【課題を解決するための手段】
【0006】
1.本発明にしたがって、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を研磨するためのケミカルメカニカル研磨(CMP)パッドは、反応混合物のポリウレタン反応生成物である、基材を研磨するように適合された研磨層を含み、反応混合物は、(i)反応混合物中のすべてのジイソシアネート、ポリイソシアネート及びポリイソシアネートプレポリマーの全重量に基づいて15〜60重量%又は好ましくは20〜50重量%の量の、一つ以上のジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマー(プレポリマーは8〜16重量%NCO含量を有する)、好ましくはトルエンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマー、(ii)反応混合物中のすべてのジイソシアネート、ポリイソシアネート及びポリイソシアネートプレポリマーの全重量に基づいて40〜85重量%又は好ましくは50〜80重量%の量の、80〜160℃又は好ましくは90〜120℃のデブロック温度を有し、ブロック剤(たとえばジメチルピラゾール(DMP)などのピラゾール又はマロン酸ジエチルなどのジカルボニル化合物)を含有する一つ以上のブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマー、好ましくは芳香族ブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマー、及び(iii)一つ以上のジアミン硬化剤、好ましくは4,4′−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(MCDEA)などの芳香族ジアミン硬化剤を含み、反応混合物は、80℃及び101kPaで2〜15分又は好ましくは3〜10分又はより好ましくは4〜8分のゲル化時間を有し、さらに、ポリウレタン反応生成物は、2重量%以下又は好ましくは1重量%以下の残留ブロック剤含量を有し、なおさらに、研磨層は0.6〜1.2g/cm
3の密度を示す。
【0007】
2.上記項目1における本発明のCMP研磨パッドにしたがって、(i)一つ以上のジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーは、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とオリゴマージフェニルメタンジイソシアネート(ポリマーMDI)との混合物、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリイソシアナトトルエン並びにジイソシアネート又はポリイソシアネート及び一つ以上のポリオールで作られたそれらのプレポリマーから選択される。
【0008】
3.上記項目1又は2のいずれか一つにおける本発明のCMP研磨パッドにしたがって、(ii)一つ以上のブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーは、ブロックド1,3−フェニレンジイソシアネート、ブロックド1,4−フェニレンジイソシアネート、ブロックド1,5−ナフチレンジイソシアネート、ブロックドトルイジンジイソシアネート、ブロックド2,6−トリレンジイソシアネート、ブロックド2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、ブロックド2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、ブロックド4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ブロックドジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とブロックドオリゴマージフェニルメタンジイソシアネート(ポリマーMDI)との混合物、ブロックドキシリレンジイソシアネート、ブロックドテトラメチルキシリレンジイソシアネート、ブロックドトリイソシアナトトルエン並びにジイソシアネート又はポリイソシアネート及び一つ以上のポリオールで作られたそれらのブロックドプレポリマーから選択される。
【0009】
4.上記項目1、2又は3のいずれか一つにおける本発明のCMP研磨パッドにしたがって、(ii)一つ以上のブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーは、ジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーと、アセト酢酸エチル、マロン酸ジエチル、ジイソプロピルアミン、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサンオキシム、ε−カプロラクタム、1,2,4−トリアゾール、フェノール又は置換フェノール類及び3,5−ジメチルピラゾールから選択されるブロック剤、好ましくは3,5−ジメチルピラゾールとの反応生成物である。
【0010】
5.上記項目1、2、3又は4のいずれか一つにおける本発明のCMP研磨パッドにしたがって、一つ以上のジアミン硬化剤は、4,4′−メチレン−ビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン);ジエチルトルエンジアミン類;t-ブチルトルエンジアミン類、たとえば5−tert−ブチル−2,4−又は3−tert−ブチル−2,6−トルエンジアミン;クロロトルエンジアミン類;ジメチルチオ−トルエンジアミン類;1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン;トリメチレングリコールジ−p−アミノ−ベンゾエート;tert−アミルトルエンジアミン類、たとえば5−tert−アミル−2,4−及び3−tert−アミル−2,6−トルエンジアミン;テトラメチレンオキシドジ−p−アミノ−ベンゾエート;(ポリ)プロピレンオキシドジ−p−アミノ−ベンゾエート;クロロジアミノベンゾエート;メチレンジアニリン類、たとえば4,4′−メチレン−ビス−アニリン;イソホロンジアミン;1,2−ジアミノシクロヘキサン;ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン;キシレンジアミン類;1,3−ビス(アミノメチルシクロヘキサン);及びそれらの混合物、好ましくは4,4′−メチレン−ビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)から選択される。
【0011】
6.上記項目1、2、3、4又は5のいずれか一つにおける本発明のCMP研磨パッドにしたがって、研磨パッドは、ポリウレタン反応生成物の全重量に基づいて0.1重量%以下の遊離イソシアネート含量を有する。
【0012】
7.上記項目1、2、3、4、5又は6のいずれかにおける本発明のCMP研磨パッドにしたがって、(iii)アミン硬化剤中のアミン(NH
2)基及びヒドロキシル(OH)基+反応混合物中の遊離ヒドロキシル基の合計と、反応混合物中の未反応及びブロックドイソシアネート基との化学量論比は0.80:1〜1.20:1又は好ましくは0.95:1〜1.05:1である。
【0013】
8.上記項目1、2、3、4、5、6又は7のいずれかにおける本発明のCMP研磨パッドにしたがって、研磨パッドの研磨層はさらに、閉じ込められた気泡、ポリマーミクロスフェアなどの中空コアポリマー材料、及び流体充填ポリマーミクロスフェアなどの液体充填中空コアポリマー材料から選択される微小要素、好ましくは発泡液体充填ポリマーミクロスフェアを含む。
【0014】
9.上記項目8における本発明のCMP研磨パッドにしたがって、ポリマーミクロスフェアの量は、研磨層の全体積に基づく空隙率として計測して0〜50容量%又は好ましくは5〜35容量%の範囲である。
【0015】
