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特開2017-227468レーダ装置および上下軸ずれ検知方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-227468(P2017-227468A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】レーダ装置および上下軸ずれ検知方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/40 20060101AFI20171201BHJP
   G01S 13/34 20060101ALI20171201BHJP
   G01S 13/93 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   G01S7/40 134
   G01S13/34
   G01S13/93 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-121949(P2016-121949)
(22)【出願日】2016年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石森 裕之
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB19
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AD06
5J070AF03
5J070AH35
5J070BF10
(57)【要約】
【課題】上下方向への軸ずれを精度よく検知すること。
【解決手段】実施形態に係るレーダ装置は、移動体に搭載され、物標からの反射波を受信アンテナで受信して得られた受信信号に基づいて物標を検知するレーダ装置であって、送信部と、判定部とを備える。送信部は、移動体の進行方向に略平行な送信軸を有し、かかる送信軸を中心とする送信波を送信する。判定部は、送信波により到来する反射波の受信信号に基づき、送信軸の上方向または下方向への軸ずれを判定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載され、物標からの反射波を受信アンテナで受信して得られた受信信号に基づいて前記物標を検知するレーダ装置であって、
前記移動体の進行方向に略平行な送信軸を有し、該送信軸を中心とする送信波を送信する送信部と、
前記送信波により到来する前記反射波の前記受信信号に基づき、前記送信軸の上方向または下方向への軸ずれを判定する判定部と
を備えることを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記移動体が所定の移動速度以上である場合に、検知性能の低下に対応する前記移動体からの近距離範囲に相当する周波数BINの検索範囲において、前記物標に対応するピーク周波数が一定時間抽出される場合に、前記下方向への軸ずれがあると判定すること
を特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記移動体の移動速度に応じて前記検索範囲を可変に設定可能であること
を特徴とする請求項2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記移動体が所定の移動速度以上である場合に、前記受信信号から抽出されるピーク周波数に基づいて当該移動体の移動路内に近距離まで検知される静止物の最終検知距離のデータを蓄積し、所定数分の前記データ中において、所定の距離閾値以下である前記データの頻度が所定の頻度閾値以上である場合に、前記上方向への軸ずれがあると判定すること
を特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記判定部は、
前記移動路内の静止物が所定の条件を満たす連続性を有する場合に、前記上方向への軸ずれがあることを判定しないこと
を特徴とする請求項4に記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記判定部は、
前記移動体が所定の移動速度以上であり、かつ、前記受信信号から抽出されるピーク周波数に対応する前記物標が静止物として判定される場合に、前記移動体は実際に移動する環境にあると判定すること
を特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記送信部は、
FM−CW方式およびCW方式を切り替えつつ前記送信波を送信し、
前記判定部は、
前記FM−CW方式による場合に、前記ピーク周波数に基づき、前記物標が安定度高く静止物として検知されているならば、前記移動体は実際に移動する環境にあると判定すること
を特徴とする請求項6に記載のレーダ装置。
【請求項8】
前記判定部は、
前記CW方式による場合に、静止物に相当する前記ピーク周波数の受信レベルが所定の閾値以上であるならば、前記移動体は実際に移動する環境にあると判定すること
を特徴とする請求項7に記載のレーダ装置。
【請求項9】
前記判定部の判定結果に基づいて前記下方向への軸ずれを検知する軸ずれ検知部と、
前記移動体は実際に移動する環境にあるかを判定する環境判定部と
をさらに備え、
前記軸ずれ検知部は、
前記判定部により前記下方向への軸ずれがあると判定されるとともに、前記環境判定部により前記移動体は実際に移動する環境にあると判定される場合に、前記下方向への軸ずれがあることを外部装置へ出力すること
を特徴とする請求項1、2または3に記載のレーダ装置。
【請求項10】
前記判定部の判定結果に基づいて前記上方向への軸ずれを検知する軸ずれ検知部と、
前記移動体は実際に移動する環境にあるかを判定する環境判定部と
をさらに備え、
前記軸ずれ検知部は、
前記判定部により前記上方向への軸ずれがあると判定されるとともに、前記環境判定部により前記移動体は実際に移動する環境にあると判定される場合に、前記上方向への軸ずれがあることを外部装置へ出力すること
を特徴とする請求項1、4または5に記載のレーダ装置。
【請求項11】
