【課題】タブレット型端末及び当該タブレット型端末で利用可能なサービスアプリケーションソフトウエアを用いて外部と情報通信を行い、低価格なイニシャルコスト及びランニングコストで、高機能なナビゲーション及び種々のサービスと、タブレット型端末を車内で安全かつ正常に使用可能な車載用クレイドルと、をあわせて提供することを目的とする。
【解決手段】タブレット型端末を用いたテレマティクスサービスであって、車両及び運転に関する情報を送受信可能なタブレット型端末用のサービスアプリケーションソフトウエアと、前記サービスアプリケーションソフトウエアを使用するための前記タブレット型端末を車内に固定し、給電を行いながら放熱又は遮熱を可能とする車載用クレイドルと、から構成され、ユーザにナビゲーションと、車両トラブル対応と、テレマティクス保険と、車両及び運転に関する有益な情報サービスと、の提供を可能とする、ことを特徴とする。
前記サービスアプリケーションソフトウエアは、インストールした前記タブレット型端末の無線送受信手段及び/又は有線送受信手段を備えた通信部を用いて、車両及び運転に関する情報を送受信し、GPS受信機と、インターネット通信と、を使用して地図上の現在地情報を送受信する、
ことを特徴とする請求項1に記載のテレマティクスサービス。
【背景技術】
【0002】
車載用のカーナビゲーションは、ユーザを所望の目的地まで案内するもので、現在非常に多くの車両で用いられている情報機器である。具体的には車両に搭載して電子的に道順案内等を行い、ユーザを支援するシステムである。地図データや施設情報データを記憶し、目的地や現在地周辺の施設等における種々の情報を検索したり、当該検索結果を地図上に表示してユーザの運転を支援する。また、走行中にGPS受信機で自動的に検出し、システムに記憶された地図データと照らし合わせて画面上の地図に経路を表示しつつ音声で道案内を行うことでユーザを目的地まで導くものである。
【0003】
近年、スマートフォンの復旧に伴って当該スマートフォン用に開発されたナビアプリケーションソフトウエアをインストールしてスマートフォンをカーナビゲーションとして利用するケースも少なくない。また、最新のカーナビゲーションは、通信カーナビゲーションと称され、オンラインを用いたリアルタイム情報通信を可能とするものがある。これはオンラインによって離れた位置に設置された高性能なシステム等がユーザとリアルタイムに会話して詳細な経路を伝達してより正確に目的地に導くものであり、さらにナビゲーション以外にも種々の付帯サービスをユーザに提供する(例えば特許文献1(特開2007−328518号公報))。
【0004】
しかしながら、上述した従来のカーナビゲーション及びカーナビゲーションを主体としたテレマティクスサービスでは、以下の問題があった。例えばスマートフォンを利用したカーナビゲーションでは、目的地までのナビゲーション継続のためにスマートフォンに給電しつつ利用する必要がある。しかし、夏場等は車内の温度が上昇し、とりわけスマートフォンを設置するダッシュボード周辺の部材は著しく蓄熱する。このため、スマートフォンの温度も過剰に上昇し、熱暴走の発生や、60℃以上の高温に達した際には給電を行うことも不可能な状態となってしまう。また、正常に使用できていたとしても、スマートフォンの小さなディスプレイではナビゲーションを効果的に行うことは困難であり、ユーザがディスプレイを覗き込むことで運転に危険な状況を作り出すことも懸念される。
【0005】
最新の通信カーナビゲーション及びテレマティクスサービスでは、当該通信カーナビゲーション本体が非常に高価であるため、ユーザが当該システムを導入する障壁となっている。また、当該システムは継続してサービスを受けるために月額又は年額の通信費を払い続けることが必要で、これもユーザに大きな金銭的負担を強いる状況となっている。さらに、当該システムはあくまで車内のみで使用されるものであり、ユーザにとって最新地図への更新程度が主たる通信メリットであるためシステム導入のコスト負担増加を受け入れるほどの初期的要求がなく、システムを普及させ難い現状がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みて創作されたものであり、タブレット型端末及び当該タブレット型端末で利用可能なサービスアプリケーションソフトウエアを用いて外部と情報通信を行い、低価格なイニシャルコスト及びランニングコストで、高機能なナビゲーション及び種々のサービスと、タブレット型端末を車内で安全かつ正常に使用可能な車載用クレイドルと、をあわせて提供することを目的とする。
【0008】
上記の課題を解決すべく、本発明は、
タブレット型端末を用いたテレマティクスサービスであって、
車両及び運転に関する情報を送受信可能な前記タブレット型端末用のサービスアプリケーションソフトウエアと、
