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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-227236(P2017-227236A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/037 20120101AFI20171201BHJP
   B60K 17/04 20060101ALI20171201BHJP
   B62D 25/20 20060101ALN20171201BHJP
【FI】
   F16H57/037
   B60K17/04 N
   B60K17/04 H
   B62D25/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-122370(P2016-122370)
(22)【出願日】2016年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】川崎 景吾
(72)【発明者】
【氏名】山上 大介
【テーマコード(参考)】
3D039
3D203
3J063
【Fターム(参考)】
3D039AA05
3D039AA29
3D039AB01
3D039AC22
3D203AA02
3D203BB24
3D203BB25
3D203DA11
3D203DA20
3J063AA01
3J063AB01
3J063AC11
3J063BA03
3J063BB23
3J063BB50
3J063CC35
3J063CD44
(57)【要約】
【課題】車両の構造部材の近傍における機器の破損を防止する。
【解決手段】車両の構造部材に近接して設けられ、前記構造部材に対して所定の方向に相対的に移動可能な装置と、前記装置と接続されるケーブルと、前記装置の前記構造部材側に位置し、前記装置と前記ケーブルとがコネクタにより接続される接続部と、を備え、前記装置の前記構造部材側には、前記構造部材と前記接続部との間の空間へ向けて突出する突出部が設けられ、前記突出部の前記構造部材側には、前記所定の方向に沿った方向を向く楔部が設けられる、車両が提供される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の構造部材に近接して設けられ、前記構造部材に対して所定の方向に相対的に移動可能な装置と、
前記装置と接続されるケーブルと、
前記装置の前記構造部材側に位置し、前記装置と前記ケーブルとがコネクタにより接続される接続部と、
を備え、
前記装置の前記構造部材側には、前記構造部材と前記接続部との間の空間へ向けて突出する突出部が設けられ、
前記突出部の前記構造部材側には、前記所定の方向に沿った方向を向く楔部が設けられる、
車両。
【請求項2】
前記接続部と前記楔部との間に配設され、前記接続部と前記構造部材とを結ぶ方向に対して交差する方向に延在する延在部を備える、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記延在部は、前記突出部に設けられる、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記延在部の寸法は、前記コネクタの前記構造部材側の面が前記延在部又は前記突出部によって覆われるように、設定される、請求項2又は3に記載の車両。
【請求項5】
前記突出部には、前記構造部材側から前記接続部側へ貫通する貫通孔が穿孔される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記所定の方向に沿って穿孔される、請求項5に記載の車両。
【請求項7】
前記楔部は、前記突出部の突出方向に沿って延在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両。
【請求項8】
前記所定の方向と前記突出方向とは、互いに略直交し、
前記突出部の前記構造部材側の面は、前記突出部の先端側へ向かうにつれて、前記構造部材から離れる方向又は近づく方向に傾斜する、
請求項7に記載の車両。
【請求項9】
前記突出部は、鋳造工程により成形され、
前記楔部に、前記鋳造工程におけるパーティングラインが位置する、
請求項7又は8に記載の車両。
【請求項10】
前記装置は、リヤディファレンシャル装置である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の骨格は、種々の構造部材によって構成される。また、これらの構成部材の近傍には、各種装置が設けられる場合がある。具体的には、内部に車室空間を形成する部分である車体に取り付けられたメンバ部材に、弾性部材等の緩衝部材を介して、各種装置が取り付けられ得る。
【0003】
例えば、特許文献1では、駆動輪に駆動力を伝達するリヤディファレンシャル装置が、ゴム軸継手で構成されるクッションラバーを介してリヤサスペンションフレームに取り付けられる支持構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−30618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、構造部材の近傍において、装置が、当該構造部材に対して相対的に移動可能に設けられる場合がある。例えば、車両の後部における構造部材であるサブフレームに近接してリヤディファレンシャル装置が設けられる。リヤディファレンシャル装置は、駆動輪としての左右の後輪と駆動軸を介して接続され、エンジンから出力される動力を左右の後輪へ分配して伝達する。ゆえに、左右の後輪からリヤディファレンシャル装置へ振動が伝達され得る。このような振動がリヤディファレンシャル装置を介して車体へ伝達されることを抑制するために、リヤディファレンシャル装置は、例えば、サブフレームに緩衝部材を介して取り付けられる。それにより、サブフレームに近接して設けられるリヤディファレンシャル装置は、サブフレームに対して相対的に移動し得る。
【0006】
また、サブフレーム等の構造部材は、車両の外部の環境に晒される箇所に位置し得るので、車両の外部の環境に起因して、当該構造部材の近傍に氷が固着する場合がある。例えば、雪道の走行時に、路上の雪に構造部材が直接的に接触し、又は路上の雪が駆動輪によって巻き上げられることによって、構造部材の近傍に雪が付着し得る。このような場合に、付着した雪が氷結することによって、当該構造部材の近傍に氷が固着し得る。
【0007】
