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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-227266(P2017-227266A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】摩擦締結装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 25/0638 20060101AFI20171201BHJP
   F16H 61/00 20060101ALI20171201BHJP
   F16H 61/662 20060101ALI20171201BHJP
   F16D 48/02 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   F16D25/0638
   F16H61/00
   F16H61/662
   F16D48/02 600D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-123809(P2016-123809)
(22)【出願日】2016年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕介
【テーマコード(参考)】
3J057
3J552
【Fターム(参考)】
3J057AA03
3J057BB04
3J057CA09
3J057GA80
3J057GC09
3J057GC10
3J057GD08
3J057GD20
3J057GE06
3J057HH01
3J057JJ06
3J552MA07
3J552MA12
3J552MA26
3J552NA01
3J552NB01
3J552PA67
3J552QA07C
3J552QA10A
3J552QA18A
3J552QB02
3J552RA22
3J552SA57
3J552UA02
3J552UA04
(57)【要約】
【課題】高い油圧制御性を必要とせずとも開放状態におけるプレート間の距離を変更可能な摩擦締結装置を提供する。
【解決手段】第1受圧面347aに油圧が作用する場合、第1プレート344と第2プレート345とが接触する第1ピストン位置にピストン347が移動する。第2受圧面347bに油圧が作用する場合、第1プレート344と第2プレート345とが離間する第2ピストン位置にピストン347が移動する。第1受圧面347a及び第2受圧面347bに油圧が作用しない場合、第1プレート344と第2プレート345とが離間する第3ピストン位置にピストン347が保持される。ピストン347が第3ピストン位置に位置するときのプレート間の距離は、ピストン347が第2ピストン位置に位置するときのプレート間の距離よりも小さい。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プレートと、
第2プレートと、
第1受圧面と第2受圧面とを有するピストンと、を有し、
前記第1受圧面に油圧が作用する場合、前記第1プレートと前記第2プレートとが接触する第1ピストン位置に前記ピストンが移動し、
前記第2受圧面に油圧が作用する場合、前記第1プレートと前記第2プレートとが離間する第2ピストン位置に前記ピストンが移動し、
前記第1受圧面及び前記第2受圧面に油圧が作用しない場合、前記第1プレートと前記第2プレートとが離間する第3ピストン位置に前記ピストンが保持され、
前記ピストンが前記第3ピストン位置に位置するときの前記第1プレートと前記第2プレートとの距離は、前記ピストンが前記第2ピストン位置に位置するときの前記第1プレートと前記第2プレートとの距離よりも小さいことを特徴とする摩擦締結装置。
【請求項2】
請求項1に記載の摩擦締結装置において、
前記第1受圧面及び前記第2受圧面に油圧が作用しない場合に前記ピストンを前記第3ピストン位置に保持する保持機構を備え、
前記保持機構は、前記第1受圧面から前記第2受圧面へ向かう方向の付勢力を有する第1付勢部材と、前記第2受圧面から前記第1受圧面へ向かう方向の付勢力を有する第2付勢部材と、から構成されることを特徴とする摩擦締結装置。
【請求項3】
請求項2に記載の摩擦締結装置において、
複数の前記第1付勢部材と複数の前記第2付勢部材とを有し、
前記第1受圧面には、複数の前記第1付勢部材をそれぞれ収容する複数の第1凹部が設けられており、
前記第2受圧面には、複数の前記第2付勢部材をそれぞれ収容する複数の第2凹部が設けられており、
前記ピストンの軸方向からみて、複数の前記第2凹部は複数の前記第1凹部と重ならない位置に配置されており、
前記ピストンの周方向からみて、複数の前記第2凹部は複数の前記第1凹部と重なる部分を有する、
ことを特徴とする摩擦締結装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の摩擦締結装置において、
