特開2017-227205(P2017-227205A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-227205(P2017-227205A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】開放型圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/00 20060101AFI20171201BHJP
   F04B 39/16 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   F04C29/00 D
   F04B39/16 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-125995(P2016-125995)
(22)【出願日】2016年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 創
(72)【発明者】
【氏名】宮本 善彰
(72)【発明者】
【氏名】木全 央幸
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB07
3H003AC03
3H003BG05
3H003CA01
3H003CF01
3H129AA02
3H129AA17
3H129AB03
3H129BB35
3H129CC08
3H129CC16
3H129CC42
(57)【要約】
【課題】シール装置から漏出した潤滑油が駆動軸の表面を伝ってハウジングの外部に漏出することを防止する。
【解決手段】ハウジング本体とハウジング本体に一体に取り付けられているボス部13とを有するハウジング2と、ハウジング本体に収容されている圧縮機構と、圧縮機構に連結され、軸線方向一方側Da1の端部がハウジング本体の外部に突出しおり、端部がボス部13に取り囲まれている駆動軸9と、ハウジング2と駆動軸9との間をシールするシール装置18と、シール装置18の軸線方向一方側Da1において駆動軸9の外周面9Bに設けられて、駆動軸9に対向するボス部13の内周面13Cとの間に第一の隙間G1を有する環状をなすプレート42と、プレート42の軸線方向一方側Da1においてボス部13の内周面13Cに設けられて、駆動軸9の外周面9Bとの間に第二の隙間G2を有する環状をなす油吸着材45と、を備える開放型圧縮機を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング本体と前記ハウジング本体に一体に取り付けられているボス部とを有するハウジングと、
前記ハウジング本体に収容されている圧縮機構と、
前記圧縮機構に連結され、軸線方向一方側の端部が前記ハウジング本体の外部に突出しおり、前記端部が前記ボス部に取り囲まれている駆動軸と、
前記ハウジングと前記駆動軸との間をシールするシール装置と、
前記シール装置の軸線方向一方側において前記駆動軸の外周面に設けられて、前記駆動軸に対向する前記ボス部の内周面との間に第一の隙間を有する環状をなすプレートと、
前記プレートの軸線方向一方側において前記ボス部の内周面に設けられて、前記駆動軸の外周面との間に第二の隙間を有する環状をなす油吸着材と、を備える開放型圧縮機。
【請求項2】
前記プレートの外径は、前記油吸着材の内径よりも大きい請求項1に記載の開放型圧縮機。
【請求項3】
前記ボス部に設けられた油排出経路と、
前記油排出経路と前記ボス部の内周面とを接続する開口部と、を備え、
前記プレートの外周縁の前記駆動軸の軸線方向における位置は、前記開口部が開口している範囲の軸線方向一方側の端部よりも軸線方向他方側である請求項1又は請求項2に記載の開放型圧縮機。
【請求項4】
前記プレートの外周縁の前記駆動軸の軸線方向における位置は、前記開口部が開口している範囲である請求項3に記載の開放型圧縮機。
【請求項5】
前記ボス部の内周面に周方向に延在するスリットを有し、
前記スリットの内部空間は、前記開口部と連通している請求項3又は請求項4に記載の開放型圧縮機。
【請求項6】
前記プレートは、径方向外側の外周縁近傍が前記油吸着材に向けて傾斜している請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の開放型圧縮機。
【請求項7】
