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特開2017-227268電磁クラッチ、および電磁クラッチの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-227268(P2017-227268A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】電磁クラッチ、および電磁クラッチの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16D 27/112 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   F16D27/112 X
   F16D27/112 N
   F16D27/112 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-123897(P2016-123897)
(22)【出願日】2016年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小西 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】岡本 慎平
(57)【要約】
【課題】電磁クラッチにおいて、ロータ3のうちアーマチャ5に接触するロータ摩擦面331a〜333aが変形することを抑制する。
【解決手段】電磁クラッチは、ロータ3と、ロータ3に対して軸線方向の一方側に配置されて、電磁力によりロータ3に吸引されてロータ3に連結されることによりロータ3とともに回転するアーマチャ5とを備える。ロータ3は、磁性材によって軸線Jを中心とする同心状に形成されている磁性リング31、32、33と、非磁性材によって軸線Jを中心とするリング状に形成されている非磁性リング34、35とを備える。磁性リング333、331と非磁性リング34とが摩擦圧接によって接合されている。磁性リング333、332と非磁性リング35とが摩擦圧接によって接合されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源から出力される回転駆動力によって軸線(J)を中心として回転する駆動側回転体(3)と、前記駆動側回転体に対して軸線方向の一方側に配置されて、電磁力により前記駆動側回転体側に吸引されて前記駆動側回転体に接触されることにより前記駆動側回転体とともに回転する従動側回転体(5)と、を備える電磁クラッチであって、
前記従動側回転体および前記駆動側回転体のうちいずれか一方の回転体は、磁性材によって前記軸線を中心とする環状に形成されて、かつ前記軸線を中心とする径方向に並べられている複数の磁性リング(31、32、33)と、
非磁性材によって前記軸線を中心とするリング状に形成されている非磁性リング(34、35)と、を備え、
前記複数の磁性リングのうち隣り合う2つの前記磁性リングと前記非磁性リングとが接合されている電磁クラッチ。
【請求項2】
前記2つの磁性リングの間は、前記軸線方向の一方側、或いは他方側に凹む凹部(344、355)を形成しており、
前記非磁性リングは、前記凹部に収容されている請求項1に記載の電磁クラッチ。
【請求項3】
駆動源から出力される回転駆動力によって軸線(J)を中心として回転する駆動側回転体(3)と、前記駆動側回転体に対して軸線方向の一方側に配置されて、電磁力により前記駆動側回転体側に吸引されて前記駆動側回転体に接触されることにより前記駆動側回転体とともに回転する従動側回転体(5)と、を備える電磁クラッチの製造方法であって、
磁性材によって前記軸線を中心とする環状に形成され、かつ前記軸線を中心とする径方向に並べられている複数の磁性リング素材(31A、32A、33A)と、非磁性材によって前記軸線を中心とする環状に形成されている非磁性リング素材(34A、35A)とを、前記従動側回転体および前記駆動側回転体のうちいずれか一方の回転体を形成するための回転体素材(3A)として用意する準備工程と、
前記複数の磁性リング素材と前記非磁性リング素材とを加工して前記一方の回転体を形成する加工工程と、を備え、
前記加工工程は、前記複数の磁性リング素材のうち隣り合う2つの磁性リング素材と前記非磁性リング素材とを接合する接合工程を含んでいる電磁クラッチの製造方法。
【請求項4】
前記接合工程は、前記隣り合う2つの磁性リング素材と前記非磁性リング素材とを摩擦圧接により接合させる請求項3に記載の電磁クラッチの製造方法。
【請求項5】
前記準備工程では、凹部、或いは凸部が設けられている前記複数の磁性リング素材と、前記凹部、或いは凸部に嵌め込まれる凸部、或いは凹部が設けられている接合用治具(500)と、を用意し、
前記接合工程では、前記非磁性リング素材の凹部、或いは凸部に前記接合用治具の凸部、或いは凹部に嵌め込んだ状態で、前記軸線を中心として前記接合用治具を回転させることにより、前記軸線を中心として前記非磁性リング素材を回転させて摩擦圧接により前記非磁性リング素材と前記隣り合う2つの磁性リング素材とを接合させる請求項4に記載の電磁クラッチの製造方法。
【請求項6】
前記準備工程では、前記隣り合う2つの磁性リング素材を接続する接続部(400、410)とを有する前記複数の磁性リング素材を用意し、
前記加工工程は、前記用意された前記複数の磁性リング素材において前記隣り合う2つの磁性リング素材に前記非磁性リング素材を接合させる前記接合工程と、
前記非磁性リング素材が接合されている前記隣り合う2つの前記磁性リング素材から前記接続部を除去して2つの磁性リング(31、32、33)を形成する除去工程と、
を有する請求項4または5に記載の電磁クラッチの製造方法。
【請求項7】