前記サービスアプリケーションソフトウエアを使用するための前記タブレット型端末を車内に固定し、給電を行いながら放熱又は遮熱を可能とする車載用クレイドルと、から構成され、
ユーザにナビゲーションと、車両トラブル対応と、テレマティクス保険と、車両及び運転に関する有益な情報サービスと、の提供を可能とする、
ことを特徴とする。
【0009】
上記のような構成を有する本発明のテレマティクスサービスを使用することにより、ユーザは従来の通信カーナビゲーションよりも安価にシステムを導入することが可能であり、システムの継続使用に係る通信費についてもサービス運営者が電気通信サービス事業者と提携することでタブレット型端末の通信費用と一本化して安価なプランを提供することができる。また、通信ナビゲーション及びテレマティクスサービスはタブレット型端末用のサービスアプリケーションソフトウエアが行い、当該サービスアプリケーションソフトウエアは情報発信元となる情報管理サーバと情報通信を行うことで、高機能なナビゲーションを実現し、車両に発生したトラブルの対処や走行距離連動型等のテレマティクス保険にも対応することができる。
【0010】
タブレット型端末は運転時以外でも使用できる高機能な情報通信端末であるため、ユーザは普段使いのタブレット型端末としても利用できることから、車載に限定されたカーナビゲーションよりも利便性が格段に向上する。また、スマートフォンと比してタブレット型端末は大きな画面を有することから、ユーザに対する視覚的な情報の提供も確実化され、運転中も安全に使用することが可能となる。さらに、タブレット型端末専用の車載用クレイドルを有した車両を提供することで、放熱又は遮熱してタブレット型端末の高温化を抑止し、給電を行いながら使用することができる。
【0011】
また、
前記サービスアプリケーションソフトウエアは、インストールした前記タブレット型端末の無線送受信手段及び/又は有線送受信手段を備えた通信部を用いて、車両及び運転に関する情報を送受信し、GPS受信機と、インターネット通信と、を使用して地図上の現在地情報を送受信する、
ことを特徴とする。
【0012】
上記のような構成を有する本発明のテレマティクスサービスを使用することにより、サービスアプリケーションソフトウエアは情報発信元となる情報管理サーバと情報通信を行い、ユーザに提供するサービスに必要な情報を適宜送受信する。これによりユーザは最適かつ利便性の高いサービスを享受することができると同時に、車両側の情報も常に送信することができる。
【0013】
また、本発明は、
前記タブレット型端末を固定可能なスタンドと、
前記スタンドの前面上下部に位置して、前記タブレット型端末を支持する端末ガイドと、
前記スタンドの前面サイド部のどちらか一方に位置して、前記タブレット型端末の固定を位置決めする端末ストッパと、
前記端末ストッパに固定され、前記タブレット型端末のインターフェイスに接続して給電及び車両側との情報通信を可能とする端末コネクタと、
前記スタンドの角度を調整可能とするヒンジ部と、を具備し、
前記タブレット型端末を車内に設置可能とする、
ことを特徴とすることが望ましい。
【0014】
さらに上記のような構成を有する本発明において、
前記タブレット型端末に冷風を供給可能とする冷却用アッパーベントと、前記スタンドに放熱部と、を具備し、
前記タブレット型端末の熱を放熱又は遮熱を可能とする、
ことを特徴とすることが望ましい。
【0015】
このような構成を用いることにより、タブレット型端末を勘弁かつ確実に車載用クレイドルに装着することが可能であり、運転時の揺れ等でも車載用クレイドルからタブレット型端末が容易に脱落することはない。また、車載用クレイドルは、車両に対してユーザが後付けするものではなく、本発明のテレマティクスサービスの利用を前提とし、あらかじめダッシュボード周辺に設けられたものであるから、車両の内装デザインに合致した素材及びデザインの車載用クレイドルが装備でき、見栄えの悪い従来のナビゲーションシステムと比して良好な意匠となる。また、放熱部及び冷却用アッパーベントを備えてタブレット型端末の放熱又は遮熱、更に冷却を行うことができるため、スマートフォン用クレイドルを用いたスマートフォンの車載において問題視されていた、スマートフォン高温化による熱暴走及び充電不可状態の発生を抑止できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るテレマティクスサービスの代表的な実施形態を、
図1〜
図4を参照しながら詳細に説明するが、本発明は図示されるものに限られないことはいうまでもない。また、各図面は本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて誇張又は簡略化して表している場合もある。更に、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
