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特開2017-227264冷媒輸送ホース用ゴム組成物及び冷媒輸送ホース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-227264(P2017-227264A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】冷媒輸送ホース用ゴム組成物及び冷媒輸送ホース
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/08 20060101AFI20171201BHJP
   C08L 23/22 20060101ALI20171201BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20171201BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20171201BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20171201BHJP
   B32B 25/18 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   F16L11/08 A
   C08L23/22
   C08K3/04
   C08K3/34
   B32B1/08 B
   B32B25/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-123749(P2016-123749)
(22)【出願日】2016年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彩
【テーマコード(参考)】
3H111
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA12
3H111CB04
3H111CB11
3H111CB14
3H111CB29
3H111CC03
3H111DA07
3H111DA14
3H111DB09
4F100AA37A
4F100AC10A
4F100AK09A
4F100AK28A
4F100AN02A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100CA23A
4F100DA11
4F100JD02
4F100JD14A
4F100YY00A
4J002BB181
4J002DA037
4J002DJ046
4J002DJ056
4J002FD016
4J002FD017
4J002GC00
4J002GM00
(57)【要約】
【課題】加工性及びホース性能に優れた冷媒輸送ホース用ゴム組成物、及び、内管が上記冷媒輸送ホース用ゴム組成物を用いて製造された冷媒輸送ホースを提供する。
【解決手段】内管と上記内管の外側に配置される補強層とを少なくとも備える冷媒輸送ホースの上記内管の製造に用いられる冷媒輸送ホース用ゴム組成物であって、ブチル系ゴムと鱗片状フィラーとカーボンブラックとを含有し、上記カーボンブラックのヨウ素吸着量が65〜150mg/gであり、上記鱗片状フィラーの含有量が上記ブチル系ゴム100質量部に対して20質量部以上であり、上記カーボンブラックの含有量が上記ブチル系ゴム100質量部に対して20質量部以上50質量部未満である、冷媒輸送ホース用ゴム組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管と前記内管の外側に配置される補強層とを少なくとも備える冷媒輸送ホースの、前記内管の製造に用いられる冷媒輸送ホース用ゴム組成物であって、
ブチル系ゴムと、鱗片状フィラーと、カーボンブラックとを含有し、
前記カーボンブラックのヨウ素吸着量が、65〜150mg/gであり、
前記鱗片状フィラーの含有量が、前記ブチル系ゴム100質量部に対して、20質量部以上であり、
前記カーボンブラックの含有量が、前記ブチル系ゴム100質量部に対して、20質量部以上50質量部未満である、冷媒輸送ホース用ゴム組成物。
【請求項2】
前記鱗片状フィラーの含有量が、前記ブチル系ゴム100質量部に対して、80〜150質量部である、請求項1に記載の冷媒輸送ホース用ゴム組成物。
【請求項3】
前記鱗片状フィラーが、タルクである、請求項1又は2に記載の冷媒輸送ホース用ゴム組成物。
【請求項4】
前記鱗片状フィラー及び前記カーボンブラックの合計の含有量が、組成物全体に対して、50〜60質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷媒輸送ホース用ゴム組成物。
【請求項5】
