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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-226269(P2017-226269A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】自動車の前部フレーム構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20171201BHJP
   B60R 19/24 20060101ALI20171201BHJP
   B62D 21/15 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   B62D25/08 D
   B60R19/24 Q
   B62D21/15 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-122340(P2016-122340)
(22)【出願日】2016年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鮎澤 正太郎
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB15
3D203BB16
3D203BB17
3D203BB18
3D203CA23
3D203CA24
3D203CA29
3D203CA34
3D203CA45
3D203CA57
3D203CA68
3D203CA74
3D203CA75
3D203CB09
3D203CB22
3D203DA22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フロアパネルの前部に設けられた前部フレームの衝突エネルギー吸収効果を高める。
【解決手段】自動車のフロアパネルの前部に固定されたメインフレーム21と、メインフレーム21の前端の屈曲部13から前方かつ車幅方向外側に延びる傾斜フレーム15と、前方の頂部16から後方に向かって車幅方向内外にV字状に拡開する内側フレーム17および外側フレーム18よりなるV字状フレーム22とを備え、内側フレーム17は屈曲部13の後方のメインフレーム21に接続されるとともに外側フレーム18は屈曲部13の前方の傾斜フレーム15に接続され、V字状フレーム22の頂部16にバンパービームエクステンション23を介してバンパービーム24の車幅方向外端が支持され、スモールオーバーラップ衝突時に傾斜フレーム15がメインフレーム21の前端の屈曲部13から車幅方向外側に折れ曲がることで、衝突エネルギーを効果的に吸収することができる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のフロアパネル(11)の前部に固定されたメインフレーム(21)と、前記メインフレーム(21)の前端の屈曲部(13)から前方かつ車幅方向外側に延びる傾斜フレーム(15)と、前方の頂部(16)から後方に向かって車幅方向内外にV字状に拡開する内側フレーム(17)および外側フレーム(18)よりなるV字状フレーム(22)とを備え、前記内側フレーム(17)は前記屈曲部(13)の後方の前記メインフレーム(21)に接続されるとともに、前記外側フレーム(18)は前記屈曲部(13)の前方の前記傾斜フレーム(15)に接続され、前記V字状フレーム(22)の頂部(16)にバンパービームエクステンション(23)を介してバンパービーム(24)の車幅方向外端が支持されることを特徴とする自動車の前部フレーム構造。
【請求項2】
前記傾斜フレーム(15)は、前記屈曲部(13)から後方かつ車幅方向内側に延びる傾斜フレーム延長部(15a)を一体に備え、前記メインフレーム(21)は前後方向に延びる前後フレーム(12)と前記傾斜フレーム延長部(15a)とで構成されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車の前部フレーム構造。
【請求項3】
前記内側フレーム(17)および前記外側フレーム(18)は車幅方向内面あるいは車幅方向外面に脆弱部(17a,18a)を備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の自動車の前部フレーム構造。
【請求項4】
車幅方向両端が後方に屈曲するクロスメンバ(19)で左右の前記内側フレーム(17)間が接続され、かつ前記内側フレーム(17)の前端および前記傾斜フレーム(15)の前端間が連結部材(20)で接続されることを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の自動車の前部フレーム構造。
