【解決手段】内気排出装置50は、作業機のキャビン内の空気を内部に取り入れる取入口59が形成された側壁54,55と、取入口59から内部に取り入れられた空気を排出する排出部58とを有するケース51と、側壁54,55に取り付けられた取付部81と、取付部81に対して揺動自在に設けられ且つキャビンの内圧の増減に応じて揺動することにより取入口59を開閉する揺動部82とを有する可動板52と、を備え、揺動部52は、取入口59に面して形成され且つ突出部85を有する。
前記揺動部は、前記取入口側に形成され且つ前記内圧を受ける受圧面と、当該受圧面と反対側に形成され且つ前記ケースの内部に突出する突出部とを含んでいる請求項1に記載の内気排出装置。
前記突出部は、前記取入口に直交する方向から見て、前記取入口面積の50%以上の範囲にて前記取入口とオーバーラップしている請求項1又は2に記載の内気排出装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図17は、作業機1として例示されるトラクタ1の側面図である。
以下、トラクタ1の運転席8に着座した運転者の前側(
図17の左側)を前方、運転者の後側(
図17の右側)を後方、運転者の左側(
図17の手前側)を左方、運転者の右側(
図17の奥側)を右方として説明する。また、トラクタ1の前後方向K1(
図17参照)に直交する方向である水平方向K2(
図18参照)を幅方向として説明する。また、
図18の矢印K3方向を幅方向外方、
図18の矢印K4方向を幅方向内方として説明する。幅方向外方とは、トラクタ1の幅方向中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向である。言い換えれば、幅方向外方とは、幅方向K2であってトラクタ1の幅方向中央部から離れる方向のことである。幅方向内方とは、幅方向外方とは反対の方向である。言い換えれば、幅方向内方とは、幅方向K2であってトラクタ1の幅方向中央部に近づく方向である。
【0009】
トラクタ1は、エンジン2、ミッションケース3等を連結して構成された走行車体4と、左及び右の前輪6と、左及び右の後輪7とを有する。走行車体4の前部には、前車軸フレーム5及びボンネット11が設けられている。
前車軸フレーム5は、エンジン2から前方に延出して設けられている。ボンネット11は、開閉自在に設けられており、走行車体4の前部にエンジンルームを形成している。エンジンルームには、エンジン2、ラジエータ12、空冷用機器等が収容されている。
【0010】
走行車体4の後部には、キャビン14が搭載されている。キャビン14の内部には、運転席8が設けられている。
図18に示すように、運転席8は、左の後輪7の上方を被う後輪フェンダ10Lと、右の後輪7の上方を被う後輪フェンダ10Rとの間に設けられている。運転席8の前方には、ステアリングホイール9が設けられている。運転席8の右方には、操縦部13が設けられている。
【0011】
キャビン14は、キャビン枠15と、天井部材16と、底部板17とを有する。
キャビン枠15は、走行車体4に対して固定されている。キャビン枠15は、前支柱18、後支柱19、中間支柱20、上横部材21、下横部材22、上後部材23、下後部材24等を有している。前支柱18は、運転席8の左前方と右前方にそれぞれ設けられている。後支柱19は、運転席8の左後方と右後方にそれぞれ設けられている。中間支柱20は、左の前支柱18と左の後支柱19との間、及び、右の前支柱18と右の後支柱19との間にそれぞれ設けられている。上横部材21は、前支柱18の上部と、後支柱19の上部と、中間支柱20の上部とを連結している。下横部材22は、後支柱19の下部と、中間支柱20の下部とを連結している。上後部材23は、左と右の後支柱19の上部同士を連結している。下後部材24は、左と右の後支柱19の下部同士を連結している。
【0012】
中間支柱20には、ドア25が蝶番を介して縦軸回り回動自在に支持されている。ドア25は、略全面がガラスから形成されている。前支柱18と中間支柱20との間には乗降口が形成されており、ドア25を開放することによって乗降口からキャビン14内への昇降が可能になる。左と右の前支柱18の間にはフロントガラスが設けられている。中間支柱20と後支柱19との間にはサイドガラス27が設けられている。左と右の後支柱19の間には開閉自在なリヤガラス28が設けられている。
【0013】
天井部材16は、キャビン枠15上部に設けられている。天井部材16は、アウタルーフとインナルーフとを合わせて構成されており、内部にエアコン装置30が配置されている。キャビン14の内部に面するインナルーフには、エアコン装置30からのエアーをキャビン14内に吹き出すエアー吹き出し口が多数形成されている。
底部板17は、キャビン14の底面を構成しており、左の後輪フェンダ10Lと右の後輪フェンダ10Rとを連結している。底部板17の後部上面には、フロアシート26を介して運転席8が支持されている。
【0014】
図13に示すように、後輪フェンダ10Rは、後輪7の幅方向内方において底部板17から上方に向けて立ち上がる立ち上がり部37と、後輪7の上方に設けられた横板部38と、立ち上がり部37の上端と横板部38の幅方向内方端とをつなぐ傾斜部39とを有している。
図13及び
図18に示すように、操縦部13は、運転席8の右方に設けられている。操縦部13は、キャビン14内において、後輪フェンダ10Rの横板部38の上方から立ち上がり部37の左方(幅方向内方)にわたって設けられている。具体的には、操縦部13は、横板部38の上方に設けられて当該横板部38よりも左方(幅方向内方)に延びる上板部41と、上板部41の左端(幅方向内方端)から立ち上がり部37の左方を通って下方に延びる側板部42とを有している。
【0015】
