピエゾインクジェットヘッド100から液体を吐出させた際の液1滴をいい、記録媒体表面に着弾する前に複数の液滴が合体するものは含まない。
【0079】
また、上記式(1)中、インク圧力室の容積は、インクに圧力を付与する部分と対向する空間、および、該空間に隣接し、インクがノズルに向かって移動する方向の空間の容積の合計である。つまり、インク圧力室の容積とは、振動板の変位によって容積が変化する空間と、係る空間に連通する狭窄された流路などを含む空間との容積の合計である。したがって、本実施形態においては、インク圧力室の容積は、圧力室の1つ当たりの圧力室および接続部の容積の合計、つまり、圧力室20と連通孔127とノズル孔12の容積の合計がインク圧力室の容積である。
【0080】
さらに、本実施形態において、ピエゾインクジェットヘッド100は、下記式(2)を満たすものであってもよい。
0.13≦{(1打滴あたりの吐出量)/(インク圧力室の容積)}×100≦0.18 ・・・(2)
本実施形態では、式(2)を満たすピエゾインクジェットヘッドにおいても、後述するインクと組み合わせることにより、キャビテーションの発生による吐出不良を低減させて吐出安定性に優れた画像記録方法を提供することができる。
【0081】
1.1.2.各ユニットの配置
次に、図4を参照して、本実施形態の一例であるプリンター1について、さらに詳しく説明する。以下の説明に用いる図4においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0082】
図4は、図1のプリンター1における搬送ユニット200、ヘッドユニット300、および照射ユニット400の周辺の一例を示す概略断面図である。
【0083】
本実施形態において、搬送ユニット200は、上流側ローラー250Aおよび下流側ローラー250Bと、ロール状に巻かれた長尺の記録媒体Sを周面にて搬送する搬送ドラム260と、仮硬化用照射部420a、420b、420c、420dと、本硬化用照射部440を供える。上流側ローラー250Aおよび下流側ローラー250Bからなる搬送ローラーは、搬送モーター(図示せず)により回転し、搬送ドラム260が従動する構成となっている。そして、記録媒体Sは、搬送ローラー250Aおよび250B、並びに支持体である搬送ドラム260の周面に沿い、搬送ローラーの回転に伴って搬送される。搬送ドラム260の周囲にはヘッドK、ヘッドC、ヘッドM、およびヘッドYからなる各ラインヘッドが搬送ドラム260に対向して配置される。このような構成により、プリンター1では、後述するように各ラインヘッドと対向する記録媒体Sに向けてインクを吐出し付着させる吐出動作により画像記録を行う。
【0084】
図4において、搬送ドラム260は記録媒体Sが搬送される面を有し、記録媒体Sを支持し、かつ、ヘッドに対し相対的に移動して、各ラインヘッドと対向する位置を通過する。搬送ドラム260が記録媒体Sを支持しつつヘッドに対して相対的に移動する場合、任意の位置から同じ位置に戻るまでの時間(周期)が5秒以上であることが好ましく、6秒であることがより好ましい。当該時間が上記範囲内であると、搬送ドラム260の放熱により温度上昇を抑制することができる。また、上記周期の上限は特に制限されるものではないが、高速印刷を実現するため、例えば15秒以内であるとよい。
【0085】
なお、搬送ドラム260による所定周期での移動は、少なくとも画像記録が行われる間になされればよく、さらには画像記録が行われる間、連続的または断続的になされればよい。
【0086】
上記搬送ドラム260の形状としては、図4のようなドラム状の支持体に限られるものではなく、以下に限定されないが、例えば、ドラム状、ローラー状、およびベルト状の支持体、並びに記録媒体Sを支持する板状の支持体(プラテンなど)も好ましく挙げられる。ヘッドに対して相対的になされる搬送ドラム260の移動は、1つの方向に移動(回転)して同じ位置に戻る移動としてもよく、ある方向への移動および他の方向への移動により同じ位置に戻る移動としてもよい。後者の場合、当該ある方向への移動を、単票型の一記録媒体への記録に伴う移動とし、かつ、当該他の方向への移動を、一の記録媒体への記録を終えて次の記録媒体へ記録を行うための移動とする形態が挙げられる。なお、シリアルプリンターの場合、上記のある方向への移動は副走査に相当する。
【0087】
搬送ドラム260の材質としては、以下に限定されないが、例えば、金属、樹脂、およびゴムが挙げられ、中でも金属が好ましい。当該材質が金属であると、ゴムなどの高分子材料である場合と異なり、搬送ドラム260を長期間使用しても、熱による劣化と思われるヒビ割れが生じず、長期使用が可能となる。当該金属としては、以下に限定されないが、例えば、アルミニウム、ステンレス、銅、および鉄、並びにこれらの合金が挙げられる。さらに、金属製の搬送ドラム260の表面、即ち記録媒体Sの搬送面をコーティング剤などで塗装してもよい。これにより、塗装しない搬送ドラム260よりも、搬送ドラム260の表面の硬度を向上させることができ、かつ、記録媒体Sとの間で滑りにくくすることができる。当該コーティング剤としては、以下に限定されないが、例えば、樹脂などの有機系コーティング剤および無機化合物などの無機系コーティング剤、並びにこれらの複合コーティング剤が挙げられる。なお、以上の搬送ドラム260に関する事項は、ラインプリンターに限らず、シリアルプリンターにも適用可能である。
【0088】
本実施形態において、照射ユニット400は仮硬化用照射部420a、420b、420c、420dと、本硬化用照射部440を備え、各照射部は、照射の光源として、例えば、LEDを備えている。LEDは入力電流の大きさを制御することによって、照射エネルギーを容易に変更することが可能である。
【0089】
本硬化用照射部440は、記録媒体に形成されたドットを本硬化させるための放射線を照射する。本硬化用照射部440は、仮硬化用照射部420の第4照射部420dよりも搬送方向下流側に設けられている。すなわちヘッドユニット300の各ヘッドから離れた場所に設けられている。また、本硬化用照射部440の記録媒体幅方向の長さは記録媒体幅以上である。そして、本硬化用照射部440は、ヘッドユニット300の各ヘッドによって形成されたドットに本硬化用の放射線(例えば、UV)を照射する。また、本実施形態の本硬化用照射部44は、光源として、ランプ(メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプなど)を備える構成としてもよい。なお、本実施形態において、各照射部はそれぞれ複数のプリズムを有する構成としてもよい。
【0090】
1.1.3.脱気手段
本実施形態において、プリンター1は、さらに、インクの脱気手段(図示せず)を備える構成としてもよい。
【0091】
インクをラインヘッドの各ピエゾインクジェットヘッド100に供給するまでの間に、インク収容体の長期保管中や、送給手段において、インクパックや送給手段の部材を介して、気泡や酸素がインクに侵入することがある。そこで、プリンター1が脱気手段(図示せず)を備える場合、プリンター1において、インクから気泡や酸素などの気体を取り除く脱気を行うことで、インクの溶存酸素濃度を低下させ、ヘッド内のキャビテーションの発生を抑制し、吐出安定性が向上する。また、本実施形態ではラインヘッドを用いており、インクの使用量が多いため、脱気手段を備えると吐出安定性が向上する。
【0092】
脱気手段としては、例えば、インクが流入する脱気室と、空気などの気体を通してインクなどの液体を通さない中空糸膜などの分離膜を介して脱気室と接する減圧室が設けられた構成とし、減圧ポンプによって減圧室を減圧することによりインクを脱気する。なお、脱気手段はインク収容体とヘッドのインク経路との間に設けられていることが脱気効率の点で好ましい。また、脱気手段は、ポンプなどの減圧手段を有する減圧脱気手段であることが脱気効率の点で好ましく、減圧する際に、攪拌や超音波の照射を行う攪拌手段や照射を備えていてもよい。
【0093】
また、脱気手段としては、減圧手段の他に、インクを加温する加温手段であってもよい
。加温手段としては、ヒーターなどの公知の加温手段を用いることができる。
【0094】
ここで、本実施形態に係る画像記録方法では、上記のインクジェット記録装置において、以下に説明するインク組成物を用いて画像の記録を行う。
【0095】
1.2.インクジェットインク組成物
本発明の一実施形態に係る画像記録方法に用いられるインクジェットインク組成物は、本実施形態に係る画像記録方法に用いることを特徴とする。
【0096】
以下、本実施形態に係る画像記録方法に用いるインクジェットインク組成物(以下、単に「インク」ともいう。)に含まれる成分について、インクジェットインク組成物として、放射線硬化型インクジェットインク組成物を一例として挙げて説明するが、本実施形態で使用可能なインクとしては、放射線硬化型インクジェットインク組成物に限られず、水系インクジェットインク組成物や、溶剤系インクジェットインク組成物であってもよい。
【0097】
ここで、水系インクジェットインク組成物とは、溶媒成分として、水を主要な成分として含有する組成物であり、インクに含まれる水の含有量としては、インクの全質量に対して、例えば、50質量%以上であるインクをいう。また、溶剤系インクジェットインク組成物とは、溶媒成分として、有機溶剤などの溶剤を主要な成分として、水を主要な成分としない組成物であり、有機溶剤等の溶剤の含有量は80質量%以上であるインクをいう。
