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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-226506(P2017-226506A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】昇降搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   B65G1/04 561
   B65G1/04 555A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-122665(P2016-122665)
(22)【出願日】2016年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】峯松 正和
(72)【発明者】
【氏名】瀬原 大輔
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ13
3F022JJ19
3F022MM01
3F022MM11
3F022NN05
3F022PP06
3F022QQ11
(57)【要約】
【課題】昇降搬送装置において、荷物の搬送能力を向上させるとともに、平面寸法を短くする。
【解決手段】昇降搬送装置1において、第1昇降駆動装置25は、第1前後駆動装置23を昇降駆動する。第1昇降駆動装置25は、第1無端駆動伝達部材43と、第1方向転換部材45Aとを有する。第1無端駆動伝達部材43は、第1前後駆動装置23を支持する。第1方向転換部材45Aは、第1無端駆動伝達部材43を巻回する。第2昇降駆動装置31は、第2前後駆動装置29を昇降駆動する。第2昇降駆動装置31は、第2無端駆動伝達部材63と、第2方向転換部材65Dとを有する。第2無端駆動伝達部材63は、第2前後駆動装置29を支持するとともに、Y方向において第1荷物台21及び第2荷物台27を超えて周回する。第2方向転換部材65Dは、第1巻回部材45Aと重なる高さ位置でX方向に並んで配置されて第2無端駆動伝達部材63を巻回する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を昇降して搬送する昇降搬送装置であって、
前記荷物を前後方向に移動可能な第1コンベアを有する第1荷物台と、
前記第1荷物台を前記前後方向に移動自在に支持及び駆動する第1前後駆動装置と、
前記第1前後駆動装置を昇降駆動する装置であって、前記第1前後駆動装置を支持する第1吊り部材と、前記第1吊り部材を巻回する第1巻回部材とを有する第1昇降駆動装置と、
前記荷物を前記前後方向に移動可能な第2コンベアを有する第2荷物台と、
前記前後方向と直交する左右方向において前記第1前後駆動装置との間に前記第1荷物台を挟む位置に設けられ、前記第2荷物台を第1前後駆動装置側において前記前後方向に移動自在に支持及び駆動する第2前後駆動装置と、
前記第2前後駆動装置を昇降駆動する装置であって、前記第2前後駆動装置を支持するとともに前記左右方向において前記第1荷物台及び前記第2荷物台を超えて周回する第2吊り部材と、前記第1巻回部材と重なる高さ位置で前記前後方向に並んで配置されて前記第2吊り部材を巻回する第2巻回部材とを有する第2昇降駆動装置と、
前記第1前後駆動装置と前記第2前後駆動装置によって前記第1荷物台と前記第2荷物台とを平面視で重ならない前後方向位置に移動させた状態で、前記第1昇降駆動装置と前記第2昇降駆動装置とによって前記第1前後駆動装置と前記第2前後駆動装置を相対的に昇降移動させることにより前記第1荷物台と前記第2荷物台とをすれ違い移動させるコントローラと、
を備える、昇降搬送装置。
【請求項2】
前記第1昇降駆動装置は、駆動モータと、前記駆動モータに連結され前記第1巻回部材が固定されたシャフトとを有し、
前記第2巻回部材は、前記シャフトに回転自在に取り付けられている、請求項1に記載の昇降搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降搬送装置、特に、複数段の棚を有する自動倉庫に荷物を搬入又は自動倉庫から荷物を搬出する昇降搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラックの各段に対応して複数の搬送車を設けた自動倉庫が知られている。各搬送車は、各段においてラックの方向に走行しながら、搬送車と各段の棚との間で荷物を移載する。このような自動倉庫では、ラックの各段に荷物を搬入又はラックの各段から荷物を搬出するための昇降搬送装置が設けられている。