10.もう一つの局面において、本発明は、基材を研磨するように適合された研磨層を有するCMP研磨パッドを製造する方法であって、80℃で計測して100〜2000mPa.s(ミリパスカル)、より好ましくは200〜1000mPa.sの粘度を有する一つ以上のジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマー、好ましくは一つ以上の芳香族ジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーを提供する工程(プレプリマーは8〜16重量%NCO含量を有する);一つ以上のジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーを、80〜160℃のデブロック温度を有するブロック剤と反応させることによって(ii)ブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマー、好ましくは芳香族ジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーを形成する工程;ブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーを、(i)非ブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマー、好ましくは非ブロックド芳香族ジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーと、(ii)の(i)に対する重量比5.66:1〜2:3又は好ましくは4:1〜1:1で混合して、部分的にブロックされたイソシアネート混合物を形成する工程;部分的にブロックされたイソシアネート混合物を、0.1MPa〜3.0MPaの圧力で、(iii)一つ以上のジアミン硬化剤、好ましくは芳香族ジアミン硬化剤、たとえば4,4′−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(MCDEA)、並びに、反応混合物及び微小要素の全体積に基づいて0〜50容量%又は好ましくは5〜35容量%の、閉じ込められた気泡、中空コアポリマー材料及び液体充填中空コアポリマー材料から選択される一つ以上の微小要素と混合することにより、有機溶媒を含まず、水を実質的に含まない、又は好ましくは水を含まない反応混合物を形成する工程(微小要素を有しない反応混合物は、80℃及び101kPaの圧力で2〜15分又は好ましくは3〜10分又はより好ましくは4〜8分のゲル化時間を有する);反応混合物を所望の形状、たとえばケーキへと注型成形し、ブロック剤のデブロック温度よりも高い温度で反応混合物を硬化させてポリウレタンを形成する工程;注型成形ポリウレタンから研磨層を形成する工程;及び、研磨層を、ブロック剤のデブロック温度よりも高い温度、たとえば85〜165℃又は95〜125℃で、残留ブロック剤をポリウレタン研磨層の全重量に基づいて2重量%以下又は好ましくは1重量%未満のレベルまで除去するのに十分な時間、たとえば2〜30時間又は好ましくは4〜20時間、後硬化させる工程(研磨層は0.6〜1.2g/cm
3の密度を示す)を含む方法を提供する。
【0016】
11.上記項目10における本発明の方法にしたがって、(i)一つ以上のジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーは、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とオリゴマージフェニルメタンジイソシアネート(ポリマーMDI)との混合物、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリイソシアナトトルエン並びにジイソシアネート又はポリイソシアネート及び一つ以上のポリオールで作られたそれらのプレポリマーから選択される。
【0017】
12.上記項目10又は11のいずれか一つにおける本発明の方法にしたがって、(ii)一つ以上のブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーは、ブロックド1,3−フェニレンジイソシアネート、ブロックド1,4−フェニレンジイソシアネート、ブロックド1,5−ナフチレンジイソシアネート、ブロックドトルイジンジイソシアネート、ブロックド2,6−トリレンジイソシアネート、ブロックド2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、ブロックド2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、ブロックド4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ブロックドジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とブロックドオリゴマージフェニルメタンジイソシアネート(ポリマーMDI)との混合物、ブロックドキシリレンジイソシアネート、ブロックドテトラメチルキシリレンジイソシアネート、ブロックドトリイソシアナトトルエン及び一つ以上のポリオールとで作られたそれらのブロックドプレポリマーから選択される。
【0018】
13.上記項目10、11又は12のいずれか一つにおける本発明の方法にしたがって、(ii)一つ以上のブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーは、ジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーと、アセト酢酸エチル、マロン酸ジエチル、ジイソプロピルアミン、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、ε−カプロラクタム、1,2,4−トリアゾール、フェノール又は置換フェノール類及び3,5−ジメチルピラゾールから選択されるブロック剤、好ましくは3,5−ジメチルピラゾールとの反応生成物である。
【0019】
14.上記項目10、11、12又は13のいずれか一つにおける本発明の方法にしたがって、(iii)一つ以上のジアミン硬化剤は、4,4′−メチレン−ビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン);炭素、窒素、水素及び酸素原子のみを含有する芳香族ジアミン類、たとえばジアルキルトルエンジアミン類、たとえばジエチルトルエンジアミン又はt-ブチルトルエンジアミン、及びトリメチレングリコールジ−p−アミノ−ベンゾエート;炭素、窒素及び水素原子のみを含有する芳香族ジアミン類、たとえばメチレンジアニリン類、イソホロンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−フェニレンジアミン、キシレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチルシクロヘキサン);ジメチルチオ−トルエンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン;及びそれらの混合物、好ましくは4,4′−メチレン−ビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリンから選択される。
【0020】
15.上記項目10、1、12、13又は14のいずれかにおける本発明の方法にしたがって、(iii)アミン硬化剤中のアミン(NH
2)基及びヒドロキシル(OH)基+反応混合物中の遊離ヒドロキシル基の合計と、反応混合物中の未反応及びブロックドイソシアネート基との化学量論比は0.80:1〜1.20:1又は好ましくは0.95:1〜1.05:1である。
【0021】
16.上記項目10、11、12、13、14又は15のいずれかにおける本発明の方法にしたがって、注型成形ポリウレタンから研磨層を形成する工程は、ケーキをスカイビング(skIving)して、所望の厚さを有する研磨層を形成する工程を含む。
【0022】
17.上記項目10、11、12、13、14又は15のいずれかにおける本発明の方法にしたがって、反応混合物を注型成形する工程は注型成形ポリウレタンケーキを形成し、注型成形ポリウレタンから研磨層を形成する工程は、注型成形ポリウレタンケーキをスカイビングして、所望の厚さを有する研磨層を形成する工程を含む。
【0023】
18.上記項目17における本発明の方法にしたがって、研磨パッドを形成する工程はさらに、サブパッド層、たとえばポリマー含浸不織布又はポリマーシートを研磨層の下側に重ね合わせて、研磨層が研磨パッドの上部を形成するようにする工程を含む。
【0024】
19.さらに別の局面にしたがって、本発明は、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を提供する工程;上記項目1〜7のいずれか一つのケミカルメカニカル研磨(CMP)パッドを提供する工程;CMP研磨パッドの研磨層の研磨面と基材との間に動的接触を生じさせて基材の表面を研磨する工程;及び研磨パッドの研磨面を砥粒コンディショナによってコンディショニングする工程を含む、基材を研磨する方法を提供する。
【0025】
別段指示されない限り、温度及び圧力の条件は周囲温度及び標準圧力である。記載されるすべての範囲は包括的かつ組み合わせ可能である。