【0018】
まず、
図1を用いて本発明におけるテレマティクスサービスの概要を説明する。
図1は、本発明に係るテレマティクスサービスの構成における概要を示す概念図である。
図1に示す通り、本発明のテレマティクスサービスは概ね、タブレット型端末1と、車載用クレイドル3と、情報管理サーバ5と、車両情報送信器7と、インターネット13と、から構成されており、さらに運用の状況に応じて客用情報通信端末9と、補助者用情報通信端末11と、が加えて用いられる。
【0019】
タブレット型端末1は、テレマティクスサービス専用としてサービス運営者又は該サービス運営者と提携した電気通信サービス事業者(キャリア)から販売又は貸与されたもの、あるいはユーザが既に所有している一般的なタブレット型端末である。ユーザは、タブレット型端末1にサービス運営者又は該サービス運営者と提携した電気通信サービス事業者が配布するサービスアプリケーションソフトウエア33をインストールすることによって、サービス運営者又は該サービス運営者と提携した電気通信サービス事業者が管理する情報管理サーバ5との情報通信が可能となり、ユーザは、ユーザの運転補助に関する情報(地図情報35、ナビゲーション情報37)及びユーザの運転に関する有益なサービス情報41の受信を行うことができる。また、ユーザの車両に関する種々のトラブルに関する車両情報39と、位置情報43と、車両走行情報45と、を送信することができる。更に、タブレット型端末1は単体での使用(タブレット型端末1に従来から備えられた機能の使用)も可能であるため、インターネット13に接続してメールの送受信及び音楽や映像の鑑賞、またSNSの利用も可能である。
【0020】
上述した情報通信の達成により、ナビゲーションと、ルート配送ナビゲーションと、車両トラブル対応と、テレマティクス保険と、情報サービスと、の各サービスを受けることができる。
【0021】
サービスアプリケーションソフトウエア33は、本発明のテレマティクスサービスを利用するためのアプリケーションソフトウエアであり、全てのサービスをサービスアプリケーションソフトウエア33単体で統括して利用できるものであるが、サービスに応じて個別のアプリケーションソフトウエアを複数個利用するものであってもよい。また、サービスアプリケーション33は、ユーザによってモードを切り変えて使用することができるものであり、一般運転手モードとしての利用又は車両を用いて商いを行う商用車運転手モードとしての利用を選択して使用することができる。また、当該モードはさらに追加して細分化されることも予想でき、ユーザのニーズに最適なサービスの提供が想定されている。
【0022】
サービスアプリケーションソフトウエア33は、テレマティクスサービスのサービス運営者又は該サービス運営者と提携した電気通信サービス事業者と、ユーザと、の間でテレマティクスサービスを利用するための料金プランで契約を締結した後に利用が可能となるものである。料金プランは、テレマティクスサービスと、タブレット型端末1の通信費と、のセット価格や、テレマティクスサービス契約者はタブレット型端末1の通信費が無料になる等の格安プランが想定されており、高コストの従来通信ナビゲーションと比して安価にテレマティクスサービスを受けることができる。
【0023】
地図情報35は、ユーザの運転を補助するナビゲーション及びルート配送ナビゲーションに用いる地図データであり、最新の交通情報により随時更新されたものが情報管理サーバ5からタブレット型端末1に送信され、ユーザの手を煩わすことなく自動的に更新されるものである。高い更新頻度及びユーザ手動による更新と比して絶えず最新の地図情報35が得られるため、ナビゲーション及びルート配送ナビゲーションの精度向上にも効果がある。
【0024】
ナビゲーション情報37は、ユーザが商用車運転手モードを選択してルート配送ナビゲーションを使用した際に送受信される走行順路及びタイムスケジュールから構成されたデータであり、ユーザの運転に対して指示及び補助を行う補助者が補助者用情報通信端末11から情報管理サーバ5を介してタブレット型端末1に送信されるものである。ナビゲーション情報37を受信したタブレット型端末1は、ナビゲーション情報37の内容に合致したルート配送ナビゲーションを行い、ユーザが道に迷うことなく所望の順路で複数の目的地を順番に目指すことができる。
【0025】
車両情報39は、ユーザの車両に発生した車両盗難、事故、災害、窓ガラスの閉め忘れやライトの消し忘れのうっかりミス等におけるトラブルをユーザ及びサービス運営者に知らせるデータであり、車両のトラブルを察知した車両の盗難防止装置や車両の異常を感知する種々のセンサに繋がった車両情報送信器7からタブレット型端末1と、タブレット型端末1を介して情報管理サーバ5と、に送信し、車両トラブル対応を可能とする。
【0026】
