特開2017-226334(P2017-226334A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-226334(P2017-226334A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】車両用ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/08 20060101AFI20171201BHJP
   B62D 1/11 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   B62D1/08
   B62D1/11
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-124334(P2016-124334)
(22)【出願日】2016年6月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 太郎
(72)【発明者】
【氏名】稲津 正
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DA55
3D030DA56
3D030DA64
3D030DA65
3D030DA66
3D030DA69
3D030DA86
3D030DB36
3D030DB45
(57)【要約】
【課題】異なる本数のスポークへの変更が容易で、共通の芯金から製作しても同等の乗員保護性能を得られる車両用ステアリングホイールを提供する。
【解決手段】芯金10は、3本スポークステアリングホイール1aと、3本スポークステアリングホイール1aよりもスポーク部6の本数が1本少ない2本スポークステアリングホイール1bとの双方にて共用できるように、スポーク部6のうち可除スポーク部17に対応する縦スポーク18の切除目印に沿って1本だけ切除可能としている。可除スポーク部17を構成する縦スポーク18には、それぞれ第1脆弱部24および第2脆弱部26が切除目印を兼ねて凹状に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングシャフトに取付けられるボス部と、
前記ボス部の周縁に設けられるリム部と、
前記ボス部と前記リム部とを連結する複数のスポーク部と、
前記ボス部、前記複数のスポーク部、前記リム部に共通する芯金とを備え、
前記芯金は、前記スポーク部が複数本の多本スポークステアリングホイールの状態と、前記多本スポークステアリングホイールよりも前記スポーク部の本数が少ない少本スポークステアリングホイールの状態との芯金を共用できるように、前記スポーク部を切除可能とした車両用ステアリングホイールであって、
前記複数のスポーク部のうち、少なくとも1本のスポーク部に対応する芯金には、切除可能な部分を示す切除目印が設けられていることを特徴とする車両用ステアリングホイール。
【請求項2】
前記切除目印は、ステアリングホイール中立状態で、前記ボス部より真下に伸びるスポーク部を構成する芯金のうち、前記ボス部と連結されるボス部連結部に設けられている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用ステアリングホイール。
【請求項3】
前記切除目印は、脆弱部を兼ねていることを特徴とする請求項1または2記載の車両用ステアリングホイール。
【請求項4】
前記切除目印は、前記芯金のうち、前記リム部と連結されるリム部連結部に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のうち何れか一項に記載の車両用ステアリングホイール。
【請求項5】
前記切除目印は、凹状に形成されて、底部の板厚を薄板状としていることを特徴とする請求項1〜4のうち何れか一項に記載の車両用ステアリングホイール。
【請求項6】
前記脆弱部を、複数有し、それぞれの脆弱部の底部の板厚を異なる厚さに設定することにより強度を調整することを特徴とする請求項3に記載の車両用ステアリングホイール。
【請求項7】
前記ボス部より真下に伸びるスポーク部の芯金は、前記ボス部から前記リム部に近接するにしたがって間隔を減少させる一対の縦スポークを有することを特徴とする請求項2〜6のうち何れか一項に記載の車両用ステアリングホイール。
【請求項8】
