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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-226332(P2017-226332A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/56 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   B60N2/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-124195(P2016-124195)
(22)【出願日】2016年6月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤池 文敏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】辻 博史
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DE09
(57)【要約】
【課題】乗物用シートの内部の部品配設スペースを確保し易い送風装置を備えた乗物用シートを提供すること。
【解決手段】自動車用シート1は送風装置10を備えている。バックフレーム5のアッパフレーム5a2は、横断面が開断面に形成されている。送風装置10は、軸流ファン30と、軸流ファン30に空気を供給する筒状のダクト20と、を有しており、ダクト20の第2ダクト部202の前側部がアッパフレーム5a2の開断面の内側に配設されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風装置を備えた乗物用シートであって、
シートフレームが、横断面が閉断面又は開断面の柱状体を少なくとも1つ有している枠状に形成され、
前記送風装置は、送風機と、該送風機に空気を供給又は該送風機から空気を排出する筒状のダクトを有し、
該ダクトの少なくとも一部が前記柱状体の閉断面又は開断面の内側に配設されている乗物用シート。
【請求項2】
請求項1において、
前記ダクトは、内筒部の横断面において他の部分より面積が大きい拡開部を有し、
該拡開部の一部又は全部が前記柱状体の閉断面又は開断面の内側に配設されている乗物用シート。
【請求項3】
請求項2において、
前記ダクトは、前記拡開部以外の部分に第1開口部を有し、前記拡開部に第2開口部を有し、
前記送風機は、前記拡開部内に前記第2開口部方向に軸方向を一致させて装着されている軸流ファンであって、前記第1開口部又は前記第2開口部から吸引した空気を前記第2開口部又は前記第1開口部から排出する乗物用シート。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項において、
前記ダクトは、その全域が前記柱状体とは別体の筒状部材により構成されている乗物用シート。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項において、
前記ダクトの内筒部の壁面の少なくとも一部が、前記柱状体の閉断面又は開断面の内側の壁面により構成されている乗物用シート。
【請求項6】
請求項4において、
前記ダクトは、該ダクトを前記柱状体に対して固定又は位置決めすることのできる係止部を有し、
該係止部は、前記柱状体に形成された軽減孔に対して係止可能となっている乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置を備えた乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、乗物用シートに送風装置を設けることがある。特許文献1には、シートバックの内部の中央領域に配設されている送風機と、該送風機から空気を排出する筒状のダクトと、を備えた送風装置が開示されている。この送風装置では、上記ファンが動作することで、シートバックの外部の空気がダクトに吸引され、この吸引された空気が自動車用シートに着座した着座者の身体に向けて排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−104246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、ダクトの全域が、シートバックの内部の中央領域というダクト以外の別部品も配設されるスペースに配設されている。このため、上記別部品を配設するためのスペースが狭くなるという問題があった。