前記準備工程では、前記隣り合う2つの磁性リング素材にて前記軸線方向の一方側に凹む凹部(344、355)を形成する前記複数の磁性リング素材を用意し、
前記接合工程では、前記凹部内に前記非磁性リングを配置してから、前記2つの磁性リングと前記非磁性リングとを接合させる請求項6に記載の電磁クラッチの製造方法。
【請求項8】
前記準備工程では、前記凹部の底部(344a、355a)から前記軸線方向の他方側に突出する突起部(600)を形成する前記磁性リング素材を用意し、
前記接合工程では、前記突起部と前記非磁性リング素材とを接合させることにより、前記2つの磁性リング素材と前記非磁性リング素材とを接合させる請求項7に記載の電磁クラッチの製造方法。
【請求項9】
前記準備工程では、前記軸線方向の一方側に突出する突起部を形成する前記非磁性リングを用意し、
前記接合工程では、前記突起部と前記磁性リング素材の凹部の底部とを接合させることにより、前記2つの磁性リング素材と前記非磁性リング素材とを接合させる請求項7に記載の電磁クラッチの製造方法。
【請求項10】
前記準備工程では、前記2つの磁性リングの間にて前記軸線方向の他方側に凹むように形成されている凹部(344、355)を形成する前記磁性リング素材を用意し、
前記加工工程では、前記凹部内に前記非磁性リングを配置してから、前記2つの磁性リングと前記非磁性リングとを接合させる請求項6に記載の電磁クラッチの製造方法。
【請求項11】
前記準備工程では、前記底部から前記軸線方向の一方側に突出する突起部(600)を形成する前記磁性リング素材を用意し、
前記接合工程では、前記突起部と前記非磁性リング素材とを接合させることにより、前記2つの磁性リング素材と前記非磁性リング素材とを接合させる請求項10に記載の電磁クラッチの製造方法。
【請求項12】
前記準備工程では、前記軸線方向の他方側に突出する突起部を形成する前記非磁性リングを用意し、
前記接合工程では、前記突起部と前記磁性リング素材の凹部の底部とを接合させることにより、前記2つの磁性リング素材と前記非磁性リング素材とを接合させる請求項10に記載の電磁クラッチの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁クラッチ、および電磁クラッチの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁クラッチでは、走行用エンジンからベルトを介して出力される回転駆動力によって回転するロータと、電磁力によりロータ側に吸引されてロータに連結されることにより回転して回転駆動力をコンプレッサに伝達するアーマチャとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものにおいて、ロータおよびアーマチャは、それぞれ、磁性材によって軸線を中心とする環状に形成され、かつ軸線を中心とする径方向に並べられている複数の磁性リングと、磁性リングよりも変形抵抗が大きい非磁性材よりなり隣接する2つの磁性リング間に配置された円環状の非磁性リングとを備える。
【0004】
ここで、磁性リングを塑性流動させることにより、非磁性リングに圧縮応力を残留させるとともに隣接する磁性リングと非磁性リングとを連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−126108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の電磁クラッチでは、ロータおよびアーマチャは、それぞれ、磁性リングを塑性流動させることにより隣接する磁性リングと非磁性リングとが連結されているものの、磁性リングと非磁性リングとが溶着されていない。
【0007】
このため、ロータに対して走行用エンジンからベルトを介して出力される回転駆動力が伝わると、ロータにおいて非磁性リングを支点にして磁性リングが変形する。したがって、ロータのうちアーマチャに接触する摩擦面が変形する。よって、ロータ側にアーマチャが吸引されたときにロータとアーマチャとの間に隙間ができ、ロータ側にアーマチャを吸引する吸引力が低下して、ロータからアーマチャに伝達されるトルクが低下する。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、ロータからアーマチャに伝達されるトルクが低下することを抑制するようにした電磁クラッチ、およびこの電磁クラッチを製造するのに適した製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、駆動源から出力される回転駆動力によって軸線(J)を中心として回転する駆動側回転体(3)と、駆動側回転体に対して軸線方向の一方側に配置されて、電磁力により駆動側回転体側に吸引されて駆動側回転体に連結されることにより駆動側回転体とともに回転する従動側回転体(5)と、を備える電磁クラッチであって、
従動側回転体および駆動側回転体のうちいずれか一方の回転体は、磁性材によって軸線を中心とする環状に形成されて、かつ軸線を中心とする径方向に並べられている複数の磁性リング(31、32、33)と、
非磁性材によって軸線を中心とするリング状に形成されている非磁性リング(34、35)と、を備え、
複数の磁性リングのうち隣り合う2つの磁性リングと非磁性リングとが接合されている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、一方の回転体において非磁性リングを支点にして磁性リングが変形することが抑制される。したがって、一方の回転体のうち他方の回転体に接触する部分が変形することが抑制される。よって、従動側回転体を駆動側回転体側に吸引する吸引力が低下することが抑制されるため、駆動側回転体から従動側回転体に伝達されるトルクが低下することが抑制するようにした電磁クラッチを提供することができる。
【0011】
