特開2017-227366(P2017-227366A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-227366(P2017-227366A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】エジェクタ式冷凍サイクル
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   F25B1/00 389A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2016-122859(P2016-122859)
(22)【出願日】2016年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001472
【氏名又は名称】特許業務法人かいせい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】桑原 幹治
(57)【要約】
【課題】除湿暖房を行う空調装置に適用されるエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、冷凍機油が熱交換器に滞留してしまうことを抑制しつつ、除湿暖房時の送風空気の温度調整範囲を拡大する。
【解決手段】第1除湿暖房モード時には、室内凝縮器12→第2流量調整弁15b→室外熱交換器17→第5流量調整弁15e→室内蒸発器21の順に冷媒を流し、第2除湿暖房モード時には、室内凝縮器12→第5流量調整弁15e→室内蒸発器21→第2流量調整弁15b→室外熱交換器17の順に冷媒を流す。さらに、第1、第2除湿暖房モード時の室外熱交換器17における冷媒の流れ方向と暖房モード時の室外熱交換器における冷媒の流れ方向が異なっており、第1、第2除湿暖房モード時の室内蒸発器21における冷媒の流れ方向と冷房モード時の室内蒸発器21における冷媒の流れ方向が異なっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置に適用されるエジェクタ式冷凍サイクルであって、
冷凍機油が混入された冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
前記圧縮機から吐出された高圧冷媒を熱源として空調対象空間に送風される送風空気を加熱する加熱用熱交換器(12)と、
前記加熱用熱交換器下流側の冷媒を減圧させる第1減圧装置(15b)と、
前記第1減圧装置から流出した冷媒を外気と熱交換させる室外熱交換器(17)と、
前記加熱用熱交換器下流側の冷媒を減圧させる第2減圧装置(15e)と、
前記第2減圧装置から流出した冷媒を蒸発させて前記加熱用熱交換器通過前の前記送風空気を冷却する冷却用熱交換器(21)と、
前記加熱用熱交換器下流側の冷媒を減圧させる加熱側ノズル部(16a)から噴射された加熱側噴射冷媒の吸引作用によって加熱側冷媒吸引口(16c)から冷媒を吸引し、前記加熱側噴射冷媒と前記加熱側冷媒吸引口から吸引された加熱側吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる加熱側昇圧部(16d)を有する加熱側エジェクタ(16)と、
前記加熱側昇圧部から流出した冷媒の気液を分離する加熱側気液分離器(19)と、
冷媒回路を切り替える冷媒回路切替装置(13a、13b、18a、18b)と、を備え、
前記冷媒回路切替装置は、
前記冷却用熱交換器にて冷却された前記送風空気を前記加熱用熱交換器にて再加熱する第1除湿暖房モードでは、前記加熱用熱交換器から流出した冷媒を、前記第1減圧装置→前記室外熱交換器→前記第2減圧装置→前記冷却用熱交換器→前記圧縮機の順に流通させる冷媒回路に切り替え、
前記冷却用熱交換器にて冷却された前記送風空気を前記加熱用熱交換器にて再加熱する第2除湿暖房モードでは、前記加熱用熱交換器から流出した冷媒を、前記第2減圧装置→前記冷却用熱交換器→前記第1減圧装置→前記室外熱交換器→前記圧縮機の順に流通させる冷媒回路に切り替え、
前記送風空気を前記加熱用熱交換器にて加熱する暖房モードでは、前記加熱用熱交換器から流出した冷媒を、前記加熱側ノズル部へ流入させ、前記加熱側気液分離器から流出した気相冷媒を前記圧縮機へ吸入させるとともに、前記加熱側気液分離器から流出した液相冷媒を前記室外熱交換器へ流入させ、前記室外熱交換器から流出した冷媒を前記加熱側冷媒吸引口から吸引させる冷媒回路に切り替えるものであり、
前記第1除湿暖房モード時の前記室外熱交換器における冷媒の流れ方向と前記第2除湿暖房モード時の前記室外熱交換器における冷媒の流れ方向が同一になっており、
前記第1除湿暖房モード時の前記室外熱交換器における冷媒の流れ方向と前記暖房モード時の前記室外熱交換器における冷媒の流れ方向が異なっているエジェクタ式冷凍サイクル。
【請求項2】
前記室外熱交換器の内部に形成される冷媒通路は、前記暖房モード時における冷媒入口側から冷媒出口側へ向かうに伴って通路断面積が縮小している請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
【請求項3】
さらに、前記加熱用熱交換器下流側の冷媒を減圧させる冷却側ノズル部(22a)から噴射された冷却側噴射冷媒の吸引作用によって冷却側冷媒吸引口(22c)から冷媒を吸引し、前記冷却側噴射冷媒と前記冷却側冷媒吸引口から吸引された冷却側吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる冷却側昇圧部(22d)を有する冷却側エジェクタ(22)と、
前記冷却側昇圧部から流出した冷媒の気液を分離する冷却側気液分離器(23)と、を備え、
前記冷媒回路切替装置は、
前記送風空気を前記冷却用熱交換器にて冷却する冷房モードでは、前記室外熱交換器から流出した冷媒を、前記冷却側ノズル部へ流入させ、前記冷却側気液分離器から流出した気相冷媒を前記圧縮機へ吸入させるとともに、前記冷却側気液分離器から流出した液相冷媒を前記冷却用熱交換器へ流入させ、前記冷却用熱交換器から流出した冷媒を前記冷却側冷媒吸引口へ吸入させる冷媒回路に切り替えるものであり、
前記第1除湿暖房モード時の前記冷却用熱交換器における冷媒の流れ方向と前記第2除湿暖房モード時の前記冷却用熱交換器における冷媒の流れ方向が同一になっており、
前記第1除湿暖房モード時の前記冷却用熱交換器における冷媒の流れ方向と前記冷房モード時の前記冷却用熱交換器における冷媒の流れ方向が異なっている請求項1または2に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
【請求項4】
空調装置に適用されるエジェクタ式冷凍サイクルであって、
冷凍機油が混入された冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
前記圧縮機から吐出された高圧冷媒を熱源として空調対象空間に送風される送風空気を加熱する加熱用熱交換器(12)と、
前記加熱用熱交換器下流側の冷媒を減圧させる第1減圧装置(15b)と、
前記第1減圧装置から流出した冷媒を外気と熱交換させる室外熱交換器(17)と、
前記加熱用熱交換器下流側の冷媒を減圧させる第2減圧装置(15e)と、
前記第2減圧装置から流出した冷媒を蒸発させて前記加熱用熱交換器通過前の前記送風空気を冷却する冷却用熱交換器(21)と、
前記加熱用熱交換器下流側の冷媒を減圧させる冷却側ノズル部(22a)から噴射された冷却側噴射冷媒の吸引作用によって冷却側冷媒吸引口(22c)から冷媒を吸引し、前記冷却側噴射冷媒と前記冷却側冷媒吸引口から吸引された冷却側吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる冷却側昇圧部(22d)を有する冷却側エジェクタ(22)と、
前記冷却側昇圧部から流出した冷媒の気液を分離する冷却側気液分離器(23)と、
冷媒回路を切り替える冷媒回路切替装置(13a、13b、18a、18b)と、を備え、
前記冷媒回路切替装置は、
前記冷却用熱交換器にて冷却された前記送風空気を前記加熱用熱交換器にて再加熱する第1除湿暖房モードでは、前記加熱用熱交換器から流出した冷媒を、前記第1減圧装置→前記室外熱交換器→前記第2減圧装置→前記冷却用熱交換器→前記圧縮機の順に流通させる冷媒回路に切り替え、
前記冷却用熱交換器にて冷却された前記送風空気を前記加熱用熱交換器にて再加熱する第2除湿暖房モードでは、前記加熱用熱交換器から流出した冷媒を、前記第2減圧装置→前記冷却用熱交換器→前記第1減圧装置→前記室外熱交換器→前記圧縮機の順に流通させる冷媒回路に切り替え、
前記送風空気を前記冷却用熱交換器にて冷却する冷房モードでは、前記室外熱交換器から流出した冷媒を、前記冷却側ノズル部へ流入させ、前記冷却側気液分離器から流出した気相冷媒を前記圧縮機へ吸入させるとともに、前記冷却側気液分離器から流出した液相冷媒を前記冷却用熱交換器へ流入させ、前記冷却用熱交換器から流出した冷媒を前記冷却側冷媒吸引口から吸引させる冷媒回路に切り替えるものであり、
前記第1除湿暖房モード時の前記冷却用熱交換器における冷媒の流れ方向と前記第2除湿暖房モード時の前記冷却用熱交換器における冷媒の流れ方向が同一になっており、
前記第1除湿暖房モード時の前記冷却用熱交換器における冷媒の流れ方向と前記冷房モード時の前記冷却用熱交換器における冷媒の流れ方向が異なっているエジェクタ式冷凍サイクル。
【請求項5】
前記冷却用熱交換器の内部に形成される冷媒通路は、前記冷房モード時における冷媒入口側から冷媒出口側へ向かうに伴って通路断面積が縮小している請求項3または4に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エジェクタを備えるエジェクタ式冷凍サイクルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に、冷媒減圧装置としてエジェクタを備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置であるエジェクタ式冷凍サイクルが開示されている。
【0003】
この特許文献1のエジェクタ式冷凍サイクルは、空調装置に適用されている。さらに、特許文献1のエジェクタ式冷凍サイクルは、空調対象空間へ送風される送風空気を冷却する冷房モードの冷媒回路、送風空気を加熱する暖房モードの冷媒回路、冷却して除湿した送風空気を再加熱する弱除湿暖房モードの冷媒回路等を切替可能に構成されている。
【0004】
より詳細には、特許文献1のエジェクタ式冷凍サイクルでは、弱除湿暖房モード時に、加熱用熱交換器である室内凝縮器、室外熱交換器、冷却用熱交換器である室外蒸発器を冷媒流れに対して直列的に接続する冷媒回路に切り替えている。そして、室内蒸発器にて送風空気を冷却して除湿し、除湿した送風空気を室内凝縮器にて再加熱している。
【0005】
この冷媒回路では、室外熱交換器における冷媒圧力を調整し、室外熱交換器における冷媒の放熱量を調整することによって、室内凝縮器における送風空気の加熱能力を調整することができる。
【0006】
また、弱除湿暖房モードでは、室外熱交換器から流出した冷媒を冷却側エジェクタの冷却側ノズル部へ流入させる冷媒回路に切り替えている。そして、冷却側ノズル部から噴射される噴射冷媒の吸引作用によって、室内蒸発器へ冷媒を供給している。さらに、冷却側ディフューザ部にて昇圧された冷媒を圧縮機へ吸入させることによって、サイクルの成績係数(COP)を向上させようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−206362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、本発明者等の検討によれば、特許文献1のエジェクタ式冷凍サイクルを実際に作動させると、弱除湿暖房モード時に、送風空気を所望の温度まで昇温させることができないことがあった。そこで、本発明者等がその原因について調査したところ、特許文献1の弱除湿暖房モードでは、室内凝縮器における送風空気の加熱能力を増大させるために、室外熱交換器における冷媒圧力を低下させることが原因であると判った。
【0009】
その理由は、室外熱交換器における冷媒圧力を低下させると、冷却側ノズル部へ流入する冷媒の圧力も低下してしまうので、冷却側エジェクタが充分な吸引作用を発揮できなくなってしまうからである。そして、室内蒸発器へ冷媒を供給することができなくなり、エジェクタ式冷凍サイクルを適切に作動させることができなくなってしまう。その結果、送風空気を所望の温度まで昇温させることができなくなってしまう。
【0010】
換言すると、特許文献1の弱除湿暖房モードでは、エジェクタ式冷凍サイクルを適切に作動させるためには、室外熱交換器における冷媒圧力を所定の値以上に維持しておかなければならない。このため、特許文献1の弱除湿暖房モードでは、空調対象空間へ送風される送風空気の温度調整範囲が制限されてしまう。
【0011】
また、一般的な冷凍サイクル装置では、冷媒に圧縮機を潤滑するための冷凍機油が混入されている。このため、室内蒸発器へ冷媒を供給することができなくなってしまうと、室内蒸発器内に流入した冷凍機油を圧縮機の吸入側へ押し出すことができず、冷凍機油が室内蒸発器内に滞留してしまうおそれがある。
【0012】
このように冷凍機油が室内蒸発器内に滞留してしまうと、圧縮機へ供給される冷凍機油が減少して圧縮機の耐久性能を悪化させてしまう原因となる。さらに、室内蒸発器の熱交換性能を低下させて、冷房モード等に切り替えた際に室内蒸発器にて発揮させる冷却能力を低下させてしまう原因となる。