特許文献1には、1本のマストに沿って昇降する昇降台を備えた昇降装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−188225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の昇降装置では、昇降搬送できる荷物は一度に1個だけである。つまり、昇降装置の搬送能力が十分ではない。したがって、昇降装置は、自動倉庫に対して大量の荷物を短時間で搬入・搬出できない。
そこで、本願発明人は、昇降搬送装置の荷物搬送能力を向上させることを目的として昇降搬送装置を開発している。また、昇降搬送装置の開発目的には、装置の平面寸法を短くすることも含まれている。
【0005】
本発明の目的は、昇降搬送装置において、荷物の搬送能力を向上させるとともに、平面寸法を短くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る昇降搬送装置は、荷物を昇降して搬送する昇降搬送装置である。昇降搬送装置は、第1荷物台と、第1前後駆動装置と、第1昇降駆動装置と、第2荷物台と、第2前後駆動装置と、第2昇降駆動装置と、コントローラとを備えている。
第1荷物台は、荷物を前後方向に移動可能な第1コンベアを有する。
第1前後駆動装置は、第1荷物台を前後方向に移動自在に支持及び駆動する。
第1昇降駆動装置は、第1前後駆動装置を昇降駆動する。第1昇降駆動装置は、第1吊り部材と、第2巻回部材とを有する。第1吊り部材は、第1前後駆動装置を支持する。第1巻回部材は、第1吊り部材を巻回する。
第2荷物台は、荷物を前後方向に移動可能な第2コンベアを有する。
第2前後駆動装置は、前後方向と直交する左右方向において第1前後駆動装置との間に第1荷物台を挟む位置に設けられている。第2前後駆動装置は、第2荷物台を第1前後駆動装置側において前後方向に移動自在に支持及び駆動する。
第2昇降駆動装置は、第2前後駆動装置を昇降駆動する。第2昇降駆動装置は、第2吊り部材と、第2巻回部材とを有する。第2吊り部材は、第2前後駆動装置を支持するとともに、左右方向において第1荷物台及び第2荷物台を超えて周回する。第2巻回部材は、第1巻回部材と重なる高さ位置で前後方向に並んで配置されて第2吊り部材を巻回する。
コントローラは、第1前後駆動装置と第2前後駆動装置によって第1荷物台と第2荷物台とを平面視で重ならない前後方向位置に移動させた状態で、第1昇降駆動装置と第2昇降駆動装置とによって第1前後駆動装置と第2前後駆動装置を相対的に昇降移動させることにより第1荷物台と第2荷物台とをすれ違い移動させる。
【0008】
この装置では、第1昇降駆動装置が第1前後駆動装置を昇降移動させ、第1前後駆動装置が第1荷物台を前後移動させ、第1荷物台の第1コンベアが荷物を前後移動させる。また、第2昇降駆動装置が第2前後駆動装置を昇降移動させ、第2前後駆動装置が第2荷物台を前後移動させ、第2荷物台の第2コンベアが荷物を前後移動させる。上記の動作により、昇降搬送装置が荷物を搬送できる。
この装置では、2台の荷物台が荷物の搬送を行うので、昇降搬送装置の搬送能力が向上している。特に、第1荷物台と第2荷物台とを平面視で重ならない前後方向位置に移動させた状態で相対的に昇降移動させることにより両者のすれ違い移動ができるので、荷物搬送の自由度が高くなる。したがって、昇降搬送装置が荷物を搬送する能力が向上する。
また、第2吊り部材が左右方向において第1荷物台及び第2荷物台を超えて周回しており、さらに、第2巻回部材が第1巻回部材と重なる高さ位置で前後方向に並んで配置されている。これにより、第1吊り部材と第2吊り部材のリターン部分(第1前後駆動装置及び第2前後駆動装置を支持する側と反対側の部分)が左右方向片側に寄せられている。したがって、第1吊り部材と第2吊り部材のリターン側部分を左右方向の両側に確保する必要がない。その結果、昇降搬送装置1の左右方向スペースを削減できる。
【0009】
第1昇降駆動装置は、駆動モータと、駆動モータに連結され第1巻回部材が固定されたシャフトとを有していてもよい。
第2巻回部材は、シャフトに回転自在に取り付けられていてもよい。
