【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る作業車の特徴構成は、機体に対して一体的に保持された状態で支持される主燃料タンクと、
前記主燃料タンクに対して補助的に備えられ、且つ、機体に対して支持機構を介して支持される副燃料タンクとが備えられ、
前記支持機構が、
機体フレームから固定延設されたフレーム部材と、
前記副燃料タンクを載置支持するとともに、前記副燃料タンクがネジ止め固定される受け板部材と、
前記副燃料タンクを上方から押えるとともに、両側端部が前記フレーム部材に連結された浮き上がり防止用のバンド部材と、
前記フレーム部材に設けられて機体の振動を吸収する振動吸収部材とを備えている点にある。
【0008】
本発明によれば、副燃料タンクは、受け板部材に載置支持されてネジ止め固定される。また、両側端部がフレーム部材に連結されたバンド部材によって副燃料タンクが上方から押えられて保持される。受け板部材はフレーム部材に載置されることになる。
受け板部材は副燃料タンクを載置支持するだけの簡素な構成であり、このような受け板部材とバンド部材という簡単な構造の支持機構により副燃料タンクを機体に支持させることができる。
【0009】
フレーム部材に振動を吸収する振動吸収部材が設けられるので、例えば、搭載されるエンジン等が発生する振動は、振動吸収部材によって吸収されて受け板部材に伝わり難くなる。その結果、副燃料タンクが受け板部材にネジ止め固定される箇所が振動に起因して外れてしまう等の不利を回避できる。尚、振動吸収部材としては、フレーム部材から受け板部材に向けて延び、相対的な微小変位を許容するような剛性の低い連結部材、あるいは、フレーム部材と受け板部材と間に介在する、例えばゴム等の弾性体等がある。
【0010】
従って、副燃料タンクの支持構造を簡素なものにしながら、機体に振動が発生しても長期にわたり良好に副燃料タンクを支持することが可能となった。
【0011】
本発明においては、前記主燃料タンクと前記副燃料タンクとが機体横幅方向に並んで位置する状態で備えられ、
前記主燃料タンクの下部に設けられた供給口からエンジンに燃料を供給する主燃料供給路と、前記主燃料供給路の途中部に連通接続されて、前記副燃料タンクの下部に設けられた供給口から前記エンジンに燃料を供給する副燃料供給路と、前記副燃料供給路中に設けられ、前記副燃料タンクから前記エンジン側への燃料の流動を許容し、逆方向の流動を阻止する逆止弁とが備えられ、
前記主燃料供給路と前記副燃料供給路との接続箇所、前記主燃料供給路の前記供給口から前記接続箇所までの経路部分、及び、前記副燃料供給路の前記供給口から前記接続箇所までの経路部分の夫々が、前記主燃料タンク及び前記副燃料タンクの下端部と略同じ高さに設定されていると好適である。
【0012】
本構成によれば、主燃料タンクの下部の供給口から主燃料供給路における接続箇所までの経路部分を通してエンジンに燃料が供給される。一方、副燃料タンクの下部の供給口から副燃料供給路における接続箇所までの経路部分を通してエンジンに燃料が供給される。接続箇所と夫々の経路部分が、主燃料タンク及び副燃料タンクの下端部と略同じ高さに設定されているので、主燃料タンク及び副燃料タンクが燃料残量が少なくなっても、経路部分には燃料が残るので、空気が流入して燃料供給が滞る等の不利がなく、燃料供給を円滑に行える。又、燃料を補給する際には、副燃料供給路中に逆止弁が設けられるので、主燃料タンクに対して燃料を供給しても、副燃料タンク側に流入することがない。そこで、主燃料タンクに燃料が満量になるまで供給した後に、副燃料タンクに対しても燃料が満量になるまで供給することができる。
【0013】
本発明においては、機体が、エンジンと、前記エンジンの後部に連結されたクラッチハウジングと、前記クラッチハウジングの後部に連なるミッションケースとを備え、