前記摩擦締結装置は、ロックアップクラッチを有する自動変速機に搭載され、
前記摩擦締結装置は、前記自動変速機の後進用摩擦締結装置であり、
前記第1受圧面に作用する油圧を供給する第1油圧供給部と前記第2受圧面に作用する油圧を供給する第2油圧供給部とを有し、
前記第2油圧供給部は、前記ロックアップクラッチが締結されると前記第2受圧面に作用する油圧を供給することを特徴とする摩擦締結装置。
【請求項5】
請求項4に記載の摩擦締結装置において、
前記第2油圧供給部は、前記ロックアップクラッチを締結する油圧が供給されると前記第2受圧面に作用する油圧を供給するスイッチ弁である、
ことを特徴とする摩擦締結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチ、ブレーキ等の摩擦締結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クラッチ、ブレーキ等の摩擦締結装置は、一方の回転体に設けられた第1プレートと他方の回転体あるいは非回転体に設けられた第2プレートとを接触させ、一方の回転体と他方の回転体との間での回転を伝達する、あるいは、一方の回転体を制動する装置である。
【0003】
第1プレートと第2プレートとが接触して回転を伝達可能、あるいは、回転体の制動が可能な状態を「締結状態」、第1プレートと第2プレートとが離間した状態を「開放状態」とすると、開放状態から締結状態に切り換えるのに要する時間を短くして摩擦締結装置の応答性を向上させるには、開放状態におけるプレート間の距離を小さくするのがよい。
【0004】
これに対し、開放状態におけるプレート間の距離が小さいと、開放状態であっても第1プレートと第2プレートとが擦れ、引きずりによるロス(フリクションロス)が発生する。フリクションロスを抑えるためにはプレート間の距離は大きいほうがよい。
【0005】
特許文献1に開示される摩擦締結装置では、開放状態から締結状態への切り換えに高い応答性が要求される状況ではプレート間の距離が小となる油圧を供給し、フリクションロスを抑えることが要求される状況ではこれよりも大きな油圧を供給してプレート間の距離を拡大することで、上記相反する二つの要求を満たすようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−153930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示される摩擦締結装置では、開放状態から締結状態への切り換えに高い応答性が要求される状況において、プレート間の距離を拡大する油圧とプレート同士を接触させる油圧との間の油圧を生成し、摩擦締結装置に供給する必要があるので、高い油圧制御性が要求される。
【0008】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、高い油圧制御性を必要とせずとも開放状態におけるプレート間の距離を変更可能な摩擦締結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様によれば、第1プレートと、第2プレートと、第1受圧面と第2受圧面とを有するピストンと、を有し、前記第2受圧面に油圧が作用する場合、前記第1プレートと前記第2プレートとが接触する第1ピストン位置に前記ピストンが移動し、前記第1受圧面に油圧が作用する場合、前記第1プレートと前記第2プレートとが離間する第2ピストン位置に前記ピストンが移動し、前記第1受圧面及び前記第2受圧面に油圧が作用しない場合、前記第1プレートと前記第2プレートとが離間する第3ピストン位置に前記ピストンが保持され、前記ピストンが前記第3ピストン位置に位置するときの前記第1プレートと前記第2プレートとの距離は、前記ピストンが前記第2ピストン位置に位置するときの前記第1プレートと前記第2プレートとの距離よりも小さいことを特徴とする摩擦締結装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
上記態様によれば、第1受圧面、第2受圧面に油圧を作用させるか否かによってプレート間の距離が広い状態とプレート間の距離が狭い状態とを切り換えることができ、高い油圧制御性を必要とせずとも開放状態におけるプレート間の距離を変更可能な摩擦締結装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る摩擦締結装置を備えた車両の概略構成図である。
図2】油圧制御回路の要部回路図である。
図3】リバースブレーキの概略断面図である。
図4A】リバースブレーキの動作説明図である。
図4B】リバースブレーキの動作説明図である。
図4C】リバースブレーキの動作説明図である。
図5】第2実施形態に係るリバースブレーキの概略断面図である。
図6】ピストンの平面図である。