また、構造部材の近傍に設けられる装置には、外部のケーブルがコネクタにより接続される場合がある。例えば、サブフレームの近傍に設けられるリヤディファレンシャル装置には、潤滑等の目的で用いられるオイルの温度を検出する油温センサが設けられる。そして、油温センサから制御装置への信号の伝送路としてのケーブルが、コネクタによりリヤディファレンシャル装置に接続される。ここで、上述したように、サブフレームの近傍に氷が固着した場合において、サブフレームとコネクタとの間に双方を接続するように氷が固着し得る。そのような場合、リヤディファレンシャル装置がサブフレームに対して相対的に移動することによって、コネクタに対して当該相対移動に起因する力が付加される。ゆえに、コネクタが破損するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、車両の構造部材の近傍における機器の破損を防止することが可能な、新規かつ改良された車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、車両の構造部材に近接して設けられ、前記構造部材に対して所定の方向に相対的に移動可能な装置と、前記装置と接続されるケーブルと、前記装置の前記構造部材側に位置し、前記装置と前記ケーブルとがコネクタにより接続される接続部と、を備え、前記装置の前記構造部材側には、前記構造部材と前記接続部との間の空間へ向けて突出する突出部が設けられ、前記突出部の前記構造部材側には、前記所定の方向に沿った方向を向く楔部が設けられる、車両が提供される。
【0010】
前記接続部と前記楔部との間に配設され、前記接続部と前記構造部材とを結ぶ方向に対して交差する方向に延在する延在部を備えてもよい。
【0011】
前記延在部は、前記突出部に設けられてもよい。
【0012】
前記延在部の寸法は、前記コネクタの前記構造部材側の面が前記延在部又は前記突出部によって覆われるように、設定されてもよい。
【0013】
前記突出部には、前記構造部材側から前記接続部側へ貫通する貫通孔が穿孔されてもよい。
【0014】
前記貫通孔は、前記所定の方向に沿って穿孔されてもよい。
【0015】
前記楔部は、前記突出部の突出方向に沿って延在してもよい。
【0016】
前記所定の方向と前記突出方向とは、互いに略直交し、前記突出部の前記構造部材側の面は、前記突出部の先端側へ向かうにつれて、前記構造部材から離れる方向又は近づく方向に傾斜してもよい。
【0017】
前記突出部は、鋳造工程により成形され、前記楔部に、前記鋳造工程におけるパーティングラインが位置してもよい。
【0018】
前記装置は、リヤディファレンシャル装置であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、車両の構造部材の近傍における機器の破損を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る車両の駆動系の概略構成の一例を示す模式図である。
図2】同実施形態に係るリヤディファレンシャル装置の周囲の構成の一例を示す模式図である。
図3】同実施形態に係るリヤディファレンシャル装置の周囲の構成の一例を示す前後方向に沿った拡大断面図である。
図4】比較例に係る車両において、後部サブフレームの近傍に氷が固着した様子を示す前後方向に沿った拡大断面図である。
図5】比較例に係る車両において、後部サブフレームの近傍に氷が固着した様子を示す左右方向に沿った拡大断面図である。
図6】比較例に係る車両において、後部サブフレームの近傍に固着した氷によるコネクタの破断の様子を示す前後方向に沿った拡大断面図である。
図7】同実施形態に係る突出部の一例を示す斜視図である。
図8】同実施形態に係る車両において、後部サブフレームの近傍に氷が固着した様子を示す前後方向に沿った拡大断面図である。
図9】同実施形態に係る車両において、後部サブフレームの近傍に氷が固着した様子を示す左右方向に沿った拡大断面図である。
図10】同実施形態に係る車両において、後部サブフレームの近傍に固着した氷が楔部により破砕される様子を示す左右方向に沿った拡大断面図である。
図11】第1の変形例に係る突出部の一例を示す斜視図である。
図12】第1の変形例に係る車両において、後部サブフレームの近傍に氷が固着した様子を示す左右方向に沿った拡大断面図である。
図13】第2の変形例に係る突出部の一例を示す斜視図である。
図14】第3の変形例に係る突出部の一例を示す斜視図である。
図15】第3の変形例に係る車両において、後部サブフレームの近傍に固着した氷が楔部により破砕される様子を示す左右方向に沿った拡大断面図である。
図16】第4の変形例に係る突出部の一例を示す斜視図である。
図17】第4の変形例に係る車両において、後部サブフレームの近傍に氷が固着した様子を示す前後方向に沿った拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
<1.駆動系の概略構成>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る車両の駆動系の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る車両の駆動系の概略構成の一例を示す模式図である。図1では、本実施形態に係る車両の駆動系の一例として、4輪駆動方式の駆動系が示されている。以下では、車両の進行方向を前方向とし、進行方向に対して逆方向を後方向とし、進行方向を向いた状態における左側及び右側をそれぞれ左方向及び右方向とし、鉛直上側及び鉛直下側をそれぞれ上方向及び下方向として、説明する。
【0023】
図1に示したように、本実施形態に係る駆動系は、エンジン10と、トランスミッション20と、リヤディファレンシャル装置30と、を備える。エンジン10は、例えば、水平対向型の内燃機関であり、駆動輪を駆動するための動力を出力可能である。エンジン10から出力された動力は、トランスミッション20に伝達される。トランスミッション20は、エンジン10から出力された動力の一部を駆動輪としての左前輪60fl及び右前輪60frへ分配して伝達するフロントディファレンシャル装置を備える。具体的には、当該フロントディファレンシャル装置は、駆動軸40fl,40frを介して、左前輪60fl及び右前輪60frの各々と連結されている。ゆえに、当該フロントディファレンシャル装置により分配された動力は、駆動軸40fl,40frを介して、左前輪60fl及び右前輪60frの各々へ伝達される。
【0024】