【0005】
かかる問題に鑑み本発明の課題は、乗物用シートの内部の部品配設スペースを確保し易い送風装置を備えた乗物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、送風装置を備えた乗物用シートであって、シートフレームが、横断面が閉断面又は開断面の柱状体を少なくとも1つ有している枠状に形成され、前記送風装置は、送風機と、該送風機に空気を供給又は該送風機から空気を排出する筒状のダクトを有し、該ダクトの少なくとも一部が前記柱状体の閉断面又は開断面の内側に配設されていることを特徴とする。
【0007】
上記第1発明によれば、シートフレームを構成している柱状体は、横断面が閉断面又は開断面に形成されて構造強度が高められている。そして、送風装置のダクトの少なくとも一部は、柱状体の閉断面又は開断面の内側に配設されている。すなわち、柱状体の閉断面又は開断面の内側という通常ではダクトが配設されないデッドスペースを利用して、ダクトを配設する構成となっている。このため、例えば全域が柱状体の閉断面又は開断面の外に配設されているダクトを用いる構成より、乗物用シートの内部の部品配設スペースを確保し易くなる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記ダクトは、内筒部の横断面において他の部分より面積が大きい拡開部を有し、該拡開部の一部又は全部が前記柱状体の閉断面又は開断面の内側に配設されていることを特徴とする。
【0009】
上記第2発明によれば、ダクトは、内筒部の横断面において他の部分より面積が大きい拡開部を有している。拡開部ではダクトを流れる空気とダクトの内筒部の壁面との間に生じる摩擦の影響が小さくなるため、拡開部の無い同一長さのダクトを用いる構成より、送風能力の低い小型の送風機でも送風装置を有効に機能させることが可能となる。このため、送風機の小型化を図ることができる。なお、上記拡開部の一部又は全部は、柱状体の閉断面又は開断面の内側に配設されているため、拡開部を設けることにより乗物用シートの内部の部品配設スペースが狭くなることは抑制されている。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第2発明において、前記ダクトは、前記拡開部以外の部分に第1開口部を有し、前記拡開部に第2開口部を有し、前記送風機は、前記拡開部内に前記第2開口部方向に軸方向を一致させて装着されている軸流ファンであって、前記第1開口部又は前記第2開口部から吸引した空気を前記第2開口部又は前記第1開口部から排出することを特徴とする。
【0011】
軸流ファンは遠心ファン等の他種の送風機より比較的安価であるため、製造コストの低下を図るために送風機に軸流ファンを使用したいという要請があった。しかし、軸流ファンには、軸流ファンの軸方向両側の空間が狭い場合に送風能力が低下し易いという特徴がある。上記第3発明によれば、ダクトは、拡開部以外の部分に第1開口部を有し、拡開部に第2開口部を有している。そして、送風機は、拡開部内に第2開口部方向に軸方向を一致させて装着されている軸流ファンであり、第1開口部又は第2開口部から吸引した空気を第2開口部又は第1開口部から排出する構成となっている。すなわち、軸流ファンの軸方向の一方側にはダクト外部の空間が位置し、軸流ファンの軸方向の他方側には、ダクトの他の部分より広い拡開部の内筒部の空間が位置する構成となる。このため、軸流ファンの軸方向両側の空間を広く確保し易い。よって、軸流ファンを使用して製造コスト低下を図るとともに、送風装置の送風能力の確保を図ることができる。
【0012】
本発明の第4発明は、上記第1発明から上記第3発明のいずれか1つにおいて、前記ダクトは、その全域が前記柱状体とは別体の筒状部材により構成されていることを特徴とする。
【0013】
上記第4発明によれば、ダクトの全域が、柱状体とは別体の筒状部材により構成されている、という簡潔な構造となっている。このため、送風装置の構造の複雑化を抑制できる。
【0014】
