【解決手段】絞り装置10は、第1平面板102の一方の面から第1方向の側に突出した第1固定ボス120及び他方の面から第2方向の側に突出した移動ボス130を有する絞り羽根100と、第2平面板202の一方の面から第1方向の側に突出した第2固定ボス220を有し絞り羽根100と共に一対をなす漏光防止羽根200と、第1カム溝330が形成された駆動環300と、絞り羽根100、漏光防止羽根200及び駆動環300を収容する収容体400と、を備え、漏光防止羽根200には第2カム溝230が更に設けられ、絞り羽根100の移動ボス130は、漏光防止羽根200の第2カム溝230に嵌挿され、且つ、駆動環300の第1カム溝330に嵌挿されている。
【背景技術】
【0002】
カメラ等の撮像装置において、結像面に入射する被写体光の光量を調節する絞り装置が用いられている。絞り装置には、円環状の収容体が備えられている。絞り開口の開口径が最大(フル開放)にされたときに、絞り羽根は収容体の幅内に退避させられる。したがって、収容体の幅は、絞り羽根の退避スペースとして、少なくとも絞り羽根の幅以上の幅を確保しなければならない。
絞り装置を小型化するため、かかる絞り羽根の退避スペースを狭くすべく、絞り羽根の幅自体を狭くする取り組み(絞り羽根の幅狭化)が従来よりなされている。
しかし、絞り羽根の幅狭化を進めると、絞り開口以外の部分で漏光し易いという問題を生じることが知られている。
【0003】
この漏光の問題を解決するため、絞り羽根に加えて漏光防止羽根を導入し、この漏光防止羽根によって漏光の原因となっている隙間を埋める構成とした絞り装置が従来から知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図8は、従来の絞り装置900を説明するために示す平面図である。
図8(a)は絞り装置900を光軸OAに沿って平面視したときの平面図である。
図8(a)において、漏光防止羽根920が突出した状況のみ示し、絞り羽根910の図示は省略している。
図8(b)は絞り羽根910を、
図8(c)は漏光防止羽根920を、
図8(d)は収容体940をそれぞれ示す平面図である。
【0005】
従来の絞り装置900は、
図8に示すように、複数の羽根を光軸OAに対して進退させることにより絞り開口の開口径を変化させる絞り装置900であって、絞り羽根本体911、絞り羽根本体911の一方の面から光軸OAに沿った第1方向の側に突出した絞り羽根固定ボス912、及び、絞り羽根本体911の他方の面から第1方向とは逆方向の第2方向の側に突出した絞り羽根移動ボス913を有する絞り羽根910と、漏光防止羽根本体921、漏光防止羽根本体921の一方の面から第1方向の側に突出した漏光防止羽根固定ボス922、及び、漏光防止羽根本体921の他方の面から第2方向の側に突出した漏光防止羽根移動ボス923を有し、上記絞り羽根910と共に一対をなす漏光防止羽根920と、移動ボスが嵌挿され、溝の位置により光軸OAとの距離が異なるカム溝933を有し、光軸OAを中心に回転することで、カム溝933を、光軸OAを中心とする周方向に移動させる駆動環930と、絞り羽根910、漏光防止羽根920及び駆動環930を収容する収容体940と、を備え、当該絞り装置900は、一対をなす絞り羽根910及び漏光防止羽根920を複数対備え(
図8における従来の絞り装置900では6対備えている。)、駆動環930には、該一対をなす絞り羽根910及び漏光防止羽根920の対数に対応した数だけ、カム溝933が形成され、収容体940には、該一対をなす絞り羽根910及び漏光防止羽根920に対応して絞り羽根固定ボス912及び漏光防止羽根固定ボス922がそれぞれ挿入される一対の第1孔941j及び第2孔942jが絞り羽根及び漏光防止羽根の対数設けられ、積層された一対をなす絞り羽根910及び漏光防止羽根920は、一のカム溝933に対して、絞り羽根移動ボス913及び漏光防止羽根移動ボス923がそれぞれ嵌挿されている(ただし、jは1以上の整数。)。
【0006】
従来の絞り装置900によれば、絞り羽根を駆動させるための既存の基本構造(収容体、駆動環等)をそのまま借用して漏光防止羽根920を追加することができ、絞り羽根の幅狭化に伴う漏光を防ぐことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の絞り装置900は、一のカム溝933に対して絞り羽根移動ボス913及び漏光防止羽根移動ボス923がそれぞれ嵌挿された構造となっている。そして、一のカム溝933により2種類の羽根(絞り羽根910及び漏光防止羽根920)を駆動している。したがって、カム溝933の長さは、絞り羽根910を駆動させる長さに加えて、漏光防止羽根920を駆動させる長さも必要になる。
つまり、カム溝933は、絞り羽根910を駆動するための溝と漏光防止羽根920を駆動するための溝とを設ける必要があり、いずれか一方の羽根のみを駆動する溝のみを設ける構成に比べて、長いカム溝になる。
上述のように、従来の絞り装置900によれば、一本のカム溝で2種類の羽根を駆動しているため、長いカム溝が必要となる。そのため、駆動環930の限られたスペースに設けることができるカム溝の数は増やし難く、ひいては絞り羽根の枚数を増やすことも難しくなる。