サービス情報41は、ユーザの運転範囲におけるガソリンスタンドのリアルタイムな燃料給油価格やその他種々の特売情報等、またバッテリ及びオイル交換に関する車両メンテナンスのサポートを行うデータであり、情報管理サーバ5からタブレット型端末1に適宜送信されて情報サービスを可能とする。サービス運営者又はサービス情報41の内容に関する店舗が情報管理サーバ5のサービス情報41を随時更新することでユーザは最新の情報サービスを受けることが可能となる。
【0027】
位置情報43は、ユーザの車両が走行する現在位置を知らせるデータであり、一般運転手モードの際にはタブレット型端末1から情報管理サーバ5に送信され、商用運転手モードの際にはさらに情報管理サーバ5から客用情報通信端末9及び補助者用情報通信端末11にも送信される。位置情報43は、一般運転手モードでは主に情報サービスの提供に用いられ、商用運転手モードではルート配送ナビゲーションに用いられる。また、該ルート配送ナビゲーションに連動して、ユーザの車両の到着を待つ客と、ユーザの運転に対して指示及び補助を行う補助者と、にユーザの位置情報43を通知することでユーザの到着時間推測やユーザの運転状況の把握と、が可能となる。
【0028】
商用運転手モードにおける位置情報43の送受信についてさらに具体的には、位置情報43の送受信を利用することで、ユーザの現在位置に伴い自動的に客の所有する客用情報通信端末9に到着予告を通知して不要な待ち時間を削減することができる。また、補助者はユーザの現在位置を常時把握することができ、事故やトラブルに早急な対応を施しつつ業務効率の向上を図ることが可能となる。ユーザは自身の運転状況を第三者に把握されることにより、運転マナーに対する意識の向上が期待でき、これはブランドイメージ全体の向上にも繋がる。
【0029】
車両走行情報45は、ユーザの走行距離及び/又は運転特性から構成されたデータであり、走行距離は車両に備えられた走行距離計等から取得し、運転特性は急発進、急ブレーキ、急加速、急ハンドル等の有無及び頻度を車両に別途設けたカメラ、Gセンサ、GPS受信機等から取得するものである。取得された車両走行情報45は、車両情報送信器7からタブレット型端末1と、タブレット型端末1を介して情報管理サーバ5と、に送信され、テレマティクス保険の保険料率を決定する情報として利用される。
【0030】
車載用クレイドル3は、タブレット型端末1をダッシュボード周辺に固定し、ユーザが運転席から簡便にタブレット型端末1を操作できるよう補助するものである。従来のスマートフォン専用クレイドルと比して車載用クレイドル3は、あらかじめ車両に備え付けられたものであるため、冷却用アッパーベント113を有しタブレット型端末1を冷却し、充電しながら使用することができる。車載用クレイドル3における詳細な構造については後述する。また、車載用クレイドル3を用いてタブレット型端末1を使用することで、スマートフォンと比して画面の認識が非常に容易となり、また操作性も向上する。これは安全な運転にも繋がり、スマートフォンよりもタブレット型端末1が本発明のテレマティクスサービスの利用に適していると言える。
【0031】
上述した様に、本発明のテレマティクスサービスは、ナビゲーションと、ルート配送ナビゲーションと、車両トラブル対応と、テレマティクス保険と、情報サービスと、をタブレット型端末1に集約し、車載用クレイドル3を用いることでタブレット型端末1を車両内で安全かつ簡便に利用できる。これにより、従来の通信ナビゲーションと比してユーザの費用負担を軽減しつつ利便性を向上させる。
【0032】
また、サービス運営者はタブレット型端末1の車載用クレイドル3を装備した新車販売の拡大と、顧客囲い込みの強化と、ビッグデータ取得及び該ビッグデータの活用を可能とし、サービス運営者と提携した電気通信サービス事業者は新規通信契約者の拡大及びこれに伴うタブレット型端末1及びスマートフォン等の販売台数増加が期待できるものである。
【0033】
次に、
図2を用いて本発明におけるテレマティクスサービスの詳細な構成を説明する。
図2は、本発明に係る車両用保険料率決定システムの構成における一例を示すシステム構成図である。
【0034】
タブレット型端末1と、情報管理サーバ5と、は基地局15を中継し、更にインターネット13又は携帯電話通信網17を介して情報通信を可能とし、タブレット型端末1と、車両情報送信器7と、は有線接続又は無線接続により情報通信を可能とする。
【0035】
客用情報通信端末9及び補助者用情報通信端末11と、情報管理サーバ5と、は基地局15を中継し、更にインターネット13又は携帯電話通信網17を介して情報通信を可能とする。タブレット型端末1と、客用情報通信端末9と、補助者用情報通信端末11と、の間における情報通信は基本的に情報管理サーバ5を介して行われる。尚、インターネット13及び携帯電話通信網17による情報通信は、例えば3Gや4G方式での接続を想定したものであり、基地局15をいわゆるアクセスポイント又は無線ルータに置き替えた無線接続としてもよいし、有線又は無線のLAN等による接続としてもよい。