また、トランスミッション20は、プロペラシャフト50を介して、リヤディファレンシャル装置30と接続される。エンジン10から出力された動力の一部は、駆動輪としての左後輪60rl及び右後輪60rrを駆動するための動力として、プロペラシャフト50を介して、リヤディファレンシャル装置30へ伝達される。リヤディファレンシャル装置30は、エンジン10から出力された動力の一部を駆動輪としての左後輪60rl及び右後輪60rrへ分配して伝達する。具体的には、リヤディファレンシャル装置30は、駆動軸40rl,40rrを介して、左後輪60rl及び右後輪60rrの各々と連結されている。ゆえに、リヤディファレンシャル装置30により分配された動力は、駆動軸40rl,40rrを介して、左後輪60rl及び右後輪60rrの各々へ伝達される。
【0025】
<2.車両の後部における骨格構造>
続いて、図2及び図3を参照して、本実施形態に係る車両の後部における骨格構造について説明する。本実施形態に係る車両の骨格は、種々の構造部材によって構成される。具体的には、車両の骨格は、前後方向に延設されるメンバ部材と左右方向に延設されるメンバ部材とを交差させて配置した構造を有する。図2は、本実施形態に係るリヤディファレンシャル装置30の周囲の構成の一例を示す模式図である。図3は、本実施形態に係るリヤディファレンシャル装置30の周囲の構成の一例を示す前後方向に沿った拡大断面図である。具体的には、図3は、図2に示したA−A断面についての拡大断面図である。
【0026】
図2に示したように、本実施形態に係る車両の後部における骨格構造は、例えば、左右一対のサイドフレーム110l,110rと、当該サイドフレーム110l,110rの間に架設される前部サブフレーム130と、前部サブフレーム130より後方に位置し、当該サイドフレーム110l,110rの間に架設される後部サブフレーム150と、によって主に構成される。
【0027】
左右一対のサイドフレーム110l,110rは、前後方向に沿って延設される。サイドフレーム110l,110rのそれぞれは、例えば、車両の左側部及び右側部に沿って延設される。サイドフレーム110lとサイドフレーム110rとの間の間隔は、後輪60rl,60rrの近傍において狭まってもよい。
【0028】
前部サブフレーム130は、左右方向に沿って延在し、サイドフレーム110l,110rの間に架設される。具体的には、前部サブフレーム130の左端部132lが、弾性体等の緩衝部材を介して、左側のサイドフレーム110lの下面に取り付けられる。また、前部サブフレーム130の右端部132rが、弾性体等の緩衝部材を介して、右側のサイドフレーム110rの下面に取り付けられる。前部サブフレーム130は、例えば、左端部132l及び右端部132rのそれぞれから車幅方向の中央部へ近づくにつれて上方に向かって湾曲する形状を有する。
【0029】
前部サブフレーム130の中央部には、リヤディファレンシャル装置30の前部が、弾性体等の緩衝部材を介して、取り付けられる。前部サブフレーム130の中央部には、具体的には、図3に示すように、上下方向に貫通孔134が設けられ、緩衝部材としてのゴムブッシュ84が貫通孔134の内周部に内接して設けられる。例えば、ゴムブッシュ84は、貫通孔134に圧入、接着、溶接、締結等の方法によって固定されてもよい。リヤディファレンシャル装置30の前部には、上方へ向けて延在する軸部340が設けられ、軸部340がゴムブッシュ84の内周部に挿通される。それにより、リヤディファレンシャル装置30をゴムブッシュ84の径方向について弾性的に支持し、軸方向について径方向と比較して高い剛性で支持することができる。具体的には、リヤディファレンシャル装置30は、前部サブフレーム130によって、前後方向及び左右方向について、弾性的に支持され、上下方向について前後方向及び左右方向と比較して高い剛性で支持される。
【0030】
また、リヤディファレンシャル装置30の軸部340がゴムブッシュ84から脱落することを防止するために、軸部340の先端側にナット82が螺設される。なお、前部サブフレーム130へのリヤディファレンシャル装置30の取り付け箇所の数は複数であってもよい。例えば、当該取り付け箇所は2つであってもよく、図2において、当該取り付け箇所に対応する位置にナット82が示されている。
【0031】
図2に示したように、後部サブフレーム150は、左右方向に沿って延在し、サイドフレーム110l,110rの間に架設される。また、後部サブフレーム150は、前部サブフレーム130より後方に位置する。具体的には、後部サブフレーム150の左端部152lが、弾性体等の緩衝部材を介して、左側のサイドフレーム110lの下面に取り付けられる。また、後部サブフレーム150の右端部152rが、弾性体等の緩衝部材を介して、右側のサイドフレーム110rの下面に取り付けられる。
【0032】
後部サブフレーム150の中央部には、リヤディファレンシャル装置30の後部が、弾性体等の緩衝部材を介して、取り付けられる。後部サブフレーム150の中央部には、具体的には、図3に示すように、前後方向に貫通孔154が設けられ、緩衝部材としてのゴムブッシュ84が貫通孔154の内周部に内接して設けられる。例えば、ゴムブッシュ84は、貫通孔154に圧入、接着、溶接、締結等の方法によって固定されてもよい。リヤディファレンシャル装置30の後部には、後方へ向けて延在する軸部330が設けられ、軸部330がゴムブッシュ84の内周部に挿通される。それにより、リヤディファレンシャル装置30をゴムブッシュ84の径方向について弾性的に支持し、軸方向について径方向と比較して高い剛性で支持することができる。具体的には、リヤディファレンシャル装置30は、後部サブフレーム150によって、上下方向及び左右方向について、弾性的に支持され、前後方向について上下方向及び左右方向と比較して高い剛性で支持される。
【0033】
また、リヤディファレンシャル装置30の軸部330がゴムブッシュ84から脱落することを防止するために、軸部330の先端側にナット82が螺設される。なお、後部サブフレーム150へのリヤディファレンシャル装置30の取り付け箇所の数は複数であってもよい。例えば、当該取り付け箇所は2つであってもよく、図2において、当該取り付け箇所に対応する位置にナット82が示されている。
【0034】
リヤディファレンシャル装置30は、車体の構造部材である後部サブフレーム150に近接して設けられる本発明に係る装置の一例である。図2に示したように、リヤディファレンシャル装置30の前方には、プロペラシャフト50が前後方向に延在する。また、リヤディファレンシャル装置30の左方には、駆動軸40rlが左右方向に延在する。駆動軸40rlは、サイドフレーム110lの下方を通過して、左後輪60rlと連結される。また、リヤディファレンシャル装置30の右方には、駆動軸40rrが左右方向に延在する。駆動軸40rrは、サイドフレーム110rの下方を通過して、右後輪60rrと連結される。