この装置では、シャフトを第1巻回部材と第2巻回部材とで共用することで、コストを低くできる。また、従来のシャフト2本を並べる構造に比べて、昇降搬送装置全体の省スペース化を実現している。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る昇降搬送装置では、荷物の搬送能力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】昇降搬送装置の正面図。
図2】昇降搬送装置の部分拡大側面図。
図3】昇降搬送装置の部分拡大正面図。
図4】昇降駆動装置の部材の配置関係を説明するための模式的側面図。
図5】昇降駆動装置の部材の配置関係を説明するための模式的平面図。
図6】昇降搬送装置の制御構成を示すブロック図。
図7】昇降台同士のすれ違い動作を説明するための模式図。
図8】昇降台同士のすれ違い動作を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.第1実施形態
(1)昇降搬送装置の概略構成
図1を用いて、第1実施形態の昇降搬送装置1を説明する。図1は、第1実施形態の昇降搬送装置の概略正面図である。
昇降搬送装置1は、複数段の棚を有する自動倉庫3に荷物Wを搬入又は自動倉庫3から荷物Wを搬出する装置である。なお、以下の説明では、図1の左右方向をX方向(前後方向の一例)といい、X方向に直交する方向をY方向(左右方向の一例)という。
【0013】
図1に示すように、昇降搬送装置1は、自動倉庫3の入出庫部5と、入出庫ステーション7とのX方向間に配置されており、両者の間で荷物Wを搬送する。自動倉庫3は、各段シャトル式の自動倉庫であり、ラックの段ごとに搬送車(図示せず)が往復移動可能に配置されている。入出庫部5は、自動倉庫3に荷物Wを搬入及び自動倉庫3から搬出するための装置である。入出庫部5は、複数の段5A〜5Kを有している。段5A〜5Kは、荷物WをX方向に搬送するためのコンベア9A〜9Kを有している。コンベア9A〜9Kの図右側には、自動倉庫3の各段を走行する搬送車(図示せず)が配置されている。入出庫ステーション7は、複数の段7A〜7Dをそれぞれ有している。段7A、7Bは入出庫ステーション7の上側に配置され、段7C、7Dは入出庫ステーション7の下側に配置されている。段7A〜7Dは、荷物WをX方向に搬送するためのコンベア11A〜11Dをそれぞれ有している。
このように入出庫ステーション7では、上段と下段に2段ずつコンベアを有している。したがって、上段と下段のそれぞれで荷物Wの2段同時移載が可能である。上段及び下段のいずれも2段のコンベアを有することでバッファとしての性能が向上している。ただし、他の実施形態として、コンベアが1段であってもよい。
【0014】
(2)昇降搬送装置の詳細構成
図2図4を用いて、昇降搬送装置1の詳細構成を説明する。図2は、昇降搬送装置の部分拡大側面図である。図3は、昇降搬送装置の部分拡大正面図である。図4は、昇降駆動装置の部材の配置関係を説明するための模式的側面図である。
昇降搬送装置1は、荷物Wを昇降して搬送する装置である。昇降搬送装置1は、循環する第1無端駆動伝達部材43及び第2無端駆動伝達部材63(後述)を用いて、第1荷物台21と第2荷物台27(後述)を昇降させる。第1荷物台21と第2荷物台27とは互いに近接しており、平面視で同じ領域内をX方向に移動可能であり、平面視で異なる位置に移動していれば上下方向にすれ違い移動が可能である。
【0015】
昇降搬送装置1は、一対の第1支柱41A、41B、一対の第2支柱42A、42Bを有している。4本の支柱41A、41B、42A、42Bは、平面視で矩形の頂点位置に配置されている。一対の第1支柱41A、41Bは、X方向に互いに間隔を空けて配置されている。一対の第2支柱42A、42Bは、一対の第1支柱41A、41Bに対してY方向に間隔を空けて配置され、さらにX方向に互いに間隔を空けて配置されている。
昇降搬送装置1は、第1搬送装置11(図6)と、第2搬送装置13(図6)とを有している。第1搬送装置11は、第1昇降駆動装置25、第1荷物台21、第1前後駆動装置23を有している。第2搬送装置13は、第2昇降駆動装置31、第2荷物台27、第2前後駆動装置29を有している。
【0016】
(2−1)第1前後駆動装置
第1前後駆動装置23は、第1荷物台21を第1昇降駆動装置25に対してX方向に移動自在に支持及び駆動する。
第1前後駆動装置23は、第1本体51を有している。第1本体51は、第1無端駆動伝達部材43(後述)に連結されている。
