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特開2017-226351パークロックデバイスの制御装置及びパークロックデバイスの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-226351(P2017-226351A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】パークロックデバイスの制御装置及びパークロックデバイスの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/12 20060101AFI20171201BHJP
   F16H 61/12 20100101ALI20171201BHJP
   F16H 63/34 20060101ALI20171201BHJP
   F16H 61/28 20060101ALI20171201BHJP
   B60T 17/18 20060101ALI20171201BHJP
   B60T 1/06 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   B60T7/12 D
   F16H61/12
   F16H63/34
   F16H61/28
   B60T17/18
   B60T1/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-124945(P2016-124945)
(22)【出願日】2016年6月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164356
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】河口 高輝
(72)【発明者】
【氏名】永島 史貴
(72)【発明者】
【氏名】山本 英晴
【テーマコード(参考)】
3D049
3D246
3J067
3J552
【Fターム(参考)】
3D049BB01
3D049CC02
3D049HH12
3D049HH20
3D049HH47
3D049HH48
3D049HH52
3D049QQ01
3D049RR01
3D049RR06
3D049RR07
3D049RR12
3D049RR13
3D246BA02
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3D246GC11
3D246HA06A
3D246HA08A
3D246HA25A
3D246HA33A
3D246HA39A
3D246HA60A
3D246HA86A
3D246HB08A
3D246MA16
3D246MA37
3J067AA01
3J067AA21
3J067AB11
3J067CA21
3J067CA31
3J067DA52
3J067DB04
3J067DB06
3J067DB13
3J067DB34
3J067FA05
3J067FA06
3J067FA57
3J067FA82
3J067FB73
3J067FB76
3J067FB78
3J067GA01
3J552MA01
3J552MA11
3J552NA01
3J552NB01
3J552PB02
3J552QC04
3J552RB02
3J552VA03W
(57)【要約】
【課題】油圧制御部のフェールを検知することが可能なパークロックデバイスの制御装置及びパークロックデバイスの制御方法を提供する。
【解決手段】ATCU10は、パークロッド323と、油圧制御部329とを有するパークモジュール32の制御装置として構成される。ATCU10は、パークロッド323のストロークの変化に基づき、油圧制御部329のフェールを判定するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧により移動可能なパークロッドと、
前記パークロッドを移動させる油圧を制御する油圧制御部と、
を有するパークロックデバイスの制御装置であって、
前記パークロッドのストロークの変化に基づき、前記油圧制御部のフェールを判定する制御部、
を有することを特徴とするパークロックデバイスの制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパークロックデバイスの制御装置であって、
前記パークロッドのストロークの変化は、前記パークロッドのストロークスピードである、
ことを特徴とするパークロックデバイスの制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のパークロックデバイスの制御装置であって、
前記制御部は、前記油圧制御部のフェールを判定した後に、前記油圧制御部の油の強制的なドレンを行う、
ことを特徴とするパークロックデバイスの制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載のパークロックデバイスの制御装置であって、