【請求項5】
前記傾斜フレーム(15)および前記傾斜フレーム延長部(15a)は中空閉断面部材であり、前記前後フレーム(12)の後端と前記傾斜フレーム延長部(15a)の後端とは、前記フロアパネル(11)の前端に車幅方向に配置されたダッシュクロスメンバ(14)に接続されてトラス構造を構成することを特徴とする、請求項2に記載の自動車の前部フレーム構造。
【請求項6】
前記前後フレーム(12)は、中空閉断面の上部部材(27)と、前記上部部材(27)の下面に重ね合わされる下部部材(28)とからなり、前記下部部材(28)の後端は前記ダッシュクロスメンバ(14)を挟んで前記フロアパネル(11)の前端に接続されることを特徴とする、請求項2の自動車の前部フレーム構造。
【請求項7】
前記フロアパネル(11)の前端の起立壁(11b)に埋設したカラー(36a)に前記ダッシュクロスメンバ(14)が後方から機械的に締結され、前記下部部材(28)の後端に形成した切欠き(28a)が前記ダッシュクロスメンバ(14)の前面および下面にそれぞれ前方および下方から機械的に締結され、前記フロアパネル(11)の前記起立壁(11b)に連続する傾斜壁(11a)に埋設したカラー(37)に前記切欠き(28a)の下方の傾斜部(28b)が後方から機械的に締結されることを特徴とする、請求項6に記載の自動車の前部フレーム構造。
【請求項8】
前記内側フレーム(17)の後端と前記傾斜フレーム延長部(15a)との接続部において、複数のナット(48)を固定したプレート(49)が前記内側フレーム(17)および前記傾斜フレーム延長部(15a)の一方の内面に固定され、他方を貫通する複数のボルト(51)が前記ナット(48)に螺合することを特徴とする、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の自動車の前部フレーム構造。
【請求項9】
前記屈曲部(13)において前記傾斜フレーム(15)、前記前後フレーム(12)および前記内側フレーム(17)が上部連結部材(45)および下部連結部材(46)で上下から挟まれて締結され、前記上部連結部材(45)および前記下部連結部材(46)の側方で前記傾斜フレーム延長部(15a)に前記内側フレーム(17)が前記ボルト(5
1)および前記ナット(48)で締結されることを特徴とする、請求項8に記載の自動車の前部フレーム構造。
【請求項10】
前記前後フレーム(12)の前端は平面視で斜めに切断されて前記傾斜フレーム(15)の後面に突き合わされ、前記前後フレーム(12)の車幅方向外面および前記傾斜フレーム(15)の後面に跨がる断面L字状のブラケット(43)より接続されることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の自動車の前部フレーム構造。
【請求項11】
前記傾斜フレーム延長部(15a)の後端はブラケット(40)を介して前記ダッシュクロスメンバ(14)の前面および上面に機械的に締結されることを特徴とする、請求項5に記載の自動車の前部フレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアパネルの前端に設けられた左右一対の前部フレームによりバンパービームの車幅方向両端部を支持する自動車の前部フレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体前部に配置された左右一対のサイドメンバ11(フロントサイドフレーム)が、フロアパネルから前方に向かって延びる高強度の補強部分11Rと、補強部分11Rの前端から屈曲して前方かつ車幅方向外方に延びる前方部分11Fとを備え、左右の前方部分11Fの前端間を車幅方向に延びるバンパーレインフォース12(バンパービーム)で連結したものが、下記特許文献1により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−170862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のものは、スモールオーバーラップ衝突によりバンパーレインフォース12の車幅方向一端部だけに衝突荷重が入力したとき、サイドメンバ11の前方部分11Fが補強部分11Rに対して車幅方向外側に大きく折れ曲がることで、衝突エネルギーを効果的に吸収することを狙っている。しかしながら、実際には、サイドメンバ11の前方部分11Fが車幅方向外側に折れ曲がろうとすると、前方部分11Fの前端に接続されたバンパーレインフォース12が突っ張って抵抗するため、サイドメンバ11の前方部分11Fは充分に折れ曲がることができず、衝突エネルギーの吸収効果が有効に発揮されない可能性がある。