スポーク部が複数本の多本スポークステアリングホイールの状態と、前記多本スポークステアリングホイールよりもスポーク部の本数が少ない少本スポークステアリングホイールの状態とを共用できる車両用ステアリングホイールの芯金であって、複数本のスポーク部のうち、少なくとも1本のスポーク部に対応する部位には、切除目印が設けられていることを特徴とする車両用ステアリングホイールの芯金。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ステアリングホイールとしては、二次衝突による荷重入力がステアリングホイールに加わった場合、芯金に形成された脆弱部から変形させて衝撃を緩和するものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
また、スポーク部が3本の3本スポークステアリングホイールであっても、ステアリングホイール中立状態で、ボス部より真下に伸びるスポーク部には芯金を設けない構成を採用するものが知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−171526号公報
【特許文献2】特開2014−94727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両用ステアリングホイールでは、スポーク部が2本の2本スポークステアリングホイールと、スポーク部が3本の3本スポークステアリングホイールとの芯金を共用することができない。
また、2本スポークステアリングホイールと比較してスポーク部が1本多い3本スポークステアリングホイールでは、リム部を支持する剛性が高くなる。このため、二次衝突によるユーザの接触では、乗員保護性能が相違してしまう。
本発明は、異なる本数のスポークへの変更が容易で、共通の芯金から製作しても同等の乗員保護性能を得られる車両用ステアリングホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ステアリングシャフトに取付けられるボス部と、ボス部の周縁に設けられるリム部と、ボス部とリム部とを連結する複数のスポーク部と、ボス部、複数のスポーク部、リム部に共通する芯金とを備え、芯金は、スポーク部が複数本の多本スポークステアリングホイールの状態と、多本スポークステアリングホイールよりもスポーク部の本数が少ない少本スポークステアリングホイールの状態との芯金を共用できるように、スポーク部を切除可能とした車両用ステアリングホイールであって、複数のスポーク部のうち、少なくとも1本のスポーク部に対応する芯金には、切除可能な部分を示す切除目印が設けられている。
【0006】
このように構成された本発明の車両用ステアリングホイールでは、不要となるスポーク部を芯金の切除目印から切り離すことにより、必要なスポーク部を芯金に残して、分離することができる。これにより、スポーク部の本数を容易に調整できる。
【0007】
また、切除目印は、ステアリングホイール中立状態で、ボス部より真下に伸びるスポーク部を構成する芯金のうち、ボス部と連結されるボス部連結部に設けられている。
このような構成によれば、ボス部と連結されるボス部連結部に設けられている切除目印から、ボス部より真下に伸びるスポーク部を容易に切除することができる。
【0008】
そして、切除目印は、脆弱部を兼ねている。
このような構成によれば、スポーク部を切除しない車両用ステアリングホイールの強度を低下させることができる。
【0009】
また、切除目印は、芯金のうち、リム部と連結されるリム部連結部に設けられている。
このような構成によれば、スポーク部の切除が容易であるとともに、スポーク部を切除しない車両用ステアリングホイールの強度を低下させることができる。
【0010】
さらに、切除目印は、凹状に形成されて、底部の板厚を薄板状としている。
このような構成によれば、切除目印の部分にて、スポーク部を容易に屈曲変形させることができる。凹状の切除目印は、容易に加工出来、ステアリングホイールを作成する際にも分かりやすい。
【0011】
そして、脆弱部を、複数有し、それぞれの脆弱部の底部の板厚を異なる厚さに設定することにより強度を調整する。
このような構成によれば、変形量を大きく設定したい部位の板厚の厚さを薄くすることにより、変形モードを調整できる。
【0012】
また、ボス部より真下に伸びるスポーク部の芯金は、ボス部からリム部に近接するにしたがって間隔を減少させる一対の縦スポークを有する。