【0036】
続いて各端末の構成を詳細に説明する。タブレット型端末1は、少なくとも外部との通信を可能とするタブレット型端末通信部21と、タブレット型端末1内の各部を制御するタブレット型端末制御部23と、情報及び各種データ等を記憶するタブレット型端末記憶部25と、ユーザに情報を視覚的に伝えるディスプレイ27と、GPS受信機から構成され、現在位置を取得可能な位置検出部29と、から構成されている。しかしながら、構成は必ずしも物理的に独立した内部構成を限定するものではなく、一部が上記のうち複数の機能を兼ね備えるものであってもよい。
【0037】
タブレット型端末記憶部25内には、オペレーションシステム31と、サービスアプリケーションソフトウエア33と、地図情報35と、ナビゲーション情報37と、車両情報39と、サービス情報41と、位置情報43と、車両走行情報45と、を記憶することが可能である。尚、オペレーションシステム31においては、タブレット型端末制御部23内部に載置されたメモリに記憶されてもよい。
【0038】
情報管理サーバ5は、少なくとも外部との通信を可能とする情報管理サーバ通信部51と、情報管理サーバ5内の各部を制御する情報管理サーバ制御部と、情報及び各種データ等を記憶する情報管理サーバ記憶部54と、から構成されている。しかしながら、構成は必ずしも物理的に独立した内部構成を限定するものではなく、一部が上記のうち複数の機能を兼ね備えるものであってもよい。
【0039】
情報管理サーバ記憶部54内には、各情報の配信計画及び配信を実行する情報配信アプリケーションソフトウエア55が記憶され、さらに地図情報データベース57と、車両走行情報データベース58と、ユーザデータベース59と、位置情報データベース61と、車両情報データベース62と、ナビゲーション情報データベース63と、サービス情報データベース65と、における各情報を格納するための区画が設けられている。
【0040】
車両情報送信器7は、少なくとも無線通信手段又は優先通信手段を用いてタブレット型端末1との通信を可能とする車両情報送信器通信部71と、車両情報送信器記憶部73と、から構成されている。また、車両情報送信器7は、車両に備えられた走行距離計、カメラ、Gセンサ、GPS受信機、盗難防止装置、車両の異常を感知する種々のセンサ、等と接続されており、当該各部から得られる情報を車両情報送信器記憶部73に記憶する。車両情報送信器記憶部73は、収納性に優れたフラッシュメモリ等の不揮発性メモリが想定され、無線送信手段はBluetooth等のデジタル機器用無線通信規格又はWi‐Fi等の無線LANが想定される。
【0041】
客用情報通信端末9及び補助者用情報通信端末11は、インターネット13又は携帯電話通信網17に接続が可能な一般的な構成を有するタブレット型端末やスマートフォン、又はパーソナルコンピュータである。なお、本明細書にいうタブレット型端末1は、液晶ディスプレイにタッチパネル機能を備え、キーボード等を使用することなく情報入力が可能なモバイル型のパーソナルコンピュータの一形態として位置づけられるものである。このタブレット型端末1は、情報の入力を、タッチパネルを介して行うため、通常のパーソナルコンピュータと異なり、その大きさや形状に自由度があり、表示の見易さにも優れるものが多い。
【0042】
次に、
図3を用いてタブレット型端末1でサービスアプリケーションソフトウエア33を使用可能とするまでの工程を説明する。
図3は、
図2におけるタブレット型端末1にサービスアプリケーションソフトウエア33をインストールし、サービスアプリケーションソフトウエア33を使用可能な状態に設定するまでの工程を示したフロー図である。
【0043】
本発明のテレマティクスサービスには、タブレット型端末1に予めサービスアプリケーションソフトウエア33のインストールが必要である。まず、ユーザは、タブレット型端末1からインターネット13又は携帯情報通信網17を介して各種アプリケーションソフトウエアの配信を管理するアプリケーションソフトウエア配信サーバ(図示なし)にアクセスし、当該アプリケーションソフトウエア配信サーバからサービスアプリケーションソフトウエア33をダウンロードしてインストールすることとなる。
【0044】
次に、ユーザは、インストールを完了したサービスアプリケーションソフトウエア33を操作し、タブレット型端末1からインターネット13又は携帯情報通信網17を介して、情報管理サーバ5にアクセスし、サービスアプリケーションソフトウエア33の使用許可要求を送信する。
【0045】