【0035】
このように、リヤディファレンシャル装置30は、駆動軸40rl,40rrを介して、左後輪60rl及び右後輪60rrの各々と連結される。一方、上述したように、リヤディファレンシャル装置30は、車体の構造部材である前部サブフレーム130及び後部サブフレーム150に、ゴムブッシュ84を介して、取り付けられる。そのため、リヤディファレンシャル装置30は、駆動トルクや車体の揺動等により、後部サブフレーム150に対して相対的に移動し得る。また、上述したように、リヤディファレンシャル装置30は、後部サブフレーム150によって、上下方向に弾性的に支持されている。ゆえに、本実施形態では、リヤディファレンシャル装置30は、後部サブフレーム150に対して、所定の方向として、上下方向に相対的に移動可能である。
【0036】
また、リヤディファレンシャル装置30には、ケーブル70が接続される。リヤディファレンシャル装置30には、油温センサ等の各種センサが設けられる。ケーブル70は、例えば、このようなセンサと車両に搭載される制御装置とを接続するために、リヤディファレンシャル装置30と接続される。図2及び図3に示したように、ケーブル70は、後部サブフレーム150の下方を通過してリヤディファレンシャル装置30の後部と接続される。具体的には、図3に示したように、リヤディファレンシャル装置30の後部において軸部330より下方に設けられたコネクタ360と、ケーブル70の先端側に設けられたコネクタ71とが連結されることによって、リヤディファレンシャル装置30とケーブル70とが接続される。このように、リヤディファレンシャル装置30とケーブル70とがコネクタにより接続される接続部C10が、コネクタ360及びコネクタ71によって構成される。本実施形態では、接続部C10は、図3に示したように、リヤディファレンシャル装置30の後部サブフレーム150側に位置する。
【0037】
また、リヤディファレンシャル装置30は、エンジン10から出力された動力によって駆動される機構を内部に収容する筐体350を備える。筐体350の内部に収容される機構には、プロペラシャフト50を介して伝達された動力の方向を変換するためのベベルギヤや、左右の後輪60rl,60rrに対して動力を分配するための差動機構等が含まれ得る。上述した軸部340、軸部330、及びコネクタ360は、例えば、筐体350に一体又は別体として設けられる。
【0038】
また、リヤディファレンシャル装置30の後部サブフレーム150側には、後部サブフレーム150と接続部C10との間の空間へ向けて突出する突出部310が設けられる。突出部310は、具体的には、リヤディファレンシャル装置30の筐体350に一体又は別体として設けられる。また、突出部310は、例えば、後方へ向けて突出する。本実施形態では、突出部310が設けられることによって、車両の構造部材の近傍における機器の破損を防止することができる。このような突出部310の詳細については、後述する。
【0039】
<3.氷の固着によるコネクタの破損>
続いて、図4図6を参照して、本実施形態に係る突出部310の詳細な説明に先立って、比較例に係る車両における、氷の固着によるコネクタの破損について説明する。図4は、比較例に係る車両において、後部サブフレーム150の近傍に氷W10が固着した様子を示す前後方向に沿った拡大断面図である。具体的には、図4は、比較例に係るリヤディファレンシャル装置90の右方に位置し、図2におけるA−A断面と対応する断面についての拡大断面図である。図5は、比較例に係る車両において、後部サブフレーム150の近傍に氷W10が固着した様子を示す左右方向に沿った拡大断面図である。具体的には、図5は、比較例に係るリヤディファレンシャル装置90の後方に位置し、図2におけるB−B断面と対応する断面についての拡大断面図である。図6は、比較例に係る車両において、後部サブフレーム150の近傍に固着した氷W10によるコネクタの破断の様子を示す前後方向に沿った拡大断面図である。具体的には、図6は、比較例に係るリヤディファレンシャル装置90の右方に位置し、図2におけるA−A断面と対応する断面についての拡大断面図である。
【0040】
比較例では、本実施形態と比較して、リヤディファレンシャル装置に突出部が設けられない点について異なる。具体的には、図4及び図5に示したように、比較例に係るリヤディファレンシャル装置90の後部サブフレーム150側には、後部サブフレーム150と接続部C10との間の空間へ向けて突出する突出部は設けられない。
【0041】
後部サブフレーム150は、車両の外部の環境に晒される位置に位置するので、車両の外部の環境に起因して、後部サブフレーム150の近傍に氷が固着する場合がある。ここで、後部サブフレーム150は車両の骨格構造において下部に位置するので、雪道の走行時に、後部サブフレーム150が路上の雪に直接的に接触する場合がある。また、後部サブフレーム150は後輪60rl,60rrの後方に位置するので、後輪60rl,60rrによって巻き上げられた雪が後部サブフレーム150の近傍へ飛散する場合がある。このような場合に、後部サブフレーム150の近傍に雪が付着し得る。そして、付着した雪が氷結することによって、後部サブフレーム150の近傍に氷が固着し得る。
【0042】
図4及び図5では、比較例に係る車両において、後部サブフレーム150の近傍に固着した氷W10が示されている。後部サブフレーム150の近傍に氷W10が固着した場合において、図4及び図5に示したように、後部サブフレーム150と接続部C10との間に双方を接続するように氷W10が固着し得る。具体的には、後部サブフレーム150の下面とコネクタ71の上面との間の空間が雪で充填された後、当該雪が氷結することによって、後部サブフレーム150の下面とコネクタ71の上面とを接続するように氷W10が固着し得る。
【0043】
このような場合、リヤディファレンシャル装置90は、後部サブフレーム150に対して上下方向に相対的に移動可能である一方、後部サブフレーム150及び接続部C10の相対的な移動は、固着した氷W10によって、規制されている。ゆえに、接続部C10に対して当該相対移動に起因する力F10が付加される。具体的には、接続部C10に対して付加される力F10は、主に上下方向の成分によって構成される。それにより、コネクタ71及びコネクタ360は、図6に示したように、破断する場合がある。
【0044】
<4.突出部>
