特開2017-227100(P2017-227100A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-227100(P2017-227100A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】山留め支保工
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/04 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   E02D17/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-126114(P2016-126114)
(22)【出願日】2016年6月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】堀場 勇太
(72)【発明者】
【氏名】塩田 岳夫
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 宗秀
(57)【要約】      (修正有)
【課題】掘削作業の効率を向上させつつ、支保工の安定性を確保できる、山留め支保工を提供すること。
【解決手段】山留め支保工1は、対向する一対の山留壁10の間に設けられた切梁20と、一対の山留壁10の上方でかつ一対の山留壁10の両方に跨がって設けられた切梁吊桁30と、切梁吊桁30から吊り下げ支持されて前記切梁20を支持する吊架台40と、を備える。切梁20を棚杭で支持する必要がなく、切梁20の直下に広い掘削空間ができる。また、地震時の揺れによって切梁吊桁30に大きな鉛直荷重がかかっても、切梁吊桁30および山留壁10の背面の地盤によって山留め支保工1は安定している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の山留壁の間に設けられた切梁を備える山留め支保工であって、
前記一対の山留壁の上方でかつ当該一対の山留壁の少なくとも一方に跨がって設けられた切梁吊桁と、
当該切梁吊桁から吊り下げ支持されて前記切梁を支持する吊架台と、を備えることを特徴とする山留め支保工。
【請求項2】
前記切梁吊桁は、水平方向に所定間隔おきに複数設けられ、
前記吊架台は、隣接する切梁吊桁同士を連結することを特徴とする請求項1に記載の山留め支保工。
【請求項3】
前記吊架台は、前記切梁吊桁の上面に配置されて当該切梁吊桁同士の間に架設されて接合された上側水平材と、
前記切梁の下面または上面に配置されて当該切梁同士の間に架設されて接合された下側水平材と、
前記上側水平材と前記下側水平材とを連結する吊材と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の山留め支保工。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向する一対の山留壁間に棚杭を設置することなく切梁が架設された山留め支保工に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、切梁を用いた山留め支保工が知られている。
例えば、この山留め支保工は、互いに対向する一対の山留壁と、この一対の山留壁同士の間に架設された切梁と、この切梁の途中に配置されてこの切梁を支持する棚杭(中間杭)と、を備える。
この山留め支保工では、切梁の中間位置に棚杭を設置することで、対向する山留壁同士の間隔が長い場合であっても、切梁を架設することができる。しかし、その反面、掘削箇所に複数の棚杭を設けることになるため、切梁の直下では、掘削作業の作業性が低下する、という問題があった。
【0003】
そこで、以下のような山留め支保工が提案されている。
特許文献1には、互いに対向する山留壁間に複数段の切梁が架設され、最上段の切梁から下段の切梁を吊り下げ支持する山留め支保工が示されている。
特許文献2には、地下躯体の逆打ち工法において、先行して構築した1階床スラブから切梁を吊り下げ支持する山留め支保工が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−331856号公報
【特許文献2】特開2003−34939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1、2の山留め支保工では、最上段の切梁や1階床スラブから下段の切梁を吊り下げ支持するため、地震時には、この最上段の切梁や1階床スラブに大きな
鉛直荷重が作用する場合があり、山留め支保工の安定性を確保できないおそれがあった。
また、特許文献2の山留め支保工では、1階床スラブを支持するための構真柱が掘削箇所に設ける必要があるため、依然として、掘削作業に加えて、躯体工事においても施工性が低下する、という問題があった。
【0006】
本発明は、掘削作業の効率を向上させつつ、支保工の安定性を確保できる、山留め支保工を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、対向する一対の山留壁間に架設する山留め支保工として、山留壁の上方に設置した切梁吊桁により下方側に架設される切梁を吊り下げ支持することで、切梁の中間位置に棚杭を設けることなく切梁を支持できる点に着目し、本願発明の山留め支保工の発明に至った。
【0008】
第1の発明の山留め支保工(例えば、後述の山留め支保工1、1A、1B)は、対向する一対の山留壁(例えば、後述の山留壁10、10A)の間に設けられた切梁(例えば、後述の切梁20)を備える山留め支保工であって、前記一対の山留壁の上方でかつ当該一対の山留壁の少なくとも一方に跨がって設けられた切梁吊桁(例えば、後述の切梁吊桁30、30A)と、当該切梁吊桁から吊り下げ支持されて前記切梁を支持する吊架台(例えば、後述の吊架台40、40B)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、吊架台を介して切梁を切梁吊桁から吊り下げ支持したので、切梁を棚杭で支持する必要がなく、切梁の直下に広い掘削空間を確保でき、掘削作業の効率を向上できる。