前記プレートは、前記駆動軸の外周面に形成されたプレート用溝に嵌め込み可能な止め輪である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の開放型圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングに収容されている圧縮機構と、圧縮機構に連結されて一端部がハウジングの外部に突出している駆動軸と、を備える開放型圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固定スクロールと旋回スクロールとを有するスクロール圧縮機構を有する圧縮機において、ハウジングに収容されている圧縮機構と、圧縮機構に連結されて一端部がハウジングの外部に突出している駆動軸と、を備える開放型圧縮機が知られている。
このような開放型圧縮機のハウジングは、駆動軸の一端部を取り囲むボス部を有しており、ボス部と駆動軸との間にはハウジングの内部に充填されている潤滑油を封止するメカニカルシール等のシール装置が設けられている。
【0003】
ところで、開放型圧縮機においては、シール装置のシール部材が硬化したり、経年劣化したりしてシール機能が低下することによって、潤滑油がシール装置から漏出することがある。通常、漏出した潤滑油はボス部の内周面に落下した後回収される。しかしながら、漏出した潤滑油が駆動軸の表面を伝った後、電磁クラッチなどに付着することが問題となることがある。
特許文献1には、駆動軸の表面を伝う油を駆動軸に設けられたリング状の部材によりボス部側に跳ね飛ばしたのち回収する機構が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−170553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された機構では、駆動軸の上方に跳ね飛ばされた潤滑油が再度落下することによって、駆動軸に再付着するという懸念がある。
【0006】
この発明は、一端部がハウジングから突出する駆動軸を有する開放型圧縮機において、シール装置から漏出した潤滑油が駆動軸の表面を伝ってハウジングの外部に漏出することを防止することができる開放型圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、開放型圧縮機は、ハウジング本体と前記ハウジング本体に一体に取り付けられているボス部とを有するハウジングと、前記ハウジング本体に収容されている圧縮機構と、前記圧縮機構に連結され、軸線方向一方側の端部が前記ハウジング本体の外部に突出しおり、前記端部が前記ボス部に取り囲まれている駆動軸と、前記ハウジングと前記駆動軸との間をシールするシール装置と、前記シール装置の軸線方向一方側において前記駆動軸の外周面に設けられて、前記駆動軸に対向する前記ボス部の内周面との間に第一の隙間を有する環状をなすプレートと、前記プレートの軸線方向一方側において前記ボス部の内周面に設けられて、前記駆動軸の外周面との間に第二の隙間を有する環状をなす油吸着材と、を備える。
【0008】
このような構成によれば、シール装置から漏出して駆動軸の外周面を伝う油を、駆動軸の回転による遠心力とプレートによってボス部側に飛散させた後、油吸着材によって吸着することができる。これにより、駆動軸の外周面を伝う油が外部に流出することを防止することができる。
【0009】
上記開放型圧縮機において、前記プレートの外径は、前記吸着部材の内径よりも大きくてよい。
【0010】
このような構成によれば、駆動軸の回転とプレートによって飛散させた油を、油吸着材によってより確実に吸着することができる。
【0011】
上記開放型圧縮機において、前記ボス部に設けられた油排出経路と、前記油排出経路と前記ボス部の内周面とを接続する開口部と、を備え、前記プレートの外周縁の前記駆動軸の軸線方向における位置は、前記開口部が開口している範囲の軸線方向一方側の端部よりも軸線方向他方側であってよい。
【0012】
このような構成によれば、油吸着材に加えて、開口部及び油排出経路によっても油を捕捉することができる。
【0013】
上記開放型圧縮機において、前記プレートの外周縁の前記駆動軸の軸線方向における位置は、前記開口部が開口している範囲であってよい。
【0014】
上記開放型圧縮機において、前記ボス部の内周面に周方向に延在するスリットを有し、前記スリットの内部空間は、前記開口部と連通してよい。
【0015】
このような構成によれば、駆動軸の回転とプレートによって飛散させた油を、スリットにより捕捉することができる。
【0016】
上記開放型圧縮機において、前記プレートは、径方向外側の外周縁近傍が前記油吸着材に向けて傾斜してよい。
【0017】
このような構成によれば、駆動軸の外周面を伝った後、遠心力によりプレートの軸線方向他方側を向く面を伝う潤滑油が、プレートの軸線方向一方側に配置されている油吸着材に向けて飛散しやすくなる。
【0018】