【0017】
第1本体51は、図3に示すように、複数のフレームから構成されており、一対の第1支柱41A、41Bによって昇降自在に支持されている。このように第1本体51は一対の第1支柱41A、41Bに支持されて昇降されるので、第1本体51の姿勢が安定しており、そのため第1荷物台21の姿勢が正しく維持される。
具体的には、第1本体51は、図3に示すように、上下に離れて配置されX方向に延びる一対の第1フレーム101、103と、X方向両側に配置され上下方向に延び一対の第1フレーム101、103の端部同士を連結する一対の第2フレーム105、107とを有する。第1本体51がフレームからなる枠形状を有しているので、剛性が高くなる。また、第1本体51の軽量化も実現される。
【0018】
一対の第1フレーム101、103は平面視ではY方向に短い幅を有しており、一対の第1フレーム101、103のY方向幅は第1支柱41A、41BのY方向幅より短い。また、一対の第1フレーム101、103は、第1支柱41A、41BのY方向幅の領域に概ね対応して配置されている。
第1本体51のX方向両端には、一対の第1ガイドローラ36が設けられている。一対の第1ガイドローラ36は、回転軸がX方向を向いている。一対の第1支柱41A、41Bには、X方向に延びる第1プレート(図示せず)が固定されており、一対の第1ガイドローラ36は第1プレートの両面に当接している。
【0019】
第1本体51のX方向両端には、図2に示すように、第2ガイドローラ37が設けられている。第2ガイドローラ37は、回転軸がY方向を向いている。一対の第1支柱41A、41Bには、X方向に延びる第2プレート(図示せず)が固定されており、第2ガイドローラ37は第2プレートの片面に当接している。なお、一対の第1ガイドローラ36及び第2ガイドローラ37は、X方向両側それぞれにおいて上下方向2カ所に設けられている。
第1前後駆動装置23は、第1直進ガイド機構53を有している。第1直進ガイド機構53は、第1荷物台21を第1昇降駆動装置25の第1本体51に対してX方向に移動可能に支持する部材である。第1直進ガイド機構53は、例えばリニアガイドである。
【0020】
第1前後駆動装置23は、第1直進駆動機構55を有している。第1直進駆動機構55は、第1荷物台21に対してX方向に力を付与する機構である。第1直進駆動機構55は、ボールねじ57とナット59によって構成されている。ボールねじ57は、第1昇降駆動装置25の第1本体51に固定され、X方向に延びている。ナット59は、第1荷物台21に固定されている。第1前後駆動装置23は、第1スライドモータ85(図6)を有している。第1スライドモータ85がボールねじ57を回転させると、ナット59と共に第1荷物台21がX方向に移動する。
図3に示すように、第1直進駆動機構55は、平面視で第1本体51すなわち一対の第1フレーム101、103のY方向幅内に収まるように配置されている。したがって、昇降搬送装置1のY方向の寸法が短くなる。
【0021】
(2−2)第1昇降駆動装置
図4及び図5を用いて、第1昇降駆動装置25を説明する。図4は、昇降駆動装置の部材の配置関係を説明するための模式的側面図であり、図5は模式的平面図である。なお、図4及び図5は重要な部材の位置関係を説明するために、いくつかの部品を省略したり簡略化したりしている。
【0022】
第1昇降駆動装置25は、第1前後駆動装置23(具体的には、第1本体51)を昇降移動自在に支持及び駆動するための装置である。
第1昇降駆動装置25は、第1無端駆動伝達部材43(第1吊り部材の一例)を有している。第1無端駆動伝達部材43は、第1本体51を昇降させるための部材である。第1無端駆動伝達部材43は、第1本体51に固定された固定部分と、固定部分に対してY方向外側に近接して延びるリターン部分とを有している。第1無端駆動伝達部材43は例えばチェーンである。第1無端駆動伝達部材43は、Y方向に平行な鉛直面内で周回移動可能に配置されている。なお、第1無端駆動伝達部材43は、図5に示すように、X方向に離れた2カ所に設けられている。ただし、下記の説明では、説明の便宜のために、1本の第1無端駆動伝達部材43を説明する。
【0023】
第1昇降駆動装置25は、第1無端駆動伝達部材43を回転駆動させるための第1昇降モータ47を有している。第1昇降モータ47は、第1支柱41A、第1支柱41B、第2支柱42A、第2支柱42Bの上部に設けられている。