操縦部13には、複数の操作レバー(第1レバー31〜第6レバー36)が揺動可能に設けられている。第1レバー31及び第2レバー32は、操縦部13の後部に設けられている。第3レバー33〜第6レバー36は、操縦部13の前部に設けられている。本実施形態の場合、第1レバー31はドラフトレバーである。第2レバー32はポジションレバーである。第3レバー33は主変速レバーである。第4レバー34は副変速レバーである。第5レバー35はハンドアクセルレバーである。第6レバー36は、トラクタ1の油圧機器を操作する補助コントロールレバーである。尚、操縦部13に設けられる操作レバーの種類、数、配置は、適宜変更することができる。
【0016】
操縦部13の上板部41には、キャビン14の外部に連通する連通口40が形成されている。連通口36は、後輪フェンダ10Rの上板部38よりも幅方向内方に設けられている。上板部41の上面には、内気排出装置50が設置されている。内気排出装置50は、連通口40を上方から覆う位置に配置されている。
内気排出装置50は、エアコン装置30の外気導入運転等によってキャビン14内の圧力(内圧)が設定値を超えて増加したときに、キャビン14内の空気(内気)を外部に排出する装置である。
<内気排出装置>
以下、内気排出装置50の構成について説明する。
【0017】
図1〜
図5は、内気排出装置50を立体形状に組み立てた状態を示している。
図6は、内気排出装置50を平板状に展開した状態を示している。先ず、
図1〜
図5に基づいて、内気排出装置50を組み立てた状態について説明する。
内気排出装置50は、ケース51と、ケース51の内部に配置された可動板52とを有している。
【0018】
先ず、ケース51の構成について説明する。
本実施形態では、ケース51は、天板53と、4つの側壁(第1側壁54、第2側壁55、第3側壁56、第4側壁57)と、排出部58と、を備えている。
天板53は、ケース53の上部を構成しており、長方形状に形成されている。天板53は、4対(8つ)の押さえ片64を有している。後述するように、押さえ片64は、可動板52の上端部を側壁(第1側壁54、第2側壁55)の内面に押え付ける部分である。押さえ片64は、天板53の下面から下方に突出している。4対(8つ)の押さえ片64のうち、第1の対の押さえ片64Aは、天板53の左前部に設けられている。第2の対の押さえ片64Bは、天板53の左後部に設けられている。第3の対の押さえ片64Cは、天板53の右前部に設けられている。第4の対の押さえ片64Dは、天板53の右後部に設けられている。
【0019】
第1側壁54、第2側壁55、第3側壁56、第4側壁57は、ケース53の側部を構成している。第1側壁54及び第2側壁55は、長方形状に形成されている。第3側壁56及び第4側壁57は、上辺が下辺に比べて長い等脚台形状に形成されている。第1側壁54、第2側壁55、第3側壁56、第4側壁57は、上端が天板53の4つの辺(外縁)にそれぞれ接続されている。具体的には、第1側壁54の上端及び第2側壁55の上端は、天板53の対向する2辺にそれぞれ接続されている。第3側壁56の上端及び第4側壁57の上端は、天板53の対向する残りの2辺にそれぞれ接続されている。これにより、第1側壁54と第2側壁55とが対向して配置されており、第3側壁56と第4側壁57とが対向して配置されている。また、隣り合う側壁(第1側壁54と第3側壁56、第2側壁55と第3側壁56、第2側壁55と第4側壁57、第1側壁54と第4側壁57)は、互いに接続されている。
【0020】
内気排出装置50は、例えば、第1側壁54が左方(幅方向内方)、第2側壁55が右方(幅方向右方)、第3側壁56が前方、第4側壁57が後方をそれぞれ向いて、キャビン14内に設置される。以下、便宜上、この設置状態(向き)に基づいて内気排出装置50の説明を行うが、内気排出装置50の設置の向きは適宜変更することができる。
図2及び
図5に示すように、第1側壁54と第2側壁55とは、上方に移行するに従って互いに離間するように傾斜している。第1側壁54及び第2側壁55は、キャビン14内の空気をケース51内部に取り入れる取入口59を有している。本実施形態では、取入口59は略長方形状に形成されているが、取入口59の形状は限定されず、例えば、円形や楕円形等であってもよい。取入口59の数についても限定されず、例えば、第1側壁54と第2側壁55のいずれか一方のみに取入口59を設けてもよい。
【0021】
第1側壁54及び第2側壁55の内面側(ケース51内部側)の上端部には、合計4つの支持ピン63が設けられている。第1支持ピン63Aは、第1側壁54の上端部の前側に設けられている。第2支持ピン63Bは、第1側壁54の上端部の後側に設けられている。第3支持ピン63Cは、第2側壁55の上端部の前側に設けられている。第4支持ピン63Dは、第2側壁55の上端部の後側に設けられている。支持ピン63は、ケース51の内部に向けて突出している。第1支持ピン63Aは、第1の対の押さえ片64Aに挟まれている。第2支持ピン63Bは、第2の対の押さえ片64Bに挟まれている。第3支持ピン63Cは、第3の対の押さえ片64Cに挟まれている。第4支持ピン63Dは、第4の対の押さえ片64Dに挟まれている。支持ピン63及び押さえ片64は、取入口59の上方に位置している。
【0022】
第1側壁54の内面及び第2側壁55の内面には、それぞれ挟持片65、66(外挟持片65、内挟持片66)と、補強リブ67とが設けられている。挟持片65、66(外挟持片65、内挟持片66)は、第1側壁54の前端部及び後端部と、第2側壁55の前端部及び後端部に、それぞれ設けられている。外挟持片65と内挟持片66との間に、第3側壁56の縁部(左縁部と右縁部)と、第4側壁57の縁部(左縁部と右縁部)とが挟持される。具体的には、第1側壁54の前端部に設けられた外挟持片65と内挟持片66との間に、第3側壁56の左縁部が挟持される。第2側壁55の前端部に設けられた外挟持片65と内挟持片66との間に、第3側壁56の右縁部が挟持される。第1側壁54の後端部に設けられた外挟持片65と内挟持片66との間に、第4側壁56の左縁部が挟持される。第2側壁55の後端部に設けられた外挟持片65と内挟持片66との間に、第3側壁56の右縁部が挟持される。