【0013】
本発明は、上記点に鑑み、除湿暖房を行う空調装置に適用されるエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、冷凍機油が熱交換器に滞留してしまうことを抑制しつつ、除湿暖房時の送風空気の温度調整範囲を拡大することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、空調装置に適用されるエジェクタ式冷凍サイクルであって、
冷凍機油が混入された冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、圧縮機から吐出された高圧冷媒を熱源として空調対象空間に送風される送風空気を加熱する加熱用熱交換器(12)と、加熱用熱交換器下流側の冷媒を減圧させる第1減圧装置(15b)と、第1減圧装置から流出した冷媒を外気と熱交換させる室外熱交換器(17)と、加熱用熱交換器下流側の冷媒を減圧させる第2減圧装置(15e)と、第2減圧装置から流出した冷媒を蒸発させて加熱用熱交換器通過前の送風空気を冷却する冷却用熱交換器(21)と、加熱用熱交換器下流側の冷媒を減圧させる加熱側ノズル部(16a)から噴射された加熱側噴射冷媒の吸引作用によって加熱側冷媒吸引口(16c)から冷媒を吸引し、加熱側噴射冷媒と加熱側冷媒吸引口から吸引された加熱側吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる加熱側昇圧部(16d)を有する加熱側エジェクタ(16)と、加熱側昇圧部から流出した冷媒の気液を分離する加熱側気液分離器(19)と、冷媒回路を切り替える冷媒回路切替装置(13a、13b、18a、18b)と、を備え、
冷媒回路切替装置は、
冷却用熱交換器にて冷却された送風空気を加熱用熱交換器にて再加熱する第1除湿暖房モードでは、加熱用熱交換器から流出した冷媒を、第1減圧装置→室外熱交換器→第2減圧装置→冷却用熱交換器→圧縮機の順に流通させる冷媒回路に切り替え、
冷却用熱交換器にて冷却された送風空気を加熱用熱交換器にて再加熱する第2除湿暖房モードでは、加熱用熱交換器から流出した冷媒を、第2減圧装置→冷却用熱交換器→第1減圧装置→室外熱交換器→圧縮機の順に流通させる冷媒回路に切り替え、
送風空気を加熱用熱交換器にて加熱する暖房モードでは、加熱用熱交換器から流出した冷媒を、加熱側ノズル部へ流入させ、加熱側気液分離器から流出した気相冷媒を圧縮機へ吸入させるとともに、加熱側気液分離器から流出した液相冷媒を室外熱交換器へ流入させ、室外熱交換器から流出した冷媒を加熱側冷媒吸引口から吸引させる冷媒回路に切り替えるものであり、
第1除湿暖房モード時の室外熱交換器における冷媒の流れ方向と第2除湿暖房モード時の室外熱交換器における冷媒の流れ方向が同一になっており、第1除湿暖房モード時の室外熱交換器における冷媒の流れ方向と暖房モード時の室外熱交換器における冷媒の流れ方向が異なっているエジェクタ式冷凍サイクルである。
【0015】
これによれば、暖房モードでは、冷媒回路切替装置(13a…18b)が、加熱側気液分離器(19)から流出した気相冷媒を圧縮機(11)へ吸入させる冷媒回路に切り替えるので、加熱側昇圧部(16d)にて昇圧された冷媒を圧縮機(11)へ吸入させることができる。従って、室外熱交換器(18)における冷媒蒸発圧力と圧縮機(11)の吸入冷媒圧力が同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも、圧縮機(11)の消費動力を低減させて、サイクルの成績係数(COP)を向上させることができる。
【0016】
また、第1、第2除湿暖房モードでは、冷媒回路切替装置(13a…18b)が、室外熱交換器(17)と冷却用熱交換器(21)が冷媒流れに対して直列に接続される冷媒回路に切り替える。従って、室外熱交換器(17)における冷媒圧力によらず、圧縮機(11)の吸入吐出作用によって、冷媒を冷却用熱交換器(21)へ確実に供給することができる。
【0017】
そして、第1除湿暖房モード時には、室外熱交換器(17)が第2減圧装置(15e)を介して冷却用熱交換器(21)よりも冷媒流れ上流側に配置されるので、室外熱交換器(17)における冷媒温度を冷却用熱交換器(21)における冷媒温度よりも高い温度帯とすることができる。従って、室外熱交換器(17)における冷媒の吸放熱量を調整して、加熱用熱交換器(12)における冷媒放熱量を調整することができる。
【0018】
さらに、第2除湿暖房モード時には、室外熱交換器(17)が第1減圧装置(15b)を介して冷却用熱交換器(21)よりも冷媒流れ下流側に配置されるので、室外熱交換器(17)における冷媒温度を冷却用熱交換器(21)における冷媒温度よりも低い温度帯とすることができる。従って、室外熱交換器(17)における冷媒の吸熱量を増加させて、加熱用熱交換器(12)にて第1除湿暖房モードよりも高い加熱能力で送風空気を加熱することができる。
【0019】
その結果、空調対象空間の除湿暖房を行う際に、第1除湿暖房モードおよび第2除湿暖房モードを切り替えることで、幅広い温度帯で送風空気の温度を調整することができる。
【0020】
また、第1、第2除湿暖房モード時の室外熱交換器(17)における冷媒の流れ方向と暖房モード時の室外熱交換器(17)における冷媒の流れ方向が異なっているので、第1、第2除湿暖房モード時の室外熱交換器(17)内の冷媒の流れ態様と暖房モード時の室外熱交換器(17)内の冷媒の流れ態様とを変化させることができる。これにより、室外熱交換器(17)内に冷凍機油が滞留してしまうことを抑制することができる。
【0021】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、除湿暖房を行う空調装置に適用されるエジェクタ式冷凍サイクル(10)において、冷凍機油が室外熱交換器(17)に滞留してしまうことを抑制しつつ、除湿暖房時の送風空気の温度調整範囲を拡大することができる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明は、空調装置に適用されるエジェクタ式冷凍サイクルであって、
冷凍機油が混入された冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、圧縮機から吐出された高圧冷媒を熱源として空調対象空間に送風される送風空気を加熱する加熱用熱交換器(12)と、加熱用熱交換器下流側の冷媒を減圧させる第1減圧装置(15b)と、第1減圧装置から流出した冷媒を外気と熱交換させる室外熱交換器(17)と、加熱用熱交換器下流側の冷媒を減圧させる第2減圧装置(15e)と、第2減圧装置から流出した冷媒を蒸発させて加熱用熱交換器通過前の送風空気を冷却する冷却用熱交換器(21)と、加熱用熱交換器下流側の冷媒を減圧させる冷却側ノズル部(22a)から噴射された冷却側噴射冷媒の吸引作用によって冷却側冷媒吸引口(22c)から冷媒を吸引し、冷却側噴射冷媒と冷却側冷媒吸引口から吸引された冷却側吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる冷却側昇圧部(22d)を有する冷却側エジェクタ(22)と、冷却側昇圧部から流出した冷媒の気液を分離する冷却側気液分離器(23)と、冷媒回路を切り替える冷媒回路切替装置(13a、13b、18a、18b)と、を備え、
冷媒回路切替装置は、
冷却用熱交換器にて冷却された送風空気を加熱用熱交換器にて再加熱する第1除湿暖房モードでは、加熱用熱交換器から流出した冷媒を、第1減圧装置→室外熱交換器→第2減圧装置→冷却用熱交換器→圧縮機の順に流通させる冷媒回路に切り替え、
冷却用熱交換器にて冷却された送風空気を加熱用熱交換器にて再加熱する第2除湿暖房モードでは、加熱用熱交換器から流出した冷媒を、第2減圧装置→冷却用熱交換器→第1減圧装置→室外熱交換器→圧縮機の順に流通させる冷媒回路に切り替え、
送風空気を冷却用熱交換器にて冷却する冷房モードでは、室外熱交換器から流出した冷媒を、冷却側ノズル部へ流入させ、冷却側気液分離器から流出した気相冷媒を圧縮機へ吸入させるとともに、冷却側気液分離器から流出した液相冷媒を冷却用熱交換器へ流入させ、冷却用熱交換器から流出した冷媒を冷却側冷媒吸引口から吸引させる冷媒回路に切り替えるものであり、
第1除湿暖房モード時の冷却用熱交換器における冷媒の流れ方向と第2除湿暖房モード時の冷却用熱交換器における冷媒の流れ方向が同一になっており、第1除湿暖房モード時の冷却用熱交換器における冷媒の流れ方向と冷房モード時の冷却用熱交換器における冷媒の流れ方向が異なっているエジェクタ式冷凍サイクルである。
【0023】
これによれば、冷房モードでは、冷媒回路切替装置(13a…18b)が、冷却側気液分離器(23)から流出した気相冷媒を圧縮機(11)へ吸入させる冷媒回路に切り替えるので、冷却側昇圧部(22d)にて昇圧された冷媒を圧縮機(11)へ吸入させることができる。従って、冷却用熱交換器(21)における冷媒蒸発圧力と圧縮機(11)の吸入冷媒圧力が同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも、圧縮機(11)の消費動力を低減させて、サイクルの成績係数(COP)を向上させることができる。
【0024】
また、第1、第2除湿暖房モードでは、冷媒回路切替装置(13a…18b)が、室外熱交換器(17)と冷却用熱交換器(21)が冷媒流れに対して直列に接続される冷媒回路に切り替えられる。従って、請求項1に記載の発明と同様に、室外熱交換器(17)における冷媒圧力によらず、圧縮機(11)の吸入吐出作用によって、冷媒を冷却用熱交換器(21)へ確実に供給することができる。
【0025】
そして、第1除湿暖房モード時には、室外熱交換器(17)が第2減圧装置(15e)を介して冷却用熱交換器(21)よりも冷媒流れ上流側に配置され、第2除湿暖房モード時には、室外熱交換器(17)が第1減圧装置(15b)を介して冷却用熱交換器(21)よりも冷媒流れ下流側に配置される。従って、空調対象空間の除湿暖房を行う際に、第1除湿暖房モードおよび第2除湿暖房モードを切り替えることで、請求項1に記載の発明と同様に、幅広い温度帯で送風空気の温度を調整することができる。
【0026】
また、第1、第2除湿暖房モード時の冷却用熱交換器(21)における冷媒の流れ方向と暖房モード時の冷却用熱交換器(21)における冷媒の流れ方向が異なっている。従って、第1、第2除湿暖房モード時の冷却用熱交換器(21)内の冷媒の流れ態様と暖房モード時の冷却用熱交換器(21)内の冷媒の流れ態様とを変化させることができ、請求項1に記載の発明と同様に、冷却用熱交換器(21)内に冷凍機油が滞留してしまうことを抑制することができる。
【0027】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、除湿暖房を行う空調装置に適用されるエジェクタ式冷凍サイクル(10)において、冷凍機油が冷却用熱交換器(21)に滞留してしまうことを抑制しつつ、除湿暖房時の送風空気の温度調整範囲を拡大することができる。
【0028】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態の車両用空調装置の全体構成図である。
図2】第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの冷房モード時の冷媒回路を示す全体構成図である。
図3】第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの第1除湿暖房モード時の冷媒回路を示す全体構成図である。
図4】第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの第2除湿暖房モード時の冷媒回路を示す全体構成図である。
図5】第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの暖房モード時の冷媒回路を示す全体構成図である。
図6】第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの除霜モード時の冷媒回路を示す全体構成図である。
図7】第1実施形態の車両用空調装置の電気制御部を示すブロック図である。
図8】第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの冷房モード時における冷媒の状態を示すモリエル線図である。
図9】第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの第1除湿暖房モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。
図10】第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの第2除湿暖房モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。
図11】第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの暖房モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。