上記開放型圧縮機において、前記プレートは、前記駆動軸の外周面に形成されたプレート用溝に嵌め込み可能な止め輪であってよい。
【0019】
このような構成によれば、駆動軸に対するプレートの取り付けを容易に行うことができる。また、プレートを安価に製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、シール装置から漏出して駆動軸の外周面を伝う油を、駆動軸の回転による遠心力とプレートによってボス部側に飛散させた後、油吸着材によって吸着することができる。これにより、駆動軸の外周面を伝う油が外部に流出することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第一実施形態の開放型圧縮機の断面図である。
図2】本発明の第一実施形態の開放型圧縮機のプレート近傍を拡大した断面図である。
図3】本発明の第一実施形態のプレートの平面図である。
図4】本発明の第一実施形態の開放型圧縮機のプレート及び油吸着材の作用を説明する断面図である。
図5】本発明の第一実施形態の開放型圧縮機の油吸着材の作用を説明する断面図である。
図6】本発明の第二実施形態の開放型圧縮機のプレートの近傍を拡大した断面図である。
図7】本発明の第三実施形態の開放型圧縮機のプレートの近傍を拡大した断面図である。
図8】本発明の第三実施形態の変形例の開放型圧縮機のプレートの近傍を拡大した断面図である。
図9】本発明の第四実施形態の開放型圧縮機のプレートの近傍を拡大した断面図である。
図10】本発明の第五実施形態の開放型圧縮機のプレートの近傍を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態の開放型圧縮機1について図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、開放型圧縮機1は、圧縮機構19と、圧縮機構19を収容するハウジング2と、圧縮機構19に連結されている駆動軸9と、を備えている。
なお、以下の説明において、駆動軸9の軸線Aが延びている方向を軸線方向Daとする。また、軸線Aに直交する方向を径方向とし、径方向で軸線Aから遠ざかる側を径方向外側といい、径方向で軸線Aに近づく側を径方向内側という。軸線方向Daであって、駆動軸9の突出方向を軸線方向一方側Da1(図1の左側)、軸線方向一方側Da1の反対側を軸線方向他方側Da2(図1の右側)という。
【0023】
ハウジング2は、圧縮機構19を収容するハウジング本体3と、ハウジング2の軸線方向一方側Da1にボルト12を介して一体に取り付けられているボス部13と、を有している。
ハウジング本体3は、有底形状をなすフロントハウジング3Aとリアハウジング3Bとを有している。フロントハウジング3Aとリアハウジング3Bとは、ボルト5を介して一体に締結されている。
【0024】
ハウジング2内のフロントハウジング3A側の軸線方向他方側Da2には、軸受部材6がボルト7を介して固定されている。駆動軸9は、軸受部材6のラジアル軸受部6Aと、フロントハウジング3A内に設置された第一ころがり軸受8とによって、回転自在に支持されている。
駆動軸9の軸線方向一方側Da1の端部は、フロントハウジング3Aを貫通して外部に突出している。駆動軸9の一端部(突出部位)には、エンジン等の外部駆動源からの動力がプーリ10および電磁クラッチ11を介して入力される。
【0025】
ボス部13は、駆動軸9と同軸状をなす円筒形状のボス部本体13Aと、ボス部本体13Aの軸線方向他方側Da2に形成されているフランジ部13Bと、を有している。フランジ部13Bは、ボス部本体13Aの軸線方向他方側Da2の端部から径方向外側に突出している。ボス部13は、フランジ部13Bがボルト12を介してフロントハウジング3Aに締結されることにより、ハウジング2に固定される。
なお、本実施形態では、ボス部13をボルト12を用いてハウジング本体3に固定しているが、これに限ることはない。例えば、ボス部13とハウジング本体3とを一体に形成してもよい。
【0026】
電磁クラッチ11は、エンジン等の外部駆動源からの動力によって回転駆動されるロータ11Aと、ロータ11Aに対向配置されたアーマチュア16と、ロータ11Aとアーマチュア16を磁気吸着させる電磁コイルユニット15と、を有している。
【0027】
ロータ11Aは、環状に形成されている。ロータ11Aの内周面は、第二ころがり軸受14を介してボス部本体13Aの外周面に回転可能に支持されている。ロータ11Aの外周面にはベルト溝11Bが形成されている。ロータ11Aの外周面9Bはプーリ10として機能する。
【0028】