本発明の第5発明は、上記第1発明から上記第3発明のいずれか1つにおいて、前記ダクトの内筒部の壁面の少なくとも一部が、前記柱状体の閉断面又は開断面の内側の壁面により構成されていることを特徴とする。
【0015】
上記第5発明によれば、ダクトの内筒部の壁面の少なくとも一部が、柱状体の閉断面又は開断面の内側の壁面により構成されている。すなわち、ダクトは、柱状体と部分的に協働して通気路を形成する構成となっている。このため、ダクトの製造に必要な材料を少なくして、送風装置の重量低下を図ることができる。
【0016】
本発明の第6発明は、上記第4発明において、前記ダクトは、該ダクトを前記柱状体に対して固定又は位置決めすることのできる係止部を有し、該係止部は、前記柱状体に形成された軽減孔に対して係止可能となっていることを特徴とする。
【0017】
上記第6発明によれば、ダクトの係止部が柱状体の軽減孔に係止されることで、ダクトを柱状体に対して固定又は位置決めできる。このため、柱状体に係止部を係止するための専用の被係止構造を形成する必要がなくなり、ダクトの柱状体に対する固定又は位置決めが簡便となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る自動車用シートの前面図である。
図2】上記実施形態に係る自動車用シートのシートバックの左側面図である。
図3図1におけるIII−III線矢視断面図である。
図4図2におけるIV−IV線矢視断面図である。
図5】上記実施形態に係る自動車用シートから送風装置を取外した状態を示す斜視図である。
図6】上記実施形態に係る自動車用シートの送風装置の分解斜視図である。
図7】上記実施形態に係る自動車用シートの第1変形例を、シートクッションの前後方向中央部近傍を前後方向に対して垂直な面で切った断面図において示す図である。
図8】上記実施形態に係る自動車用シートの第2変形例を、図3に対応させて示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図6は、本発明の一実施形態を示す。本実施形態は、本発明を自動車の運転席である自動車用シートに適用した例を示す。各図中、矢印により自動車用シートを車両に取付けたときの車両の各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。
【0020】
図1に示すように、自動車用シート1は、着座部であるシートクッション2と、シートクッション2の後端部に連結された背凭れ部であるシートバック3と、頭凭れ部であるヘッドレスト4と、から構成されている。シートバック3には、送風装置10が取付けられている。
【0021】
図5に示すように、シートクッション2は、骨格部材であるクッションフレーム2aの上に、クッション材であるクッションパッド2bを載置し、その上から表皮材であるクッションカバー2cで覆った構造をしている。クッションフレーム2aは、左右一対のサイドフレーム2a1と、サイドフレーム2a1の前端部を連結するフロントパネル2a2と、サイドフレーム2a1の後端部を連結するリアパイプ2a3と、が結合された枠状の構成となっている。サイドフレーム2a1は、前後方向に対して垂直な面で切った横断面が自動車用シート1の幅方向外側に開口する略U字形の開断面となっており、これにより構造強度が高められている。
【0022】
図3及び図4に示すように、シートバック3は、骨格部材であるバックフレーム5の上に、クッション材であるバックパッド6を載置し、その上から表皮材であるバックカバー8で覆った構造をしている。
【0023】
図3及び図5に示すように、バックフレーム5は、金属製の骨格部材であり、左右一対のサイドフレーム5a1と、サイドフレーム5a1の上端部間に架け渡されたアッパフレーム5a2と、サイドフレーム5a1の下端部を連結するロアパネル5a5と、が結合された枠状の構成となっている。アッパフレーム5a2は、左右方向に対して垂直な面で切った横断面が後側に開口する略U字形の開断面となっており、これにより構造強度が高められている。より詳細には、アッパフレーム5a2は、左右方向に延びる板状の前側壁部5a21と、前側壁部5a21の上下の両縁部から後側に向かって延出する一対の互いに対向している延出壁部5a22と、を備えている。上側の延出壁部5a22の左右方向中央部には、軽減孔5a3が形成されている。軽減孔5a3は、アッパフレーム5a2の構造強度を保ちながら重量軽減を図るための貫通孔である。アッパフレーム5a2の左右中央部より若干自動車用シート1の幅方向外側には、上下方向に延びて上下の延出壁部5a22を貫通している筒状のサポートブラケット5a4が結合されている。バックフレーム5が、特許請求の範囲の「シートフレーム」に相当する。アッパフレーム5a2が、特許請求の範囲の「柱状体」に相当する。