【0098】
また、「放射線硬化型」の一実施形態として「紫外線硬化型」、「光硬化型」などと記載する場合があるが、本実施形態において組成物は放射線を照射することにより硬化させて用いる放射線硬化型組成物であればよく、紫外線硬化型や紫外線硬化型組成物を放射線硬化型や放射線硬化型組成物と読み替えてもよい。放射線としては、紫外線、赤外線、可視光線、エックス線などが挙げられる。放射線としては、放射線源が入手しやすく広く用いられている点、および紫外線の放射による硬化に適した材料が入手しやすく広く用いられている点から、紫外線が好ましい。
【0099】
本実施形態において、「放射線硬化型インクジェットインク組成物」とは、記録媒体に付着した放射線硬化型インクジェットインク組成物に対して、活性放射線を照射して硬化膜を得る硬化工程を有するインクジェット記録方法に用いるインクジェット用インク組成物であり、公知のものを使用することができる。
【0100】
本発明の一実施形態で用いる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、例えば、顔料と、インク皮膜を形成するモノマー(重合性化合物)と、光重合開始剤と、有機溶剤と、を含有する。以下、放射線硬化型インクジェットインク組成物に含まれる成分および含まれ得る成分について、詳細に説明する。
【0101】
1.2.1.顔料
本実施形態に係る画像記録方法に用いるインクジェットインク組成物は、最大粒子径が2.5μm以下の顔料を含有する。最大粒子径が2.5μm以下の顔料を含有するインクジェットインク組成物を用いることにより、連続走査時間10分間以上の記録においても、吐出不良が低減されて吐出安定性に優れる画像記録方法が得られる。
【0102】
顔料としては、最大粒子径が2.5μm以下であれば、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。
【0103】
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラックなどのカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック 7)類、酸化鉄、
酸化チタンを使用することができる。
【0104】
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などの多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
【0105】
更に詳しく言えば、ブラック組成物に使用されるカーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200Bなど(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700など(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1
330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch
1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400など(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
【0106】
ホワイト組成物に使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21が挙げられる。
【0107】
イエロー組成物に使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180が挙げられる。
【0108】
マゼンタ組成物に使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、またはC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
【0109】
シアン組成物に使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙
げられる。
【0110】
また、マゼンタ、シアン、およびイエロー以外の顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7、10、C.I.ピグメントブラウン 3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ 1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63が挙げられる。
【0111】
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0112】
上記の顔料を使用する場合、顔料の最大粒子径は2.5μm以下であり、2.0μm以下であることが好ましく、1.7μm以下であることがより好ましく、1.5μm以下であることがさらに好ましい。本実施形態において、顔料の最大粒子径が2.5μm以下であることにより、連続走査時間が10分間以上の記録においても、粗大粒子が堆積することや、ヘッド内でのキャビテーションの発生が抑えられ、目詰まりなどの吐出不良が低減されて、吐出安定性に優れる画像記録方法が得られる。
【0113】
ここで、本明細書において、顔料の最大粒子径とは、顔料の一次粒子が凝集あるいは結合して粗大粒子化した粒子の最大粒子径を意味しており、顔料の一次粒子の平均粒子径とは異なるものである。最大粒子径は、例えば、凝集粒子などの粗大粒子の状態を測定可能な装置である、個数カウント方式の粒度分布計 アキュサイザー(株式会社ピーエスエスジャパン製)を用いて測定することができる。
【0114】
なお、本明細書において、一次粒子とは、凝集することなくインク中に分散している粒子の最小単位である。すなわち、一次粒子は単結晶や結晶子に限られるものではない。本実施形態において、顔料の最大粒子径は、粒度分布計において400個/20mlを超えて存在する顔料粒子の粒子径最大値を指す。
【0115】
最大粒子径の測定方法は、以下に限らないが、例えば、インクサンプルを、測定に適した溶剤を用いて、測定に適した濃度に希釈し、光遮蔽法による個数カウント方式の装置を用いて行うことができ、例えば、インクサンプルを、EDGAC(エチルジグリコールアセテート)で3000倍に希釈し、アキュサイザー780APS(株式会社ピーエスエスジャパン製)に希釈したサンプルを20ml投入して、下記の条件で測定することができる。
<アキュサイザー条件>
・注入サンプル量:20ml
・流速:1ml/s
・チャンネル数:128
・測定原理:光遮蔽法による個数カウント方式
・最大粒子径の定義:粗大粒子数が、400個/20mlを超えた時点のサイズを最大粒子径として定義。
【0116】
また、顔料は、一次粒子のアスペクト比が2.5以上であり、かつ、顔料の一次粒子の平均粒子径(D50)は170nm以上を有することができる。そのような顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 155や、C.I.ピグメントイエロー 128、C.I.ピグメントレッド 122などの長方形形状になり易い顔料があげられる。なお、後述する本明細書の実施例で使用したC.I.ピグメントイエロー 155は、一次粒子のアスペクト比が4.5であり、一次粒子の平均粒子径(D50)は235nmである。
【0117】
ここで、本明細書において、顔料の一次粒子のアスペクト比は、(長軸の長さ)/(短
軸の長さ)の比で算出される個々の顔料の一次粒子のアスペクト比の平均値である。具体的には、顔料粉体をTEM(透過型電子顕微鏡)やSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、個々の顔料粒子の画像を取得する。そして、取得した個々の顔料粒子の画像の重心から、角度0°から179°の範囲を間隔1°で粒子径(直径)を計測し、計測された180個の粒子径の最大値を長軸の長さ、最小値を短軸の長さとして、個々の顔料の一次粒子のアスペクト比を得る。また、アスペクト比の平均値は、この様にして得た50個以上の顔料粒子のアスペクト比の値の平均値を用いる。
【0118】
また、本明細書において、顔料の一次粒子の平均粒子径(D50)は、動的光散乱法による体積基準の累積50%の体積平均粒子径(D50)を意味し、以下のようにして得られる値である。分散媒中の粒子に光を照射し、当該分散媒の前方・側方・後方に配置されたディテクターによって、発生する回折散乱光を測定する。前記測定値を利用して、本来は不定形である粒子を球形であるものと仮定し、当該粒子の体積と等しい球に換算された粒子集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その際の累積値が50%となる点を50%平均粒子径(D50)とする。
【0119】
一次粒子のアスペクト比が1.0以上2.5未満の範囲内にある顔料は、顔料の粒子の形状が擬球状であるため、顔料間の相互作用(凝集引力)が低下し、吐出の際に、ノズルでのフロキュレーション(凝集)による吐出不安定の発生を抑制できる。また、顔料がインク中で安定して分散されるため、顔料の凝集によるインク粘度の上昇が抑えられ、インクの保存安定性および吐出安定性に優れる。さらに、顔料の一次粒子の平均粒子径(D50)は170nm未満である場合には、顔料の凝集による粗大粒子化が起こりにくい。