前記制御部は、前記油圧制御部の油の強制的なドレンを行った後にインジケータに所定の告知を表示させる、
ことを特徴とするパークロックデバイスの制御装置。
【請求項5】
油圧により移動可能なパークロッドと、
前記パークロッドを移動させる油圧を制御する油圧制御部と、
を有するパークロックデバイスの制御方法であって、
前記パークロッドのストロークの変化に基づき、前記油圧制御部のフェールを判定すること、
を含むことを特徴とするパークロックデバイスの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パークロックデバイスの制御装置及びパークロックデバイスの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のパークロックを行うパークロックデバイスが知られている。特許文献1では、油圧により移動可能なパークロッドを有して構成されたパーキングロックピストンを備える自動車パーキングロック装置が開示されている。
【0003】
特許文献1の装置では、パーキングロックピストンは、作動シリンダの圧力チャンバの油圧に応じた作用力と、スプリングの付勢力とに基づき移動する。圧力チャンバには、パークロッドを移動させる油圧を制御する油圧制御部(作業流体圧力供給器、スイッチングバルブ及び制御弁)から油圧が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2014−517237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
油圧制御部のフェールは、油圧作動式のパークロックデバイスの動作に影響する。しかしながら、特許文献1では、油圧作動式のパークロックデバイスのフェールを検知する技術は開示されていない。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、油圧制御部のフェールを検知することが可能なパークロックデバイスの制御装置及びパークロックデバイスの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様のパークロックデバイスの制御装置は、油圧により移動可能なパークロッドと、前記パークロッドを移動させる油圧を制御する油圧制御部と、を有するパークロックデバイスの制御装置であって、前記パークロッドのストロークの変化に基づき、前記油圧制御部のフェールを判定する制御部、を有する。
【0008】
本発明の別の態様によれば、油圧により移動可能なパークロッドと、前記パークロッドを移動させる油圧を制御する油圧制御部と、を有するパークロックデバイスの制御方法であって、前記パークロッドのストロークの変化に基づき、前記油圧制御部のフェールを判定すること、を含むパークロックデバイスの制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
これらの態様によれば、パークロッドのストロークの変化に基づき油圧制御部のフェールを判定することで、間接的な態様で油圧制御部のフェールを判定することができる。また、これらの態様によれば、フェールを検知するために新たにセンサ等を設ける必要がないのでコスト面でも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車両の概略構成図である。
図2A】パークモジュールの説明図の第1図である。
図2B】パークモジュールの説明図の第2図である。
図3】実施形態の制御の一例をフローチャートで示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、車両の概略構成図である。車両は、動力源としてエンジン1を備える。エンジン1の動力は、トルクコンバータ2、変速機構3、差動装置4を介して、駆動輪5へと伝達される。車両では、変速機TMが、変速機構3と、ATCU10と、SCU20とを有して構成される。
【0013】
変速機TMは、Dレンジすなわちドライブレンジ、Rレンジすなわちリバースレンジ、Nレンジすなわちニュートラルレンジ、Pレンジすなわち駐車レンジ等のレンジを有する。DレンジとRレンジとは走行レンジを構成し、NレンジとPレンジとは、非走行レンジを構成する。
【0014】
変速機TMのレンジは、シフトレバー6によって選択される。シフトレバー6は、ドライバがレンジ選択の際に操作するシフターを構成する。シフトレバー6には、変速入力後に中立位置に復帰させるモーメンタリ式のシフトレバーを適用することができる。
【0015】
変速機構3は、有段の自動変速機構であり、遊星歯車機構と、複数の摩擦係合要素とを有して構成される。複数の摩擦係合要素は、クラッチとブレーキとを含む。変速機構3では、複数の摩擦係合要素で遊星歯車のギヤ比を切り換えることで、遊星歯車機構で前進複数段、後進1段の変速段が達成される。
【0016】