【0026】
別段指示されない限り、括弧を含む語は、代替的に、括弧が存在しない場合の完全な語及び括弧を有しないその語並びに各選択の組み合わせを指す。すなわち、「(ポリ)イソシアネート」は、イソシアネート、ポリイソシアネート又はそれらの混合物を指す。
【0027】
すべての範囲は包括的かつ組み合わせ可能である。たとえば、「50〜3000cPの範囲又は100cP以上」は、50〜100cP、50〜3000cP及び100〜3000cPそれぞれを含む。
【0028】
本明細書の中で使用される「ASTM」とは、ASTM International(West Conshohocken, PA)の刊行物をいう。
【0029】
本明細書の中で使用される「ゲル化時間」とは、たとえば、1000rpmで30秒にセットされたVM-2500ボルテックスラボミキサ(StateMix Ltd., Winnipeg, Canada)中、約80℃で所与の反応混合物を混合し、タイマーを0にセットし、タイマーをオンにし、混合物をアルミニウムカップの中に注加し、カップを、65℃にセットされたゲルタイマー(Gardco Hot Pot(商標)ゲルタイマー、Paul N. Gardner Company, Inc., Pompano Beach, FL)のホットポットに入れ、撹拌ワイヤを用いて反応混合物を20rpmで撹拌し、サンプル中で撹拌ワイヤが動きを止めたときのゲル化時間を記録することによって得られる結果をいう。
【0030】
本明細書の中で使用される、所与のブロック剤に関する「デブロック温度」とは、その温度未満では、101kPa圧で、ブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーが、イソシアネートと活性水素基との化学量論比1:1を有する混合物中、硬化剤とで無視しうる程度の反応しか起こさず、その温度で、ブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーがデブロックし、硬化剤と実質的に反応し始めるところの温度をいう。
【0031】
本明細書の中で使用される「破断点伸び」とは、ASTM D412−06a(2006)「Standard Test Methods for Vulcanized Rubber and Thermoplastic Elastomers―Tension」にしたがって試験される、試料が破断した後の、変化した長さと初期長さとの比をいう。
【0032】
本明細書の中で使用される「G′」、「G″」及び「G″/G′」は、それぞれ、剪断貯蔵弾性率、剪断損失弾性率及び剪断貯蔵弾性率に対する剪断損失弾性率の比をいう。試料は、幅6.5mm、長さ36mmにカットしたものである。Aries(商標)G2ねじれ型レオメータ又はRheometric Scientific(商標)RDA3(いずれもTA Instruments, New Castle, DE)をASTM D5279−13(2013)「Standard Test Method for Plastics: Dynamic Mechanical Properties: In Torsion」にしたがって使用した。分離間隔は20mmであった。計器分析パラメータは、予荷重100g、ひずみ0.2%、振動速度10rad/sec及び昇温率3℃/min(−100℃から150℃)にセットした。
【0033】
本明細書の中で使用される「ポリイソシアネート」とは、ブロックドイソシアネート基をも含む三つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート基含有分子をいう。
【0034】
本明細書の中で使用される「ポリイソシアネートプレポリマー」とは、過剰のジイソシアネート又はポリイソシアネートと、二つ以上の活性水素基を含有する活性水素含有化合物、たとえばジアミン類、ジオール類、トリオール類及びポリオール類との反応生成物である、イソシアネート基含有分子をいう。
【0035】
本明細書の中で使用される「ショアーD硬さ」とは、ASTM D2240−15(2015)「Standard Test Method for Rubber Property―Durometer Hardness」にしたがって計測される所与の材料の硬さである。硬さは、Dプローブを備えたRex Hybrid硬さ試験器(Rex Gauge Company, Inc., Buffalo Grove, IL)で計測した。六つの試料を積み重ね、硬さ計測ごとに入れ替えた。
【0036】
本明細書の中で使用される「引張り強さ」とは、ASTM D412−06a(2006)「Standard Test Methods for Vulcanized Rubber and Thermoplastic Elastomers―Tension」にしたがって計測される、所与の材料が、破断まで伸長又は牽引されることに耐えることができる最大応力をいう。
【0037】
別段指示されない限り、本明細書の中で使用される「粘度」とは、間隙100μmの50mm平行プレート形状で、0.1〜100rad/secの振動剪断速度スイープにセットされたレオメータを使用して計測される、所与の温度での無溶媒形態(100%)における所与の材料の粘度をいう。
【0038】
別段指示されない限り、本明細書の中で使用される「重量%NCO」とは、所与のNCO基又はブロックドNCO基含有製品に関する仕様書又はMSDSで報告されている量をいう。
【0039】
本明細書の中で使用される「重量%」とは重量百分率の略である。
【0040】
本発明にしたがって、ケミカルメカニカル研磨(CMP)パッドは、ブロック又は部分的にブロックされたイソシアネートで末端を修飾されたプレポリマーと、ジアミン硬化剤、特に4,4′−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(MCDEA)との反応混合物の反応生成物を含む上研磨面を有する。本発明の研磨パッドは、以前にはCMP研磨パッドを製造する際の使用には反応性が高すぎたアミン類のポリウレタン反応生成物を含む。研磨パッドは、好ましくは、ブロックドイソシアネートで末端を修飾されたプレポリマーとジアミン硬化剤とのポリウレタン反応生成物を含む上研磨面を有する。本発明のCMP研磨パッドは、高い除去速度及び良好な平坦化効率を実証した。研磨パッドは、3DのNAND型メモリ研磨用途に有用である。
【0041】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドは、多孔性ポリウレタン又は均一なポリウレタン中の微小要素の均一な分散系である研磨層を含む。特に、一回の注型成形を使用して複数の研磨パッドを製造する場合、均質な研磨パッド性能を達成するために均一性は重要である。したがって、本発明の反応混合物は、得られるパッド形態が安定であり、容易に再現可能であるように選択される。たとえば、均質な製造のためには、多くの場合、酸化防止剤のような添加物及び水のような不純物を抑制することが重要である。水はイソシアネートと反応して、気体二酸化炭素及び一般にウレタン類と比べて弱い反応生成物を形成するため、水濃度の制御が、ポリマーマトリックス中に空隙を形成する二酸化炭素気泡の濃度及びポリウレタン反応性生成物の全体的均質性に影響することができる。外来的な水とのイソシアネート反応もまた、連鎖延長剤との反応に利用可能なイソシアネートを減らし、したがって、架橋のレベルとともに化学量論比を変化させ(過剰のイソシアネート基が存在するならば)、得られるポリマー分子量を下げる傾向を示す。
【0042】
均一性及び良好な成形結果を保証し、型を完全に満たすために、本発明の反応混合物は、十分な分散状態にあり、反応温度及び圧力条件下、15分以下又は好ましくは10分以下のゲル化時間を有するべきである。そのようなゲル化時間は、反応混合物が型に流れ込むことを許しながらも、中空コアポリマーミクロスフェア又は気孔のような微小要素を研磨パッド中で上昇又は分離させてしまうほど長くはない。他方、ゲル化時間が短すぎるならば、材料がゲル化する前に型を完全に満たすことが困難になるおそれがある、又は極端な場合、研磨パッドが反る、又は割れるおそれがある。一般に、本発明の反応混合物は、2〜15分又は好ましくは3〜10分のゲル化時間を有する。
【0043】
本発明にしたがって、反応混合物は、少なくとも(i)ジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマー、(ii)ブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマー、及び(iii)一つ以上のジアミン硬化剤を含み、反応混合物は、(iii)ジアミン硬化剤として4,4′−メチレン−ビス−o−(2−クロロアニリン)(MbOCA)を含む同じ反応混合物よりも少なくとも20%〜60%短い、又は少なくとも30%短いゲル化時間を有する。