前記冷媒輸送ホースの冷媒が、HFO−1234yf又はHFC−134aである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷媒輸送ホース用ゴム組成物。
【請求項6】
内管と前記内管の外側に配置される補強層とを少なくとも備える冷媒輸送ホースであって、
前記内管が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷媒輸送ホース用ゴム組成物を用いて製造された、冷媒輸送ホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒輸送ホース用ゴム組成物及び冷媒輸送ホースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷媒輸送ホースは耐冷媒透過性を保持するために、樹脂層を用いたホースが多く用いられている。しかし、樹脂層を用いるとホースが硬く、柔軟性に欠けたホースとなる。特に、低圧で使用する際はホース自体の温度が上昇しないため、ホースが硬いまま柔軟性がない状態で使用され、振動時に騒音が問題となる。従って、樹脂層を使用せず、耐冷媒透過性を有するチューブゴムの要求が高まっている。
このようななか、例えば特許文献1の実施例には、樹脂層を備えない冷媒輸送ホースの内層(内管)用のゴム材料として、ブチルゴム100質量部、カーボンブラック(シースト116、東海カーボン社製)40質量部及びタルク110質量部等を含有する組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−29443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、本発明者が特許文献1の実施例を参考にゴム組成物を調製したところ、その加工性(ロール加工性(シーティング性及び巻き付き性)、押出加工性)は昨今要求されている水準を必ずしも満たすものではないことが明らかになった。また、調製したゴム組成物を内管に用いて、内管と内管の外側に配置される補強層とを備える冷媒輸送ホースを製造したところ、そのホース性能(切断時強度、切断時伸び、100%モジュラス、耐冷媒透過性)についても昨今要求されている水準を必ずしも満たすものではないことが明らかになった。
【0005】
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、加工性及びホース性能に優れた冷媒輸送ホース用ゴム組成物、及び、内管が上記冷媒輸送ホース用ゴム組成物を用いて製造された冷媒輸送ホースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、カーボンブラックのヨウ素吸着量及び含有量を調整することで上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
【0007】
(1) 内管と上記内管の外側に配置される補強層とを少なくとも備える冷媒輸送ホースの、上記内管の製造に用いられる冷媒輸送ホース用ゴム組成物であって、
ブチル系ゴムと、鱗片状フィラーと、カーボンブラックとを含有し、
上記カーボンブラックのヨウ素吸着量が、65〜150mg/gであり、
上記鱗片状フィラーの含有量が、上記ブチル系ゴム100質量部に対して、20質量部以上であり、
上記カーボンブラックの含有量が、上記ブチル系ゴム100質量部に対して、20質量部以上50質量部未満である、冷媒輸送ホース用ゴム組成物。
(2) 上記鱗片状フィラーの含有量が、上記ブチル系ゴム100質量部に対して、80〜150質量部である、上記(1)に記載の冷媒輸送ホース用ゴム組成物。
(3) 上記鱗片状フィラーが、タルクである、上記(1)又は(2)に記載の冷媒輸送ホース用ゴム組成物。
(4) 上記鱗片状フィラー及び上記カーボンブラックの合計の含有量が、組成物全体に対して、50〜60質量%である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の冷媒輸送ホース用ゴム組成物。
(5) 上記冷媒輸送ホースの冷媒が、HFO−1234yf又はHFC−134aである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の冷媒輸送ホース用ゴム組成物。
(6) 内管と上記内管の外側に配置される補強層とを少なくとも備える冷媒輸送ホースであって、
上記内管が、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の冷媒輸送ホース用ゴム組成物を用いて製造された、冷媒輸送ホース。
【発明の効果】
【0008】
以下に示すように、本発明によれば、加工性及びホース性能に優れた冷媒輸送ホース用ゴム組成物、及び、内管が上記冷媒輸送ホース用ゴム組成物を用いて製造された冷媒輸送ホースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のホースの一例の各層を切り欠いて示す斜視図である。