このような構成によれば、リム部にて、縦スポークが一点で接続される。このため、接続されている部分以外の部分のリム部の強度を低下させて変形を容易なものとすることができる。
【0013】
さらに、スポーク部が複数本の多本スポークステアリングホイールの状態と、多本スポークステアリングホイールよりもスポーク部の本数が少ない少本スポークステアリングホイールの状態とを共用できる車両用ステアリングホイールの芯金であって、複数本のスポーク部のうち、少なくとも1本のスポーク部に対応する部位には、切除目印が設けられている。
このような構成によれば、切除目印によってスポーク部を切除することにより、異なる本数のスポーク部を有する多本スポークステアリングホイールと少本スポークステアリングホイールの芯金を得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、異なる本数のスポークへの変更が容易で、共通の芯金から製作しても同等の乗員保護性能を得られる車両用ステアリングホイールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態にかかる車両用ステアリングホイールで、カバーを外して、リム部、スポーク部、ボス部を表す正面図である。
図2】本発明の実施形態にかかる車両用ステアリングホイールで、スポーク部が3本の3本スポークステアリングホイールを示す正面図である。
図3】本発明の実施形態にかかる車両用ステアリングホイールで、スポーク部が2本の2本スポークステアリングホイールを示す正面図である。
図4】本発明の実施形態にかかる車両用ステアリングホイールで、スポーク部の断面形状を示す図1中II−II線に沿った位置での断面図である。
図5】本発明の実施形態にかかる車両用ステアリングホイールで、スポーク部の断面形状を示す図1中III−III線に沿った位置での断面図である。
図6】本発明の実施形態にかかる車両用ステアリングホイールで、(a)は、衝突前の様子を示す模式的な側面図、(b)は、衝突後の様子を示す模式的な側面図である。
図7】比較例の車両用ステアリングホイールで、(a)は、衝突前の様子を示す模式的な側面図、(b)は、衝突後の様子を示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。
[車両用ステアリングホイールの概略構成]
図1は、本実施形態にかかる車両用ステアリングホイール1で、図示しない樹脂カバーを外して、ボス部2、リム部4、スポーク部6を表す正面図である。この実施形態の車両用ステアリングホイール1は、ボス部2、リム部4、スポーク部6に共通する金属製の芯金10を備えている。
このうち、実施形態の車両用ステアリングホイール1では、芯金10によって構成される平板状のボス部2がステアリングシャフト8に取付けられている。この実施形態のボス部2は、平面視略H字状を呈して下縁部2aの左,右端にスポーク取付部2b,2bを突設させている。
【0017】
また、芯金10のボス部2の周縁には、環状のリム部4が設けられている。
さらに、このボス部2とリム部4とは、複数のスポーク部6によって一体となるように連結されている。
そして、スポーク部6は、ステアリングホイール中立状態で、車幅方向左右に延びる一対の水平スポーク部16,16と、ステアリングホイール中立状態で、ボス部2より真下に伸びる1本の可除スポーク部17とを有している。
【0018】
この実施形態の水平スポーク部16は、それぞれリム部4に接続される外側スポーク部16aと、ボス部2に接続される上下一対の内側スポーク部16b,16cとを有している。
また、この実施形態の可除スポーク部17は、芯金10の一部に設けられて、芯金10の一部を切除き可能とする一対の縦スポーク18,18を有している。
【0019】
これらの縦スポーク18,18は、ボス部2に近接している位置では、車幅方向左右に一定間隔を設けて離間している。そして、縦スポーク18,18の各上端部に位置するボス部連結部19,19をスポーク取付部2b,2bにそれぞれ連結させてボス部2と接続されている。
これらの縦スポーク18,18は、リム部4に近接するにしたがって間隔を減少させている。そして、車幅方向中央の下端部に位置するリム部連結部20では、左,右の縦スポーク18,18が一か所に集められて接続されて、平面視略V字状を呈している。
このリム部連結部20は、リム部4の内周縁に接続される。これにより、可除スポーク部17によってリム部4が一か所で支持されるように構成されている。
【0020】