前記主燃料供給路の前記供給口から前記接続箇所までの経路部分、及び、前記副燃料供給路の前記供給口から前記接続箇所までの経路部分の夫々が、前記クラッチハウジングの下側に位置する状態で備えられていると好適である。
【0014】
本構成によれば、主燃料タンク及び副燃料タンク夫々におけるエンジンに対する燃料供給が行われる経路部分が、クラッチハウジングの下側の領域を利用して車体の低い箇所に備えられる。主燃料タンクと副燃料タンクはクラッチハウジングの左右両側の空き領域を利用して、重量バランスのよい状態で車体の左右両側に振り分け配備することができる。
【0015】
本発明においては、機体前部に備えられたボンネットの内部に、エンジンと、前記エンジンからの排気を前記ボンネットの側壁部の下部を通して外方に案内する排気管とが備えられ、
前記ボンネットの側壁部の下端部に前記排気管との間の隙間を確保するために凹入する切欠部が形成され、
前記排気管における前記ボンネットの側壁部よりも外方に露出する部位の外方側を覆う遮熱カバーが備えられ、
前記遮熱カバーに、前記ボンネットの前記切欠部の横側外方を覆う縦向き延設部が備えられていると好適である。
【0016】
本構成によれば、排気管が、ボンネットの内部からボンネットの側壁部の下部を通して外方に露出するように延設されている。ボンネットの側壁部の下端部には、切欠部が形成されて、ボンネットの下端部と排気管との間に隙間が確保されており、ボンネットが排気管の熱による影響を受け難い。
【0017】
排気管におけるボンネットよりも外方に露出する部位が遮熱カバーにより覆われるので、排気管の熱が遮熱カバーによって遮られて外方に放出されることを防止できる。ボンネットは、エンジン周りのメンテナンスのために大きく開放操作可能に設けられるものである。そして、ボンネットを開閉操作させるときに、ボンネットの側壁部の下端部に切欠部が形成されていると、その切欠部に手を引っ掛けて開閉操作させようとすることが考えられる。本構成では、遮熱カバーに切欠部の横側外方を覆う縦向き延設部が備えられるので、ボンネットの開閉させるために切欠部の下方に手を差し入れることはできない。その結果、排気管の影響により高温になっている切欠部に誤って手で触ることを未然に防止できる。
【0018】
本発明においては、機体の運転部の上方を覆うキャビンが備えられ、
前記キャビンの天井部は、上部外方側に位置する第一板部材と、下部内方側に位置する第二板部材とを備え、且つ、前記第一板部材と前記第二板部材との間に内部空間を形成する状態で、前記第一板部材と前記第二板部材の外周部同士が接続され、
前記第一板部材及び前記第二板部材夫々の外周部は、所定幅にわたって前記第一板部材及び前記第二板部材の板面同士が接続され、
前記第一板部材は、前記第二板部材の外周部に接続される連結用板面部分と、前記第二板部材の外端面を覆う外端側覆い部分とが一連に連なる状態で設けられていると好適である。
【0019】
本構成によれば、キャビンの天井部が上下中間部に内部空間を形成する状態で上下2枚の板部材にて構成されるので、軽量でありながら強度が大きく且つ断熱効果も高いものになる。しかも、天井部における第一板部材及び第二板部材夫々の外周部は、所定幅にわたって第一板部材及び第二板部材の板面同士が接続され、第一板部材は、第二板部材の外周部に接続される連結用板面部分と、第二板部材の外端面を覆う外端側覆い部分とが一連に連なる状態で設けられている。
【0020】
すなわち、第一板部材及び第二板部材とが所定幅にわたって板面同士が接続されるので接続強度が大きくなり、第一板部材は、第二板部材の外周部に接続される連結用板面部分から一連に連なる状態で第二板部材の外端面を覆う外端側覆い部分を備えるので、第一板部材と第二板部材との合わせ面部分のうち外方に臨む箇所が下向き状態となるので、雨水等が合わせ面部分から侵入するおそれが少ない。
【0021】
従って、水分の侵入による損傷のおそれが少なく、かつ、第一板部材と第二板部材との間での接続強度も大きくなり、キャビンの耐久性が向上する。