図2】冷媒透過試験に用いられた評価用カップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の冷媒輸送ホース用ゴム組成物、および、本発明の冷媒輸送ホースについて説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0011】
[冷媒輸送ホース用ゴム組成物]
本発明の冷媒輸送ホース用ゴム組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)は、内管と上記内管の外側に配置される補強層とを少なくとも備える冷媒輸送ホースの、上記内管の製造に用いられる冷媒輸送ホース用ゴム組成物であって、ブチル系ゴムと、鱗片状フィラーと、カーボンブラックとを含有する。
ここで、上記カーボンブラックのヨウ素吸着量は65〜150mg/gである。また、上記鱗片状フィラーの含有量は上記ブチル系ゴム100質量部に対して20質量部以上である。また、上記カーボンブラックの含有量は上記ブチル系ゴム100質量部に対して20質量部以上50質量部未満である。
本発明の組成物はこのような構成をとるため、上述した効果が得られるものと考えらえる。その理由は明らかではないが、粒径の小さいカーボンブラックを少量使用することで、加工性を損なうことなくゴム成分が十分に補強されるためと推測される。
【0012】
以下、本発明の組成物に含有される各成分について説明する。
【0013】
〔ブチル系ゴム〕
本発明の組成物に含有されるブチル系ゴムは、イソブチレンによって形成される繰り返し単位を有する重合体であれば、特に制限されない。例えば、イソブチレン及びイソプレンによって形成される繰り返し単位を有する重合体(またはそのハロゲン化物)、イソブチレン及びメチルスチレンによって形成される繰り返し単位を有する重合体(またはそのハロゲン化物)などが挙げられる。ブチル系ゴムの具体例としては、ブチルゴム(IIR)、塩素化ブチルゴム(CIIR)、臭素化ブチルゴム(BIIR)、臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体ゴム(BIMS)などが挙げられる。ブチル系ゴムは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0014】
なお、本発明の組成物はブチル系ゴム以外のゴム成分を含有していてもよい。そのようなゴム成分としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)などが挙げられる。
【0015】
〔鱗片状フィラー〕
本発明の組成物に含有される鱗片状フィラーは、鱗片状のフィラーであれば特に制限されない。鱗片状フィラーの外周は不定形であってもよい。
【0016】
鱗片状フィラーの平均直径は、本発明の効果がより優れる理由から、0.1〜700μmであることが好ましく、1〜100μmがより好ましい。
本発明において、鱗片状フィラーの平均直径は、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いた、レーザ回折法による体積平均径である。
【0017】
鱗片状フィラーのアスペクト比(平均直径/厚み)は、本発明の効果がより優れる理由から、5〜80であることが好ましく、15〜70がより好ましい。
本発明において、鱗片状フィラーの厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)にて鱗片状フィラーを10,000倍で観察し、観察される視野の中からランダムに複数個の鱗片状フィラーを選択しその厚みを測定した測定値をもとに算出した平均値である。
【0018】
鱗片状フィラーは、本発明の効果がより優れる理由から、タルク及びマイカからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、タルクであることがより好ましい。
タルク、マイカは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
【0019】
本発明において、鱗片状フィラーは、表面処理がされたもの、及び、表面処理がされていないもののうち、いずれであってもよい。
【0020】
本発明の組成物において、鱗片状フィラーの含有量は、ブチル系ゴム100質量部に対して、20質量部以上である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、80〜150質量部であることが好ましい。
【0021】
〔カーボンブラック〕
本発明の組成物に含有されるカーボンブラックは、ヨウ素吸着量が65〜150mg/gのカーボンブラックであれば特に制限されない。
