特開2017-227670(P2017-227670A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2017227670-定着装置及び画像形成装置 図000003
  • 特開2017227670-定着装置及び画像形成装置 図000004
  • 特開2017227670-定着装置及び画像形成装置 図000005
  • 特開2017227670-定着装置及び画像形成装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-227670(P2017-227670A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   G03G15/20 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-121633(P2016-121633)
(22)【出願日】2016年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】森口 元樹
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA03
2H033AA24
2H033AA25
2H033BA29
2H033BB29
2H033BB30
2H033CA13
2H033CA27
2H033CA32
2H033CA53
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、加圧ローラの温度上昇を防止できる定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着装置は、加熱される定着ローラ21と、該定着ローラ21に圧接して回転する加圧ローラ23と、を備え、前記定着ローラ21と前記加圧ローラ23との間の定着ニップを用紙が通過することでトナー像を前記用紙に定着する。前記加圧ローラ23は、芯金50と、該芯金50の外周面に設けられる弾性層51と、該弾性層51の外周面に設けられ、該弾性層51よりも高い熱伝導性を有する高熱伝導層52と、該高熱伝導層52の外周面に設けられる離型層53と、を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱される定着ローラと、該定着ローラに圧接して回転する加圧ローラと、を備え、前記定着ローラと前記加圧ローラとの間の定着ニップを用紙が通過することでトナー像を前記用紙に定着する定着装置であって、
前記加圧ローラは、
芯金と、
該芯金の外周面に設けられる弾性層と、
該弾性層の外周面に設けられ、該弾性層よりも高い熱伝導性を有する高熱伝導層と、
該高熱伝導層の外周面に設けられる離型層と、を備えていることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記芯金の軸方向における前記高熱伝導層の幅は、前記離型層の幅よりも広く、
前記高熱伝導層の前記軸方向両端は、前記離型層の前記軸方向両端よりも外側に離間していることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記軸方向における前記離型層の幅は、最大サイズの前記用紙の通紙領域の幅よりも広く、
前記離型層の前記軸方向両端は、前記通紙領域の前記軸方向両端よりも外側に離間していることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記軸方向における前記離型層の幅は、前記定着ローラの幅よりも広いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
前記高熱伝導層を冷却する冷却装置を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記冷却装置は、前記加圧ローラの回転が停止している間に作動することを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙にトナー像を定着させる定着装置及びこの定着装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機なプリンターなどの電子写真方式の画像形成装置は、用紙に転写されたトナー像を用紙に定着する定着装置を備えている。定着装置の定着方式としては、定着ローラを用いるローラ定着方式や、定着ベルトやフィルムを用いるベルト定着方式がある。このような方式において、定着ローラや定着ベルトは、用紙に転写されたトナー像に接触してトナーを溶融するために、ハロゲンヒータやセラミックヒータ、IH等の加熱源によって所定の加熱温度に制御される。また、定着ローラには加圧ローラが圧接されて、両ローラ間に定着ニップを形成している。
