特開2017-226861(P2017-226861A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2017-226861アルミニウム合金導電線、これを用いた電線及びワイヤハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-226861(P2017-226861A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】アルミニウム合金導電線、これを用いた電線及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   C22C 21/00 20060101AFI20171201BHJP
   H01B 1/02 20060101ALI20171201BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20171201BHJP
   H01B 5/02 20060101ALI20171201BHJP
   C22F 1/04 20060101ALI20171201BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20171201BHJP
【FI】
   C22C21/00 A
   H01B1/02 B
   H01B7/00 301
   H01B7/00
   H01B5/02 Z
   C22F1/04 D
   C22F1/00 612
   C22F1/00 625
   C22F1/00 650A
   C22F1/00 661A
   C22F1/00 683
   C22F1/00 685Z
   C22F1/00 682
   C22F1/00 691B
   C22F1/00 691C
   C22F1/00 694A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-121916(P2016-121916)
(22)【出願日】2016年6月20日
(11)【特許番号】特許第6214727号(P6214727)
(45)【特許公報発行日】2017年10月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】篠田 辰規
【テーマコード(参考)】
5G301
5G307
5G309
【Fターム(参考)】
5G301AA03
5G301AA08
5G301AA09
5G301AA12
5G301AA19
5G301AA21
5G301AB08
5G301AD01
5G307CA01
5G307CB01
5G309AA01
5G309LA01
(57)【要約】
【課題】優れた耐熱性を有するアルミニウム合金導電線、これを用いた電線及びワイヤハーネスを提供すること。
【解決手段】Siを0.15質量%以上0.25質量%以下、Feを0.6質量%以上0.9質量%以下、Cuを0.05質量%以上0.15質量%以下、Mgを0.2質量%以上2.7質量%以下、Ti、V及びBを合計で0.03質量%以下含有するアルミニウム合金導電線であって、アルミニウム合金導電線中のMgの含有率がx質量%である場合に、引張強さが、下記式(1)で表されるTMPa以下であり、導電率が、下記式(2)で表されるC%IASC以上である、アルミニウム合金導電線。
=59.5ln(x)+231・・・(1)
C=1.26x−11.6x+63.4・・・(2)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Siを0.15質量%以上0.25質量%以下、Feを0.6質量%以上0.9質量%以下、Cuを0.05質量%以上0.15質量%以下、Mgを0.2質量%以上2.7質量%以下、Ti、V及びBを合計で0.03質量%以下含有するアルミニウム合金導電線であって、
前記アルミニウム合金導電線中のMgの含有率がx質量%である場合に、引張強さが、下記式(1)で表されるTMPa以下であり、導電率が、下記式(2)で表されるC%IACS以上である、アルミニウム合金導電線。
=59.5ln(x)+231・・・(1)
C=1.26x−11.6x+63.4・・・(2)
【請求項2】
前記アルミニウム合金導電線中のMgの含有率がx質量%である場合に、引張強さが、下記式(3)で表されるTMPa以上である、請求項1に記載のアルミニウム合金導電線。
=60.5ln(x)+176・・・(3)
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアルミニウム合金導電線を有する電線。
【請求項4】