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、フロアパネルの前部に設けられた前部フレームの衝突エネルギー吸収効果を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、自動車のフロアパネルの前部に固定されたメインフレームと、前記メインフレームの前端の屈曲部から前方かつ車幅方向外側に延びる傾斜フレームと、前方の頂部から後方に向かって車幅方向内外にV字状に拡開する内側フレームおよび外側フレームよりなるV字状フレームとを備え、前記内側フレームは前記屈曲部の後方の前記メインフレームに接続されるとともに、前記外側フレームは前記屈曲部の前方の前記傾斜フレームに接続され、前記V字状フレームの頂部にバンパービームエクステンションを介してバンパービームの車幅方向外端が支持されることを特徴とする自動車の前部フレーム構造が提案される。
【0007】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記傾斜フレームは、前記屈曲部から後方かつ車幅方向内側に延びる傾斜フレーム延長部を一体に備え、前記メインフレームは前後方向に延びる前後フレームと前記傾斜フレーム延長部とで構成されることを特徴とする自動車の前部フレーム構造が提案される。
【0008】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記内側フレームおよび前記外側フレームは車幅方向内面あるいは車幅方向外面に脆弱部を備えることを特徴とする自動車の前部フレーム構造が提案される。
【0009】
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、車幅方向両端が後方に屈曲するクロスメンバで左右の前記内側フレーム間が接続され、かつ前記内側フレームの前端および前記傾斜フレームの前端間が連結部材で接続されることを特徴とする自動車の前部フレーム構造が提案される。
【0010】
また請求項5に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記傾斜フレームおよび前記傾斜フレーム延長部は中空閉断面部材であり、前記前後フレームの後端と前記傾斜フレーム延長部の後端とは、前記フロアパネルの前端に車幅方向に配置されたダッシュクロスメンバに接続されてトラス構造を構成することを特徴とする自動車の前部フレーム構造が提案される。
【0011】
また請求項6に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記前後フレームは、中空閉断面の上部部材と、前記上部部材の下面に重ね合わされる下部部材とからなり、前記下部部材の後端は前記ダッシュクロスメンバを挟んで前記フロアパネルの前端に接続されることを特徴とする自動車の前部フレーム構造が提案される。
【0012】
また請求項7に記載された発明によれば、請求項6の構成に加えて、前記フロアパネルの前端の起立壁に埋設したカラーに前記ダッシュクロスメンバが後方から機械的に締結され、前記下部部材の後端に形成した切欠きが前記ダッシュクロスメンバの前面および下面にそれぞれ前方および下方から機械的に締結され、前記フロアパネルの前記起立壁に連続する傾斜壁に埋設したカラーに前記切欠きの下方の傾斜部が後方から機械的に締結されることを特徴とする自動車の前部フレーム構造が提案される。
【0013】
また請求項8に記載された発明によれば、請求項1〜請求項7の何れか1項の構成に加えて、前記内側フレームの後端と前記傾斜フレーム延長部との接続部において、複数のナットを固定したプレートが前記内側フレームおよび前記傾斜フレーム延長部の一方の内面に固定され、他方を貫通する複数のボルトが前記ナットに螺合することを特徴とする自動
車の前部フレーム構造が提案される。
【0014】
また請求項9に記載された発明によれば、請求項8の構成に加えて、前記屈曲部において前記傾斜フレーム、前記前後フレームおよび前記内側フレームが上部連結部材および下部連結部材で上下から挟まれて締結され、前記上部連結部材および前記下部連結部材の側方で前記傾斜フレーム延長部に前記内側フレームが前記ボルトおよび前記ナットで締結されることを特徴とする自動車の前部フレーム構造が提案される。
【0015】
また請求項10に記載された発明によれば、請求項8または請求項9の構成に加えて、前記前後フレームの前端は平面視で斜めに切断されて前記傾斜フレームの後面に突き合わされ、前記前後フレームの車幅方向外面および前記傾斜フレームの後面に跨がる断面L字状のブラケットより接続されることを特徴とする自動車の前部フレーム構造が提案される。
【0016】