第1昇降駆動装置25は、一対の第1方向転換部材45A,45Bを有している。第1方向転換部材45A,45Bは例えばスプロケットである。第1方向転換部材45A、45Bは、Y方向において第1本体51付近に配置されている。第1方向転換部材45Aは上方に配置され、第1方向転換部材45Bは下方に配置されている。第1無端駆動伝達部材43は、一対の第1方向転換部材45A,45Bに掛けられている。第1方向転換部材45A(第1巻回部材の一例)が第1昇降モータ47(駆動モータの一例)によって駆動されることで、第1無端駆動伝達部材43が周回移動する。第1昇降モータ47の回転方向が切り換えられると、第1無端駆動伝達部材43の周回方向が切り換えられる。なお、第1方向転換部材45Aには、第1昇降モータ47からの動力が伝達されるシャフト49が固定されている。シャフト49は、X方向に長く延びている。
上記の構成について、第1無端駆動伝達部材43を中心に説明すれば下記のようになる。第1無端駆動伝達部材43は、一端が第1本体51の上側に取り付けられて上方へ延び、第1方向転換部材45Aで下向きに転換されて下方への延び、第1方向転換部材45Bで上向きに転換されたて上方に延び、他端が第1本体51の下側に取り付けられている。
【0024】
(2−3)第1荷物台
第1荷物台21は、荷物WをX方向に移動可能な第1コンベア33を有している。第1荷物台21は、第1本体51に対してY方向片側において片持ちで支持されている。第1荷物台21は、平面視では、第2本体71(後述)に対してY方向に近接して配置されている。
また、第1荷物台21のX方向長さは第1本体51のX方向長さの半分程度である。したがって、第1荷物台21は、第1本体51に対して、平面視でX方向両側の第1位置と第2位置の間で移動可能である。第1コンベア33は、第1コンベアモータ87(図6)によって駆動される。
この実施形態では、第1コンベア33は、上下方向に並んで配置された二段のコンベアである。二段の第1コンベア33は一体に動作可能である。これにより、昇降搬送装置1が荷物Wを搬送する能力が向上する。
【0025】
(2−4)第2前後駆動装置
第2前後駆動装置29は、第1前後駆動装置23との間で第1荷物台21をY方向に挟む位置に設けられている。第1前後駆動装置23と第2前後駆動装置29とのY方向の隙間は、第1荷物台21及び第2荷物台27(後述)のY方向長さよりわずかに長い。第2前後駆動装置29は、第2荷物台27を前後移動自在に支持及び駆動する。第2前後駆動装置29の構造は第1前後駆動装置23と同じであるので詳細な説明を省略する。
第2前後駆動装置29は、第2本体71を有している。第2本体71は、第2無端駆動伝達部材63(後述)に連結されている。
【0026】
第2本体71は、複数のフレームから構成されており、一対の第2支柱42A、42Bによって昇降自在に支持されている。このように第2本体71は一対の第2支柱42A、42Bに支持されて昇降されるので、第2本体71の姿勢が安定しており、そのため第2荷物台27の姿勢が正しく維持される。
【0027】
(2−5)第2昇降駆動装置
図4及び図5を用いて、第2昇降駆動装置31を説明する。
第2昇降駆動装置31は、第2前後駆動装置29(具体的には、第2本体71)を昇降移動自在に支持及び駆動するための装置である。
第2昇降駆動装置31は、第2無端駆動伝達部材63(第2吊り部材の一例)を有している。第2無端駆動伝達部材63は、第2本体71を昇降させるための部材である。第2無端駆動伝達部材43は、第2本体71に固定された固定部分と、当該固定部分からY方向に離れて第1無端駆動伝達部材63の近傍に配置されたリターン部分とを有している。第2無端駆動伝達部材63は例えばチェーンである。第2無端駆動伝達部材63には、第2本体71が連結されている。第2無端駆動伝達部材63は、Y方向に平行な鉛直面内で周回移動可能に配置されている。なお、第2無端駆動伝達部材63は、図5に示すように、X方向に離れた2カ所に設けられている。ただし、下記の説明では、説明の便宜のために、1本の第2無端駆動伝達部材63を説明する。
【0028】
第2昇降駆動装置31は、第2無端駆動伝達部材63を回転駆動させるための第2昇降モータ67を有している。第2昇降モータ67は、第1支柱41A、第1支柱41B、第2支柱42A、第2支柱42Bの上部に設けられている。