図12】第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの除霜モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。
図13】第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの送風空気の温度調整可能範囲を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1図13により、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクル10を、図1の全体構成図に示すように、電気自動車に搭載される車両用空調装置1に適用している。エジェクタ式冷凍サイクル10は、車両用空調装置1において、空調対象空間である車室内へ送風される送風空気を加熱あるいは冷却する機能を果たす。従って、エジェクタ式冷凍サイクル10の熱交換対象流体は送風空気である。
【0031】
さらに、エジェクタ式冷凍サイクル10は、図2図6に示すように、冷房モードの冷媒回路(図2参照)、第1除湿暖房モードの冷媒回路(図3参照)、第2除湿暖房モードの冷媒回路(図4参照)、暖房モードの冷媒回路(図5参照)、除霜モードの冷媒回路(図6参照)を切替可能に構成されている。
【0032】
冷房モードは、送風空気を冷却して車室内を冷房する運転モードである。第1除湿暖房モードは、冷却して除湿された送風空気を再加熱して車室内の除湿暖房を行う運転モードである。第2除湿暖房モードは、第1除湿暖房モードよりも高い加熱能力で送風空気を再加熱して車室内の除湿暖房を行う運転モードである。暖房モードは、送風空気を加熱して車室内を暖房する運転モードである。除霜モードは、後述する室外熱交換器17に着霜が生じた際にこれを取り除くための運転モードである。
【0033】
なお、図2図6では、各運転モードにおける冷媒の流れ方向を明確化するために、図1に示すエジェクタ式冷凍サイクル10の構成機器の配置を変更して図示している。具体的には、加熱側エジェクタ16、室外熱交換器17等と、冷却側エジェクタ22、室内蒸発器21等とを左右対称的に配置して図示している。
【0034】
従って、図1に図示されたエジェクタ式冷凍サイクル10と図2図6に図示されたエジェクタ式冷凍サイクル10は同等である。また、図2図6では、それぞれの運転モードにおける冷媒の流れを実線矢印で示している。
【0035】
また、エジェクタ式冷凍サイクル10では、冷媒として、HFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。さらに、冷媒には、圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されている。この冷凍機油としては、液相冷媒に相溶性を有するPAGオイル(ポリアルキレングリコールオイル)が採用されている。冷凍機油の一部は、冷媒とともにサイクルを循環している。
【0036】
エジェクタ式冷凍サイクル10の構成機器のうち、圧縮機11は、車両ボンネット内に配置され、エジェクタ式冷凍サイクル10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。本実施形態では、圧縮機11として、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構を電動モータにて回転駆動する電動圧縮機を採用している。圧縮機11は、後述する空調制御装置40から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御される。
【0037】
圧縮機11の吐出口には、室内凝縮器12の冷媒入口側が接続されている。室内凝縮器12は、後述する室内空調ユニット30において送風空気の空気通路を形成するケーシング31内に配置されている。室内凝縮器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と後述する室内蒸発器21通過後の送風空気とを熱交換させて、高圧冷媒を熱源として送風空気を加熱する加熱用熱交換器である。室内空調ユニット30の詳細については後述する。
【0038】
室内凝縮器12の冷媒出口には、第1四方弁13aの1つの出入口側が接続されている。第1四方弁13aは、後述する第2四方弁13b等とともに、エジェクタ式冷凍サイクル10の冷媒回路を切り替える冷媒回路切替装置である。
【0039】
第1四方弁13aは、室内凝縮器12の冷媒出口側と第1三方継手14aの1つ出入口側(具体的には、後述する加熱側エジェクタ16あるいは室外熱交換器17の出入口側)とを接続すると同時に第2四方弁13bの1つの出入口側と第3三方継手14cの1つ出入口側(具体的には、後述する冷却側エジェクタ22あるいは室内蒸発器21の出入口側)とを接続する冷媒回路に切り替えることができる。
【0040】
さらに、第1四方弁13aは、室内凝縮器12の冷媒出口側と第3三方継手14cの1つ出入口側とを接続すると同時に第2四方弁13bの1つの出入口側と第1三方継手14aの1つ出入口側とを接続する冷媒回路に切り替えることができる。第1、第2四方弁13a、13bは、空調制御装置40から出力される制御電圧によって、その作動が制御される。
【0041】
第1三方継手14aは、3つの冷媒出入口を有する配管継手である。さらに、エジェクタ式冷凍サイクル10では、後述するように、第2〜第4三方継手14b〜14dを備えている。第2〜第4三方継手14b〜14dの基本的構成は、第1三方継手14aと同様である。
【0042】
第1三方継手14aの別の出入口には、第1流量調整弁15aを介して、加熱側エジェクタ16の加熱側ノズル部16aの入口側が接続されている。第1三方継手14aのさらに別の出入口には、第2流量調整弁15bを介して、第2三方継手14bの1つ出入口側が接続されている。
【0043】
第1流量調整弁15aは、冷媒通路の開度を変化させる弁体と、この弁体の開度を変化させる電動アクチュエータ(具体的には、ステッピングモータ)とを有して構成される電気式の可変絞り機構である。第1流量調整弁15aは、少なくとも暖房モード時に、加熱側エジェクタ16の加熱側ノズル部16aへ流入する冷媒流量を調整する。第2流量調整弁15bは、室内凝縮器12下流側の冷媒であって、室外熱交換器17へ流入する冷媒を減圧させる第1減圧装置である。
【0044】
さらに、エジェクタ式冷凍サイクル10では、第2〜第6流量調整弁15b〜15fを備えている。第2〜第6流量調整弁15b〜15fの基本的構成は、第1流量調整弁15aと同様である。第1〜第6流量調整弁15a〜15fは、弁開度を全開にすることで流量調整作用および冷媒減圧作用を殆ど発揮することなく単なる冷媒通路として機能する全開機能、および弁開度を全閉にすることで冷媒流路を閉塞する全閉機能を有している。
【0045】
そして、この全開機能および全閉機能により、第1〜第6流量調整弁15a〜15fは、各運転モードの冷媒回路を切り替えることができる。従って、第1〜第6流量調整弁15a〜15fは、第1、第2四方弁13a、13bとともに、冷媒回路切替装置としての機能も兼ね備えている。第1〜第6流量調整弁15a〜15fは、空調制御装置40から出力される制御信号(制御パルス)によって、その作動が制御される。
【0046】
第2三方継手14bの別の出入口には、室外熱交換器17の一方の冷媒出入口側が接続されている。第2三方継手14bのさらに別の出入口には、第1開閉弁18aを介して、加熱側エジェクタ16の加熱側冷媒吸引口16c側が接続されている。
【0047】
第1開閉弁18aは、第2三方継手14bと加熱側エジェクタ16の加熱側冷媒吸引口16cとを接続する冷媒通路を開閉する電磁弁である。さらに、エジェクタ式冷凍サイクル10では、後述するように、第2開閉弁18bを備えている。第2開閉弁18bの基本的構成は、第1開閉弁18aと同様である。
【0048】
また、第1、第2開閉弁18a、18bは、冷媒通路を開閉することで、上述した各運転モードの冷媒回路を切り替えることができる。従って、第1、第2開閉弁18a、18bは、第1、第2四方弁13a、13bとともに、冷媒回路切替装置である。第1、第2開閉弁18a、18bは、空調制御装置40から出力される制御電圧によって、その作動が制御される。
【0049】
室外熱交換器17は、車両ボンネット内に配置されて、その内部を流通する冷媒と図示しない送風ファンから送風された外気とを熱交換させる熱交換器である。室外熱交換器17は、少なくとも冷房モードでは、高圧冷媒を放熱させる放熱器として機能する。また、少なくとも第2除湿暖房モードおよび暖房モードでは、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。
【0050】
室外熱交換器17の他方の冷媒出入口には、第3流量調整弁15cを介して、加熱側アキュムレータ19の液相冷媒出入口側が接続されている。
【0051】
また、本実施形態では、室外熱交換器17として、内部に形成された冷媒通路の通路断面積が冷媒流れ方向に向かって変化するものを採用している。より詳細には、本実施形態の室外熱交換器17は、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器で構成されている。そして、冷媒を流通させるパス構成を調整することによって、内部に形成された冷媒通路の通路断面積を変化させている。
【0052】
ここで、タンクアンドチューブ型の熱交換器におけるパスとは、タンク内に形成された同一の分配空間内の冷媒をタンク内に形成された同一の集合空間へ向けて同一の方向へ流すチューブ群によって形成される冷媒通路と定義することができる。従って、パスを構成するチューブの本数を変化させることによって、パス(冷媒通路)の通路断面積(チューブの合計通路断面積)を変化させることができる。
【0053】
本実施形態の室外熱交換器17では、他方の冷媒出入口側から一方の冷媒出入口側へ向かうに伴って、内部に形成される冷媒通路の通路断面積が段階的に縮小するパス構成になっている。なお、本実施形態における他方の冷媒出入口は、加熱側アキュムレータ19の液相冷媒出入口が接続される側の出入口であり、一方の冷媒出入口は、第2三方継手14bの別の出入口が接続される側の出入口である。
【0054】
次に、加熱側エジェクタ16は、少なくとも暖房モード時に、室内凝縮器12から流出した冷媒を減圧させる減圧装置としての機能を果たす。さらに、加熱側エジェクタ16は、高速度で噴射される噴射冷媒の吸引作用によって、室外熱交換器17から流出した冷媒を吸引して輸送する冷媒輸送装置としての機能を果たす。
【0055】
より具体的には、加熱側エジェクタ16は、加熱側ノズル部16aおよび加熱側ボデー部16bを有している。加熱側ノズル部16aは、冷媒の流れ方向に向かって徐々に先細る形状の金属製(本実施形態では、ステンレス製)の略円筒状部材で形成されている。そして、内部に形成された冷媒通路にて冷媒を等エントロピ的に減圧させるものである。
【0056】
加熱側ノズル部16aの内部に形成された冷媒通路には、通路断面積が最も縮小した喉部(最小通路面積部)が形成され、さらに、この喉部から冷媒を噴射する冷媒噴射口へ向かうに伴って冷媒通路面積が拡大する末広部が形成されている。つまり、加熱側ノズル部16aは、ラバールノズルとして構成されている。
【0057】
さらに、本実施形態では、加熱側ノズル部16aとして、エジェクタ式冷凍サイクル10の通常作動時に、冷媒噴射口から噴射される加熱側噴射冷媒の流速が音速以上となるように設定されたものが採用されている。もちろん、加熱側ノズル部16aを先細ノズルで構成してもよい。
【0058】
加熱側ボデー部16bは、金属製(本実施形態では、アルミニウム合金製)の円筒状部材で形成されており、内部に加熱側ノズル部16aを支持固定する固定部材として機能するとともに、加熱側エジェクタ16の外殻を形成するものである。より具体的には、加熱側ノズル部16aは、加熱側ボデー部16bの長手方向一端側の内部に収容されるように圧入にて固定されている。従って、加熱側ノズル部16aと加熱側ボデー部16bとの固定部(圧入部)から冷媒が漏れることはない。
【0059】
また、加熱側ボデー部16bの外周面のうち、加熱側ノズル部16aの外周側に対応する部位には、その内外を貫通して加熱側ノズル部16aの冷媒噴射口と連通するように設けられた加熱側冷媒吸引口16cが形成されている。この加熱側冷媒吸引口16cは、加熱側ノズル部16aから噴射される加熱側噴射冷媒の吸引作用によって、室外熱交換器17から流出した冷媒を加熱側エジェクタ16の内部へ吸引する貫通穴である。
【0060】
さらに、加熱側ボデー部16bの内部には、加熱側冷媒吸引口16cから吸引された吸引冷媒を加熱側ノズル部16aの冷媒噴射口側へ導く吸引通路、および吸引通路を介して加熱側エジェクタ16の内部へ流入した加熱側吸引冷媒と加熱側噴射冷媒とを混合させて昇圧させる加熱側昇圧部である加熱側ディフューザ部16dが形成されている。
【0061】
加熱側ディフューザ部16dは、吸引通路の出口に連続するように配置されて、冷媒通路面積が徐々に拡大するように形成されている。これにより、加熱側噴射冷媒と加熱側吸引冷媒とを混合させながら、その流速を減速させて加熱側噴射冷媒と加熱側吸引冷媒との混合冷媒の圧力を上昇させる機能、すなわち、混合冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換する機能を果たす。
【0062】