本願発明の山留め支保工は、対向する一対の山留壁同士を切梁吊桁と切梁によって支持するものであり、切梁単体のみで山留壁を支持する必要がないので、切梁を大断面とする必要はなく、施工性に優れている。
また、切梁を吊り下げ支持する切梁吊桁を、少なくとも一方の山留壁に跨がって設けたので、切梁吊桁の端部が山留壁の背面側の地盤に支持されることになり、地震時の揺れによって切梁吊桁に大きな鉛直荷重がかかっても、切梁吊桁および山留壁の背面の地盤によって山留め支保工の安定性を確保できる。
【0010】
第2の発明の山留め支保工は、前記切梁吊桁は、水平方向に所定間隔おきに複数設けられ、前記吊架台は、隣接する切梁吊桁同士を連結することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、切梁吊桁同士を吊架台で連結することで、山留壁に作用する地震荷重に対して複数の切梁吊桁で抵抗でき、山留め支保工の耐震性能を高めることができる。
【0012】
第3の発明の山留め支保工は、前記吊架台は、前記切梁吊桁の上面に配置されて当該切梁吊桁同士の間に架設されて接合された上側水平材(例えば、後述の上側水平材41)と、前記切梁の下面または上面に配置されて当該切梁同士の間に架設されて接合された下側水平材(例えば、後述の42)と、前記上側水平材と前記下側水平材とを連結する吊材(例えば、後述の吊材43)と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、吊架台は、上側水平材、下側水平材および吊材を含んで構成され、この吊架台によって切梁吊桁と切梁とが連結されて、切梁吊桁から切梁が吊り下げ支持される。したがって、切梁吊桁と切梁とは、容易に長さが変更可能な吊材によって連結されるとともに、切梁吊桁および切梁は、吊材と交差する方向に設置された上側水平材および下側水平材により互いに接合されるので、切梁吊桁と切梁とが一体化した耐震安全性に優れた架設体が形成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、対向する一対の山留壁の上方に切梁吊桁を設置し、その切梁吊桁より切梁を吊り下げ支持することで、切梁の中間位置に棚杭を設置する必要がない。よって、掘削作業の効率を向上させつつ、支保工の安定性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る山留め支保工の部分平面図である。
図2図1のA−A縦断面図である。
図3図1および図2の破線Bで示す部分の斜視図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る山留め支保工の縦断面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る山留め支保工の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本願発明の山留め支保工は、山留壁同士の間に架設される切梁の中間に棚杭を設ける必要はなく、山留壁の上方に切梁吊桁を設置し、その切梁吊桁より切梁を吊り下げ支持させた架設体である。
実施形態は、対向する一対の山留壁の背面側の地盤上に切梁吊桁を設置し、その切梁吊桁より切梁を支持した第1実施形態(図1図3)と、一方の山留壁の上方のみに切梁吊桁を設置した第2実施形態(図5)と、切梁吊桁と切梁とを斜材で連結した第3実施形態(図5)と、がある。
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る山留め支保工1の部分平面図である。図2は、図1のA−A縦断面図である。図3は、図1および図2の破線Bで示す部分の斜視図である。
【0018】
山留め支保工1は、地盤面2の所定箇所を床付面3に至るまで掘削するために構築される。この山留め支保工1は、互いに対向する一対の山留壁10と、一対の山留壁10同士の間に水平方向に所定間隔おきに架設された切梁20と、一対の山留壁10の上方でかつ一対の山留壁10の両方に跨がって設けられた切梁吊桁30と、切梁吊桁30から吊り下げ支持されて切梁20を支持する吊架台40と、を備える。
【0019】
山留壁10は、SMW(Soil Mixing Wall)工法、親杭鋼矢板工法、シートパイル工法などにより構築される。この山留壁10の内壁面には、水平方向に延びる腹起し11が、腹起しブラケット12を介して取り付けられている。
切梁20は、H形鋼であり、この腹起し11同士の間に架設されている。また、切梁20と腹起し11との間には、切梁20に対して斜めに延びる火打ち21が架設されている。
【0020】
切梁吊桁30は、H形鋼であり、これら切梁20の直上に、水平方向に所定間隔おきに複数設けられている。山留壁10の背面側の地盤面2上には、H形鋼である支持部材31が配置されており、この切梁吊桁30の両端部は、これら支持部材31の上に載置されている。これにより、切梁吊桁30は、両端部で地盤面2に支持されている。また、支持部材31は、地盤面2にアンカー筋で固定されている。切梁吊桁30と支持部材31との間は、地震荷重が作用した際に、上向きの外力に抵抗できるように、ボルト接合されている。
【0021】
吊架台40は、切梁吊桁30の上に配置されて切梁吊桁30同士の間に架設されて接合された上側水平材41と、切梁20の下に配置されて切梁20同士の間に架設されて接合された下側水平材42と、鉛直方向に延びて上側水平材41と下側水平材42とを連結する吊材43と、隣り合う吊材43同の間に斜めに設けられたブレース44と、を備える。