なお、参考までに、複数の絞り羽根により形成される絞り開口の形状は、角張った形状よりも円形に近い形状の方が撮像品位上好ましく、絞り羽根の数を多くするほど、絞り開口の形状を円形に近づけ易い。そのため、撮像品位上は、絞り羽根の枚数を増加させることが望ましい。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、絞り羽根の枚数を増加させ易い絞り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1]本発明の絞り装置は、複数の羽根を光軸に対して進退させることにより絞り開口の開口径を変化させる絞り装置であって、第1平面板からなり、当該絞り装置の絞り開口に入射する光を遮る第1羽根部と、前記第1平面板の一方の面から光軸に沿った第1方向の側に突出した第1固定ボスと、前記第1平面板の他方の面から前記第1方向とは逆方向の第2方向の側に突出した移動ボスとを有する絞り羽根と、第2平面板からなり、当該絞り装置の絞り開口に入射する光を遮る第2羽根部と、前記第2平面板の一方の面から前記第1方向の側に突出した第2固定ボスとを有し、前記絞り羽根と共に一対をなす漏光防止羽根と、前記移動ボスが嵌挿され、カム溝の位置により前記光軸との距離が異なる第1カム溝を有し、前記光軸を中心に回転することで、前記第1カム溝を、前記光軸を中心とする周方向に移動させる駆動環と、前記絞り羽根、前記漏光防止羽根及び前記駆動環を収容する収容体と、を備え、前記絞り装置は、一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根を複数対備え、前記駆動環には、前記移動ボス毎に対応して前記第1カム溝が複数形成され、前記収容体には、各前記一対をなす絞り羽根及び漏光防止羽根に対応して前記第1固定ボス及び前記第2固定ボスがそれぞれ挿入される一対の第1孔及び第2孔が前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根の対数設けられ、前記漏光防止羽根には第2カム溝が更に設けられ、前記絞り羽根の前記移動ボスは、前記漏光防止羽根の前記第2カム溝に嵌挿され、且つ、前記駆動環の前記第1カム溝に嵌挿されていることを特徴とする。
【0011】
漏光防止羽根には第2カム溝が更に設けられ、絞り羽根の移動ボスが、漏光防止羽根の当該第2カム溝に嵌挿され、且つ、駆動環の第1カム溝に嵌挿されていることから、駆動環が回転すると、絞り羽根には駆動環の第1カム溝を通じて移動ボスに対して力が働き、第1固定ボスを支点(回動軸)として絞り羽根の第1羽根部が回動する。併せて、移動ボスが第1カム溝に沿って動くことに伴い、漏光防止羽根には移動ボスを通じて第2カム溝に対して力が働き、第2固定ボスを支点(回動軸)として漏光防止羽根の第2羽根部が回動する。このように、駆動環の第1カム溝に嵌挿されているボスは絞り羽根の移動ボスのみであるものの、絞り羽根を駆動する過程で連動するように漏光防止羽根も併せて駆動することができる。
このような絞り装置によれば、第1カム溝には漏光防止羽根を駆動するためのカム溝パターンを形成する必要がないため、その分、当該第1カム溝の長さは、従来の絞り装置におけるカム溝の長さよりも短くすることができる。第1カム溝の長さを短くできるため、駆動環に設けることができる第1カム溝の数を増やすことが容易となる。かくして、本発明に係る絞り装置によれば、絞り羽根の枚数を増加させ易い絞り装置を提供することができる。
【0012】
[2]本発明の絞り装置においては、前記駆動環の回転方向のうち、前記駆動環を回転させて前記第1カム溝を移動させることによって、前記絞り羽根を光軸に向けて移動せしめる方向を絞り回転方向としたときに、前記漏光防止羽根の前記第2固定ボスは、前記絞り羽根の前記第1固定ボスよりも絞り回転方向の前方に位置するように、前記一対をなす絞り羽根及び漏光防止羽根が配置され、且つ、前記一対の第1孔及び第2孔の位置関係が設定されていることが好ましい。
【0013】
第2固定ボスを第1固定ボスよりも絞り回転方向の前方に位置するように配置することにより、第2固定ボスと第2カム溝との間の距離(漏光防止羽根の回動に関係する支点と力点との間の距離)L2を、第1固定ボスと移動ボスとの間の距離(絞り羽根の回動に関係する支点と力点との間の距離)L1よりも長く設定することができる。
このような距離の違いにより、漏光防止羽根が回動する角速度を、絞り羽根が回動する角速度よりも遅くすることができ、漏光防止羽根を絞り羽根よりも遅れて突出させることができる。
【0014】
[3]本発明の絞り装置において、前記収容体は、前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根が内側に配置される円筒形の外周壁を有し、該外周壁の内側には、前記駆動環が載置される駆動環載置面を有する段部が配置され、前記絞り羽根は、前記第1固定ボスが配設されており、且つ、前記第1羽根部から突出している第1突出部を有し、 該第1突出部は、前記第1羽根部の外周縁よりも前記光軸からの距離が遠い位置に位置し、前記収容体の前記段部には、前記第1突出部の少なくとも一部が入り込む凹部が設けられていることが好ましい。
【0015】
第1突出部は、第1羽根部の外周縁よりも光軸からの距離が遠い位置に位置し、収容体の前記段部には、前記第1突出部の少なくとも一部が入り込む凹部が設けられている。そのため、第1突出部及び凹部を設けることで、仮に第1突出部及び凹部を設けない場合に比べて、収容体の外周壁の大径化を抑えることができ、ひいては絞り装置を小型化することができる。
【0016】
[4]本発明の絞り装置において、前記収容体は、前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根が内側に配置される円筒形の外周壁を有し、該外周壁の内側には、前記駆動環が載置される駆動環載置面を有する段部が配置され、前記漏光防止羽根は、前記第2固定ボスが配設されており、且つ、前記第2羽根部から突出している第2突出部を有し、 該第2突出部は、前記第2羽根部の外周縁よりも前記光軸からの距離が遠い位置に位置し、前記収容体の前記段部には、前記第2突出部の少なくとも一部が入り込む凹部が設けられていることが好ましい。
【0017】