移動体に搭載され、物標からの反射波を受信アンテナで受信して得られた受信信号に基づいて前記物標を検知するレーダ装置の上下軸ずれ検知方法であって、
前記移動体の進行方向に略平行な送信軸を有し、該送信軸を中心とする送信波を送信する送信工程と、
前記送信波により到来する前記反射波の前記受信信号に基づき、前記送信軸の上方向または下方向への軸ずれを判定する判定工程と
を含むことを特徴とする上下軸ずれ検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、レーダ装置および上下軸ずれ検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば車両に搭載され、かかる車両から送信した送信波が物標に当たって反射した反射波を複数の受信アンテナで受信し、得られた複数の反射波間の位相差から物標の存在する水平角度を算出するレーダ装置が知られている。
【0003】
かかるレーダ装置は、たとえば車両のバンパー裏などに搭載されることがある。このため、車両が軽衝突を起こした場合などに、送信波の送信軸に軸ずれが生じる場合がある。
【0004】
かかる軸ずれにつき、たとえば、算出した水平角度を含む物標の位置情報に基づき、水平方向の軸ずれを検知するレーダ装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−248056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術によると、上下方向の軸ずれを検知することができないという問題があった。
【0007】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、上下方向への軸ずれを精度よく検知することができるレーダ装置および上下軸ずれ検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係るレーダ装置は、移動体に搭載され、物標からの反射波を受信アンテナで受信して得られた受信信号に基づいて前記物標を検知するレーダ装置であって、送信部と、判定部とを備える。前記送信部は、前記移動体の進行方向に略平行な送信軸を有し、該送信軸を中心とする送信波を送信する。前記判定部は、前記送信波により到来する前記反射波の前記受信信号に基づき、前記送信軸の上方向または下方向への軸ずれを判定する。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様によれば、上下方向への軸ずれを精度よく検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A図1Aは、実施形態に係る上下軸ずれ検知方法の概要説明図(その1)である。
図1B図1Bは、実施形態に係る上下軸ずれ検知方法の概要説明図(その2)である。
図1C図1Cは、実施形態に係る上下軸ずれ検知方法の概要説明図(その3)である。
図1D図1Dは、実施形態に係る上下軸ずれ検知方法の概要説明図(その4)である。
図1E図1Eは、実施形態に係る上下軸ずれ検知方法の概要説明図(その5)である。
図1F図1Fは、実施形態に係る上下軸ずれ検知方法の概要説明図(その6)である。
図1G図1Gは、実施形態に係る上下軸ずれ検知方法の概要説明図(その7)である。
図2図2は、実施形態に係るレーダ装置のブロック図である。
図3図3は、信号処理装置の前段処理から信号処理装置におけるピーク抽出処理までの処理説明図である。
図4A図4Aは、方位演算処理の処理説明図である。
図4B図4Bは、ペアリング処理の処理説明図(その1)である。
図4C図4Cは、ペアリング処理の処理説明図(その2)である。
図5図5は、上下軸ずれ判定部のブロック図である。
図6A図6Aは、上下軸ずれ判定処理の処理説明図(その1)である。
図6B図6Bは、上下軸ずれ判定処理の処理説明図(その2)である。
図6C図6Cは、上下軸ずれ判定処理の処理説明図(その3)である。
図6D図6Dは、上下軸ずれ判定処理の処理説明図(その4)である。
図6E図6Eは、上下軸ずれ判定処理の処理説明図(その5)である。
図6F図6Fは、上下軸ずれ判定処理の処理説明図(その6)である。
図7A図7Aは、実施形態に係るレーダ装置のデータ処理部が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図7B図7Bは、上下軸ずれ判定処理の処理手順を示すフローチャート(その1)である。
図7C図7Cは、上下軸ずれ判定処理の処理手順を示すフローチャート(その2)である。
図7D図7Dは、上下軸ずれ判定処理の処理手順を示すフローチャート(その3)である。
図7E図7Eは、上下軸ずれ判定処理の処理手順を示すフローチャート(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するレーダ装置および上下軸ずれ検知方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
また、以下では、「上下軸ずれ」とは、レーダ装置の送信軸が上方向または下方向にずれることを指す。これに応じ、上方向への軸ずれについては、以下、「上軸ずれ」と記載する。また、同様に、下方向への軸ずれについては、以下、「下軸ずれ」と記載する。
【0013】
また、以下では、本実施形態に係る上下軸ずれ検知方法の概要について図1A図1Gを用いて説明した後に、実施形態に係る上下軸ずれ検知方法を適用したレーダ装置について、図2図7Eを用いて説明することとする。
【0014】
まず、本実施形態に係る上下軸ずれ検知方法の概要について図1A図1Gを用いて説明する。図1A図1Gは、実施形態に係る上下軸ずれ検知方法の概要説明図(その1)〜(その7)である。
【0015】
図1Aに示すように、レーダ装置1は、たとえば自車両MCのフロントバンパの裏側に搭載され、自車両MCの進行方向に存在する物標を検出する。なお、レーダ装置1が設置される位置は限定されるものではなく、たとえばフロントガラスやリアグリル、左右の側部(たとえば、左ドアミラーや右ドアミラー)などその他の場所に設置されていてもよい。
【0016】