続いて、図7図10を参照して、本実施形態に係る突出部310について説明する。図7は、本実施形態に係る突出部310の一例を示す斜視図である。図8は、本実施形態に係る車両において、後部サブフレーム150の近傍に氷W10が固着した様子を示す前後方向に沿った拡大断面図である。具体的には、図8は、図2に示したA−A断面についての拡大断面図である。図9は、本実施形態に係る車両において、後部サブフレーム150の近傍に氷W10が固着した様子を示す左右方向に沿った拡大断面図である。具体的には、図9は、図2に示したB−B断面についての拡大断面図である。図10は、本実施形態に係る車両において、後部サブフレーム150の近傍に固着した氷W10が楔部310aにより破砕される様子を示す左右方向に沿った拡大断面図である。具体的には、図10は、図2に示したB−B断面についての拡大断面図である。
【0045】
上述したように、本実施形態では、リヤディファレンシャル装置30の後部サブフレーム150側には、後部サブフレーム150と接続部C10との間の空間へ向けて突出する突出部310が設けられる。突出部310は、例えば、後方へ向かって突出する。また、図7に示したように、本実施形態に係る突出部310の後部サブフレーム150側には、リヤディファレンシャル装置30が後部サブフレーム150に対して相対的に移動可能な所定の方向に沿った方向を向く楔部310aが設けられる。具体的には、楔部310aは、突出部310の上部に設けられ、上方向を向く。
【0046】
例えば、突出部310は、図7に示したように、前後方向に沿って延在する。また、突出部310は、前後方向の各位置において共通する横断面形状を有してもよい。突出部310は、具体的には、左右方向の中央部から左下方向へ傾斜し、略均一な板厚分布を有する左板部310bと、左右方向の中央部から右下方向へ傾斜し、略均一な板厚分布を有する右板部310cと、によって構成される。左右方向の中央部において、左板部310bと右板部310cとが接続されることによって、楔部310aが形成される。楔部310aは、突出部310の突出方向に沿って延在してもよい。具体的には、楔部310aは、図7に示したように、前後方向に沿って延在し得る。なお、左板部310b及び右板部310cは、平板形状を有してもよく、曲板形状を有してもよい。また、突出部310は、左右対称であってもよく、左右非対称であってもよい。
【0047】
突出部310は、例えば、鋳造工程によって、形成される。具体的には、突出部310は、リヤディファレンシャル装置30の筐体350と一体として、鋳造工程によって、形成される。ここで、左板部310bの板厚と、右板部310cの板厚とは、略一致してもよい。それにより、突出部310を、鋳造工程によって、安定的に形成することができる。また、突出部310の形状は、比較的鋭利なエッジ部が少なくなるように設計されてもよい。具体的には、図7に示したように、突出部310は、角丸多角形の横断面形状を有してもよい。それにより、突出部310を、鋳造工程によって、より安定的に形成することができる。
【0048】
なお、突出部310は、鋳造工程以外の方法によって形成されてもよい。例えば、突出部310は、板材に対して曲げ加工を行うことによって形成されてもよい。また、突出部310は、切削加工を行うことによって形成されてもよい。また、突出部310は、リヤディファレンシャル装置30の筐体350と別体として、形成されてもよい。その場合、突出部310は、例えば、溶接や締結部材による締結によって、リヤディファレンシャル装置30の筐体350に固定される。
【0049】
上記では、突出部310が左板部310b及び右板部310cによって構成される例について説明したが、突出部310の構成は係る例に限定されない。例えば、突出部310は、全体として略均一な板厚分布を有さなくともよい。具体的には、突出部310は、1の稜部が上方向を向く略三角柱形状を有してもよい。その場合、当該1の稜部が楔部310aに相当し得る。また、図7に示した突出部310は、全体として楔形状を有しているが、突出部310には、少なくとも部分的に楔部310aに相当する部分が設けられていればよい。
【0050】
なお、楔部310aは、突出部310に別体として設けられてもよい。その場合、楔部310aは、突出部310を構成し楔部310aと異なる他の部材に、例えば、溶接や締結部材による締結によって、固定される。また、楔部310aは、突出部310に複数設けられてもよい。また、楔部310aの寸法は、特に限定されず、例えば、楔部310aは、比較的鋭利であってもよい。また、突出部310の寸法は、特に限定されず、例えば、突出部310の左右方向の幅に対する上下方向の幅の比率は適宜設定されてもよい。具体的には、突出部310の左右方向の幅は、上下方向の幅に対して、比較的短くてもよい。
【0051】
以上説明したように、本実施形態では、リヤディファレンシャル装置30の後部サブフレーム150側には、後部サブフレーム150と接続部C10との間の空間へ向けて突出する突出部310が設けられる。ゆえに、図8及び図9に示したように、後部サブフレーム150とコネクタ71とを接続するように氷W10が固着した場合に、氷W10によって、後部サブフレーム150と突出部310とが接続される。それにより、リヤディファレンシャル装置90が後部サブフレーム150に対して相対的に移動することに起因して、氷W10を介して、伝達される力の一部が、突出部310に対して付加される。よって、接続部C10に対して当該相対移動に起因して付加される力を低減させることができる。
【0052】
また、本実施形態に係る突出部310の後部サブフレーム150側には、リヤディファレンシャル装置30が後部サブフレーム150に対して相対的に移動可能な所定の方向に沿った方向を向く楔部310aが設けられる。ゆえに、後部サブフレーム150に氷W10が固着した場合に、固着した氷W10に対して楔部310aが相対的に移動することによって、図10に示したように、氷W10を粉砕することができる。なお、図10では、楔部310aによって粉砕されて下方へ落下する氷塊W12が模式的に示されている。ゆえに、後部サブフレーム150とコネクタ71との間において、氷W10が固着した領域が下方へ拡大することを抑制することができる。よって、後部サブフレーム150とコネクタ71とを接続するように氷W10が固着することを抑制することができる。従って、リヤディファレンシャル装置90が後部サブフレーム150に対して相対的に移動することに起因して、氷W10を介して、伝達される力が接続部C10に付加されることを抑制することができる。
【0053】