【0022】
吊材43は、一対のH形鋼であり、この一対のH形鋼は、切梁20の両側に配置されている。
上側水平材41および下側水平材42は、互いに背中合わせに配置された一対の溝形鋼であり、この一対の溝形鋼は、吊材43を両側から挟んで配置されている。このように、吊材43を両側から挟むように上側水平材41および下側水平材42を設けたので、地震荷重によって吊材43が上側水平材41や下側水平材42から脱落するのを防止できる。
ブレース44は、互いに交差するように配置された一対の山形鋼で構成されている。
【0023】
上側水平材41は、各切梁吊桁30にボルト50で固定され、これにより、切梁吊桁30同士を連結している。また、吊材43は、この上側水平材41にボルト51で固定されている。
下側水平材42は、吊材43にボルト52で固定されており、切梁20は、この下側水平材42にUボルト53で取り付けられている。
【0024】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)吊架台40を介して切梁20を切梁吊桁30から吊り下げ支持したので、切梁20を棚杭で支持する必要がなく、切梁20の直下に広い掘削空間を確保でき、掘削作業の効率を向上できる。このように、本願発明の山留め支保工1では、掘削空間内に棚杭を設置しないので、作業効率を低下させることなく、建物の地下躯体を構築できる。
また、山留壁10同士の間に切梁のみを単独で架設する構造ではないので、切梁20を大断面とする必要がなく、施工性に優れている。
また、切梁20を吊り下げ支持する切梁吊桁30を、一対の山留壁10の両方に跨がって設けたので、切梁吊桁30の両端部が山留壁10の背面側の地盤面2に支持されることになり、地震時の揺れによって切梁吊桁30に大きな鉛直荷重がかかっても、山留め支保工1の安定性を確保できる。
対向する一対の山留壁は、切梁吊桁30と切梁20とが連結された架設体である山留め支保工1によって支持されるため、切梁単体のみを大断面化する必要はなく、施工性や鋼材価格を考慮して、市場品を適宜組み合わせて切梁吊桁30や切梁20として用いることができる。
【0025】
(2)切梁吊桁30同士を吊架台40の上側水平材41で連結することで、山留壁10に作用する地震荷重に対して複数の切梁吊桁30で抵抗でき、山留め支保工1の耐震性能を高めることができる。
【0026】
(3)吊架台40は、上側水平材41、下側水平材42および吊材43を含んで構成されるので、吊材43の長さを適宜調整することで、切梁吊桁30と切梁20を接合することができる。また、吊架台40を少ない部材点数でかつ簡素な構造としたので、低コストかつ確実に、切梁吊桁30から切梁20を吊り下げ支持できる。
【0027】
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態に係る山留め支保工1Aの縦断面図である。
本実施形態では、切梁吊桁30Aが一対の山留壁10の一方のみに跨がって設けられる点が、第1実施形態と異なる。
すなわち、図4中右側の山留壁10Aは、山留壁10よりも上方まで延びており、山留壁10Aには、水平方向に延びる腹起し13が、腹起しブラケット14を介して取り付けられている。切梁吊桁30Aの図4中右側の端部は、この腹起し13に接合されている。
【0028】
本実施形態によれば、上述の(1)〜(3)の効果に加えて、以下のような効果がある。
(4)山留壁10、10Aの一方が高い場合でも、切梁吊桁30Aを架設して山留め支保工1Aを構築できる。
【0029】
〔第3実施形態〕
図5は、本発明の第3実施形態に係る山留め支保工1Bの縦断面図である。
本実施形態では、吊架台40Bの構成が第1実施形態と異なる。
すなわち、吊架台40Bは、第1実施形態の吊架台40の構成に加えて、鉛直方向に対して斜めに延びて切梁吊桁30と切梁20とを直接連結する斜材45を備える。
【0030】
本実施形態では、地盤面2上に構築された上面がフラット状のコンクリート平板を、支持部材31Aとして用いる。この支持部材31Aは、地盤面2にアンカー筋で固定されており、これにより、支持部材31Aや切梁吊桁30に作用する上向きの外荷重に抵抗できる。また、支持部材31Aをコンクリート平板とすることで、支持部材31Aを地盤面2から任意の高さに容易に設定できる。
【0031】
また、斜材45は、切梁吊桁30と切梁20との間に複数設けられる。なお、この斜材としては、切梁吊桁30および切梁20を挟んで一対の鋼材同士を背中合わせに配置してもよい。このようにすれば、切梁吊桁30と切梁20との間の一体性が高められ、高い耐震安全性を確保できる。
【0032】
本実施形態によれば、上述の(1)〜(3)の効果に加えて、以下のような効果がある。
(5)斜材45により切梁吊桁30と切梁20と連結したので、地震による揺れに対して、より確実に抵抗でき、耐震性能を向上できる。
【0033】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
また、上述の各実施形態では、吊材43やブレース44を一対ずつ設けたが、これに限らず、吊材43やブレース44の本数は、各部材に作用する外荷重や負担応力に基づいて、適宜設定されてよい。
【符号の説明】
【0034】
1、1A、1B…山留め支保工 2…地盤面 3…床付面
10、10A…山留壁 11…腹起し 12…腹起しブラケット
13…腹起し 14…腹起しブラケット 20…切梁
21…火打ち 30、30A…切梁吊桁 31、31A…支持部材
40、40B…吊架台 41…上側水平材 42…下側水平材
43…吊材 44…ブレース 45…斜材
50、51、52…ボルト 53…Uボルト
図1
図2
図3
図4
図5