特開2017-227172(P2017-227172A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-227172(P2017-227172A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】内燃機関の排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20171201BHJP
   F02D 41/04 20060101ALI20171201BHJP
   F02D 41/20 20060101ALI20171201BHJP
   F02D 41/38 20060101ALI20171201BHJP
   F02D 43/00 20060101ALI20171201BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20171201BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   F01N3/20 B
   F02D41/04 355
   F02D41/20 375
   F02D41/38 B
   F02D41/04 385C
   F02D43/00 301E
   F02D43/00 301T
   F02D45/00 312H
   F01N3/20 C
   F01N3/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-123716(P2016-123716)
(22)【出願日】2016年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 誠人
(72)【発明者】
【氏名】津田 正広
【テーマコード(参考)】
3G091
3G301
3G384
【Fターム(参考)】
3G091AA18
3G091AB06
3G091AB13
3G091BA11
3G091BA14
3G091BA33
3G091CA18
3G091CB02
3G091CB03
3G091DA04
3G091DC05
3G091EA03
3G091EA35
3G091GB06W
3G091GB07W
3G091HA15
3G301HA02
3G301JA33
3G301KA06
3G301LB11
3G301MA01
3G301MA23
3G301NA04
3G301NA08
3G301ND41
3G301NE13
3G301NE23
3G301PA01Z
3G301PD09Z
3G301PD11Z
3G301PE01Z
3G301PF03Z
3G384AA03
3G384BA09
3G384BA19
3G384BA33
3G384CA04
3G384DA14
3G384EB05
3G384ED04
3G384ED13
3G384FA01Z
3G384FA06Z
3G384FA42Z
3G384FA45Z
3G384FA56Z
(57)【要約】
【課題】迅速にかつ環境性能の優れたパージ処理を可能にする。
【解決手段】筒内燃料噴射弁3からのポスト噴射によるリッチ空燃比及びパージ時間を制御して、NOx吸蔵還元触媒11に吸着されている硫黄成分を除去するSパージ制御が可能なエンジン2の排気浄化装置において、エンジンコントロールユニット30は、Sパージを実行する際に、エンジン2が高負荷運転状態である場合にはNOx吸蔵還元触媒11の劣化度合が大きくなるに伴ってSパージ制御におけるリッチ空燃比を減少させ、エンジン2が低負荷運転状態である場合にはNOx吸蔵還元触媒11の劣化度合が大きくなるに伴ってパージ時間を減少させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられ、排気中の窒素酸化物を吸蔵する排気浄化触媒と、
前記内燃機関の燃料噴射手段による主噴射後に実行するポスト噴射を制御して、前記排気浄化触媒に流入する排気の空燃比を所定のリッチ空燃比にして、前記排気浄化触媒に吸着されている硫黄成分を前記排気浄化触媒から除去するパージ制御を実行するパージ制御部と、
前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出部と、
前記排気浄化触媒の劣化度合を推定する劣化度合推定部と、を備え、
前記パージ制御部は、前記運転状態に基づいて前記パージ制御における前記リッチ空燃比と当該リッチ空燃比にする時間とのいずれか一方を前記劣化度合に基づいて変更することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