第2昇降駆動装置31は、複数の第2方向転換部材65A,65B,65C,65D,65E,65Fを有している。これら第2方向転換部材は、例えばスプロケットであり、第2無端駆動伝達部材63が掛けられている。第2方向転換部材65Aが第2昇降モータ67によって駆動されることで、第2無端駆動伝達部材63が周回移動する。第2昇降モータ67の回転方向が切り換えられると、第2無端駆動伝達部材63の周回方向が切り換えられる。
第1方向転換部材65Aには、第2昇降モータ67からの動力が伝達されるシャフト69が固定されている。シャフト69は、X方向に長く延びている。
【0029】
より詳細には、第2無端駆動伝達部材63は、Y方向において第1荷物台21及び第2荷物台27を超えて周回している。具体的には、第2方向転換部材65AがY方向において第2本体71近傍に配置され、第2方向転換部材65D(第2巻回部材の一例)がY方向において第1本体51近傍に配置されている。そして、第2方向転換部材65Dは、第1方向転換部材45Aと重なる高さ位置でX方向に並んで配置されている。さらに具体的には、第2方向転換部材65Dは、対応する第1方向転換部材45AのX方向内側に配置されている。
上記の構成について、第2無端駆動伝達部材63を中心に説明すれば下記のようになる。第2無端駆動伝達部材63は、一端が第2本体71の上側に取り付けられて上方へ延び、第2方向転換部材65AでY方向に転換されて、第2方向転換部材65B、65Cで張力を付与され、第2方向転換部材65Dで下向きに転換されて下方へ延び、第2方向転換部材65EでY方向に転換されて、第2方向転換部材65Gで上向きに転換されて上方へ延び、他端が第2本体71の下側に取り付けられている。
以上より、第1無端駆動伝達部材43と第2無端駆動伝達部材63のリターン部分(第1本体51及び第2本体71に固定されていない側の部分)がY方向片側に寄せられている。したがって、無端駆動伝達部材のリターン部分をY方向の両側に確保する必要がない。この実施形態では、第2無端駆動伝達部材63のリターン部分が第1無端駆動伝達部材43のリターン部分とY方向の同じ側に配置されている。つまり、第2無端駆動電他部材63のリターン部分が、第2前後駆動装置29のY方向外側に配置されていない。その結果、昇降搬送装置1のY方向スペースを削減できる。
第2方向転換部材65Dは、シャフト49に回転自在に取り付けられている。このようにシャフト49を第1方向転換部材45Aと第2方向転換部材65Dとで共用することで、コストを低くできる。
【0030】
(2−6)第2荷物台
第2荷物台27は、荷物Wを前後移動可能な第2コンベア35を有している。第2荷物台27は、第2本体71によってY方向片側において片持ちで支持されている。第2荷物台27は、平面視では、第1本体51に対してY方向に近接して配置されている。
【0031】
また、第2荷物台27のX方向長さは第2本体71のX方向長さの半分程度である。したがって、第2荷物台27は、第2本体71に対して、平面視でX方向両側の第1位置と第2位置の間で移動可能である。第2コンベア35は、第2コンベアモータ90(図6)によって駆動される。
この実施形態では、第2コンベア35は、上下方向に並んで配置された二段のコンベアである。二段のコンベアは一体に動作可能である。これにより、荷物Wを搬送する能力が向上する。
【0032】
(3)昇降搬送装置の制御構成
図6を用いて、昇降搬送装置1の制御構成を説明する。図6は、昇降搬送装置の制御構成を示すブロック図である。
昇降搬送装置1は、コントローラ83を有している。コントローラ83は、昇降搬送装置1の各種構成を制御する装置である。
【0033】
コントローラ83は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。制御部は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
【0034】
コントローラ83は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
コントローラ83の各要素の機能は、一部又は全てが、制御部を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、制御部の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0035】
コントローラ83は、第1搬送装置11の第1昇降モータ47、第1スライドモータ85、第1コンベアモータ87に接続されている。