【0120】
これに対し、顔料の一次粒子のアスペクト比が2.5以上の長方形形状で、かつ、一次粒子の平均粒子径(D50)が170nm以上を有するような顔料は、顔料間の相互作用が高いため分散しにくく、凝集などにより粗大粒子化しやすい。本実施形態では、このような粗大粒子化しやすい顔料を用いた場合においても、粗大粒子化した粒子の最大粒子径が2.5μm以下となるように制御することにより、吐出不良を低減させてより吐出安定性に優れる画像記録方法を提供できる。
【0121】
なお、粗大粒子化した粒子の最大粒子径を2.5μm以下とするためには、インク調製時のフィルターろ過の際に、孔径1.5μm以下のフィルターを使用したり、遠心分離などをすることにより行う。また、インク調製時に、インクの分散性を上げるために分散剤を使用したり、超音波を照射することなどにより行う。
【0122】
本実施形態において、放射線硬化型インクジェットインク組成物に添加し得る顔料の添加量は、放射線硬化型インクジェットインク組成物の全質量に対して、0.1質量%以上25質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下である。
【0123】
なお、顔料だけでなく、色材として染料を併用することもできる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、および塩基性染料が使用可能である。
【0124】
1.2.2.重合性化合物(モノマー)
放射線硬化型インクジェットインク組成物は重合性化合物を含む。重合性化合物は、単独で、または光重合開始剤の作用により、光照射時に重合して、記録媒体上のインクを硬化させることができる。重合性化合物としては、特に限定されないが、具体的には、従来公知の、単官能、2官能、および3官能以上の多官能のモノマーおよびオリゴマーが使用可能である。重合性化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。以下これら重合性化合物について例示する。
【0125】
単官能、2官能、および3官能以上の多官能のモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸およびマレイン酸の不飽和カルボン酸;該不飽和カルボン酸の塩;不飽和カルボン酸のエステル、ウレタン、アミドおよび無水物;アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、単官能、2官能、および3官能以上の多官能のオリゴマーとしては、特に限定されないが、例えば、直鎖アクリルオリゴマーなどの上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートおよびポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0126】
なお、本明細書において、エポキシ(メタ)アクリレートとは、不飽和カルボン酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られる化合物のことをいう。この反応において、エポキシ化合物のエポキシ基が開環して不飽和カルボン酸とエステル結合を生じて結合する。「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味する。
【0127】
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、およびアクリロイルモルホリン、並びにそれらの誘導体が挙げられる。
【0128】
単官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可撓性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、およびジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0129】
単官能(メタ)アクリレートとしては、芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。なお、芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとしては式(Ι)で表される、ビニルエーテル基を含有する単官能(メタ)アクリレートは除くものとする。
【0130】
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートは、芳香環骨格を有し、かつ、重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を一分子中に1個有する化合物である。芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、以下に限定されないが、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート(PEA)、アルコキシ
化2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、アルコキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの市販品としては、例えば、ビスコート#192(大阪有機化学工業社製、商品名、フェノキシエチルアクリレート)、SR340(フェノキシエチルメタクリレート)、SR339A(フェノキシエチルアクリレート)、SR504(エトキシ化ノニルフェニルアクリレート)、CD614(アルコキシ化ノニルフェニルアクリレート)、及びCD9087(アルコキシ化2−フェノキシエチルアクリレート)(以上、全てサートマー社製商品名)が挙げられる。
【0131】
これらの中でも、下記の一般式(II)で表される化合物及び一般式(III)で表される化合物のうち少なくともいずれかが好ましい。
【0132】
CH=CR−COOR−Ar ・・・(II)
CH=CR−COO−Ar ・・・(III)
(上記式(II)及び(III)中、Rは水素原子又はメチル基である。上記式(II)中、芳香環骨格を表すArは、少なくともアリール基を1個有し、当該アリール基を構成する炭素原子がR5で表される基に結合している1価の有機残基であり、またRは炭素数1〜4の2価の有機残基である。上記式(III)中、芳香環骨格を表すArは、少なくともアリール基を1個有し、当該アリール基を構成する炭素原子が当該式中の−COO−に結合している1価の有機残基である。)
【0133】
上記の一般式(II)において、Rで表される基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分枝状、又は環状の置換されていてもよいアルキレン基、並びに構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく挙げられる。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数1〜4のアルキレン基、並びにオキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数1〜4のアルキレン基が好適に用いられる。上記有機残基が置換されていてもよい基である場合、置換基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基、アルコキシ基、水酸基、及びハロ基が挙げられ、置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。
【0134】
上記の一般式(II)及び(III)において、Ar(アリール)(芳香環骨格)に少なくとも1個含まれるアリール基としては、以下に限定されないが、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。アリール基の数は1以上であり、好ましくは1又は2である。アリール基は、当該基を構成する炭素原子のうち、式(II)中のRで表される有機残基に結合する炭素原子、式(III)における−COO−に結合する炭素原子、及びアリール基を複数有する場合にはアリール基同士を結び付ける炭素原子、以外の炭素原子に置換されていてもよい。置換されている場合、アリール基1個当たりの置換数は1以上であり、好ましくは1又は2である。置換基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基及びアルコキシ基、カルボキシル基、ハロ基、並びに水酸基が挙げられる。
【0135】
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートを含有することにより、後述する光重合開始剤の溶解性が良好となる傾向があり、硬化性が向上する傾向があるため好ましい。特に、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤やチオキサントン系光重合開始剤を用いる場合にその溶解性が良好となる傾向がある。芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートの中でもフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレ
ートが好ましいが、臭気がより低いことからフェノキシエチル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0136】
単官能(メタ)アクリレートの含有量は、放射線硬化型インクジェットインク組成物の総質量(100質量%)に対して、30質量%以上85質量%以下が好ましく、40質量%以上75質量%以下がより好ましい。上記好ましい範囲とすることにより、硬化性、開始剤溶解性、保存安定性、吐出安定性により優れる。
【0137】
単官能(メタ)アクリレートとしては、ビニルエーテル基を含有するものも挙げられる。このような単官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、および(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、が好ましい。
【0138】
ビニルエーテル基を含有する単官能(メタ)アクリレートとしては、下記一般式(I)
で表される化合物を含有することが好ましい。
CH=CR−COOR−O−CH=CH−R ・・・(I)
(式(I)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2〜20の2価の有機残基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
以下、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートを、単に「式(I)の化合物」と記載することがある。
【0139】
本実施形態に係る組成物が式(I)の化合物を含有することにより、組成物の硬化性を優れたものとすることができる。また、式(I)の化合物を含有することにより、組成物の粘度を低く抑えやすい。さらに、ビニルエーテル基を有する化合物及び(メタ)アクリル基を有する化合物を別々に使用するよりも、ビニルエーテル基及び(メタ)アクリル基を一分子中に共に有する化合物を使用する方が、組成物の硬化性を良好にする上で好ましい。
【0140】
上記一般式(I)において、Rで表される炭素数2〜20の2価の有機残基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい2価の芳香族基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2〜6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。さらに、放射線硬化型インクジェット組成物を、より低粘度化でき、かつ、硬化性をさらに良好にする観点から、Rが、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基となっている、グリコールエーテル鎖を有する化合物がより好ましい。
【0141】
上記一般式(I)において、Rで表される炭素数1〜11の1価の有機残基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
【0142】
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
【0143】
式(I)の化合物の含有量は、組成物の総質量(100質量%)に対して、好ましくは1質量%以上50質量%以下、より好ましくは5質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上30質量%以下、特に好ましくは10質量%以上25質量%以下である。式(I)の化合物の含有量が1質量%以上であると、組成物を低粘度化でき、かつ、組成物の硬化性を一層優れたものとすることができる。一方で、含有量が50質量%以下であると、インクの保存安定性を優れた状態に維持することができる。
【0144】
式(I)の化合物の具体例としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロ
キシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、メタアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。
【0145】
これらの中でも、放射線硬化型インクジェットインク組成物をより低粘度化でき、引火点が高く、かつ、インクジェット組成物の硬化性に優れるため、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、即ち、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルおよびメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルのうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましい。アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルおよびメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルは、何れも単純な構造であって分子量が小さいため、放射線硬化型インクジェットインク組成物を顕著に低粘度化することができる。(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルおよび(メタ)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルおよびアクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。なお、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの方が、メタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルに比べて硬化性の面で優れている。
【0146】
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、特に(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの含有量は、放射線硬化型インクジェットインク組成物
の総質量(100質量%)に対して、10質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。含有量が10質量%以上であることにより、放射線硬化型インクジェットインク組成物を低粘度化でき、かつ、放射線硬化型インクジェットインク組成物の硬化性がより優れる。一方で、含有量が70質量%以下であることにより、インクジェット組成物の保存性がより優れるとともに、記録物の表面光沢により優れる。
【0147】
上記(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびペンタエリスリトール骨格若しくはジペンタエリスリトール骨格を有する3官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。そのうち、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール骨格若しくはジペンタエリスリトール骨格を有する3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。放射線硬化型インクジェットインク組成物が、多官能(メタ)アクリレートを単官能(メタ)アクリレートに加えて含むことがより好ましい。
【0148】
2官能以上の多官能(メタ)アクリレートの含有量は、放射線硬化型インクジェットインク組成物の総質量(100質量%)に対して、5質量%以上60質量%以下であることが好ましく、15質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上50質量%以下であることがさらに好ましい。上記好ましい範囲とすることにより、硬化性・保存安定性・吐出安定性・記録物の表面光沢により優れる。
【0149】
上記(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、およびカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0150】
これらの中でも、重合性化合物は単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。この場合、放射線硬化型インクジェットインク組成物が低粘度となり、光重合開始剤その他の添加剤の溶解性に優れ、かつ、インクジェット記録時の吐出安定性が得られやすい。さらに硬化膜の強靭性、耐熱性、および耐薬品性が増すため、単官能(メタ)アクリレートおよび2官能(メタ)アクリレートを併用することがより好ましく、中でもフェノキシエチル(メタ)アクリレートおよびジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートを併
用することがさらに好ましい。
【0151】
上記重合性化合物の含有量は、放射線硬化型インクジェットインク組成物の総質量(100質量%)に対し、5質量%以上95質量%以下が好ましく、15質量%以上90質量%以下がより好ましい。重合性化合物の含有量が上記範囲内であることにより、粘度および臭気を低減させることができるとともに、光重合開始剤の溶解性および反応性・記録物の表面光沢を更に優れたものとすることができる。