変速機構3は、コントロールバルブ部31と、パークモジュール32とをさらに有して構成される。コントロールバルブ部31は、変速機構3の複数の摩擦係合要素の作動油圧を制御する複数のソレノイドを有して構成される。パークモジュール32は、パークロックデバイスであり、駐車時に変速機構3の出力軸を機械的にロックする。パークモジュール32については後に詳述する。
【0017】
ATCU10は、自動変速機コントロールユニットであり、変速機TMの制御を行う。ATCU10には、車速VSPを検出する車速センサ11からの信号、変速機TMの油温TOILを検出する油温センサ12からの信号、パークモジュール32のパークロッド323の位置を検出するパーキングポジションセンサ13、車両が位置する道路の道路勾配を検出する道路勾配センサ14等からの信号が入力される。パーキングポジションセンサ13は具体的には、ストロークセンサで構成される。
【0018】
ATCU10にはさらに、SCU20、ECU30、BCM40、MCU50からの信号が入力される。ATCU10は、SCU20、ECU30、BCM40、MCU50と相互通信可能なCAN60を介して接続される。
【0019】
SCU20は、シフトコントロールユニットであり、要求レンジ信号を生成する。SCU20は、選択レンジ検出スイッチ21からのスイッチ信号である選択レンジ信号に基づき、選択レンジに応じた要求レンジ信号を生成してATCU10に出力する。
【0020】
ATCU10は、SCU20からの要求レンジ信号に基づき、変速機TMのレンジを設定する。ATCU10は、設定したレンジに応じて、次に説明するように制御指令値をコントロールバルブ部31に出力する。
【0021】
Dレンジを設定した場合、ATCU10は、車速VSP、アクセル開度APOに基づき、変速マップから目標変速段を決定し、目標変速段を達成するための制御指令値をコントロールバルブ部31に出力する。これにより、複数のソレノイドが制御指令値に応じて制御されると、複数の摩擦係合要素の作動油圧が調整され、目標変速段が達成される。
【0022】
Rレンジを設定した場合、ATCU10は、目標変速段を後進段に決定し、目標変速段を達成するための制御指令値をコントロールバルブ部31に出力する。この場合、複数のソレノイドが後進段を達成するように制御される。Pレンジ、Nレンジを設定した場合、ATCU10は、複数の摩擦係合要素の一部を締結したニュートラル状態を達成するための制御指令値をコントロールバルブ部31に出力する。但し、ATCU10は、複数の摩擦係合要素のすべてを解放させるための制御指令値をコントロールバルブ部31に出力してもよい。
【0023】
ATCU10は、選択レンジがPレンジとPレンジ以外のレンジとの間で変更された場合に、パークモジュール32を制御する。これにより、パークロック、パークロック解除が行われる。
【0024】
ECU30は、エンジンコントロールユニットであり、エンジン1を制御する。ECU30は、エンジン1の回転速度NE、アクセルペダルの操作量を表すアクセル開度APO等をATCU10に出力する。
【0025】
BCM40は、ボディコントロールモジュールであり、車体側動作要素を制御する。車体側動作要素は例えば、車両のドアロック機構等であり、エンジン1のスタータを含む。BCM40は、車両のドアロックを検出するドアロックスイッチのON・OFF信号、エンジン1のイグニッションスイッチのON・OFF信号等をATCU10に出力する。
【0026】
MCU50は、メータコントロールユニットであり、車室内に設けられたメータ、警告灯、ディスプレイ等のインジケータを制御する。インジケータは、変速機TMのレンジを表示するレンジインジケータを含む。
【0027】
図2A図2Bは、パークモジュール32の説明図である。図2Aは、パークロック状態のパークモジュール32を示し、図2Bは、パークロック解除状態のパークモジュール32を示す。
【0028】
パークモジュール32は、パーキングギヤ321と、パーキングポール322と、パークロッド323と、カム324と、パークアクチュエータ325と、ロック機構326と、第1アクチュエータ部327と、第2アクチュエータ部328とを備える。パークモジュール32はさらに、油圧部80を有して構成される。
【0029】
油圧部80は、油圧Pとしてライン圧を有するライン圧系統であり、ライン圧油路のほか、ライン圧の調整を行うライン圧調整弁を有する。油圧部80は、ライン圧油路に油を供給するオイルポンプをさらに含む構成とされてもよい。油圧部80は、コントロールバルブ部31に設けることができる。後述する切替弁328a、制御弁328c、ソレノイド328dについても同様である。
【0030】
パーキングギヤ321は、変速機TMの出力軸に固定され、出力軸と共に回転または停止する。パーキングギヤ321には、パーキングポール322が係合する。
【0031】
パーキングポール322は、パークロッド323の動きに応じて揺動する。パーキングポール322が揺動すると、パーキングギヤ321とパーキングポール322との係合状態が変更される。
【0032】
図2Aに示すように、パーキングギヤ321とパーキングポール322とが係合した状態では、パーキングギヤ321が機械的にロックされ、出力軸もロックされる。これにより、パークモジュール32がパークロック状態になり、車両の移動が規制される。