【0024】
図1図3及び図4に示すように、バックパッド6は、ウレタン樹脂を発泡成形して形成したものであり、バックフレーム5を覆った状態で設けられている。バックパッド6は、シートバック3の左右方向中央部に位置する天板メイン部6Aと、天板メイン部6Aの左右両側に配設される2つの天板サイド部6Bと、を備えている。さらに、バックパッド6は、天板メイン部6A及び天板サイド部6Bの上端部と連続して、アッパフレーム5a2を上側、左右両側から覆う包囲部6C(図3参照)を備えている。なお、天板メイン部6Aの上下方向中央部より若干上側には、左右方向に延びる横溝部7aが設けられている。さらに、天板メイン部6Aと天板サイド部6Bとの境界部分には、上下方向に延びる縦溝部7bが設けられている。
【0025】
バックカバー8はファブリック、本革等のピースを縫い合わせて立体形状に形成したものであり、バックパッド6の上に被せられた状態で、その周囲や、バックパッド6の横溝部7aや、縦溝部7b等、に対応する部分をバックパッド6に固定して取付けられている。
【0026】
図1に示すように、ヘッドレスト4は、略逆U字形に形成された鉄製のパイプ状部材であるヘッドレストステー4aと、クッション材であるヘッドレストパッド4bと、表皮材であるヘッドレストカバー4cと、から構成されている。ヘッドレスト4は、成形型を閉じたときにヘッドレストパッド4bと同形状のキャビティを形成する成形型内に、ヘッドレストステー4aの上部とヘッドレストカバー4cとを配置して、そこにウレタン樹脂を注入して発泡成形することで製造される。ヘッドレスト4は、ヘッドレストステー4aの下部が図示しないサポート部材を介して上記したサポートブラケット5a4(図5参照)に装着されることで、アッパフレーム5a2に対して上下位置調整可能に組み付けられている。
【0027】
図2図4及び図6に示すように、送風装置10は、ダクト20と、ダクト20の内部に配設される軸流ファン30と、を備える。
【0028】
ダクト20は、内部が通気路となっている筒状の樹脂製部材であり、上面視において前側に開口する略U字形に形成されている。すなわち、ダクト20は、左右方向に延びるリアダクト部21と、リアダクト部21の左右両端部と連続して前方に延びるフロントダクト部22と、が連通した構成となっている。ダクト20は、ダクト20の前半分を構成する前側パーツ20Fと、ダクト20の後半分を構成する後側パーツ20Rと、後側パーツ20Rの後部に取付けられる蓋部材20Cと、から構成されている。
【0029】
図6に示すように、前側パーツ20Fは、上面視において前側に開口する略U字形に形成されている主面部20Faと、主面部20Faの上下両端部と連続して主面部20Faの略U字形の外側へ延びるフランジ面部20Fbと、から構成されている。主面部20Faの左右方向に延びている部分と前後方向に延びている部分との境界部位には、前側に突出する台座形の係止座部20F1が形成されている。係止座部20F1には、図示しない締結ボルトを締結可能な貫通孔が形成されている。主面部20Faの前後方向に延びている部分の前端部外面側には、前後方向に延びるヒレ20F2が上下に複数個並んで形成されている。主面部20Faの左右方向中央部には、前側に張り出す張出し部20F3が形成されている。張出し部20F3の後面部は、後側に開口している窪み形状となっている。張出し部20F3の上部には、係止突部20F5が形成されている。係止突部20F5は、上側から押圧されると下側に押し下げられるが、押圧力を解除すると弾性復元して元の状態に戻る構成となっている。なお、張出し部20F3の寸法は、前後方向では、上記したアッパフレーム5a2の延出壁部5a22の前後寸法より若干小さい寸法となっており、上下方向では、延出壁部5a22同士の間の寸法より若干小さい寸法となっており、左右寸法では、送風装置10をシートバック3に取付けた状態において上記したサポートブラケット5a4の間に挿入可能な寸法となっている。係止突部20F5が、特許請求の範囲の「係止部」に相当する。