【0044】
本発明の反応混合物は有機溶媒を加えられない。
【0045】
好ましくは、本発明の反応混合物は、反応混合物の全重量に基づき、実質的に水を含まない(2,000ppm未満)。
【0046】
本発明の(iii)ジアミン硬化剤は、ジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマー及びブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーの同じ混合物と同じ量で組み合わされたとき、101kPaで、所与の反応温度でのゲル化時間によって計測して4,4′−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)(MBOCA)よりも反応性であるジアミンを含む。同時に、ジアミン硬化剤は、本発明の範囲内のゲル化時間を提供しなければならない。適当なジアミン硬化剤の例は、4,4′−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(MCDEA)又はジアルキルトルエンジアミン類、たとえば3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミンと3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミンとの混合物である。脂肪族ジアミン類は一般に、ケミカルメカニカル研磨パッドを形成するためのバルク重合にとっては反応が速すぎる。
【0047】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層の形成に使用される(i)ジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーは、2,4−トルエンジイソシアネート;2,6−トルエンジイソシアネート;4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート;ナフタレンジ−1,5−ジイソシアネート;トルイジンジイソシアネート;パラ−フェニレンジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート及びそれらの混合物からなる群から選択されるジイソシアネートであることができる。
【0048】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層の形成に使用されるジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーは、二つの反応性イソシアネート基(すなわちNCO)を含む。
【0049】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層の形成に使用される(i)ジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーは、芳香族ジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマー及び脂肪族ジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーとのそれらの混合物から選択又は形成される。
【0050】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層の形成に使用される(i)ジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーは、ジイソシアネートとプレポリマーポリオールとの反応によって形成される、二つの反応性イソシアネート基を有するイソシアネート末端ウレタンプレポリマーである。
【0051】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層の形成に使用される(i)ポリイソシアネートプレポリマーは、6〜16重量%の未反応イソシアネート(NCO)基又はより好ましくは7〜14重量%又はさらに好ましくは8〜12重量%又はもっとも好ましくは8〜10重量%の未反応イソシアネート(NCO)基を有する。
【0052】
本発明にしたがって、ポリイソシアネートプレポリマーの調製は、芳香族ジイソシアネート又はポリイソシアネートをポリオールで延長することを含む。
【0053】
本明細書に使用される「ポリオール」は、ジオール類、ポリオール類、ポリオールジオール類、それらのコポリマー及びそれらの混合物を含む。
【0054】
適当なポリオール類の例は、ポリエーテルポリオール類、たとえばポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール及びそれらの混合物、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカプロラクトンポリオール類及びそれらの混合物を含む。そのようなポリオール類は、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及びそれらの混合物を含む低分子量ポリオール類と混合されてもよい。
【0055】
適当な芳香族ジイソシアネート類又はポリイソシアネート類の例は、芳香族ジイソシアネート類、たとえば2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジ−1,5−ジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、パラ−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びそれらの混合物を含む。一般に、多官能芳香族イソシアネートは、(i)の全重量に基づいて20重量%未満の脂肪族イソシアネート類、たとえば4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びシクロヘキサンジイソシアネートを含有する。好ましくは、芳香族ジイソシアネート又はポリイソシアネートは、15重量%未満の脂肪族イソシアネート類、より好ましくは12重量%未満の脂肪族イソシアネート類を含有する。
【0056】
好ましくは、ポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリプロピレンエーテルグリコール(PPG)、ポリエステルポリオール類、たとえばエチレン又はブチレンアジペート、ポリプロピレンエーテルグリコール類、ポリカプロラクトンポリオール類、それらのコポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0057】
市販されているPTMEG系ポリオール類の例は、Invista(Wichita, KS)のTerathane(商標)2900、2000、1800、1400、1000、650及び250;Lyondell Chemicals(Limerick, PA)のPolymeg(商標)2900、2000、1000、650;BASF Corporation(Florham Park, JN)のPolyTHF(商標)650、1000、2000、並びに低分子量種、たとえば1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール及び1,4−ブタンジオールである。市販されているPPGポリオール類の例は、Covestro(Pittsburgh, PA)のArcol(商標)PPG-425、725、1000、1025、2000、2025、3025及び4000;Dow(Midland, MI)のVoranol(商標)1010L、2000L及びP400、いずれもCovestroのDesmophen(商標)1110BD又はAcclaim(商標)Polyol 12200、8200、6300、4200、2200である。市販されているエステルポリオール類の例は、Polyurethane Specialities Company Inc.(Lyndhurst, NJ)のMillester(商標)1、11、2、23、132、231、272、4、5、510、51、7、8、9、10、16、253、CovestroのDesmophen(商標)1700、1800、2000、2001KS、2001K2、2500、2501、2505、2601、PE65B;CovestroのRucoflex(商標)S-1021-70、S-1043-46、S-1043-55である。