但し、接合とは、2つの磁性リングと非磁性リングとをくっつけることを意味する。2つの磁性リングと非磁性リングとを接合するには、摩擦圧接、ろうづけ、溶接が用いられる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、駆動源から出力される回転駆動力によって軸線(J)を中心として回転する駆動側回転体(3)と、駆動側回転体に対して軸線方向の一方側に配置されて、電磁力により駆動側回転体側に吸引されて駆動側回転体に連結されることにより駆動側回転体とともに回転する従動側回転体(5)と、を備える電磁クラッチの製造方法であって、
磁性材によって軸線を中心とする環状に形成され、かつ軸線を中心とする径方向に並べられている複数の磁性リング素材(31A、32A、33A)と、非磁性材によって軸線を中心とする環状に形成されている非磁性リング素材(34A、35A)とを、従動側回転体および駆動側回転体のうちいずれか一方の回転体を形成するための回転体素材(3A)として用意する準備工程と、
複数の磁性リング素材と非磁性リング素材とを加工して一方の回転体を形成する加工工程と、を備え、
加工工程は、複数の磁性リング素材のうち隣り合う2つの磁性リング素材と非磁性リング素材とを接合する接合工程を含んでいる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明に係る電磁クラッチを製造するのに適した製造方法を提供することができる。
【0014】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態における電磁クラッチの断面構成を示す図である。
図2図1中のX部分の拡大図である。
図3図1中のY部分の拡大図である。
図4A】電磁クラッチに用いられるリング素材を示す斜視図である。
図4B】電磁クラッチに用いられるリング素材を示す斜視図である。
図5】電磁クラッチに用いられるロータ素材を示す斜視図である。
図6】(A)第1実施形態においてロータ素材3Aを用意する工程を示す部分断面図、(B)第1実施形態においてロータ素材3Aにリング素材34Aを接合する工程を示す部分断面図、(C)第1実施形態においてリング素材34Aの余肉を削除する工程を示す部分断面図、(D)第1実施形態においてロータ素材の余肉を削除する工程を示す部分断面図である。
図7】(A)第1実施形態においてロータ素材3Aを用意する工程を示す部分断面図、(B)第1実施形態においてロータ素材3Aにリング素材35Aを接合する工程を示す部分断面図、(C)第1実施形態においてリング素材35Aの余肉を削除する工程を示す部分断面図、(D)第1実施形態においてロータ素材3Aの余肉を削除する工程を示す部分断面図である。
図8】第1実施形態においてロータ素材3Aにリング素材35Aを接合するために用いられる摩擦圧接用の回転用治具を示す図である。
図9】本発明の第2実施形態における電磁クラッチの部分断面図であって、図1中のX部分の拡大図に対応する図である。
図10】本発明の第3実施形態における電磁クラッチの製造工程を示す図であって、ロータ素材の凹部の底部に設けられた突起部を示す図である。
図11】第3実施形態の第1変形例におけるロータ素材の凹部の底部に設けられた突起部を示す図である。
図12】第3実施形態の第2変形例におけるロータ素材の凹部の底部に設けられた突起部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の電磁クラッチの一実施形態について図に基づいて説明する。
【0017】
本実施形態に係る電磁クラッチは、車両用空調装置において、車両の走行用エンジン(駆動源)から出力される回転駆動力を冷媒圧縮機へ断続的に伝達するために用いられる。
【0018】
図1に示すように、電磁クラッチは、電磁石1、ロータ3、アーマチャ5、ハブ7等を有し、軸線Jを中心に回転する。
【0019】
電磁石1は、ステータ11およびコイル12等を有し、コイル12に通電されることによって電磁力を発生させてロータ3とアーマチャ5とを連結させるようになっている。
【0020】
ステータ11は、磁性材(具体的には、鉄)よりなる。また、ステータ11は、軸線Jを中心とする円筒状のステータ外側円筒部111、このステータ外側円筒部111の内周側に配置されるとともに軸線Jを中心とする円筒状のステータ内側円筒部112、並びに、ステータ外側円筒部111およびステータ内側円筒部112における軸線方向一端側同士を結ぶように回転軸垂直方向に広がるとともに、中央部にその表裏を貫通する円形状の貫通穴が形成された円板状のステータ端面部113を有している。
【0021】
つまり、ステータ11は二重円筒構造で構成され、その軸方向断面形状は、軸線Jに対して線対称に位置付けられる2つのコの字形状となり、ステータ外側円筒部111の内周面、ステータ内側円筒部112の外周面およびステータ端面部113の内側面によって、円筒状空間が形成される。そして、その円筒状空間にコイル12が収容されている。
【0022】
コイル12は、絶縁性の樹脂材(具体的には、エポキシ樹脂)でモールディングされた状態でステータ11に固定されており、ステータ11に対して電気的に絶縁されている。
【0023】
コイル12の一端は車体側に電気的に接地されており、コイル12の他端は空調装置の電子制御装置(ECU)100と接続されている。そして、コイル12への通電、非通電の切り換え制御は、電子制御装置100によって行われる。
【0024】
ロータ3は、ロータ外側円筒部31、ロータ内側円筒部32、ロータ端面部33、およびリング(非磁性リング)34、35を備える。
【0025】