そして、レーダ装置1は、路面Gを走行する自車両MCの進行方向に略平行な送信軸CLを中心とする送信波SWを送信する。かかる送信波SWの送信範囲に物標が存在した場合、かかる物標からは送信波SWによる反射波が到来する。レーダ装置1は、かかる反射波を受信し、その受信信号に基づいて物標の存在する角度や距離、相対速度などを検知する。
【0017】
ところで、自車両MCは、搭乗者の操作ミスなどにより、他の物標への軽衝突を起こす場合がある。軽衝突とは、たとえばフロントバンパを壁に軽くぶつけるなどの軽度の衝突を指すが、これによりレーダ装置1の位置がずれ、図1Bに示すように、送信軸CLに、上軸ずれや下軸ずれが生じる場合がある。
【0018】
そして、図1Cに示すように、上下軸ずれがあると、たとえば、上下軸ずれがない場合の先行車LCの検知距離d1を、検知距離d2にまで低下させてしまう。すなわち、レーダ装置1の検知性能が低下する。
【0019】
そこで、本実施形態では、反射波を受信した受信信号に基づき、上下軸ずれによる検知性能の低下を示す走行状況であるか否かを判定することによって、上下軸ずれを検知することとした。
【0020】
具体的には、図1Dに示すように、下軸ずれの場合には、自車両MCが所定速度以上で走行中は、下軸ずれのない場合に比べて、より近距離の路面の反射レベルが高くなる。本実施形態に係るレーダ装置1は、かかる走行状況が生じているか否かを反射波の受信信号に基づいて解析し、判定する「下軸ずれ判定処理」を行う。
【0021】
また、図1Eに示すように、自車両MCが所定速度以上で走行中は、行先表示板DBのような静止物は、自車両MCとは反対向きの同速度で自車両MCに接近し、検知範囲から消える(以下、「ロスト」と言う)が、このときのロスト位置までの距離を最終検知距離Mdと言う。
【0022】
上軸ずれの場合には、自車両MCが所定速度以上で走行中は、上軸ずれのない場合に比べて、かかる静止物の最終検知距離Mdがより近距離となる。本実施形態に係るレーダ装置1は、かかる走行状況が生じているか否かを反射波の受信信号に基づいて解析し、判定する「上軸ずれ判定処理」を行う。
【0023】
これにより、下軸ずれまたは上軸ずれを検知することができる。なお、「下軸ずれ判定処理」および「上軸ずれ判定処理」の具体的な内容については、図6A以降を用いた説明で後述する。
【0024】
そして、図1Fに示すように、本実施形態に係るレーダ装置1は、「下軸ずれ判定処理」により「より近距離の路面Gの反射レベルが高くなる」こと、または、「上軸ずれ判定処理」により「静止物の最終検知距離Mdがより近距離となる」ことが判定されるとともに、「走行環境である」ことが判定された場合に、「上下軸ずれあり」と判定する。
【0025】
「走行環境である」こととは、端的に言えば、操作された速度および方向で自車両MCが「実際に移動している環境にある」ことである。図1Gに示すように、たとえば、自車両MCが評価テストやメンテナンスなどのためにシャーシダイナモSD上にある場合、搭乗者により、任意の速度で走行する操作が行われても、自車両MCはシャーシダイナモSD上を空転するのみで、自車両MCは実際に移動するわけではない。
【0026】
したがって、このときレーダ装置1の検知範囲に、評価機器やメンテナンス機器などの静止物Sがあったとしても、レーダ装置1は、かかる静止物Sを、自車両MCに対し、同一距離、同一速度で同一方向に移動する移動物と検知してしまう。
【0027】
そこで、本実施形態に係るレーダ装置1は、かかる「走行環境である」ことを、静止物S検知の可否によって判定する「走行環境判定処理」を行う。これにより、走行環境でないことによる誤判定を防ぎ、精度よく下軸ずれまたは上軸ずれを検知することができる。すなわち、レーダ装置1の制御プログラムを何ら変更することなく、シャーシダイナモSDを利用して自車両MCを評価テストやメンテナンスすることができる。
【0028】
なお、本実施形態に係るレーダ装置1は、図1Fに示すように、「上下軸ずれあり」を判定した場合、かかる判定結果をダイアグノシス信号として出力(以下、「ダイアグ出力」と言う)する。これにより、レーダ装置1の上下軸ずれをダイアグノシス診断によって検知することができる。したがって、メンテナンス性の向上に資することができる。
【0029】
このように、本実施形態では、レーダ装置1が、送信軸の上下方向への軸ずれによる物標の検知性能の低下を示す移動状況にあるか否か、および、実際に移動する環境にあるか否かを判定することとした。そして、その判定結果に基づいて送信軸CLの上下方向への軸ずれを検知することとした。したがって、本実施形態によれば、上下方向への軸ずれを精度よく検知することができる。
【0030】
以下、上述した上下軸ずれ検知方法を適用したレーダ装置1について、さらに具体的に説明する。
【0031】
図2は、実施形態に係るレーダ装置1のブロック図である。なお、図2では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0032】
換言すれば、図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0033】
図2に示すように、レーダ装置1は、送信系を構成する構成要素として、送信部2と、送信アンテナ4とを備える。送信部2は、発振器21と、信号生成部22とを備える。
【0034】
また、レーダ装置1は、受信系を構成する構成要素として、受信アンテナ5−1〜5−nと、受信部6−1〜6−nとを備える。受信部6−1〜6−nはそれぞれ、ミキサ61と、A/D変換部62とを備える。また、レーダ装置1は、信号処理系を構成する構成要素として、信号処理装置7を備える。
【0035】
なお、以下では、説明の簡略化のため、単に「受信アンテナ5」と記載した場合には、受信アンテナ5−1〜5−nを総称するものとする。かかる点は、「受信部6」についても同様とする。
【0036】
送信部2は、送信信号を生成する処理を行う。信号生成部22は、後述する信号処理装置7が備える送受信制御部71の制御により、FM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)モード時には、三角波で周波数変調されたミリ波を送信するための変調指示信号を生成する。
【0037】