【0023】
第1側壁54の前端部に設けられた内挟持片66の下端部と、第1側壁54の後端部に設けられた内挟持片66の下端部とは、補強リブ67により連結されている。
第1側壁54及び第2側壁55の外挟持片65の下部には、それぞれ係止孔68が設けられている。係止孔68は、外挟持片65を貫通している。
第3側壁56及び第4側壁57は、取付フランジ60と連結リブ61とを有する。取付フランジ60は、操縦部13の上板部41に対して取り付けられる部分である。取付フランジ60は、ケース51の左下部と右下部にそれぞれ設けられている。左側の取付フランジ60は第3側壁56の下端から左方に突設されており、右側の取付フランジ60は第4側壁57の下端から右方に突設されている。取付フランジ46を、操縦部13の上板部41に対して、締結具(ボルト、ナット)62により締め付けて固定することにより、ケース51が上板部41の上面に固定される。
【0024】
第3側壁56及び第4側壁57の外端縁部(左縁部と右縁部)の下部には、それぞれ係合突片69が設けられている。
図7に示すように、係合突片69は、外挟持片65に設けられた係止孔68に係合されている。
排出部58は、取入口59からケース51の内部に取り入れられた空気を、ケース51の外部に排出する部分である。排出部58は、ケース53の下部に設けられている。排出部58は、4つの側壁54、55、56、57の下端部により囲まれた矩形の開口部である。ケース51を操縦部13の上板部41に設置した状態において、排出部58は、上板部41の連通口40に重なる。これにより、ケース51の内部から排出部58を通ってケース51の外部に排出された空気は、連通孔40を通ってキャビン14の外部に排出される。尚、図示しないが、排出部58をケース51の側部(例えば、第3側壁56又は第4側壁57)や上部(例えば、天板53)に設けてもよい。この場合、ケース51の下部は底板により塞がれ、連通口40の位置は排出部58を重ねることが可能な位置(例えば、側板部42等)に設けられる。
【0025】
以下、
図6に基づいて、内気排出装置50を展開した状態について説明する。
本実施形態では、ケース51は合成樹脂により一体に成形されている。詳しくは、
図6に示すように、ケース51は、天板53、第1側壁54、第2側壁55、第3側壁56、第4側壁57が、平面状に展開した状態で合成樹脂により一体成形されている。天板53と第1側壁54とは、第1連結部71により連結されている。天板53と第2側壁55とは、第2連結部72により連結されている。天板53と第3側壁56とは、第3連結部73により連結されている。天板53と第4側壁56とは、第4連結部74により連結されている。第1連結部71、第2連結部72、第3連結部73、第4連結部74は、天板53、第1側壁54、第2側壁55、第3側壁56、第4側壁57よりも肉薄に形成されており、屈曲可能である。
【0026】
第1連結部71、第2連結部72、第3連結部73、第4連結部74を屈曲して、天板53に向けて第1側壁54、第2側壁55、第3側壁56、第4側壁57を立ち上げた後、側壁(第1側壁54〜第4側壁57)の縁部を外挟持片65と内挟持片66との間に挟持し、係合突片69を係止孔68に係合することにより、展開した状態のケース51を立体形状に組み立てることができる。但し、本発明において、ケース51は、合成樹脂により一体に成形されたものに限定されず、例えば、板金でプレス成形したものであってもよい。
【0027】
次に、可動板52の構成について説明する。
可動板52は、ケース51の側壁(第1側壁54、第2側壁55)に取り付けられて、キャビン14の内圧の増減に応じて揺動することにより取入口59を開閉する。
可動板52は、ケース51とは別体の部材であり、ゴムや軟質合成樹脂等の可撓性又は弾性を有する素材(屈曲可能な素材)から形成されている。可動板52が、可撓性又は弾性を有する素材から形成されていることにより、ケース51が合成樹脂製である場合には、ケース51に対する可動板52の取り付けの負荷が低減される。また、可動板52をゴム等の弾性素材から形成した場合は、可動板52の閉鎖時にケース51に対する衝突音を低減することができる。
【0028】
図5及び
図6に示すように、本実施形態では、可動板52は、第1可動板52Aと第2可動板52Bとを含む。第1可動板52Aは、第1側壁54に形成された取入口59を開閉する。第2可動板52Bは、第2側壁55に形成された取入口59を開閉する。尚、本実施形態では、可動板52の数は2つであるが、可動板52の数は取入口59の数に対応して設定される。例えば、取入口59が第1側壁54のみに設けられている場合は、可動板52は第1可動板52Aのみでよい。また、取入口59が3つ以上設けられる場合は、可動板52も取入口59に対応して3つ以上設けられる。
【0029】
図5に示すように、第1側壁54と第2側壁55、及び、第1可動板52Aと第2可動板52Bとは、操縦部13の上板部41に直交し且つ第1側壁54と第2側壁55との中間を通る軸Xを挟んで対称に形成することが好ましい。これにより、第1可動板52Aの揺動と第2可動板52Bの揺動とを同期させることができ、内気の排出を安定して行うことが可能となる。
【0030】
以下、可動板52の構成について説明する。第1可動板52Aと第2可動板52Bとに共通する構成については、可動板52と称してまとめて説明する。
図9A及び
図9Bに示すように、可動板52は、取付部81と揺動部82とを有する。可動板52は、本実施形態では全体(取付部81及び揺動部82)が中実に形成されているが、中空部分を含んでいてもよい。
【0031】