【0152】
1.2.3.光重合開始剤
放射線硬化型インクジェットインク組成物は、光重合開始剤を含有してもよい。光重合開始剤は、活性放射線を照射することによってラジカルやカチオンなどの活性種を発生し、上記モノマーの重合反応を開始させるものであれば特に制限されない。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができるが、光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
【0153】
なお、放射線の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、かつ、照射部のコストを抑えることができる。したがって、光重合開始剤は、紫外線領域に吸収ピークを有していることが好ましい。
【0154】
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物が挙げられる。
【0155】
これらの中でも、モノマーへの溶解性および硬化性が良好という有利な効果が得られる観点から、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物を併用することがより好ましい。
【0156】
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、およびビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが挙げられる。
【0157】
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メ
チル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASFジャパン社製)、KAYACURE DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬株式会社製)、ユベクリルP36(UCB社製)、Speedcure TPO(ジフェニル−2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド)、Speedcure TPO(ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキシド)(以上、Lambson社製)などが挙げられる。
【0158】
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0159】
光重合開始剤の含有量は、放射線硬化型インクジェットインク組成物の総質量に対して、0.5質量%以上15質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。光重合開始剤の含有量が前記範囲であれば、紫外線硬化速度が十分大きく、かつ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色が殆どない。上述したように、インクジェット組成物に含まれる光重合開始剤がアシルホスフィンオキサイド化合物および/またはチオキサントン化合物である場合には、前記アシルホスフィンオキサイド化合物の含有量は、放射線硬化型インクジェットインク組成物の総質量に対して2質量%以上であることが好ましい。一方、前記チオキサントン化合物の含有量は、放射線硬化型インクジェットインク組成物の総質量に対して1質量%以上であることが好ましい。
【0160】
なお、前述のモノマーとして光重合性の化合物を用いることで、光重合開始剤の添加を省略することが可能であるが、光重合開始剤を用いた方が、重合の開始を容易に調整することができ、好適である。
【0161】
1.2.4.界面活性剤
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェットインク組成物は、界面活性剤をさらに含むことができる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤(市販品としては、例えば、BYK UV3500、UV3570(ビックケミー・ジャパン社製商品名))、アクリル系界面活性剤(BYK350(ビックケミー・ジャパン社製商品名))が挙げられる。これらの中でも、シリコーン系界面活性剤を含むことにより、表面張力低下能に優れ、記録媒体に対する濡れ性を上げ、ベタ埋まりにより優れ、また表面張力を調整しやすい。
【0162】
界面活性剤の含有量は、放射線硬化型インクジェットインク組成物の総質量(100質量%)に対し、0.01質量%以上2質量%であることが好ましく、0.05質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。界面活性剤の含有量が前記範囲にあることにより、記録媒体への濡れ性により優れ、ヘッドノズルプレートの撥液性を良好に保ち、吐出安定性により優れるものとできる。
【0163】
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物が好ましく用いられ、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。また、市販品を用いることでき、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)が挙げられる。
【0164】
1.2.5.分散剤
放射線硬化型インクジェットインク組成物は、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、アベシア(Avecia)社やノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000など)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
【0165】
1.2.6.その他の添加剤
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェットインク組成物は、必要に応じて、重合禁止剤、光増感剤、重合禁止剤などの添加剤をさらに含んでもよい。
【0166】
<重合禁止剤>
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェットインク組成物は、重合禁止剤としてヒンダードアミン化合物やその他のものをさらに含んでもよい。その他の重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p−メトキシフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ヒドロキノン、クレゾール、t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、および4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0167】
重合禁止剤の合計の含有量は、インクジェットインク組成物の総質量(100質量%)に対して、好ましくは0.05質量%以上0.5質量%、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。
【0168】
<光増感剤>
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェットインク組成物は、光増感剤をさらに含んでもよい。光増感剤としては、アミン化合物(脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、ピ
ペリジン、エポキシ樹脂とアミンの反応生成物、トリエタノールアミントリアクリレートなど)、尿素化合物(アリルチオ尿素、o−トリルチオ尿素など)、イオウ化合物(ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩など)、ニトリル系化合物(N,N−ジエチル−p−アミノベンゾニトリルなど)、リン化合物(トリ−n−ブチルフォスフィン、ナトリウムジエチルジチオフォスファイドなど)、窒素化合物(ミヒラーケトン、N−ニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとジアミンの縮合物など)、塩素化合物(四塩化炭素、ヘキサクロロエタンなど)などが挙げられる。
【0169】
1.2.7.物性
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェットインク組成物の20℃における粘度は、好ましくは25mPa・s以下であり、より好ましくは5〜20mPa・sである。組成物の20℃における粘度が前記範囲にあると、ノズルから組成物が適量吐出され、組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
【0170】
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェットインク組成物の20℃における表面張力は、好ましくは20mN/m以上30mN/m以下である。組成物の20℃における表面張力が前記範囲にあると、組成物が撥液処理されたノズルに濡れにくくなる。これにより、ノズルから組成物が適量吐出され、組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートを組成物で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