加熱側ディフューザ部16dの冷媒出口には、加熱側アキュムレータ19の入口側が接続されている。加熱側アキュムレータ19は、加熱側エジェクタ16の加熱側ディフューザ部16dから流出した冷媒の気液を分離する加熱側気液分離器である。加熱側アキュムレータ19には、分離された気相冷媒を流出させるための気相冷媒出入口と、分離された液相冷媒を流出させるための液相冷媒出入口が設けられている。
【0063】
本実施形態では、加熱側アキュムレータ19として、比較的内容積の小さいものを採用している。このため、加熱側アキュムレータ19では、分離された液相冷媒を殆ど蓄えることなく液相冷媒出入口から流出させる。また、分離された液相冷媒のうち、液相冷媒出入口から流出させることのできない冷媒が、気相冷媒流出口から流出することもある。
【0064】
加熱側アキュムレータ19の気相冷媒出入口には、冷媒回路切替装置である第2四方弁13bの別の出入口側が接続されている。
【0065】
第2四方弁13bは、加熱側アキュムレータ19の気相冷媒出入口側と第1四方弁13の1つの出入口側とを接続すると同時に後述する冷却側アキュムレータ23の気相冷媒出入口側と吸入側アキュムレータ24の入口側とを接続する冷媒回路に切り替えることができる。
【0066】
さらに、第2四方弁13bは、加熱側アキュムレータ19の気相冷媒出入口側と吸入側アキュムレータ24の入口側とを接続すると同時に冷却側アキュムレータ23の気相冷媒出入口と第1四方弁13の1つの出入口側とを接続する冷媒回路に切り替えることができる。
【0067】
また、第1四方弁13aが接続された第3三方継手14cの別の出入口には、第4流量調整弁15dを介して、冷却側エジェクタ22の冷却側ノズル部22aの入口側が接続されている。第3三方継手14cのさらに別の出入口には、第5流量調整弁15eを介して、第4三方継手14dの1つ出入口側が接続されている。第5流量調整弁15eは、室内凝縮器12下流側の冷媒であって、室内蒸発器21へ流入する冷媒を減圧させる第2減圧装置である。
【0068】
第4三方継手14dの別の出入口には、室内蒸発器21の一方の冷媒出入口側が接続されている。第4三方継手14dのさらに別の出入口には、第2開閉弁18bを介して、冷却側エジェクタ22の冷却側冷媒吸引口22c側が接続されている。
【0069】
室内蒸発器21は、室内空調ユニット30のケーシング31内であって、前述した室内凝縮器12よりも空気流れ上流側に配置されている。室内蒸発器21は、第5流量調整弁15eあるいは第6流量調整弁15fにて減圧された低圧冷媒を送風空気と熱交換させて蒸発させ、吸熱作用を発揮させることによって送風空気を冷却する冷却用熱交換器である。
【0070】
室内蒸発器21の他方の冷媒出入口には、第6流量調整弁15fを介して、冷却側アキュムレータ23の液相冷媒出入口側が接続されている。
【0071】
また、本実施形態では、室内蒸発器21として、室外熱交換器17と同様に、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器であって、内部に形成された冷媒通路の通路断面積が冷媒流れ方向に向かって変化するものを採用している。
【0072】
より具体的には、本実施形態の室内蒸発器21では、他方の冷媒出入口側から一方の冷媒出入口側へ向かうに伴って、内部に形成される冷媒通路の通路断面積が段階的に縮小するパス構成になっている。なお、本実施形態における他方の冷媒出入口は、冷却側アキュムレータ23の液相冷媒出入口が接続される側の出入口であり、一方の冷媒出入口は、第4三方継手14dの別の出入口が接続される側の出入口である。
【0073】
冷却側エジェクタ22の基本的構成は、加熱側エジェクタ16と同様である。従って、冷却側エジェクタ22は、冷却側ノズル部22a、冷却側ボデー22bを有している。そして、冷却側ボデー22bには、冷却側冷媒吸引口22c、冷却側昇圧部である冷却側ディフューザ部22dが形成されている。
【0074】
冷却側ディフューザ部22dの冷媒出口には、冷却側アキュムレータ23の入口側が接続されている。冷却側アキュムレータ23は、冷却側エジェクタ22の冷却側ディフューザ部22dから流出した冷媒の気液を分離する冷却側気液分離器である。冷却側アキュムレータ23には、分離された気相冷媒を流出させるための気相冷媒流出口と、分離された液相冷媒を流出させるための液相冷媒流出口が設けられている。
【0075】
本実施形態では、冷却側アキュムレータ23として、加熱側アキュムレータ19と同様に、比較的内容積の小さいものを採用している。このため、冷却側アキュムレータ23では、分離された液相冷媒を殆ど蓄えることなく液相冷媒出入口から流出させる。また、分離された液相冷媒のうち、液相冷媒出入口から流出させることのできない冷媒が、気相冷媒流出口から流出することもある。
【0076】
冷却側アキュムレータ23の気相冷媒出入口には、冷媒回路切替装置である第2四方弁13bのさらに別の出入口側が接続されている。吸入側アキュムレータ24は、圧縮機11へ吸入される冷媒の気液を分離する気液分離器である。吸入側アキュムレータ24は、分離された気相冷媒を圧縮機11の吸入口側へ流出させるとともに、サイクルの余剰冷媒を蓄えるものである。
【0077】
次に、室内空調ユニット30について説明する。室内空調ユニット30は、エジェクタ式冷凍サイクル10によって温度調整された送風空気を車室内へ吹き出すためのもので、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側(車室内)に配置されている。室内空調ユニット30は、その外殻を形成するケーシング31内に送風機32、室内蒸発器21、室内凝縮器12、およびエアミックスドア34等を収容して構成されている。
【0078】
ケーシング31は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成するもので、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。このケーシング31内の送風空気流れ最上流側には、ケーシング31内へ内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する内外気切替手段としての内外気切替装置33が配置されている。
【0079】
内外気切替装置33は、ケーシング31内へ内気を導入させる内気導入口および外気を導入させる外気導入口の開口面積を、内外気切替ドアによって連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を連続的に変化させるものである。内外気切替ドアは、内外気切替ドア用の電動アクチュエータによって駆動され、この電動アクチュエータは、空調制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
【0080】
内外気切替装置33の送風空気流れ下流側には、内外気切替装置33を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する送風手段としての送風機(ブロワ)32が配置されている。この送風機32は、遠心多翼ファン(シロッコファン)を電動モータにて駆動する電動送風機であって、空調制御装置40から出力される制御電圧によって回転数(送風量)が制御される。
【0081】
送風機32の送風空気流れ下流側には、室内蒸発器21および室内凝縮器12が、この順に配置されている。つまり、室内蒸発器21は、室内凝縮器12よりも送風空気流れ上流側に配置されている。さらに、室内蒸発器21の空気流れ下流側であって、かつ、室内凝縮器12の送風空気流れ上流側には、室内蒸発器21通過後の送風空気のうち、室内凝縮器12を通過させる風量割合を調整するエアミックスドア34が配置されている。
【0082】
また、室内凝縮器12の空気流れ下流側には、室内凝縮器12にて冷媒と熱交換して加熱された送風空気と室内凝縮器12を迂回して加熱されていない送風空気とを混合させる混合空間35が設けられている。さらに、ケーシング31の送風空気流れ最下流部には、混合空間35にて混合された送風空気(空調風)を、空調対象空間である車室内へ吹き出す開口穴が設けられている。
【0083】
具体的には、この開口穴としては、フェイス開口穴、フット開口穴、およびデフロスタ開口穴(いずれも図示せず)が設けられている。フェイス開口穴は、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。フット開口穴は、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。デフロスタ開口穴は、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。
【0084】
これらのフェイス開口穴、フット開口穴、およびデフロスタ開口穴は、それぞれ空気通路を形成するダクトを介して、車室内に設けられたフェイス吹出口、フット吹出口およびデフロスタ吹出口(いずれも図示せず)に接続されている。
【0085】
従って、エアミックスドア34が、室内凝縮器12を通過させる風量と室内凝縮器12を迂回させる風量との風量割合を調整することによって、混合空間にて混合される空調風の温度が調整される。これにより、各吹出口から車室内へ吹き出される送風空気(空調風)の温度が調整されることになる。
【0086】
つまり、エアミックスドア34は、車室内へ送風される空調風の温度を調整する温度調整部としての機能を果たす。なお、エアミックスドア34は、エアミックスドア駆動用の電動アクチュエータによって駆動され、この電動アクチュエータは、空調制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
【0087】
また、フェイス開口穴、フット開口穴、およびデフロスタ開口穴の送風空気流れ上流側には、それぞれ、フェイス開口穴の開口面積を調整するフェイスドア、フット開口穴の開口面積を調整するフットドア、デフロスタ開口穴の開口面積を調整するデフロスタドア(いずれも図示せず)が配置されている。
【0088】
これらのフェイスドア、フットドア、デフロスタドアは、開口穴モードを切り替える開口穴モード切替装置を構成するものであって、リンク機構等を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータに連結されて連動して回転操作される。なお、この電動アクチュエータも、空調制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
【0089】
吹出口モード切替装置によって切り替えられる吹出口モードとしては、具体的に、フェイスモード、バイレベルモード、フットモード等がある。
【0090】
フェイスモードは、フェイス吹出口を全開してフェイス吹出口から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出す吹出口モードである。バイレベルモードは、フェイス吹出口とフット吹出口の両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出す吹出口モードである。フットモードは、フット吹出口を全開するとともにデフロスタ吹出口を小開度だけ開口して、フット吹出口から主に空気を吹き出す吹出口モードである。
【0091】
さらに、乗員が操作パネル50に設けられた吹出モード切替スイッチをマニュアル操作することによって、デフロスタ吹出口を全開してデフロスタ吹出口から車両フロント窓ガラス内面に空気を吹き出すデフロスタモードとすることもできる。
【0092】
次に、本実施形態の電気制御部について説明する。空調制御装置40は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器11、13a、13b、15a〜15f、18a、18b、32等の作動を制御する。
【0093】
また、空調制御装置40の入力側には、図7のブロック図に示すように、内気温センサ41、外気温センサ42、日射センサ43、室外熱交換器温度センサ44、吐出温度センサ45、室内蒸発器温度センサ46、空調風温度センサ47等が接続されている。そして、空調制御装置40には、これらのセンサ群の検出信号が入力される。
【0094】
内気温センサ41は、車室内温度(内気温)Trを検出する内気温検出部である。外気温センサ42は、車室外温度(外気温)Tamを検出する外気温検出部である。日射センサ43は、車室内へ照射される日射量Asを検出する日射量検出部である。室外熱交換器温度センサ44は、室外熱交換器における冷媒の温度(室外熱交換器温度)Toutを検出する室外熱交換器温度検出部である。吐出温度センサ45は、圧縮機11の吐出冷媒温度Tdを検出する吐出温度検出部である。室内蒸発器温度センサ46は、室内蒸発器21における冷媒蒸発温度(室内蒸発器温度)Tefinを検出する蒸発器温度検出部である。空調風温度センサ47は、混合空間から車室内へ送風される送風空気温度TAVを検出する空調風温度検出部である。
【0095】
さらに、空調制御装置40の入力側には、図7に示すように、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル50が接続され、この操作パネル50に設けられた各種操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネル50に設けられた各種操作スイッチとしては、オートスイッチ、冷房スイッチ(A/Cスイッチ)、風量設定スイッチ、温度設定スイッチ、吹出モード切替スイッチ等がある。