ロータ外側円筒部31は、軸線Jを中心とする円筒状に形成されている。ロータ内側円筒部32は、ロータ外側円筒部31の内周側に配置され、かつ軸線Jを中心とする円筒状に形成されている。ロータ端面部33は、軸線Jを中心とする環状に形成されて、かつロータ外側円筒部31およびロータ内側円筒部32における軸線方向一端側同士を結ぶように回転軸垂直方向に広がるとともに、中央部にその表裏を貫通する円形状の貫通穴が形成されている。回転軸垂直方向とは、軸線Jに対して直交する方向である。円環状のリング34、35は、軸線Jを中心とする円環状に形成されている。本実施形態のリング34、35は、ロータ端面部33に対して軸線方向他方側に配置されている。リング34は、リング35に対して軸線Jを中心とする径方向外側に配置されている。
【0026】
つまり、ロータ30は、二重円筒構造で構成されている駆動側回転体である。ロータ30は、その軸方向断面形状は、軸線Jに対して線対称に位置付けられる2つのコの字形状となり、ロータ外側円筒部31の内周面、ロータ内側円筒部32の外周面、およびロータ端面部33の内側面によって、円筒状空間が形成される。そして、その円筒状空間に電磁石1が収容されている。
【0027】
ロータ外側円筒部31、ロータ内側円筒部32、およびロータ端面部33は、磁性材(具体的には、低炭素鋼)よりなり、電磁石1が発生させる電磁力の磁気回路Gを構成する。
【0028】
ロータ端面部33は、軸線Jを中心とする環状に形成されて、かつ軸線Jを中心とする径方向に並べられている複数のプレート331〜333にて構成されている。
【0029】
具体的には、ロータ端面部33は、ロータ外側円筒部31に連なるロータ外側プレート331、ロータ内側円筒部32に連なるロータ内側プレート332、および、ロータ外側プレート331とロータ内側プレート332との間に配置されたロータ中間プレート333にて構成されている。
【0030】
プレート331〜333におけるアーマチャ5側(すなわち、プレート331〜333における反電磁石側)には、ロータ3とアーマチャ5とが連結された際にアーマチャ5と接触するロータ摩擦面331a〜333aが形成されている。
【0031】
ロータ外側プレート331には、軸方向に沿って見たときに円弧状の複数のロータスリット穴331bが形成されている。複数のロータスリット穴331bは、軸線Jを中心とする周方向に並べられている。複数のロータスリット穴331bは、ロータ外側プレート331の軸方向を貫通している。
【0032】
ロータスリット穴331bのうち軸方向一方側に、ロータ摩擦面331a〜333aの摩擦係数を増加させるための摩擦部材331cを配置している。この摩擦部材331cは、非磁性材で形成されており、具体的には、アルミナを樹脂で固めたものや、金属粉末(例えば、アルミニウム粉末)の焼結材を採用できる。
【0033】
ロータ外側プレート331とロータ中間プレート333とは、軸線Jを中心とする円環状の外側溝334および凹部344を形成している(図2参照)。凹部344は、外側溝334に対して軸線方向他方側に配置されている。凹部344は、軸線方向一方側に凹むように形成されている。外側溝334は、凹部344の底部344aに開口している。凹部344の底部344aは、プレート331、333によって構成されている。
【0034】
凹部344には、外側リング34が収納されている。外側リング34は、軸線Jを中心として円環状に形成されている。外側リング34は、凹部344の底部344aに摩擦圧接によって接合されている。プレート331、333は、ロータ外側プレート331とロータ中間プレート333を総称したものである。
【0035】
外側リング34のうち軸線方向他方側端部は、プレート331、333のうち軸線方向他方側端部に対して軸線方向において同一位置に配置されている。
【0036】
さらに、ロータ中間プレート333とロータ内側プレート332とは、軸線Jを中心とする円環状の内側溝335および凹部355(図3参照)を形成している。凹部355は、内側溝335に対して軸線方向他方側に配置されている。凹部355は、軸線方向一方側に凹むように形成されている。内側溝335は、凹部355の底部355aに開口している。凹部355の底部355aは、プレート332、333によって構成されている。
【0037】
凹部355には、内側リング35が収納されている。内側リング35は、軸線Jを中心として円環状に形成されている。内側リング35は、凹部355の底部355aに摩擦圧接により接合されている。プレート333、332は、ロータ中間プレート333とロータ内側プレート332を総称したものである。
【0038】
内側リング35のうち軸線方向他方側端部は、プレート332、333のうち軸線方向他方側端部に対して軸線方向において同一位置に配置されている。
【0039】
これらのリング34、35は、プレート331〜333の材料よりも変形抵抗が大きい非磁性材(具体的には、銅、アルミ、SUS304)よりなる。また、リング34、35は、切断されることなく、軸線Jを中心とする周方向に連続した形状になっている。
【0040】
図1に示すように、ロータ外側円筒部31の外周側には、Vベルト(図示せず)が掛けられるV溝(具体的には、ポリV溝)が形成されている。Vベルトは、エンジンから出力される回転駆動力をロータ3に伝達する。
【0041】
ロータ内側円筒部32の内周側には、ボールベアリング36の外周側が固定され、ボールベアリング36の内周側には、冷媒圧縮機(図示せず)の外殻を形成するハウジングから電磁クラッチ側へ突出した円筒状のボス部(図示せず)が固定される。これにより、ロータ3は、冷媒圧縮機のハウジングに対して回転自在に固定される。
【0042】
アーマチャ5は、回転軸垂直方向に広がるとともに、中央部にその軸線方向を貫通する円形状の貫通穴が形成された円板状の従動側回転体である。そして、アーマチャ5におけるロータ3側には、ロータ3とアーマチャ5とが連結された際にロータ摩擦面331a〜333aと接触するアーマチャ摩擦面51が形成されている。アーマチャ5は、磁性材(具体的には、低炭素鋼)にて形成されており、電磁石1が発生させる電磁力の磁気回路を構成する。なお、アーマチャ5は、本発明の従動側回転体或いは回転体に相当する。