【0058】
ポリオールとジイソシアネート又はポリイソシアネートとの反応性を高めてポリイソシアネートプレポリマーを製造するために、触媒を使用することもできる。適当な触媒としては、たとえば、オレイン酸、アゼライン酸、ジブチル錫ジラウレート、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)、第三級アミン触媒、たとえばDabco TMR及び上記の混合物がある。
【0059】
本発明の(i)ジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーは、無溶媒形態で、110℃で10,000mPa.s以下、好ましくは20〜5,000のmPa.sの粘度を有する。
【0060】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層の形成に使用されるイソシアネート末端修飾ウレタンプレポリマーは、400〜5,000(より好ましくは400〜4,000;もっとも好ましくは400〜2,500)の数平均分子量M
Nを示す。
【0061】
好ましくは、多官能イソシアネートで末端修飾されたウレタンプレポリマーを形成するために使用されるプレポリマーポリオールは、ジオール類、ポリオール類、ポリオールジオール類、それらのコポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、プレポリマーポリオールは、ポリエーテルポリオール類(たとえばポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール及びそれらの混合物);ポリカーボネートポリオール類;ポリエステルポリオール類;ポリカプロラクトンポリオール類;それらの混合物;並びにエチレングリコール;1,2−プロピレングリコール;1,3−プロピレングリコール;1,2−ブタンジオール;1,3−ブタンジオール;2−メチル−1,3−プロパンジオール;1,4−ブタンジオール;ネオペンチルグリコール;1,5−ペンタンジオール;3−メチル−1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;ジエチレングリコール;ジプロピレングリコール;及びトリプロピレングリコールからなる群から選択される一つ以上の低分子量ポリオール類とのそれらの混合物からなる群から選択される。さらに好ましくは、プレポリマーポリオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG);エステル系ポリオール類(たとえばエチレンアジペート、ブチレンアジペート);ポリプロピレンエーテルグリコール類(PPG);ポリカプロラクトンポリオール類;それらのコポリマー;及びそれらの混合物からなる群から選択される。もっとも好ましくは、プレポリマーポリオールは、PTMEG及びPPGからなる群から選択される。
【0062】
好ましくは、プレポリマーポリオールがPTMEGである場合、イソシアネート末端修飾ウレタンプレポリマーは、6〜16重量%(より好ましくは7〜14重量%;もっとも好ましくは8〜10重量%)の未反応イソシアネート(NCO)濃度を有する。市販されているPTMEG系のイソシアネート末端修飾ウレタンプレポリマーの例は、Imuthane(商標)プレポリマー(COIM USA, Inc., West Deptford, NJから市販)、たとえばPET-80A、PET-85A、PET-90A、PET-93A、PET-95A、PET-60D、PET-70D、PET-75D;Adiprene(商標)プレポリマー(Chemtura, Philadelphia, PA)、たとえばLF800A、LF900A、LF910A、LF930A、LF931A、LF939A、LF950A、LF952A、LF600D、LF601D、LF650D、LF667、LF700D、LF750D、LF751D、LF752D、LF753D及びL325;Andur(商標)プレポリマー(Anderson Development Company, Adrian, MI)、たとえば70APLF、80APLF、85APLF、90APLF、95APLF、60DPLF、70APLF、75APLFを含む。
【0063】
好ましくは、プレポリマーポリオールがPPGである場合、末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマーは、6〜16重量%(より好ましくは7〜14重量%;もっとも好ましくは8〜10重量%)の未反応イソシアネート(NCO)濃度を有する。市販されているPPG系の末端イソシアネート修飾ウレタンプレポリマーの例は、Imuthane(商標)プレポリマー(COIM USA, Inc.)、たとえばPPT-80A、PPT-90A、PPT-95A、PPT-65D、PPT-75D);Adiprene(商標)プレポリマー(Chemtura)、たとえばLFG963A、LFG964A、LFG740D;及びAndur(商標)プレポリマー(Anderson Development Company)、たとえば8000APLF、9500APLF、6500DPLF、7501DPLFを含む。
【0064】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層の形成に使用されるポリイソシアネートプレポリマーは、0.1重量%未満の遊離トルエンジイソシアネート(TDI)モノマー含量を有する、低遊離イソシアネート末端修飾ウレタンプレポリマーである。
【0065】
本発明の(ii)ブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーは、ジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーを、80〜160℃又は好ましくは90〜120℃のデブロック温度を有するブロック剤の存在下、ブロック剤のデブロック温度よりも低く、かつジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーを流動させてブロック剤と反応させるのに十分な高さの温度に加熱することによって形成される。適当な温度は、ブロック剤のデブロック温度よりも10〜30℃低い温度である。ブロック反応の終点は、FTIRによってモニタされ、2267cm
-1のNCOピークの消失によって判定される。
【0066】
適当なブロック剤は、ピラゾール類、ジカルボニル化合物及びオキシム類、たとえばメチルエチルケトオキシム、好ましくはピラゾール類及びジカルボニル化合物である。他のブロック剤としては、たとえば、アセト酢酸エチル、マロン酸ジエチル、ジイソプロピルアミン、シクロヘキサノンオキシム、ε−カプロラクタム、1,2,4−トリアゾール、フェノール又は置換フェノール類及び3,5−ジメチルピラゾールがある。アミド類及びアミン類は、120℃よりも高く、160℃にも達するデブロック温度を有する。
【0067】
本発明の反応混合物中、反応混合物中の全アミン(NH
2)基及び全ヒドロキシル(OH)基の合計と、反応混合物中の未反応イソシアネート(NCO)基及びブロックドイソシアネート(NCO)基の合計との化学量論比は、0.80:1〜1.20:1又は好ましくは0.85:1〜1.10:1又はもっとも好ましくは0.95:1〜1.05:1である。
【0068】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層は、多孔及び無孔(すなわち非充填)の両方の形状で提供されることができる。本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層は、ASTM D1622−08(2008)にしたがって計測して≧0.6g/cm
3の密度を示す。すなわち、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層は、ASTM D1622−08(2008)にしたがって計測して0.6〜1.2g/cm
3又は好ましくは0.7〜1.1g/cm
3又はもっとも好ましくは0.75〜1.0g/cm
3の密度を示す。