【0096】
オートスイッチは、車両用空調装置1の自動制御運転を設定あるいは解除する入力部である。冷房スイッチ(A/Cスイッチ)は、車室内の冷房を行うことを要求する入力部である。風量設定スイッチは、送風機32の風量をマニュアル設定する入力部である。温度設定スイッチは、車室内の目標温度Tsetをマニュアル設定する入力部である。吹出モード切替スイッチは吹出モードをマニュアル設定する入力部である。
【0097】
なお、本実施形態の空調制御装置40は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御部が一体に構成されたものであるが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。
【0098】
例えば、空調制御装置40のうち、圧縮機11の冷媒吐出能力(圧縮機11の回転数)を制御する構成は、吐出能力制御部を構成している。また、第1、第2開閉弁18a、18b等の冷媒回路切替装置の作動を制御する構成は、冷媒回路制御部を構成している。
【0099】
次に、上記構成における本実施形態の作動について説明する。前述の如く、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、冷房モード、第1除湿暖房モード、第2除湿暖房モード、暖房モード、除霜モードの運転を切り替えることができる。
【0100】
これらの運転モードの切り替えは、空調制御装置40の記憶回路に予め記憶された空調制御プログラムが実行されることによって行われる。空調制御プログラムは、操作パネル50のオートスイッチが投入(ON)された際に実行される。
【0101】
より具体的には、空調制御プログラムのメインルーチンでは、上述の空調制御用のセンサ群の検出信号および各種空調操作スイッチからの操作信号を読み込む。そして、読み込んだ検出信号および操作信号の値に基づいて、車室内へ吹き出す吹出空気の目標温度である目標吹出温度TAOを、以下数式F1に基づいて算出する。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×As+C…(F1)
なお、Tsetは温度設定スイッチによって設定された車室内設定温度、Trは内気センサによって検出された車室内温度(内気温)、Tamは外気センサによって検出された外気温、Asは日射センサによって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
【0102】
さらに、操作パネル50の冷房スイッチが投入されており、かつ、目標吹出温度TAOが予め定めた冷房基準温度αよりも低くなっている場合には、冷房モードでの運転を実行する。
【0103】
また、冷房スイッチが投入された状態で、目標吹出温度TAOが冷房基準温度α以上になっており、かつ、外気温Tamが予め定めた除湿暖房基準温度βよりも高くなっている場合には、第1除湿暖房モードでの運転を実行する。また、冷房スイッチが投入された状態で、目標吹出温度TAOが冷房基準温度α以上になっており、かつ、外気温Tamが除湿暖房基準温度β以下になっている場合には、第2除湿暖房モードでの運転を実行する。
【0104】
また、冷房スイッチが投入されていない場合には、暖房モードでの運転を実行する。さらに、暖房モードの実行中等に室外熱交換器17に着霜が生じた際には、これを取り除くための除霜運転を行う。
【0105】
これにより、本実施形態の車両用空調装置1では、主に夏季のように比較的外気温が高い場合に、冷房モードでの運転を実行している。また、主に早春季あるいは初冬季等に、第1、第2除湿暖房モードでの運転を実行している。また、主に冬季のように比較的外気温が低い場合に、暖房モードでの運転を実行している。以下に各運転モードにおける作動を説明する。
【0106】
(a)冷房モード
冷房モードでは、空調制御装置40が、室内凝縮器12の冷媒出口側と第1三方継手14a側とを接続すると同時に第2四方弁13b側と第3三方継手14c側とを接続する冷媒回路に切り替えるように第1四方弁13aの作動を制御する。さらに、加熱側アキュムレータ19の気相冷媒出入口側と第1四方弁13側とを接続すると同時に冷却側アキュムレータ23の気相冷媒出入口側と吸入側アキュムレータ24の入口側とを接続する冷媒回路に切り替えるように第2四方弁13bの作動を制御する。
【0107】
また、空調制御装置40は、第1流量調整弁15aを全閉状態とし、第2流量調整弁15bを全開状態とし、第3流量調整弁15cを全開状態とし、第4流量調整弁15dを冷媒減圧作用を発揮する絞り状態とし、第5流量調整弁15eを全閉状態とし、第6流量調整弁15fを絞り状態とする。さらに、空調制御装置40は、第1開閉弁18aを閉じ、第2開閉弁18bを開く。
【0108】
これにより、冷房モードでは、図2の実線矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12(→第2流量調整弁15b)→室外熱交換器17(→第3流量調整弁15c)→加熱側アキュムレータ19→第4流量調整弁15d→冷却側エジェクタ22→冷却側アキュムレータ23→吸入側アキュムレータ24→圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、冷却側アキュムレータ23→第6流量調整弁15f→室内蒸発器21→冷却側エジェクタ22の冷却側冷媒吸引口22cの順に冷媒が循環するエジェクタ式冷凍サイクルが構成される。
【0109】
空調制御装置40は、この冷媒回路の構成で、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御対象機器の作動状態(各種制御対象機器へ出力する制御信号)を決定する。
【0110】
例えば、圧縮機11の冷媒吐出能力、すなわち圧縮機11の電動モータに出力される制御信号については、次のように決定される。まず、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して、室内蒸発器21の目標蒸発器吹出温度TEOを決定する。この目標蒸発器吹出温度TEOは、室内蒸発器21の着霜を抑制可能に決定された基準着霜防止温度(例えば、1℃)以上となるように決定される。
【0111】
そして、この目標蒸発器吹出温度TEOと室内蒸発器温度センサ46によって検出された室内蒸発器温度Tefinとの偏差に基づいて、フィードバック制御手法を用いて室内蒸発器温度Tefinが目標蒸発器吹出温度TEOに近づくように、圧縮機11の電動モータに出力される制御信号が決定される。
【0112】
また、第4流量調整弁15dの絞り開度、すなわち第4流量調整弁15dへ出力される制御信号(制御パルス)については、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して決定される。具体的には、エジェクタ式冷凍サイクル10のCOPが極大値に近づくように決定される。
【0113】
また、第6流量調整弁15fの絞り開度、すなわち第6流量調整弁15fへ出力される制御信号(制御パルス)については、予め空調制御装置40に記憶された冷房用の基準開度に決定される。
【0114】
また、エアミックスドア34を駆動する電動アクチュエータへ出力される制御信号については、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の空気通路を閉塞し、室内蒸発器21通過後の送風空気の全流量が室内凝縮器12を迂回して流れるように決定される。
【0115】
そして、上記の如く決定された制御信号等を各種制御対象機器へ出力する。その後、車両用空調装置1の作動停止が要求されるまで、所定の制御周期毎に、上述の検出信号および操作信号の読み込み→目標吹出温度TAOの算出→各種制御対象機器の作動状態決定→制御電圧および制御信号の出力といった制御ルーチンが繰り返される。なお、このような制御ルーチンの繰り返しは、他の運転モード時にも同様に行われる。
【0116】
従って、冷房モード時のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図8のモリエル線図に示すように冷媒の状態が変化する。
【0117】
具体的には、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(図8のa8点)が、室内凝縮器12へ流入する。この際、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の空気通路を閉塞しているので、室内凝縮器12へ流入した冷媒は、殆ど送風空気と熱交換することなく室内凝縮器12から流出する。
【0118】
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1四方弁13a、全開となっている第2流量調整弁15b等を介して、室外熱交換器17の一方の冷媒出入口へ流入する。室外熱交換器17へ流入した冷媒は、室外熱交換器17にて送風ファンから送風された外気へ放熱して凝縮する(図8のa8点→e8点)。
【0119】
室外熱交換器17の他方の冷媒出入口から流出した冷媒は、全開となっている第3流量調整弁15cを介して、加熱側アキュムレータ19へ流入して気液分離される。加熱側アキュムレータ19にて分離された液相冷媒は、第2四方弁13b、第1四方弁13a等を介して、第4流量調整弁15dへ流入して減圧される(図8のe8点→h8点)。
【0120】
第4流量調整弁15dにて減圧された冷媒は、冷却側エジェクタ22の冷却側ノズル部22aへ流入する。冷却側ノズル部22aへ流入した冷媒は、等エントロピ的に減圧されて噴射される(図8のh8点→i8点)。そして、冷却側ノズル部22aから噴射された冷却側噴射冷媒の吸引作用によって、室内蒸発器21の一方の冷媒出入口から流出した冷媒が、冷却側エジェクタ22の冷却側冷媒吸引口22cから吸引される。
【0121】
冷却側ノズル部22aから噴射された冷却側噴射冷媒および冷却側エジェクタ22の冷却側冷媒吸引口22cから吸引された冷却側吸引冷媒は、冷却側ディフューザ部22dへ流入する(図8のi8→j8点、p8点→j8点)。
【0122】
冷却側ディフューザ部22dでは、冷媒通路面積の拡大により、冷媒の速度エネルギが圧力エネルギに変換される。これにより、冷却側噴射冷媒と冷却側吸引冷媒との混合冷媒の圧力が上昇する(図8のj8点→k8点)。冷却側ディフューザ部22dから流出した冷媒は冷却側アキュムレータ23へ流入して気液分離される。
【0123】
冷却側アキュムレータ23にて分離された液相冷媒(図8のm8点)は、絞り状態となっている第6流量調整弁15fへ流入して減圧される(図8のm8点→o8点)。第6流量調整弁15fにて減圧された冷媒は、室内蒸発器21の他方の冷媒出入口から流入し、送風機32から送風された送風空気から吸熱して蒸発する(図8のo8点→p8点)。これにより、送風空気が冷却される。
【0124】
冷却側アキュムレータ23にて分離された気相冷媒(図8のn8点)は、第2四方弁13b、吸入側アキュムレータ24等を介して圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される(図8のn8点→a8点)。
【0125】
従って、冷房モードでは、室内蒸発器21にて冷却された送風空気を、室内凝縮器12にて再加熱することなく車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行うことができる。
【0126】
さらに、冷房モードでは、冷却側エジェクタ22の冷却側ディフューザ部22dにて昇圧された冷媒を圧縮機11へ吸入させている。従って、蒸発器として機能する熱交換器(冷房モードでは、室内蒸発器21)における冷媒蒸発圧力と圧縮機11の吸入冷媒の圧力が同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも圧縮機11の消費動力を低減させて、サイクルの成績係数COPを向上させることができる。
【0127】
(b)第1除湿暖房モード
第1除湿暖房モードでは、空調制御装置40が、室内凝縮器12の冷媒出口側と第1三方継手14a側とを接続すると同時に第2四方弁13b側と第3三方継手14c側とを接続する冷媒回路に切り替えるように第1四方弁13aの作動を制御する。さらに、加熱側アキュムレータ19の気相冷媒出入口側と第1四方弁13a側とを接続すると同時に冷却側アキュムレータ23の気相冷媒出入口側と吸入側アキュムレータ24の入口側とを接続する冷媒回路に切り替えるように第2四方弁13bの作動を制御する。
【0128】
また、空調制御装置40は、第1流量調整弁15aを全閉状態とし、第2流量調整弁15bを絞り状態とし、第3流量調整弁15cを全開状態とし、第4流量調整弁15dを全閉状態とし、第5流量調整弁15e絞り状態とし、第6流量調整弁15fを全開状態とする。さらに、空調制御装置40は、第1開閉弁18aを閉じ、第2開閉弁18bを閉じる。
【0129】
これにより、第1除湿暖房モードでは、図3の実線矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12→第2流量調整弁15b→室外熱交換器17(→第3流量調整弁15c)→加熱側アキュムレータ19→第5流量調整弁15e→室内蒸発器21(→第6流量調整弁15f)→冷却側アキュムレータ23→吸入側アキュムレータ24→圧縮機11の順に冷媒が循環する冷凍サイクルが構成される。