【0030】
後側パーツ20Rは、上面視において前側に開口する略U字形に形成されている主面部20Raと、主面部20Raの上下両端部と連続して主面部20Raの略U字形の内側へ延びるフランジ面部20Rbと、から構成されている。主面部20Raの左右方向に延びている部分と前後方向に延びている部分との境界部位には、前側パーツ20Fの係止座部20F1に対応して開口する丸孔20R1が形成されている。主面部20Raの前後方向に延びている部分の前端部内面側には、前後方向に延びるヒレ20R2が上下に複数個並んで形成されている。主面部20Raの左右方向中央部には、略矩形の角孔20R3が形成されている。角孔20R3の周縁部には、前側に延びるフランジ状の組付け枠部20R4が形成されている。
【0031】
蓋部材20Cは、略矩形の平板状に形成されており、左右に延びる複数個のスリットが貫通形成されている。蓋部材20Cは、後側パーツ20Rの角孔20R3より若干大きく、角孔20R3の後側全域を覆うことができる構成となっている。
【0032】
図6に示すように、軸流ファン30は、略矩形の外枠部材31と、外枠部材31の内側中央に配設された前後方向に延びる図示しない回転軸部に装着された翼部材32と、を備えている。翼部材32は、上記回転軸部に対して同軸で回転可能に組み付けられている。軸流ファン30は、図示しない導電線を介して自動車本体のバッテリから電力の供給を受けることができる。軸流ファン30が電力の供給を受けると、翼部材32が回転して外枠部材31の前側開口33Aから空気を吸引し、外枠部材31の後側開口33Bから空気を排出する。軸流ファン30の外枠部材31は、後側パーツ20Rの組付け枠部20R4の内側に組付け可能な寸法及び構造となっている。軸流ファン30が、特許請求の範囲の「送風機」に相当する。
【0033】
図4及び図6に基づいて、送風装置10の組立て方について説明する。送風装置10の組立て方は、まず、後側パーツ20Rの組付け枠部20R4の内側に軸流ファン30を組付ける。次に、後側パーツ20Rの角孔20R3を後側から覆うように、蓋部材20Cを取付ける。そして、後側パーツ20Rのフランジ面部20Rbの先端部と前側パーツ20Fのフランジ面部20Fbの先端部とを当接させた状態で、後側パーツ20Rと前側パーツ20Fとを接合する。というものである。このようにして組立てられた送風装置10では、蓋部材20Cに設けられたスリットがダクト20の排気口211となる。さらに、前側パーツ20Fのヒレ20F2と後側パーツ20Rのヒレ20R2とが組み合わさって左右方向に延びる隔壁を形成し、この隔壁間の隙間がダクト20の吸気口221となる。すなわち、軸流ファン30は組付け枠部20R4を介して排気口211に装着された状態となっている。吸気口221が、特許請求の範囲の「第1開口部」に相当する。排気口211が、特許請求の範囲の「第2開口部」に相当する。
【0034】
上記したように送風装置10が組立てられることで、リアダクト部21の左右両側部においては、第1ダクト部201が形成され、リアダクト部21の左右中央部においては、第2ダクト部202が形成される。より詳細には、第1ダクト部201は、前側パーツ20Fの主面部20Faの左右両側部と、後側パーツ20Rの主面部20Raの左右両側部と、これらに対応するフランジ部20Fb、20Rbと、から構成された部分となっている。そして、第2ダクト部202は、前側パーツ20Fの主面部20Faの左右中央部と、前側パーツ20Fの張出し部20F3と、後側パーツ20Rの左右中央部と、蓋部材20Cと、これらに対応するフランジ部20Fb、20Rbと、から構成された部分となっている。第2ダクト部202は、その内筒部の横断面において第1ダクト部201より面積が大きくなっている。第2ダクト部202が、特許請求の範囲の「拡開部」に相当する。
【0035】