取付部81は、ケース51の側壁(第1側壁54と第2側壁55)に取り付けられる部分である。取付部81は、可動板52の上端部に設けられている。本実施形態では、取付部81は、平板状に形成されており、複数(2つ)の取付孔83を有している。
図4及び
図5に示すように、取付孔83には、第1側壁54及び第2側壁55に設けられた支持ピン63が挿入される。具体的には、第1可動板52Aの2つの取付孔83には、第1支持ピン63A及び第2支持ピン63Bがそれぞれ挿入される。第2可動板52Bの2つの取付孔83には、第3支持ピン63C及び第4支持ピン63Dがそれぞれ挿入される。第1可動板52Aの取付部81は、第1支持ピン63A及び第2支持ピン63Bにより支持された状態で、第1の対の押さえ片64A及び第2の対の押さえ片64Bにより第1側壁54の内面に押さえ付けられる。また、第2可動板52Bの取付部81は、第3支持ピン63C及び第4支持ピン63Dにより支持された状態で、第3の対の押さえ片64C及び第4の対の押さえ片64Dにより第2側壁55の内面に押さえ付けられる。これにより、第1可動板52Aの取付部81は、第1側壁54の内側の取入口59の上方に取り付けられる。また、第2可動板52Bの取付部81は、第2側壁55の内側の取入口59の上方に取り付けられる。
【0032】
揺動部82は、側壁(第1側壁54と第2側壁55)の取入口59に面して設けられる部分である。揺動部82は、取付部81に対して揺動自在に設けられている。揺動部82は、キャビン14の内圧の増減に応じて揺動することにより取入口59を開閉する。詳しくは、揺動部82は、エアコン装置30の外気導入運転等によりキャビン14の内圧が増加したときにはケース51内部に向けて揺動して取入口59を開放する。一方、キャビン14の内圧が減少したときには、揺動部82は、自重により側壁(第1側壁54、第2側壁55)に向けて揺動し、当該側壁の内面に当接して取入口59を閉鎖する。揺動部82は、取付部81の下方に設けられている。
【0033】
図9A及び
図9Bに示すように、揺動部82は、受圧面84と突出部85とを含んでいる。受圧面84は、キャビン14の内圧を受ける面である。本実施形態の場合、受圧面84は、取入口59側に形成されている。受圧面84は、取入口59を閉鎖することができるように、取入口59よりも大きく形成されている。受圧面84の形状(外形)は、取入口59の形状に応じて決定される。本実施形態では、取入口59が略長方形状に形成されており、受圧面84は取入口59よりも一回り大きい略長方形状に形成されている。本実施形態では、受圧面84は平面に形成されている。これにより、受圧面84がキャビン14の内圧を略均等に受けることができる。
【0034】
本実施形態の場合、突出部85は、受圧面84と反対側(ケース51の内部側)に形成されており、ケース51の内部に向けて突出している。突出部85の具体的形状は限定されないが、本実施形態の突出部85は、内面86と、第1移行部87と、第2移行部88と、第1側面89と、第2側面90と、を含んでいる。内面86は、矩形状の平面であって、受圧面84と平行に形成されている。第1移行部87は、内面86の下部から取入口59側(受圧面84側)に向かう(近づく)につれて下方に移行している。第2移行部88は、内面86の上部から取入口59側(受圧面84側)に向かう(近づく)につれて上方に移行している。第1側面89は、受圧面84の前縁(第3側壁56側の縁)と、内面86の前縁と、第1移行部87の前縁と、第2移行部88の前縁とをつなぐように設けられている。第2側面90は、受圧面84の後縁(第4側壁57側の縁)と、内面86の後縁と、第1移行部87の後縁と、第2移行部88の後縁とをつなぐように設けられている。本実施形態では、第1側面89と第2側面90とは等脚台形状の平面であり、互いに平行に設けられている。
【0035】
突出部85は、揺動部82の横方向(
図9Aの矢印K5方向)の全長にわたって設けられている。突出部85が、揺動部82の横方向の全長にわたって設けられている場合、可動板52を効率良く製造できるという利点がある。即ち、この場合、可動板52の製造時において、前記横方向に可動板52の複数枚分の長さを有する長尺物を押出成形等の方法により形成した後、当該長尺物を前記横方向に直角な方向で切断することによって、複数の可動板52を効率良く製造することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態では、第1移行部87は、受圧面84及び内面86に対して傾斜した傾斜面(平面)である。第1移行部87を設けることにより、
図10に示すように、第1可動板52Aと第2可動板52Bとが共にケース51の内部に向けて揺動した場合に、第1可動板52Aの下部と第2可動板52Bの下部とが干渉するまでの可動域を広げることができる。第1移行部87を傾斜面(平面)とする場合、第1可動板52Aの第1移行部87と第2可動板52Bの第1移行部87とが面接触するように、傾斜面の角度を設定することが好ましい。
【0037】
本実施形態では、第2移行部88も、内面86に対して傾斜した傾斜面(平面)である。第1移行部87と第2移行部88は、受圧面84の中心を通る中心軸C1を挟んで対称(線対称)に形成されている。本実施形態の場合、中心軸C1は内面86の中心を通る中心軸と一致している。具体的には、揺動部82は、第1側面89側及び第2側面90側から見て、等脚台形状に形成されている。これにより、揺動部82の重量バランスが良くなるため、揺動部82を安定して揺動させることができる。但し、後述する変更例に示すように、第1移行部87と第2移行部88とが傾斜面(平面)でないものや、中心軸C1を挟んで対称でないものも本発明に含まれる。
【0038】
突出部85は、取入口59に直交する方向(