【0130】
従って、第1除湿暖房モードでは、室内凝縮器12、室外熱交換器17、および室内蒸発器21が冷媒流れに対してこの順で直列に接続される。
【0131】
空調制御装置40は、この冷媒回路の構成で、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御対象機器の作動状態(各種制御対象機器へ出力する制御信号)を決定する。
【0132】
例えば、第2流量調整弁15bの絞り開度、すなわち第2流量調整弁15bへ出力される制御信号(制御パルス)については、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して決定される。具体的には、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、絞り開度が減少するように決定される。換言すると、サイクルに要求される加熱能力の上昇に伴って、絞り開度が減少するように決定される。
【0133】
また、第5流量調整弁15eの絞り開度、すなわち第5流量調整弁15eへ出力される制御信号(制御パルス)については、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して決定される。具体的には、エジェクタ式冷凍サイクル10のCOPが極大値に近づくように決定される。
【0134】
このため、第5流量調整弁15eの絞り開度は、第2流量調整弁15bの絞り開度が減少するに伴って増加する。換言すると、第5流量調整弁15eの絞り開度は、サイクルに要求される加熱能力の上昇に伴って、増加するように決定される。
【0135】
また、エアミックスドア34の開度、すなわちエアミックスドア34を駆動する電動アクチュエータへ出力される制御信号については、空調風温度センサ47によって検出された送風空気温度TAVが目標吹出温度TAOに近づくように決定される。その他の制御対象機器の作動状態は、冷房モードと同様に決定される。
【0136】
従って、第1除湿暖房モード時のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図9のモリエル線図に示すように冷媒の状態が変化する。図9のモリエル線図では、冷房モードで説明した図8のモリエル線図とサイクル構成上同等の箇所の冷媒の状態を、図8と同一の符号(アルファベット)で示し、添字(数字)のみを変更している。このことは、以下で説明する他のモリエル線図においても同様である。
【0137】
具体的には、第1除湿暖房モードでは、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の送風空気通路を開くので、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(図9のa9点)が、室内凝縮器12へ流入し、室内蒸発器21にて冷却されて除湿された送風空気の一部と熱交換して放熱する(図9のa9点→b9点)。これにより、送風空気の一部が加熱される。
【0138】
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1四方弁13a等を介して、第2流量調整弁15bへ流入して減圧される(図9のb9点→c9点)。第2流量調整弁15bにて減圧された冷媒は、室外熱交換器17の一方の冷媒出入口へ流入する。
【0139】
ここで、室外熱交換器温度Toutが外気温Tamよりも高くなっている場合には、図9に示すように、室外熱交換器17へ流入した冷媒は、室外熱交換器17にて送風ファンから送風された外気へ放熱する(図9のc9点→e9点)。一方、室外熱交換器温度Toutが外気温Tamよりも低くなっている場合には、室外熱交換器17へ流入した冷媒は、室外熱交換器17にて送風ファンから送風された外気から吸熱する。
【0140】
室外熱交換器17の他方の冷媒出入口から流出した冷媒は、加熱側アキュムレータ19、第2四方弁13b、第1四方弁13a等を介して、第5流量調整弁15eへ流入して減圧される(図9のe9点→p9点)。
【0141】
第5流量調整弁15eにて減圧された冷媒は、室内蒸発器21の一方の冷媒出入口へ流入し、送風機32から送風された送風空気吐と熱交換して蒸発する(図9のp9点→n9点)。これにより、送風空気が冷却される。室内蒸発器21の他方の冷媒出入口から流出した冷媒は、冷却側アキュムレータ23、第2四方弁13b、吸入側アキュムレータ24等を介して圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される(図9のn9点→a9点)。
【0142】
従って、第1除湿暖房モードでは、室内蒸発器21にて冷却されて除湿された送風空気を室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。
【0143】
また、第1除湿暖房モードでは、第1流量調整弁15aを絞り状態とすることによって、冷房モードよりも室外熱交換器17へ流入する冷媒の温度を低下させている。従って、冷房モードよりも室外熱交換器17における冷媒の温度と外気温との温度差を縮小することができ、第1除湿暖房モードよりも、室外熱交換器17における冷媒の放熱量を低減させることができる。
【0144】
これにより、単に冷房モード時に送風空気温度TAVが目標吹出温度TAOに近づくようにエアミックスドア34の作動を制御する場合に対して、サイクルを循環する循環冷媒流量を増加させることなく、室内凝縮器12における冷媒圧力を上昇させて、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を向上させることができる。
【0145】
(c)第2除湿暖房モード
第2除湿暖房モードでは、空調制御装置40が、室内凝縮器12の冷媒出口側と第3三方継手14c側とを接続すると同時に第2四方弁13b側と第1三方継手14a側とを接続する冷媒回路に切り替えるように第1四方弁13aの作動を制御する。さらに、加熱側アキュムレータ19の気相冷媒出入口側と吸入側アキュムレータ24の入口側とを接続すると同時に冷却側アキュムレータ23の気相冷媒出入口側と第1四方弁13a側とを接続する冷媒回路に切り替えるように第2四方弁13bの作動を制御する。
【0146】
また、空調制御装置40は、第1流量調整弁15aを全閉状態とし、第2流量調整弁15bを絞り状態とし、第3流量調整弁15cを全開状態とし、第4流量調整弁15dを全閉状態とし、第5流量調整弁15e絞り状態とし、第6流量調整弁15fを全開状態とする。さらに、空調制御装置40は、第1開閉弁18aを閉じ、第2開閉弁18bを閉じる。
【0147】
これにより、第2除湿暖房モードでは、図4の実線矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12→第5流量調整弁15e→室内蒸発器21(→第6流量調整弁15f)→冷却側アキュムレータ23→第2流量調整弁15b→室外熱交換器17(→第3流量調整弁15c)→加熱側アキュムレータ19→吸入側アキュムレータ24→圧縮機11の順に冷媒が循環する冷凍サイクルが構成される。
【0148】
従って、第2除湿暖房モードでは、室内凝縮器12、室内蒸発器21、および室外熱交換器17が冷媒流れに対してこの順で直列に接続される。
【0149】
空調制御装置40は、この冷媒回路の構成で、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御対象機器の作動状態(各種制御対象機器へ出力する制御信号)を決定する。
【0150】
例えば、第5流量調整弁15eの絞り開度、すなわち第5流量調整弁15eへ出力される制御信号(制御パルス)については、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して決定される。具体的には、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、絞り開度が減少するように決定される。換言すると、サイクルに要求される加熱能力の上昇に伴って、絞り開度が減少するように決定される。
【0151】
また、第2流量調整弁15bの絞り開度、すなわち第2流量調整弁15bへ出力される制御信号(制御パルス)については、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して決定される。具体的には、エジェクタ式冷凍サイクル10のCOPが極大値に近づくように決定される。
【0152】
このため、第2流量調整弁15bの絞り開度は、第5流量調整弁15eの絞り開度が減少するに伴って増加する。換言すると、サイクルに要求される加熱能力の上昇に伴って、絞り開度が増加するように決定される。
【0153】
また、エアミックスドア34の開度、すなわちエアミックスドア34を駆動する電動アクチュエータへ出力される制御信号については、空調風温度センサ47によって検出された送風空気温度TAVが目標吹出温度TAOに近づくように決定される。その他の制御対象機器の作動状態は、冷房モードと同様に決定される。
【0154】
従って、第2除湿暖房モード時のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図10のモリエル線図に示すように冷媒の状態が変化する。
【0155】
具体的には、第2除湿暖房モードでは、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の送風空気通路を開くので、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(図10のa10点)が、室内凝縮器12へ流入し、室内蒸発器21にて冷却されて除湿された送風空気の一部と熱交換して放熱する(図10のa10点→b10点)。これにより、送風空気の一部が加熱される。
【0156】
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1四方弁13a等を介して、第5流量調整弁15eへ流入して減圧される(図10のb10点→p10点)。第5流量調整弁15eにて減圧された冷媒は、室内蒸発器21の一方の冷媒出入口へ流入する。室内蒸発器21へ流入した冷媒は、送風機32から送風された送風空気と熱交換して蒸発する(図10のp10点→n10点)。これにより、送風空気が冷却される。
【0157】
室内蒸発器21の他方の冷媒出入口から流出した冷媒は、冷却側アキュムレータ23、第2四方弁13b、第1四方弁13a等を介して、第2流量調整弁15bへ流入して減圧される(図10のn10点→c10点)。
【0158】
第2流量調整弁15bにて減圧された冷媒は、室外熱交換器17の一方の冷媒出入口へ流入し、送風ファンから送風された外気から吸熱する(図10のc10点→f10点)。室外熱交換器17の他方の冷媒出入口から流出した冷媒は、加熱側アキュムレータ19、第2四方弁13b、吸入側アキュムレータ24等を介して圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される(図10のf10点→a10点)。
【0159】
従って、第2除湿暖房モードでは、室内蒸発器21にて冷却されて除湿された送風空気を室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。
【0160】
また、第2除湿暖房モードでは、室外熱交換器17を蒸発器として機能させるとともに、室外熱交換器17における冷媒蒸発圧力を室内蒸発器21における冷媒蒸発圧力よりも低くしている。従って、第1除湿暖房モードよりも室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させることができる。
【0161】
これにより、第1除湿暖房モードに対して、サイクルを循環する循環冷媒流量を増加させることなく、室内凝縮器12における冷媒圧力を上昇させることができる。その結果、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を向上させて、送風空気を第1除湿暖房モードよりも高い温度帯まで昇温させることができる。
【0162】
また、以上の説明から明らかなように、第1除湿暖房モード時の室外熱交換器17における冷媒の流れ方向と第2除湿暖房モード時の室外熱交換器17における冷媒の流れ方向は同一になっている。すなわち、第1、第2除湿暖房モード時の室外熱交換器17では、一方の冷媒出入口側から他方の冷媒出入口側へ向かって冷媒が流れる。
【0163】
さらに、第1除湿暖房モード時の室内蒸発器21における冷媒の流れ方向と第2除湿暖房モード時の室内蒸発器21における冷媒の流れ方向は同一になっている。すなわち、第1、第2除湿暖房モード時の室内蒸発器21では、一方の冷媒出入口側から他方の冷媒出入口側へ向かって冷媒が流れる。
【0164】
さらに、第1、第2除湿暖房モード時の室内蒸発器21における冷媒の流れ方向と冷房モード時の室内蒸発器21における冷媒の流れ方向は異なっている。すなわち、冷媒モード時の室内蒸発器21では、他方の冷媒出入口側から一方の冷媒出入口側へ向かって冷媒が流れる。
【0165】
(d)暖房モード
暖房モードでは、空調制御装置40が、室内凝縮器12の冷媒出口側と第1三方継手14a側とを接続すると同時に第2四方弁13b側と第3三方継手14c側とを接続する冷媒回路に切り替えるように第1四方弁13aの作動を制御する。さらに、加熱側アキュムレータ19の気相冷媒出入口側と吸入側アキュムレータ24の入口側とを接続すると同時に冷却側アキュムレータ23の気相冷媒出入口側と第1四方弁13a側とを接続する冷媒回路に切り替えるように第2四方弁13bの作動を制御する。