また請求項11に記載された発明によれば、請求項5の構成に加えて、前記傾斜フレーム延長部の後端はブラケットを介して前記ダッシュクロスメンバの前面および上面に機械的に締結されることを特徴とする自動車の前部フレーム構造が提案される。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の構成によれば、自動車のフロアパネルの前部に固定されたメインフレームと、メインフレームの前端の屈曲部から前方かつ車幅方向外側に延びる傾斜フレームと、前方の頂部から後方に向かって車幅方向内外にV字状に拡開する内側フレームおよび外側フレームよりなるV字状フレームとを備え、内側フレームは屈曲部の後方のメインフレームに接続されるとともに、外側フレームは屈曲部の前方の傾斜フレームに接続され、V字状フレームの頂部にバンパービームエクステンションを介してバンパービームの車幅方向外端が支持されるので、スモールオーバーラップ衝突の衝突荷重がバンパービームからバンパービームエクステンションを介してV字状フレーム頂部に入力し、V字状フレーム頂部から外側フレームを介して傾斜フレームに伝達されたとき、傾斜フレームがメインフレームの前端の屈曲部から車幅方向外側に折れ曲がることで、衝突エネルギーを効果的に吸収することができる。このときV字状フレームの内側フレームおよび外側フレームも折れ曲がり、かつ内側フレームおよび外側フレームのV角が増加するように変形することで、エネルギー吸収量を増加させることができる。
【0018】
また請求項2の構成によれば、傾斜フレームは、屈曲部から後方かつ車幅方向内側に延びる傾斜フレーム延長部を一体に備え、メインフレームは前後方向に延びる前後フレームと傾斜フレーム延長部とで構成されるので、メインフレームの剛性を高めて前面衝突時に傾斜フレームを屈曲部において確実に折り曲げることができる。
【0019】
また請求項3の構成によれば、内側フレームおよび外側フレームは車幅方向内面あるいは車幅方向外面に脆弱部を備えるので、フルラップ衝突時に内側フレームおよび外側フレームが相互に逆方向にく字状に折れ曲がり、エネルギー吸収量が増加する。
【0020】
また請求項4の構成によれば、車幅方向両端が後方に屈曲するクロスメンバで左右の内側フレーム間が接続され、かつ内側フレームの前端および傾斜フレームの前端間が連結部材で接続されるので、スモールオーバーラップ衝突により車幅方向外側に曲げ変形する左右一方の傾斜フレームに引っ張られて、左右一方の内側フレームも車幅方向外側に曲げ変形することで、エネルギー吸収量が増加する。しかも車幅方向外側に曲げ変形する左右一方の内側フレームにクロスメンバを介して接続された左右他方の内側フレームが傾斜フレームと共に車幅方向内側に曲げ変形することで、エネルギー吸収量が更に増加する。
【0021】
また請求項5の構成によれば、傾斜フレームおよび傾斜フレーム延長部は中空閉断面部材であり、前後フレームの後端と傾斜フレーム延長部の後端とは、フロアパネルの前端に車幅方向に配置されたダッシュクロスメンバに接続されてトラス構造を構成するので、トラス構造により前後フレームおよび傾斜フレーム延長部のフロアパネルに対する倒れ剛性が高まることで、高強度の単一部材である傾斜フレームおよび傾斜フレーム延長部を屈曲部で確実に折り曲げることができ、しかも衝突荷重をフロアパネルの広い範囲に分散することができる。
【0022】
また請求項6の構成によれば、前後フレームは、中空閉断面の上部部材と、上部部材の下面に重ね合わされる下部部材とからなり、下部部材の後端はダッシュクロスメンバを挟んでフロアパネルの前端に接続されるので、前後フレームの上部部材がフロアパネルの上端よりも高い位置にあっても下部部材をフロアパネルに接続することができるだけでなく、前後フレームから入力する衝突荷重をダッシュクロスメンバを介してフロアパネルの全体に分散することができる。
【0023】
また請求項7の構成によれば、フロアパネルの前端の起立壁に埋設したカラーにダッシュクロスメンバが後方から機械的に締結され、下部部材の後端に形成した切欠きがダッシュクロスメンバの前面および下面にそれぞれ前方および下方から機械的に締結され、フロアパネルの起立壁に連続する傾斜壁に埋設したカラーに切欠きの下方の傾斜部が後方から機械的に締結されるので、メインフレームを車室側から締結することが可能なって作業性が向上するだけでなく、前後フレームをダッシュクロスメンバおよびフロアパネルに強固に固定することができる。
【0024】
また請求項8の構成によれば、内側フレームの後端と傾斜フレーム延長部との接続部において、複数のナットを固定したプレートが内側フレームおよび傾斜フレーム延長部の一方の内面に固定され、他方を貫通する複数のボルトがナットに螺合するので、内側フレームおよび傾斜フレーム延長部にナットを溶接できない場合であっても、それらをボルトおよびナットで支障なく締結することができる。