【0003】
トナー像を用紙に安定に定着するには、定着ローラの温度や定着ニップの定着圧やニップ量と共に、加圧ローラの温度も重要な要因となっている。加圧ローラの温度が低いと、用紙の裏側の面(トナー像が転写されていない面)からトナーに供給される熱量が少なくなって、定着性が悪くなる。また、加圧ローラの温度が不均一になると、熱膨張性が不均一となって、ニップ量が不安定となり、用紙にしわや定着ムラが発生するという問題がある。
【0004】
一方、加圧ローラの温度が高いと、用紙中の水分が水蒸気となって放出され、トナー像を吹き飛ばす、いわゆる、オビキが発生しやすくなる。また、両面印刷が行われる場合は、裏側の面に転写されたトナー像の定着時に、表側の面の定着時よりも用紙の温度が高くなっているために、ホットオフセットや、排紙時のブロッキングが発生しやすくなる。さらに、加圧ローラの温度が高すぎると、薄紙の用紙にしわが発生しやすいという問題がある。これらのことにより、加圧ローラの温度が高いことは好ましくない。
【0005】
一般的に、加圧ローラは、シリコンゴムやフッ素ゴムで形成されている。シリコンゴムやフッ素ゴムの熱伝導性は低いので、幅の狭い小サイズの用紙を連続通紙すると、加圧ローラの通紙領域では、熱量が用紙に奪われるので温度は低くなるが、非通紙領域では、熱が蓄積されて温度が高くなりやすい。この通紙領域と非通紙領域との温度差によって、小サイズの用紙の後に大サイズの用紙を通紙すると、用紙にしわが発生したり、定着性にムラが生じたりする問題がある。
【0006】
そこで、このような問題を解決するために、特許文献1や特許文献2には、加圧ローラを冷却する冷却装置が備えられた定着装置が記載されている。冷却装置としては、送風ファンが挙げられている。また、特許文献1では、回転可能に設けられるヒートパイプを加圧ローラの表面に当接させて回転させることで加圧ローラを冷却する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平04−340577号公報
【特許文献2】特開2010−164860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1や特許文献2に記載された定着装置のように、冷却装置として送風ファンを使用すると、送風ファンで形成された冷却風が加圧ローラ以外の部分にも吹き付けられて、加熱ローラや定着フレームなどを冷却してしまい、トナーを定着させるために必要以上の電力が消費され、省エネ性能が低下する虞がある。また、温度検知センサーで正確な温度を検知できなくなる虞もある。
【0009】
また、ヒートパイプを加圧ローラの表面に当接させて回転させる場合、定着装置が大型化したり構成が複雑化したりするという問題がある。さらに、ヒートパイプへ付着したトナーをクリーニングするクリーニング装置が必要になるので、更に構成が複雑化してしまう。
【0010】
本発明は上記事情を考慮し、簡易な構成で、加圧ローラの温度上昇を防止できる定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の定着装置は、加熱される定着ローラと、該定着ローラに圧接して回転する加圧ローラと、を備え、前記定着ローラと前記加圧ローラとの間の定着ニップを用紙が通過することでトナー像を前記用紙に定着する定着装置であって、前記加圧ローラは、芯金と、該芯金の外周面に設けられる弾性層と、該弾性層の外周面に設けられ、該弾性層よりも高い熱伝導性を有する高熱伝導層と、該高熱伝導層の外周面に設けられる離型層と、を有していることを特徴とする。
【0012】
このような構成を採用することにより、離型層を通して高熱伝導層へ伝達された熱が高熱伝導層内を伝達されるので、加圧ローラの表面からごく浅い範囲だけが均熱化される。これにより、加圧ローラに吸収される熱量を極力低減して加圧ローラの温度上昇を抑え、加圧ローラの温度分布を均一化することができる。さらに、新しい構成や部品の追加がないので、定着装置の構成を変更する必要がない。
【0013】
本発明の定着装置において、前記芯金の軸方向における前記高熱伝導層の幅は、前記離型層の幅よりも広く、前記高熱伝導層の前記軸方向両端は、前記離型層の前記軸方向両端よりも外側に離間していることを特徴としても良い。
【0014】
このような構成を採用することにより、離型層を通して高熱伝導層へ伝達された熱は、高熱伝導層内を軸方向に伝達されて、離型層の軸方向外側で高熱伝導層から放熱されるので、高熱伝導層内の熱伝導が向上する。
【0015】