さらに、後部サブフレーム150とコネクタ71とを接続するように氷W10が固着した場合であっても、楔部310aによって、固着した氷W10を粉砕することができる。ゆえに、後部サブフレーム150とコネクタ71とが、氷W10を介して、接続される状態を解消することができる。よって、リヤディファレンシャル装置90が後部サブフレーム150に対して相対的に移動することに起因して、氷W10を介して、伝達される力が接続部C10に付加されることを抑制することができる。
【0054】
従って、本実施形態によれば、リヤディファレンシャル装置30の後部サブフレーム150側に突出部310が設けられることによって、後部サブフレーム150の近傍におけるコネクタ71,360の破損を防止することができる。このように、本発明によれば、車両の構造部材の近傍における機器の破損を防止することが可能となる。
【0055】
<5.変形例>
続いて、各種変形例について説明する。以下において説明する各種変形例では、上述した実施形態と比較して、突出部の構成が異なる。ゆえに、以下では、主に突出部について説明し、他の構成については説明を適宜省略する。
【0056】
[5−1.第1の変形例]
まず、図11及び図12を参照して、第1の変形例に係る突出部312について説明する。図11は、第1の変形例に係る突出部312の一例を示す斜視図である。図12は、第1の変形例に係る車両において、後部サブフレーム150の近傍に氷W10が固着した様子を示す左右方向に沿った拡大断面図である。具体的には、図12は、第1の変形例に係るリヤディファレンシャル装置32の後方に位置し、図2におけるB−B断面と対応する断面についての拡大断面図である。
【0057】
図11に示したように、第1の変形例に係る突出部312では、図7を参照して説明した突出部310と比較して、延在部312d,312eをさらに備える点について異なる。なお、第1の変形例に係る楔部312a、左板部312b、及び右板部312cは、図7を参照して説明した楔部310a、左板部310b、及び右板部310cと、それぞれ同様の構成を有し得る。
【0058】
延在部312d,312eは、図12に示したように、接続部C10と楔部312aとの間に配設される。例えば、延在部312d及び延在部312eは、図11に示したように、左板部312b及び右板部312cの下端部にそれぞれ接続される。それにより、延在部312d,312eは、突出部312に対して下方に位置する接続部C10と楔部312aとの間に配設される。
【0059】
また、延在部312d,312eは、接続部C10と後部サブフレーム150とを結ぶ方向に対して交差する方向に延在する。例えば、延在部312dは、左板部312bの下端部から左方向へ延在し、延在部312eは、右板部312cの下端部から右方向へ延在する。それにより、延在部312d,312eは、接続部C10と後部サブフレーム150とを結ぶ方向(例えば、略上下方向)に対して交差する左右方向に延在する。
【0060】
延在部312d及び延在部312eは、それぞれ略均一な板厚分布を有してもよい。また、延在部312d、延在部312e、左板部310b、及び右板部310cの板厚は、互いに略一致してもよい。また、延在部312d及び延在部312eは、平板形状を有してもよく、曲板形状を有してもよい。具体的には、延在部312d及び延在部312eは、上に凸な曲板形状を有してもよい。
【0061】
なお、延在部312d,312eは、突出部312に別体として設けられてもよい。その場合、延在部312d,312eは、突出部312を構成し延在部312d,312eと異なる他の部材に、例えば、溶接や締結部材による締結によって、固定される。
【0062】
以上説明したように、第1の変形例に係る突出部312は、接続部C10と楔部312aとの間に配設され、接続部C10と後部サブフレーム150とを結ぶ方向に対して交差する方向に延在する延在部312d,312eを備える。それにより、コネクタ71の上面の突出部312によって覆われる範囲を拡大することができる。ゆえに、後部サブフレーム150の近傍に氷W10が固着した場合であっても、図12に示したように、氷W10が固着可能な領域を、後部サブフレーム150と突出部312の上面との間の領域と、突出部312の下面とコネクタ71との間の領域とに分断することができる。よって、後部サブフレーム150の下面とコネクタ71の上面とを直接的に接続するように氷W10が固着することを抑制することができる。従って、楔部312aによって、固着した氷W10が粉砕されることに伴って接続部C10へ付加される衝撃を緩和することができる。
【0063】
さらに、後輪60rl,60rrによって巻き上げられた雪が後部サブフレーム150の近傍へ飛散した場合であっても、コネクタ71の上面の突出部312によって覆われる範囲が延在部312d,312eにより拡大されることによって、突出部312の下面とコネクタ71との間の領域に雪が付着することを抑制することができる。ゆえに、コネクタ71に氷W10が固着することを抑制することができる。
【0064】
従って、第1の変形例によれば、後部サブフレーム150の近傍におけるコネクタ71,360の破損をより効果的に防止することができる。
【0065】
このように、延在部312d,312eは、コネクタ71の上面の突出部312によって覆われる範囲を拡大するために設けられる。ゆえに、延在部312d及び延在部312eの寸法は、コネクタ71の上面の全領域が突出部312によって覆われるように設定されることが望ましい。換言すると、延在部312d及び延在部312eの寸法は、コネクタ71の後部サブフレーム150側の面が突出部312によって覆われるように設定されることが望ましい。具体的には、延在部312dの左端から延在部312eの右端までの距離は、コネクタ71の左右方向の幅より長い距離に設定されてもよい。
【0066】
図11及び図12を参照して説明したように、延在部312d,312eは、突出部312に設けられてもよい。なお、接続部C10と後部サブフレーム150とを結ぶ方向に対して交差する方向に延在する延在部は、突出部と離隔して設けられてもよい。その場合、当該延在部は、例えば、リヤディファレンシャル装置32の後部サブフレーム150側に当該突出部と接続部C10との間の空間へ向けて突出して設けられる。当該延在部は、具体的には、リヤディファレンシャル装置32の筐体350に一体又は別体として設けられ、前後方向へ延在する。このように延在部が突出部と離隔して設けられる場合においても、延在部が突出部に設けられる場合と同様の効果を奏し得る。なお、延在部が突出部と離隔して設けられる場合において、当該延在部の寸法は、コネクタ71の後部サブフレーム150側の面が当該延在部によって覆われるように設定されることが望ましい。
【0067】
[5−2.第2の変形例]