図2は、本発明の実施形態にかかる車両用ステアリングホイールで、スポーク部6が3本の多本スポークステアリングホイールとしての3本スポークステアリングホイール1aを示す正面図である。
【0021】
芯金10は、3本スポークステアリングホイール1aと、3本スポークステアリングホイール1aよりもスポーク部6の本数が1本少ない2本スポークステアリングホイール1bとの双方にて共用できる。
すなわち、この実施形態では、図2に示す3本スポークステアリングホイール1aとして使用している状態の可除スポーク部17に相当する部分の縦スポーク18,18を芯金10(図1参照)から切除可能としている。
【0022】
また、縦スポーク18には、カバー取付部22がそれぞれ設けられている(図1参照)。カバー取付部22には、図示しない樹脂カバーの一部としてのガーニッシュが装着される。2本スポークステアリングホイール1bの構成により可除スポーク部17が用いられない場合、可除スポーク部分のガーニッシュも装着されない。
【0023】
図3は、本発明の実施形態にかかる車両用ステアリングホイールで、スポーク部6が2本の少本スポークステアリングホイールとしての2本スポークステアリングホイール1bを示す正面図である。
この実施形態では、図1に示すように芯金10から可除スポーク部17の1本分に相当する縦スポーク18,18(図1参照)を切除する。
これにより、リム部4は、水平スポーク部16,16のみにて支持されて、図3に示す2本スポークステアリングホイール1bとして使用できる状態となる。
【0024】
図4は、本発明の実施形態にかかる車両用ステアリングホイール1で、可除スポーク部17の上部にて一方の縦スポーク18の断面形状を示す図1中II−II線に沿った位置での断面図である。
各縦スポーク18には、それぞれボス部連結部19に切除可能な部分を示す切除目印としての第1脆弱部24が形成されている。第1脆弱部24は、切除目印となるように車両後方の側面が凹状に形成されて底部25を薄板状とすることにより、縦スポーク18の底部25の周囲の側面との間に段差が形成されている。
【0025】
図5は、本発明の実施形態にかかる車両用ステアリングホイール1で、可除スポーク部17の下部の縦スポーク18の断面形状を示す図1中III−III線に沿った位置での断面図である。
縦スポーク18には、リム部連結部20に切除目印を兼ねる第2脆弱部26が形成されている。第2脆弱部26は、切除目印となるように車両後方の側面が凹状に形成されて底部27を薄板状としている。そして、第1脆弱部24と同様に、第2脆弱部26は、縦スポーク18の底部25の周囲の側面との間に段差を形成している。
【0026】
さらに、この第2脆弱部26は、車両前方に向けて反対側の側面28を突設させている。この実施形態では、側面28が湾曲するように凸状に底部27の板厚を増大させている。さらに、底部25および底部27間の板厚の相違によりリム部連結部20の強度は、ボス部連結部19の強度と比較して大きくなるように調整されている。
【0027】
また、この底部27の周囲の段差は、切除目印となるように車両後方側の側面が凹状に形成されている。
これらの第1脆弱部24および第2脆弱部26は、可除スポーク部17を設けない2本スポークステアリングホイール1b(図3参照)を製作する際には、切り離す切断箇所の目印となる。
【0028】
そして、スポーク部6が3本の3本スポークステアリングホイール1a(図2参照)を製作する際には、可除スポーク部17が切り離されない。
たとえば、車両衝突時に運転者が車両用ステアリングホイールに衝突する二次衝突等によって、ユーザがリム部4に接触して、車両後方から3本スポークステアリングホイール1aに荷重が入力する。この場合、第1脆弱部24および第2脆弱部26は、他の部分よりも大きく屈曲変形する。
【0029】
図4および図5に示すように、この実施形態の第1脆弱部24の底部25の板厚d1は、第2脆弱部26の底部27の板厚d2よりも薄くなるように形成されている(d1<d2)。
この実施形態では、車両前方側の側面28にてほぼ中央部が凸となるように最も大きく湾曲させて突出されている部分の板厚d2は、第1脆弱部24の底部25の板厚d1よりも厚く形成されている(d2>d1)。
また、この第1脆弱部24の底部25の板厚d1および第2脆弱部26の底部27の板厚d2は、周囲の縦スポーク18の板厚d3,d4よりもそれぞれ薄くなるように形成されている(d1<d3,d2<d4)。
【0030】