図7】ピストンの要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る摩擦締結装置を備えた車両の構成を示す説明図である。
【0014】
車両は動力源としてエンジン1を備える。エンジン1の出力回転は、ロックアップクラッチ2aを有するトルクコンバータ2、前後進切換機構3、自動変速機4、終減速装置6を介して駆動輪へと伝達される。
【0015】
車両には、エンジン1の動力の一部を利用して駆動されるオイルポンプ10と、オイルポンプ10から供給される作動油の圧力を調圧して自動変速機4の各部位に油圧を供給する油圧制御回路11と、油圧制御回路11を制御するコントローラ12とが設けられている。
【0016】
前後進切換機構3は、車両を前進させるときに締結されるフォワードクラッチ32と、車両を後進させるときに締結されるリバースブレーキ34とを備える。フォワードクラッチ32とリバースブレーキ34とを共に開放した場合は、前後進切換機構3は動力を伝達しないニュートラル状態となる。
【0017】
自動変速機4は、プライマリプーリ21と、セカンダリプーリ22と、プーリ21、22の間に掛け回されるVベルト23とを備えるベルト無段変速機である。プーリ21、22は、それぞれ固定円錐板と、固定円錐板に対してシーブ面を対向させた状態で配置され固定円錐板との間にV溝を形成する可動円錐板と、可動円錐板の背面に設けられて可動円錐板を軸方向に変位させる油圧シリンダ23a、23bとを備える。油圧シリンダ23a、23bに供給される油圧を調整すると、V溝の幅が変化してVベルト23と各プーリ21、22との接触半径が変化し、自動変速機4の変速比が無段階に変化する。
【0018】
コントローラ12は、アクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサ41の出力信号、自動変速機4の入力回転速度を検出する回転速度センサ42の出力信号、車速を検出する車速センサ43の出力信号、セレクトレバー45によって選択されるレンジを検出するインヒビタスイッチ46の出力信号、ブレーキペダルが踏み込まれていることを検出するブレーキスイッチ47の出力信号などが入力される。
【0019】
セレクトレバー45は、例えば、P(駐車)、R(後退)、D(前進)、N(ニュートラル)の各レンジに操作することができ、インヒビタスイッチ46は、セレクトレバー45によって選択されたレンジに対応する信号を出力する。
【0020】
コントローラ12は、入力された信号に基づいて、変速マップを参照して目標変速比を決定し、自動変速機4の実変速比を目標変速比に制御するための変速制御信号を生成し、生成した変速制御信号を油圧制御回路11に出力する。
【0021】
油圧制御回路11は、コントローラ12からの変速制御信号に基づき、オイルポンプ10で発生した油圧から必要な油圧を調整し、調整した油圧を自動変速機4に供給し、これにより、自動変速機4の変速比を変更する。また、アプライ圧又はリリース圧をトルクコンバータ2に供給し、これによりロックアップクラッチ2aを締結又は開放する。
【0022】
図2は、本実施形態の油圧制御回路11の要部を示している。
【0023】
図2では、前後進切換機構3のフォワードクラッチ32、リバースブレーキ34及びトルクコンバータ2のロックアップクラッチ2aに関わる油圧回路が示されている。
【0024】
ライン圧油路100には、オイルポンプ10が発生する油圧を元圧として生成されるライン圧PL(例えば、50MPa)が供給される。
【0025】
第1減圧弁101は、ライン圧PLを減圧して第1中間圧Pm1(例えば、15MPa)を生成し、これを油路121を介してセレクト圧ソレノイド弁131及び第2減圧弁102に供給する。
【0026】
セレクト圧ソレノイド弁131は、第1中間圧Pm1からセレクト圧Psを生成し、これをマニュアル弁90に供給する。
【0027】
マニュアル弁90は、セレクトレバー45と機械的に繋がっており、セレクトレバー45の動きに連動して切り換わる。
【0028】
セレクトレバー45がDレンジに操作されると、マニュアル弁90が一方側にストロークし、セレクト圧Psがフォワードクラッチ32のセレクト室(不図示)に供給され、フォワードクラッチ32が締結される。
【0029】
セレクトレバー45がRレンジに操作されると、マニュアル弁90が他方側にストロークし、セレクト圧Psがリバースブレーキ34のセレクト室341に供給され、リバースブレーキ34が締結される。
【0030】
セレクトレバー45がNレンジ又はPレンジに操作されると、マニュアル弁90が中間位置にストロークしてフォワードクラッチ32のセレクト室の油圧及びリバースブレーキ34のセレクト室341の油圧がドレンされ、フォワードクラッチ32及びリバースブレーキ34が開放される。
【0031】
第2減圧弁102は、第1中間圧Pm1を減圧して第2中間圧Pm2(例えば、0.5MPa)を生成し、これを油路122を介してL/Uソレノイド弁201とスイッチ弁203とに供給する。
【0032】