図2図4及び図6に基づいて、送風装置10をシートバック3に対して取付ける方法について説明する。なお、バックパッド6及びバックカバー8においてアッパフレーム5a2の後側に対応する部分では予め切り欠きが設けられており、アッパフレーム5a2が露出している。送風装置10をシートバック3に対して取付ける方法は、まず、送風装置10をシートバック3の後側から近付けて、ダクト20の張出し部20F3をサポートブラケット5a4の間部分におけるアッパフレーム5a2の開口に挿入していく。張出し部20F3をアッパフレーム5a2の開口に挿入していくと、張出し部20F3に形成された係合突部20F5が上側の延出壁部5a22に当接して下側に押し下げられる。張出し部20F3がアッパフレーム5a2の開口に挿入完了すると、係合突部20F5が上側の延出壁部5a22の軽減孔5a3の位置に到達し、弾性復元力により元の状態に戻り軽減孔5a3に係止する。これにより、送風装置10が位置決めされる。このとき、送風装置10の係止座部20F1(図6参照)が、図示しない取付けブラケットを介してアッパフレーム5a2の左右両側部に後側からあてがわれた状態となる。次に、送風装置10の丸孔20R1から締結ボルトを挿入し、送風装置10の係止座部20F1と、上記取付けブラケットと、アッパフレーム5a2の左右両側部と、を締結する。そして、図示しない非通気性のシール部材を送風装置10の丸孔20R1を塞ぐように貼着する。というものである。このとき、送風装置10のリアダクト部21がシートバック3の後面部の外形に沿って配設された状態となり、フロントダクト部22がシートバック3の左右の側面部の外形に沿って配設された状態となる。さらに、フロントダクト部22の前端部は、自動車用シート1に着座した着座者Dの身体の肩部に相当する上下位置において、シートバック3の着座面より後方に配設された状態となる。
【0036】
図4に基づいて、送風装置10の動作について説明する。まず、軸流ファン30を動作させると、軸流ファン30の翼部材32が回転し、軸流ファン30の前側開口33Aから後側開口33Bへ空気が送られる。これにより、吸気口221からシートバック3の前側の空気が吸引され、この吸引された空気が排気口211からシートバック3の後側へ排出される。すなわち、シートバック3の前側の空気をシートバック3の後側へ流して、自動車室内の空気を循環させることができる。このとき、吸気口221から吸引される空気E1は、自動車用シート1に着座した着座者Dの肩部側方に当たりながら流れて吸気口221に入っていく。そして、ダクト20の排気口211から排出される空気E2は、自動車用シート1の後側に自動車用シート1とは別体の図示しないリアシートがある場合に当該リアシートに着座したリアシート着座者の身体に直接当たる。
【0037】
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。バックフレーム5を構成しているアッパフレーム5a2は、横断面が開断面に形成されて構造強度が高められている。そして、送風装置10のダクト20は、内筒部の横断面において第1ダクト部201より面積が大きい第2ダクト部202を有しており、この第2ダクト部202の前側部が、アッパフレーム5a2の開断面の内側に配設されている。すなわち、アッパフレーム5a2の開断面の内側という通常ではダクト20が配設されないデッドスペースを利用して、第2ダクト部202の前側部を配設する構成となっている。このため、例えば全域がアッパフレーム5a2の開断面の外に配設されているダクトを用いる構成より、自動車用シート1の内部の部品配設スペースを確保し易くすることができるとともに、全域が内筒部の横断面において第1ダクト部201と同程度の面積となっている同一長さのダクトを用いる構成より、送風機の小型化を図ることができる。
【0038】
さらに、ダクト20は、フロントダクト部22の前端部側に吸気口221を有し、リアダクト部21の第2ダクト部202に排気口211を有している。そして、送風機は、第2ダクト部202内に排気口211方向に軸方向を一致させて装着されている軸流ファン30であり、吸気口221から吸引した空気を排気口211から排出する構成となっている。すなわち、軸流ファン30の軸方向の一方側である後側にはダクト20外部の空間が位置し、軸流ファン30の軸方向の他方側である前側には、第2ダクト部202内の空間が位置する構成となる。このため、軸流ファン30の軸方向両側の空間を広く確保し易い。よって、軸流ファン30を使用して製造コスト低下を図るとともに、送風装置10の送風能力の確保を図ることができる。
【0039】
さらに、ダクト20の全域が、アッパフレーム5a2とは別体の筒状部材により構成されている、という簡潔な構造となっている。このため、送風装置10の構造の複雑化を抑制できる。
【0040】