【0033】
図2Bに示すように、パーキングギヤ321とパーキングポール322との係合が解除された状態では、パーキングギヤ321及び出力軸のロックが解除され、パーキングギヤ321及び出力軸が回転可能となる。これにより、パークモジュール32がパークロック解除状態になり、車両の移動規制が解除される。
【0034】
パークロッド323は、パークアクチュエータ325のロッドであり、本実施形態ではパークアクチュエータ325の作動方向において、パークアクチュエータ325の両側から突出して設けられ、複数の部材で構成される。パークロッド323は、パークアクチュエータ325によって、図2Aに示されるパークロックポジションと、図2Bに示される非パークロックポジションとに移動される。
【0035】
パークロッド323の一端側には、カム324が取り付けられる。パークロッド323の他端側には、ロック機構326が係合する第1係合部323a及び第2係合部323bが設けられる。第1係合部323aは、パークロッド323が図2Aに示されるパークロックポジションに位置するときにロック機構326が係合する係合部である。第2係合部323bは、パークロッド323が図2Bに示される非パーキングポジションに位置するときにロック機構326が係合する係合部である。
【0036】
カム324は、パーキングポール322に当接し、パークロッド323の動きに応じてパーキングポール322を揺動させる。カム324は、パークロッド323が図2Aに示されるパークロックポジションにある場合に、パーキングギヤ321とパーキングポール322とを係合させる。カム324は、パークロッド323が図2Bに示される非パークロックポジションにある場合に、パーキングギヤ321とパーキングポール322との係合を解除する。
【0037】
パークアクチュエータ325は、パークロッド323を駆動する。パークアクチュエータ325は、Pレンジが選択された場合に、パークロッド323を図2Aに示されるパークロックポジションに駆動し、Pレンジ以外のレンジが選択された場合に、パークロッド323を図2Bに示される非パークロックポジションに駆動する。
【0038】
パークアクチュエータ325は具体的には、油圧シリンダで構成され、ピストン325aと、シリンダ室325bと、リターンスプリング325cとを有する。ピストン325aの中央部には、パークロッド323が貫通した状態で固定される。シリンダ室325bには、油圧部80から後述する切替弁328aを介して油圧Pが供給される。リターンスプリング325cは、パークロッド323をパークロックポジション側に向けて付勢する。
【0039】
ロック機構326は、パークモジュール32を図2Aに示すパークロック状態、及び図2Bに示すパークロック解除状態でロックする。ロック機構326は、これらの状態でパークロッド323に係合することで、パークロッド323の移動を制止、つまりパークロッド323をロックする。
【0040】
ロック機構326は具体的には、フック326aとスプリング326bとを有して構成される。フック326aは、パークロッド323との係合を行う。スプリング326bは、パークロッド323と係合する方向にフック326aを付勢する。
【0041】
第1アクチュエータ部327は、ロック機構326のロック解除を行う。第1アクチュエータ部327は、電磁アクチュエータで構成される。第1アクチュエータ部327は、ONの場合すなわち通電時に、図2Bに示すように、フック326aに対してロック解除方向に作用することで、ロック機構326のロック解除を行う。
【0042】
第2アクチュエータ部328は、切替弁328aと、アクチュエータ328bと、制御弁328cと、ソレノイド328dと、を有して構成される。切替弁328aは、油圧部80からの油圧Pの供給先をパークアクチュエータ325及びアクチュエータ328bのうちいずれかに切り替える。
【0043】
切替弁328aは、パイロットポートであるポートAを有する。ポートAは、油圧部80に接続される。ポートAは、制御弁328cを介して油圧部80に接続される。切替弁328aのポートAとの反対側には、ポートA側に向けて切替弁328aのスプールを付勢するスプリングが設けられる。
【0044】
アクチュエータ328bは、ロック機構326のロック解除を行う。アクチュエータ328bは具体的には、油圧アクチュエータで構成される。アクチュエータ328bは、油圧Pが供給された場合に、図2Aに示すように、フック326aに対してロック解除方向に作用することで、ロック機構326のロック解除を行う。
【0045】
制御弁328cは、ポートAに供給する油圧を制御する。ソレノイド328dは、リニアソレノイドであり、ATCU10からの指令に基づき制御弁328cを駆動する。ポートA側から切替弁328aのスプールに作用する力は、制御弁328cによって変更される。
【0046】