また、信号生成部22は、送受信制御部71の制御により、CW(Continuous Wave)モード時には、変調しない一定周波数のミリ波を送信するための変調指示信号を生成する。発振器21は、かかる信号生成部22によって生成された変調指示信号に基づいて送信信号を生成する。なお、FM−CWモードおよびCWモードは、たとえば数十ミリ秒ごとに繰り返されるように、送受信制御部71により制御される。
【0038】
送信アンテナ4は、発振器21によって生成された送信信号を、自車両MCの前方へ送信波として送出する。なお、図2に示すように、発振器21によって生成された送信信号は、後述するミキサ61に対しても分配される。
【0039】
受信アンテナ5は、送信アンテナ4から送出された送信波が物標において反射することで、かかる物標から到来する反射波を受信信号として受信する。受信部6のそれぞれは、受信した各受信信号を信号処理装置7へ渡すまでの前段処理を行う。
【0040】
具体的には、ミキサ61のそれぞれは、上述のように分配された送信信号と、受信アンテナ5のそれぞれにおいて受信された受信信号とを混合してビート信号を生成する。なお、受信アンテナ5とミキサ61との間にはそれぞれ対応する増幅器を配してもよい。
【0041】
A/D変換部62は、ミキサ61において生成されたビート信号をデジタル変換し、信号処理装置7に対して出力する。
【0042】
信号処理装置7は、送受信制御部71と、フーリエ変換部72と、データ処理部73と、記憶部74とを備える。
【0043】
データ処理部73は、ピーク抽出部73aと、方位演算部73bと、ペアリング部73cと、連続性判定部73dと、フィルタ部73eと、物標分類部73fと、不要物標判定部73gと、結合処理部73hと、上下軸ずれ判定部73iと、出力物標選択部73jとを備える。
【0044】
記憶部74は、ハードディスクドライブや不揮発性メモリ、レジスタといった記憶デバイスであって、データ処理情報74aを記憶する。データ処理情報74aは、データ処理部73の各処理部73a〜73jで用いられる各閾値など、データ処理に必要となる各種情報や、各処理部73a〜73jにおけるデータ処理結果などを含む。したがって、各処理部73a〜73jは、それぞれのデータ処理結果をデータ処理情報74aへ都度書き込む。
【0045】
送受信制御部71は、上述の信号生成部22および発振器21を含む送信部2を制御する。また、図示していないが、受信部6それぞれの制御もあわせて行う。
【0046】
フーリエ変換部72は、各A/D変換部62から入力したビート信号に対してフーリエ変換を施して、データ処理部73のピーク抽出部73aへ出力する。
【0047】
ピーク抽出部73aは、フーリエ変換部72によるフーリエ変換結果においてピークとなるピーク周波数を抽出し、方位演算部73bへ制御を移す。なお、ピーク抽出部73aは、FM−CWモード時には、後述するビート信号の「UP区間」および「DN区間」のそれぞれについてピーク周波数を抽出する。以下、主にFM−CWモード時について説明する。CWモード時におけるピーク抽出結果は、主にFM−CWモード時における処理結果の正確性を担保するために用いられるとともに、後述する上下軸ずれ判定部73iにおける走行環境判定処理において用いられる。
【0048】
方位演算部73bは、ピーク抽出部73aにおいて抽出されたピーク周波数のそれぞれに対応する反射波の到来角度とその強度(受信レベル)を算出し、ペアリング部73cへ制御を移す。この時点で、到来角度は、位相折り返しされた場合を含み、物標が存在すると推定される角度であることから、以下、「推定角度」と記載する。
【0049】
ペアリング部73cは、方位演算部73bの算出結果に基づいて「UP区間」および「DN区間」それぞれのピーク周波数の正しい組み合わせを判定し、組み合わせ結果から各物標の距離および相対速度を算出し、連続性判定部73dへ制御を移す。
【0050】
ここで、以下の説明を分かりやすくする観点から、信号処理装置7におけるここまでの一連の処理の流れを図3および図4A図4Cを用いて説明しておく。
【0051】
図3は、信号処理装置7の前段処理から信号処理装置7におけるピーク抽出処理までの処理説明図である。また、図4Aは、方位演算処理の処理説明図である。また、図4Bおよび図4Cは、ペアリング処理の処理説明図(その1)および(その2)である。
【0052】
なお、図3は、2つの太い下向きの白色矢印で3つの領域に区切られている。以下では、かかる各領域を順に、上段、中段、下段と記載することとする。
【0053】
図3の上段に示すように、送信信号fs(t)は、送信アンテナ4から送信波として送出された後、物標において反射されて反射波として到来し、受信アンテナ5において受信信号fr(t)として受信される。
【0054】
このとき、図3の上段に示すように、受信信号fr(t)は、自車両MCと物標との距離に応じて、送信信号fs(t)に対して時間差τだけ遅延している。この時間差τと、自車両MCおよび物標の相対速度に基づくドップラー効果とにより、受信信号fr(t)と送信信号fs(t)とが混合されて得られる出力信号においては、周波数が上昇する「UP区間」の周波数fupと、周波数が下降する「DN区間」の周波数fdnとが繰り返されるビート信号が得られる(図3の中段参照)。
【0055】
図3の下段には、かかるビート信号をフーリエ変換部72においてフーリエ変換した結果を、「UP区間」側および「DN区間」側のそれぞれについて模式的に示している。
【0056】
図3の下段に示すように、フーリエ変換後には、「UP区間」側および「DN区間」側のそれぞれの周波数領域における波形が得られる。ピーク抽出部73aは、かかる波形においてピークとなるピーク周波数を抽出する。
【0057】
たとえば、図3の下段に示した例の場合、ピーク抽出閾値が用いられ、「UP区間」側においては、ピークPu1〜Pu3がそれぞれピークとして判定され、ピーク周波数fu1〜fu3がそれぞれ抽出される。
【0058】
また、「DN区間」側においては、同じくピーク抽出閾値により、ピークPd1,Pd2,Pd3がそれぞれピークとして判定され、ピーク周波数fd1,fd2,fd3がそれぞれ抽出される。なお、ピーク抽出閾値は、データ処理情報74aにあらかじめ格納されていてもよい。
【0059】