図5の一点鎖線Cに沿う方向)から見て、取入口59の面積の50%以上(より好ましくは80%以上)の範囲にて、取入口59とオーバーラップしていることが好ましい。これにより、揺動部82にて内圧を均一に受けることができると共に、揺動部82の動きが安定するために取り入れた内気を安定して排出することができる。本実施形態では、突出部85は、取入口59の面積の100%(取入口59の全域)において、取入口59とオーバーラップしている。つまり、取入口59に直交する方向から見て、突出部85が取入口59よりも広い面積で形成されている。
【0039】
揺動部82と取付部81とは、一体成形することが好ましい。揺動部82と取付部81とを一体成形することにより、揺動部82を安定して揺動させることができる。但し、揺動部82を取付部81と別体(別部材)に形成してから、取付部81と一体化してもよい。取付部81と揺動部82とを別体とする場合、取付部81と揺動部82とを異なる素材から形成してもよい。この場合、少なくとも取付部81が可撓性又は弾性を有する素材から形成されていればよい。
【0040】
揺動部82は突出部85を有していることから、揺動部82の厚さ(T2)は取付部81の厚さ(T1)よりも大きくなっている。本実施形態では、揺動部82は、取付部81と一体に且つ取付部81よりも厚肉に形成されている。
取付部81の厚さ(T1)は、屈曲可能な厚さ(例えば、0.5〜1mm程度)に設定される。取付部81が屈曲することによって、揺動部82が取付部81に対して揺動する。揺動部82の厚さ(T2)は、揺動部82が適切に揺動するために必要な重量(自重)に応じて決定される。
【0041】
揺動部82は、キャビン14の内圧が設定値を超えた場合、ケース51の内部に向けて揺動して取入口59を開放する。キャビン14の内圧が設定値以下の場合、揺動部82は、側壁(第1側壁54、第2側壁55)に向けて揺動し、当該側壁の内面に当接することにより取入口59を閉鎖する。キャビン14の内圧の設定値は、トラクタ1の仕様等に応じて設定される。例えば、エアコン装置30の風量を最大に設定したときのキャビン14の内部と外部の差圧が50〜60Paの範囲となるように設定される。
【0042】
揺動部82の受圧面84には、キャビン14の内圧により内方(ケース51内部側)に押される力(押圧力)が作用している。また、揺動部82には、自重によって側壁(第1側壁54、第2側壁55)に向けて揺動しようとする力(復元力)も作用している。押圧力は取入口59を開放する方向に作用し、復元力は取入口59を閉鎖する方向に作用する。揺動部82は、押圧力と復元力とのバランス(大小関係)に応じて揺動して取入口59を開閉する。
【0043】
復元力の大きさは、揺動部82の厚さ(T2)を増減することにより調整することができる。具体的には、揺動部82を厚くして重量を増加した場合、復元力が大きくなる。揺動部82を薄くして重量を減少した場合、復元力が小さくなる。
押圧力の大きさは、上述したキャビン14の内圧の設定値により定まる。具体的には、内圧の設定値が大きい場合は、押圧力が大きくなる。内圧の設定値が小さい場合は、押圧力が小さくなる。
【0044】
従って、内圧の設定値が大きい場合(押圧力が大きい場合)には、揺動部82を厚くして重量を増加させることにより、復元力を大きくする。内圧の設定値が小さい場合(押圧力が小さい場合)には、揺動部82を薄くして重量を減少させることにより、復元力を小さくする。
このように、内圧の設定値に応じて揺動部82の厚さ(突出部85の突出高さ)を調整することにより、押圧力と復元力とのバランスが最適化される。これにより、揺動部82は、キャビン14の内圧が設定値を超えた場合には取入口59を開放し、設定値以下になった場合には取入口59を閉鎖するようになる。
【0045】
取入口59が開放されると、キャビン14内の空気が取入口59からケース51の内部に流入し、排出部58及び連通口40を通ってキャビン14の外部に排出され、キャビン14の内圧が低下する。キャビン14の内圧が低下して設定値になると、取入口59が閉鎖され、キャビン14内の空気の外部への排出が停止する。これにより、キャビン14の内圧が設定値に維持される。
【0046】
図11A〜
図11Cは、可動板52の変更例を示している。
図11A〜
図11Cは、
図9Bと同様に、可動板52を前方又は後方(第3側壁側又は第4側壁側)から見た図である。以下、変更例の可動板について、上述した実施形態の可動板と異なる点についてのみ説明する。
図11Aは、可動板52の第1変更例である。第1変更例の可動板52は、第1移行部87と第2移行部88とが曲面状に形成されている。具体的には、第1移行部87及び第2移行部88は、内面側(受圧面84と反対側)に膨らむ曲面で形成されている。第1移行部87及び第2移行部88を形成する曲面は、例えば、円弧状に形成される。尚、図示しないが、第1移行部87及び第2移行部88を、受圧面84側に凹むように形成してもよい。
【0047】
図11Bは、可動板52の第2変更例である。第2変更例の可動板52は、第1変更例と同様に第1移行部87と第2移行部88が曲面状に形成されており、加えて、内面86も内面側(受圧面84と反対側)に膨出する曲面状に形成されている。これにより、突出部85は、全体として内面側に凸の円弧状に形成されている。
図11Cは、可動板52の第3変更例である。第3変更例の可動板52は、第1移行部87と第2移行部88とが、中心軸C1を挟んで非対称に形成されている。詳しくは、第1移行部87から中心軸C1までの距離と、第2移行部88から中心軸C1までの距離とが異なっている。具体的には、第1移行部87が第2移行部88よりも中心軸C1から離れた位置にある。
【0048】
以上、可動板52の変更例を示したが、可動板52の形状は、上述した実施形態(変更例を含む)に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、可動板52の突出部85を、揺動部82の横方向(