【0025】
また請求項9の構成によれば、屈曲部において傾斜フレーム、前後フレームおよび内側フレームが上部連結部材および下部連結部材で上下から挟まれて締結され、上部連結部材および下部連結部材の側方で傾斜フレーム延長部に内側フレームがボルトおよびナットで締結されるので、上部連結部材および下部連結部材で補強された屈曲部を傾斜フレーム延長部および内側フレームの締結部で更に補強し、傾斜フレームを屈曲部で確実に折り曲げることができる。
【0026】
また請求項10の構成によれば、前後フレームの前端は平面視で斜めに切断されて傾斜フレームの後面に突き合わされ、前後フレームの車幅方向外面および傾斜フレームの後面に跨がる断面L字状のブラケットより接続されるので、上部連結部材および下部連結部材とブラケットとの協働で斜めに交差する前後フレームおよび傾斜フレームを強固に接続し、傾斜フレームを屈曲部で確実に折り曲げることができる。
【0027】
また請求項11の構成によれば、傾斜フレーム延長部の後端はブラケットを介してダッシュクロスメンバの前面および上面に機械的に締結されるので、傾斜フレーム延長部の後端およびダッシュクロスメンバの高さがずれていても、そのずれをブラケットで吸収して強固に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】自動車の車体前部の骨格の斜視図。
図2図1の2方向矢視図。
図3図1の3方向矢視図。
図4図2の4−4線断面図。
図5図2の5方向矢視図。
図6図2の6−6線断面図。
図7図2の7−7線断面図。
図8】スモールオーバーラップ衝突時の作用説明図。
図9】フルラップ衝突時の作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図1図9に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、本明細書における前後方向、左右方向(車幅方向)および上下方向は運転席に着座した乗員を基準として定義される。
【0030】
図1図3に示すように、CFRP(カーボン繊維強化樹脂)製のフロアパネル11の前面に設けられる金属製の前部フレームは、フロアパネル11の前面から前方に延びる左右一対の前後フレーム12,12と、前方かつ車幅方向外方から後方かつ車幅方向内方に傾斜して配置され、その中間の屈曲部13,13において左右の前後フレーム12,12の前端に接続されるとともに、その後半の傾斜フレーム延長部15a,15aがフロアパネル11の前面に車幅方向に配置されたダッシュクロスメンバ14に接続される左右一対の傾斜フレーム15,15と、前方の頂部16,16から後方かつ車幅方向内方に延びて後端が屈曲部13,13の後方の傾斜フレーム延長部15a,15aに接続される左右一対の内側フレーム17,17と、前方の頂部16から後方かつ車幅方向外方に延びて後端が屈曲部13,13の前方の傾斜フレーム15,15に接続される左右一対の外側フレーム18,18と、車幅方向両端部が後方に屈曲する金属パイプ材で構成されて左右の内側フレーム17,17間を連結するクロスメンバ19と、内側フレーム17,17および外側フレーム18,18の前端および傾斜フレーム15,15の前端間を連結する金属板材よりなる左右一対の連結部材20,20とを備える。
【0031】
傾斜フレーム15の屈曲部13よりも後方の傾斜フレーム延長部15aと前後フレーム12とは、前方から後方に向けてV字状に拡開するメインフレーム21を構成する。内側フレーム17と外側フレーム18とは、前方の頂部16から後方に向けてV字状に拡開するV字状フレーム22を構成しており、内側フレーム17の車幅方向内外面には切欠きよりなる脆弱部17a,17aが形成され、外側フレーム18の車幅方向内面には切欠きよりなる脆弱部18aが形成される。
【0032】
更に前部フレームは、左右のV字状フレーム22,22の頂部16,16に接続された左右一対のバンパービームエクステンション23,23と、左右のバンパービームエクステンション23,23に両端部を接続されて車幅方向に延びるバンパービーム24と、左右のバンパービームエクテンション23,23間に支持された四角枠状のフロントバルクヘッド25と、前後フレーム12,12の下面に接続されて図示せぬフロントサスペンションを支持するフロントサブフレーム26とを備える。
【0033】
図4に示すように、前後フレーム12は、日字状断面を有する押出し材よりなる上部部材27と、上部部材27の下面に重ね合わされたダイキャスト材よりなる下部部材28とからなり、下部部材28の上部のU字状断面部に上部部材27に嵌合してボルト29…で締結される。上部部材27の後端に設けられたブラケット30がダッシュクロスメンバ14の上面にボルト31で上方から締結され、下部部材28の後端に形成されたL字状の切欠き28aがダッシュクロスメンバ14に嵌合し、前方からボルト32…で締結されて下方からボルト33…で締結される。