ここで、ピーク抽出部73aが抽出した各ピーク周波数の周波数成分には、複数の物標からの反射波が混成している場合がある。そこで、方位演算部73bは、各ピーク周波数のそれぞれについて方位演算を行い、ピーク周波数ごとに対応する物標の存在を解析する。
【0060】
なお、方位演算部73bにおける方位演算は、たとえばESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)などの所定の到来方向推定手法を用いて行われるが、これに限定されるものではない。
【0061】
図4Aは、方位演算部73bが行った方位演算結果を模式的に示すものである。方位演算部73bは、かかる方位演算結果の各ピークPu1〜Pu3から、これらピークPu1〜Pu3にそれぞれ対応する各物標の推定角度を算出する。また、各ピークPu1〜Pu3の大きさが受信レベルとなる。
【0062】
方位演算部73bは、かかる方位演算処理を、図4Bに示すように、「UP区間」側および「DN区間」側のそれぞれについて行う。
【0063】
そして、ペアリング部73cは、図4Bに示すように、方位演算部73bの方位演算結果において、推定角度および受信レベルの近い各ピークを組み合わせるペアリングを行う。
【0064】
また、その組み合わせ結果から、ペアリング部73cは、各ピークの組み合わせに対応する各物標の距離および相対速度を算出する。距離は、「距離∝(fup+fdn)」の関係に基づいて算出される。相対速度は、「速度∝(fup−fdn)」の関係に基づいて算出される。その結果、図4Cに示すように、自車両MCに対する、各物標(図中の白丸)の推定角度、距離および相対速度を示すペアリング処理結果が得られる。
【0065】
図2の説明に戻り、つづいて連続性判定部73dについて説明する。連続性判定部73dは、今回のスキャンにより判定中の物標の瞬時値に、前回のスキャンまでに検知していた物標と連続性があるか否かを判定し、フィルタ部73eへ制御を移す。具体的には、前回のスキャンまでの物標の位置から今回の予測位置を算出し、今回のスキャンにおいて予測位置に近い瞬時値があれば、かかる瞬時値に連続性があると判定する。
【0066】
フィルタ部73eは、複数回の瞬時値データを平均化することで各瞬時値データによるばらつきを抑え、物標の検知位置の精度を高めるためのフィルタ処理を行い、物標分類部73fへ制御を移す。物標分類部73fは、フィルタ部73eまでのデータ処理結果に基づき、各物標を移動物(たとえば先行車LC、対向車等)および静止物Sに分類し、不要物標判定部73gへ制御を移す。
【0067】
不要物標判定部73gは、システム制御上、不要となる物標であるか否かを判定し、結合処理部73hへ制御を移す。不要となる物標は、たとえば位相差が360[deg]を超えることで折り返された折り返しゴーストや、構造物、壁反射などである。なお、不要とされた物標は、基本的に外部装置への出力対象としないが、内部的には保持されていてよい。
【0068】
結合処理部73hは、実在するとして検知されている複数の物標のうち、同一物からの反射点であると推定されるものについて、1つの物標にまとめるグルーピングを行い、上下軸ずれ判定部73iへ制御を移す。
【0069】
上下軸ずれ判定部73iは、レーダ装置1の送信軸CLについての上軸ずれ判定処理、または、下軸ずれ判定処理を行う。また、上下軸ずれ判定部73iは、あわせて走行環境判定処理を行う。また、上下軸ずれ判定部73iは、上軸ずれ判定処理、下軸ずれ判定処理および走行環境判定処理の処理結果に基づき、「上下軸ずれあり」によるダイアグ出力の要否を判定し、出力物標選択部73jへ制御を移す。なお、ダイアグ出力が要である場合、上下軸ずれ判定部73iは、外部装置へダイアグ出力を行う。外部装置は、たとえば車両制御装置10である。
【0070】
ここで、上下軸ずれ判定部73iが行う上下軸ずれ判定処理について、図5図6Fを用いてさらに具体的に説明する。図5は、上下軸ずれ判定部73iのブロック図である。また、図6A図6Fは、上下軸ずれ判定処理の処理説明図(その1)〜(その6)である。
【0071】
図5に示すように、上下軸ずれ判定部73iは、下軸ずれ判定部73iaと、上軸ずれ判定部73ibと、走行環境判定部73icと、ダイアグ出力判定部73idとを備える。下軸ずれ判定部73ia、上軸ずれ判定部73ibおよび走行環境判定部73icのそれぞれは、各処理部73a〜73hのデータ処理結果を含むデータ処理情報74aに基づいて処理を行う。
【0072】
下軸ずれ判定部73iaは、自車両MCの自車速度が所定速度以上である場合に、自車速度に応じた、より近距離の路面Gに相当する周波数BINに対応する検索範囲におけるピーク(以下、「路面ピーク」と言う)の存否を判定する。下軸ずれ判定部73iaは、かかる検索範囲に一定時間ピークが存在した場合に、下軸ずれありと判定する。
【0073】
上軸ずれ判定部73ibは、自車両MCの自車速度が所定速度以上である場合に、自車両MCのレーン内に近距離まで静止物Sを検知する頻度を判定し、かかる頻度が高頻度である場合に、上軸ずれありと判定する。
【0074】
なお、上軸ずれ判定部73ibは、天井高の極端に低い低天井トンネルなどの場合には、かかる低天井によって上軸ずれありとの誤判定がなされないように、上方物(自車レーン内上方の静止物)に一定の特徴がある場合には、上軸ずれありとの判定を行わない例外処理を行うことができる。
【0075】
走行環境判定部73icは、「走行環境である」ことを、静止物S検知の可否に基づいて判定する。走行環境判定部73icは、かかる判定を、FM−CWモード時およびCWモード時のそれぞれについて行う。走行環境判定部73icは、静止物Sが検知される場合に、「走行環境あり」と判定する。
【0076】
ダイアグ出力判定部73idは、下軸ずれ判定部73iaにより「下軸ずれあり」、または、上軸ずれ判定部73ibにより「上軸ずれあり」と判定されるとともに、走行環境判定部73icにより「走行環境である」と判定された場合に、「上下軸ずれあり」と判定し、外部装置へダイアグ出力を行う。なお、出力内容には、上軸ずれ、または、下軸ずれのいずれであるかを示す種別などを含んでよい。
【0077】
