【解決手段】画像形成装置1は、用紙(記録媒体)の一方の面側に用紙を湾曲させる第1状態、及び用紙の他方の面側に用紙を湾曲させる第2状態に状態を切り換えるカール除去部50と、用紙の両面それぞれの含水量を測定する含水量測定センサー21と、装置本体から排出された用紙に対する後処理に応じて含水量の測定範囲を決定する測定範囲決定部104と、当該決定された測定範囲内で含水量測定センサー21により測定された用紙の一方の面の含水量及び他方の面の含水量に基づいて、カール除去部50の状態を第1状態又は第2状態に切り換える切換制御部105と、を備える。
前記後処理が前記記録媒体を綴じる処理又は穿孔処理であり、これら処理が前記記録媒体の搬送方向における先端側又は後端側に施される場合、前記測定範囲決定部は、前記先端側又は前記後端側における前記各処理の施される範囲を前記測定範囲に決定する請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
前記後処理が前記記録媒体を綴じる処理又は穿孔処理であり、これら処理が前記記録媒体の搬送方向に長さ方向を有する範囲で施される場合、前記測定範囲決定部は、前記記録媒体の前記搬送方向における全範囲を前記測定範囲に決定する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
前記後処理が、複数の前記記録媒体の各排出位置を部毎に異ならせて排出するシフト処理であり、当該シフト処理が行われる場合、前記測定範囲決定部は、前記記録媒体の前記搬送方向における全範囲を前記測定範囲に決定する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構造を示した模式的な部分断面正面図である。画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機であり、装置本体11に、操作部47、原稿給送部6、及び原稿読取部5を含んで構成されている。
【0011】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について操作者から画像形成動作実行指示や原稿読取動作実行指示等の指示を受け付けるものであり、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。
【0012】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により給送されてくる原稿、又は原稿載置ガラス161に載置された原稿の画像を、読取機構163を備えた原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、内臓HDD(Hard Disk Drive)、又はネットワーク接続されたコンピューター等に保存される。
【0013】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、内臓HDDに記憶されている画像データ、ネットワーク接続されたコンピューターから受信した画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録紙(記録媒体)としての用紙Pにトナー像を形成する。
【0014】
画像形成部12は、ブラック(Bk)用の画像形成ユニット12Bk、イエロー(Y)用の画像形成ユニット12Y、シアン(C)用の画像形成ユニット12C、及びマゼンタ(M)用の画像形成ユニット12Mを含んで構成され、これら画像形成ユニット12Bk,12Y,12C,12Mはそれぞれドラム型の感光体121Bk,121Y,121C,121Mを備え、感光体121Bk,121Y,121C,121Mは、図中の反時計回りに回転駆動するようになっている。
【0015】
トナーコンテナ17Bk,17Y,17C,17Mはそれぞれブラック用、イエロー用、シアン用、マゼンタ用のトナーを収納するものであり、感光体121Bk,121Y,121C,121Mから離れた位置に、中間転写ベルト125を挟んで上方に、装置本体11に設けられたトナーコンテナ装着部(図示せず)に着脱自在に装着されている。
【0016】
転写ユニット120は、その外周面にトナー像が転写される中間転写ベルト125、駆動ローラー125a、従動ローラー125b、及び一次転写ローラー126を含んで構成されている。
【0017】
中間転写ベルト125は、駆動ローラー125aと従動ローラー125bとの間に張架され、感光体121Bk,121Y,121C,121Mの周面に当接した状態で駆動ローラー125aによって駆動され、感光体121Bk,121Y,121C,121Mと同期しながら、無端走行する。
【0018】
次に、カラー印刷が行われる場合について説明する。感光体121Bk,121Y,121C,121Mの周囲が一様に帯電され(帯電工程)、電荷を帯びた感光体121Bk,121Y,121C,121Mの表面に、画像データに基づいて、レーザー光が照射されて潜像が形成され(露光工程)、潜像がトナーで可視像化され(現像工程)、可視像化することによって形成されたトナー像が一次転写ローラー126によって中間転写ベルト125上に転写されるようになっている。
【0019】
中間転写ベルト125上に転写される各色(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)のトナー像は、転写タイミングを調整して中間転写ベルト125上で重ね合わされ、カラーのトナー像となる。