ポートA側から切替弁328aのスプールに作用する力が、反対側から切替弁328aのスプールに作用するスプリングの力よりも大きくなる場合、図2Aに示すように、切替弁328aは油圧部80とアクチュエータ328bとを連通する。これにより、ロック機構326のロック解除が行われる。
【0047】
この場合、切替弁328aはさらに、シリンダ室325bから油をドレンする。これにより、パークロッド323のパークロックポジションへの移動が、リターンスプリング325cによって行われる。
【0048】
ポートA側から切替弁328aのスプールに作用する力が、反対側から切替弁328aのスプールに作用するスプリングの力よりも小さくなる場合、図2Bに示すように、切替弁328aは、油圧部80とシリンダ室325bとを連通する。これにより、パークロッド323の非パークロックポジションへの移動が、シリンダ室325bの油圧に基づき行われる。
【0049】
この場合、切替弁328aはさらに、アクチュエータ328bから油をドレンする。このためこの場合には、ロック機構326のロック解除は、第1アクチュエータ部327によって行われる。
【0050】
第2アクチュエータ部328は、このように構成されることで、ロック機構326のロック解除及びパークロッド323の非パークロックポジションへの移動のうち一方を選択的に行うように構成される。以下では、切替弁328aが図2Aに示す状態になる場合をソレノイド328dがONの場合と称す。また、切替弁328aが図2Bに示す状態になる場合をソレノイド328dがOFFの場合と称す。
【0051】
パークモジュール32において、切替弁328a、制御弁328c、ソレノイド328d、油圧部80は、パークロッド323を移動させる油圧を制御する油圧制御部329を構成する。油圧制御部329は、パークアクチュエータ325をさらに含む構成とされてもよい。
【0052】
ところで、油圧制御部329のフェールは、油圧作動式のパークモジュール32の動作に影響する。このため、本実施形態ではATCU10が次に説明する制御を行う。
【0053】
図3は、ATCU10が行う制御の一例をフローチャートで示す図である。ATCU10は、本フローチャートの処理を実行するように構成されることで、パークモジュール32の制御装置、つまり本実施形態におけるパークロックデバイスの制御装置として構成される。
【0054】
ステップS1で、ATCU10は、パークロック指示を取得する。パークロック指示は例えば、選択レンジがPレンジに変更された場合にSCU20から入力される要求レンジ信号である。
【0055】
ステップS2で、ATCU10は、ストロークスピードVSTが所定値VST1よりも小さいか否かを判定する。ストロークスピードVSTは、パークロッド323のストローク変化率であり、パークロッド323のストロークの変化の一例である。所定値VST1は、油圧制御部329を含むパークモジュール32のフェールを判定するための値であり、ストロークスピードVSTが所定値VST1よりも小さい場合に、フェールが発生していると判定される。所定値VST1は、実験等により予め設定することができる。
【0056】
ステップS2で否定判定であれば、フェールが発生していないので処理は一旦終了する。この場合、通常の制御が継続される。ステップS2で肯定判定であれば、パークモジュール32のフェールに含まれたかたちで油圧制御部329のフェールが判定される。この場合、処理はステップS3に進む。
【0057】
ステップS3で、ATCU10は、フェールがパークモジュール32の電気故障であるか否かを判定する。パークモジュール32の電気故障は、パークモジュール32で用いられる電気部品の故障である。パークモジュール32の電気故障は、ソレノイド328dの故障、パーキングポジションセンサ13の故障のほか、油圧部80においてライン圧調整弁を駆動するソレノイドの故障等を含む。電気故障は、例えば断線、地絡、天絡である。ステップS3で、ATCU10は、パークモジュール32の電気故障を検出対象毎に検出する。
【0058】
ステップS3で肯定判定であれば、処理はステップS7に進む。ステップS7で、ATCU10は、故障時制御を行う。ATCU10は、故障時制御として、検出された電気故障に応じた故障時制御を行うことができる。ステップS3及びステップS7の処理は、公知技術のほか適宜の技術で行われてよい。ステップS7の後には、処理は一旦終了する。
【0059】
ステップS3で否定判定であれば、処理はステップS4に進む。ステップS4で、ATCU10は、フェールが油圧制御部329の機能故障である、との判定を下す。
【0060】
ところで、油圧部80の機能故障は例えば、油圧Pが用いられる変速機TMのギヤ比異常診断やニュートラル異常診断で別途行うことができる。このため、ATCU10は、例えばこれらの診断を併用することで、油圧部80が正常な場合には、次のような判定をステップS4で下すこともできる。
【0061】
すなわちこの場合、ATCU10は、油圧制御部329の出力側の機能故障、つまり油圧制御部329のうち油圧部80よりも出力側の部分の機能故障である、との判定をステップS4で下すことができる。当該機能故障は例えば、切替弁328aの固着である。ステップS4の後には、処理はステップS5に進む。