カーボンブラックのヨウ素吸着量は、本発明の効果がより優れる理由から、100mg/g以上であることが好ましい。
カーボンブラックはISAF級またはHAF級であることが好ましく、本発明の効果がより優れる理由から、ISAF級であることが好ましい。
なお、本明細書において、カーボンブラックのヨウ素吸着量は、JIS K6217−1:2008に従って測定したものである。
【0022】
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50〜150m/gであることが好ましく、なかでも100m/g以上であることが好ましい。
なお、本明細書において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217−2:2001「第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」にしたがって測定したものである。
【0023】
上記カーボンブラックのDBP(ジブチルフタレート)吸油量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、70〜120ml/gであることが好ましく、なかでも、110ml/g以上であることが好ましい。
ここで、DBP吸油量(吸収量)とは、カーボンブラックが液体(DBP)を吸収する能力の尺度であり、この値が大きいほどカーボンブラックのストラクチャーが大きくなる傾向がある。
また、本発明において、DBP吸油量は、JIS K6217−4:2008「ゴム用カーボンブラック―基本特性―第4部:オイル吸収量の求め方」に準じて測定される。
【0024】
本発明の組成物において、上記カーボンブラックの含有量は、ブチル系ゴム100質量部に対して、20質量部以上50質量部未満である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、30質量部以下であることが好ましい。
【0025】
上述した鱗片状フィラー及び上記カーボンブラックの合計の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、組成物全体に対して、50〜60質量%であることが好ましい。
【0026】
〔添加剤〕
本発明の組成物は、必要に応じて、更に添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、樹脂、鱗片状フィラー以外のフィラー、ヨウ素吸着量が65〜150mg/g以外のカーボンブラック、パラフィンオイルのような軟化剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、硫黄や樹脂加硫剤のような加硫剤、加硫促進剤、過酸化物のような架橋剤、接着助剤が挙げられる。
各添加剤は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
各添加剤の含有量は適宜添加することができる。
【0027】
本発明の組成物が更に樹脂加硫剤を含有する場合、樹脂加硫剤としては、例えば、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。
樹脂加硫剤の含有量は、ブチル系ゴム100質量部に対して、1〜8質量部であることが好ましく、2〜6質量部がより好ましい。
【0028】
〔冷媒輸送ホース用ゴム組成物の調製方法等〕
本発明の組成物の調製方法は特に制限されない。例えば、上述した各成分を、30〜150℃で、バンバリー、ニーダー等の密閉式混合機、または混練ロール機により混練する方法が挙げられる。
【0029】
本発明の組成物を加硫又は架橋させる条件は特に制限されない。例えば、加圧しながら140〜160℃の条件下で本発明の組成物を加硫又は架橋させることができる。
【0030】
〔用途〕
本発明の組成物は、内管と上記内管の外側に配置される補強層とを少なくとも備える冷媒輸送ホースの、上記内管の製造に用いられる。
本発明の組成物はホースの柔軟性と耐冷媒透過性を両立させるため、最内層および中間層のいずれにも樹脂層を備えない冷媒輸送ホースの内管の製造に好適に用いられる。
【0031】
<冷媒>
上記冷媒輸送ホース内を通過させる冷媒は特に制限されない。例えば、フッ素系化合物が挙げられる。具体的には例えば、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(構造式:CF−CF=CH、HFO−1234yf)、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン、3,3,3−トリフルオロプロペンのような二重結合を有するフッ素系化合物;HFC−134a(構造式:CF−CFH)のような飽和ハイドロフルオロカーボンが挙げられる。なかでも、HFC−134aが好ましい。