【0171】
また、本実施形態に係る放射線硬化型インクジェットインク組成物は、吐出安定性や保存安定性の観点により、インクの溶存酸素濃度が10kPa以下であることが好ましい。インクの存酸素濃度が10kPa以下であることにより、ヘッド内でのキャビテーションが発生しにくくなり、より吐出安定性に優れる画像記録方法を提供できる。溶存酸素量の測定方法は、以下に限らないが、例えば、ポーラログラフ方式で測定することができ、例えば、セントラル科学株式会社製、DOメーターUC−12−SOL型を用いて測定することができる。なお、インクは、ヘッドのノズルより吐出されるときに溶存酸素量が10kPa以下であればよく、また、インクの調製を行った時点(インクを製造した時点)において、溶存酸素量が10kPa以下としてもよい。インクの溶存酸素量は、下限は、限られるものではないが、1kPa以上が好ましく、3kPa以上がより好ましい。上限は、8kPa以下がより好ましく、6kPa以下がさらに好ましい。溶存酸素量が上記範囲であると、ヘッドから吐出される際の吐出安定性や保存安定性が一層すぐれる。
【0172】
インクの溶存酸素量は、例えば、インク調製の際の溶存酸素量を低減させるための処理として後述する処理を行うことで上記範囲にすることができる。
【0173】
1.2.8.インクの製造方法
インクジェットインク組成物の製造(調製)は、インクが含有する各成分を混合し、成分が充分均一に混合するよう撹拌することにより製造することができる。本実施形態において、インクの調製は、調製の過程において、光重合開始剤と重合性化合物の少なくとも一部とを混合した混合物に対して脱気処理を施す工程を有することが好ましい。これによ
り、調製後のインクの溶存酸素量を低減することができ、吐出安定性や保存安定性に優れた組成物とすることができる。上記混合物は、少なくとも上記の成分を含むものであればよく、インクに含まれる他の成分を更に含むものでも良いし、インクに含まれる全ての成分を含むものでもよい。混合物に含む重合性化合物は、インクに含まれる重合性化合物の少なくとも一部であればよい。
【0174】
脱気処理としては公知の方法を使用することができるが、超音波処理、減圧処理、遠心処理、加温処理、不活性ガスのバブリングなどの各種脱気処理の少なくとも何れかを施す工程を有することが好ましい。
【0175】
<超音波処理>
インク調製の際、超音波処理により、光重合開始剤や顔料の粒子の内部や表面に付着して残存していた気泡が粒子から離脱してインク中に放出され、放出した気泡が音波の振動によりインクから追い出される。これにより、ヘッドからインクを吐出した際に、ヘッド内でキャビテーションが発生しにくくなるため、ノズル詰まりによる吐出不良が抑制され、吐出安定性が向上する。
【0176】
超音波処理は、超音波振動子を、インクを収容した容器の中や壁面に設けて行うことができる。GSD150AT(ギンセン社製)、GSD300AT(ギンセン社製)、GSD600AT(ギンセン社製)、GSD1200AT(ギンセン社製)、GSD600MCVP−5(ギンセン社製)、GSD600MCVP−10(ギンセン社製)、GSD600MAT−5(ギンセン社製)、GSD600MAT−10(ギンセン社製)、GSD1200MAT−10(ギンセン社製)、UH−50(エスエムテー社製)、UH−150(エスエムテー社製)、UH−300(エスエムテー社製)、UH−600(エスエムテー社製)、UH−600S(エスエムテー社製)、UH−600SR(エスエムテー社製)、UH−1200SR(エスエムテー社製)、UH−600SR−1(エスエムテー社製)、UH−1200SR−1(エスエムテー社製)、UH−600SR−2(エスエムテー社製)、UH−600SR−3(エスエムテー社製)などの超音波分散機などのような混合物に対し超音波の照射が可能なものを利用して行ってもよいし、超音波洗浄機を利用して行ってもよい。
【0177】
超音波処理の処理時間は、上記の効果を充分得る点やインク調製の効率化の点により、20分以上200分以下であることが好ましく、30分以上100分以下であることがより好ましい。また、超音波処理の超音波の出力は、同様の点で、400W以上1000W以下であることが好ましく、400W以上800W以下であることがより好ましい。また、超音波処理の超音波の周波数は、同様の点で、20kHz以上30kHz以下であることが好ましい。また、超音波処理は減圧下で行ってもよい。減圧処理は後述と同様の方法で行うことができる。
【0178】
超音波処理は、超音波を照射しつつ、または、超音波処理の前または後に、他の処理をさらに行ってもよい。他の処理は、撹拌、加熱、減圧脱気などがあげられる。また、超音波処理を行った混合物に残りの成分を加えたものに、上記の他の処理を行ってもよい。
【0179】
<加温処理>
インクの調製の際、前述の超音波処理を行う混合物として述べた混合物と同様の混合物に対して、超音波処理の代わりにあるいは加えて加温を施す加温処理を施すことにより、超音波処理と同様の効果が得られる。
【0180】
加温は、混合物の温度として30℃以上で行うことが上記の効果を得る点で好ましく、40℃以上で行うことが上記の効果を得る点でより好ましく、40℃以上80℃以下とす
ることがより好ましく、40℃以上75℃以下とすることがさらに好ましい。加温処理の処理時間は、適宜調整することができるが、上記の効果を充分得る点やインク調製の効率化の点で48時間以下であることが好ましく、24時間以下であることがより好ましく、20分以上200分以下であることが好ましい。加温は発熱体から発した熱をインクに直接または間接に付与したり、赤外線などを照射したりすることで行えばよい。
【0181】
加温処理は、加温を行いつつあるいは加温の前や後に、他の処理を更に行ってもよい。他の処理は、撹拌、減圧脱気、超音波などが挙げられる。特に攪拌を行うことが超音波処理の場合と同様に好ましい。
【0182】
<減圧処理>
減圧処理は、前述の混合物や調製後のインクを減圧脱気するものであり、混合物やインク中の光重合開始剤や顔料から離脱し、インク中に放出された気泡をインクから追い出すための処理である。減圧脱気は、減圧ポンプなどを用いて、−50kPa以上−90MPa以下の減圧で行うことが好ましく、−70kPa以上−500kPa以下の減圧で行うことがより好ましい。また、減圧処理は、混合物やインクを攪拌しながら行うことが好ましく、また、超音波を照射したり、加温しながら行うことが好ましい。減圧処理の処理時間は、上記の効果を充分得る点やインク調製の効率化の点により、10分以上100分以下であることが好ましく、15分以上40分以下であることがより好ましい。
【0183】
次に、本実施形態に係る画像記録方法について説明する。
【0184】
1.3.画像記録方法
本実施形態に係る画像記録方法は、上記の最大粒子径が2.5μm以下の顔料を含有するインクジェットインク組成物を用いて、連続走査時間10分間以上で記録を行うものであり、上述のインクジェット記録装置を用いて記録する場合には、記録媒体に上記の放射線硬化型インクジェット組成物を付着させる工程、および、記録媒体上の放射線硬化型インクジェット組成物に対してUV−LED(紫外線発光ダイオード)の光を照射する工程を含む。このようにして、記録媒体上にインクが塗布された箇所に硬化膜が形成される。
【0185】
例えば、図4に記載のプリンター1では、各ラインヘッドK、C、M、Yと対向する記録媒体Sに向けてインクを吐出し付着させる吐出動作により画像記録を行う。次に、各ラインヘッドの搬送方向下流側に配置された仮硬化用照射部420a、420b、420c、420dにより記録媒体Sに紫外線を照射してインクを仮硬化させ、さらに、搬送方向下流側に配置された本硬化用照射部440により、記録媒体Sに紫外線を照射してインクを本硬化させる。
【0186】
ここで、「仮硬化」とは、インクの仮留め(ピニング)を意味し、より詳しくはドット間の滲みの防止やドット径の制御のために、本硬化の前に硬化させることを意味する。一般に、仮硬化における重合性化合物の重合度は、仮硬化の後で行う本硬化による重合性化合物の重合度よりも低い。また、「本硬化」とは、記録媒体上に形成されたドットを、記録物を使用するのに必要な硬化状態まで硬化させることをいう。ここで、本明細書において「硬化」というときは、特に言及のない限り、上記本硬化を意味するものとする。
【0187】
なお、本硬化用照射部440により紫外線が照射されて、インクが本硬化されればよいため、仮硬化用照射部420a、420b、420c、および420dの一部または全部から紫外線を照射せず、本硬化用照射部440より紫外線を照射して硬化動作を終了してもよい。このように、硬化動作は、仮硬化を行わずに本硬化のみを行うものであってもよい。
【0188】
なお、インクの吐出の際は、上述のように、インクの20℃における粘度を、25mPa・s以下とすることが好ましく、5〜20mPa・sとすることがより好ましい。インクの粘度が前記範囲内のものであれば、インクの温度を室温として、あるいはインクを加温せずに吐出させることができる。一方、インクを所定の温度に加温することによって粘度を好ましいものとして吐出させてもよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
【0189】