第2突出部は、前記第2羽根部の外周縁よりも前記光軸からの距離が遠い位置に位置し、前記収容体の前記段部には、前記第2突出部の少なくとも一部が入り込む凹部が設けられている。そのため、第2突出部及び凹部を設けることで、仮に第2突出部及び凹部を設けない場合に比べて、収容体の外周壁の大径化を抑えることができ、ひいては絞り装置を小型化することができる。
【0018】
[5]本発明の絞り装置において、前記一対をなす絞り羽根及び漏光防止羽根の少なくとも一方の外周縁には、前記絞り羽根及び漏光防止羽根が絞り開口の開口径を最大とする位置に移動させられたときに、別の一対をなす前記絞り羽根及び前記漏光防止羽根についての前記第2固定ボスを内側に配置するように切り欠いた凹部が設けられていることが好ましい。
【0019】
このような絞り装置によれば、一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200と、別の一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200についての第2固定ボス220との干渉を避けることができ、絞り装置の大型化を抑えることができる。
【0020】
[6]本発明の絞り装置では、前記駆動環の回転方向のうち、前記駆動環を回転させて前記第1カム溝を移動させることによって、前記絞り羽根を光軸に向けて移動せしめる方向を絞り回転方向としたときに、前記第1カム溝は、前記光軸を中心とした円周方向に対して、前記絞り回転方向に向かうにつれて前記光軸から離れる方向に傾斜する角度に形成され、前記第2カム溝は、前記円周方向に対する角度を、前記第1カム溝の前記円周方向に対する角度に比べて小さく形成されていることが好ましい。
【0021】
このような絞り装置によれば、円周方向に対して、第2カム溝の角度を第1カム溝の角度よりも大きくした場合に比べ、漏光防止羽根200の駆動をより円滑に行うことができる。
【0022】
[7]本発明のレンズ鏡筒は、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の絞り装置及びレンズが収容されていることを特徴とする。
【0023】
[8]本発明の撮像装置又は投影装置は、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の絞り装置又は上記[7]に記載のレンズ鏡筒を備えていることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の絞り装置、レンズ鏡筒及び撮像装置又は投影装置を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0026】
[実施形態1]
1.実施形態1に係る絞り装置10の基本構造
図1〜
図2は、実施形態1に係る絞り装置10を説明するために示す図である。
図1(a)は、絞り装置10を分解した状態の斜視図である。なお、絞り羽根100及び漏光防止羽根200は、互いに重ね合わされた状態で図示されている。
図1(b)は、組み立てた状態の絞り装置10の斜視図である。なお、スナップリング500は駆動環300の脱落防止目的で収容体400の外周壁410(後述する。)の内側に取り付けられる。
図2は、絞り装置10を光軸OAに沿って平面視したときの平面図である。
図2(a)は、絞り羽根100及び漏光防止羽根200を収容体400の幅(光軸OAと直交する方向の幅)内に退避させた状態を示すものであり、絞り開口(絞り羽根100により形成される開口)の開口径を最大にした状態(フル開放状態)を示している。
図2(c)は、絞り開口の開口径を最小にした最小絞り状態を示す図である。
図2(b)は、絞り羽根100及び漏光防止羽根200をフル開放状態と最小絞り状態との間の位置に移動させた中間絞り状態を示す図である。なお、
図2(a)及び
図2(c)においては、一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200と、それらに対応する第1カム溝330とが図示されており、他の絞り羽根、漏光防止羽根及び第1カム溝は図示が省略されている。
【0027】
実施形態1に係る絞り装置10の収容体400は、
図1及び
図2に示すように、光軸OAに沿って平面視したとき、開口413を有する円環の形状である。複数の羽根(ここでは絞り羽根100)を開口413の内側(光軸OAに向けて)に突出させることにより絞り開口の開口径ADが変更させられる。絞り開口の開口径ADが変更させられることで、絞り開口を通過する光の量が調節される。
絞り装置10は、絞り羽根100、漏光防止羽根200、駆動環300及び収容体400を備える。収容体400を受け皿として、その上に、複数の絞り羽根100及び複数の漏光防止羽根200が重ねられるように積層され、さらにその上に駆動環300が載置されている。さらに、その上には、スナップリング500が載置され、収容体400の外周壁410の内壁に嵌合されている。
開口径ADは、
図2(a)〜
図2(c)に示すように、絞り羽根100の開口413内への突出量に応じて、絞りの開口径が、開口径ADf〜開口径ADm〜最小絞り状態の開口径というように遷移しながら変更される。
【0028】
2.実施形態1に係る絞り装置の詳細な構造
図3は、実施形態1に係る絞り装置10の要部を説明する図であり、一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200とそれらに対応する駆動環300及び収容体400の一部とを取り出して示した斜視図である。その他の構成要素については図示が省略されている。
【0029】
図3に示すように、絞り羽根100は、第1平面板102からなり、開口413の内側に突出し絞り開口を形成し、絞り装置10の絞り開口に入射する光を遮る第1羽根部110と、第1平面板102の一方の面F1から光軸OAに沿った第1方向の側に突出した第1固定ボス120と、第1平面板102の他方の面F2から第1方向とは逆方向の第2方向の側に突出した移動ボス130とを有する。