【0034】
またフロアパネル11はアウタースキン34およびインナースキン35を外周部で接着した中空部材であり、その前端には内部に波板状のコア11cを収納した傾斜壁11aと、アウタースキン34およびインナースキン35が直接接着されて傾斜壁11aの前端から起立する起立壁11bとを備える。起立壁11bの後面に当接する当て板36から突出して起立壁11bに埋設されるカラー36aを後から前に貫通するボルト38,38がダッシュクロスメンバ14に螺合し、かつ傾斜壁11aの内部に埋設されるカラー37を斜め上から斜め下に貫通するボルト39,39が下部部材28の切欠き28aの下方の傾斜部28bに螺合する。
【0035】
図1および図6に示すように、傾斜フレーム15および傾斜フレーム延長部15aは目字状断面を有する押出し材からなり、傾斜フレーム延長部15aの後端に設けたY字状断面のブラケット40が、ダッシュクロスメンバ14の上面および前面にボルト41…およびボルト42…で締結される。
【0036】
図3図5に示すように、傾斜フレーム15の屈曲部13の後面および前面には前後フレーム12の前端および内側フレーム17の後端が重ね合わされ、それらを上下から挟む板状の上部連結部材45および下部連結部材46がボルト47…で締結される。
【0037】
このとき、メインフレーム21の前後フレーム12の前端は斜めに切断されて傾斜フレーム15の屈曲部13の後面に突き合わされ、前後フレーム12の車幅方向外面および傾斜フレーム15の後面に当接するL字状のブラケット43がボルト44…で締結される(図2参照)。
【0038】
図5に示すように、上部連結部材45および下部連結部材46を締結するボルト47…の後方における傾斜フレーム延長部15aの内面に、予め複数のナット48…を溶接した金属製のプレート49が配置され、傾斜フレーム延長部15aの前面を貫通する皿頭ネジ50…で締結される。目字状断面を有する内側フレーム17の後部は斜めに切断されており、その後壁を貫通する複数本のボルト51…が傾斜フレーム延長部15aの前壁を貫通してナット48…に螺合する。
【0039】
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
【0040】
フロアパネル11の前端に固定されるメインフレーム21は、ダッシュクロスメンバ14から前方に延びる前後フレーム12と、ダッシュクロスメンバ14から前方かつ車幅方向外方に延びて前後フレーム12の前端に接続される傾斜フレーム延長部15aとによりトラス構造を構成するので、メインフレーム21はフロアパネル11に強固に固定されて倒れ剛性が高められる。
【0041】
特に、前後フレーム12の前端は平面視で斜めに切断されて傾斜フレーム15の後面に突き合わされ、前後フレーム12の車幅方向外面および傾斜フレーム15の後面に跨がる断面L字状のブラケット43により接続されるので(図2参照)、上部連結部材45および下部連結部材46とブラケット43との協働で斜めに交差する前後フレーム12および傾斜フレーム15を強固に接続することができる。
【0042】
しかも、屈曲部13において傾斜フレーム15、前後フレーム12およびV字状フレーム22の内側フレーム17が上部連結部材45および下部連結部材46で上下から挟まれて締結され、かつ上部連結部材45および下部連結部材46の側方で傾斜フレーム延長部15aに内側フレーム17が締結されるので、上部連結部材45および下部連結部材46で補強された屈曲部13を傾斜フレーム延長部15aおよび内側フレーム17の締結で更に補強し、屈曲部13の強度・剛性を更に高めることができる。
【0043】
このとき、内側フレーム17の後端と傾斜フレーム延長部15aとの接続部において、複数のナット48…を予め固定したプレート49が傾斜フレーム延長部15aの内面に固定され、内側フレーム17を貫通する複数のボルト51…がナット48…に螺合するので、傾斜フレーム延長部15aにナット48…を溶接できない場合であっても、それらをボルト51…およびナット48…で支障なく締結することができる。
【0044】
図8に示すように、自車の前面の車幅方向一端部だけが前走車等に衝突するスモールオーバーラップ衝突時に、その衝突荷重がバンパービーム24からバンパービームエクステンション23を介して左右一方のV字状フレーム22の頂部16に入力し、V字状フレーム22の頂部16から外側フレーム18を介して傾斜フレーム15に伝達されたとき、傾斜フレーム15がメインフレーム21の前端の屈曲部13において車幅方向外側に折れ曲がることで、衝突エネルギーを効果的に吸収することができる。このとき、傾斜フレーム15および傾斜フレーム延長部15aは一体に連続する中空閉断面部材であるため、傾斜フレーム15および傾斜フレーム延長部15aの境界の屈曲部13において折れ曲がる際のエネルギー吸収量が増加する。