次に、図13を参照して、第2の変形例に係る突出部314について説明する。図13は、第2の変形例に係る突出部314の一例を示す斜視図である。
【0068】
第2の変形例に係る突出部314は、鋳造工程により成形される。また、第2の変形例に係る突出部314では、図7を参照して説明した突出部310と比較して、楔部314aに、鋳造工程におけるパーティングラインが位置する点について異なる。なお、図13に示した第2の変形例に係る左板部314b、及び右板部314cは、図7を参照して説明した左板部314b、及び右板部314cと、それぞれ同様の構成を有し得る。
【0069】
パーティングラインは、突出部314を形成するための鋳造工程において用いられる一対の金型の成形面の接続部に相当する。第2の変形例では、楔部314aに、パーティングラインが位置することにより、図13に示したように、楔部314aに比較的鋭利な段差部314dが形成される。段差部314dは、例えば、図13に示したように、前後方向に延在する。なお、楔部314aの延在方向と段差部314dの延在方向は、一致しなくともよい。
【0070】
以上説明したように、第2の変形例に係る突出部314では、楔部314aに比較的鋭利な段差部314dが形成される。それにより、楔部314aによる氷W10を粉砕する能力を向上させることができる。従って、第2の変形例によれば、後部サブフレーム150の近傍におけるコネクタ71,360の破損をより効果的に防止することができる。
【0071】
ここで、一般的に、鋳造工程におけるパーティングラインに対応する段差部は、切削工程、研磨工程、又は研削工程等によって、除去され得る。一方、第2の変形例では、パーティングラインに対応する段差部314dが除去されずに、固着した氷W10を粉砕するために利用されるので、段差部314dを除去する工程を削減することができる。
【0072】
[5−3.第3の変形例]
次に、図14及び図15を参照して、第3の変形例に係る突出部316について説明する。図14は、第3の変形例に係る突出部316の一例を示す斜視図である。図15は、第3の変形例に係る車両において、後部サブフレーム150の近傍に固着した氷W10が楔部316aにより破砕される様子を示す左右方向に沿った拡大断面図である。具体的には、図15は、第3の変形例に係るリヤディファレンシャル装置36の後方に位置し、図2におけるB−B断面と対応する断面についての拡大断面図である。
【0073】
図14に示したように、第3の変形例に係る突出部316では、図7を参照して説明した突出部310と比較して、貫通孔316dが穿孔される点について異なる。なお、第3の変形例に係る楔部316a、左板部316b、及び右板部316cは、図7を参照して説明した楔部310a、左板部310b、及び右板部310cと、それぞれ同様の構成を有し得る。
【0074】
貫通孔316dは、突出部316の後部サブフレーム150側から接続部C10側へ貫通する。具体的には、貫通孔316dは、突出部316の上面側から下面側へ貫通する。貫通孔316dは、突出部316に1又は複数穿孔されてもよい。また、貫通孔316dの寸法及び配置は、適宜設計され得る。貫通孔316dは、例えば、図14及び図15に示したように、突出部316の左板部316b、及び右板部316cに穿孔される。貫通孔316dは、図14に示すように、突出部310が延在する方向である前後方向に沿って間隔を空けて複数穿孔されてもよい。
【0075】
以上説明したように、第3の変形例に係る突出部316には、貫通孔316dが穿孔される。それにより、固着した氷W10が楔部316aにより粉砕されることに伴って生じる氷塊W12の少なくとも一部を、図15に示すように、貫通孔316dに通過させることによって、下方に落下させることが可能となる。ゆえに、固着した氷W10が楔部316aにより粉砕される過程において、氷塊W12が突出部316の上面に堆積することによって、楔部314aによる氷W10を粉砕する能力が低下することを防止することができる。従って、第3の変形例によれば、後部サブフレーム150の近傍におけるコネクタ71,360の破損をより効果的に防止することができる。
【0076】
また、貫通孔316dは、リヤディファレンシャル装置36が後部サブフレーム150に対して相対的に移動可能な所定の方向に沿って穿孔されてもよい。具体的には、貫通孔316dは、上下方向に沿って穿孔されてもよい。それにより、氷W10が楔部316aにより粉砕されることに伴って生じる氷塊W12の少なくとも一部を、貫通孔316dに通過させ易くすることができる。
【0077】
[5−4.第4の変形例]
次に、図16及び図17を参照して、第4の変形例に係る突出部318について説明する。図16は、第4の変形例に係る突出部318の一例を示す斜視図である。図17は、第4の変形例に係る車両において、後部サブフレーム150の近傍に氷W10が固着した様子を示す前後方向に沿った拡大断面図である。具体的には、図17は、第4の変形例に係るリヤディファレンシャル装置38の右方に位置し、図2におけるA−A断面と対応する断面についての拡大断面図である。
【0078】
第4の変形例に係る突出部318は、後方へ向かって突出する。このように、リヤディファレンシャル装置38が後部サブフレーム150に対して相対的に移動可能な所定の方向と突出部318の突出方向とは、互いに略直交する。また、図16に示したように、第4の変形例に係る突出部318では、図7を参照して説明した突出部310と比較して、後部サブフレーム150側の面が、先端側へ向かうにつれて、後部サブフレーム150から離れる方向に傾斜する点について異なる。
【0079】
例えば、突出部318は、図16に示したように、左右方向の中央部から左下方向へ傾斜し、略均一な板厚分布を有する左板部318bと、左右方向の中央部から右下方向へ延在し、略均一な板厚分布を有する右板部318cと、によって構成される。左右方向の中央部において、左板部318bと右板部318cとが接続されることによって、楔部318aが形成される。第4の変形例では、楔部318aは、突出部318の突出方向に沿って延在する。具体的には、楔部318aは、図16に示したように、前後方向に延在する。
【0080】
第4の変形例では、左板部318b及び右板部318cは、さらに、前端側から後端側へ向かって下方へ傾斜する。ゆえに、楔部318aは、図16に示したように、左右方向の中央部において、前端側から後下方向へ延在する。突出部318の後部サブフレーム150側の面は、左板部318b及び右板部318cの上面によって構成される。ゆえに、第4の変形例では、突出部318の後部サブフレーム150側の面は、突出部318の先端側に相当する後端側へ向かうにつれて、後部サブフレーム150から離れる方向に傾斜する。なお、左板部318b及び右板部318cは、平板形状を有してもよく、曲板形状を有してもよい。また、突出部318は、左右対称であってもよく、左右非対称であってもよい。