【0043】
アーマチャ5には、軸方向に沿って見たときに径方向に2列に並んだ円弧状のアーマチャスリット穴52、53が、アーマチャ5の周方向に沿って複数個形成されている。このアーマチャスリット穴52、53は、アーマチャ5の軸線方向を貫通している。
【0044】
径方向外側の外側アーマチャスリット穴52は、ロータスリット穴331bと外側溝334との間に位置付けられている。すなわち、外側アーマチャスリット穴52は、ロータスリット穴331bの内周側であって、かつ、外側溝334の外周側に位置付けられている。
【0045】
径方向内側の内側アーマチャスリット穴53は、外側溝334と内側溝335との間に位置付けられている。すなわち、内側アーマチャスリット穴53は、外側溝334の内周側であって、かつ、内側溝335の外周側に位置付けられている。
【0046】
ハブ7は、アーマチャ5と冷媒圧縮機とを連結するもので、アウターハブ71、インナーハブ72、およびダンパ73等を有している。
【0047】
アーマチャ5における反ロータ側には平面部が形成されており、この平面部にアウターハブ71がリベット等によって固定されている。インナーハブ72は、冷媒圧縮機の軸に結合される。
【0048】
アウターハブ71とインナーハブ72は、それぞれ軸線方向に延びる円筒部711、721を有しており、アウターハブ71の円筒部711およびインナーハブ72の円筒部721には、ゴムよりなる円筒状のダンパ73が加硫接着されている。
【0049】
これにより、アーマチャ5、アウターハブ71、ダンパ73、インナーハブ72、冷媒圧縮機の軸が連結され、ロータ3とアーマチャ5が連結されると、アーマチャ5、ハブ7、冷媒圧縮機の軸がロータ3とともに回転する。
【0050】
また、ダンパ73は、アウターハブ71に対してロータ3から離れる方向に弾性力を作用させている。この弾性力により、コイル12に通電されていないときには、ロータ摩擦面331a〜333aとアーマチャ摩擦面51との間に隙間が形成される。
【0051】
次に、本実施形態の作動について説明する。電子制御装置100が制御電圧を出力しておらず電磁石1が非通電状態になっている場合には、電磁石1が電磁力を発生しないので、ロータ3とアーマチャ5とがダンパ73の弾性力によって切り離される。従って、エンジンの回転駆動力は冷媒圧縮機へ伝達されない。その結果、冷凍サイクル装置は作動しない。
【0052】
電子制御装置100が制御電圧を出力して電磁石1を通電状態にした場合には、ロータ3、アーマチャ5、および電磁石1の間で磁束が流れる磁気回路Gが形成される。このため、磁気回路Gによって発生される電磁力がダンパ73の弾性力を上回り、電磁力によりアーマチャ5がロータ3側に吸引されてロータ摩擦面331a〜333aとアーマチャ摩擦面51が圧接され、ロータ3とアーマチャ5とが連結される。
【0053】
したがって、エンジンの回転駆動力は、ロータ3、アーマチャ5、およびハブ7を介して冷媒圧縮機へ伝達される。これにより、冷凍サイクル装置が作動する。
【0054】
次に、ロータ3の製造方法について、図4A図4B図5図6(A)〜(D)、図7(A)〜(D)、図8に基づいて説明する。
【0055】
まず、リング素材34A、35Aと、ロータ素材3Aとを用意する(図4A図4B図5参照)。
【0056】
リング素材34Aは、後述する加工工程を経てリング34が形成される素材である。リング素材35Aは、後述する加工工程を経てリング35が形成される素材である。
【0057】
ロータ素材3Aは、後述する加工工程を経てロータ外側円筒部31が形成されるロータ素材外側円筒部31A、後述する加工工程を経てロータ内側円筒部32が形成されるロータ素材内側円筒部32A、および、後述する加工工程を経てロータ端面部33が形成されるロータ素材端面部33Aを備えている(図5参照)。
【0058】
続いて、切削またはコイニング等により、ロータ素材端面部33Aに、外側溝334、凹部344、内側溝335、および凹部355を形成する。この時点では、外側溝334、および内側溝335、は、ロータ素材端面部33Aの軸線方向一方側に開口していない形状になっている。
【0059】
図6(A)に示すように、この時点での外側溝334は、接続部400によって軸線方向一方側から塞がれている。接続部400は、プレート素材331Aとプレート素材333Aとを接続している部材である。
【0060】
図7(A)に示すように、この時点での内側溝335は、接続部410によって軸線方向一方側から塞がれている。接続部410は、プレート素材332Aとプレート素材333Aとを接続している部材である。
【0061】
ここで、プレート素材331Aは、後述する加工工程を経てロータ外側プレート331が形成される素材である。プレート素材332Aは、後述する加工工程を経てロータ外側プレート332が形成される素材である。プレート素材333Aは、後述する加工工程を経てロータ中間プレート333が形成される素材である。
【0062】
続いて、図7(B)、図6(B)に示すように、凹部355、344にリング素材35A、34Aを配置する。
【0063】
ここで、リング素材34Aのうち軸線方向他方側には、周方向に並べられている複数の凹部300が設けられている。リング素材35Aのうち軸線方向他方側には、周方向に並べられている複数の凹部301(図4A参照)が設けられている。
【0064】
この際に、リング素材34Aの複数の凹部300とリング素材35Aの複数の凹部301とに摩擦圧接用の回転用治具500の凸部501を嵌め込む(図8参照)。これに加えて、回転用治具500を矢印Hの如く、軸線Jを中心として回転させる。この際に、リング素材34A、35Aは、矢印Fa、Fbの如く、回転用治具500から軸線方向一方側に押し付けられた状態で、軸線Jを中心として回転する。