本発明の定着装置において、前記軸方向における前記離型層の幅は、最大サイズの前記用紙の通紙領域の幅よりも広く、前記離型層の前記軸方向両端は、前記通紙領域の前記軸方向両端よりも外側に離間していることを特徴としても良い。
【0016】
このような構成を採用することにより、通紙領域外側の高熱伝導層へのトナー付着を防止できる。
【0017】
本発明の定着装置において、前記軸方向における前記離型層の幅は、前記定着ローラの幅よりも広いことを特徴としても良い。
【0018】
このような構成を採用することにより、定着ローラが高熱伝導層に接触しないので、高熱伝導層が加熱ローラによって加熱されたり、放熱を妨げたりすることがない。
【0019】
本発明の定着装置において、前記高熱伝導層を冷却する冷却装置を備えていることを特徴としても良い。
【0020】
このような構成を採用することにより、高熱伝導層の温度上昇を抑制できる。
【0021】
本発明の定着装置において、前記冷却装置は、前記加圧ローラの回転が停止している間に作動することを特徴としても良い。
【0022】
このような構成を採用することにより、加圧ローラに付着したトナーと離型層との付着力を弱めることができるので、加圧ローラの回転が開始された際に、加圧ローラからトナーを離脱させやすくなる。
【0023】
本発明の画像形成装置は、上記したいずれかの定着装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、離型層を通して高熱伝導層へ伝達された熱が高熱伝導層内を伝達されて、加圧ローラの表面からごく浅い範囲だけが均熱化されるので、加圧ローラの温度上昇を抑え、加圧ローラの温度分布を均一化することができる。さらに、新しい構成や部品の追加がないので、定着装置の構成を変更する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンターの概略を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る定着装置の側面断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る定着装置において、加圧ローラを示す正面断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る定着装置において、加圧ローラを示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ本発明の画像形成装置及び定着装置について説明する。
【0027】
まず、図1を用いて、画像形成装置としてのプリンターの全体の構成について説明する。図1はプリンター1の概略を模式的に示す図である。以下、図1における紙面手前側をプリンターの正面側(前側)とし、左右の向きはプリンターを正面から見た方向を基準として説明する。
【0028】
プリンター1の装置本体2には、用紙Sが収容される給紙カセット3と、給紙カセット3から用紙Sを送り出す給紙装置4と、用紙Sにトナー像を形成する画像形成部5と、トナー像を用紙Sに定着する定着装置6と、用紙Sを排紙する排紙装置7と、排紙された用紙Sが受け止められる排紙トレイ8と、が備えられている。さらに、装置本体2には、給紙装置4から、画像形成部5と定着装置6とを通って排紙装置7に向かう用紙Sの搬送経路10が形成されている。
【0029】
給紙装置4によって給紙カセット3から取り出された用紙Sは、搬送経路10に沿って画像形成部5に搬送され、用紙Sにトナー像が形成される。用紙Sは搬送経路10に沿って定着装置6に送られ、トナー像が用紙Sに定着される。トナー像が定着された用紙Sは排紙装置7から排紙トレイ8に排出される。
【0030】
次に、図2及び図3を参照して、第1の実施形態に係る定着装置6について説明する。図2は定着装置を示す側面断面図、図3は加圧ローラを示す正面断面図である。
【0031】
定着装置6は、図2に示されるように、定着ハウジング20と、定着ハウジング20に回転可能に支持される円筒状の定着ローラ21と、定着ローラ21の中空部に設けられるハロゲンヒータ22と、定着ローラ21に圧接可能に設けられる加圧ローラ23と、を備えている。
【0032】
定着ハウジング20は、前後方向に長い略直方体状の中空状部材である。定着ハウジング20の左側面には、用紙が受け入れられる受入口31が、用紙の搬送方向と直交する幅方向に沿って形成されている。定着ハウジング20の右側面には、用紙が排出される排出口32が、幅方向に沿って形成されている。受入口31と排出口32との間には用紙の搬送経路10が形成されている。定着ハウジング20の中空部には、搬送経路10よりも上方に定着ローラ収容凹部34が形成され、搬送経路10よりも下方に加圧ローラ収容凹部35が形成されている。