【0166】
また、空調制御装置40は、第1流量調整弁15aを絞り状態とし、第2流量調整弁15bを全閉状態とし、第3流量調整弁15cを絞り状態とし、さらに、第1開閉弁18aを開く。
【0167】
これにより、暖房モードでは、図5の実線矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12→第1流量調整弁15a→加熱側エジェクタ16→加熱側アキュムレータ19→吸入側アキュムレータ24→圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、加熱側アキュムレータ19→第3流量調整弁15c→室外熱交換器17→加熱側エジェクタ16の加熱側冷媒吸引口16cの順に冷媒が循環するエジェクタ式冷凍サイクルが構成される。
【0168】
空調制御装置40は、この冷媒回路の構成で、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御対象機器の作動状態(各種制御対象機器へ出力する制御信号)を決定する。
【0169】
例えば、圧縮機11の冷媒吐出能力については、すなわち圧縮機11の電動モータに出力される制御信号については、次のように決定される。まず、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して、室内凝縮器12の目標凝縮器温度TCOを決定する。
【0170】
そして、この目標凝縮器温度TCOと吐出温度センサ45によって検出された吐出冷媒温度Tdとの偏差に基づいて、フィードバック制御手法を用いて吐出冷媒温度Tdが目標凝縮器温度TCOに近づくように、圧縮機11の電動モータに出力される制御信号が決定される。
【0171】
また、第1流量調整弁15aの絞り開度については、すなわち第1流量調整弁15aへ出力される制御信号(制御パルス)については、圧縮機11の冷媒吐出能力(例えば、圧縮機11の電動モータに出力される制御信号)に基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して決定される。
【0172】
この制御マップでは、加熱側ノズル部16aへ流入する冷媒の乾き度xが0.5以上かつ0.8以下となるように、第1流量調整弁15aの絞り開度を決定している。この乾き度xの範囲は、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を極大値に近づけることができる値として、予め実験的に得られた値である。
【0173】
また、第3流量調整弁15cの絞り開度、すなわち第3流量調整弁15cへ出力される制御信号(制御パルス)については、予め空調制御装置40に記憶された暖房用の基準開度に決定される。
【0174】
また、エアミックスドア34を駆動する電動アクチュエータへ出力される制御信号については、室内蒸発器21通過後の送風空気の全流量が室内凝縮器12側の空気通路を流れるように決定される。
【0175】
従って、暖房モード時のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図11のモリエル線図に示すように冷媒の状態が変化する。
【0176】
具体的には、暖房モードでは、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の送風空気通路を全開とするので、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(図11のa11点)が、室内凝縮器12へ流入して送風空気と熱交換して放熱する(図11のa11点→b11点)。これにより、送風空気が加熱される。
【0177】
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1四方弁13aを介して、第1流量調整弁15aへ流入して減圧される(図11のb11点→r11点)。これにより、加熱側ノズル部16aへ流入する冷媒の乾き度xが0.5以上かつ0.8以下に調整される。
【0178】
第1流量調整弁15aにて減圧された冷媒は、加熱側エジェクタ16の加熱側ノズル部16aへ流入する。加熱側ノズル部16aへ流入した冷媒は、等エントロピ的に減圧されて噴射される(図11のr11点→s11点)。そして、この加熱側噴射冷媒の吸引作用によって、室外熱交換器17の一方の冷媒出入口から流出した冷媒が、加熱側エジェクタ16の加熱側冷媒吸引口16cから吸引される。
【0179】
加熱側ノズル部16aから噴射された加熱側噴射冷媒および加熱側エジェクタ16の加熱側冷媒吸引口16cから吸引された加熱側吸引冷媒は、加熱側ディフューザ部16dへ流入する(図11のs11→t11点、c11点→t11点)。
【0180】
加熱側ディフューザ部16dでは、冷媒通路面積の拡大により、冷媒の速度エネルギが圧力エネルギに変換される。これにより、加熱側噴射冷媒と加熱側吸引冷媒との混合冷媒の圧力が上昇する(図11のt11点→u11点)。加熱側ディフューザ部16dから流出した冷媒は加熱側アキュムレータ19へ流入して気液分離される。
【0181】
加熱側アキュムレータ19にて分離された液相冷媒(図11のe11点)は、絞り状態となっている第3流量調整弁15cへ流入して減圧される(図11のe11点→d11点)。第3流量調整弁15cにて減圧された冷媒は、室外熱交換器17の他方の冷媒出入口から流入し、送風ファンから送風された外気から吸熱して蒸発する(図11のd11点→c11点)。
【0182】
加熱側アキュムレータ19にて分離された気相冷媒(図11のf11点)は、第2四方弁13b、吸入側アキュムレータ24等を介して圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される(図11のf11点→a11点)。
【0183】
従って、暖房モードでは、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。
【0184】
さらに、暖房モードでは、加熱側エジェクタ16の加熱側ディフューザ部16dにて昇圧された冷媒を圧縮機11へ吸入させている。従って、蒸発器として機能する熱交換器(暖房モードでは、室外熱交換器17)における冷媒蒸発圧力と圧縮機11の吸入冷媒の圧力が同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも圧縮機11の消費動力を低減させて、COPを向上させることができる。
【0185】
また、以上の説明から明らかなように、第1、第2除湿暖房モード時の室外熱交換器17における冷媒の流れ方向と暖房モード時の室外熱交換器17における冷媒の流れ方向は異なっている。すなわち、暖房モード時の室外熱交換器17では、他方の冷媒出入口側から一方の冷媒出入口側へ向かって冷媒が流れる。
【0186】
ここで、エジェクタ式冷凍サイクル10の第2除湿暖房モードや暖房モードのように、エジェクタ式冷凍サイクル10の室外熱交換器17を蒸発器として機能させる冷媒回路では、室外熱交換器17の冷媒蒸発温度が氷点下(0℃以下)になってしまうと、室外熱交換器17に着霜が生じてしまうことがある。
【0187】
このような着霜が生じると室外熱交換器17の外気通路が霜によって閉塞されてしまうので、室外熱交換器17の熱交換性能が低下してしまう。従って、室外熱交換器17にて冷媒が外気から吸熱する吸熱量が低下して、エジェクタ式冷凍サイクル10が、送風空気を充分に加熱できなくなってしまう。
【0188】
これに対して、本実施形態の車両用空調装置1では、エジェクタ式冷凍サイクル10の室外熱交換器17に着霜が生じた際に、これを取り除くための除霜モードの運転を実行することができる。
【0189】
具体的には、本実施形態では、外気温Tamが0℃以下となっており、さらに、外気温Tamから室外熱交換器温度Toutを減算した値(Tam−Tout)が予め定めた基準温度差以上となっている際に、室外熱交換器17に着霜が生じたと判定する。そして、予め定めた基準時間が経過するまで、除霜モードの運転を実行する。以下に除霜モードにおける作動を説明する。
【0190】
(e)除霜モード
除霜モードでは、空調制御装置40が、室内凝縮器12の冷媒出口側と第1三方継手14a側とを接続すると同時に第2四方弁13b側と第3三方継手14c側とを接続する冷媒回路に切り替えるように第1四方弁13aの作動を制御する。さらに、加熱側アキュムレータ19の気相冷媒出入口側と吸入側アキュムレータ24の入口側とを接続すると同時に冷却側アキュムレータ23の気相冷媒出入口側と第1四方弁13a側とを接続する冷媒回路に切り替えるように第2四方弁13bの作動を制御する。
【0191】
また、空調制御装置40は、第1流量調整弁15aを全閉状態とし、第2流量調整弁15bを絞り状態とし、第3流量調整弁15cを全開状態とし、さらに、第1開閉弁18aを閉じる。
【0192】
これにより、除霜モードでは、図6の実線矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12→第2流量調整弁15b→室外熱交換器17(→第3流量調整弁15c)→加熱側アキュムレータ19→吸入側アキュムレータ24→圧縮機11の順に冷媒が循環する。
【0193】
空調制御装置40は、この冷媒回路の構成で、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御対象機器の作動状態(各種制御対象機器へ出力する制御信号)を決定する。
【0194】
例えば、圧縮機11の冷媒吐出能力、すなわち圧縮機11の電動モータに出力される制御信号については、予め空調制御装置40に記憶された除霜用の冷媒吐出能力が発揮されるように決定される。また、第2流量調整弁15bの絞り開度、すなわち第2流量調整弁15bへ出力される制御信号(制御パルス)については、予め空調制御装置40に記憶された除霜用の基準開度となるように決定される。
【0195】
また、エアミックスドア34を駆動する電動アクチュエータへ出力される制御信号については、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の空気通路を閉塞し、室内蒸発器21通過後の送風空気の全流量が室内凝縮器12を迂回して流れるように決定される。
【0196】
従って、除霜モード時のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図12のモリエル線図に示すように冷媒の状態が変化する。
【0197】
具体的には、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(図12のa12点)が、室内凝縮器12へ流入する。この際、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の空気通路を閉塞しているので、室内凝縮器12へ流入した冷媒は、殆ど送風空気と熱交換することなく室内凝縮器12から流出する。
【0198】
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1四方弁13aを介して、第2流量調整弁15bへ流入して減圧される(図12のa12点→c12点)。第2流量調整弁15bにて減圧された冷媒は、室外熱交換器17の一方の冷媒出入口へ流入して、室外熱交換器17へ放熱する(図12のc12点→f12点)。これにより、室外熱交換器17の除霜がなされる。
【0199】
室外熱交換器17から流出した冷媒は、全開となっている全開となっている第2流量調整弁15b、加熱側アキュムレータ19、第2四方弁13b、吸入側アキュムレータ24を介して、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される(図12のf12点→a12点)。
【0200】
以上の如く、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、車両用空調装置1において、冷房モード、第1除湿暖房モード、第2除湿暖房モード、および暖房モードでの運転に切り替えることで、車室内の適切な空調を実現することができる。さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、除霜モードの冷媒回路に切り替えることができるので、室外熱交換器17に着霜が生じた際にこれを取り除くことができる。
【0201】
さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、車室内の除湿暖房時における送風空気の温度調整範囲を拡大させることができる。
【0202】
このことをより詳細に説明すると、従来技術のエジェクタ式冷凍サイクルでは、室外熱交換器と室内蒸発器とを冷媒流れに対して直列的に接続して除湿暖房を行う際には、エジェクタ式冷凍サイクルを適切に作動させるために、室外熱交換器における冷媒圧力を所定の値以上に維持しておく必要があった。このため、除湿暖房時に車室内へ吹き出される送風空気の温度(吹出空気温度)を調整することのできない範囲が存在していた。
【0203】