前記パージ制御部は、前記内燃機関の負荷が所定値以上の際に、前記劣化度合に基づいて前記リッチ空燃比を変更することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項3】
前記パージ制御部は、前記内燃機関の負荷が前記所定値以上の際に、前記劣化度合が増加するに伴って前記リッチ空燃比を減少させることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項4】
前記パージ制御部は、前記内燃機関の負荷が所定値未満の際には、前記劣化度合に基づいて前記リッチ空燃比にする時間を変更することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項5】
前記パージ制御部は、前記内燃機関の負荷が前記所定値未満の際に、前記劣化度合が増加するに伴って前記リッチ空燃比にする時間を減少させることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置のパージ制御に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気通路には、排気を浄化するための排気浄化装置が備えられている。例えば、内燃機関の排気中のNOx(窒素酸化物)を浄化するために、NOx吸蔵還元触媒等の排気浄化触媒が開発されている。
NOx吸蔵還元触媒は、例えば貴金属を含んだ担体にNOx吸蔵剤を担持させて構成されており、リーン空燃比雰囲気(酸化雰囲気)下でNOxを捕捉する機能を有している。そして、内燃機関の燃料噴射制御等によって排気をリッチ空燃比とするNOxパージを行うことで、捕捉しているNOxを放出し、排気中のHC、COと反応させて還元する。
【0003】
しかし、NOx吸蔵還元触媒においては、排気中のNOxを吸蔵するとともに、排気中の硫黄が吸着されてしまう。そこで、NOx吸蔵還元触媒に吸着した硫黄を除去するために、内燃機関の燃料噴射制御等によって排気をリッチ空燃比とするとともに、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気の温度を上昇させるSパージが必要に応じて行われる。
更に、特許文献1には、NOxパージにおいて、排気空燃比をリーンとリッチとの間で周期的に切換え、このリッチ時間を触媒の劣化度合に基づいて変更することで、燃料消費及び未燃燃料の排出を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2836523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、Sパージにおいては、NOx吸蔵還元触媒の吸着されている硫黄成分が二酸化硫黄(SO)や硫化水素(HS)として排出されるが、これらの排出物のうち硫化水素の排出を抑制することが望ましい。
したがって、Sパージにおいては、上記の特許文献1のNOxパージのように触媒の劣化度合に基づいて制御することで燃料消費を抑えた効率的なパージを可能にするだけでなく、迅速にかつ硫化水素の排出を抑制させることが要求されている。
【0006】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、排気通路に排気浄化触媒を備えた内燃機関において、迅速にかつ硫化水素の排出を抑え環境性能の優れたSパージを可能とする排気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1の内燃機関の排気浄化装置では、内燃機関の排気通路に設けられ、排気中の窒素酸化物を吸蔵する排気浄化触媒と、前記内燃機関の燃料噴射手段による主噴射後に実行するポスト噴射を制御して、前記排気浄化触媒に流入する排気の空燃比を所定のリッチ空燃比にして、前記排気浄化触媒に吸着されている硫黄成分を前記排気浄化触媒から除去するパージ制御を実行するパージ制御部と、前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出部と、前記排気浄化触媒の劣化度合を推定する劣化度合推定部と、を備え、前記パージ制御部は、前記運転状態に基づいて前記パージ制御における前記リッチ空燃比と当該リッチ空燃比にする時間とのいずれか一方を前記劣化度合に基づいて変更することを特徴とする。
【0008】
また、好ましくは、前記パージ制御部は、前記内燃機関の負荷が所定値以上の際に、前記劣化度合に基づいて前記リッチ空燃比を変更するとよい。
また、好ましくは、前記パージ制御部は、前記内燃機関の負荷が前記所定値以上の際に、前記劣化度合が増加するに伴って前記リッチ空燃比を減少させるとよい。