【0062】
ステップS5で、ATCU10は、第1フェールセーフ制御を行う。ATCU10は、第1フェールセーフ制御として、油圧制御部329の油の強制的なドレンを行う。油圧制御部329の油の強制的なドレンは、油圧部80において油をドレンすることで行うことができる。
【0063】
これにより、切替弁328aが図2Bに示す状態で固着していた場合であっても、シリンダ室325bの油をドレンすることができる。したがって、油圧制御部329のフェールがあっても、パークロックを行うことが可能になる。
【0064】
ATCU10は、第1フェールセーフ制御として具体的には、油圧制御部329の油の強制的なドレンを行うとともに、第1アクチュエータ部327をONにする。これにより、ロック機構326のロック解除を行うこともできるので、パークロックを行うことができる。
【0065】
ステップS6で、ATCU10は、第2フェールセーフ制御を行う。ATCU10は、第2フェールセーフ制御として、インジケータに所定の告知を表示させる。所定の告知は例えば、パーキングブレーキの作動操作を促す告知である。これにより、フェールセーフを2重にして、安全性を高めることができる。この場合、例えばさらにアクチュエータ328bが故障しており、第1フェールセーフ制御でパークロックを行うことができなかった場合であっても、安全性を確保することができる。
【0066】
ATCU10は、第1フェールセーフ制御及び第2フェールセーフ制御を行う代わりに、第2フェールセーフ制御を行うように構成してもよい。この場合も、ドライバにパーキングブレーキの作動操作をしてもらうことによって、安全性を確保することができる。ステップS6の後には、処理は終了する。
【0067】
ATCU10は、ステップS2の処理を実行するように構成されることで、パークロッド323のストロークの変化に基づき、油圧制御部329のフェールを判定する制御部を有した構成とされる。ATCU10では、このような制御部がステップS3からステップS6の処理をさらに行うように構成される。
【0068】
次に、本実施形態の主な作用効果について説明する。
【0069】
ATCU10は、パークロッド323と、油圧制御部329とを有するパークモジュール32の制御装置として構成される。ATCU10は、パークロッド323のストロークの変化に基づき、油圧制御部329のフェールを判定するように構成される。
【0070】
このような構成によれば、パークロッド323のストロークの変化に基づき油圧制御部329のフェールを判定することで、間接的な態様で油圧制御部329のフェールを判定することができる。また、フェールを検知するために新たにセンサ等を設ける必要がないのでコスト面でも有利である(請求項1、5に対応する効果)。
【0071】
パークロッド323のストローク変化としては、ストロークスピードVSTのほか、例えばパークロッド323のストローク量を用いることができる。その一方で、シリンダ室325bの油のドレンスピードが遅くなるフェールが生じた場合、シリンダ室325bの油は最終的にドレンされるので、ストローク量に異変は生じないことになる。
【0072】
このような事情に鑑み、本実施形態では、パークロッド323のストロークの変化は、パークロッド323のストロークスピードVSTとされる。
【0073】
このような構成によれば、パークロッド323のストローク変化としてパークロッド323のストローク量を用いる場合と比較して、検知可能なフェールの範囲を広げることができる(請求項2に対応する効果)。
【0074】
ATCU10は、油圧制御部329のフェールを判定した後に、油圧制御部329の油の強制的なドレンを行う。
【0075】
このような構成によれば、シリンダ室325bから油をドレンすることができるので、油圧制御部329のフェールがあっても、パークロックを行うことを可能にすることができる(請求項3に対応する効果)。
【0076】
ATCU10は、油圧制御部329の油の強制的なドレンを行った後にインジケータに所定の告知を表示させる。
【0077】
このような構成によれば、油圧制御部329の油の強制的なドレンを行った後に、アクチュエータ328bの故障等によってパークロックを行えない場合であっても、安全性を確保することが可能になる(請求項4に対応する効果)。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0079】
上述した実施形態では、自動変速機を構成する変速機TMが、有段の自動変速機である場合について説明した。しかしながら、変速機TMは例えば無段変速機であってもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 ATCU(制御部)
32 パークモジュール(パークロックデバイス)
323 パークロッド
326 ロック機構
327 第1アクチュエータ部
328 第2アクチュエータ部
329 油圧制御部
TM 変速機
図1
図2A
図2B
図3