かかる上下軸ずれ判定処理について、さらに具体的に説明する。なお、本実施形態では、先行車LCの検知距離が50m以下である場合を、上下軸ずれによるレーダ装置1の検知性能の低下を示す一つの指標とした。この場合の上下軸ずれは、参考値として±5[deg]以上である。以下の説明で具体例として数値を示した場合、かかる参考値を前提としている。
【0078】
まず、図6Aおよび図6Bには、下軸ずれ判定部73iaによる下軸ずれ判定処理の内容を示した。図6Aに示すように、下軸ずれ判定部73iaは、自車両MCの自車速度が所定速度(たとえば40km/h)以上である場合に、より近距離の路面Gに相当する周波数BINに対応する検索範囲Rに路面ピークPk_Gが存在するか否かを判定する(ステップS1−2)。
【0079】
なお、検索範囲Rは、静止物Sの一つとして検知される路面Gの相対速度≒自車両MCの自車速度に依存するため、図6Bに示すように、下軸ずれ判定部73iaは、自車速度に応じた周波数BINを「速度∝(fup−fdn)」の関係に基づいて予め算出し、これに対応する検索範囲Rを可変に設定する(図中の検索範囲R’は、単に検索範囲R以外の検索範囲を示している)。すなわち、下軸ずれ判定部73iaは、自車速度に応じて検索範囲Rを変更させる(ステップS1−1)。
【0080】
これにより、自車速度に応じた適切な近距離範囲における路面Gの路面反射を検知することができる。すなわち、下軸ずれを精度よく検知するのに資することができる。
【0081】
そして、図6Aに示すように、下軸ずれ判定部73iaは、ステップS1−2において路面ピークPk_Gが存在すれば、路面Gを検知したことを示す路面検知カウンタを加算し(ステップS1−3)、かかるカウンタを閾値判定する(ステップS1−4)ことによって、一定時間、近距離の路面Gが検知されたものと判定し、「下軸ずれあり」と判定する。
【0082】
なお、一例として、検索範囲Rは路面距離0.3m〜3m(下軸ずれ−5[deg]以下に対応)に相当し、路面検知カウンタの閾値は4分〜40分に相当する。
【0083】
このように、図6Aおよび図6Bに示した下軸ずれ判定処理により、下軸ずれを精度よく検知することができる。
【0084】
次に、図6Cおよび図6Dには、上軸ずれ判定部73ibによる上軸ずれ判定処理の内容を示した。図6Cに示すように、上軸ずれ判定部73ibは、自車両MCの自車速度が所定速度(たとえば40km/h)以上である場合に、静止物Sの最終検知距離Mdをデータ蓄積する(ステップS2−1)。
【0085】
そして、直近の所定数分(たとえば20個分)のデータ中、距離閾値以下のデータ頻度を判定する(ステップS2−2)。たとえば、距離閾値は30mであり、頻度閾値は18個である。したがって、最終検知距離Mdが30m以下のデータが、20個中18個以上、すなわち確率90%以上で出現すれば、上軸ずれ判定部73ibは、高頻度と判定し、高頻度カウンタを加算する(ステップS2−3)。そして、上軸ずれ判定部73ibは、かかるカウンタを閾値判定する(ステップS2−4)ことによって、一定時間、より近距離の最終検知距離Mdが高頻度化したものと判定し、「上軸ずれあり」と判定する。
【0086】
なお、上軸ずれ判定処理の例外処理として、図6Dに示す低天井トンネルの場合がある。低天井トンネルは、たとえばトラックが通過できない天井高hを有するトンネルである。ただし、トンネルの場合、構造物などの上方物が一定の間隔iで設けられているなどの特徴を有することが多いことから、上軸ずれ判定部73ibは、かかる上方物の連続性を判定し(ステップS2−5)、かかる連続性が認められる場合には、「上軸ずれあり」との判定を行わないようにすることができる。これにより、低天井トンネルのように、上軸ずれ判定すべきではない場面における上軸ずれの誤判定を防ぐことができる。
【0087】
このように、図6Cおよび図6Dに示した上軸ずれ判定処理により、上軸ずれを精度よく検知することができる。
【0088】
次に、図6Eおよび図6Fには、走行環境判定部73icによる走行環境判定処理の内容を示した。図6Eに示すように、走行環境判定部73icは、まずFM−CWモード時において、自車両MCの自車速度が所定速度(たとえば40km/h)以上である場合に、静止物Sまたは対向車OCを安定度高く検知しているか否かを判定する(ステップS3−1)。
【0089】
ここに言う安定度は、一つの物標につき、たとえば上述のペアリング処理においてなされる組み合わせの妥当性に基づくものであり、「UP区間」および「DN区間」で妥当でない組み合わせ(以下、「ミスペア」と言う)がなされた場合には減算され、これとは逆に妥当な組み合わせがなされた場合には加算されるFM−CWカウンタなどを用いて評価することができる。
【0090】
すなわち、前述のシャーシダイナモSD上に自車両MCがある場合に、ミスペアにより静止物Sまたは対向車OCが実在するものとして判定され、走行環境であるとの誤判定が生じることを防ぐものである。これにより、走行環境判定を精度よく行うことができる。
【0091】
また、図6Fに示すように、走行環境判定部73icは、CWモード時においては、自車両MCの自車速度から静止物Sに相当するピークPk_Sの出現する周波数BINが分かるので、そこに出現したピークPk_Sの受信レベルが所定のレベル閾値以上であるかを判定することにより(ステップS3−2)、静止物Sの存否を判定する。静止物Sが検知されれば、走行環境判定部73icは、たとえばCWカウンタを加算する。
【0092】
そして、走行環境判定部73icは、FM−CWカウンタおよびCWカウンタがそれぞれの所定の閾値以上である場合に、「走行環境である」と判定する。
【0093】
このように、図6Eおよび図6Fに示した走行環境判定処理により、走行環境であるか否かを精度よく検知することができる。
【0094】
図2の説明に戻り、つづいて出力物標選択部73jについて説明する。出力物標選択部73jは、システム制御上、外部装置へ出力することが必要となる物標を選択する。したがって、出力物標選択部73jは、不要物標判定部73gの判定結果などに基づき、不要物標であると判定された物標については、出力対象として選択しない。これにより、システム制御上の誤動作を防止することができる。また、出力物標選択部73jは、選択した物標に関する物標情報(実在角度や距離、相対速度等を含む)を外部装置、たとえば車両制御装置10へ出力する。