【0020】
二次転写ローラー210は、中間転写ベルト125の表面に形成されたカラーのトナー像を、中間転写ベルト125を挟んだ、駆動ローラー125aとのニップ部Nにおいて、給紙部14から搬送路190を搬送されてきた用紙Pに転写させるものである。なお、ここまで説明したのはカラー印刷の場合であり、モノクロ印刷の場合には、イエロー用、シアン用、及びマゼンタ用の感光体121Y,121C,121Mは使用されず、ブラック用の感光体121Bkだけが使用されることになる。
【0021】
定着部13は、熱圧着によりトナー像を用紙Pに定着させるものであり、定着処理が施されたカラー画像形成済みの用紙Pは、排出トレイ151又は装置本体11の外に張り出した排出トレイ152に排出されることになる。排出トレイ152には、図示しないが積載された用紙Pをステープルで綴じる機構や、用紙Pにパンチ穴を開ける機構が装備されている。
【0022】
カール除去部50は、定着部13の下流側に配置され、定着部13を通過することによって用紙Pに生じたカールを除去するものである。なお、カール除去部50の詳しい構成については、例えば、上記の特許文献3に記載されている。
【0023】
給紙部14は、複数の給紙カセット141を備え、及び各給紙カセット141に収容された記録紙をピックアップするためのピックアップローラー145を含んで構成され、操作者による指示等で指定されたサイズの記録紙をピックアップするように、対応するピックアップローラー145を回転駆動させる。ピックアップローラー145によりピックアップされた用紙Pは、搬送ローラー対19a,19bによって、ニップ部Nに搬送される。
【0024】
搬送路190上には、用紙Pの一方の面(図中右側の面)の含水量を測定する含水量測定センサー21が、定着部13よりも用紙Pの搬送方向において上流側であって、用紙Pの搬送方向においてレジストローラー198の上流側となる搬送路190部分に配置され、含水量測定センサー21で測定された結果は、後述する制御ユニット10(
図4)に出力される。なお、含水量測定センサー21は、特許請求の範囲における含水量測定部の一例となる。
【0025】
次に画像形成装置1で両面印刷が行われる場合について説明する。画像形成部12により一方の面に画像が形成された用紙Pを、排出ローラー対159に挟まれた状態とした後、用紙Pを排出ローラー対159によりスイッチバックさせて反転搬送路195に送り、搬送ローラー対19bにより用紙Pを搬送方向上流域へ再度搬送する。これにより、用紙Pのもう一方の面にも画像を形成することができる。
【0026】
図2は、カール除去部50の構成を概略的に示した図である。カール除去部50は、ロータリー式であり、金属等の硬質材料で構成された硬質ローラー51と、合成樹脂等の柔軟な材料で構成された軟質ローラー52と、硬質ローラー51及び軟質ローラー52を収納するケーシング55とを備えている。
【0027】
ケーシング55はその中心に設けられた軸55aの両側が装置本体11(
図1)のフレームFに回転自在に軸支されている。軸55aの一端部には歯車56が取り付けられ、歯車56はフレームFに設けられたケーシング回転用モーター60の出力軸60aに取り付けられた歯車61と噛み合っている。このため、ケーシング回転用モーター60が駆動すると、ケーシング55が硬質ローラー51及び軟質ローラー52を内蔵したまま回転する。
【0028】
硬質ローラー51の中心に設けられた軸51aと軟質ローラー52の中心に設けられた軸52aとは平行関係にあり、軸51a,52aはそれぞれケーシング55に設けられた軸受けに回転自在に軸支されている。
【0029】
硬質ローラー51の軸51aの一端部には歯車51bが取り付けられ、歯車51bはケーシング55内に設けられたローラー回転用モーター65の出力軸65aに取り付けられた歯車66と噛み合っている。このため、ローラー回転用モーター65が駆動すると、硬質ローラー51が回転する。
【0030】
軟質ローラー52は、硬質ローラー51に圧接され、外周面が弾性変形して硬質ローラー51との間にニップを形成する。また、軟質ローラー52は、軸52aを回転軸として、回転自在であり、硬質ローラー51に圧接されているので、硬質ローラー51が回転すると、それに従って回転する。
【0031】
図3は、カール除去部50の断面を模式的に示した図である。なお、
図3は、
図2におけるA方向から見たカール除去部50の断面図である。ケーシング55には、
図3に示すように搬送路190が形成され、搬送路190はカールした用紙Pが進入できるような大きさを持ち、例えば用紙Pの進入口と脱出口になる開口部は、ロート状に広がっている。なお、矢印A1は用紙Pの搬送方向を示している。
【0032】
上述したように、ケーシング55は、その中心に設けられた軸55a(
図2)を回転軸として、硬質ローラー51及び軟質ローラー52を内蔵したまま、回転自在に構成され、2つの状態、状態T1と状態T2に選択的に切り換えられる。状態T1,T2はそれぞれ、特許請求の範囲における第1状態、第2状態の一例となる。
【0033】
状態T1とは、
図3(A)に示した状態であり、硬質ローラー51が搬送路190に対して図中左側に位置し、軟質ローラー52が搬送路190に対して図中右側に位置し、左カールとなるように用紙を矯正する。すなわち、用紙Pの搬送方向先端部及び後端部が、図中左側に位置する硬質ローラー51側に向かうように湾曲する。また、この状態では、ローラー回転用モーター65(