第1平面板102は、遮光性を有しており、他の構成要件(漏光防止羽根200、収容体400等)と合わせて滑らかに摺動することができる材料からなっている。第1固定ボス120及び移動ボス130は、一定の半径を有する円筒の形状を有している。第1固定ボス120の「固定」の意味は、収容体に対するボスの位置は移動せず固定的であるという意味であり、ボス単体では回転可能であるものとする。
【0030】
漏光防止羽根200は、第2平面板202からなり、当該絞り装置10の内側に入射する光を遮る第2羽根部210と、第2平面板202の一方の面F3から第1方向の側に突出した第2固定ボス220とを有する。そして、かかる漏光防止羽根200は、上記した絞り羽根100と共に一対をなしている。
第2平面板202も第1平面板102と同様に、他の構成要件(絞り羽根100、収容体400等)と合わせて滑らかに摺動することができる材料からなっている。また、第2固定ボス220は、一定の半径を有する円筒の形状を有している。第2固定ボス220の「固定」の意味は、収容体に対するボスの位置は移動せず固定的であるという意味であり、ボス単体では回転可能であるものとする。
【0031】
駆動環300は、
図1〜
図3に示すように、第1カム溝330が形成されており、内側が円形に開口した環状平面板である。
第1カム溝330は、移動ボス130が嵌挿され、カム溝の位置により光軸OAとの距離が異なるように構成されている。ただし、周方向に沿ってカム溝をみたときに光軸OAとの距離が同じ区間を一部有していても構わない。
かかる駆動環300が光軸OAを中心に回転すると、第1カム溝330は、光軸OAを中心とする周方向に移動する。このとき、第1カム溝330に嵌挿された移動ボス130は、第1固定ボス120を中心に回転させられる。つまり、移動ボス130は、第1固定ボス120を回転中心にして、開口413の内側に向かう方向(以下、−r方向とする。)と、開口413の外側に向かう方向(以下、r方向とする。)とに移動させられる。
駆動環300に回転力を付与する方法はいかなる方法でもよいが、実施形態1においては、駆動環本体310と一体となって回転する回転レバー340を設け、当該回転レバー340に対して図示しない回転力付与手段から力を加える。
【0032】
収容体400は、
図1〜
図3に示すように、形状としては内側に開口413を有し全体として円環の形状である。そして、上記したとおり、絞り羽根100、漏光防止羽根200及び駆動環300を収容する。
また、収容体400には、上記した一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200に対応して第1固定ボス120及び第2固定ボス220がそれぞれ挿入される一対の第1孔401j及び第2孔402jが、nセット(絞り羽根100及び漏光防止羽根200の対数)設けられている(ただし、nは2以上の整数。)。
さらに、収容体400には、
図1(b)に示すように、駆動環300の回転レバー340が回転できるように外周壁410の一部を切り欠いた切欠部411を有している。
【0033】
絞り装置10全体としては、上記した一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200をnセット(複数対)備えている。駆動環300には、絞り羽根100毎に設けられている移動ボス130にそれぞれ対応するようにして第1カム溝330がn個(複数)形成されている。
上記した一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200は、
図2(a)、
図2(c)、
図3等に示すように、第2方向に向かって絞り羽根100及び漏光防止羽根200の順で積層されている。
【0034】
上記に加え、漏光防止羽根200には第2カム溝230が更に設けられている。第2カム溝230は、移動ボス130に対応した位置に配置される。
絞り羽根100の移動ボス130は、漏光防止羽根200の第2カム溝230に嵌挿され、且つ、駆動環300の第1カム溝330にも嵌挿されている。
なお、移動ボス130は第1カム溝330及び第2カム溝230に「嵌挿」されているとしているが、移動ボス130が、第1カム溝330の深さ(駆動環300の厚さ)の一部にだけ挿入されていてもよいし、第2カム溝230に加えて第1カム溝330を貫通していてもよい。なお、実施形態1においては、ほぼ貫通する程度の状態としている。
【0035】
3.実施形態1に係る絞り装置10の作用・効果
実施形態1に係る絞り装置10は、上述したように、複数の羽根を光軸に対して進退させることにより絞り開口の開口径を変化させる絞り装置であって、絞り羽根100と、この絞り羽根100と一対をなす漏光防止羽根200と、駆動環300と、収容体400とを有する。
絞り羽根100は、第1平面板102からなり、絞り装置10の絞り開口(絞り羽根100により形成される開口)に入射する光を遮る第1羽根部110と、第1平面板102の一方の面F1から光軸OAに沿った第1方向の側に突出した第1固定ボス120と、第1平面板102の他方の面F2から第1方向とは逆方向の第2方向の側に突出した移動ボス130とを有する。
漏光防止羽根200は、第2平面板202からなり、絞り装置10の絞り開口に入射する光を遮る第2羽根部210と、第2平面板202の一方の面F3から第1方向の側に突出した第2固定ボス220とを有する。
駆動環300は、移動ボス130が嵌挿される第1カム溝330を有する。この第1カム溝330は、カム溝の位置により光軸OAとの距離が異なる。駆動環300は、光軸OAを中心に回転することができる。したがって、駆動環300が光軸OAを中心に回転すると、第1カム溝330が周方向に移動する。これにより、第1カム溝330に嵌挿された移動ボス130は、r方向または−r方向に移動させられる。