請求項3に記載の電線を複数本備えるワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金導電線、これを用いた電線及びワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車のドアのように開閉を行う部分や自動車のエンジン回りなどで用いられるワイヤハーネスなどを構成する電線には軽量化が求められており、その導電線として銅線の代わりにアルミニウム合金導電線を用いることが検討されている。
【0003】
このようなアルミニウム合金導電線としては、例えば下記特許文献1に開示されるものが知られている。下記特許文献1には、Mgを0.03〜1.5質量%、Siを0.02〜2.0質量%、Cu、Fe、Cr、Mn及びZrから選択される少なくとも一種の元素を合計で0.1〜1.0質量%含有し、導電率が40%IACS以上、引張強さが150MPa以上、伸びが5%以上、線径が0.5mm以下、最大結晶粒径が50μm以下であるアルミニウム合金導電線が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−229485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載されているアルミニウム合金導電線は、耐熱試験後に強度の低下が見られ、耐熱性の点で改善の余地を有していた。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた耐熱性を有するアルミニウム合金導電線、これを用いた電線及びワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため、特にアルミニウム合金導電線中のMgの含有率に着目し鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、アルミニウム合金導電線において、Si、Fe、Cu及びMgの含有率を特定の範囲とし、Ti、V及びBの合計含有率を特定の値以下とし、引張強さを、Mgの含有率を用いた式に対して特定の関係とし、導電率を、Mgの含有率を用いた式に対して特定の関係とした場合に上記課題を解決し得ることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、Siを0.15質量%以上0.25質量%以下、Feを0.6質量%以上0.9質量%以下、Cuを0.05質量%以上0.15質量%以下、Mgを0.2質量%以上2.7質量%以下、Ti、V及びBを合計で0.03質量%以下含有するアルミニウム合金導電線であって、前記アルミニウム合金導電線中のMgの含有率がx質量%である場合に、引張強さが、下記式(1)で表されるTMPa以下であり、導電率が、下記式(2)で表されるC%IACS以上である、アルミニウム合金導電線である。

=59.5ln(x)+231・・・(1)
C=1.26x−11.6x+63.4・・・(2)
【0009】
本発明のアルミニウム合金導電線によれば、耐熱試験後でも強度の低下が十分に抑制され、優れた耐熱性を有することが可能となる。
【0010】
上記アルミニウム合金導電線において、前記アルミニウム合金導電線中のMgの含有率がx質量%である場合に、引張強さが、下記式(3)で表されるTMPa以上であることが好ましい。
=60.5ln(x)+176・・・(3)
【0011】
この場合、アルミニウム合金導電線が自動車内の振動を受けやすい部分で使用されたり、引回しされたり、又は、屈曲された状態で保管されたりする場合に、アルミニウム合金導電線が断線することを十分に抑制できる。
【0012】
また本発明は、上記アルミニウム合金導電線を有する電線である。
【0013】
この電線によれば、アルミニウム合金導電線が優れた耐熱性を有することが可能であるため、優れた耐熱性を有することが可能となる。
【0014】
更に本発明は、上記電線を複数本備えるワイヤハーネスである。
【0015】
このワイヤハーネスによれば、電線が優れた耐熱性を有することが可能であるため、優れた耐熱性を有することが可能となる。
【0016】
なお、本発明において、「引張強さ」は、JIS C3002に準拠して行われる引張試験によって測定される引張強さを言う。
【0017】
また本発明において、「導電率」は、JIS C3002に準拠して測定される電気抵抗および質量から求められる導電率を言う。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、優れた耐熱性を有するアルミニウム合金導電線、これを用いた電線及びワイヤハーネスが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
<アルミニウム合金導電線>