【0065】
これにより、リング素材34Aと凹部344の底部344aとが摩擦圧接により接合される(図6(B)参照)。凹部355の底部355aとリング素材35Aとが摩擦圧接により接合される(図7(B)参照)。
【0066】
続いて、図6(C)に示すように、リング素材34Aにおける軸線方向他方側の余肉を、切削等により除去形成する。これにより、リング素材34のうち軸線方向他方側端部とプレート素材331A、333Aのそれぞれの軸線方向他方側端部とが軸線方向において同一位置になる。このことにより、リング素材34Aの凹部344内に収納されたリング34が形成されることになる。
【0067】
このとき、図7(C)に示すように、リング素材35Aにおける軸線方向他方側の余肉を、切削等により除去形成する。これにより、リング素材35のうち軸線方向他方側端部とプレート素材333A、332Aのそれぞれの軸線方向他方側端部とが軸線方向において同一位置になる。このことにより、リング素材35Aの凹部355内に収納されたリング35が形成されることになる。
【0068】
さらに、図6(D)に示すように、リング素材34Aにおける軸線方向一方側の余肉を、切削等により除去形成して、外側溝334を軸線方向一方側に開口させる。このことにより、リング34が形成されることになる。
【0069】
図7(D)に示すように、リング素材35Aにおける軸線方向一方側の余肉を、切削等により除去形成して、外側溝334を軸線方向一方側に開口させる。このことにより、プレート333、332が形成されることになる。その後、ロータ素材3Aにおける他の部位の切削加工等を行い、ロータ3を最終形状に仕上げる。
【0070】
以上説明した本実施形態によれば、電磁クラッチは、走行用エンジンから出力される回転駆動力によって軸線Jを中心として回転するロータ3と、ロータ3に対して軸線方向の一方側に配置されて、電磁力によりロータ3に吸引されてロータ3に連結されることによりロータ3とともに回転するアーマチャ5とを備える。
【0071】
ロータ3は、磁性材によって軸線Jを中心とする同心状に形成されている磁性リング31、32、33と、非磁性材によって軸線Jを中心とするリング状に形成されている非磁性リング34、35とを備える。
【0072】
ここで、磁性リング333、331と非磁性リング34とが摩擦圧接によって接合されている。磁性リング333、332と非磁性リング35とが摩擦圧接によって接合されている。これにより、ロータ3のうちアーマチャ5に接触するロータ摩擦面331a〜333aが変形することが抑制される。
【0073】
よって、ロータ3側にアーマチャ5を吸引する吸引力が低下することを未然に防ぐことができる。したがって、ロータ3からアーマチャ5に伝達されるトルクが低下することを未然に防ぐことができる。
【0074】
本実施形態では、ロータ3において、外側リング34が凹部344に収納され、内側リング35が凹部355に収納されている。このため、ロータ3の軸線方向の寸法を小さくすることができる。
【0075】
本実施形態では、リング素材34A、35Aには、摩擦圧接用の回転用治具500の凸部501が嵌る複数の凹部301が設けられている。このため、回転用治具500を回転させてリング素材34A、35Aを回転させる際に、回転用治具500の回転力をリング素材34A、35Aに良好に伝えることができる。
【0076】
ここで、リング素材34A、35Aと摩擦圧接用の回転用治具500とを嵌合しない構造の場合には、回転用治具500の回転が終了する前に、リング素材34A、35Aがロータ素材3Aに固着すると、摩擦圧接用の回転用治具500のうちリング素材34A、35Aを保持する機構に破損が生じる恐れがある。
【0077】
これに対して、本実施形態では、回転用治具500の回転が終了する前に、リング素材34A、35Aがロータ素材3Aに固着した場合でも、回転用治具500からリング素材34A、35Aへ回転トルクが良好に伝達される。これにより、リング素材34A、35Aをロータ素材3Aから離すことができる。このため、摩擦圧接用の回転用治具500のうちリング素材34A、35Aを保持する機構に破損が生じることを未然に防ぐことができる。
【0078】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、ロータ3において外側溝334に対して軸線方向他方側にリング34を配置した例について説明したが、これに代えて、外側溝334に対して軸線方向一方側にリング34を配置してもよい(図9参照)。
【0079】
この場合、ロータ3のプレート331、333において、リング34を収納する凹部344を外側溝334に対して軸線方向一方側に設けることになる。
【0080】
同様に、ロータ3において内側溝335に対して軸線方向他方側にリング35を配置する場合に限らず、内側溝335に対して軸線方向一方側にリング35を配置してもよい。
【0081】
この場合、ロータ3のプレート331、332において、リング35を収納する凹部355を内側溝335に対して軸線方向一方側に設けることになる。
【0082】
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、ロータ素材外側円筒部31Aのプレート素材331Aの凹部344の底部344aに対してリング素材34Aを摩擦圧接により接合した例について説明したが、これに代えて、プレート素材331Aの凹部344の底部344aに突起部600(図10参照)が設けられているロータ素材3Aを用意し、ロータ素材3Aの突起部600に対して外側リング34を摩擦圧接により接合してもよい。
【0083】
この場合、プレート素材331Aの凹部344の底部344aと突起部600とは同一材料によって連続的に形成されている。
【0084】