【0069】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層はさらに、任意選択で、好ましくは研磨層全体に均一に分散される微小要素を含む。好ましくは、微小要素は、閉じ込められた気泡、中空コアポリマー材料、たとえばポリマーミクロスフェア、液体充填中空コアポリマー材料、たとえば流体充填ポリマーミクロスフェア、水溶性材料及び不溶相材料(たとえば鉱油)から選択される。より好ましくは、微小要素は、研磨層全体に均一に分散した閉じ込められた、気泡及び中空コアポリマー材料から選択される。好ましくは、微小要素は、150μm未満(より好ましくは100μm未満;もっとも好ましくは5〜50μm)の重量平均直径を有する。好ましくは、複数の微小要素は、ポリアクリロニトリル又はポリアクリロニトリルコポリマーのシェル壁を有するポリマーミクロスフェア(たとえば、Akzo Nobel(Amsterdam, Netherlands)のExpancel(商標)ビーズ)を含む。
【0070】
本発明にしたがって、微小要素は、0〜50容量%の空隙率又は好ましくは5〜35容量%の空隙率で研磨層に配合される。
【0071】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層は、ASTM D2240−15(2015)にしたがって計測して40〜90又は好ましくは55〜85又はより好ましくは60〜80のショアーD硬さを示す。
【0072】
40未満のショアーD硬さを示す研磨層は一般に、非常に高い破断点伸び値(すなわち>600%)を有する。そのような高い破断点伸び値を示す材料は、機械加工処理に付されると可逆的に変形し、それが、許容不可能に粗悪である溝形成及びダイアモンドコンディショニング中の不十分であるテキスチャ創造をもたらす。好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層は、ASTM D412−06a(2006)にしたがって計測して100〜450%又は好ましくは125〜425%(さらに好ましくは150〜300%;もっとも好ましくは150〜200%)の破断点伸びを示す。
【0073】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドに使用される研磨層は、500〜3750ミクロン(20〜150mil)又はより好ましくは750〜3150ミクロン(30〜125mil)又はさらに好ましくは1000〜3000ミクロン(40〜120mil)又はもっとも好ましくは1250〜2500ミクロン(50〜100mil)の平均厚さを有する。
【0074】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドはさらに、任意選択で、研磨層と整合する少なくとも一つのさらなる層を含む。好ましくは、ケミカルメカニカル研磨パッドはさらに、任意選択で、研磨層に接着された圧縮性のサブパッド又はベース層を含む。圧縮性のベース層は、好ましくは、研磨される基材の表面への研磨層の適合性を改善する。
【0075】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層は、基材を研磨するように適合された研磨面を有する。好ましくは、研磨面は、穿孔及び溝の少なくとも一つから選択されるマクロテキスチャを有する。穿孔は、研磨面から研磨層の厚さの途中まで又は全部に延びることができる。
【0076】
好ましくは、溝は、研磨中にケミカルメカニカル研磨パッドが回転すると、少なくとも一つの溝が、研磨されている基材の表面を掃くように、研磨面上に配設される。
【0077】
好ましくは、研磨面は、曲線状の溝、直線状の溝、穿孔及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの溝を含むマクロテキスチャを有する。
【0078】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層は、基材を研磨するように適合された研磨面を有し、研磨面は、その中に形成された溝パターンを含むマクロテキスチャを有する。好ましくは、溝パターンは複数の溝を含む。より好ましくは、溝パターンは溝デザインから選択され、たとえば、同心状の溝(円形又はらせん状であることができる)、カーブした溝、クロスハッチ溝(たとえばパッド表面上にX−Yグリッドとして配設)、他の規則的デザイン(たとえば六角形、三角形)、タイヤトレッド型パターン、不規則なデザイン(たとえばフラクタルパターン)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、溝デザインは、ランダムな溝、同心状の溝、らせん溝、クロスハッチ溝、X−Yグリッド溝、六角形の溝、三角形の溝、フラクタルな溝及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。もっとも好ましくは、研磨面は、その中に形成されたらせん溝パターンを有する。溝プロフィールは、好ましくは、まっすぐな側壁を有する長方形から選択され、又は、溝断面は「V」字形、「U」字形、鋸子状及びそれらの組み合わせであることもできる。
【0079】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドを製造する方法は、型を提供する工程;本発明の反応混合物を型の中に注加する工程;及び混合物を型の中で反応させて硬化ケーキを形成する工程を含み、研磨層は硬化ケーキから得られる。好ましくは、硬化ケーキをスカイビングして、一つの硬化ケーキから複数の研磨層が得される。任意選択で、方法はさらに、硬化ケーキを加熱してスカイビング操作を容易にする工程を含む。好ましくは、硬化ケーキは、それが複数の研磨層へとスカイビングされるスカイビング操作中、赤外線加熱ランプを使用して加熱される。スカイビングののち、研磨層を加熱又はベーキングして、残留ブロック剤を、研磨層中のポリウレタンの全重量に基づいて2重量%未満まで除去する。
【0080】
本発明にしたがって研磨パッドを製造する方法にしたがって、ケミカルメカニカル研磨パッドは、スラリーの流れを促進し、パッド−ウェーハ界面から研磨くずを除去するために、その研磨面に切り込まれた溝パターンを付されることができる。そのような溝は、旋盤を使用して、又はCNCフライス盤によって、研磨パッドの研磨面に切り込むことができる。
【0081】
本発明の研磨パッドを使用する方法にしたがって、CMP研磨パッドの研磨面をコンディショニングすることができる。安定した研磨性能のために均質な研磨面を維持するためにはパッド表面の「コンディショニング」又は「ドレッシング」が非常に重要である。時間とともに研磨パッドの研磨面はすり減って、研磨面のミクロテキスチャが均されてゆく(「グレージング」と呼ばれる現象)。研磨パッドコンディショニングは、一般に、コンディショニングディスクによって研磨面を機械的に摩耗させることによって達成される。コンディショニングディスクは、一般には、埋め込まれたダイアモンドポイントで構成された粗いコンディショニング面を有する。コンディショニング加工は、パッド材料を摩耗かつ掘削し、研磨テキスチャを再生しながら、パッド表面に微視的な溝を切り込む。
【0082】
研磨パッドのコンディショニングは、研磨が停止しているCMP工程の間欠的な中断の間(「ex situ」)又はCMP工程が進行中であるとき(「in situ」)、コンディショニングディスクを研磨面と接触させることを含む。一般に、コンディショニングディスクは、研磨パッドの回転軸に対して固定された位置で回転し、研磨パッドが回転するとき環状のコンディショニング領域を掃き出す。
【0083】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドは、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材を研磨するために使用することができる。
【0084】
好ましくは、本発明の基材を研磨する方法は、磁性基材、光学基材及び半導体基材の少なくとも一つから選択される基材(好ましくは半導体基材、たとえば半導体ウェーハ)を提供する工程;本発明のケミカルメカニカル研磨パッドを提供する工程;研磨層の研磨面と基材との間に動的接触を生じさせて基材の表面を研磨する工程;及び研磨面を砥粒コンディショナによってコンディショニングする工程を含む。
【0085】
以下の実施例の中で本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明する。
【0086】
実施例の中では以下の原材料を使用した。
MONDUR(商標)Grade II TDI:トルエンジイソシアネート(Covestro, Pittsburgh, PA)
TERATHANE(商標)1000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、Mw1000(Invista, Wichita, KS)