また、好ましくは、前記パージ制御部は、前記内燃機関の負荷が所定値未満の際には、記劣化度合に基づいて前記リッチ空燃比にする時間を変更するとよい。
【0009】
また、好ましくは、前記パージ制御部は、前記内燃機関の負荷が前記所定値未満の際に、前記劣化度合が増加するに伴って前記リッチ空燃比にする時間を減少させるとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、排気浄化触媒の劣化度合に基づいてパージ制御の際のリッチ空燃比及びリッチ空燃比にする時間が制御されるので、劣化度合に応じてリッチ空燃比またはリッチ空燃比にする時間を適切に設定して、パージ制御における燃料消費を抑制するとともにパージ制御の実行時間を低減させることができる。また排気浄化触媒の劣化が進行していない場合には、従来制御に比べて触媒中の硫黄成分を完全に放出することができる。
【0011】
また、内燃機関の運転状況に基づいて、劣化度合に対する制御対象をリッチ空燃比またはリッチ空燃比のいずれかに選択することで、内燃機関の運転状況によって変化する排気の状態に適したパージ制御が可能となり、排気浄化触媒に吸着されている硫黄成分が硫化水素として排出されることを抑制し、環境性能の優れたパージ制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態におけるエンジンの吸排気系の概略構成図である。
図2】エンジンコントロールユニットにおけるSパージ制御手順を示すフローチャートである。
図3】SパージにおけるNOx吸蔵還元触媒の劣化度合と合計燃料噴射量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の排気浄化装置1が適用されたディーゼルエンジン(内燃機関:以下、エンジン2という)の吸排気系の概略構成図である。
エンジン2は、走行駆動源として車両に搭載されており、多気筒の筒内直接噴射式エンジンであって、図1では簡略して1つの気筒のみ記載している。エンジン2は、各気筒に設けられた筒内燃料噴射弁3(燃料噴射手段)から、任意の噴射時期及び噴射量で各気筒の燃焼室4内に燃料を噴射可能な構成となっている。
【0014】
エンジン2の吸気通路5には、新気の流量を調整するための電子制御スロットルバルブ6が設けられている。
エンジン2の排気通路10には、エンジン2から下流に向かって順番に、NOx吸蔵還元触媒11(排気浄化触媒)、ディーゼルパティキュレートフィルタ12が設けられている。NOx吸蔵還元触媒11及びディーゼルパティキュレートフィルタ12は、エンジン2の排気ポート13に近接して配置されている。
【0015】
NOx吸蔵還元触媒11は、例えば、白金(Pt),パラジウム(Pd)等の貴金属を含んだ担体に、バリウム(Ba),カリウム(K)等のNOx吸蔵剤を担持させて構成されており、リーン空燃比雰囲気(酸化雰囲気)下でNOx(窒素酸化物)を捕捉する一方、リッチ空燃比雰囲気(還元雰囲気)下で、捕捉しているNOxを放出し、排気中のHC、COと反応させて還元する機能を有している。
【0016】
ディーゼルパティキュレートフィルタ12は、例えば、ハニカム担体の通路の上流側及び下流側を交互にプラグで閉鎖して、排気中のPMを捕集する機能を有しており、更に、通路を形成する多孔質の壁にプラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒貴金属を担持して形成されている。
更に、エンジン2には、エンジン2の回転速度を検出する回転速度センサ20が設けられている。エンジン2の吸気通路5には、吸気流量を検出するエアフローセンサ21が設けられている。
【0017】
エンジン2の排気通路10には、NOx吸蔵還元触媒11の上流側に排気空燃比を検出する上流側空燃比センサ22と、排気温度を検出する上流側排気温度センサ23が設けられている。また、ディーゼルパティキュレートフィルタ12の下流側の排気通路には、排気空燃比を検出する下流側空燃比センサ24が設けられている。
エンジンコントロールユニット30(パージ制御部、劣化度合推定部、運転状態検出部)は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、タイマ及び中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成され、回転速度センサ20、エアフローセンサ21、上流側空燃比センサ22、上流側排気温度センサ23、下流側空燃比センサ24等の各種センサの検出情報と、その他車両のアクセル操作量等の車両運転情報を入力し、当該各種情報に基づいて、筒内燃料噴射弁3からの燃料噴射量及び燃料噴射時期、電子制御スロットルバルブ6の開度を演算して、上記各種機器の作動制御を行うことで、エンジン2の運転制御を行う。