コントローラ83は、第2搬送装置の13の第2昇降モータ67、第2スライドモータ89、第2コンベアモータ90に接続されている。
コントローラ83は上記モータの動作を制御する。なお、コントローラ83には、各装置及び荷物の位置及び状態を検出するための複数のセンサ(図示せず)が接続されている。
【0036】
(4)昇降搬送装置の動作
(4−1)基本動作
昇降搬送装置1では、第1昇降駆動装置25が第1前後駆動装置23を昇降移動させ、第1前後駆動装置23が第1荷物台21を前後移動させ、第1荷物台21の第1コンベア33が荷物を前後移動させる。第1荷物台21の前後移動は、第1前後駆動装置23の昇降移動と同時であってもよいし、第1前後駆動装置23の昇降移動が停止しているときでもよい。また、第2昇降駆動装置31が第2前後駆動装置29を昇降移動させ、第2前後駆動装置29が第2荷物台27を前後移動させ、第2荷物台27の第2コンベア35が荷物Wを前後移動させる。第2荷物台27の前後移動は、第2前後駆動装置29の昇降移動と同時であってもよいし、第1前後駆動装置23の昇降移動が停止しているときでもよい。上記の動作により、昇降搬送装置1が荷物Wを搬送できる。
昇降搬送装置1では、2台の荷物台が荷物Wの搬送を行うので、昇降搬送装置1の搬送能力が向上している。特に、第1荷物台21と第2荷物台27とを平面視で重ならないX方向位置に移動させた状態で相対的に昇降移動させることにより両者のすれ違い移動ができるので、荷物搬送の自由度が高くなる。したがって、昇降搬送装置1が荷物Wを搬送する能力が向上する。また、第1荷物台21と第2荷物台27を近接して配置することができ、昇降搬送装置1のサイズを小さくできる。
【0037】
昇降搬送装置1では、2台の荷物台が荷物Wの搬送を行うので、1台の荷物台が故障したとしても、残りの1台の荷物台で搬送動作が実行できる。特に故障した荷物台は入出庫ステーション7側でかつコンベア11Bとコンベア11Cとの間で待機すれば、いずれのコンベアに対しても残りの1台の荷物台がアクセスできる。
【0038】
(4−2)すれ違い動作の原理
第1前後駆動装置23の第1本体51と第2前後駆動装置29の第2本体71は、前述のように、平面視において、Y方向に離れた位置に配置されている。そして、両者の間が、平面視において、第1荷物台21と第2荷物台27が移動可能な第1位置と第2位置とになっている。第1荷物台21が第1位置にあり第2荷物台27が第2位置にある場合、又は、第1荷物台21が第2位置にあり第2荷物台27が第1位置にある場合、両者は平面視で重なっていない。
図7及び図8を用いて、第1荷物台21と第2荷物台27との上下方向すれ違い動作を説明する。図7及び図8は、昇降台同士のすれ違い動作を説明するための模式図である。
【0039】
コントローラ83は、第1前後駆動装置23と第2前後駆動装置29によって第1荷物台21と第2荷物台27とを平面視で重ならないX方向位置に移動させた状態で、第1昇降駆動装置25と第2昇降駆動装置31とによって第1前後駆動装置23と第2前後駆動装置をそれぞれ昇降移動させることにより第1荷物台21と第2荷物台27とをすれ違い移動させる。
なお、すれ違い移動は、第1荷物台21と第2荷物台27の一方が停止しており、他方が昇降移動することでも実現される。
【0040】
2.本実施形態の特徴
昇降搬送装置1(昇降搬送装置の一例)は、荷物を昇降して搬送する装置である。昇降搬送装置1は、第1荷物台21と、第1前後駆動装置23と、第1昇降駆動装置25と、第2荷物台27と、第2前後駆動装置29と、第2昇降駆動装置31と、コントローラ83とを備えている。
第1荷物台21(第1荷物台の一例)は、荷物をX方向(前後方向の一例)に移動可能な第1コンベア33(第1コンベアの一例)を有する。
第1前後駆動装置23(第1前後駆動装置の一例)は、第1荷物台21をX方向に移動自在に支持及び駆動する。
【0041】
第1昇降駆動装置25(第1昇降駆動装置の一例)は、第1前後駆動装置23を昇降駆動45Aと有する。第1昇降駆動装置25は、第1無端駆動伝達部材43と、第1方向転換部材45Aとを有する。第1無端駆動伝達部材43(第1吊り部材の一例)は、第1前後駆動装置23を支持する。第1方向転換部材45A(第1巻回部材の一例)は、第1無端駆動伝達部材43を巻回する。
第2荷物台27(第2荷物台の一例)は、荷物をX方向に移動可能な第2コンベア35(第2コンベアの一例)を有する。