収容体400は、絞り羽根100、漏光防止羽根200及び駆動環300を収容する。
絞り装置10は、一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200をnセット(複数対)備える。駆動環300には、絞り羽根100毎に設けられている移動ボス130にそれぞれ対応するようにして第1カム溝330がn個(複数)形成されている。
収容体400には、一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200に対応して、第1固定ボス120及び第2固定ボス220がそれぞれ挿入される一対の第1孔401j及び第2孔402jが設けられている。第1孔401j及び第2孔402jは、nセット(絞り羽根100及び漏光防止羽根200の対数)設けられている。
漏光防止羽根200には第2カム溝230が設けられ、絞り羽根100の移動ボス130は、漏光防止羽根200の第2カム溝230に嵌挿され、且つ、駆動環300の第1カム溝330に嵌挿されている。
【0036】
実施形態1に係る絞り装置10は、上述したように、漏光防止羽根200には第2カム溝230が更に設けられている。そして、絞り羽根100の移動ボス130が、漏光防止羽根200の当該第2カム溝230に嵌挿され、且つ、駆動環300の第1カム溝330に嵌挿されている。
このような構造を採ることにより、以下のような作用が働くこととなる。(1)図示しない回転力付与手段から回転力が加えられて駆動環300が回転する。(2)駆動環300が回転すると、絞り羽根100においては、駆動環300から第1カム溝330を通じて、移動ボス130に対して力が働く。つまり絞り羽根100は、移動ボス130を力点とし、第1固定ボス120を支点(回動軸)として回動することとなる。(3)移動ボス130が第1固定ボス120を中心に回転(例えば−r方向に移動)することに伴い、漏光防止羽根200においては、移動ボス130から第2カム溝230に対して力が働く。つまり漏光防止羽根200は、移動ボス130から第2カム溝230に力が働いた箇所を力点とし、第2固定ボス220を支点(回動軸)として回動することとなる(
図3等を参照。)。
このように実施形態1に係る絞り装置10では、駆動環300の第1カム溝330に嵌挿されているボスは絞り羽根100の移動ボス130のみであるものの、絞り羽根100の駆動に連動させて漏光防止羽根200も駆動することができる。
【0037】
したがって、第1カム溝330は、絞り羽根100を駆動するために必要な長さに形成すれば十分であり、漏光防止羽根200を駆動するためのカム溝を形成する必要がない。そのため、その分、第1カム溝330の長さは、従来の絞り装置におけるカム溝の長さよりも短くすることができる。このように、第1カム溝330の長さを短くできるため、駆動環300に設けることができる第1カム溝330の数を増やすことが容易となる。これに対応して絞り羽根100の枚数を増やすことが容易となる。併せて、絞り羽根100と一対をなしている漏光防止羽根200の枚数も増やすことが容易となる。
かくして、実施形態1に係る絞り装置10によれば、絞り羽根の枚数を増加させ易い絞り装置を提供することができる。
【0038】
4.実施形態1に係る絞り装置10のその他の詳細な構造
図4は、実施形態1における絞り羽根100及び漏光防止羽根200の回動について説明するために示す平面図である。一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200、並びにそれらに対応する第1カム溝330については図示され、その他の絞り羽根、漏光防止羽根及び第1カム溝については図示が省略されている。
図5は、実施形態1に係る絞り装置10の要部を説明する図である。
図5(a)は、一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200と、それらに対応する収容体400の一部とを取り出して示した平面図であり、
図5(b)は、漏光防止羽根200の第2突出部240近傍に焦点を当てて拡大した平面図である。その他の構成要素については図示が省略されている。
【0039】
(1)第1固定ボス120と第2固定ボス220との位置関係
実施形態1に係る絞り装置10において、駆動環300の回転方向であって、駆動環300を回転させて第1カム溝330を移動させることによって、絞り羽根100を光軸OAに向けて移動せしめる方向《絞り羽根100を開口413の内側(−r方向)に突出させる方向。》を絞り回転方向ROTとする(
図2、
図3及び
図4参照。)。
このとき、漏光防止羽根200の第2固定ボス220は、絞り羽根100の第1固定ボス120よりも絞り回転方向ROTの前方に位置するように、一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200が配置され、且つ、一対の第1孔401j及び第2孔402jの位置関係が設定されている。
【0040】
図3、
図4等に示すように、絞り羽根100の移動ボス130は、第1固定ボス120よりも絞り回転方向ROTの後方に位置している。移動ボス130から力を受ける漏光防止羽根200の第2カム溝230は、絞り羽根100の第1固定ボス120よりも後方に位置している。
ここで、第2固定ボス220を、第1固定ボス120よりも絞り回転方向ROTの前方に位置するように配置することにより、