アーマチュア16は、フランジ部を有する筒状のハブ16Aと、磁性体によって形成された円板状のアーマチュア板16Bと、リーフスプリング16Cと、を有している。ハブ16Aは、ハウジング2の外部に突出する駆動軸9の一端部に、ボルト17を介して固定されている。アーマチュア板16Bは、ロータ11Aの端面に対向配置されている。リーフスプリング16Cは、アーマチュア板16Bをロータ11Aの端面から離す方向に付勢している。
【0029】
電磁コイルユニット15は、外部から電源が供給されると電磁コイルが通電して電磁力を発生し、リーフスプリング16Cの付勢力に抗してアーマチュア板16Bをロータ11Aの端面に磁気吸着させる。これにより、ロータ11Aとアーマチュア16とが結合され、ロータ11Aの回転力がアーマチュア16へと伝達され、さらには開放型圧縮機1の駆動軸9へと伝達されて開放型圧縮機1が作動する。
一方、電磁コイルユニット15への電源の供給が停止されると、リーフスプリング16Cの付勢力によってアーマチュア板16Bはロータ11Aの端面から離脱する。これにより、ロータ11Aの回転力の伝達が遮断されて開放型圧縮機1は停止する。
【0030】
ハウジング2のリアハウジング3B側の内部には、圧縮機構19が設けられている。ここでは、圧縮機構19を一対の固定スクロール20と、旋回スクロール21とを備えたスクロール圧縮機構としている。スクロール圧縮機構19は、一対の固定スクロール20および旋回スクロール21を180°位相をずらして噛み合わせ、両スクロール20,21間に複数の圧縮室22を形成したものであり、このようなスクロール圧縮機構自体は周知のものである。
【0031】
固定スクロール20は、軸受部材6にボルト23を介して固定されている。固定スクロール20の端板20Aの背面とリアハウジング3Bの内面との間には、吐出キャビティ26が形成されている。固定スクロール20の端板20Aには、圧縮されたガスを吐出キャビティ26内に吐出する吐出ポート24と、吐出ポート24を開閉する吐出弁25が設けられている。
【0032】
リアハウジング3Bには、吐出キャビティ26内に吐出された圧縮ガスを外部に吐き出す吐出口27が形成されている。吐出口27には、冷凍サイクルを構成する吐出配管を接続することができる。
旋回スクロール21の端板21Aの背面には、ボス28が設けられている。駆動軸9の軸線方向一方側Da1他方側に設けられているクランクピン9Aは、ドライブブッシュ29および旋回軸受30を介してボス28に連結されている。旋回スクロール21は、駆動軸9の回転によりクランクピン9Aを介して旋回駆動される。
【0033】
旋回スクロール21の端板21Aの背面は、軸受部材6に設けられているスラスト軸受31で支持されている。旋回スクロール21の端板21Aの背面と軸受部材6との間には、オルダムリンクまたはピンリング等からなる周知の自転阻止機構32が設けられている。旋回スクロール21の自転は、自転阻止機構32により阻止されている。旋回スクロール21は、固定スクロール20に対して公転旋回駆動する。
【0034】
リアハウジング3Bには、冷凍サイクル側の吸入配管を接続する吸入口33が設けられている。吸入口33から吸入キャビティ34内に吸入された低圧ガスは、スクロール圧縮機構19の圧縮室22に吸い込まれて圧縮される。
【0035】
なお、本実施形態においては、圧縮機構19を、固定スクロール20および旋回スクロール21の渦巻き方向において、ラップ高さを変化させる段部を設け、内周側ラップ高さに対して外周側ラップ高さを高くし、ガスを周方向だけでなく、軸線方向Daにも圧縮できる三次元圧縮が可能な所謂段付きスクロール圧縮機構としている。しかしながら、圧縮機構は、これに限定されるものではない。
【0036】
フロントハウジング3Aの内部には、所要量の潤滑油が充填されている。潤滑油は、フロントハウジング3A内の下部空間を油溜め35とすることにより、油溜め35に集められる。油溜め35の油は、吸入通路36を経て給油ポンプ37に吸入される。給油ポンプ37は、公知のロータリ式容積型ポンプである。
【0037】
図2に示すように、駆動軸9の一端部は、ボス部本体13Aによって取り囲まれている。駆動軸9の外周面9Bとボス部本体13Aの内周面13Cとは、径方向で対向している。
ボス部13の内周面13Cと駆動軸9の外周面9Bとの間には、メカニカルシール18が設けられている。メカニカルシール18の軸線方向一方側Da1は、ボス部13の内周面13Cに周方向に亘って形成されている突条41に当接している。即ち、メカニカルシール18は、突条41によって軸線方向一方側Da1への移動が規制されている。
【0038】