【0033】
定着ローラ21は、円筒形状の芯金40と、芯金40の外周面に設けられる弾性層41と、弾性層41の外周面に設けられる離型層42と、によって構成されている。芯金40は、例えばSUSやアルミニウムなどの金属によって形成される。弾性層41は、例えば、シリコンゴムによって形成される。離型層42は、例えば、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブによって形成される。定着ローラ21は、定着ハウジング20の定着ローラ収容凹部34に、前後方向に延びる回転軸(図示省略)を中心として回転可能に支持されている。
【0034】
ハロゲンヒータ22は、定着ローラ21の中空部に配置されて、定着ローラ21の内周面に向かって熱を放射し、定着ローラ21を加熱する。
【0035】
加圧ローラ23は、図3に示されるように、円柱状の芯金50と、芯金50の外周面に設けられる弾性層51と、弾性層51の外周面に設けられる高熱伝導層52と、高熱伝導層52の外周面に設けられる離型層53と、によって構成されている。芯金50は、例えば、SUS等の金属によって形成される。弾性層51は、熱伝導性の低い材料で形成される。例えば、発泡させたシリコンゴムや、マイクロバルーンを含有したシリコンゴム、低熱伝導性シリコンゴムを使用できる。高熱伝導層52は、弾性層51よりも熱伝導性の高い材料(例えば、カーボンや、熱伝導性の高い銅やアルミニウムなどの金属)を超薄層化して形成される。高熱伝導層52の熱伝導率は、5W/(m・K)以上、望ましくは15W/(m・K)以上である。離型層53は、例えば、PFAチューブによって形成されている。
【0036】
芯金50の軸方向における離型層53の幅W1は、最大サイズの用紙の通紙領域W2の幅よりも広い。さらに、軸方向における高熱伝導層52の幅W3は、離型層53の幅W1よりも広く、高熱伝導層52の幅方向両端は、離型層53の幅方向両端よりも軸方向外側に離間している。つまり、軸方向における通紙領域外側の非通紙領域においては、加圧ローラ23の表面に高熱伝導層52が露出する。以降の説明では、この露出した部分を露出部52aとする。
【0037】
加圧ローラ23は、定着ハウジング20の加圧ローラ収容凹部35に回転可能に支持されて、定着ローラ21に圧接されている。これにより、定着ローラ21と加圧ローラ23との間に定着ニップが形成される。加圧ローラ23の芯金50の一端には、モーターなど駆動源から駆動力が伝達される駆動入力ギア(図示省略)が固定されている。加圧ローラ23は、駆動入力ギアが駆動されることで、図2の時計回り方向に回動する。これにより、定着ローラ21が、加圧ローラ23とは反対方向に回転する。
【0038】
上記構成を有する定着装置6において、トナー像が形成された用紙Sが転写ニップに搬送されると、定着ニップで加熱及び加圧されることでトナー像が用紙Sに定着される。定着ニップにおいては、定着ローラ21から加圧ローラ23へ熱が供給される。供給された熱は、離型層53を通して高熱伝導層52へ伝達される。高熱伝導層52の下層には、高熱伝導層52よりも熱伝導性の低い弾性層51が設けられているので、高熱伝導層52へ伝達された熱は、下層の弾性層51ではなく、高熱伝導層52内を軸方向及び円周方向に主に拡散する。これにより、加圧ローラ23の表面からごく浅い範囲だけが、軸方向及び円周方向に均熱化される。高熱伝導層52内を軸方向に伝達された熱は、露出部52aから放熱される。
【0039】
上記説明したように本発明の定着装置6においては、定着ローラ21から加圧ローラ23に伝達された熱は、高熱伝導層52の内部を拡散して加圧ローラ23の表面からごく浅い範囲だけが均熱化される。これにより、加圧ローラ23に吸収される熱量を極力低減して加圧ローラ23の温度上昇を抑え、加圧ローラ23の温度分布を均一化することができる。さらに、新しい構成や部品の追加がないので、定着装置6の構成を変更する必要がない。
【0040】
また、高熱伝導層52に伝達された熱は、露出部52aから放熱されるので、高熱伝導層52の熱伝導性を向上できる。なお、高熱伝導層52の幅は、離型層53の幅よりも必ずしも広くする必要はなく、同じ幅でも良い。
【0041】
さらに、離型層53の幅は最大サイズの用紙の幅よりも広く、高熱伝導層52の幅は離型層53の幅よりも広い。したがって、用紙が露出部52aに接触しないので、露出部52aにトナーが付着するようなことはない。さらに、露出部52aに加熱ローラが接触することもないので、高熱伝導層52が定着ローラ21によって加熱されたり、露出部52aからの放熱を妨げたりすることがない。
【0042】