放射線硬化型インクジェット組成物は、一般にインクジェット用途で使用される水性インク組成物よりも粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。かかる組成物の粘度変動は、液滴サイズの変化および液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。したがって、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。
【0190】
記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート等のプラスチック類およびこれらの表面が加工処理されているもの、ガラス、コート紙等が挙げられる。
【0191】
なお、上述したように、本実施形態に係る画像記録方法は、最大粒子径が2.5μm以下の顔料を含有するインクジェットインク組成物を用いて、連続走査時間10分間以上で記録を行うものであり、連続走査とは、画像記録動作を中断することなく、複数の画像記録動作を連続して行うことを意味する。
【0192】
本実施形態では、プリンター1は、記録媒体の記録幅以上の幅を有するラインヘッドの1パス印刷により記録を行うラインプリンターであるため、ロール状に巻かれた長尺の記録媒体Sに対し、記録動作を連続的に行う。この連続走査の際に、ヘッドに備えられた全てのノズルから連続してインクが吐出されていてもよく、記録画像によって、使用される全ノズル、または、一部のノズルに不吐出時間、つまり、連続走査においてインクが吐出されないタイミングが存在していても構わない。この場合の不吐出時間は、10秒以下であり、好ましくは1秒以下であり、より好ましくは0.1秒以下である。
【0193】
本実施形態に係る画像記録方法では、最大粒子径が2.5μm以下の顔料を含有するインクを用いて連続走査時間10分間以上で記録を行うため、連続走査においてインク中の顔料の凝集や溶存酸素などの影響によるヘッド内でキャビテーションが発生しにくくなり、ノズル詰まりによる吐出不良が低減されて吐出安定性に優れた画像記録方法となる。また、吐出安定性に優れた画像記録方法であるため、高速連続記録が可能となる。
【0194】
また、インクジェット法によるインクを付着させる際には、上述したように、下記式(1)を満たすピエゾインクジェットヘッドを有する装置を用いて、上述のインクを吐出させた場合に、特に本発明による効果が高い。
0.13≦{(1打滴あたりの吐出量)/(インク圧力室の容積)}×100 ・・・(1)
【0195】
式(1)を満たすヘッドは、キャビテーションが発生し易く、インク組成による影響を受けて吐出不良が起こりやすいが、本実施形態では、最大粒子径が2.5μm以下の顔料を含有するインクを使用することで、ヘッド内でキャビテーションが発生しにくくなり、吐出安定性に優れた画像記録方法を提供することができる。また、式(1)を満たすピエゾインクジェットヘッドを用いることにより、細線表現を良好とすることが可能となる。
【0196】
ここで、1打滴あたりの吐出量は、適宜調整することができるが、0.1pl以上20pl以下が好ましく、1pl以上10pl以下がより好ましく、3pl以上9pl以下が
さらに好ましく、5pl以上8pl以下がさらに好ましい。また、インク圧力室の容積は上述のようにすることができる。
【0197】
本実施形態に係る画像記録方法において、下記式(2)を満たすヘッドを用いた場合に、さらに本発明による効果が高い。
0.13≦{(1打滴あたりの吐出量)/(インク圧力室の容積)}×100≦0.50 ・・・(2)
【0198】
なお、{(1打滴あたりの吐出量)/(インク圧力室の容積)}×100の値は、0.40以下が好ましく、0.30以下がより好ましく、0.20以下がさらに好ましく、0.18以下がさらに好ましい。また、0.14以上0.17以下で効果が高く、0.15以上0.16以下でより効果が高い。
【0199】
硬化工程においては、記録媒体上に塗布された組成物がUV−LEDの光の照射によって硬化する。つまり、記録媒体上に形成されたインクの塗膜が、UV−LEDの光の照射によって硬化膜となる。これは、インクに含まれ得る光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、および塩基などの活性種(開始種)を発生し、光重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進されるためである。あるいは、紫外線の照射によって、重合性化合物の光重合反応が開始するためである。このとき、インク中において光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
【0200】
また、紫外線源としてUV−LEDを使用することで、装置の小型化やコストの低下を実現できる。紫外線源としてのUV−LEDは、小型であるため、インクジェット記録装置内に取り付けることができる。例えば、インクを吐出するヘッドが搭載されているキャリッジ(媒体幅方向に沿った両端および/又は媒体搬送方向側)に取り付けることができる。さらに、上述のインクの組成に起因して低エネルギーかつ高速での硬化を実現できる。照射エネルギーは、照射時間に照射強度を乗じて算出される。そのため、照射時間を短縮することができ、画像記録速度が増大する。一方、照射強度を減少させることもできる。これにより、記録物の温度上昇を低減できるので、硬化膜の低臭気化にも繋がる。
【0201】
照射エネルギーは、硬化膜の臭気を低減する観点から、50〜1000mJ/cmが好ましく、100〜700mJ/cmがより好ましく、200〜600mJ/cmが特に好ましい。
【0202】
照射強度は、硬化膜の臭気を低減する観点から、10〜1000mW/cmが好ましく、30〜700mW/cmがより好ましく、50〜500mW/cmが特に好ましい。
【0203】
また、記録時の記録媒体の温度は、好ましくは45℃未満、より好ましくは40℃以下、特に好ましくは35℃以下である。記録時の記録媒体の温度を前記範囲とすることで、記録媒体の温度が上述の組成物における単官能モノマーのmol平均Tgよりも小さくなるため、塗膜を形成した後の大気中へのモノマーの揮発が抑制され、低臭気化を図ることができる。
【0204】
さらに、記録媒体Sへの、吐出時における単位面積当たりのインクの吐出量(付着量、打ち込み量)は、インクの無駄な使用を防止するため、5〜16mg/inchであることが好ましい。
【0205】
なお、上記したように、本実施形態においてプリンター1が脱気手段を備える場合には、インクを各ピエゾインクジェットヘッド100に供給するまでの間に脱気を行い、インクの溶存酸素濃度を低下させてから吐出させる。これにより、ヘッド内のキャビテーションの発生を抑制し、吐出安定性が向上する。また、本実施形態ではラインヘッドを用いており、インクの使用量が多いため、脱気手段を備えると吐出安定性が向上する。
【0206】
2.実施例
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0207】
2.1.インク組成物の調製
まず、顔料、分散剤、各モノマーの一部を秤量して顔料分散用のタンクに入れ、タンクに直径1mmのセラミック製ビーズミルを入れて攪拌することにより、顔料を重合性化合物中に分散させた顔料分散液を得た。次いで、表1に記載のインクY1−Y3の組成となるように、ステンレス製容器である混合物用タンクに、残りのモノマー、重合開始剤、増感剤、重合禁止剤および界面活性剤を入れ、混合攪拌して完全に溶解させた後、上記で得られた顔料分散液を投入して、さらに常温で1時間混合撹拌し、さらに、後述する孔径の異なる各種フィルターで加圧ろ過することにより、インク中に含まれる粗大粒子の大きさを制御した実施例1−9および比較例1−5を得た。なお、各インクは、ろ過した後に、後述の脱酸素処理を行うことにより、インク中の溶存酸素濃度を調整した。
【0208】
【表1】
【0209】
表中で使用した略号の成分は、以下の通りである。
<顔料>
・PY155(C.I.ピグメントイエロー 155)
・PY180(C.I.ピグメントイエロー 180)
<モノマー>
・VEEA(商品名、株式会社日本触媒製、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル)
・PEA(商品名「ビスコート#192、大阪有機化学工業株式会社製、フェノキシエチルアクリレート」)
・DPGDA(商品名「SR508」、サートマー・ジャパン株式会社製、ジプロピレングリコールジアクリレート)
・IBX−A(商品名、大阪有機化学株式会社製、イソボルニルアクリレート)
<重合開始剤および増感剤>
・TPO(商品名「DAROCUR TPO」、BASF社製、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)
・819(商品名「IRGACURE 819」、BASF社製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)
・DETX(商品名「KAYACURE DETX−S」、日本化薬株式会社製、ビス(2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン)
<重合禁止剤>
・MEHQ(商品名「p−メトキシフェノール」、関東化学株式会社製、ヒドロキノンモノメチルエーテル)
<界面活性剤(スリップ剤)>