L/Uソレノイド弁201は、第2中間圧Pm2を元圧として、ロックアップ圧PLUを生成する。
【0033】
油路123を介してT/Cレギュレータ弁202の切り換えポート202pにロックアップ圧PLUが供給されると、ロックアップ圧PLUによってT/Cレギュレータ弁202が一方側にストロークし、ロックアップクラッチ2aのアプライ室2apにアプライ圧が供給され、ロックアップクラッチ2aが締結される。
【0034】
これに対し、T/Cレギュレータ弁202の切り換えポート202pにロックアップ圧PLUが供給されないと、バネ力によってT/Cレギュレータ弁202が他方側にストロークし、ロックアップクラッチ2aのリリース室2reにリリース圧が供給され、ロックアップクラッチ2aが開放される。
【0035】
L/Uソレノイド弁201が、ロックアップ圧PLUをT/Cレギュレータ弁202の切り換えポート202pに供給している間は、ロックアップ圧PLUは油路124を介してスイッチ弁203の切り換えポート203pにも供給される。
【0036】
スイッチ弁203の切り換えポート203pにロックアップ圧PLUが供給されると、スイッチ弁203が一方側にストロークし、第2中間圧Pm2がリターン圧Prとしてリバースブレーキ34のリターン室342に供給され、リバースブレーキ34が開放される。
【0037】
これに対し、スイッチ弁203の切り換えポート203pにロックアップ圧PLUが供給されないと、バネ力によってスイッチ弁203が他方側にストロークし、スイッチ弁203からリバースブレーキ34のリターン室342への油圧の供給が停止される。
【0038】
図3はリバースブレーキ34の概略断面図である。
【0039】
リバースブレーキ34は、回転体であるハブ343を制動し、これによって後進状態を実現する後進用摩擦締結装置である。リバースブレーキ34は、複数の第1プレート344と、複数の第2プレート345と、皿バネ346と、ピストン347と、スタンバイスプリング348と、リターンスプリング349とで構成される。
【0040】
第1プレート344は、両側に摩擦材が貼り付けられた金属製の円盤である。第1プレート344は、ハブ343の外周に設けられた軸方向に延びるスプライン溝343gを利用して、ハブ343に対して相対回転不能、かつ、軸方向に変位可能となるようにハブ343に取り付けられている。
【0041】
第2プレート345は金属製の円盤である。第1プレート344と第2プレート345とは互い違いに、すなわち第1プレート344と第2プレート345とが入れ子になるように配置される。第2プレート345は、前後進切換機構3のケース31の内周に設けられた軸方向に延びるスプライン溝31gを利用して、ケース31に対して相対回転不能、かつ、軸方向に変位可能となるようにケース31に取り付けられている。
【0042】
第1プレート344及び第2プレート345は、ケース31に取り付けられるリテーニングプレート351及びスナップリング352によって図中右側から支持され、これによって図中右方向の変位が規制される。
【0043】
ピストン347は、第1プレート344及び第2プレート345に対向する筒状のピストン部347pと、一方の側に第1受圧面347a、他方の側に第2受圧面347bを有する受圧部347rとを有する。受圧部347rとケース31との間にはセレクト室341が画成され、受圧部347rとシリンダプレート350との間にはリターン室342が画成される。セレクト室341はマニュアル弁90からセレクト圧Psが供給される油室であり、リターン室342はスイッチ弁203からリターン圧Prが供給される油室である。
【0044】
スタンバイスプリング348はダイヤフラムスプリングであり、受圧部347rとケース31との間に圧縮した状態で配置される。リターンスプリング349はコイルスプリングであり、受圧部347rとシリンダプレート350との間に圧縮した状態で配置される。
【0045】
ピストン347は、スタンバイスプリング348の付勢力によって第1受圧面347aから第2受圧面347bに向かう方向(図中右方向)に付勢されているとともに、リターンスプリング349の付勢力によって第2受圧面347bから第1受圧面347aに向かう方向(図中左方向)に付勢されている。
【0046】
後述するスタンバイ状態では、スタンバイスプリング348の付勢力とリターンスプリング349の付勢力とが釣り合い、後述するクリアランス拡大状態よりもプレート間の距離が小さくなる位置(第3ピストン位置)にピストン347が保持される。
【0047】
皿バネ346は、ピストン部347pとプレート344、345との間に配置される。皿バネ346は、ピストン部347pを第1プレート344及び第2プレート345に押し付けて第1プレート344と第2プレート345とを接触させ、リバースブレーキ34を締結する際に、プレート間の押付力を連続的に変化させ、締結時のショックを緩和させるためのものである。
【0048】