Adiprene(商標)LF750D:低[遊離TDI<最大0.5%]プレポリマー(Chemutura, Philadelphia, PA))
3,5−ジメチルピラゾール(Aldrich Chemicals, St. Louis, MO)
Lonzacure(商標)MCDEA:4,4′−メチレン−ビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(Lonza Ltd., Switzerland)
Ethacure(商標)100:3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミンと3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミンとの混合物(Albemarle, Baton Rouge, LA)
Expancel(商標)920DE40d30ビーズ:流体充填ポリマーミクロスフェアで呼び径40μm及び真密度30g/l(Akzo Nobel, Arnhem, NL)
【0087】
ブロックドプレポリマー1
MONDUR Grade II TDI26重量%とTERATHANE 1000ポリオール74重量%とを75℃で4時間混合することにより、遊離NCO約6.0重量%のポリイソシアネートプレポリマーを合成した。ブロックドプレポリマー1の二つの別々のバッチを製造した。このプレポリマー574gに、窒素雰囲気下、四つ口ガラスフラスコ中65℃で、3,5−ジメチルピラゾール約80gを撹拌しながら加えた。3,5−ジメチルピラゾールの添加速度を変えることにより、混合物の温度を70〜80℃に維持した。ひとたび3,5−ジメチルピラゾールの全量を加え、完全に溶解させたならば、反応器の温度を80℃に上げ、撹拌しながら1〜2時間そのまま維持してブロック反応を完了させた。ブロック反応の終点は、FTIRによってモニタし、NCOピークの消失によって判定した。
【0088】
ブロックドプレポリマー2
窒素雰囲気下、四つ口ガラスフラスコ中65℃で、3,5−ジメチルピラゾール82gをAdiprene LF750Dポリイソシアネートプレポリマー(8.75重量%NCO含量を有する)400gに撹拌しながら加えた。3,5−ジメチルピラゾールの添加速度を変えることにより、混合物の温度を70〜80℃に維持した。ひとたび3,5−ジメチルピラゾールの全量を加え、完全に溶解させたならば、反応器の温度を80℃に上げ、撹拌しながら1〜3時間そのまま維持してブロック反応を完了させた。ブロック反応の終点は、FTIRによってモニタし、NCOピークの消失によって判定した。
【0089】
比較例1
高速ミキサDAC 600.1 FVZ(FlackTekスピードミキサ、FlackTek Inc., Landrum, SC)中、70℃に予熱したブロックドプレポリマー1(5.88重量%ブロックドNCO含量)98.8gを、100℃に予熱したMCDEA22g(反応混合物中、NCO基の全当量あたり0.95当量NH
2基)と2300rpmで30秒間混合した。次いで、材料を、円形の開放型(直径10.16cm)に流し込み、120℃で17時間硬化させた。得られた厚さ0.36cmのプラーク(plaque)は反り又は割れを示さなかった。ASTM D−1708−13(2013)にしたがって引張りデータを収集すると、この材料は、446%の極限伸び及び18.8MPaの引張り強さを示した。
【0090】
実施例1
高速ミキサDAC 600.1 FVZ、FlackTekスピードミキサ(FlackTek Inc.)中、80℃に予熱したブロックドプレポリマー1(5.95重量%ブロックドNCO含量)31gを、100℃に予熱したMCDEA7g(反応混合物中、NCO基の全当量あたり0.95当量NH
2基)と2300rpmで60秒間混合した。次いで、材料を、正方形の開放型(10.16cm×10.16cm)に流し込み、120℃で22時間硬化させた。得られた厚さ0.15cmのプラークはいくつかの割れを示した。ASTM D−1708にしたがって引張りデータを収集すると、この材料は、474%の極限伸び及び48MPaの引張り強さを示した。
【0091】
実施例1は、ブロック剤のデブロック温度よりも高い温度で長めの時間、材料を硬化させることが、引張り強さの増大を含む改善された特性につながることを実証する。理由は、ブロック剤がマトリックスから放出され、得られる生成物を可塑化しないからである。
【0092】
比較例2
高速ミキサDAC 600.1 FVZ、FlackTekスピードミキサ(FlackTek Inc.)中、80℃に予熱したブロックドプレポリマー2(50g)を、MCDEA(110℃で融解させたのち、80〜90℃に冷ました)15.8g(反応混合物中、NCO基の全当量あたり0.95当量NH
2基)と2300rpmで60秒間混合した。次いで、材料を、正方形(10.12cm×10.12cm)の開放型に流し込み、120℃で22時間硬化させた。得られた厚さ0.15cmのプラークはいくつかの割れを示した。
【0093】
比較例2は、反応混合物が一つ以上のブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーを本発明の割合よりも多く含む場合、反り/割れが発生することを示す。
【0094】
比較例3
高速ミキサDAC 600.1 FVZ、FlackTekスピードミキサ(FlackTek Inc.)中、80℃に加熱したブロックドプレポリマー2(50g)を、80℃に加熱したEthacure(商標)100ジアミン硬化剤7.5g(反応混合物中、全当量NCO基あたり0.95当量NH
2基)と2300rpmで60秒間混合した。次いで、材料を、正方形(10.12cm×10.12cm)の開放型に流し込み、120℃で20時間硬化させた。得られた厚さ0.15cmのプラークは、反っていたが、割れを示さなかった。
【0095】
上記比較例3に示したように、多すぎる量のブロックドジイソシアネート、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートプレポリマーを使用して成形物を製造すると、反り及び/又は割れ現象が起こる。
【0096】
実施例2
Adiprene(商標)LF750D(8.75重量%NCO)ポリイソシアネートプレポリマー5gをブロックドプレポリマー2(18.8g)と混合して80重量%ブロックドプレポリマーを得た。この材料を50℃に加熱したのち、高速ミキサDAC 600.1 FVZ、FlackTekスピードミキサ(FlackTek Inc.)中、MCDEA(110℃で融解させたのち、90〜100℃に冷ました)8.5g(反応混合物中、NCO基の全当量あたり1.05当量NH
2基)と2300rpmで60秒間混合した。次いで、材料を、正方形(10.12cm×10.12cm)の開放型に流し込み、120℃で23時間硬化させた。得られた成形物は、欠陥のない平坦な正方形プラークであった。したがって、本発明は、ブロック剤の配合なしでは反応性が高すぎるであろうアミン類を含む本発明の反応混合物からの欠陥のないエラストマーの合成を可能にする。たとえば、本発明にしたがって、限られた量のポリイソシアネートプレポリマーと、ブロックドポリイソシアネートプレポリマーと、ジアミン硬化剤としてのMCDEAとの混合物の使用により、反り及び割れを回避することができる。
【0097】
比較例4
高速ミキサDAC 600.1 FVZ、FlackTekスピードミキサ(FlackTek Inc.)中、60℃に加熱したAdiprene(商標)LF750D(8.85重量%NCO)ポリイソシアネートプレポリマー25gを、100℃に加熱したMCDEA9.7g(ブロックドNCOあたり0.95当量NH
2)と2300rpmで60秒間混合した。カップ中の材料は、混合が完了したのち90秒未満でゲル化した。このゲル化時間は、一般には注型成形のために少なくとも2分のオープンタイムを要するCMPパッドの合成には速すぎる。
【0098】
実施例3
Adiprene(商標)LF750D(8.75重量%NCO)ポリイソシアネートプレポリマー4gをブロックドプレポリマー2(16.1g)と混合して、ブロックドプレポリマー80重量%を含有する混合物を得た。この材料を50℃に加熱したのち、高速ミキサDAC 600.1 FVZ、FlackTekスピードミキサ(FlackTek Inc.)中、MCDEA(110℃で融解させたのち、80〜90℃に冷ました)6.6gと2300rpmで60秒間混合した。次いで、この材料をAR2000レオメータ(TA Instruments, New Castle DE)に装填し、85℃の等温条件下、10/sの定剪断下で6分間、粘度を記録した。混合物の初期粘度は2131mPa.sであった。5.5分後、粘度は9008mPa.sであった。