図9Aの矢印K5方向)の全長にわたって設けていたが、揺動部82の横方向の一部分のみ(例えば、横方向の中央付近のみ)に設けてもよい。
【0049】
図12は、内気排出装置50の変更例を示している。
図12は、
図3のB−B線断面図に相当する図である。以下、変更例の内気排出装置について、上述した実施形態の内気排出装置と異なる点についてのみ説明する。
変更例に係る内気排出装置50は、可動板52(第1可動板52A,第2可動板52B)の揺動部82の構成が、上述した実施形態の内気排出装置と一部異なっている。具体的には、揺動部82の突出部85が取入口59側に形成されている。また、突出部85は、可動板52が取入口59を閉鎖した状態においてケース51の外部に突出している。突出部85の外面(ケース51の外部側の面)は、キャビン14の内圧を受ける受圧面84となっている。つまり、この変更例では、突出部85が受圧面84を有している。
【0050】
突出部85の形状は、特に限定されないが、可動板52が取入口59を閉鎖した状態にて取入口59から突出し且つ取入口59を開放した状態にて取入口59から突出しない(ケース51の内部に退避する)ことが可能な形状であって、上述した押圧力と復元力とのバランスを考慮して決定される。突出部85の取入口59からの突出量は、外観並びに大きさ(キャビン14内での占有スペース)の観点から小さくすることが好ましい。具体的には、
図12に示すように、可動板52が取入口59を閉鎖した状態において、突出部85の最も外方に突出した部分(最大突出部)85aが、天板53の外縁部よりも内方に位置することが好ましい。
図12には天板53の外縁部から下方に延長した仮想線Eを示しており、最大突出部85aは仮想線Eよりも内方に位置している。
【0051】
上記実施形態の内気排出装置50は、可動板52の揺動部82が、ケース51の取入口59に面して形成され且つ突出部85を有している。そのため、キャビン14の内圧の設定値に応じて突出部85の突出量(突出高さ)を調整することで、揺動部82の重量を最適化して、上述した押圧力と復元力とのバランスを最適化することができる。これにより、揺動部82は、キャビン14の内圧が設定値を超えた場合には取入口59を開放し、設定値以下になった場合には取入口59を閉鎖するように挙動する。つまり、取入口59の面積を変更せずとも、突出部85の突出量を調整するだけで、取入口59が開放される内圧を調整することができる。その結果、キャビン14の内圧が設定値に達するまでは取入口59を閉鎖して排気を行わず、設定値を超えた場合には取入口59を開放して排気を行うことが可能となる。
【0052】
なお、揺動部82の重量を増加させる方法として、可動板52を厚みが大きく且つ厚みが一定である平板から形成することもできるが、本実施形態では、揺動部82に突出部85を設けることで揺動部82の重量を増加させている。これによって、可動板52の屈曲性を確実に確保して、揺動部82をより安定して揺動させることが可能となる。
また、可動板52の揺動部82が、ケース51の取入口59側に形成され且つキャビン14の内圧を受ける受圧面84と、当該受圧面84と反対側に形成され且つケース51の内部に突出する突出部85とを含んでいる。これにより、突出部85と反対側の受圧面84にてキャビン14の内圧を安定して受けることができるため、可動板52を安定して揺動させることが可能となる。
【0053】
また、突出部85が、取入口59に直交する方向から見て、取入口面積の50%以上の範囲にて取入口59とオーバーラップしている。これにより、揺動部82にて内圧を均一に受けることができると共に、揺動部82の動きが安定するため取り入れた内気を安定して排出することができる。
また、突出部85が、ケース51の内部側に形成された内面86と、内面86の下部から取入口59側に向かうにつれて下方に移行する第1移行部87と、内面86の上部から取入口59側に向かうにつれて上方に移行する第2移行部88と、を含む。これにより、突出部85の中心付近に重量が集中するため、揺動部82の重量バランスが良くなり、揺動部82を安定した動き(ばらつきのない動き)で揺動させることができる。
【0054】
また、受圧面84は平面であり、内面86は受圧面84と平行に形成されており、第1移行部87と第2移行部88とは、受圧面84の中心及び内面86の中心を通る中心軸C1を挟んで対称に形成されている。これにより、キャビン14の内圧を受圧面84にて均等に受けることができるとともに、揺動部82の重量バランスがより良好となるため、揺動部82の揺動がより安定する。また、揺動部82の重量の調整(設定)を容易に行うことができる。
【0055】
また、揺動部82は、取付部81と一体に且つ取付部81よりも厚肉に形成されている。これにより、取付部81と揺動部82とを別体で形成した場合に比べて、可動板52の強度が高くなり、揺動部82を安定した動きで揺動させることができる。
また、側壁は、第1側壁54と、第1側壁54に対向して設けられた第2側壁55とを含み、可動板52は、第1側壁54に形成された取入口59を開閉する第1可動板52Aと、第2側壁55に形成された取入口59を開閉する第2可動板52Bと、を含み、第1可動板52A及び第2可動板52Bは第1移行部87を有している。これにより、キャビン14の内気を2つの取入口59からケース51の内部に取り入れて外部に排出することができる。加えて、第1可動板52Aと第2可動板52Bとがケース51の内部に向けて揺動した場合に、下部同士が互いに干渉するまでの可動域(揺動範囲)を広げることができる。
【0056】
また、第1可動板52A及び第2可動板52Bが第2移行部88を有していることにより、第1可動板52A及び第2可動板52Bの重量バランスが良好となり、揺動部を安定して揺動させることが可能となる。