そして、第2脆弱部26は、車両前方に向けて湾曲した凸形状の側面28によって、底部27の中央部の板厚d2を増大させている。このため、荷重入力が加わる方向の板厚d2が効果的に増大してリム部4を支持する剛性を向上させることができる。この実施形態の第2脆弱部26は、底部27の中央部以外の板厚は、薄く設定されている。したがって、第2脆弱部26は、第1脆弱部24よりも切断しやすくかつ比較的変形しやすい。
このため、縦スポーク18を曲げる力がリム部4とのリム部連結部20から入力すると、縦スポーク18の上部に、第1脆弱部24を曲げ変形させる力として伝達されやすい。
【0031】
図6は、本発明の実施形態にかかる車両用ステアリングホイール1で、(a)は、衝突前の様子を示す模式的な側面図、(b)は、衝突後の様子を示す模式的な側面図である。
たとえば、図6中(a)に示すように、二次衝突にて、リム部4の下部に荷重aが入力すると、図6中(b)に示すように、車両用ステアリングホイール1は、第1脆弱部24の底部25を中心として折曲して、リム部4を上下方向でステアリングシャフト8近辺から車両前方へ変形させる。
したがって、車両用ステアリングホイール1は、車両前方への変位量b1を大きくとることができる。よって、車両用ステアリングホイール1への接触による乗員保護性を低下させることなく、可除スポーク部17を切り離さない3本スポークステアリングホイール1aを得ることができる。
【0032】
図7は、比較例の車両用ステアリングホイール101で、(a)は、衝突前の様子を示す模式的な側面図、(b)は、衝突後の様子を示す模式的な側面図である。この比較例の車両用ステアリングホイール101では、脆弱部がスポーク部の下部の一部に設けられているか、あるいは脆弱部がスポーク部に設けられていない場合を示している。
図7中(a)に示すように、二次衝突にてリム部4の下部に荷重aが入力すると、図7中(b)に示すように、車両用ステアリングホイール101は、リム部4の下部のみを折れ曲がらせて変位量b2にて変形しようとする。
【0033】
この比較例の車両用ステアリングホイール101の変位量b2は、リム部4の下部のみを折れ曲げて、車両前方への変位量b2を得ようとしている。このため、荷重入力を吸収するための変位量b2を大きく設定することは困難であった。
これに対して、実施形態の車両用ステアリングホイール1では、上下方向でステアリングシャフト8近辺からリム部4を屈曲させて車両前方へ変形させることができる。このため、車両前方への変位量b1を比較例の車両用ステアリングホイール101の変位量b2と比較して大きく取ることができる(b1>b2)。
【0034】
次にこの実施形態の車両用ステアリングホイールの作用効果について説明する。
本発明の実施形態にかかる車両用ステアリングホイール1では、芯金10のうち、可除スポーク部17に対応する縦スポーク18には、第1脆弱部24および第2脆弱部26が凹状に形成されている。第1脆弱部24および第2脆弱部26は、縦スポーク18の上下端部で切除目印となる。
このため、不要となる縦スポーク18,18を切り離す際、薄板状の底部25および底部27とその周囲との段差により、切除目印の位置が分かりやすい。
よって、必要なスポーク部を残して、切除目印に沿って不要なスポーク部を芯金10から切り離すことが容易である。
【0035】
この実施形態では、芯金10のうち、水平スポーク部16に対応する部分を残すとともに、可除スポーク部17に対応する縦スポーク18,18を切除目印に沿って切除する。これにより、2本スポークステアリングホイール1bの部品として芯金10を使用することができる。
【0036】
また、この実施形態の底部25および底部27は薄板状に形成されている。このため、縦スポーク18の他の部分と比較して加工が容易である。したがって芯金10の切除目印に沿って、正確な位置で確実に切除を行うことが可能である。
さらに、共通の芯金10からスポーク部6の本数を容易に調整できる。よって、同じ芯金10を使用して、図2に示す可除スポーク部17を切り離さない3本スポークステアリングホイール1aあるいは、図3に示す可除スポーク部17を切り離した2本スポークステアリングホイール1bを選択できる。このため、部品効率が良好である。
【0037】
この実施形態の車両用ステアリングホイール1では、切除目印は、第1脆弱部24,第2脆弱部26を兼ねていて、薄板状の底部25および底部27を容易に切除することができる。このため、第1脆弱部24,第2脆弱部26の他にマーキング等の切除目印を設ける必要がない。