【0099】
比較例4及び実施例3は、ブロックドプレポリマーと非ブロックドプレポリマーとの混合物が、完全な非ブロックド系に比べ、増大したオープンタイム又はゲル化時間を有し、それが、それらをCMPパッドの合成に使用することを可能にするが;ポリイソシアネートプレポリマーのみの使用は、研磨パッドの製造に使用するにはゲル化が急速すぎる組成物を生むことを実証する。
【0100】
実施例4:本発明のパッド
ボルテックスミキサ(VM-2500 StateMix Ltd., Winnipeg, Canada)中、ブロックドプレポリマー2、すなわち80℃に加熱したDMPブロックドAdiprene(商標)LF750Dポリイソシアネートプレポリマー700gを、60℃に加熱したAdiprene(商標)LF750Dポリイソシアネートプレポリマー500g及びExpancel(商標)920DE40d30流体充填ミクロスフェア10.5gと1000rpmで30秒間混合して、ブロックドプレポリマー2約58重量%を含有し、全NH
2基の全NCO基との化学量論比が1.05:1であるプレブレンドを形成した。次いで、プレブレンドを、ボルテックスミキサ中、110℃に加熱したMCDEA491gと1000rpmでさらに30秒間混合した。最終混合物を、914×914mmのTeflon(商標)ポリマー(DuPont, Wilmington, DE)コートされたプレート上に、Teflon(商標)ポリマーコートされたバーによって形成される間隙2mmでドローダウンした。ドローダウンしたパッドを、オーブン中、104℃で16時間硬化させ、その後、120℃でさらに24時間、後硬化させて残留ブロック剤を除去した。
【0101】
機械的特性の試験の前に、後硬化させたパッドを23℃及び相対湿度50%で5日間コンディショニングした。Alliance RT/5材料試験システム(MTS Systems Corp., Berlin, NJ)を使用して、500mm/minのクロスヘッド速度で引張り特性を得た。Rheometrics(現TA Instruments, New Castle, DE)のRDA 3計器を使用して、長方形剪断ねじりモード(ASTM5279−13、2013)で、10rad/sの振動数及び3℃/minの昇温率で動的特性を試験した。以下の表1は得られたパッドの特性を示す。
【0102】
【表1】
【0103】
実施例4A
実施例4のパッドの両面を機械加工して、厚さを1.27mm(50mil)まで減らし、直径1.7mmのスルーホールを、機械方向に5.4mm、交差方向に9.8mm離間させて穿孔した。両面感圧接着剤(PSA)を使用して、穿孔した実施例4のパッドをSuba(商標)400不織ポリウレタン含浸ポリエステルフェルトサブパッド(Nitta Hass, Osaka, Japan)に重ね合わせた。
【0104】
比較例5
対照として、同じ厚さ1.27mm(50mil)のIC1000(商標)パッド(The Dow Chemical Co., Midland, MI)を同じ構成で仕上げ加工し、同じSuba(商標)400サブパッド及び同じ感圧接着剤と重ね合わせた。研磨比較は以下の方法を使用した。
【0105】
研磨評価
300mmCMP研磨装置(EBARA Corporation(Tokyo, Japan)のモデルFREX 300)で研磨を実施した。研磨実験に使用した研磨媒(たとえばスラリー)は、酸化セリウム含有スラリー(平均砥粒サイズ236nm、砥粒配合率5重量%、pH8.4)を脱イオン水(DIW)で1:9のスラリー:DIW比に希釈したものであった。すべての研磨実験で使用した研磨条件は、80rpmのプラテン速度、83rpmのキャリヤ速度、200ml/minの研磨スラリー流量及び50kPaの研磨ダウンフォースを含むものであった。EP1AG-150730-NCダイアモンドコンディショニングディスク(Kinik Company, Taipei City, Taiwan)をケミカルメカニカル研磨パッドのコンディショニングに使用した。ケミカルメカニカル研磨パッドそれぞれを、コンディショナにより、100Nのダウンフォース、20rpmのパッドテーブル回転速度及び16rpmのドレッサ回転速度を使用してex situで20分間ならし運用した。各ウェーハ基材を研磨する前に、研磨パッドをさらに、100Nのダウンフォース、20rpmのテーブル速度及び16rpmのドレッサ速度を使用してex situで30秒間コンディショニングした。研磨の前後で膜厚さを計測することにより、テトラエトキシシリケート(TEOS)からの酸化ケイ素膜の除去速度(RR)を測定した。
【0106】
研磨した基材は、テトラエトキシシリケート(TEOS)ブランケットウェーハ、最小限のトポグラフィーのブランケット酸化物ウェーハ、次いで酸化物パターンウェーハであった。酸化物パターンウェーハは、様々なパターン密度、すなわち変化するライン/スペース幅及びピッチの、5500Åの一般的な段差を有する。酸化物パターンウェーハの積層膜は、パターニングされたケイ素基材に付着された約10,000ÅのTEOS及び1500Åの窒化ケイ素である。
【0107】
10、30、60及び90秒で各研磨パッドをモニタして基材の除去を測定し、RE-3200エリプソ式膜圧計測システム(Screen Holdings Co., Ltd., Kyoto, Japan)を使用する光学干渉によって除去速度(RR)を計測し、記録した。除去速度は、1分あたり除去される基材の量であり;平均RRは、三回の基材試験の除去速度の平均である。NU%は、ウェーハエッジから3mm分を除く各ウェーハ内のRR変動の割合としての不均一性を指す。試験した各基材に関し、各基材の間で五つのダミー基材を研磨し、それらに関してRR及びNU%を記録し;基材の種類ごとに合計三つのウェーハを試験し、RR及びNU%に関して観測した。基材の不均一性(NU)は研磨後に計測した。結果を以下の表2に記す。
【0108】
【表2】
【0109】
上記表2に示すように、本発明の実施例4Aのパッドは、比較例5、すなわち同じ構成のIC1000(商標)パッド(The Dow Chemical Co., Midland, MI)よりも約90%高いTEOS除去速度を示した。実施例4Aのパッドはまた、比較例5のパッドと比較して同等のウェーハ内不均一性(NU)を示した。
【0110】
平坦化効率
非平坦かつ不均一な基材からの段差減少においてパッドが材料を除去する能力を評価するために、異なるピッチ(50%パターン密度で1〜1000μm)及びパターン密度(100μmラインピッチで0%〜100%)の長方形区分を含むラインパターンでの7000ÅTEOSの化学蒸着により、段差5000Åの基材パターンウェーハ(CMP Characterizationo Mask Set、MIT-STI-764パターン)を形成した。5000Åの目標段差を有するパターンウェーハは、様々なパターン密度で深さ3500Åまでエッチングしたケイ素基材上の1500Åの窒化ケイ素膜の上に7000ÅTEOS酸化物膜を逐次付着させることによって製造した。平坦化効率は、RE-3200エリプソ式膜圧計測システム(Screen Holdings Co.)を使用する光学干渉により、4000/4000μm、500/500μm、250/250μm及び25/25μmのパターンライン/スペース(L/S)間隔で評価した。結果を以下の表3に示す。表3中、イベントとは、一つの基材ウェーハの研磨における観測時点を指す。
【0111】
【表3】
【0112】
上記表3に示すように、実施例4Aのパッドは、そのはるかに高いRRによって、比較例5の対照IC1000パッドよりもずっと高速の段差減少を提供した。
【0113】
上記のように、41.3kPa研磨ダウンフォースを除き、研磨評価を繰り返した。結果を以下の表4に提示する。
【0114】
欠陥発生率
Hitachi High-Tech(商標)LS6600計測ツール(Hitachi High Technologies Corporation, Tokyo, Japan)を使用して、基材をHF(水中2重量%)で400ÅのTEOSエッチング量まで洗浄したときの研磨中の欠陥の発生を計測した。目標の残留TEOS厚さは6000Åであった。LS6600ウェーハ表面検査システムにより、0.2μm分解能で、パターンウェーハではないウェーハ基材中の欠陥数を測定した。結果を以下の表4に示す。
【0115】
【表4】
【0116】
上記表4に示すように、実施例4Aのパッドは、比較例4のパッドよりも72%高い除去速度及びより良好な欠陥性能を与えた。実施例4Aのパッドはまた、より高速の段差減少、ひいてはより良好な平坦化能力を達成した。