また、第1移行部87及び第2移行部88が内面86に対して傾斜した傾斜面であることにより、第1可動板52Aと第2可動板52Bとが干渉するまでの可動域(揺動範囲)をより広げることができるとともに、揺動部82をより安定して揺動させることが可能となる。
<操作レバー>
図13、
図14A及び
図14Bに示すように、第1レバー31(ドラフトレバー)及び第2レバー(ポジションレバー)32は、軸体101に取り付けられている。軸体101は、車軸C2と平行に幅方向K2に延びている。
【0057】
第1レバー31の下端と第2レバー32の下端とは、幅方向K2に並んで軸体101に取り付けられている。第1レバー31及び第2レバー32は、軸体101を支点として前後方向に揺動する。
第1レバー31は、第1枢支部102、第1板部103、第1把持部104、第1軸部105を有する。第1枢支部102は、第1レバー31の一端(下端)に設けられている。第1枢支部102は、筒状に形成されており、軸体101に外嵌されている。第1板部103は、L字状に形成されており、第1枢支部102の外面から異なる2方向に向けて延びている。第1把持部104は、第1レバー31の他端(上端)に設けられている。第1把持部104は、運転席8に着座した作業者が操作時に把持する部分であり、カバー131により被嵌される。第1軸部105は、第1枢支部102と第1把持部104とをつなぐ棒状の部分である。
【0058】
第1軸部105は、下部分105Dと上部分105Uとを有する。
図15Bに示すように、下部分105Dは、第1枢支部102から斜め上方に延びている。詳しくは、下部分105Dは、第1枢支部102から上方に延びるにつれて幅方向外方(後述する第2軸部109との幅方向の距離が小さくなる方向)に移行している。上部分105Uは、下部分105Dの上端から上方に延びている。
【0059】
図14Bに示すように、第1把持部104は、上部分105Uの上端から斜め上方に延びている。詳しくは、第1把持部104は、第1把持部104の上端から上方に延びるにつれて幅方向内方(後述する第2軸部109との幅方向の距離が大きくなる方向)に移行している。
第2レバー32は、第2枢支部106、第2板部107、第2把持部108、第2軸部109を有する。第2枢支部106は、第2レバー32の一端(下端)に設けられている。第2枢支部106は、筒状に形成されており、軸体101に外嵌されている。第2枢支部106は、第1枢支部102とは、幅方向K2に並んでいる。第2枢支部106は、第1枢支部102の幅方向外方に配置されている。第2板部107は、L字状に形成されて
おり、第2枢支部106の外面から異なる2方向に向けて延びている。第2把持部108は、第2レバー32の他端(上端)に設けられている。第2把持部108は、運転席8に着座した作業者が操作時に把持する部分であり、カバー132により被嵌される。第2軸部109は、第2枢支部106と第2把持部108とをつなぐ棒状の部分である。
【0060】
図14Aに示すように、第2軸部109は、第1軸部105との前後方向(第1レバー31の操作方向)の距離を広げる湾曲部110を有している。本実施形態では、湾曲部110は、前方に向けて湾曲している。具体的には、湾曲部110は、第1枢支部102から上方に延びるにつれて、前方(第1軸部105との前後方向の距離が大きくなる方向)に移行した後、後方(第1軸部105との前後方向の距離が小さくなる方向)に移行している。言い換えれば、湾曲部110は、上方に延びるにつれて前方(第1軸部105との前後方向の距離が大きくなる方向)に移行する部分(第1部分111という)と、上方に延びるにつれて後方(第1軸部105との前後方向の距離が大きくなる方向)に移行する部分(第2部分112という)とを含んでいる。第2部分112は、第1部分111の上方に設けられている。尚、第1部分111と第2部分112との間に、上方に延びるにつれて前方にも後方にも移行しない部分(第1軸部105との前後方向の距離が変化しない部分)を設けてもよい。本実施形態では、湾曲部110は、側面視において上下方向に長い楕円弧状に形成されている。具体的には、湾曲部110は、上部の曲率半径が下部の曲率半径に比べて小さい楕円弧状に形成されている。湾曲部110の上端(第2部分112の上端)は、第1軸部105の上端よりも上方に位置している。
【0061】
図14Bに示すように、第1部分111は、前後方向(水平面内において軸体101と直交する方向)からみて第1レバー31(具体的には、第1軸部105)と重なる部分(オーバーラップ部113という)を含んでいる。言い換えれば、第1部分111は、第1軸部105と前後方向の位置が異なるが、幅方向及び上下方向の位置が同じとなる部分(オーバーラップ部113)を含んでいる。オーバーラップ部113は、第1部分111の全長にわたって設けてもよいし、一部のみに設けてもよい。本実施形態では、オーバーラップ部113は、第1部分111の下部のみに設けられており、後方からみて第1軸部105の上部分105Uの下部と重なっている。本実施形態では、第1部分111は、上方に延びるにつれて幅方向外方(第1軸部105との幅方向の距離が大きくなる方向)に移行している。
【0062】
第2部分112は、第1部分111の上端から斜め上方に延びている。具体的には、第2部分112は、第1部分111の上端から上方に延びるにつれて幅方向外方(第1軸部105との幅方向の距離が大きくなる方向)に移行している。第2部分112は、前後方向(水平面内において軸体101と直交する方向)からみて第1レバー31と重なっていない。
【0063】
第2把持部108は、第2部分112の上端から斜め上方に延びている。詳しくは、第2把持部108は、第2把持部108の上端から上方に延びるにつれて幅方向内方に移行している。第2把持部108は、第1把持部104よりも上方に位置しており、前後方向(水平面内において軸体101と直交する方向)からみて第1レバー31と重なっていない。
【0064】