【0081】
突出部318は、図7を参照して説明した突出部310と同様に、鋳造工程等の方法によって、形成され得る。また、左板部318bの板厚と、右板部318cの板厚とは、略一致してもよい。また、突出部318の構成は、突出部318が左板部318b及び右板部318cによって構成される例に限定されない。例えば、突出部318は、全体として略均一な板厚分布を有さなくともよい。具体的には、突出部318は、1の稜部が上方向を向く略三角錐形状を有してもよい。その場合、当該1の稜部が楔部318aに相当し得る。
【0082】
以上説明したように、第4の変形例に係る突出部318の後部サブフレーム150側の面は、突出部318の先端側へ向かうにつれて、後部サブフレーム150から離れる方向に傾斜する。それにより、突出部318の上面の法線方向を、突出部318の突出方向に沿った方向へ傾かせることができる。ゆえに、固着した氷W10が楔部318aにより粉砕される過程において、図17に示したように、後方向の成分F20を有する力を氷W10に対して付加することができる。よって、氷W10が固着する後部サブフレーム150の下面に対して略平行な方向の成分を有する力を利用することにより、氷W10を粉砕又は剥離することができる。従って、第4の変形例によれば、後部サブフレーム150の近傍におけるコネクタ71,360の破損をより効果的に防止することができる。
【0083】
上記では、突出部318の後部サブフレーム150側の面は、突出部318の先端側へ向かうにつれて、後部サブフレーム150から離れる方向に傾斜する例について説明したが、当該面は、突出部318の先端側へ向かうにつれて、後部サブフレーム150から近づく方向に傾斜してもよい。そのような構成によっても、当該面が突出部318の先端側へ向かうにつれて、後部サブフレーム150から離れる方向に傾斜する場合と同様の効果を奏し得る。
【0084】
<6.むすび>
以上説明したように、本実施形態によれば、リヤディファレンシャル装置30の後部サブフレーム150側には、後部サブフレーム150と接続部C10との間の空間へ向けて突出する突出部310が設けられる。ゆえに、後部サブフレーム150とコネクタ71とを接続するように氷W10が固着した場合に、氷W10によって、後部サブフレーム150と突出部310とが接続される。それにより、リヤディファレンシャル装置90の後部サブフレーム150に対する相対的な移動に起因して接続部C10に対して付加される力を低減させることができる。
【0085】
また、本実施形態に係る突出部310の後部サブフレーム150側には、リヤディファレンシャル装置30が後部サブフレーム150に対して相対的に移動可能な所定の方向に沿った方向を向く楔部310aが設けられる。ゆえに、後部サブフレーム150に氷W10が固着した場合に、固着した氷W10に対して楔部310aが相対的に移動することによって、氷W10を粉砕することができる。さらに、後部サブフレーム150とコネクタ71とを接続するように氷W10が固着した場合であっても、楔部310aによって、固着した氷W10を粉砕することができる。それにより、リヤディファレンシャル装置90の後部サブフレーム150に対する相対的な移動に起因して接続部C10に対して力が付加されることを抑制することができる。
【0086】
従って、本実施形態によれば、後部サブフレーム150の近傍におけるコネクタ71,360の破損を防止することができる。このように、本発明によれば、車両の構造部材の近傍における機器の破損を防止することが可能となる。
【0087】
また、上記では、構造部材に近接して設けられる装置の一例として、後部サブフレーム150の近傍に設けられるリヤディファレンシャル装置30を例に採って説明したが、本発明の技術的範囲は係る例に限定されない。例えば、本発明に係る装置は、リヤディファレンシャル装置30と異なる他の装置であってもよい。具体的には、エンジン10や、トランスミッション20等の装置は、車両の前部における構造部材に近接して設けられ得る。これらの装置は近傍の構造部材に対して相対的に移動可能に設けられ得るので、本発明に係る装置として、適用され得る。
【0088】
また、上記では、構造部材に近接して設けられる装置が当該構造部材に対して相対的に移動可能な所定の方向が上下方向である例について説明したが、本発明の技術的範囲は係る例に限定されない。当該所定の方向として、任意の方向が適用され得る。また、装置とケーブルとがコネクタにより接続される接続部と構造部材との位置関係は特に限定されず、例えば、当該接続部と当該構造部材とは、水平方向に併設されてもよい。
【0089】
また、本発明に係る装置は、内部に車室空間を形成する部分である車体に対して、メンバ部材を介さずに取り付けられる装置であってもよい。具体的には、本発明に係る装置は、弾性体等の緩衝部材を介して、車体の一部に対して取り付けられてもよい。それにより、当該装置は、構造部材としての車体の一部に対して相対的に移動可能となる。
【0090】
また、上記では、車両の駆動系の一例として、4輪駆動方式の駆動系を例に採って説明したが、他の駆動系を有する車両についても本発明を適用し得る。例えば、車両の駆動系は、フロントエンジンリヤ駆動方式の駆動系であってもよい。
【0091】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0092】
10 エンジン
20 トランスミッション
30,32,36,38,90 リヤディファレンシャル装置
40fl,40fr,40rl,40rr 駆動軸
50 プロペラシャフト
60fl 左前輪
60fr 右前輪
60rl 左後輪
60rr 右後輪
70 ケーブル
71 コネクタ
82 ナット
84 ゴムブッシュ
110l,110r サイドフレーム
130 前部サブフレーム
150 後部サブフレーム
310,312,314,316,318 突出部
310a,312a,314a,316a,318a 楔部
310b,312b,314b,316b,318b 左板部
310c,312c,314c,316c,318c 右板部
312d,312e 延在部
314d 段差部
316d 貫通孔
330 軸部
340 軸部
350 筐体
360 コネクタ
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