冷媒はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
[冷媒輸送ホース]
本発明の冷媒輸送ホース(以下、単に「本発明のホース」とも言う)は、内管と上記内管の外側に配置される補強層とを少なくとも備える冷媒輸送ホースであって、上記内管が、上述した本発明の冷媒輸送ホース用ゴム組成物を用いて製造された冷媒輸送ホースである。
【0033】
〔内管〕
上記内管は、上述した本発明の組成物を用いて製造される。
内管は1層又は複数層とすることができる。
内管が複数層である場合、内管の少なくとも最内層が本発明の組成物を用いて製造されることが好ましい。また、隣接する内管の間に層間ゴム層等が配設されていてもよい。
内管と、内管に隣接する補強層との間に層間ゴム層等が配設されていてもよい。
【0034】
〔補強層〕
補強層はホースに使用できるものであれば特に制限されない。
補強層に使用される材料としては、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリケトン繊維、ポリアリレート繊維、ポリケトン繊維のような繊維材料;ブラスメッキが施されたワイヤ、亜鉛メッキワイヤーのような硬鋼線(例えば、等)などの金属材料が挙げられる。
【0035】
補強層はその形状について特に制限されない。例えば、ブレード状、スパイラル状のものが挙げられる。
補強層の材料はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0036】
補強層は1層又は複数層とすることができる。
補強層が複数層である場合、隣接する補強層の間に層間ゴム層等が配設されていてもよい。
【0037】
〔外管〕
本発明のホースは、上記補強層の外側に配置される外管をさらに備えるのが好ましい。
外管を構成する材料は特に制限されない。例えば、ゴム組成物を用いることができる。具体的には例えば、スチレンブタジエンゴム系ゴム組成物、クロロプレンゴム系ゴム組成物、エチレンプロピレンジエンゴム系ゴム組成物が挙げられる。
【0038】
外管は1層又は複数層とすることができる。
外管が複数層である場合、隣接する外管の間に層間ゴム層等が配設されていてもよい。
外管と、外管に隣接する補強層との間に層間ゴム層等が配設されていてもよい。
【0039】
〔具体例〕
図1は、本発明のホースの一例の各層を切り欠いて示す斜視図である。
図1において、ホース1は、内管2と、内管2の外周側に隣接して配置される補強層3と、補強層3の外周側に隣接して配置される外管4とを有する。
ここで、内管2は、上述した本発明の組成物を用いて製造される。
【0040】
〔本発明の冷媒輸送ホースの製造方法〕
本発明のホースの製造方法は特に限定されない。例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、あらかじめ離型剤を塗布したマンドレルに、内管ゴム材用ゴム押出機から上述した本発明の組成物を押し出し、内管を形成する。
つぎに、内管(接着層がある場合は接着層)の上に補強層を形成する。補強層の形成方法は特に制限されない。
更に、補強層(接着層がある場合は接着層)の上に外管材を押し出し、外管を形成する。
その後、これらの層を130〜190℃、30〜180分の条件で、加硫することにより加硫接着させる。このようにして、本発明のホースを製造することができる。加硫の方法としては例えば、蒸気加硫、オーブン加硫(熱気加硫)、温水加硫が挙げられる。
【0041】
〔冷媒〕
本発明のホースを通過させることができる冷媒は上述のとおりである。
【0042】
〔用途〕
本発明のホースは、例えば、カーエアコンのようなエアコン(エア・コンディショナー)用のホースとして使用することができる。本発明のホースは、低圧用として使用することもできる。本発明のホースは、騒音を低減できるという観点から、樹脂層を有さないことが好ましい。
【実施例】
【0043】
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
〔冷媒輸送ホース用ゴム組成物の調製〕
下記表1に示される成分を同表に示される割合(質量部)で混合することで実施例及び比較例の冷媒輸送ホース用ゴム組成物(以下、単に「ゴム組成物」とも言う)を調製した。なお、表1中、カーボンブラックの欄のカッコ内の数値はヨウ素吸着量を表す。
【0045】
〔評価〕
得られたゴム組成物について以下の評価を行った。
【0046】
<加工性>
得られたゴム組成物についてロール加工を行い、シーティング性(シートの作製し易さ)、及び、巻き付き性(ロールへの巻き付き易さ)をそれぞれ三段階で評価した(○:良好、△:やや良好、×:不良)。結果を表1に示す(シーティング性、巻き付き性)。