図4に示すように、第2固定ボス220と第2カム溝230(又は第2カム溝230に嵌挿された移動ボス130)との間の距離L2を、第1固定ボス120と移動ボス130との間の距離L1よりも長く設定することができる。つまり、漏光防止羽根200の回動に関係する支点と力点との間の距離L2を、絞り羽根100の回動に関係する支点と力点との間の距離L1よりも長く設定することができる。
駆動環300を回転させて、移動ボス130を例えば
図4に示す軌跡S1で回動させた場合、これに連動して第2カム溝230は、第2固定ボス220を中心にして回動することになる。駆動環300の回転によって移動ボス130が軌跡S1を描いたときの、絞り羽根100が回動する角度をθ1とし、漏光防止羽根200が回動する角度をθ2としたとき、実施形態1における絞り装置10においてこれらの角度の関係はθ2<θ1となる。
つまり、漏光防止羽根200が回動する角速度は、絞り羽根100が回動する角速度よりも遅くなっている。したがって、漏光防止羽根200の第2羽根部210の先端216を、絞り羽根100の第1羽根部110の先端116よりも後から遅れて絞り装置10の開口413の内側に突出させることができる。よって、漏光防止羽根200が絞り羽根100よりも先に開口413の内側に突出してしまい、漏光防止羽根200が絞り開口を形成してしまうことを防止できる。
【0041】
(2)収容体400に設けられた凹部416
(a)絞り羽根100の第1突出部140に対応して設けられた凹部416
実施形態1に係る絞り装置10において、収容体400は、絞り羽根100及び漏光防止羽根200が内側に配置される円筒形の外周壁410を有し、この外周壁410の内側(光軸OA側)には、駆動環300が載置される駆動環載置面412を有する段部414が配置されている。収容体400を、光軸OAに沿って平面視したとき、この収容体400の段部414には、第1突出部140の輪郭のうち少なくとも一部の輪郭が入り込む凹部416が設けられている。
実施形態1に係る絞り装置10において、絞り羽根100は、第1固定ボス120が配設されており、且つ、第1羽根部110から突出している第1突出部140を有する。つまり、
図5で示すように(
図3も併せて参照。)、絞り装置10を光軸OAに沿って平面視したとき、絞り羽根100には、第1羽根部110から光軸OAから離れる方向に突出した第1突出部140が形成されている。言い換えれば、絞り羽根100は、第1羽根部110の部分については羽根幅を狭くされ、第1固定ボス120が設けられる部分を第1羽根部110よりも羽根幅の広い第1突出部140として形成されている。第1固定ボス120は、第1突出部140に配設されている。この第1突出部140の輪郭のうち最も光軸OAからの距離が遠い輪郭140’は、フル開放状態において第1羽根部110の外周縁112よりも外側(光軸OAから離れる方向)の位置に位置するように構成されている。
【0042】
(b)漏光防止羽根200の第2突出部240に対応して設けられた凹部416
収容体400は、絞り羽根100及び漏光防止羽根200が内側(−r方向側)に配置される円筒形の外周壁410を有している。この外周壁410の内側には、駆動環300が載置される駆動環載置面412を有する段部414が配置されている。そして、収容体400を光軸OAに沿って平面視したとき、段部414には、第2突出部240の輪郭のうち少なくとも一部の輪郭が入り込む凹部416が設けられている。
実施形態1に係る絞り装置10において、漏光防止羽根200は、第2固定ボス220が配設されており、且つ、第2羽根部210から突出している第2突出部240を有する。つまり、
図5で示すように(
図3も併せて参照。)、絞り装置10を光軸OAに沿って平面視したとき、漏光防止羽根200には、第2羽根部210から光軸OAから離れる方向に突出した第2突出部240が形成されている。言い換えれば、漏光防止羽根200は、第2羽根部210の部分については羽根幅を狭くされ、第2固定ボス220が設けられる部分を第2羽根部210よりも羽根幅の広い第2突出部240として形成されている。第2固定ボス220は、第2突出部240に配設されている。この第2突出部240の輪郭のうち最も光軸OAからの距離が遠い輪郭240’は、フル開放状態において第2羽根部210の外周縁212よりも外側(光軸OAから離れる方向)の位置に位置するように構成されている。
【0043】
以下、上記(b)漏光防止羽根200の第2突出部240の付近を中心に注目して作用・効果の説明を続ける。
図5(b)に示すように、漏光防止羽根200には、第2突出部240が、第2羽根部210の外周縁212(A3で示した円弧の位置)よりも外側(光軸OAからの距離が遠い側)の位置(A1で示した円弧の位置)に位置するように設けられている。収容体400の段部414には、第2突出部240の少なくとも一部が入り込む凹部416が設けられている。
言い換えると、第2突出部240が設けられることで、凹状の領域R(網掛けで示した領域)が形成される。領域Rは、仮想線A1と第2羽根部210の外周縁212(A3で示した円弧の位置)との間の領域である。仮想線A1は、仮に第2突出部240を設けなかった場合(漏光防止羽根200の羽根の幅を、第2羽根部210の部分についても、第2突出部240の部分と同じにした場合。)の第2羽根部210の外周縁の位置である。したがって、第2突出部240を設ける(第2羽根部210の部分の羽根幅を第2突出部240の部分の羽根幅よりも狭くする)ことで、仮想線A1と第2羽根部210の外周縁212(A3で示した円弧の位置)との間に凹状の領域Rが形成される。この領域Rには、駆動環載置面412の一部をこの領域Rに食い込んだ形で配置することができる。
このような構成によれば、元々相応の幅Wが必要とされる駆動環載置面412について、その幅の一部を上記領域R内に配置させることができ(駆動環載置面412を内側にシフトさせることができ)、結果として、収容体400の外周壁410の大径化を抑えることができ、ひいては絞り装置10を小型化することができる。