メカニカルシール18は、密封すべき潤滑油で潤滑作用をしながら摺動面に液膜を形成し密封するシール装置である。メカニカルシール18は、ボス部13側にOリング61を介して非回転状態に装着されたメイティングリング60と、駆動軸9側にケース62及びOリング63を介して軸線方向に移動自在に装着されて、駆動軸9と一体的に回転されるシールリング64と、ケース62に保持されてシールリング64をメイティングリング60に押し付けるコイルスプリング65とを備えている。
【0039】
メカニカルシール18は、静止側摺動環であるメイティングリング60と、回転側摺動環であるシールリング64との間に密封摺動部Sを形成して、後述するポンプ室39内の潤滑油が、メカニカルシール18の軸線方向一方側Da1に漏出するのを防止するものである。
【0040】
ボス部13の下部には、油排出経路46が形成されている。油排出経路46は、ボス部本体13Aの内周面13Cとフランジ部13Bの外面とを接続するように形成されている。油排出経路46と、ボス部本体13Aの内周面13Cとの接続箇所には、油排出経路46よりも拡径された開口部47が形成されている。
開口部47は、突条41の軸線方向一方側Da1に開口している。開口部47及び油排出経路46の断面形状は、円形であってもよいし、多角形であってもよい。
油排出経路46の出口側には、油吸着材48が配置されている。
【0041】
給油ポンプ37により油溜め35から汲み上げられた油は、駆動軸9とボス部13とメカニカルシール18との間に形成されているポンプ室39内に吐出される。ポンプ室39に汲み上げられた潤滑油は、駆動軸9内に設けた方向給油通路(図示せず)を通してラジアル軸受部6Aやドライブブッシュ29、旋回軸受30、スラスト軸受31等の摺動部位あるいはメカニカルシール18の摺動部位等に供給される。
【0042】
メカニカルシール18の軸線方向一方側Da1であって、駆動軸9の外周面9Bには、環状をなすプレート42が取り付けられている。プレート42は、駆動軸9の外周面9Bから径方向外側に突出するように形成されている。プレート42の外周縁とボス部13の内周面13Cとの間には、第一の隙間G1が形成されている。即ち、プレート42の軸線方向一方側Da1と、プレート42の軸線方向他方側Da2とは、第一の隙間G1を介して連通している。
【0043】
図3に示すように、プレート42は、一部に切り込み43が形成された環状の板である。プレート42は、駆動軸9の外周面9Bに周方向全周に亘って形成されたプレート用溝49に嵌め込まれている。プレート42は、プレート42の変形を利用して、プレート42を僅かに拡大してプレート用溝49に嵌め込むことができる。プレート42を変形させる際は、プレート42の切り込み43の両側に形成されている孔44を利用する。即ち、プレート42は、止め輪(スナップリング)のように形成されている。
プレート42は、例えば、SUS304のような金属によって形成することができる。
【0044】
図2に示すように、プレート42の軸線方向一方側Da1であって、ボス部13の内周面13Cには、環状の油吸着材45が取り付けられている。
油吸着材45は、断面矩形状をなし、断面L字形状の環状のブラケット50を介してボス部13の内周面13Cに取り付けられている。油吸着材45を構成する材料としては、例えば、フェルトを採用することができる。
【0045】
油吸着材45と駆動軸9の外周面9Bとの間には、第二の隙間G2が形成されている。即ち、油吸着材45の軸線方向一方側Da1と、油吸着材45の軸線方向他方側Da2とは、第二の隙間G2を介して連通している。
【0046】
プレート42は、軸線方向Daにおいて、メカニカルシール18と油吸着材45との間に設けられている。さらに詳しくは、プレート42の外周縁の軸線方向Daにおける位置は、開口部47が開口している範囲R1の軸線方向一方側Da1の端部よりも軸線方向他方側Da2である。
プレート42の外周縁の軸線方向Daにおける位置は、開口部47が開口している範囲R1であることが好ましい。
【0047】
プレート42と油吸着材45とは、プレート42の外径D1が油吸着材45の内径D2よりも大きくなるように形成されている。即ち、プレート42と油吸着材45とは、プレート42の軸線方向他方側Da2から軸線方向一方側Da1を見た場合に、プレート42によって油吸着材45の径方向内側の端部が隠れるように形成されている。
【0048】
次に、本実施形態の開放型圧縮機1の作用について説明する。
開放型圧縮機1において、電磁クラッチ11がONされると、ロータ11A(プーリ10)を介して外部駆動源から動力が入力される。入力された動力は、駆動軸9に伝達され、駆動軸9が回転駆動される。これにより、スクロール圧縮機構19の旋回スクロール21が固定スクロール20周りに公転旋回駆動される。この公転旋回駆動により、吸入口33から吸入キャビティ34内に低圧ガスが吸入される。低圧ガスは、圧縮室22にて圧縮される。高圧ガスは、吐出ポート24を介して吐出キャビティ26内に吐出され、吐出口27から冷凍サイクルへと吐出される。