第2前後駆動装置29(第2前後駆動装置の一例)は、X方向と直交するY方向(左右方向の一例)において第1前後駆動装置23との間に第1荷物台21を挟む位置に設けられている。第2前後駆動装置29は、第2荷物台27を第1前後駆動装置23側においてX方向に移動自在に支持及び駆動する。
第2昇降駆動装置31(第2昇降駆動装置の一例)は、第2前後駆動装置29を昇降駆動する。第2昇降駆動装置31は、第2無端駆動伝達部材63と、第2方向転換部材65Dとを有する。第2無端駆動伝達部材63(第2吊り部材の一例)は、第2前後駆動装置29を支持するとともに、Y方向において第1荷物台21及び第2荷物台27を超えて周回する。第2方向転換部材65D(第2巻回部材の一例)は、第1方向転換部材45Aと重なる高さ位置でX方向に並んで配置されて第2無端駆動伝達部材63を巻回する。
【0042】
コントローラ83(コントローラの一例)は、第1前後駆動装置23と第2前後駆動装置29によって第1荷物台21と第2荷物台27とを平面視で重ならないX方向位置に移動させた状態で、第1昇降駆動装置と第2昇降駆動装置31とによって第1前後駆動装置23と第2前後駆動装置29を相対的に昇降移動させることにより第1荷物台21と第2荷物台27とをすれ違い移動させる。
第2無端駆動伝達部材63がY方向において第1荷物台21及び第2荷物台27を超えて周回しており、さらに、第2方向転換部材65Dが第1方向転換部材45Aと重なる高さ位置でX方向に並んで配置されている。これにより、第1無端駆動伝達部材43と第2無端駆動電他部材63のリターン部分(第1前後駆動装置23及び第2前後駆動装置29を固定する固定部分と反対側の部分)がY方向片側に寄せられている。したがって、第1無端駆動伝達部材43と第2無端駆動伝達部材63のリターン部分をY方向の両側に確保する必要がない。その結果、昇降搬送装置1のY方向スペースを削減できる。
【0043】
3.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0044】
前記実施形態では第1荷物台21と第2荷物台27のX方向長さは第1本体51及び第2本体71に対してX方向長さの半分程度でありX方向両側の第1位置と第2位置に配置可能であったが、第1荷物台21と第2荷物台27は上下方向にすれ違い可能であればよいので、上記の構成には限定されない。例えば、第1荷物台と第2荷物台のX方向長さは、前記実施形態よりさらに短くてもよい。その場合は、第1荷物台と第2荷物台は、X方向両側の第1位置と第2位置以外の他の複数の位置に配置可能である。
前記実施形態では各昇降台は2台つまり複数のコンベアを有していたが、昇降台のコンベアの数は特に限定されない。例えば、昇降台のコンベアの数は単数であってもよいし、3台以上であってもよい。
【0045】
前記実施形態では昇降搬送装置は自動倉庫への荷物の搬入及び自動倉庫からの搬出の両方に用いられていたが、搬入のみ又は搬出のみに用いられてもよい。
無端駆動伝達部材はベルト、ワイヤ等の他の部材でもよい。また、方向転換部材はプーリでもよい。
無端駆動伝達部材は、各本体に対して1本又は3本以上連結されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、複数段の棚を有する自動倉庫に荷物を搬入又は自動倉庫から荷物を搬出する昇降搬送装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 :昇降搬送装置
3 :自動倉庫
5 :入出庫部
7 :入出庫ステーション
11 :第1搬送装置
13 :第2搬送装置
21 :第1荷物台
23 :第1前後駆動装置
25 :第1昇降駆動装置
27 :第2荷物台
29 :第2前後駆動装置
31 :第2昇降駆動装置
33 :第1コンベア
35 :第2コンベア
36 :第1ガイドローラ
37 :第2ガイドローラ
43 :第1無端駆動伝達部材
45A :第1方向転換部材
47 :第1昇降モータ
51 :第1本体
53 :第1直進ガイド機構
55 :第1直進駆動機構
57 :ボールねじ
59 :ナット
63 :第2無端駆動伝達部材
65D :第2方向転換部材
67 :第2昇降モータ
71 :第2本体
83 :コントローラ
85 :第1スライドモータ
87 :第1コンベアモータ
89 :第2スライドモータ
90 :第2コンベアモータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8