【0045】
更に、メインフレーム21に伝達された衝突荷重が、メインフレーム21を構成する前後フレーム12および傾斜フレーム延長部15aに分散されてダッシュクロスメンバ14に伝達され、ダッシュクロスメンバ14からフロアパネル11の広い範囲に分散されるので、フロアパネル11の一部に衝突エネルギーが集中するのを回避してエネルギー吸収性能を高めることができる。
【0046】
また傾斜フレーム15が車幅方向外側に折れ曲がるのに伴い、V字状フレーム22の頂部13における内側フレーム17および外側フレーム18間のV角が増加するように変形することで、更なるエネルギー吸収が可能になる。
【0047】
しかも、車幅方向両端が後方に屈曲するクロスメンバ19で左右の内側フレーム17,17間が接続され、かつV字状フレーム22の前端および外側フレーム18の前端間が連結部材20で接続されるので、スモールオーバーラップ衝突により左右一方の傾斜フレーム15が車幅方向外側に移動すると、この傾斜フレーム15に連結部材20を介して連結されたV字状フレーム22の内側フレーム17の前端が車幅方向外側に移動することで、車幅方向両端部が屈曲するクロスメンバ19が引き伸ばされながら車幅方向他方のV字状フレーム22の内側フレーム17を引っ張り、車幅方向他方のV字状フレーム22および傾斜フレーム15が変形することで、更なるエネルギー吸収が可能になる。
【0048】
また図9に示すように、自車の前面全体が前走車等の後面に重なるように衝突するフルラップ衝突時には、バンパービーム24からバンパービームエクステンション23を介してV字状フレーム22の頂部16に入力する衝突荷重により、V字状フレーム22の内側フレーム17および外側フレーム18がそれぞれ脆弱部17a,17a,18aにおいて相互に離反する方向に折れ曲がって衝突エネルギーを吸収する。
【0049】
このとき、前後フレーム12は中空閉断面の上部部材27と、上部部材27の下面に重ね合わされる下部部材28とからなり、下部部材28の後端はダッシュクロスメンバ14を挟んでフロアパネル11の前端に接続されるので、前後フレーム12の上部部材27がフロアパネル11の上端よりも高い位置にあっても下部部材28をフロアパネル11に接続することができるだけでなく、前後フレーム12から入力する衝突荷重をダッシュクロスメンバ14を介してフロアパネル11の全体に分散することができる。
【0050】
しかも、フロアパネル11の前端の起立壁11bに埋設したカラー36aにダッシュクロスメンバ14が後方からボルト38…で締結され、下部部材28の後端に形成した切欠き28aがダッシュクロスメンバ14の前面および下面にそれぞれ前方および下方からボルト32…,33…で締結され、フロアパネル11の起立壁11bに連続する傾斜壁11aに埋設したカラー37に切欠きの下方の傾斜部28bが後方からボルト39…で締結されるので、メインフレーム21を車室側から締結することが可能なって作業性が向上するだけでなく、前後フレーム12をダッシュクロスメンバ14およびフロアパネル11に強固に固定することができる。
【0051】
更に、傾斜フレーム延長部15aの後端はブラケット40を介してダッシュクロスメンバ14の前面および上面にボルト41…,42…で締結されるので、傾斜フレーム延長部15aの後端およびダッシュクロスメンバ14の高さがずれていても、そのずれをブラケット40で吸収して強固に接続することができる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0053】
例えば、実施の形態ではナット48…を有するプレート49を傾斜フレーム延長部15a側に設けているが。それを内側フレーム17側に設けても良い。
【符号の説明】
【0054】
11 フロアパネル
11a 傾斜壁
11b 起立壁
12 前後フレーム
13 屈曲部
14 ダッシュクロスメンバ
15 傾斜フレーム
15a 傾斜フレーム延長部
16 頂部
17 内側フレーム
17a 脆弱部
18 外側フレーム
18a 脆弱部
19 クロスメンバ
20 連結部材
21 メインフレーム
22 V字状フレーム
23 バンパービームエクステンション
24 バンパービーム
27 上部部材
28 下部部材
28a 切欠き
28b 傾斜部
36a カラー
37 カラー
40 ブラケット
43 ブラケット
45 上部連結部材
46 下部連結部材
48 ナット
49 プレート
51 ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9