また、得られたゴム組成物について押出加工を行い、押出加工性(押出加工のし易さ)を三段階で評価した(○:良好、△:やや良好、×:不良)。結果を表1に示す(押出加工性)。
シーティング性、巻き付き性及び押出し加工性ともに、○又は△であることが好ましく、○であることがより好ましい。
【0047】
<シートの作製>
得られたゴム組成物を、プレス加硫機を用いて、153℃で45分間加硫し、厚さ2mmのシートを作製した。
【0048】
<引張試験>
得られたシートを用いて、JIS K 6251に準じて、引張速度500mm/分、23℃の条件下において引張試験を行い、引張強さ(TB)[MPa]、切断時伸び(EB)[%]及び100%モジュラス(100%伸張時引張力)(M100)[MPa]をそれぞれ測定した。結果を表1に示す(TB、EB、M100)。TB、EB及びM100いずれも大きい方が好ましい。
【0049】
<冷媒透過試験>
冷媒透過試験について、図面を用いて以下に説明する。
図2は、冷媒透過試験に用いられた評価用カップの断面図である。
図2において、評価用カップ30は、ステンレス鋼製カップ10(以下カップ10)、上記のとおり作製したシート14、焼結金属板16、固定部材18及び19、ボルト20並びにナット22を有する。カップ10の内部に冷媒12が入っている。
まず、カップ10に冷媒12をカップ10の容量の半分まで入れ、カップ10の開口部をシート14で覆い、シート14の上部に焼結金属板16を載せた。次に、固定部材18、19を介して、ボルト20とナット22とで、カップ10の端部とシート14と焼結金属板16とを固定し、カップ10の端部とシート14と焼結金属板16とを密着させて、評価用カップ30を準備した。
冷媒としては、HFC−134a(三井・デュポンフロロケミカル社製)を使用した。
【0050】
上記のとおり準備した評価用カップを、100℃の条件下に24時間置く冷媒透過試験を行った。
試験前後で評価用カップ全体の質量を測定し、試験後の減量分を算出した。
試験後の減量分等を下記数式に当てはめてガス透過係数を算出した。結果を表1に示す(耐冷媒透過性)。
ガス透過係数[mg・mm/24hr・cm]=(M・t)/(T・A)
式中、Mは上記減量分[mg]、tはシートの厚み[mm]、Tは試験時間[24hr(時間)]、Aは透過面積[cm]である。
ガス透過係数が小さいほど耐冷媒透過性に優れ、好ましい。
【0051】
【表1】
【0052】
表1中、各成分の詳細は以下のとおりである。
・ブチル系ゴム:BUTYL 301(ブチルゴム、LANXESS社製)
・カーボンブラック1:ショウブラックN220(ヨウ素吸着量:119mg/g、窒素吸着比表面積:111m/g、DBP吸油量:115ml/100g、キャボットジャパン社製)
・カーボンブラック2:ニテロン#200IN(ヨウ素吸着量:70mg/g、窒素吸着比表面積:71m/g、DBP吸油量:101ml/100g、新日化カーボン社製)
・比較カーボンブラック1:ニテロン#10IN(ヨウ素吸着量:41mg/g、窒素吸着比表面積:41m/g、DBP吸油量:121ml/100g、新日化カーボン社製)
・比較カーボンブラック2:旭#50(ヨウ素吸着量:20mg/g、DBP吸油量:64ml/100g、旭カーボン社製)
・鱗片状フィラー:ミストロンベーパー(タルク、イメリス スペシャリティーズ ジャパン社製)
・ステアリン酸:工業用ステアリン酸N(千葉脂肪酸社製)
・樹脂加硫剤:タッキロール250−I(臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)
・酸化亜鉛:酸化亜鉛 3種(正同化学工業社製)
【0053】
表1から分かるように、本願の実施例1〜6はいずれも優れた加工性及びホース性能を示した。なかでも、カーボンブラックの含有量がブチル系ゴム100質量部に対して30質量部以下である実施例1〜3及び5は、より優れた加工性を示した。
実施例2と5との対比から、カーボンブラックのヨウ素吸着量が100mg/g以上である実施例2は、より大きなTB、EB及びM100を示した。
【0054】
一方、カーボンブラックの含有量がブチル系ゴム100質量部に対して50質量部を超える比較例1及び2は、加工性及びEBが不十分であった。また、ヨウ素吸着量が65〜150mg/gのカーボンブラックの代わりにヨウ素吸着量が65mg/g未満のカーボンブラックを含有する比較例3〜4は、TB及び耐冷媒透過性が不十分であった。また、鱗片状フィラーの含有量がブチル系ゴム100質量部に対して20質量部未満である比較例6はM100及び耐冷媒透過性が不十分であった。
【符号の説明】
【0055】
1 ホース
2 内管
3 補強層
4 外管
10 カップ
12 冷媒
14 シート
16 焼結金属板
18、19 固定部材
20 ボルト
22 ナット
30 評価用カップ
図1
図2