タブレット型端末1からサービスアプリケーションソフトウエア33の使用許可要求を受信した情報管理サーバ5は、ユーザ識別情報を入力するための専用インターフェイスをタブレット型端末1に送信し、サービスアプリケーションソフトウエア33を介してユーザに当該ユーザ識別情報の入力及び送信を要求する。
【0046】
情報管理サーバ5らユーザ識別情報(図示なし)の入力及び送信を要求されたユーザは、サービスアプリケーションソフトウエア33を用いて受信した専用インターフェイスからユーザ識別情報を入力し、情報管理サーバ5に送信する。当該ユーザ識別情報は、ユーザがサービス運営者又は該サービス運営者と提携した電気通信サービス事業者と契約を締結した際等に通知されるものであって、ユーザが本発明のテレマティクスサービスを利用するためのID及びパスワード等である。またサービス運営者又は該サービス運営者と提携した電気通信サービス事業者は、ユーザと契約を締結した際にユーザ識別情報を情報管理サーバ5のユーザデータベース59内に記憶し、ユーザによる本発明のテレマティクスサービスの使用開始に備える。
【0047】
タブレット型端末1からユーザ識別情報を受信した情報管理サーバ5は、ユーザデータベース59内に記憶されたユーザ識別情報と照合し、ユーザが契約者であることを確認する。
【0048】
ユーザ識別情報の照合が完了した後、情報管理サーバ5はサービスアプリケーションソフトウエア33の使用許可情報をタブレット型端末1に送信し、当該サービスアプリケーションソフトウエア33に読み取らせて使用可能なスタンバイ状態とする。
【0049】
続いて、本発明のテレマティクスサービスにおける各サービスの情報の流れを説明する。
【0050】
ナビゲーションは、従来からカーナビゲーションと称してデジタル表示された地図に対し、車両のGPS受信機を用いて現在地を表示し、ユーザの所望する目的地までの順路を当該地図に示して誘導するものと同様のサービスである。サービスアプリケーションソフトウエア33は、タブレット型端末記憶部25内の地図情報35を読み出し、位置検出部29により検出した現在地を加味してディスプレイ27に表示する。ユーザが所望する目的地に合わせて現在地から目的地までの順路と、到着所要時間と、をタブレット型端末制御部23により計算し、ディスプレイ27を介してユーザに通知する。運転中の順路変更や渋滞情報の取得、その他基本的なナビゲーションの機能においても地図情報35と、位置検出部29と、タブレット型端末制御部23と、により情報の処理が行われ、ディスプレイ27を介してユーザに通知されるものである。尚、地図情報35の更新は、タブレット型端末1と、情報管理サーバ5と、の間で行われるものであり、地図情報データベース57に新しい地図情報35が記憶されると、情報配信アプリケーションソフトウエア55が察知し、地図情報35は地図情報データベース57から情報管理サーバ通信部51を通過してインターネット13又は携帯電話通信網17、そして基地局15を介してタブレット型端末通信部21に到達する。タブレット型端末通信部21に到達した地図情報35は、タブレット型端末記憶部25に移送され旧データに上書きして記憶される。
【0051】
ルート配送ナビゲーションは、商用車向けのナビゲーションであって、例えば荷物の配送車が複数の客(目的地)に対して効率の良い順路で順番に配送を行うためのナビゲーションサービスである。ルート配送ナビゲーションは通常のナビゲーション機能に加え、複数の目的地を効率よく巡回するためにナビゲーション情報37を用いる。
【0052】
ナビゲーション情報37は、ユーザの運転に対して指示及び補助を行う補助者が複数の目的地に対する走行順路及びタイムスケジュールを計画して策定し、タブレット型端末1に送信するものである。ナビゲーション情報37は、補助者用情報通信端末11から基地局15、そしてインターネット13又は携帯電話通信網17を介して情報管理サーバ通信部51に到達し、ナビゲーション情報データベース63に移送されて記憶される。続いて、ナビゲーション情報データベース63に新しいナビゲーション情報37が記憶されると、情報配信アプリケーションソフトウエア55が察知し、ナビゲーション情報37はナビゲーション情報データベース63から情報管理サーバ通信部51を通過してインターネット13又は携帯電話通信網17、そして基地局15を介してタブレット型端末通信部21に送信される。タブレット型端末通信部21に到達したナビゲーション情報37は、タブレット型端末記憶部25に移送され記憶される。サービスアプリケーション33は、ナビゲーション情報37を読み出し、ディスプレイ27を介してユーザに通知する。
【0053】