本発明のアルミニウム合金導電線は、Si(珪素)を0.15質量%以上0.25質量%以下、Fe(鉄)を0.6質量%以上0.9質量%以下、Cu(銅)を0.05質量%以上0.15質量%以下、Mg(マグネシウム)を0.2質量%以上2.7質量%以下、Ti(チタン)、V(バナジウム)及びB(ホウ素)を合計で0.03質量%以下含有し、アルミニウム合金導電線中のMgの含有率がx質量%である場合に、引張強さが、下記式(1)で表されるTMPa以下であり、導電率が、下記式(2)で表されるC%IACS以上である。ここで、Si、Fe、Cu及びMgの含有率、並びにTi、V及びBの合計含有率は、アルミニウム合金導電線の質量を基準(100質量%)としたものである。

=59.5ln(x)+231・・・(1)
C=1.26x−11.6x+63.4・・・(2)
【0021】
本発明のアルミニウム合金導電線は、Siを0.15質量%以上0.25質量%以下含有する。Siの含有率を0.15質量%以上0.25質量%以下とするのは、Siの含有率が0.15質量%未満である場合と比べて、アルミニウム合金導電線が引張強さと伸びとを両立でき、Siの含有率が0.25質量%より多い場合と比べて、アルミニウム合金導電線が導電性に優れるからである。Siの含有率は好ましくは0.16質量%以上0.22質量%以下である。
【0022】
本発明のアルミニウム合金導電線は、Feを0.6質量%以上0.9質量%以下含有する。Feの含有率を0.6質量%以上0.9質量%とするのは、Feの含有率が0.6質量%未満である場合と比べて、アルミニウム合金導電線が引張強さと伸びとを両立でき、Feの含有率が0.9質量%より多い場合と比べて、アルミニウム合金導電線が導電性に優れるからである。Feの含有率は好ましくは0.68質量%以上0.82質量%以下である。
【0023】
本発明のアルミニウム合金導電線は、Cuを0.05質量%以上0.15質量%以下含有する。Cuの含有率を0.05質量%以上0.15質量%以下とするのは、Cuの含有率が0.05質量%未満である場合と比べて、アルミニウム合金導電線が引張強さと伸びとを両立でき、Cuの含有率が0.15質量%より多い場合と比べて、アルミニウム合金導電線が導電性に優れるからである。Cuの含有率は好ましくは0.06質量%以上0.12質量%以下である。
【0024】
本発明のアルミニウム合金導電線は、Mgを0.2質量%以上2.7質量%以下含有する。Mgの含有率を0.2質量%以上2.7質量%以下とするのは、Mgの含有率が0.2質量%未満である場合と比べて、アルミニウム合金導電線が引張強さと伸びとを両立でき、Mgの含有率が2.7質量%より多い場合と比べて、アルミニウム合金導電線がより導電性に優れるからである。Mgの含有率は好ましくは0.2質量%以上2.0質量%以下である。
【0025】
また、本発明のアルミニウム合金導電線では、Ti、V及びBの合計含有率が0.03質量%以下である。Ti、V及びBの合計含有率を0.03質量%以下とするのは、Ti、V及びBの合計含有率を0.03質量%より大きくする場合に比べて、アルミニウム合金導電線がより導電性に優れるからである。Ti、V及びBの合計含有率は好ましくは0.01質量%以下である。なお、Ti、V及びBの合計含有率は0.03質量%以下であればよく、0質量%であってもよい。すなわち、Ti、V及びBの含有率がいずれも0質量%であってもよい。またTi、V及びBのうちTiの含有率のみが0質量%であってもよく、Vの含有率のみが0質量%であってもよく、Bの含有率のみが0質量%であってもよい。
【0026】
さらに、本発明のアルミニウム合金導電線においては、アルミニウム合金導電線中のMgの含有率がx質量%である場合に、引張強さが、上記式(1)で表されるTMPa以下である。この場合、アルミニウム合金導電線の引張強さが、上記式(1)で表されるTMPaを超える場合に比べて、より優れた耐熱性が得られる。
【0027】
本発明のアルミニウム合金導電線においては、アルミニウム合金導電線中のMgの含有率がx質量%である場合に、引張強さが、下記式(3)で表されるTMPa以上であることが好ましい。この場合、アルミニウム合金導電線において、引張強さが、下記式(3)で表されるTMPa未満である場合と比べて、アルミニウム合金導電線が自動車内の振動を受けやすい部分で使用されたり、引回しされたり、又は、屈曲された状態で保管されたりする場合に、アルミニウム合金導電線が断線することを十分に抑制できる。

=60.5ln(x)+176・・・(3)
【0028】
さらにまた、本発明のアルミニウム合金導電線においては、導電率が、上記式(2)で表されるC%IACS以上である。この場合、アルミニウム合金導電線において、導電率が、上記式(2)で表されるC%IACS未満である場合と比べて、より優れた耐熱性が得られる。但し、アルミニウム合金導電線の導電率は65%IACS以下であることが好ましい。
【0029】
次に、本発明のアルミニウム合金導電線の製造方法について説明する。
【0030】
本発明のアルミニウム合金導電線は、Siを0.15質量%以上0.25質量%以下、Feを0.6質量%以上0.9質量%以下、Cuを0.05質量%以上0.15質量%以下、Mgを0.2質量%以上2.7質量%以下、Ti、V及びBを合計で0.03質量%以下含有するアルミニウム合金で構成される荒引線を形成する荒引線形成ステップと、この荒引線に対して、熱処理工程及び伸線工程を含む処理工程を行うことによりアルミニウム合金導電線を得る処理ステップとを含む製造方法によって得ることができる。