【0038】
また、図2に示すように可除スポーク部17を切り離さない場合、図1に示すようにそれぞれの縦スポーク18,18の上下両端部近傍のボス部連結部19およびリム部連結部20に、凹状の第1脆弱部24および第2脆弱部26が残存する。
第1脆弱部24は、薄板状の底部25を有するため、他の縦スポーク18の部分と比較して、容易に折れ曲がる。このため、図6に示すように第1脆弱部24の底部25を中心として縦スポーク18を折曲させて、リム部4を上下方向でステアリングシャフト8近辺から車両前方へ変形させることができる。
したがって、この実施形態の車両用ステアリングホイール1は、車両前方への変位量b1を大きくとることができる。よって、車両用ステアリングホイール1への接触による乗員保護性能を向上させることができる。
【0039】
さらに、凹状の第1脆弱部24を設けることにより、3本スポークステアリングホイール1aは、2本スポークステアリングホイール1bの二次衝突時の強度を近似させることができる。
よって、どちらの3本スポークステアリングホイール1aまたは、2本スポークステアリングホイール1bが選択された場合であっても、乗員保護性能を同等のものとすることができる。
このように、この実施形態の車両用ステアリングホイール1に用いる芯金10では、切除目印が第1脆弱部24,第2脆弱部26を兼ねている。このため、部品点数を増大させることなく、異なる本数のスポーク部6を有する異なる種類の車両用ステアリングホイール(3本スポークステアリングホイール1aまたは、2本スポークステアリングホイール1b)を提供することができる。
【0040】
そして、芯金10のうち、リム部4と連結されるリム部連結部20には、切除目印となる第2脆弱部26が設けられている。このため、第2脆弱部26は、縦スポーク18を切除する際に第1脆弱部24とともに切り離す切断箇所の目印となる。したがって、さらに縦スポーク18の切除が容易である。
また、縦スポーク18を切除しない3本スポークステアリングホイール1a(図2参照)を作成する場合、第2脆弱部26の底部27の板厚d2によって強度を適宜調整して低下させることができる。
【0041】
この実施形態では、図5に示すように第2脆弱部26に凹状に形成された底部27が周囲の板厚d4よりも薄い板厚d2(d2<d4)を有して薄板状に形成されている。
このため、縦スポーク18を切除しない3本スポークステアリングホイール1aでは、切除目印の部分にて、縦スポーク18を容易に屈曲変形させることができる。
そして、凹状の切除目印は、容易に加工出来、芯金10を製作する際、ボス部連結部19の第1脆弱部24と同様に凹状に加工して板厚d2を調整できる。
【0042】
図5に示すようにこの実施形態の第2脆弱部26の底部27は、車両前方に向けて反対側の側面28を突設させている。すなわち、第2脆弱部26では、側面28が湾曲するように凸状に底部27の板厚d2を増大させている。
そして、図4との比較にて示すように、底部25および底部27間の板厚d1,d2の相違によりリム部連結部20の強度は、ボス部連結部19の強度と比較して大きくなるように設定されている。
このため、縦スポーク18の中で、第2脆弱部26は第1脆弱部24よりも剛性が高く、比較的変形しにくい。
【0043】
よって、比較的変形しやすいステアリングシャフト8に近いボス部連結部19の第1脆弱部24から、リム部4の下部を車両前方へ向けて変形させて、所望の大きさの変位b1を得ることができる(図6参照)。
このように、変形量を大きくまたは、小さく設定したい部位の切除目印を構成する凹状に加工された部分の底部25,27の厚さを調整することにより、変形モードを変更できる。
【0044】
たとえば、この実施形態の第2脆弱部26の側面28は、凸状に湾曲して形成されている。このため、図6中(a)に示すように、二次衝突にてリム部4の下部に入力する荷重aに対して効率的に受け止めることができる。
したがって、縦スポーク18の上部の第1脆弱部24に対して有効な曲げ方向の力を入力させやすくすることができる。
【0045】
また、この実施形態では、一対の縦スポーク18,18がボス部2に近接している位置では、車幅方向左右に離間した略V字状を呈している。
このため、さらにステアリングシャフト8に近いボス部連結部19の第1脆弱部24から変形しやすい。