このことにより、プレート素材331Aの凹部344の突起部600に外側リング34を摩擦圧接により接合させることにより、突起部600と外側リング34との間の摩擦によって発生した熱が突起部600から分散することを未然に防ぐことができるので、凹部344の底部344aに外側リング34を確実に接合することができる。
【0085】
突起部600は、軸線方向他方側に突出して、かつ外側溝334を囲む環状に形成されている。本実施形態の突起部600の断面形状は、四角形になっている。
【0086】
同様に、ロータ素材3Aの凹部355の底部355aに突起部が設けられているロータ素材3Aを用意し、突起部に内側リング35を摩擦圧接により接合してもよい。突起部は、軸線方向他方側に突出して、かつ内側溝335を囲む環状に形成されている。
【0087】
(第3実施形態の第1変形例)
上記第3実施形態では、突起部600の断面形状を四角形にした例について説明したが、これに代えて、図11に示すように、突起部600の断面形状を三角形にしてもよい。
【0088】
(第3実施形態の第2変形例)
上記第3実施形態では、突起部600の断面形状を四角形にした例について説明したが、これに代えて、図12に示すように、突起部600の断面形状を半円形にしてもよい。
【0089】
或いは、突起部600の断面形状を三角形、半円形に代えて、楕円形などの各種の形状にしてもよい。
【0090】
(他の実施形態)
(1)上記第1〜第3実施形態、および第1、第2変形例では、ロータ素材3Aにおいて軸線方向一方側に凹む凹部344(355)の底部に突起部600を設けた例について説明したが、これに代えて、次の(a)、(b)、(c)のようにしてもよい。
【0091】
(a)図9に示すようにロータ素材3Aにおいて軸線方向他方側に凹む凹部344(355)を設けた場合には、リング素材34A(35A)から軸線方向他方側に突出して、かつ外側溝334を囲む環状に形成されている突起部600を採用する。
【0092】
(b)ロータ素材3Aにおいて軸線方向他方側に凹む凹部344(355)を設けた場合には、凹部344(355)の底部から軸線方向一方側に突出して、かつ外側溝334を囲む環状に形成されている突起部600を採用する。
【0093】
(c)ロータ素材3Aにおいて軸線方向一方側に凹む凹部344(355)を設けた場合には、リング素材34A(35A)から軸線方向一方側に突出して、かつ外側溝334を囲む環状に形成されている突起部600を採用する。
【0094】
(2)上記第1〜第3実施形態では、ロータ3において磁性リング31、32、33のうち隣り合う2つの磁性リングに非磁性リング34、35を接合した例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
【0095】
すなわち、複数の磁性リングと非磁性リングとを備えるアーマチャ5を採用し、アーマチャ5において、複数の磁性リングのうち隣り合う2つの磁性リングに非磁性リングを接合してもよい。
【0096】
これにより、アーマチャ5のうちロータ3に接触するアーマチャ摩擦面51が変形することが抑制される。よって、ロータ3側にアーマチャ5が吸引されたときロータ3とアーマチャ5との間に隙間ができ、ロータ3側にアーマチャ5を吸引する吸引力が低下することを未然に防ぐことができる。したがって、ロータ3からアーマチャ5に伝達されるトルクが低下することを未然に防ぐことができる。
【0097】
(3)上記第1〜第3実施形態において、ロータ素材3Aに対してリング素材34A、35Aを同一工程で接合した例について説明したが、これに代えて、ロータ素材3Aに対してリング素材34Aを接合する工程とロータ素材3Aに対してリング素材35Aを接合する工程とを分けてもよい。
【0098】
(4)上記第1〜第3実施形態において、リング素材34A、35Aに、摩擦圧接用の回転用治具500の凸部501を嵌める凹部301を設けた例について説明したが、これに代えて、リング素材34A、35Aに凸部を設け、凸部が嵌る凹部を摩擦圧接用の回転用治具500に設けてもよい。
【0099】
(5)上記第1〜第3実施形態において、ロータ素材外側円筒部31A、ロータ素材内側円筒部32A、およびロータ素材端面部33Aのうち隣り合う2つの素材とリング素材34A、35Aとを接合するために、摩擦圧接を用いた例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
【0100】
すなわち、ロータ素材外側円筒部31A、ロータ素材内側円筒部32A、およびロータ素材端面部33Aのうち隣り合う2つの素材とリング素材34A、35Aとを接合するために、ろうづけ、或いは溶接を用いてもよい。
【0101】
(6)上記第1〜第3実施形態では、ロータ外側円筒部31、ロータ内側円筒部32、およびロータ端面部33のうち隣り合う2つの磁性リングとリング34、35とが接合されているロータ3を用いた例について説明したが、次のように、アーマチャ(従動側回転体)5を構成してもよい。
【0102】
すなわち、磁性材によって軸線Jを中心とする環状に形成されて、かつ軸線Jを中心とする径方向に並べられている複数の磁性リングと、非磁性材によって軸線Jを中心とするリング状に形成されている非磁性リングとを有して構成されるアーマチャ5を採用する。そして、複数の磁性リングのうち隣り合う2つの磁性リングと非磁性リングとを接合してアーマチャ5を構成する。
【0103】
この場合、ロータ3の場合と同様に、上記第2、第3実施形態、第3実施形態の第1変形例、第2変形例、および他の実施形態(1)〜(5)のいずれかを適宜組み合わせてアーマチャ5を構成してもよい。
【0104】
(7)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0105】
(まとめ)
上記一実施形態、および他の実施形態の一部または全部に記載された第1の観点によれば、