【0018】
また、エンジンコントロールユニット30は、主噴射後に実行するポスト噴射により排気空燃比を低下させることで、NOx吸蔵還元触媒11に吸蔵したNOxを除去するNOxパージと、ポスト噴射により排気空燃比を低下させるとともに、未燃燃料を排気通路に排出し、排気通路やNOx吸蔵還元触媒11において燃焼(酸化)させて、NOx吸蔵還元触媒11の温度を上昇させることで、NOx吸蔵還元触媒11に吸蔵した硫黄成分を除去するSパージ(本発明におけるパージ制御)とが可能となっている。
【0019】
なお、筒内燃料噴射弁3による燃料噴射は、所定時間毎に繰り返し行なわれ、デューティ比の制御により燃料噴射量が制御される。
次に、図2、3を用いて、本実施形態のエンジンにおけるSパージの制御について説明する。図2は、エンジンコントロールユニット30において実行するSパージ制御手順を示すフローチャートである。図3は、SパージにおけるNOx吸蔵還元触媒11の劣化度合と合計燃料噴射量との関係を示すグラフである。
【0020】
本実施形態の制御は、例えばエンジン運転中に所定時間経過毎に行なわれる。
始めにステップS10では、NOx吸蔵還元触媒11のS被毒量を推定する。S被毒量は、NOx吸蔵還元触媒11における排気中の硫黄成分の吸着量であり、例えば前回のSパージからのエンジン2の運転積算時間や燃料噴射量の積算量等に基づいて推定すればよい。なお、本ステップにおける制御が本発明の劣化度合推定部に該当する。そして、ステップS20に進む。
【0021】
ステップS20では、Sパージが必要か否かを判別する。ステップS10において推定されたS被毒量が許容値近辺に設定された閾値を超えている場合には、Sパージが必要であると判定し、ステップS30に進む。S被毒量が閾値以下である場合には、Sパージが必要でないと判定し、本ルーチンを終了する。
ステップS30では、NOx吸蔵還元触媒11の劣化度合(触媒劣化度合)を求める劣化推定を行なう。NOx吸蔵還元触媒11の劣化度合は、例えばエンジン運転積算時間や積算走行距離等に基づいて求めればよい。あるいは、例えば特開2012−036762号公報に記載されているように、ポスト噴射をしてNOx吸蔵還元触媒11の下流側の空燃比の変化状況に基づいてNOx吸蔵還元触媒11の劣化度合を求めて記憶しておき、次回のエンジン始動時に劣化推定をする場合等に用いてもよい。そして、ステップS40に進む。
【0022】
ステップS40では、エンジン負荷Pが所定値P1以上であるか否かを判別する。所定値P1は、例えばドライバビリティを優先するような高負荷と排気浄化性能を優先させる低負荷の切り換えを行なうために適宜設定される閾値である。エンジン負荷Pが所定値P1以上である場合には、ステップS50に進む。エンジン負荷Pが所定値P1未満である場合には、ステップS60に進む。なお、エンジン負荷Pは、エンジンコントロールユニット30において、アクセル操作量等から常時求められており、このエンジンコントロールユニット30におけるエンジン負荷Pを演算する機能が本発明の運転状態検出部に該当する。
【0023】
ステップS50では、ステップS30で推定したNOx吸蔵還元触媒11の劣化度合に基づいて、Sパージにおけるリッチ深さを設定する。リッチ深さは、Sパージの際の排気の最もリッチ側の目標空燃比であり、筒内燃料噴射弁3からパルス状に噴射される燃料のデューティ比の制御によって、リッチ深さが制御される。そして、劣化度合が大きくなるに伴ってリッチ深さを小さく設定する。なお、本ステップでは、劣化度合に拘わらずパージ時間(1回のパージ制御におけるリッチ空燃比にする時間の合計時間)は一定とする。そして、ステップS70に進む。
【0024】
ステップS60では、ステップS30で推定したNOx吸蔵還元触媒11の劣化度合に基づいて、Sパージにおけるパージ時間を設定する。詳しくは、劣化度合が大きくなるに伴ってパージ時間を短く設定する。なお、本ステップでは、劣化度合に拘わらずリッチ深さは一定とする。そして、ステップS70に進む。
ステップS70では、ステップS50またはステップS60で設定されたリッチ深さ及びパージ時間とするSパージを実行する。なお、図3の実線に示すように、Sパージにおける合計燃料噴射量(1回のSパージにおけるポスト噴射量の合計値)は、リッチ深さ及びパージ時間のいずれを制御しても、NOx吸蔵還元触媒11の劣化度合が大きくなるに伴って減少する。そして、本ルーチンを終了する。
【0025】