ルート配送ナビゲーション中は、タブレット型端末1から位置情報43を客用情報通信端末9及び補助者用情報通信端末11に送信する。具体的には、まずタブレット型端末1の位置検出部29が現在地を把握し、一時的にタブレット型端末記憶部25内に位置情報43として記憶する。次にタブレット型端末通信部21に移送され、基地局15、そしてインターネット13又は携帯電話通信網17を介して情報管理サーバ通信部51に到達し、位置情報データベース61に移送されて記憶される。続いて、位置情報データベース61に新しい位置情報43が記憶されると、情報配信アプリケーションソフトウエア55が察知し、位置情報43は位置情報データベース61から情報管理サーバ通信部51を通過してインターネット13又は携帯電話通信網17、そして基地局15を介して客用情報通信端末9及び補助者用情報通信端末11に送信される。
【0054】
テレマティクス保険は、情報通信を用いてユーザのリアルタイムな走行距離や運転特性を送受信し、当該走行距離や運転特性に応じて保険料率を決定するサービスである。現在、テレマティクス保険には「PAYD型(実走行距離連動型)」と「PHYD型(運転行動連動型)」の2つのタイプが存在し、本発明はその両者ともに有用に適用することができる。前者は実際の走行距離が保険料に反映されるものであり、後者はドライバーの運転行動から事故リスクを分析し、保険料を算出するものである。どちらのタイプが適しているかはドライバーの特性に左右される選択される。本発明のテレマティクスサービスでは、走行距離や運転特性を車両から車両走行情報45として車両情報送信器7で受信し、タブレット型端末1及び情報管理サーバ5を介して保険会社に送信を行う。車両走行情報45は、車両情報送信器7の車両情報送信器記憶部73から車両情報送信器通信部71の無線送信手段又は有線送信手段を用いてタブレット型端末通信部21に送信された後、タブレット型端末記憶部25に記憶される。次に、タブレット型端末記憶部25からタブレット型端末通信部21を通り、基地局15、そしてインターネット13又は携帯電話通信網17を介して情報管理サーバ通信部51に到達し、車両走行情報データベース58に移送されて記憶される。続いて、車両走行情報データベース58に新しい車両走行情報45が記憶されると、情報配信アプリケーションソフトウエア55が察知し、車両走行情報45と、該車輌走行情報45に合致するユーザ識別情報と、をユーザデータベース59から照合した後、車両走行情報45及びユーザ識別情報を情報管理サーバ通信部51からインターネット13又は携帯電話通信網17を介して保険会社に送信される。
【0055】
車両トラブル対応は、ユーザの車両に発生した車両盗難、事故、災害、窓ガラスの閉め忘れやライトの消し忘れのうっかりミス等におけるトラブルをユーザ及びサービス運営者に通知するサービスである。本発明のテレマティクスサービスでは、車両のトラブルを察知した車両の盗難防止装置や車両の異常を感知する種々のセンサに繋がった車両情報送信器7から車両情報39をタブレット型端末1と、タブレット型端末1を介して情報管理サーバ5と、に送信する。具体的には、車両情報39は、車両情報送信器7の車両情報送信器記憶部73から車両情報送信器通信部71の無線送信手段又は有線送信手段を用いてタブレット型端末通信部21に送信された後、タブレット型端末記憶部25に記憶される。サービスアプリケーションソフトウエア33は、タブレット型端末記憶部25に記憶された車両情報39を読み出し、ディスプレイ27を介してユーザに通知する。またこれと同時に、車両情報39はタブレット型端末記憶部25からタブレット型端末通信部21を通り、基地局15、そしてインターネット13又は携帯電話通信網17を介して情報管理サーバ通信部51に到達し、車両情報データベース62に移送されて記憶される。続いて、車両情報データベース62に新しい車両情報39が記憶されると、情報配信アプリケーションソフトウエア55が察知し、車両情報39と、該車輌情報39に合致するユーザ識別情報と、をユーザデータベース59から照合した後、サービス運営者に早急に通知する。
【0056】
情報サービスは、ユーザの運転範囲におけるガソリンスタンドのリアルタイムな燃料給油価格やその他種々の特売情報等、またバッテリ及びオイル交換に関する車両メンテナンスのサポートを行うサービスである。本発明のテレマティクスサービスでは、サービス情報41を情報管理サーバ5からタブレット型端末1に適宜送信して情報サービスを可能とする。またサービス運営者又はサービス情報41の内容に関する店舗が情報管理サーバ5のサービス情報41を随時更新することでユーザは最新の情報サービスを受けることが可能となる。具体的には、サービス情報データベース63に新しいサービス情報41が記憶されると、情報配信アプリケーションソフトウエア55が察知し、サービス情報41を情報管理サーバ通信部51からインターネット13又は携帯電話通信網17、そして基地局15を介してタブレット型端末通信部21に送信される。タブレット型端末通信部21に到達したサービス情報41は、タブレット型端末記憶部25に移送され記憶される。サービスアプリケーション33は、サービス情報41を読み出し、ディスプレイ27を介してユーザに通知する。
