【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1である非球面レンズの計測装置100を示す図である。
【0017】
非球面レンズの計測装置100は、干渉計10と、サンプル台21と、CGH台31と、CGH移動手段32と、ヌルミラー台41と、ヌルミラー移動手段42とを有する。
【0018】
なお、
図1は、干渉計10からの光が照射される領域R1にCGH30が存在し、干渉計10で出射された光が照射される領域から、ヌルミラー40が退避している状態を示す図である。
【0019】
サンプル20は、測定対象である非球面レンズである。サンプル台21は、サンプル20を載置する台である。
【0020】
サンプル台21にサンプル20を載置する場合、サンプル20の光軸と干渉計10からの光の軸とが平行になるように、サンプル台21にサンプル20を載置する。つまり、サンプルの位置、方向を調整する。非球面レンズの計測装置100において、1つのサンプルの位置、方向を調整する回数が1回であることが重要である。
【0021】
CGH台31は、CGH30(Computer Generated Hologram)を載置する台である。
【0022】
CGH移動手段32は、CGH30を移動する手段である。また、CGH移動手段32は、CGH30の光軸を干渉計10が出射する光と平行になるように、CGH30を移動させ、一方、干渉計10とサンプル台21との間の第1の領域R1の外に、CGH30を移動させる手段である。
【0023】
つまり、CGH移動手段32は、CGH30を使用する場合に、CGH30の光軸をサンプル20の光軸と一致させるようにCGH30を移動させ、また、CGH30を使用しないときに、干渉計10とサンプル台21との間の第1の領域R1の外に、CGH30を移動させる手段である。
【0024】
具体的には、CGH移動手段32は、モーターM3と、モーターM3の回転軸S3と、バーB3とを有する。バーB3は、一端がCGH台31に固定され、他端部が回転軸S3に固定されている。モーターM3が回転すると、その回転軸S3の回転に伴って、バーB3が回転し、これに連動して、CGH台31とCGH30とが回転する。
【0025】
ヌルミラー40は、サンプル20の透過光が正対して反射するように設計されている非球面のミラーであり、サンプル20に応じて異なる非球面を有するミラーである。
【0026】
ヌルミラー台41は、ヌルミラー40を載置する台である。
【0027】
ヌルミラー移動手段42は、ヌルミラー40を移動する手段である。また、ヌルミラー移動手段42は、ヌルミラー40の光軸を干渉計10が出射する光と平行になるように、ヌルミラー40を移動させ、一方、干渉計10が出射し、サンプル20を透過した光が通過する第2の領域R2以外の領域に、ヌルミラー40を退避させる手段である。
【0028】
つまり、ヌルミラー40を使用する場合に、ヌルミラー40の光軸をサンプル20の光軸と一致させるようにヌルミラー40を移動させ、また、ヌルミラー40を使用しない場合、干渉計10で出射され、サンプル20を通過した光がヌルミラー40で反射しない領域に、ヌルミラー40を退避させる手段である。
【0029】
具体的には、ヌルミラー移動手段42は、モーターM4と、モーターM4の回転軸S4と、バーB4とを有する。バーB4は、一端がヌルミラー台41に固定され、他端部が回転軸S4に固定されている。モーターM4が回転すると、その回転軸S4の回転に伴ってバーB4が回転し、これに連動して、ヌルミラー台41とヌルミラー40とが回転する。
【0030】
次に、非球面レンズの計測装置100の動作について説明する。
【0031】
まず、サンプル20の表面形状を計測する。この場合、サンプル載置台21にサンプルを載置し、干渉計10とサンプル20との間に、CGH30をセットする。つまり、CGH移動手段32によって、CGH30を移動し、
図1に示す状態にする。この場合、ヌルミラー移動手段42によって、ヌルミラー40を、第2の領域R2の外に領域に移動する。すなわち、干渉計10が出射しサンプル20を通過した光の光路の領域にヌルミラー40が存在せず、つまり、干渉計10が出射しサンプル20を透過した光の経路である第2の領域R2から、ヌルミラー40が退避されている。この状態で、干渉計10によって干渉縞を計測する。
【0032】
この計測によって、測定対象の非球面レンズであるサンプル20の表面形状を計測することができる。
【0033】
次に、ヌルミラー40を使用して、サンプル20の全体の透過性能を測定する。
【0034】
図2は、CGH30を退避させ、ヌルミラー40のみでサンプル20を計測する場合を示す図である。
【0035】
図1に示す状態から、CGH30を退避させる場合、モーターM3を駆動して、バーB3を時計方向に90度回転し、CGH台31に載置されているCGH30を90度回転し、
図2に示す状態にする。
【0036】
また、
図1に示す状態から、ヌルミラー40を光路中に挿入する場合、モーターM4を駆動して、バーB4を時計方向に90度回転し、ヌルミラー台41に載置されているヌルミラー40を90度回転し、
図2に示す状態にする。
【0037】
このようにすれば、ヌルミラー40によって、サンプル20のレンズ全体の透過性能を測定することができる。
【0038】
そして、ヌルミラー40によって計測したレンズ全体の透過性能と、CGH30のみによって計測したレンズの外形形状との差をとれば、サンプル20の透過性能を得ることができる。
【0039】
したがって、上記実施例によれば、サンプルの第1面が異常であるのか、サンプルの第2面が異常であるのかが分かる。
【0040】
また、上記実施例によれば、CGH30のみを使用して測定する場合と、ヌルミラー40のみを使用して測定する場合とで、干渉計10とサンプル20との間隔を一定にすることができる(2台使用した場合では、間隔を一定にすることが困難である)。さらに、上記実施例では、サンプル20の光軸と干渉計10の光の方向とを平行に維持することが容易である。
【0041】
なお、CGH30が第1の領域R1から退避している場合には、モーターM3を駆動して、バーB3を反時計方向に90度回転し、CGH台31に載置されているCGH30が90度回転し、
図1に示す状態にする。
【0042】
また、ヌルミラー40が、第2の領域R2以外の領域に存在している場合には、モーターM4を駆動して、バーB4を反時計方向に90度回転し、ヌルミラー台41に載置されているヌルミラー40が90度回転し、
図2に示す状態にする。
【0043】
なお、CGH移動手段32の代替手段として、CGH台31に一端が接続されている直線歯車と、この直線歯車に螺合する歯車と、この歯車を回転させるモーターとによって構成するようにしてもよい。また、CGH移動手段32の代替手段として、CGH台31をスライドするガイド(図示せず)を設け、操作者が自分の手で、CGH台31をそのガイドに沿って手動でスライドすることによって、CGH30を光路から退避するようにしてもよい。
【0044】
なお、ヌルミラー移動手段42の代替手段として、ヌルミラー台41に一端が接続されている直線歯車と、この直線歯車に螺合する歯車と、この歯車を回転させるモーターとによって構成するようにしてもよい。さらに、ヌルミラー移動手段42の代替手段として、ヌルミラー台41をスライドするガイドを設け、操作者が自分の手で、ヌルミラー40台をガイドに沿って手動でスライドすることによって、ヌルミラー40を光路から退避するように構成してもよい。
【0045】
上記実施例によって、計測対象の非球面レンズであるサンプル20を測定装置から外さずに、非球面レンズの表面形状を測定することによって、収差を分離することができ、誤差を特定することができ、しかも、非球面ヌル干渉計、CGH干渉計の2台の干渉計を使用して計測する場合よりも、全体の測定時間を短くすることができる。