以上のように、本実施形態では、Sパージを実施する際に、NOx吸蔵還元触媒11の劣化度合に基づいて、リッチ深さあるいはパージ時間を変更する。NOx吸蔵還元触媒11において、劣化度合が小さい場合には、NOx吸蔵材と硫黄成分とが強固に結合しているため、Sパージを実行しても硫黄成分が放出され難い。そこで、劣化度合が小さい場合には、リッチ深さを大きく、あるいはパージ時間を長くすることで、図3の破線に示すような劣化度合に拘わらず合計燃料噴射量を一定にするような従来制御と比較して合計燃料噴射量を増加させ、NOx吸蔵還元触媒11から十分に硫黄成分を放出させることができる。劣化度合が小さい場合には、リッチ深さを小さく、あるいはパージ時間を短くすることで、Sパージを実施した際の合計燃料消費量を抑制することができる。
【0026】
更に、本実施形態では、Sパージの際のエンジン運転状態に基づいて、NOx吸蔵還元触媒11の劣化度合に基づいてリッチ深さあるいはパージ時間のいずれを変更するか切換える。
エンジン負荷が所定値P1以上の高負荷では、劣化度合が小さい場合にはリッチ深さを大きく設定し、劣化度合が大きくなるに伴ってリッチ深さを小さく設定する。これにより、劣化度合が小さい場合には、Sパージを実施した際に硫黄成分が放出し難くい状態であるが、ポスト噴射における単位時間当たりの燃料噴射量を増加させて硫黄成分の放出を促し、NOx吸蔵還元触媒11の性能を迅速かつ十分に回復させることができる。劣化度合が大きい場合には、Sパージを実施した際に硫黄成分が放出し易い状態であるので、ポスト噴射における単位時間当たりの燃料噴射量を低下させて、Sパージにおける燃費の低下を抑制することができるとともに、過剰なSパージによるスリップガスを低減させることができる。そして、高負荷では、劣化度合が小さくともパージ時間を長くしないので、Sパージを迅速に終了させ、Sパージを実行することによるエンジン出力への影響を短時間で抑え、ドライバビリティを良好にすることができる。また、高負荷時では、排気空燃比がリッチ側であるので、Sパージの際に比較的容易に排気空燃比をリッチ側にし易く、迅速な硫黄成分の排出が可能となる。
【0027】
一方、エンジン負荷が所定値P1未満の低負荷では、劣化度合いが小さい場合にはパージ時間を長く設定し、劣化度合が大きくなるに伴ってパージ時間を短く設定する。これにより、劣化度合が小さい場合には、Sパージを実施した際に硫黄成分が放出し難くい状態であるが、パージ時間を長く設定して硫黄成分を十分に放出させることができ、NOx吸蔵還元触媒11の性能を回復させることができる。劣化度合いが大きい場合には、Sパージを実施した際に硫黄成分が放出し易い状態であるので、パージ時間を短くすることで、Sパージによる燃費の低下を抑制することができる。
【0028】
低負荷時においては、吸気量が少ないため、Sパージを実施している際にNOx吸蔵還元触媒11の酸素吸蔵性能によって、NOx吸蔵還元触媒11における空燃比がリーン側に変化し難い。そして、Sパージにおいて、NOx吸蔵還元触媒11において酸素量が少ない状態となり、NOx吸蔵還元触媒11に吸着している硫黄成分が硫化水素(HS)として流出し易い。そこで、エンジン低負荷状態でSパージを実行した際には、リッチ深さを大きくせずに劣化度合に対してパージ時間を変化させることで、NOx吸蔵還元触媒11からの硫化水素の排出を抑え、環境性能の優れたSパージが可能となる。
【0029】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定するものではない。例えば、上記実施形態においては、エンジン2の高負荷状態ではNOx吸蔵還元触媒11の劣化度合が増加するに伴ってリッチ深さを増加させ、エンジン2の低負荷状態ではNOx吸蔵還元触媒11の劣化度合が増加するに伴ってパージ時間を増加させるが、エンジン2の高負荷状態及び低負荷状態のいずれか一方のみ上記制御を実行してもよい。
【0030】
また、NOx吸蔵還元触媒11の劣化度合に基づくリッチ深さあるいはパージ時間の制御については、段階的に変化させてもよいし適宜設定した劣化度合の範囲内で変化するように制御してもよい。
本発明は、エンジンの運転状態に基づいて、Sパージ制御におけるリッチ深さとパージ時間のいずれか一方を制御対象として選択し、当該選択した制御対象をNOx吸蔵還元触媒の劣化度合に基づいて制御するものであればよく、劣化度合に基づく夫々の制御対象での変更方法については適宜設定してもよい。
【0031】
本発明は、排気浄化装置として排気通路にNOx吸蔵還元触媒を備え、Sパージを行なうエンジンに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
2 エンジン(内燃機関)
3 筒内燃料噴射弁(燃料噴射手段)
11 NOx吸蔵還元触媒(排気浄化触媒)
30 エンジンコントロールユニット(パージ制御部、劣化度合推定部、運転状態検出部)
図1
図2
図3