【0057】
次に、
図4を用いて車載用クレイドル3の詳細を説明する。
図4は、車載用クレイドル3の構造を示した模式図である。車載用クレイドル3は概ね、タブレット型端末1の背面で配置されるスタンド101と、スタンド101の上下に配置されてタブレット型端末1を指示する端末ガイド103と、スタンド101の左右どちらか一方の端部に配置されてタブレット型端末1の固定を位置決めする端末ストッパ105と、スタンド101の角度を調整可能とするヒンジ部107と、タブレット型端末1のインターフェイスに接続して充電及び車両情報送信器7との情報通信を可能とする端末コネクタ109と、スタンド101の内側(タブレット型端末1との接触面)に配置されてタブレット型端末1の熱を放熱又は遮熱を可能とする放熱部111と、タブレット型端末1に冷風を供給可能とする冷却用アッパーベント113と、から構成されている。
【0058】
スタンド101は、タブレット型端末1(
図4では示さず)の背面を支える板であるとともに、特に夏場の日中のフロントウィンドガラスからの直射日光を遮断するものであって、スタンド101の上下には、タブレット型端末1を横からスライドして挿入し、タブレット型端末1を支持するL字状のアングルとなる端末ガイド103が平行に設けられている。また、スタンド101の左右どちらか一方の端部においてもL字状のアングルとなる端末ストッパ105が設けられており、タブレット型端末1を横からスライドして挿入した際、端末ストッパ105が底となってタブレット型端末1の装着位置における位置決めを行う。
【0059】
スタンド101の最下部にはヒンジ部107が設けられ、ヒンジ部107によってインパネケース108とが接続されている。車載用クレイドル3の使用時には、ヒンジ部107を支点としてスタンド101を前後方向に傾斜させ、ユーザはスタンド101の角度を任意に調節することができる。また、車載用クレイドル3の未使用時には、ヒンジ部107を支点としてスタンド101を倒して格納しておくことができる。端末ストッパ105の内側中央には端末コネクタ(図示せず)が配設され、タブレット型端末1への電源供給と、車両情報送信器7への情報通信と、を可能にするものである。尚、端末コネクタのコネクタ形状はタブレット型端末1のメーカ及び型番に応じて変更することができる。
【0060】
また、スタンド101のフロントガラスに対向した外側面には高性能遮熱シート112は、例えば、パナソニック株式会社製「NASBIS」等が配置されており、当該高性能遮熱シート112がフロントガラスからの直射日光による熱を遮熱し、タブレット型端末1が高温になることを抑止する。また、スタンド101のタブレット型端末背面に対向する面には放熱部が設けられ、放熱部は熱伝導性の高いアルミ等の金属材料で形成された放熱フィン111が用いられるまた、放熱フィン111は、背面(
図4の表面)に所定間隔に縦方向のフィン111aを配設し、放熱効果を向上させ、フィン111aの間に空調冷気を通過させることで冷却効果を向上させている。さらに、放熱フィン111は、熱を発散、放熱するグラファイトシートを表面に貼り付け、金属板がタブレット型端末1の背面に接することで放熱および冷却効果を向上させている。
【0061】
また、冷却用アッパーベント113においてもタブレット型端末1が自ら発熱又は外因により高温になることを抑止するためのものであり、車載用クレイドル3に装着したタブレット型端末1に冷風を供給して冷却することができる。冷却用アッパーベント113は、車載用クレイドル3に装着したタブレット型端末1に放熱フィン111を通じて空調機の冷却風を積極的に流入させることができる位置(
図4ではスタンド101の前方下部)に設けられている。
【0062】
車載用クレイドル3は、車両に対してユーザが後付けするものではなく、本発明のテレマティクスサービスの利用を前提とし、あらかじめダッシュボード周辺に設けられることが想定されている。これにより、車両の内装デザインに合致した素材及びデザインの車載用クレイドル3が装備でき、見栄えの悪い従来のナビゲーションシステムと比して意匠が向上する。また、上述した様にタブレット型端末1の放熱又は遮熱、更に冷却を行うことができるため、スマートフォン用クレイドルを用いたスマートフォンの車載において問題視されていた、スマートフォン高温化による熱暴走及び充電不可状態の発生を抑止できるものである。
【0063】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明してきたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の精神及び教示を逸脱しない範囲でその他の改良例、変形が存在することを当業者に容易に理解されるであろう。