リバースブレーキ34はこのように構成され、以下に説明するように、セレクト圧Ps、リターン圧Prの供給状態(供給の有無)に応じて図4Aに示す締結状態、図4Bに示すクリアランス拡大状態、図4Cに示すスタンバイ状態の3つの状態を切り換えることができる。
【0049】
図4Aは、締結状態を示している。
【0050】
セレクト室341にセレクト圧Psが供給されて、リターン室342の油圧がドレンされると、第1受圧面347aに作用するセレクト圧Psによってピストン347が第1プレート344と第2プレート345とが相対回転不能な押圧力で接触する位置(第1ピストン位置)までリターンスプリング349の付勢力に抗して移動し、締結状態が実現される。
【0051】
締結状態では、プレート間の摩擦力により、ハブ343とケース31との相対回転が規制される。
【0052】
締結状態は、セレクトレバー45がRレンジに操作されたときに実現される。これは、セレクトレバー45がRレンジに操作されると、マニュアル弁90からセレクト室341にセレクト圧Psが供給されることによる。
【0053】
図4Bは、クリアランス拡大状態を示している。
【0054】
リターン室342にリターン圧Prが供給され、セレクト室341の油圧がドレンされると、第2受圧面347bに作用するリターン圧Prによってピストン347が第1プレート344と第2プレート345とが離間する位置(第2ピストン位置)までスタンバイスプリング348の付勢力に抗して移動し、クリアランス拡大状態が実現される。
【0055】
クリアランス拡大状態では、第1プレート344と第2プレート345とが接触しない。
【0056】
したがって、ハブ343が回転することで第1プレート344が第2プレート345に対して回転しても、第1プレート344と第2プレート345とが擦れることがなく、引きずりによるロス(フリクションロス)を抑えることができる。
【0057】
クリアランス拡大状態は、Dレンジが選択され、かつ、ロックアップクラッチ2aを締結するときに実現される。これは、ロックアップクラッチ2aを締結すべくL/Uソレノイド弁201からのロックアップ圧PLUの供給が開始されると、ロックアップ圧PLUがスイッチ弁203の切り換えポート203pに供給されてスイッチ弁203が切り換えられ、スイッチ弁203からリターン室342にリターン圧Prが供給されることによる。
【0058】
図4Cは、スタンバイ状態を示している。
【0059】
セレクト室341の油圧及びリターン室342の油圧がともにドレンされると、ピストン347に作用するスタンバイスプリング348の付勢力及びリターンスプリング349の付勢力によってピストン347が中立位置(第3ピストン位置)まで移動し、当該位置に保持され、スタンバイ状態が実現される。
【0060】
スタンバイ状態では、第1プレート344と第2プレート345とが接触せず、また、クリアランス拡大状態でピストン347が第2ピストン位置に位置するときのプレート間の距離よりも小さい。例えば、クリアランス拡大状態におけるプレート間の距離の総和を4mmとすれば、スタンバイ状態における同値は2mmである。スタンバイスプリング348の付勢力及びリターンスプリング349の付勢力、すなわち、両者の自然長、ばね係数等は、このような位置関係が実現されるよう設定される。
【0061】
スタンバイ状態は、セレクトレバー45が、Pレンジ又はNレンジに操作されたとき、あるいは、Dレンジでロックアップクラッチ2aが締結されていないときに実現される。これは、Pレンジ又はNレンジに操作されたとき、あるいは、Dレンジでもロックアップクラッチ2aが締結されていないと、セレクト室341の油圧、リターン室342の油圧いずれもドレンされることによる。
【0062】
スタンバイ状態では、プレート間の距離がクリアランス拡大状態での距離よりも小さくなっているので、セレクト室341にセレクト圧Psを供給すれば第1プレート344と第2プレート345との距離を速やかにゼロとし、リバースブレーキ34を高い応答性で締結することができる。
【0063】
このように、本実施形態によれば、図4Aに示す締結状態、図4Bに示すクリアランス拡大状態、図4Cに示すスタンバイ状態の切り換えをセレクト圧Ps、リターン圧Prが供給されているか否かのみによって行うことができ、油圧の微妙な調整が不要である。すなわち、本実施形態によれば、高い油圧制御性を必要とせずとも開放状態におけるプレート間の距離を変更可能な摩擦締結装置を実現することができる(請求項1に対応する効果)。
【0064】
また、本実施形態では、スタンバイ状態をスタンバイスプリング348の付勢力とリターンスプリング349の付勢力との釣り合いにより実現した。これにより、セレクト室341の油圧及びリターン室342の油圧をドレンするだけでスタンバイ状態を自動的に実現することができ、摩擦締結装置に要求される油圧制御性をさらに低くすることができる(請求項2に対応する効果)。
【0065】