また、上記(b)の構成によれば、第2固定ボス220と第2カム溝230との間の距離を長くすることができ、漏光防止羽根200をより円滑に駆動することができる。
【0044】
絞り羽根100についても、第1突出部140が、第1羽根部110の外周縁112よりも外側(光軸OAからの距離が遠い側)の位置に位置するように構成されている。そして、収容体400の段部414には、第1突出部140の少なくとも一部が入り込む凹部416が設けられている。
そのため、第1突出部140を設けることで、仮に第1突出部140を設けない場合に比べて、収容体400の外周壁410の大径化を抑えることができ、ひいては絞り装置10を小型化することができる。
【0045】
また、上記(a)の構成によれば、第1固定ボス120と移動ボス130との間の距離を長くすることができ、絞り羽根100をより円滑に駆動することができる。
さらに、上記(a)の構成とした場合、第1突出部140を第1羽根部110の外周縁から突出させない場合(第1突出部140が無い場合)に比べて、第1固定ボス120の光軸OAからの距離を長くすることができる。第1固定ボス120の光軸OAからの距離を長くすると、それに応じて、絞り羽根100の長さを長くする必要がある。これは、同じ絞り開口径を形成する場合、第1固定ボス120の光軸OAからの距離が長いほど、絞り羽根100の長さを長くする必要があるからである。一方、絞り羽根100の長さが長くなると、絞り回転方向ROTで前後する絞り羽根100同士の重なりの面積を広くすることができ、該前後する絞り羽根100同士の間に形成される隙間を小さくできる。つまり、漏光防止羽根200の大きさを小さくし、漏光防止羽根200の移動量を少なくすることができる。
【0046】
(3)羽根の外周縁を切り欠いた凹部114,214
実施形態1に係る絞り装置10は、
図3及び
図5(a)に示すように、一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200のそれぞれの外周縁には、凹部114,214が設けられている。
凹部114,214は、絞り羽根100及び漏光防止羽根200が絞り開口の開口径を最大とする位置(フル開放の位置、すなわち、絞り羽根100及び漏光防止羽根200が収容体400の幅内に退避された位置。)に移動させられたときに、別の一対をなす(絞り回転方向の後方で隣接する)絞り羽根100及び漏光防止羽根200についての第2固定ボス220《
図5(a)において、第2孔402j+1を示した位置に対応して配置される第2固定ボス220。》を内側(外周縁を切り欠かなかったとした場合の羽根の輪郭の内側。)に配置できるように設けられている。
【0047】
このような実施形態1に係る絞り装置10によれば、一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200と、別の一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200についての第2固定ボス220とが重なることなく干渉を避けることができる。このため、絞り装置10の大径化を抑えることができる。仮に凹部114,214を設けない場合には、第1羽根部110の外周縁112及び第2羽根部210の外周縁212の外側に別の一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200についての第2固定ボス220を配置する必要があり、絞り装置10の大径化を招いてしまう。
実施形態1に係る絞り装置10は、
図3及び
図5(a)に示すように、一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200の外周縁には、絞り羽根100及び漏光防止羽根200が絞り開口の開口径を最大とする位置(フル開放の位置、すなわち、絞り羽根100及び漏光防止羽根200が収容体400の幅内に退避された位置。)に移動させられたときに、別の一対をなす(絞り回転方向の後方で隣接する)絞り羽根100及び漏光防止羽根200についての第2固定ボス220を内側に配置するように切り欠いた凹部114,214が設けられている。
実施形態1においては、絞り羽根100及び漏光防止羽根200にそれぞれ凹部114および凹部214を設けているが、凹部はいずれか一方の羽根のみに設けてもよい。この場合には、絞り羽根100及び漏光防止羽根200が絞り開口の開口径を最大とする位置に移動されたときに羽根が第2固定ボス220に干渉しないように、凹部を設けない側の羽根幅を狭くする。なお、少なくとも漏光防止羽根200に凹部214を設けることで、第2カム溝230を形状(長さ、配置等)の自由度を高くすることができる。
実施形態1においては、別の一対をなす絞り羽根100及び漏光防止羽根200のうち、漏光防止羽根200についての第2固定ボス220を逃がすように凹部114,214が設けているが、絞り羽根100の第1固定ボス120を逃がすための別の凹部を更に設けるものとしてもよい。
【0048】
(4)第1カム溝330及び第2カム溝230の長さ
実施形態1に係る絞り装置10は、
図3に示すように、第2カム溝230を延べた長さは、第1カム溝330を延べた長さよりも短い。
換言すると第1カム溝330を延べた長さを、第2カム溝230を延べた長さよりも長く設定することにより、第1カム溝330を可能な限り駆動環300の幅一杯に近いほどに設けることができ、狭い幅の駆動環300を有効に用いながら羽根を内側方向に移動させる量(ストローク量)を可能な限り稼ぐことができる。
また、上記のような絞り装置10によれば、必要最小限の長さの第2カム溝230を設けることで足りるため、漏光防止羽根200もコンパクトに形成することができ、絞り装置10の小型化に資することができる。