【0031】
次に、上述した荒引線形成ステップ及び処理ステップについて詳細に説明する。
【0032】
<荒引線形成ステップ>
荒引線形成ステップは、上述したアルミニウム合金で構成される荒引線を形成する工程である。
【0033】
上記荒引線は、例えば上述したアルミニウム合金からなる溶湯に対し、連続鋳造圧延やビレット鋳造後の熱間押出し等を行うことにより得ることができる。
【0034】
<処理ステップ>
処理ステップは、荒引線に対し、上記処理工程を行うことによりアルミニウム合金導電線を得るステップである。
【0035】
(処理工程)
処理工程は、伸線工程及び熱処理工程を含む工程である。
【0036】
処理工程は、伸線工程及び熱処理工程を含んでいればよい。処理工程の手順の具体的な態様としては、例えば以下のものが挙げられる。
・熱処理工程→伸線工程→熱処理工程
・熱処理工程→伸線工程→熱処理工程→伸線工程→熱処理工程
・熱処理工程→伸線工程→熱処理工程→伸線工程→熱処理工程→伸線工程→熱処理工程
伸線工程→熱処理工程
・伸線工程→熱処理工程→伸線工程→熱処理工程
・伸線工程→熱処理工程→伸線工程→熱処理工程→伸線工程→熱処理工程
【0037】
但し、処理工程の手順は、上記の態様に限定されるものではない。例えば上記の具体的な態様の各々において、伸線工程をさらに行ってもよい。この場合、伸線工程の後に熱処理工程を行う必要がある。
【0038】
伸線工程は、荒引線、荒引線を伸線して得られる伸線材、又は伸線材をさらに伸線して得られる伸線材(以下、「荒引線」、「荒引線を伸線して得られる伸線材」、および「伸線材をさらに伸線して得られる伸線材」を「線材」と呼ぶ)などの径を低減させる工程である。伸線工程は、熱間伸線であっても冷間伸線であってもよいが、通常は冷間伸線である。
【0039】
また伸線工程の対象となる線材の径が大きい場合(例えば3mm以上である場合)には、伸線工程において、伸線によって発生した歪を除去するために、途中から熱処理を行うことが好ましい。
【0040】
熱処理工程は、線材を熱処理する工程である。特に、伸線工程の後に行われる熱処理工程は、伸線工程で線材中に発生した歪を除去するために行われるものである。
【0041】
アルミニウム合金導電線において、引張強さが、上記式(1)で表されるTMPa以下であり、且つ導電率が、上記式(2)で表されるC%IACS以上であるようにするためには、熱処理工程における熱処理温度は通常、200〜400℃とし、熱処理工程における熱処理時間は通常、1〜24時間とすればよい。
【0042】
特に熱処理工程のうち最後に行われる熱処理工程(以下、「最終熱処理工程」と呼ぶ)では、線材を350℃以下で熱処理することが好ましい。この場合、アルミニウム合金導電線の導電率を高くすることが可能となる。但し、最終熱処理工程における線材の熱処理温度は、強度がより十分に低下することから、200℃以上であることが好ましい。
【0043】
最終熱処理工程における熱処理時間は1時間以上であることが好ましい。この場合、伸線材の熱処理を1時間未満行う場合に比べて、全長にわたってより均質な線材が得られる。但し、熱処理時間は12時間以下であることが好ましい。
【0044】
(電線)
本発明の電線は、上述したアルミニウム合金導電線を有する。
【0045】
この電線によれば、アルミニウム合金導電線が優れた耐熱性を有することが可能であるため、優れた耐熱性を有することが可能となる。
【0046】
本発明の電線は通常、上記アルミニウム合金導電線を被覆する被覆層をさらに有する。被覆層は、例えばポリ塩化ビニル樹脂や、ポリオレフィン樹脂に難燃剤等を添加してなる難燃性樹脂組成物などで構成される。
【0047】
(ワイヤハーネス)
本発明のワイヤハーネスは、上記電線を複数本備える。
【0048】
このワイヤハーネスによれば、電線が優れた耐熱性を有することが可能であるため、優れた耐熱性を有することが可能となる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
(実施例1〜20及び比較例1〜20)
Si、Fe、Cu、Mg、Ti、V及びBを表1及び2に示す含有率となるようにアルミニウムとともに溶解し、直径25mmの鋳型に流し込むことで線径25mmのアルミニウム合金を鋳造した。こうして得られたアルミニウム合金について、スウェージングマシン(吉田記念社製)によって線径9.5mmとなるようにスウェージング加工を行った後、270℃、8時間で熱処理することで線径9.5mmの荒引線を得た。こうして得られた荒引線を、下記の処理方法を用いて処理することによりアルミニウム合金導電線を得た。

(処理方法)