駆動源から出力される回転駆動力によって軸線を中心として回転する駆動側回転体と、駆動側回転体に対して軸線方向の一方側に配置されて、電磁力により駆動側回転体側に吸引されて駆動側回転体に接触されることにより駆動側回転体とともに回転する従動側回転体と、を備える電磁クラッチであって、従動側回転体および駆動側回転体のうちいずれか一方の回転体は、磁性材によって軸線を中心とする環状に形成されて、かつ軸線を中心とする径方向に並べられている複数の磁性リングと、非磁性材によって軸線を中心とするリング状に形成されている非磁性リングと、を備え、複数の磁性リングのうち隣り合う2つの磁性リングと非磁性リングとが接合されている。
【0106】
第2の観点によれば、2つの磁性リングの間は、軸線方向の一方側、或いは他方側に凹む凹部を形成しており、非磁性リングは、凹部に収容されている。
【0107】
これにより、電磁クラッチの軸線方向の寸法を小さくすることができる。
【0108】
第3の観点によれば、駆動源から出力される回転駆動力によって軸線を中心として回転する駆動側回転体と、駆動側回転体に対して軸線方向の一方側に配置されて、電磁力により駆動側回転体側に吸引されて駆動側回転体に接触されることにより駆動側回転体とともに回転する従動側回転体と、を備える電磁クラッチの製造方法であって、
磁性材によって軸線を中心とする環状に形成され、かつ軸線を中心とする径方向に並べられている複数の磁性リング素材と、非磁性材によって軸線を中心とする環状に形成されている非磁性リング素材とを、従動側回転体および駆動側回転体のうちいずれか一方の回転体を形成するための回転体素材として用意する準備工程と、複数の磁性リング素材と非磁性リング素材とを加工して一方の回転体を形成する加工工程と、を備え、加工工程は、複数の磁性リング素材のうち隣り合う2つの磁性リング素材と非磁性リング素材とを接合する接合工程を含んでいる。
【0109】
第4の観点によれば、接合工程は、隣り合う2つの磁性リング素材と非磁性リング素材とを摩擦圧接により接合させる。
【0110】
第5の観点によれば、準備工程では、凹部、或いは凸部が設けられている複数の磁性リング素材と、凹部、或いは凸部に嵌め込まれる凸部、或いは凹部が設けられている接合用治具と、を用意し、
接合工程では、非磁性リング素材の凹部、或いは凸部に接合用治具の凸部、或いは凹部に嵌め込んだ状態で、軸線を中心として接合用治具を回転させることにより、軸線を中心として非磁性リング素材を回転させて摩擦圧接により非磁性リング素材と隣り合う2つの磁性リング素材とを接合させる。
【0111】
これにより、接合用治具から非磁性リング素材に対して回転駆動力を効率的に伝達することができるので、非磁性リング素材と隣り合う2つの磁性リング素材とを良好に接合させることができる。
【0112】
第6の観点によれば、準備工程では、隣り合う2つの磁性リング素材を接続する接続部とを有する複数の磁性リング素材を用意し、
加工工程は、用意された複数の磁性リング素材において隣り合う2つの磁性リング素材に非磁性リング素材を接合させる接合工程と、
非磁性リング素材が接合されている隣り合う2つの磁性リング素材から接続部を除去して2つの磁性リングを形成する除去工程と、を有する。
【0113】
第7の観点によれば、準備工程では、隣り合う2つの磁性リング素材にて軸線方向の一方側に凹む凹部を形成する複数の磁性リング素材を用意し、接合工程では、凹部内に非磁性リングを配置してから、2つの磁性リングと非磁性リングとを接合させる。
【0114】
第8の観点によれば、準備工程では、凹部の底部から軸線方向の他方側に突出する突起部を形成する磁性リング素材を用意し、接合工程では、突起部と非磁性リング素材とを接合させることにより、2つの磁性リング素材と非磁性リング素材とを接合させる。
【0115】
これにより、非磁性リング素材および磁性リング素材の摩擦により発生した熱が拡散することを抑制することができる。このため、2つの磁性リング素材と非磁性リング素材とを良好に接合させることができる。
【0116】
第9の観点によれば、準備工程では、軸線方向の一方側に突出する突起部を形成する非磁性リングを用意し、接合工程では、突起部と磁性リング素材の凹部の底部とを接合させることにより、2つの磁性リング素材と前記非磁性リング素材とを接合させる。
【0117】
これにより、非磁性リング素材および磁性リング素材の摩擦により発生した熱が拡散することを抑制することができる。このため、2つの磁性リング素材と非磁性リング素材とを良好に接合させることができる。
【0118】
第10の観点によれば、準備工程では、2つの磁性リングの間にて軸線方向の他方側に凹むように形成されている凹部を形成する磁性リング素材を用意し、加工工程では、凹部内に非磁性リングを配置してから、2つの磁性リングと非磁性リングとを接合させる。
【0119】
第11の観点によれば、準備工程では、底部から軸線方向の一方側に突出する突起部(600)を形成する磁性リング素材を用意し、接合工程では、突起部と非磁性リング素材とを接合させることにより、2つの磁性リング素材と非磁性リング素材とを接合させる。
【0120】
第12の観点によれば、 準備工程では、軸線方向の他方側に突出する突起部を形成する非磁性リングを用意し、接合工程では、突起部と磁性リング素材の凹部の底部とを接合させることにより、2つの磁性リング素材と非磁性リング素材とを接合させる。
【符号の説明】
【0121】
1 電磁石
3 ロータ(駆動側回転体)
5 アーマチャ(従動側回転体)
31 ロータ外側円筒部
32 ロータ内側円筒部
33 ロータ端面部
334 外側溝
344 凹部
335 内側溝
355 凹部
34、35 リング
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12