・BYK−UV3500(商品名、BYK Additives&Instruments社製、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)
【0210】
なお、表1に記載の、顔料アスペクト比と顔料平均粒子径は、下記の方法により測定した。
【0211】
<顔料アスペクト比の測定方法>
走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社日立ハイテクノロジーズ製、電界放出形走査電子顕微鏡 S−4500)による観察より算出した。まず、写真用紙上に、インクサンプルを滴下し、薄く広げた上で、乾燥したものを試料とした。次に、SEMにより、視野内の粒子を撮影して、顔料粒子50個について、その長い方の径(長径)と、短い方の径(短径)の長さをそれぞれ測定し、長径の平均値/短径の平均値をアスペクト比とした。
【0212】
<顔料平均粒子径の測定方法>
レーザー回析・散乱型粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、マイクロトラックUPA150)を用いて、顔料の平均粒子径を測定した。まず、各インクサンプルを、EDGAC(エチルジグリコールアセテート)で希釈した。次に、UPA150を用いて、粒子径分布測定を実施し、測定結果からD50を求め、その値を平均粒子径とした。
【0213】
インクY1−Y3において、インク中に含まれる粗大粒子の大きさと溶存酸素濃度を調整することにより、下記表2に記載の実施例および比較例とした。
【0214】
【表2】
【0215】
<フィルター条件>
A:日本ポール株式会社製、プロファイルII 孔径10.0μm
B:日本ポール株式会社製、プロファイルII 孔径5.0μm
C:日本ポール株式会社製、プロファイルII 孔径1.5μm
D:日本ポール株式会社製、プロファイルII 孔径1.0μm
E:日本ポール株式会社製、プロファイルII 孔径0.5μm
F:日本ポール株式会社製、ウルチプリーツ 孔径0.45μm
【0216】
<脱酸素処理条件>
脱気A:減圧撹拌脱気 (−90kPa、15分、300rpm)
脱気B:真空超音波脱気 (−90kPa、30分、25kHz)
加熱A:インクエージング (70℃、24時間加熱)
脱気Aでは、攪拌機構と減圧ポンプを備えた装置に得られたインクを投入して密封し、真空ポンプで−90kPaまで減圧しながら、300rpmで15分間減圧攪拌した。脱気Bでは、超音波振動子を備えたタンク(真空超音波脱気装置、VSD−101、チヨダエレクトリック株式会社製)に得られたインクを投入して密閉し、真空ポンプで−90kPaまで減圧しながら、28kHzの超音波を30分間放射した。加熱Aでは、得られたインクを密閉容器に入れ、70℃に設定したオーブンに入れて24時間加熱処理を行った。
【0217】
2.2.評価方法
2.2.1.インク中の粗大粒子径の測定
得られたインクサンプルを、EDGAC(エチルジグリコールアセテート)で3000倍に希釈し、アキュサイザー780APS(株式会社ピーエスエスジャパン製)に希釈したサンプルを20ml投入して、下記の条件で粗大粒子径を測定した。
<アキュサイザー条件>
・注入サンプル量:20ml
・流速:1ml/s
・チャンネル数:128
・測定原理:光遮蔽法による個数カウント方式
・最大粒子径の定義:粗大粒子数が、400個/20mlを超えた時点の粒子径を最大粒子径として定義。
【0218】
2.2.2.インクの溶存酸素濃度(DO値)の測定
インクの溶存酸素濃度の測定は、セントラル科学株式会社製、DOメーターUC−12−SOL型を用いて測定した。
【0219】
2.2.3.連続印刷の評価
ラインプリンターとして、SurePress L-4033A(セイコーエプソン社製)を以下のように改造して用いた。図4に示すようにラインヘッド(記録媒体の画像が記録されるべき幅(記録幅)にほぼ相当する長さを有するヘッド)を4個、記録媒体の搬送方向に並べて構成し、各ヘッドの搬送方向下流に光源を配置した。なお、ラインプリンターによる記録では、図4に示すヘッド及び光源のうち、ヘッドKと仮硬化用照射部420a、本硬化用照射部440を使用し、その他のものは使用しなかった。なお、搬送ドラム260はアルミニウム製とし、搬送ドラム260の直径を500mm、印刷速度を285mm/秒、ドラム回転周期を5.5秒とした。ヘッドは、ノズル列の被記録媒体幅方向のノズル密度が600dpiのものを用いた。
【0220】
ヘッドKから、PETフィルム(TORAY製ルミラーS10(厚み100μm))に向けて、記録解像度600dpi×600dpi及び1パス(シングルパス)の条件で、表1に示すインク組成物を吐出した。このとき、硬化後の膜厚が10μmとなるよう、画素当たりのインク滴量を調整した。このようにしてベタパターン画像を形成した。なお、当該「ベタパターン画像」とは、記録解像度で規定される最小記録単位領域である画素の全ての画素に対してドットを記録し、パターンにおける記録媒体の地が全てインクで覆われている画像を意味する。
【0221】
このベタパターン画像を、10分間連続で印刷し、印刷前と印刷後にそれぞれノズルチェックを行い、ノズルの抜け、曲りの本数がどれだけ増えたかを評価して連続印刷時の吐出安定性の指標とした。
(評価基準)
◎:ノズル抜け、曲がりノズル数が0本。
○:ノズル抜け、曲がりノズル数が1〜5本。
△:ノズル抜け、曲がりノズル数が6〜10本。
×:ノズル抜け、曲がりノズル数が11本以上。
【0222】
なお、PETフィルムに付着したインクには光源から紫外線を照射し、インク組成物を硬化させた。具体的には、まず光源420aとして、ピーク波長395nm及び照射ピーク強度500mW/cmのLEDを用いた。当該LEDから、照射エネルギーが20mJ/cmである紫外線を照射し、仮硬化を行った。また、光源440として、ピーク波長395nm及び照射ピーク強度1,500mW/cmのLEDを用いた。当該LEDから、照射エネルギーが400mJ/cmである紫外線を所定時間照射して、ベタパターン画像を硬化させた。このようにして、上記ベタパターン画像が硬化した膜厚10μmの硬化膜を得た。なお、指触試験により硬化膜表面のタック感がなくなったことを確認した。
【0223】
使用したプリンターのヘッドは、図3に示す、(1打滴あたりの吐出量)/(インク圧力室の容積)}×100が0.16であるヘッドと、当該ヘッドよりも圧力室の容積が大きく、ノズル密度をより低いものとした、(1打滴あたりの吐出量)/(インク圧力室の容積)}×100が0.12であるヘッドを用いた。
【0224】
2.2.4.発色の評価
<ベタパターンのOD値>
上記連続印刷評価に用いたベタパターンの硬化膜のOD値(OD−Y)をSpectrolino(Gretag社製)を用いて測定し、発色評価の指標とした。
(評価基準)
◎:OD値が、1.9以上。
○:OD値が、1.7以上1.9未満。
△:OD値が、1.5以上1.7未満。
×:OD値が、1.5未満
【0225】
2.2.5.耐光性の評価
得られた印字画像について、キセノンフェードメーター(東洋精機社製、商品名:サンテストXLS+)により、50℃の環境で照度320W/mの出力で400時間照射した。色相評価は、上記ベタ印字画像の初期の色および耐光性試験投入後の色を、Macbeth CE−7000分光光度計(Macbeth製)で測定し、CIEで規定されている色差表示法のL***表色系の座標を求めた。測定したL***値から印字画像の初期の色と耐光性評価後の色との色差を求め、以下の評価基準で評価した。なお、色差は次式で定義される。
色差:△E*ab=[(△L*+(△a*+(△b*1/2
(評価基準)
○:△E*ab≦5
△:5<△E*ab≦10
×:10<△E*ab
【0226】
2.3.評価結果
各実施例および比較例の評価結果を表2に示す。
【0227】
表2に記載の実施例1を基準として各実施例および比較例を見てみると、顔料の最大粒子径が2.5μm以下である実施例では、いずれも10分間の連続印刷後においてもノズル抜け、曲がりノズル数が少なく、吐出安定性に優れていた。特に、インク中の溶存酸素濃度が低い実施例1−3、5−9では、ノズル抜け、曲がりノズル数が見られなかった。これに対し、顔料の最大粒子径が2.5μmを超える比較例1−4では、10分間の連続印刷後においてノズル抜け、曲がりノズル数が多数見られ、吐出安定性に劣っていた。
【0228】
脱酸素処理を行っていない実施例4、9において、実施例4ではインク中の溶存酸素濃度が高く、他の実施例よりも連続印刷における吐出安定性が多少劣る結果となったが、実施例9では{(1打滴あたりの吐出量)/(インク圧力室の容積)}×100が0.12のヘッドを用いたため、溶存酸素濃度が高いことによる影響を受けなかった。
【0229】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0230】
1…プリンター、10…ノズルプレート、12…ノズル孔、13…ノズル面、20…圧力
室、30…振動板、32…圧電素子、34…圧電アクチュエーター、40…インク供給室、100…ピエゾインクジェットヘッド、110…連通板、120…圧力室基板、126…供給口、127…連通孔、128…吐出口、130…筐体、132…接続部、140…コンプライアンスシート、150…カバー、200…搬送ユニット、300…ヘッドユニット、400…照射ユニット、500…コントローラー、600…検出器群、700…プコンピューター、S…記録媒体
図1
図2
図3
図4