【0049】
この間、駆動軸9の回転により駆動される給油ポンプ37は、吸入通路36を介して油溜め35内の潤滑油を吸入し、ポンプ室39に汲み上げる。ポンプ室39内に汲み上げられた潤滑油は、メカニカルシール18の摺動部位、ラジアル軸受部6A、ドライブブッシュ29、旋回軸受30、スラスト軸受31等の摺動部位に対して供給され、それぞれの摺動部位を潤滑する。各摺動部位を潤滑した油は、ハウジング2の底部である油溜め35に集められ、再循環される。
【0050】
次に、図4を参照して、本実施形態の開放型圧縮機1におけるプレート42、及び油吸着材45の作用について説明する。
ポンプ室39に貯留されている潤滑油は、メカニカルシール18によってシールされる。
メカニカルシール18から軸線方向一方側Da1に漏出する潤滑油のうち、重力によって落下した潤滑油は、経路C1に示すように、油吸着材45によって吸着されるか、又は、経路C2に示すように、油排出経路46により排出される。
【0051】
一方、メカニカルシール18から軸線方向一方側Da1に漏出する潤滑油が重力によって落下することなく、駆動軸9を伝った場合、潤滑油は、経路C3に示すように、プレート42によって径方向外側に飛散する。潤滑油は、プレート42から飛散してボス部13の内周面13Cに付着した後、第一の隙間G1を通過して油吸着材45に吸着される。または、潤滑油は、プレート42から飛散した後、第一の隙間G1を通過して、直接、油吸着材45に吸着される。即ち、メカニカルシール18から漏出した潤滑油は、第二の隙間G2を通過することがなく油吸着材45に吸着される。
駆動軸9より上方に飛散した潤滑油は、図5に示すように、油吸着材45を伝って(経路C4)、下方へ移動する。即ち、駆動軸9の上方にある潤滑油が下方に落下して駆動軸9に付着することがない。
【0052】
上記実施形態によれば、メカニカルシール18から漏出して駆動軸9の外周面9Bを伝う潤滑油を、駆動軸9の回転による遠心力とプレート42によってボス部13側に飛散させた後、油吸着材45によって吸着することができる。これにより、駆動軸9の外周面9Bを伝う潤滑油が外部に流出して、例えば、電磁クラッチ11の構成部品に付着する等することを防止することができる。
【0053】
またプレート42の外径D1が吸着部材の内径D2よりも大きく形成されていることによって、駆動軸9の回転とプレート42によって飛散させた潤滑油を、油吸着材45によってより確実に吸着することができる。
【0054】
また、プレート42の外周縁の位置が開口部47が開口している範囲R1の軸線方向一方側Da1の端部よりも軸線方向他方側Da2であることによって、油吸着材45に加えて、開口部47及び油排出経路46によっても潤滑油を捕捉することができる。
【0055】
また、プレート42が、止め輪(スナップリング)のような形状をなしていることによって、駆動軸9に対するプレート42の取り付けを容易に行うことができる。また、プレート42を安価に製造することができる。
【0056】
なお、上記実施形態のプレート42は、プレート42のばね作用を利用してプレート42をプレート用溝49に嵌め込む構造としたが、これに限ることはない。例えば、プレート42に切り込みを形成することなく、プレート42の内周と、駆動軸9の外周面9Bとを、溶接によって接合してもよい。
【0057】
〔第二実施形態〕
以下、本発明の第二実施形態の開放型圧縮機1について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態のボス部本体13Aの内周面13Cには、スリット52が形成されている。
【0058】
スリット52は、ボス部本体13Aの下部に周方向に延在するように形成されている凹溝である。スリット52は、ボス部本体13Aの内周面13Cの内径よりも大径の円筒形状の底面52Aと、底面52Aの軸線方向Daの両端辺とボス部本体13Aの内周面13Cとを接続する一対の側面52Bとを有している。
スリット52は、軸線方向Daにおいて、開口部47の軸線方向一方側Da1の端部とオーバーラップするように形成されている。換言すれば、スリット52は、スリット52の軸線方向他方側Da2の側面52Bが、開口部47を通過するように形成されている。これにより、スリット52の内部空間は、開口部47と連通する。
【0059】
上記実施形態によれば、駆動軸9の回転とプレート42によって飛散させた潤滑油は、スリット52により捕捉された後、開口部47に流入する。これにより、より潤滑油を捕捉することができる。