上記実施形態によれば、1本の軸体101に取り付けられた第1レバー31と第2レバー32とが前後方向において重なるように配置されているため、幅方向に占めるスペースを小さくすることができる。具体的には、第1レバー31と第2レバー32とを1本の軸体101に幅方向に並べて取り付けた従来の構造では、幅方向にレバー2本分の配置スペースを必要としていたが、本実施形態の場合は、オーバーラップ部113より上方では、レバー1本分の配置スペースで足りる。加えて、第2レバー32が第1軸部105との前後方向(第1レバー31の操作方向)の距離を広げる湾曲部110を有していることにより、第1レバー31と第2レバー32との相互干渉を防ぐことができる。即ち、第1レバー31を揺動操作したときに第2レバー32に干渉することがなく、第2レバー32を揺動操作したときに第1レバー31に干渉することがない。
【0065】
つまり、本実施形態のレバー構造によれば、第1レバー31と第2レバー32との相互干渉を回避しながら、キャビン14内部において第1レバー31と第2レバー32とが幅方向に占めるスペースを小さくすることができる。尚、湾曲部110の形状は、上述した形状には限定されない。例えば、第1レバー31の第1軸部105を第2レバー32の第2軸部109の前方に配置して、第2軸部109の湾曲部110を後方に向けて湾曲させてもよい。
<ボンネット構造>
図17に示すように、ボンネット11は、上部ボンネット11Uと下部ボンネット11Dとから構成されている。上部ボンネット11Uは、前部に外気取り入れ用の開口部(グリル)を有している。
図14に示すように、下部ボンネット11Dは、上部ボンネット11Uの下方であって、前輪6の幅方向内方に配置されている。下部ボンネット11Dの上端は、上部ボンネット11Uの下端に設けられたシール材120に当接している。上部ボンネット11Uと下部ボンネット11Dとは、シール材120を介して当接しているが、一体化されていない。下部ボンネット11Dは、上部ボンネット11Uの下端から下方に延びており、下方に延びるにつれて幅方向内方に向かうように湾曲(傾斜)している。言い換えれば、下部ボンネット11Dは、下方に延びるにつれて幅方向内方(前輪6から離れる方向)に向けて凹んでいる。これにより、前輪6の向きを変えたときに(前輪6を切ったときに)、前輪6がボンネット11に干渉することが防がれる。
【0066】
なお、ボンネット11が一体物である場合(上部ボンネット11Uと下部ボンネット11Dとに分離されていない場合)において、ボンネット11の下部を幅方向内方に向けて凹ませると、ボンネット11を上方に開放する際に、凹んだ部分がエンジンルーム内の機器と干渉するおそれがある。これに対して、本実施形態では、上部ボンネット11Uと下部ボンネット11Dとを分離して下部ボンネット11Dを凹ませていることから、上部ボンネット11Uのみを開放することにより、凹んだ部分がエンジンルーム内の機器と干渉することがない。
【0067】
図16及び
図17に示すように、前車軸フレーム5上には、ラジエータ12が搭載されている。ラジエータ12の前方には、空冷用機器(インタークーラ44、オイルクーラ45、レシーバ46、コンデンサ(図示せず))やエアクリーナ121等が設けられている。空冷用機器は、支持枠122により前車軸フレーム5上に支持されている。支持枠122は、前車軸フレーム5に設けられた取付プレート123に取り付けられている。
【0068】
ラジエータ12は、前方から空気を吸入して後方のエンジン2へと冷却風を送る前吸入式のものである。ラジエータ12の前方には防虫網47が設けられている。ラジエータ12の左部と右部には、それぞれ整流板124が設けられている。整流板124は、ラジエータ12の側方から当該ラジエータ12に空気が吸入されることを規制する。
図15に示すように、整流板124は、ボンネット11の幅方向内方に配置されており、上下方向に延びている。整流板124の上部には、板バネからなる取付部125が設けられている。整流板124の上部は、取付部125を介してエアクリーナ121を支持するポストフレーム126に取り付けられている。整流板124の下部には、上下方向(縦方向)に延びる枢支ピン127が設けられている。整流板124の下部は、枢支ピン127を取付プレート123に設けられた貫通孔128に挿入することにより、取付プレート123に対して縦軸回りに回動可能に枢支されている。整流板124は、取付部125をポストフレーム126から外して、枢支ピン127を貫通孔128から抜脱することにより、走行車体4から取り外すことが可能である。
【0069】
下部ボンネット11Dは、整流板124に取り付けられている。具体的には、下部ボンネット11Dの下部は、整流板124の下部に対して締結部材(ボルト129とナット130)により取り付けられている。これにより、下部ボンネット11Dは、整流板124と共に(整流板124と一体的に)、走行車体4から取り外すことが可能である。
上述したように、本実施形態のボンネット構造によれば、上部ボンネット11と下部ボンネット11Dとを別体とし、下部ボンネット11Dを走行車体4に対して着脱可能な整流板124に取り付けている。そのため、下部ボンネット11Dを、上部ボンネット11Uと分離して、整流板124と共に走行車体4から取り外すことができる。これにより、エンジンルーム内の機器(ラジエータ12等)のメンテナンスを容易に行うことが可能となる。また、下部ボンネット11Dを単独で取り外す場合に比べて、取り外した下部ボンネット11Dを紛失する可能性が低い。また、下部ボンネット11Dを走行車体4に取り付ける際には、整流板124と一体で取り付けることができる。そのため、整流板124と下部ボンネット11Dとを個別に取り付ける場合に比べて、取り付けが容易である。
【0070】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。