次に、図4を参照して、第2の実施形態に係る定着装置について説明する。図4は定着装置の正面断面図である。
【0043】
第2の実施形態に係る定着装置には、高熱伝導層52の露出部52aのそれぞれを冷却する冷却装置60が備えられている。冷却装置60は、露出部52aに一方の端部が接触可能に設けられるヒートパイプ61と、ヒートパイプ61の他方の端部を冷却する送風ファン62と、を備えている。
【0044】
ヒートパイプ61は平面視L字状であり、一方の端部61aは露出部52aに接触するように支持されている。他方の端部61bは、加圧ローラ23から離間する方向に延びている。送風ファン62は、ヒートパイプ61の他方の端部61bに向けて送風するように支持されている。送風ファン62の送風方向は、定着ローラ21から離間する方向に向いている。
【0045】
第2の実施形態においては、ヒートパイプ61の他方の端部61bが送風ファン62で冷却されて発生した冷熱は、ヒートパイプ61内を一方の端部61aへ伝熱される。そして、一方の端部61aから、露出部52aを介して高熱伝導層52へ伝熱される。これにより、高熱伝導層52の温度上昇が抑制される。
【0046】
なお、冷却装置60として、ペルチェ素子や送風ファンを使用しても良い。ペルチェ素子の場合は、露出部52aにペルチェ素子を当接させて支持する。そして、所定のタイミングでペルチェ素子に通電して放熱(熱交換)させることで、高熱伝導層52の温度を下げることができる。送風ファンの場合は、露出部52aに直接送風して、高熱伝導層52の温度を下げることができる。なお、冷却装置60は、一方の露出部52aのみに設けても良い。
【0047】
また、第2の実施形態においては、加圧ローラ23の回転が停止した間だけ、冷却装置60を作動させても良い。冷却装置60としてヒートパイプやペルチェ素子を使用する場合は、冷却装置60を、露出部52aに接触可能な位置と離間した位置との間に移動可能に設ける。そして、加圧ローラ23の回転が停止すると、冷却装置60を移動させて露出部52aに接触させ、少なくとも加圧ローラ23が駆動を開始する前に、冷却装置60を移動させて露出部52aから離間させる。冷却装置60として送風ファンを使用する場合は、加圧ローラ23の回転が停止している間だけ、送風ファンを作動させる。
【0048】
画像形成作業中、加圧ローラ23の温度をコントロールする必要がない場合(用紙にしわやオビキ、オフセットが発生しない場合)も、定着装置6で未定着のトナーを定着する際には、オフセットした微量のトナーが用紙間を通って加圧ローラ23に移動し、加圧ローラ23に付着するという問題がある。
【0049】
このような場合、加圧ローラ23に付着したトナーを定着ローラ21あるいは用紙の裏側の面に移動させる必要がある。加圧ローラ23に付着したトナーを移動させるためには、トナーと、このトナーが付着している加圧ローラ23の離型層53との付着力を弱める必要がある。この際、離型層53を、トナーが付着している側と反対側、すなわち、高熱伝導層52の側から冷却すると、トナーと離型層53との接触部が冷却されるので、付着力を弱める効果が高い。これに対して、例えば、加圧ローラ23の外周面を送風ファン等によって直接冷却する場合は、トナーと離型層53との接触部は冷却されにくい。
【0050】
したがって、加圧ローラ23の回転が停止している間に冷却装置60を作動させて、離型層53とトナーとの付着力を弱めておくことで、加圧ローラ23が回転を開始した際に、加圧ローラ23からトナーが離脱しやすくなる。これにより、加圧ローラ23へのトナーの付着を防止できる。
【0051】
また、冷却装置60を移動可能に設けることで、必要時以外は冷却装置60を高熱伝導層52から離間させておくことができるので、高熱伝導層52の耐久性を高めることができる。また、高熱伝導層52に冷熱が過剰に供給されることを防止できる。
【0052】
本発明の実施形態では、プリンター1に本発明の構成を適用した場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等のプリンター1以外の画像形成装置に本発明の構成を適用しても良い。
【0053】
さらに、上記した本発明の実施形態の説明は、本発明に係る画像形成装置における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。すなわち、上記した本発明の実施の形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0054】
1 プリンター(画像形成装置)
6 定着装置
21 定着ローラ
23 加圧ローラ
50 芯金
51 弾性層
52 高熱伝導層
53 離型層
60 冷却装置
図1
図2
図3
図4