具体的には、従来技術のエジェクタ式冷凍サイクルでは、室外熱交換器と室内蒸発器とを冷媒流れに対して直列的に接続する冷媒回路に切り替えた際には、図13の範囲A内で吹出空気温度を調整することができた。また、室外熱交換器と室内蒸発器とを冷媒流れに対して並列的に接続する冷媒回路に切り替えた際には、図13の範囲C内で吹出空気温度を調整することができた。
【0204】
換言すると、従来技術のエジェクタ式冷凍サイクルでは、図13の範囲B内で吹出空気温度を調整することができなかった。
【0205】
これに対して、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、第1、第2除湿暖房モード時に、室外熱交換器17と室内蒸発器21が冷媒流れに対して直列に接続される冷媒回路に切り替える。従って、室外熱交換器17における冷媒圧力によらず、圧縮機11の吸入吐出作用によって、冷媒を室外熱交換器17および室内蒸発器21へ確実に供給することができる。
【0206】
さらに、第1除湿暖房モード時には、室外熱交換器17が第2減圧装置である第5流量調整弁15eを介して室内蒸発器21よりも冷媒流れ上流側に配置されるので、室外熱交換器17における冷媒温度を室内蒸発器21における冷媒温度よりも高い温度帯で調整することができる。
【0207】
従って、第5流量調整弁15eの絞り開度を調整して、室外熱交換器17における冷媒の吸放熱量を調整することで、室内凝縮器12における冷媒放熱量を調整することができる。これにより、第1除湿暖房モードでは、吹出空気温度の調整範囲を図13の範囲αに拡大することができることが判っている。
【0208】
さらに、第2除湿暖房モード時には、室外熱交換器17が第1減圧装置である第2流量調整弁15bを介して室内蒸発器21よりも冷媒流れ下流側に配置されるので、室外熱交換器17における冷媒温度を室内蒸発器21における冷媒温度よりも低い温度帯とすることができる。
【0209】
従って、第2流量調整弁15bの絞り開度を調整することで、室外熱交換器17における冷媒の吸熱量を増加させて、室内凝縮器12にて第1除湿暖房モードよりも高い加熱能力で送風空気を加熱することができる。これにより、第2除湿暖房モードでは、吹出空気温度の調整範囲を図13の範囲βに拡大することができることが判っている。
【0210】
その結果、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、車室内の除湿暖房を行う際に、第1除湿暖房モードおよび第2除湿暖房モードを切り替えることで、幅広い温度帯で送風空気の温度を調整することができる。
【0211】
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、第1、第2除湿暖房モード時の室外熱交換器17における冷媒の流れ方向と暖房モード時の室外熱交換器17における冷媒の流れ方向が異なっている。これによれば、第1、第2除湿暖房モード時の室外熱交換器17内の冷媒の流れ態様と暖房モード時の室外熱交換器17内の冷媒の流れ態様とを変化させて、室外熱交換器17内に冷凍機油が滞留してしまうことを抑制することができる。
【0212】
具体的には、本実施形態では、室外熱交換器17の内部に形成される冷媒通路の通路断面積を、暖房モード時における冷媒入口(他方の冷媒出入口)側から冷媒出口(一方の冷媒出入口)側へ向かうに伴って縮小させている。これにより、暖房モード時に室外熱交換器17を流通する冷媒の流速を増加させて、室外熱交換器17内に冷凍機油が滞留してしまうことを抑制することができる。
【0213】
より詳細には、暖房モード時の室外熱交換器17は蒸発器として機能する。従って、室外熱交換器17内の冷媒通路では、冷媒入口側から冷媒出口側へ向かって液相冷媒が気化することによって冷媒の密度が低下する。従って、室外熱交換器17の冷媒入口側から冷媒出口側へ向かって冷媒通路の通路断面積を縮小させることで、室外熱交換器17を流通する冷媒の流速を増加させて、室外熱交換器17内に滞留している冷凍機油を室外熱交換器17から排出することができる。
【0214】
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、第1、第2除湿暖房モード時の室内蒸発器21における冷媒の流れ方向と冷房モード時の室内蒸発器21における冷媒の流れ方向が異なっている。これによれば、第1、第2除湿暖房モード時の室内蒸発器21内の冷媒の流れ態様と暖房モード時の室外熱交換器17内の冷媒の流れ態様とを変化させて、室内蒸発器21内に冷凍機油が滞留してしまうことを抑制することができる。
【0215】
より詳細には、冷房モード時の室内蒸発器21は蒸発器として機能する。従って、室内蒸発器21内の冷媒通路では、冷媒入口側から冷媒出口側へ向かって液相冷媒が気化することによって冷媒の密度が低下する。従って、室内蒸発器21の冷媒入口側から冷媒出口側へ向かって冷媒通路の通路断面積を縮小させることで、室内蒸発器21を流通する冷媒の流速を増加させて、室内蒸発器21内に滞留している冷凍機油を室外熱交換器17から排出することができる。
【0216】
すなわち、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、除湿暖房を行う空調装置に適用されるエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、冷凍機油が室外熱交換器17および室内蒸発器21に滞留してしまうことを抑制しつつ、除湿暖房時に空調対象空間へ送風される送風空気の温度調整範囲を拡大することができる。
【0217】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
【0218】
(1)上述の実施形態では、本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクル10を電気自動車用の空調装置に適用した例を説明したが、エジェクタ式冷凍サイクル10の適用はこれに限定されない。例えば、内燃機関(エンジン)から車両走行用の駆動力を得る通常の車両や、内燃機関と走行用電動モータとの双方から車両走行用の駆動力を得るハイブリッド車両の空調装置に適用してもよい。
【0219】
内燃機関を有する車両に適用する場合は、車両用空調装置1に送風空気の補助加熱手段として内燃機関の冷却水を熱源として送風空気を加熱するヒータコアを設けてもよい。さらに、車両用に限定されることなく定置型空調装置に適用してもよい。
【0220】
また、上述の実施形態では、室内凝縮器12にて、圧縮機11吐出冷媒と送風空気とを熱交換させて、圧縮機11吐出冷媒を熱源として直接的に送風空気を加熱するエジェクタ式冷凍サイクル10のについて説明したが、室内凝縮器12における送風空気の加熱態様はこれに限定されない。
【0221】
例えば、熱媒体を循環させる熱媒体循環回路を設け、室内放熱器を圧縮機吐出冷媒と熱媒体とを熱交換させる水−冷媒熱交換器として構成し、さらに、熱媒体循環回路に室内放熱器にて加熱された熱媒体と送風空気とを熱交換させて送風空気を加熱する加熱用の熱交換器を配置してもよい。つまり、室内放熱器は、圧縮機吐出冷媒(サイクルの高圧側冷媒)を熱源として、熱媒体を介して間接的に送風空気を加熱するものであってもよい。
【0222】
さらに、内燃機関を有する車両に適用する場合は、内燃機関の冷却水を熱媒体として、熱媒体循環回路を流通させるようにしてもよい。また、電気自動車においては、バッテリや電気機器を冷却する冷却水を熱媒体として、熱媒体循環回路を流通させるようにしてもよい。
【0223】
(2)上述の実施形態では、パス構成を変化させることで、室外熱交換器17および室内蒸発器21の内部に形成される冷媒通路の通路断面積を段階的に変化させた例を説明したが、各運転モード時における室外熱交換器17内および室内蒸発器21内の冷媒の流れ態様を変化させる手段はこれに限定されない。例えば、室外熱交換器17および室内蒸発器21を通路断面積の異なる複数種類のチューブを用いて構成してもよい。
【0224】
また、上述の実施形態では、室外熱交換器17については、他方の冷媒出入口側から一方の冷媒出入口側へ向かうに伴って、冷媒通路の通路断面積を縮小させた例を説明したが、通路断面積の変化はこれに限定されない。
【0225】
例えば、第1、第2除湿暖房モード時の室外熱交換器17における冷媒の流れ方向と暖房モード時の室外熱交換器17における冷媒の流れ方向が異なっていることで、いずれかの運転モードで室外熱交換器17内の冷凍機油を排出可能であれば、他方の冷媒出入口側から一方の冷媒出入口側へ向かうに伴って、冷媒通路の通路断面積を拡大させてもよい。すなわち、室外熱交換器17の内部に形成される冷媒通路は、暖房モード時における冷媒入口側から冷媒出口側へ向かうに伴って通路断面積が拡大していてもよい。
【0226】
これによれば、室外熱交換器17が蒸発器として機能する暖房モード時に、冷媒入口側から冷媒出口側へ向かって冷媒通路の通路断面積が拡大することになるので、冷媒が室外熱交換器17を流通する際の圧力損失を低下させることができる。このことは、室内蒸発器21についても同様である。すなわち、室内蒸発器21の内部に形成される冷媒通路は、冷房モード時における冷媒入口側から冷媒出口側へ向かうに伴って通路断面積が拡大していてもよい。
【0227】
(3)エジェクタ式冷凍サイクル10の各構成機器は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
【0228】
例えば、上述の実施形態では、圧縮機11として、電動圧縮機を採用した例を説明したが、圧縮機11はこれに限定されない。例えば、圧縮機11として、エンジン駆動式の可変容量型圧縮機等を採用してもよい。
【0229】
また、上述の実施形態では、室内凝縮器12にて高圧冷媒と送風空気とを熱交換させることによって送風空気を加熱する例を説明したが、室内凝縮器12に代えて、例えば、熱媒体を循環させる熱媒体循環回路を設け、この熱媒体循環回路に高圧冷媒と熱媒体とを熱交換させる水−冷媒熱交換器、および水−冷媒熱交換器にて加熱された熱媒体と送風空気とを熱交換させて送風空気を加熱する加熱用熱交換器等を配置してもよい。
【0230】
また、上述の実施形態では、冷媒回路切替装置として、複数の流量調整弁および開閉弁を採用した例を説明したが、冷媒回路切替装置はこれに限定されない。少なくとも上述した暖房モードの冷媒回路と直列除湿暖房モードの冷媒回路を切替可能であれば、例えば、全閉機能を有しない流量調整弁と開閉弁とを組み合わせたものや、四方弁等を採用してもよい。
【0231】
また、上述の実施形態で説明した各構成機器を一体化したものを採用してもよい。例えば、第1流量調整弁15a、加熱側エジェクタ16、加熱側アキュムレータ19等を一体化(モジュール化)してもよい。この場合は、加熱側エジェクタ16のノズル部16aの通路内にニードル状、あるいは円錐状の弁体を配置し、この弁体を変位させることで、第1流量調整弁15aと同様の機能を発揮させるようにしてもよい。
【0232】
同様に、第4流量調整弁15d、冷却側エジェクタ22、冷却側アキュムレータ23等を一体化(モジュール化)してもよい。
【0233】
また、上述の各実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10の室内蒸発器21の冷媒出口側に、室内蒸発器21の冷媒蒸発圧力を予め定めた所定値以上とする蒸発圧力調整弁を配置してもよい。これによれば、室内蒸発器21の着霜を機械的機構によって、より一層確実に防止することができる。
【0234】
また、上述の実施形態では、冷媒としてR134aを採用した例を説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、R1234yf、R600a、R410A、R404A、R32、R407C、等を採用してもよい。または、これらの冷媒のうち複数種を混合させた混合冷媒等を採用してもよい。
【0235】
(4)上述の実施形態の暖房モードの高加熱能力運転時には、圧縮機11の冷媒吐出能力に基づいて第1流量調整弁15aの弁開度を調整した例を説明したが、第1流量調整弁15aの弁開度の調整はこれに限定されない。
【0236】
例えば、室内凝縮器12出口側冷媒の乾き度を検出する乾き度センサを設け、この乾き度センサの検出値が0.5以上かつ0.8以下となるように第1流量調整弁15aの弁開度の弁開度を調整してもよい。また、エジェクタ式冷凍サイクル10のCOPが極大値に近づくように第1流量調整弁15aの弁開度を調整してもよい。
【0237】
(5)上述の実施形態では、空調制御プログラムを実行することによって、各運転モードを切り替えた例を説明したが、各運転モードの切り替えはこれに限定されない。例えば、操作パネル50に各運転モードを設定する運転モード設定スイッチを設け、当該運転モード設定スイッチの操作信号に応じて、各暖房モードを切り替えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0238】
11 圧縮機
12 室内凝縮器(加熱用熱交換器)
13a、13b 第1、第2四方弁(冷媒回路切替装置)
15b、15e 第2、第5流量調整弁(第1、第2減圧装置)
16 加熱側エジェクタ
17 室外熱交換器
18a、18b 第1、第2開閉弁(冷媒回路切替装置)
19 加熱側アキュムレータ(加熱側気液分離器)
21 室内蒸発器(冷却用熱交換器)
22 冷却側エジェクタ
23 冷却側アキュムレータ(冷却側気液分離器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13