【0095】
車両制御装置10は、自車両MCの各装置を制御するECU(Electronic Control Unit)である。車両制御装置10は、たとえば、車速センサ11と、舵角センサ12と、電気的に接続されている。
【0096】
車両制御装置10は、レーダ装置1から取得した物標情報に基づき、たとえばACC(Adaptive Cruise Control)やPCS(Pre-Crash Safety System)等の車両制御を行う。
【0097】
たとえば、車両制御装置10は、ACCを行う場合、レーダ装置1から取得した物標情報を使用し、先行車との車間距離を一定距離に保ちつつ、自車両MCが先行車に追従するように、図示略のスロットルやブレーキを制御する。また、車両制御装置10は、随時変化する自車両MCの走行状況、すなわち車速や舵角等を、車速センサ11や舵角センサ12等から都度取得し、レーダ装置1へフィードバックする。
【0098】
また、たとえば、車両制御装置10は、PCSを行う場合、レーダ装置1から取得した物標情報を使用し、自車両MCの進行方向に衝突危険性のある先行車LCや静止物S等が存在することが検知される場合には、ブレーキを制御して自車両MCを減速させる。また、たとえば、自車両MCの搭乗者に対して図示略の警報器を用いて警告したり、車室内のシートベルトを引き込んで搭乗者を座席に固定したりする。
【0099】
次に、本実施形態に係るレーダ装置1のデータ処理部73が実行する処理手順について、図7A図7Eを用いて説明する。図7Aは、実施形態に係るレーダ装置1のデータ処理部73が実行する処理手順を示すフローチャートである。また、図7B図7Eは、上下軸ずれ判定処理の処理手順を示すフローチャート(その1)〜(その4)である。
【0100】
図7Aに示すように、まずピーク抽出部73aが、ピーク抽出処理を行う(ステップS101)。そして、方位演算部73bが、ピーク抽出処理の処理結果に基づき、方位演算処理を行う(ステップS102)。
【0101】
そして、ペアリング部73cが、方位演算処理までの処理結果に基づき、ペアリング処理を行う(ステップS103)。
【0102】
つづいて、連続性判定部73dが、ペアリング処理までの処理結果に基づき、連続性判定処理を行う(ステップS104)。そして、フィルタ部73eが、連続性判定処理までの処理結果に基づき、フィルタ処理を行う(ステップS105)。
【0103】
つづいて、物標分類部73fが、フィルタ処理までの処理結果に基づき、物標分類処理を行う(ステップS106)。そして、不要物標判定部73gが、物標分類処理までの処理結果に基づき、不要物標判定処理を行う(ステップS107)。そして、結合処理部73hが、不要物標判定処理までの処理結果に基づき、結合処理を行う(ステップS108)。
【0104】
そして、上下軸ずれ判定部73iが、結合処理までの処理結果に基づき、上下軸ずれ判定処理を行う(ステップS109)。
【0105】
ここで、上下軸ずれ判定処理の処理手順について説明する。まず図7Bには、下軸ずれ判定処理の処理手順を示している。図7Bに示すように、下軸ずれ判定処理では、下軸ずれ判定部73iaが、自車速度が所定速度以上であるか否かを判定する(ステップS201)。
【0106】
ここで、自車速度が所定速度以上である場合(ステップS201,Yes)、下軸ずれ判定部73iaは、近距離の路面ピークPk_Gの検索範囲Rを自車速度に基づいて算出する(ステップS202)。
【0107】
つづいて、下軸ずれ判定部73iaは、算出し、設定した検索範囲Rに路面ピークPk_Gがあるか否かを判定する(ステップS203)。ここで、検索範囲Rに路面ピークPk_Gがある場合(ステップS203,Yes)、下軸ずれ判定部73iaは、路面検知カウンタを加算(UP)する(ステップS204)。
【0108】
つづいて、下軸ずれ判定部73iaは、路面検知カウンタが所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS205)。ここで、路面検知カウンタが所定の閾値以上である場合(ステップS205,Yes)、下軸ずれ判定部73iaは、「下軸ずれあり」と判定する(ステップS206)。
【0109】
なお、ステップS201,S203,S205の判定条件をそれぞれ満たさない場合(ステップS201,No/ステップS203,No/ステップS205,No)、ステップS206の次のステップへ制御を移す。
【0110】
次に、図7Cには、上軸ずれ判定処理の処理手順を示している。図7Cに示すように、上軸ずれ判定処理では、上軸ずれ判定部73ibが、自車速度が所定速度以上であるか否かを判定する(ステップS207)。
【0111】
ここで、自車速度が所定速度以上である場合(ステップS207,Yes)、上軸ずれ判定部73ibは、自車両MCのレーン内に近距離まで検知される静止物Sの最終検知距離Mdをデータ蓄積する(ステップS208)。
【0112】
つづいて、上軸ずれ判定部73ibは、直近の所定数分のデータ中、所定の距離閾値以下のデータ頻度が、所定の頻度閾値以上であるか否かを判定する(ステップS209)。
【0113】
ここで、ステップS209の判定条件を満たす場合(ステップS209,Yes)、上軸ずれ判定部73ibは、高頻度カウンタをUPする(ステップS210)。
【0114】
つづいて、上軸ずれ判定部73ibは、高頻度カウンタが所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS211)。ここで、高頻度カウンタが所定の閾値以上である場合(ステップS211,Yes)、上軸ずれ判定部73ibは、つづいて上方物の連続性がないか否かを判定する(ステップS212)。
【0115】
そして、上方物の連続性がない場合(ステップS212,Yes)、上軸ずれ判定部73ibは、「上軸ずれあり」と判定する(ステップS213)。
【0116】
なお、ステップS207,S209,S211,S212の判定条件をそれぞれ満たさない場合(ステップS207,No/ステップS209,No/ステップS211,No/ステップS212,No)、ステップS213の次のステップへ制御を移す。
【0117】