【0049】
(5)第1カム溝330と第2カム溝230とのなす角度
実施形態1に係る絞り装置10は、
図4に示すように、光軸OAを中心とした円周方向に対する第1カム溝330の角度を、絞り回転方向ROTに向かうにつれて光軸OAから離れる方向に傾斜させる角度としている。一方、第2カム溝230は、該円周方向に対する角度を、第1カム溝330の円周方向に対する角度に比べて小さく形成されている。
このような実施形態1に係る絞り装置10によれば、光軸をOA中心とした円周方向に対する第2カム溝230の角度を、光軸をOA中心とした円周方向に対する第1カム溝330の角度に比べて小さくしている。そのため、第2カム溝230の角度の方を第1カム溝330の角度よりも大きくした場合に比べて、漏光防止羽根200の駆動が円滑に行われる。第2カム溝230を、光軸OAを中心とした円周方向に沿って形成することで、漏光防止羽根200の駆動をより円滑に行うことができる。
【0050】
絞り羽根100が当該絞り装置10の開口413に突出していないフル開放状態において、第1カム溝330と第2カム溝230とが交差する角度は、比較的小さな角度(例えば30°以下。)であることが好ましい。移動ボス130が第1カム溝330及び第2カム溝230に嵌挿されている関係上、このような構成にすることで、特に駆動環300の回転を起動させる際に、より円滑に絞り羽根100及び漏光防止羽根200を駆動させることができる。
【0051】
[実施形態2]
次に実施形態2に係る絞り装置10aを、
図6を用いて説明する。
図6は、実施形態2に係る絞り装置10aの要部を説明するために示す斜視図である。
【0052】
実施形態2に係る絞り装置10aは、基本的には実施形態1に係る絞り装置10と同様の構成を有するが、絞り羽根100a及び漏光防止羽根200aの形状、並びに、収容体400aの外周壁410aの内側に設けられた駆動環300が載置される駆動環載置面412aを有する段部414aの形状において、実施形態1に係る絞り装置10とは異なる。すなわち、実施形態2に係る絞り装置10aは、
図6に示すように、絞り羽根100aには実施形態1における第1突出部140のような部位は有しておらず、且つ、漏光防止羽根200aにも第2突出部240のような部位は有していない。また、収容体400aの外周壁410aの内側に設けられた駆動環載置面412aを有する段部414aにおいて、実施形態1における凹部416のような部位は有しておらず、段部414aの内壁は光軸OAを中心とした円状に形成されている。
【0053】
このように、実施形態2に係る絞り装置10aは、絞り羽根100a、漏光防止羽根200a及び収容体400aの形状において、実施形態1に係る絞り装置10とは異なるが、絞り羽根100a、漏光防止羽根200a及び収容体400aは、実施形態1に係る絞り装置10に比べてより簡便な構造をとる。そのため、設計、製造等の省力化を進めることができ、低コスト化を進めることができる。
なお、実施形態2に係る絞り装置10aは、絞り羽根100a、漏光防止羽根200a及び収容体400a以外の構成においては、実施形態1に係る絞り装置10と同様の構成を有する。そのため、実施形態1に係る絞り装置10が有する効果のうち該当する効果を同様に有する。
【0054】
[実施形態3]
実施形態3に係るレンズ鏡筒20は、
図7に示すように、レンズ鏡筒本体22の内側に、実施形態1に係る絞り装置10と、複数のレンズ24とが収容されている。
実施形態3に係るレンズ鏡筒20は、実施形態1に係る絞り装置10を備えているため、大型化が抑えられると共に、撮像状態が好適なレンズ鏡筒20の提供が可能となる。
なお、実施形態3において、実施形態1に係る絞り装置10に替えて実施形態2に係る絞り装置10aを適用してもよい。
【0055】
[実施形態4]
実施形態4に係る撮像装置30は、
図7に示すように、実施形態1に係る絞り装置10、又は、実施形態3に係るレンズ鏡筒20と、撮像装置本体32とを備える。実施形態4に係る撮像装置30は、例えばカメラ等に適用することができる。
また、実施形態4に係る投影装置35は、
図7に示すように、実施形態1に係る絞り装置10、又は、実施形態3に係るレンズ鏡筒20と、投影装置本体37とを備える。実施形態4に係る投影装置35は、例えばプロジェクタ等に適用することができる。
【0056】
実施形態4に係る撮像装置30又は投影装置35は、実施形態1に係る絞り装置10、又は、実施形態3に係るレンズ鏡筒20を備えているため、大型化が抑えられると共に、撮像状態が好適なレンズ鏡筒20の提供が可能となる。
なお、実施形態4において、実施形態1に係る絞り装置10に替えて実施形態2に係る絞り装置10aを適用してもよい。
【0057】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0058】
(1)上記実施形態において記載した構成要素の数、材質、形状、位置、大きさなどは例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0059】
(2)実施形態1及び実施形態2においてカメラ等の撮像装置を例に説明したが、これに限られるものではなく、例えばプロジェクタ等の投影装置においても適用可能である。
【0060】
(3)実施形態1及び実施形態2において、第1固定ボス120、第2固定ボス220及び移動ボス130として挙げられた「ボス」は、一定の半径を有する円筒状をなしているがこれに限られるものではない。第1固定ボス120及び第2固定ボス220にあっては回動の軸となりうる形状であればよく、また、移動ボス130は第1カム溝330及び第2カム溝230に嵌挿し力を伝えうるものであればよく、例えば、半径がほぼ0のリード線状のもの、円錐状のもの、きのこ状のもの等であってもよい。