また、上記実施形態では、摩擦締結装置をリバースブレーキ34とし、ロックアップクラッチ2aが締結される状況(例えば、ロックアップ車速以上で前進中)では、リバースブレーキ34をクリアランス拡大状態としてプレート間の距離を拡大するようにした。これにより、ロックアップ走行中のリバースブレーキ34におけるフリクションロスを無くし、車両の燃費を向上させることができる(請求項4に対応する効果)。
【0066】
このような構成は、ロックアップクラッチ2aを締結する際にL/Uソレノイド弁201から供給されるロックアップ圧PLUに応じて切り換わるスイッチ弁203を用いれば、スイッチ弁203を設けるだけの簡単かつ部品点数を抑えた構成でありながら、ロックアップ締結時にはリバースブレーキ34のリターン室342に自動的に油圧が供給されるようにすることができる(請求項5に対応する効果)。
【0067】
続いて上記実施形態を一部変形した第2実施形態について説明する。
【0068】
図5図7は上記実施形態の第2実施形態を示している。図3に示したリバースブレーキ34と機能的には同じであり、セレクト圧Ps、リターン圧Prが供給されているか否かに応じて第1実施形態と同じく締結状態、クリアランス拡大状態、スタンバイ状態を切り換えることができるが、ピストン347及びこれを軸方向に付勢する付勢部材の構成が相違している。
【0069】
以下、第1実施形態と同じ構成については同じ符号をつけて説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0070】
ピストン347を第1受圧面347aから第2受圧面347bに向かう方向に付勢する付勢部材は複数のスタンバイスプリング361で構成され、ピストン347を第2受圧面347bから第1受圧面347aに向かう方向に付勢する付勢部材は複数のリターンスプリング362で構成される。スタンバイスプリング361、リターンスプリング362いずれもコイルスプリングである。
【0071】
図6図7に示すように、第1受圧面347aには、スタンバイスプリング361の一部を収容する第1凹部363が軸方向から見て周方向に等間隔に形成されている。また、第2受圧面347bには、リターンスプリング362の一部を収容する第2凹部364が軸方向からみて周方向に等間隔に設けられている。
【0072】
第1凹部363と第2凹部364とは、軸方向からみて重ならない位置に配置されており、本実施形態では、第1凹部363と第2凹部364とが周方向に交互に配置される。
【0073】
また、第1凹部363と第2凹部364とは、周方向からみると、図5に示すように一部が重なっている。言い換えれば、第1凹部363の深さと第2凹部364の深さの和はピストン347の厚みよりも大きい。
【0074】
スタンバイスプリング361は、ケース31と第1凹部363の底面との間に圧縮した状態で配置され、これにより、ピストン347に対して第1受圧面347aから第2受圧面347bに向かう方向の付勢力を作用させる。
【0075】
また、リターンスプリング362は、シリンダプレート350と第2凹部364の底面との間に圧縮した状態で配置され、これにより、ピストン347に対して第2受圧面347bから第1受圧面347aに向かう方向の付勢力を作用させる。
【0076】
セレクト室341、リターン室342いずれにも油圧が供給されていないスタンバイ状態では、スタンバイスプリング361の付勢力とリターンスプリング362の付勢力とが釣り合い、ピストン347は、クリアランス拡大状態よりもプレート間の距離が小さくなる位置(第3ピストン位置)にピストン347が保持される。
【0077】
第2実施形態によれば、第1実施形態の作用効果に加え、スタンバイスプリング361、リターンスプリング362の一部がピストン347に入り込んでいる分、摩擦締結装置の軸方向長さを短くすることができるという作用効果がある(請求項3に対応する作用効果)。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0079】
例えば、上記実施形態は、リバースブレーキ34に本発明を適用した例であるが、本発明はリバースブレーキ34に限らず、クラッチ、ブレーキ等の摩擦締結装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
34 :リバースブレーキ(摩擦締結装置)
90 :マニュアル弁(第1油圧供給部)
203 :スイッチ弁(第2油圧供給部)
344 :第1プレート
345 :第2プレート
347 :ピストン
347a :第1受圧面
347b :第2受圧面
348 :スタンバイスプリング(保持機構、第1付勢部材)
349 :リターンスプリング(保持機構、第2付勢部材)
361 :スタンバイスプリング(保持機構、第1付勢部材)
362 :リターンスプリング(保持機構、第2付勢部材)
363 :第1凹部
364 :第2凹部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7