線径3.1mmまで伸線→270℃×8時間の熱処理→線径1.25mmまで伸線→270℃×8時間の熱処理→線径0.33mmまで伸線→表1及び2に示す最終熱処理の温度及び時間で熱処理
【0051】
また上記のようにして得られたアルミニウム合金導電線について、JIS C3002に準拠した引張試験を行い、引張強さを測定した。結果を表1及び2に示す。なお、下記式(1)で表されるTおよび下記式(3)で表されるTについても表1及び2に併記した。また、表1及び2において、引張強さの単位はMPaである。
=59.5ln(x)+231・・・(1)
=60.5ln(x)+176・・・(3)
(上記式(1)および式(3)において、xはアルミニウム合金導電線中のMgの含有率(質量%)を表す)
【0052】
さらに上記のようにして得られたアルミニウム合金導電線について、JIS C3002に準拠して質量及び電気抵抗を測定し、測定された質量及び電気抵抗に基づいて導電率を求めた。結果を表1及び2に示す。なお、下記式(2)で表されるCについても表1及び2に併記した。また、表1及び2において、導電率の単位は%IACSである。
C=1.26x−11.6x+63.4・・・(2)
(上記式(2)において、xはアルミニウム合金導電線中のMgの含有率(質量%)を表す)
【0053】
(耐熱性)
上記のようにして得られた実施例1〜20及び比較例1〜20のアルミニウム合金導電線について耐熱試験を行った。耐熱試験は、上記アルミニウム合金導電線を150℃で1000時間保持することによって行った。そして、耐熱試験後のアルミニウム合金導電線について、JIS C3002に準拠した引張試験を行い、引張強さを測定した。そして、耐熱試験前後の引張強さ、及び、下記式に基づいて、耐熱試験前の引張強さに対する耐熱試験後の引張強さの残率を算出した。結果を表1及び2に示す。

残率(%)=100×耐熱試験後の引張強さ/耐熱試験前の引張強さ

なお、表1及び2において、残率が95%以上であるものについては優れた耐熱性を有するものとして合格とし、「○」と表記した。また残率が95%未満であるものについては耐熱性に劣るとして不合格とし、表1及び2において「×」と表記した。

【表1】
【表2】
【0054】
表1に示す結果より、実施例1〜20のアルミニウム合金導電線は全て残率が95%以上であり、耐熱性の点で合格基準を満たすことが分かった。一方、表2に示す結果より、比較例1〜20のアルミニウム合金導電線は、残率が95%未満であり、耐熱性の点で合格基準に満たさないことが分かった。
【0055】
以上より、本発明のアルミニウム合金導電線によれば、優れた耐熱性を有することが確認された。
【手続補正書】
【提出日】2017年6月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Siを0.15質量%以上0.25質量%以下、Feを0.6質量%以上0.9質量%以下、Cuを0.05質量%以上0.15質量%以下、Mgを0.46質量%以上2.7質量%以下、Ti、V及びBを合計で0.03質量%以下含有するアルミニウム合金導電線であって、
前記アルミニウム合金導電線中のMgの含有率がx質量%である場合に、引張強さが、下記式(3)で表されるTMPa以上で且つ下記式(1)で表されるTMPa以下であり、導電率が、下記式(2)で表されるC%IACS以上である、アルミニウム合金導電線。
=59.5ln(x)+231・・・(1)
C=1.26x−11.6x+63.4・・・(2)
=60.5ln(x)+176・・・(3)
【請求項2】
請求項1に記載のアルミニウム合金導電線を有する電線。
【請求項3】
請求項2に記載の電線を複数本備えるワイヤハーネス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
すなわち、本発明は、Siを0.15質量%以上0.25質量%以下、Feを0.6質量%以上0.9質量%以下、Cuを0.05質量%以上0.15質量%以下、Mgを0.46質量%以上2.7質量%以下、Ti、V及びBを合計で0.03質量%以下含有するアルミニウム合金導電線であって、前記アルミニウム合金導電線中のMgの含有率がx質量%である場合に、引張強さが、下記式(3)で表されるTMPa以上で且つ下記式(1)で表されるTMPa以下であり、導電率が、下記式(2)で表されるC%IACS以上である、アルミニウム合金導電線である。

=59.5ln(x)+231・・・(1)
C=1.26x−11.6x+63.4・・・(2)
=60.5ln(x)+176・・・(3)
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
さらに、本発明のアルミニウム合金導電線によれば、アルミニウム合金導電線が自動車内の振動を受けやすい部分で使用されたり、引回しされたり、又は、屈曲された状態で保管されたりする場合に、アルミニウム合金導電線が断線することを十分に抑制できる。