この実施形態の両縦スポーク18,18間は、中央部の下端部に位置するリム部連結部20の一か所にてリム部4の芯金10と一体となるように連結されている。このため、リム部4の他の部分を撓ませて、車両用ステアリングホイール101へ接触する際の乗員保護性を向上させることができる。
【0046】
たとえば、図2中二点鎖線で示す左右にハの字となるような一対の縦スポーク118,118を設けると、二か所の連結箇所が形成されてリム部4が撓みにくい。
これに対して、実施形態の車両用ステアリングホイール1は、リム部連結部20を介して一か所にてリム部4を支持しているため、比較的撓みが生じない範囲が少ない。
このため、これにより、ユーザがリム部4に接触する際の乗員保護性を向上させることができる。
【0047】
さらに、この実施形態の車両用ステアリングホイール1では、複数本のスポーク部のうち、芯金10の切除目印によって可除スポーク部17を切除する。これにより、異なる本数のスポーク部6を有する3本スポークステアリングホイール1aと2本スポークステアリングホイール1bとを得られる。
【0048】
しかも、切除目印は、第1脆弱部24を兼ねて、凹状に形成されて底部25を薄板状とした段差として、縦スポーク18の所望の位置に形成することができる。
このため、芯金10は、加工性が良好で、しかも、容易に強度を調整できる。よって、異なる本数のスポークを有する車両用ステアリングホイール1を、共通の芯金10から製作しても同等の乗員保護性能を得られる。
【0049】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、若しくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。上記実施形態に対して可能な変形は、たとえば以下のようなものである。
【0050】
この実施形態の車両用ステアリングホイールでは、芯金10の可除スポーク部17に相当する部分に切除き可能となる一対の縦スポーク18,18を有している。しかしながら、特にこれに限らず、可除スポーク部17が切除き可能となる一本、または三本以上の複数の縦スポーク18によって構成されていてもよい。すなわち、切除目印が形成されているものであれば、可除スポーク部17を構成するスポークの形状、数量、および材質が特に限定されるものではない。
【0051】
たとえば、この実施形態では、左,右一対の縦スポーク18,18が離間した状態でボス部2に固定されている位置からリム部4に近接するにしたがって間隔を減少させている。しかしながら、これに限らずたとえば、縦スポーク18,18が並行に配設されているものや、あるいは逆Vの字状に配設されていてもよい。
【0052】
また、たとえばハの字状や逆ハの字状など、二点以上でリム部4またはボス部2に接続されているものであってもよい。さらに、スポークが円弧状を呈していてもよい。たとえば、一対のスポークがリム部に近接するにしたがって離間距離を近接、離反させて変更するものでは、左,右対称に円弧形状を呈していてもよい。
【0053】
さらに、多本スポークステアリングホイールとして、3本スポークステアリングホイール1aを例示して説明してきたが特にこれに限らず、たとえば4本以上のスポーク部を有するステアリングホイール等、スポーク部の数量が限定されるものではない。
そして、少本スポークステアリングホイールとして1本少ない2本スポークステアリングホイール1bを例示して説明してきたが特にこれに限らず、2本以上スポーク部が少なくてもよく、少なくとも1本少ない少本スポークステアリングホイールを多本スポークステアリングホイールと共通の芯金10を用いて製作できるものであればよい。
【0054】
さらに、切除目印は、第1脆弱部24および第2脆弱部26を兼ねて、凹状に形成されているが、特にこれに限らず、たとえば、打刻によって得られる目印や、印刷あるいはペイントを施すことによって得られるマーキングなどであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 車両用ステアリングホイール
1a 3本スポークステアリングホイール(多本スポークステアリングホイール)
1b 2本スポークステアリングホイール(少本スポークステアリングホイール)
2 ボス部
4 リム部
6 スポーク部
17 可除スポーク部
18,18 縦スポーク
19 ボス部連結部
20 リム部連結部
24 第1脆弱部(切除目印)
25,27 底部
26 第2脆弱部(切除目印)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7