さらに、ダクト20の係止突部20F5がアッパフレーム5a2の軽減孔5a3に係止されることで、ダクト20をアッパフレーム5a2に対して位置決めできる。このため、アッパフレーム5a2に係止突部20F5を係止するための専用の被係止構造を形成する必要がなくなり、ダクト20のアッパフレーム5a2に対する位置決めが簡便となる。
【0041】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0042】
1.上記実施形態においては、送風装置として、シートバック3の前側の空気をシートバック3の後側へ流して自動車室内の空気を循環させる送風装置10を用いた。しかし、これに限定されない。すなわち、送風装置として、例えば吸気口から吸引した空気を、自動車用シート1に着座した着座者Dの身体に向けて排出する送風装置を用いることもできる。
【0043】
2.上記実施形態においては、アッパフレーム5a2は、横断面が後側に開口する略U字形の開断面となっており、この開断面の内側に、第2ダクト部202の前側部が配設されている構成とした。しかし、これに限定されない。すなわち、例えば、アッパフレーム5a2は、横断面が後側に開口するハット形の開断面となっており、この開断面の内側に、第2ダクト部202の前側部が配設されている構成であってもよい。さらに、アッパフレーム5a2は、横断面が閉断面となっており、この閉断面の内側に、第2ダクト部202の全部が配設されている構成であってもよい。
【0044】
3.上記実施形態においては、ダクト20の係止突部20F5をアッパフレーム5a2の軽減孔5a3に対して係止させることで、ダクト20をアッパフレーム5a2に対して位置決めする構成とした。しかし、これに限定されず、十分な取付け強度を確保できるならば、係止突部20F5と軽減孔5a3との係止により、ダクト20がアッパフレーム5a2に対して固定される構成であってもよい。すなわち、アッパフレーム5a2の軽減孔を、ダクト20の位置決めではなく固定に用いる構成であってもよい。
【0045】
4.上記実施形態においては、バックフレーム5のアッパフレーム5a2が開断面となっており、この開断面の内側にダクト20の少なくとも一部を配設する構成とした。しかし、これに限定されない。すなわち、アッパフレーム5a2以外であっても、クッションフレーム2a又はバックフレーム5において横断面が閉断面又は開断面となっている部分があれば、この閉断面又は開断面の内側にダクト20の少なくとも一部を配設する構成とすることもできる。具体的には、上記実施形態の第1変形例として図7に示すように、クッションフレーム2aのサイドフレーム2a1の開断面の内側に、ダクトSの一部を配設する構成であってもよい。
【0046】
5.上記実施形態においては、ダクト20を、アッパフレーム5a2とは別体の筒状部材により構成した。しかし、これに限定されない。すなわち、例えば、ダクト20の内筒部の壁面の少なくとも一部が、アッパフレーム5a2の閉断面又は開断面の内側の壁面により構成されていてもよい。具体的には、上記実施形態の第2変形例として図8に示すように、張出し部20F3(図6参照)の前面部と上面部と下面部とが切り欠かれており、この切り欠かれた部分の代わりに、アッパフレーム5a2の前側壁部5a21と上下の延出壁部5a22とがダクト20の内筒部の壁面を構成していてもよい。このとき、張出し部20F3の左面部の前端部と、右面部の前端部と、がアッパフレーム5a2の前側壁部5a21の後面部に当接する。この構成では、ダクト20の製造に必要な材料を少なくして、送風装置10の重量低下を図ることができる。
【0047】
6.上記実施形態においては、本発明を自動車のシートに適用する例を示したが、本発明は飛行機、船、電車等に搭載されるシートに適用することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 自動車用シート(乗物用シート)
5 バックフレーム(シートフレーム)
5a2 アッパフレーム(柱状体)
5a3 軽減孔
10 送風装置
20 ダクト
202 第2ダクト部(拡開部)
20F5 係止突部(係止部)
211 排気口(第2開口部)
221 吸気口(第1開口部)
30 軸流ファン(送風機)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8