次に、図7Dには、走行環境判定処理の処理手順を示している。図7Dに示すように、走行環境判定処理では、走行環境判定部73icが、FM−CWモードであるか否かを判定する(ステップS214)。
【0118】
ここで、FM−CWモードである場合(ステップS214,Yes)、つづいて走行環境判定部73icは、自車速度が第1所定速度以上であるか否かを判定する(ステップS215)。
【0119】
そして、自車速度が第1所定速度以上である場合(ステップS215,Yes)、走行環境判定部73icは、安定度高く静止物Sまたは対向車OCを検知しているか否かを判定する(ステップS216)。
【0120】
ここで、ステップS216の判定条件を満たす場合(ステップS216,Yes)、走行環境判定部73icは、FM−CWカウンタをUPする(ステップS217)。
【0121】
なお、ステップS214〜S216の判定条件をそれぞれ満たさない場合(ステップS214,No/ステップS215,No/ステップS216,No)、ステップS218へ制御を移す。
【0122】
つづいて、走行環境判定部73icは、CWモードであるか否かを判定する(ステップS218)。
【0123】
ここで、CWモードである場合(ステップS218,Yes)、つづいて走行環境判定部73icは、自車速度が第2所定速度以上であるか否かを判定する(ステップS219)。
【0124】
そして、自車速度が第2所定速度以上である場合(ステップS219,Yes)、走行環境判定部73icは、静止物相当のピークPk_Sの受信レベルが所定のレベル閾値以上であるか否かを判定する(ステップS220)。
【0125】
ここで、ステップS220の判定条件を満たす場合(ステップS220,Yes)、走行環境判定部73icは、CWカウンタをUPする(ステップS221)。そのうえで、走行環境判定部73icは、FM−CW,CWカウンタとも所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS222)。
【0126】
ここで、ステップS222の判定条件を満たす場合(ステップS222,Yes)、走行環境判定部73icは、「走行環境である」と判定する(ステップS223)。
【0127】
なお、ステップS218〜S220,S222の判定条件をそれぞれ満たさない場合(ステップS218,No/ステップS219,No/ステップS220,No/ステップS222,No)、ステップS223の次のステップへ制御を移す。
【0128】
次に、図7Eには、ダイアグ出力判定処理の処理手順を示している。図7Eに示すように、ダイアグ出力判定処理では、ダイアグ出力判定部73idが、「下軸ずれあり」であるか、または、「上軸ずれあり」であるかを判定する(ステップS224)。
【0129】
ここで、ステップS224の判定条件を満たす場合(ステップS224,Yes)、つづいてダイアグ出力判定部73idは、「走行環境である」か否かを判定する(ステップS225)。
【0130】
そして、「走行環境である」場合(ステップS225,Yes)、ダイアグ出力判定部73idは、「上下軸ずれあり」と判定し、かかる上下軸ずれをダイアグ出力し(ステップS226)、処理を終了する。
【0131】
なお、ステップS224,S225の判定条件をそれぞれ満たさない場合(ステップS224,No/ステップS225,No)、処理を終了する。
【0132】
図7Aの説明に戻り、ステップS110について説明する。つづいて、出力物標選択部73jが、上下軸ずれ判定処理までの処理結果に基づき、出力物標選択処理を行い(ステップS110)、出力対象として選択された物標の物標情報を外部装置へ出力して、処理を終了する。
【0133】
上述してきたように、本実施形態に係るレーダ装置1は、自車両MC(「移動体」の一例に相当)に搭載され、物標からの反射波を受信アンテナ5で受信して得られた受信信号に基づいて物標を検知するレーダ装置1であって、送信部2と、上下軸ずれ判定部73i(「判定部」の一例に相当)とを備える。
【0134】
送信部2は、自車両MCの進行方向に略平行な送信軸CLを有し、かかる送信軸CLを中心とする送信波を送信する。上下軸ずれ判定部73iは、送信波により到来する反射波の受信信号に基づき、送信軸CLの上方向または下方向への軸ずれを判定する。
【0135】
したがって、本実施形態に係るレーダ装置1によれば、上下方向への軸ずれを精度よく検知することができる。
【0136】
なお、上述した実施形態では、レーダ装置1の送信アンテナ4の本数を1本、受信アンテナ5の本数をn本としたが、これは一例であって、複数の物標を検出可能であれば他の本数であってもよい。
【0137】
また、上述した実施形態では、レーダ装置1の用いる到来方向推定手法の例にESPRITを挙げたが、これに限られるものではない。たとえばDBF(Digital Beam Forming)や、PRISM(Propagator method based on an Improved Spatial-smoothing Matrix)、MUSIC(Multiple Signal Classification)等を用いてもよい。
【0138】
また、上述した実施形態では、レーダ装置1は自車両MCに設けられることとしたが、車両以外の移動体に設けられてもよい。したがって、上述した走行状況は、「移動状況」の一例に相当する。また、自車速度は、「移動速度」の一例に相当する。また、自車両MCのレーン内は、「移動体の移動路内」の一例に相当する。
【0139】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0140】
1 レーダ装置
2 送信部
4 送信アンテナ
5 受信アンテナ
6 受信部
7 信号処理装置
10 車両制御装置
73 データ処理部
73a ピーク抽出部
73i 上下軸ずれ判定部
73ia 下軸ずれ判定部
73ib 上軸ずれ判定部
73ic 走行環境判定部
73id ダイアグ出力判定部
74 記憶部
74a データ処理情報
CL 送信軸
G 路面
LC 先行車
MC 自車両
Md 最終検知距離
OC 対向車
R 検索範囲
S 静止物
SD シャーシダイナモ
SW 送信波
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E