【0060】
〔第三実施形態〕
以下、本発明の第三実施形態の開放型圧縮機1について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図7に示すように、本実施形態のプレート42Cは、例えば、ポリアセタール樹脂(POM)のような、樹脂によって形成されている。また、本実施形態のプレート42Cは、一対の止め輪53によって固定されている。一対の止め輪53は、一般的なC型止め輪を利用することができる。止め輪53は、駆動軸9の外周面9Bに周方向全周に亘って形成されたプレート用溝49Cに嵌め込まれている。
【0061】
上記実施形態によれば、プレート42Cをより低コストで製造することができる。
なお、上記実施形態では、プレート42Cを一対の止め輪53で固定する構造としたが、これに限ることはない。例えば、図8に示すように、駆動軸9の外周面9Bに軸線方向一方側Da1を向く端面54を有する段差を形成し、プレート42Cの軸線方向他方側Da2を向く面42Fを段差の端面54に当接させてもよい。このような形態とすることによって、プレート42Cをより容易に取り付けることができる。
【0062】
〔第四実施形態〕
以下、本発明の第四実施形態の開放型圧縮機1について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態のプレート42Dは、外周縁近傍が軸線方向一方側Da1に向けて傾斜している。即ち、本実施形態のプレート42Dは、プレート42Dの外周縁近傍だけが部分的に曲げられている。プレート42Dの外周縁近傍には、軸線方向一方側Da1に傾斜する折曲部55が形成されている。
【0063】
上記実施形態によれば、駆動軸9の外周面9Bを伝った後、遠心力によりプレート42Dの軸線方向他方側Da2を向く面を伝う潤滑油が、経路C5に示すように、プレート42Dの軸線方向一方側Da1に配置されている油吸着材45に向けて飛散しやすくなる。
【0064】
〔第五実施形態〕
以下、本発明の第五実施形態の開放型圧縮機1について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図10に示すように、本実施形態のプレート42Eは、径方向外側に向かうに従って薄くなっている刃状部56が形成されている。換言すれば、本実施形態のプレート42Eの外周縁近傍は、径方向外側に向かうに従って軸線方向Daの幅が小さくなるように形成され、径方向外側の先端が尖っている。
【0065】
上記実施形態によれば、駆動軸9の外周面9Bを伝った後、遠心力によりプレート42Eの軸線方向他方側Da2を向く面を伝う潤滑油がよりプレート42Eから飛散しやすくなる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について詳細を説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、開放型圧縮機の一例として、スクロール式圧縮機に適用した例について説明したが、他形式の、例えばロータリ式や斜板式、レシプロ式等の開放型圧縮機にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 開放型圧縮機
2 ハウジング
3 ハウジング本体
3A フロントハウジング
3B リアハウジング
5,7,12,17,23 ボルト
6 軸受部材
6A ラジアル軸受部
8 第一ころがり軸受
9 駆動軸
9A クランクピン
9B 外周面
10 プーリ
11 電磁クラッチ
11A ロータ
13 ボス部
13A ボス部本体
13B フランジ部
13C 内周面
14 第二ころがり軸受
15 電磁コイルユニット
16 アーマチュア
16A ハブ
16B アーマチュア板
16C リーフスプリング
18 メカニカルシール(シール装置)
19 圧縮機構
20 固定スクロール
21 旋回スクロール
22 圧縮室
24 吐出ポート
25 吐出弁
26 吐出キャビティ
27 吐出口
29 ドライブブッシュ
30 旋回軸受
31 スラスト軸受
32 自転阻止機構
33 吸入口
34 吸入キャビティ
35 油溜め
36 吸入通路
37 給油ポンプ
39 ポンプ室
41 突条
42,42C,42D,42E プレート
43 切り込み
45 油吸着材
46 油排出経路
47 開口部
48 油吸着材
49 プレート用溝
52 スリット
53 止め輪
54 端面
55 折曲部
56 刃状部
A 軸線
G1 第一の隙間
G2 第二の隙間
Da 軸線方向
Da1 軸線方向一方側
Da2 軸線方向他方側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10