図2)からの駆動力で、硬質ローラー51は図中反時計回りの矢印A2の方向に回転する。
【0034】
これに対して、状態T2とは、
図3(B)に示した状態であり、硬質ローラー51が搬送路190に対して図中右側に位置し、軟質ローラー52が搬送路190に対して図中左側に位置し、右カールとなるように用紙Pを矯正する。すなわち、用紙Pの搬送方向先端部及び後端部が、図中右側に位置する硬質ローラー51側に向かうように湾曲する。また、この状態では、硬質ローラー51を図中時計回りの矢印A3の方向に回転させるように、ローラー回転用モーター65は駆動する。
【0035】
図4は、画像形成装置1の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、画像メモリー32、HDD92、定着部13、含水量測定センサー21a,21b、ケーシング回転用制御回路160、ローラー回転用制御回路165、操作部47、ファクシミリ通信部71、及びネットワークインターフェイス部91を含んで構成されている。なお、
図1に示した画像形成装置1と同様の構成部分については同符号を付し、ここではその詳しい説明を省略する。
【0036】
原稿給送部6は、読取対象の原稿を原稿読取部5へ給送する。
【0037】
原稿読取部5は、制御ユニット10を構成する制御部100による制御の下、光照射部及びCCD(Charge Coupled Device)センサー等を有する読取機構(図示せず)を備えており、原稿読取部5は、光照射部を使って原稿を照射し、その反射光をCCDセンサーで受光することによって、原稿から画像を読み取る。
【0038】
画像形成部12は、印刷すべき画像のトナー像を用紙上に形成する。
【0039】
画像メモリー32は、原稿読取部5による読み取りで得られた原稿の画像データを一時的に記憶したり、画像形成部12のプリント対象となるデータを一時的に保存したりするための領域である。
【0040】
HDD92は、原稿読取部5によって読み取られた原稿画像等を記憶する大容量の記憶装置である。
【0041】
定着部13は、用紙上のトナー像を、熱圧着により用紙に定着させる。
【0042】
含水量測定センサー21は、給紙部14(
図1)からピックアップされた用紙Pの片面(含水量測定センサー21に対向する面)の含水量を測定し、測定結果を示した情報を制御ユニット10へ送信する。
【0043】
ケーシング回転用制御回路160は、ケーシング回転用モーター60の駆動を制御し、ローラー回転用制御回路165は、ローラー回転用モーター65の駆動を制御する。
【0044】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について操作者から画像形成動作実行指示や原稿読取動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。表示部473はタッチパネルになっており、操作者は画面表示されるボタンやキーに触れて画像形成装置1を操作することができる。
【0045】
ファクシミリ通信部71は、図示しない符号化・複合化部、変復調部、及びNCU(Network Control Unit)等を備え、公衆電話回線網を用いてのファクシミリの通信を行うものである。
【0046】
ネットワークインターフェイス部91は、LAN(Local Area Network)ボード等の通信モジュールを含んで構成され、ネットワークインターフェイス部91に接続されたLAN等を介して、ローカルエリア内、又はインターネット上のパーソナルコンピューター(パソコン)等の外部装置20と種々のデータの送受信を行うものである。
【0047】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU、ASIC等である。制御ユニット10は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る制御部100と、設定受付部101と、測定範囲決定部104と、切換制御部105と、を備えている。
【0048】
制御ユニット10は、HDD92にインストールされている制御プログラムに従った動作により、制御部100、設定受付部101、測定範囲決定部104、及び切換制御部105として機能するものである。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0049】
制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、画像メモリー32、HDD92、定着部13、含水量測定センサー21a,21b、ケーシング回転用制御回路160、ローラー回転用制御回路165、操作部47、ファクシミリ通信部71、及びネットワークインターフェイス部91と接続され、これら各部の駆動制御を行う。
【0050】
設定受付部101は、操作者からの各種設定を受け付ける。設定受付部101は、後処理受付部102と、両面印刷受付部103とを備える。例えば、操作者により操作部47が操作されて「後処理(用紙Pに対する仕上げ処理)」が操作者から要求されると、後処理受付部102は、
図5(A)に示すような、選択ボタンB1,B2が表示される後処理設定画面D1を表示部473に表示し、操作部47を介して入力される設定を受け付ける。
【0051】
後処理設定画面D1における選択ボタンB1が、操作者による操作部47の操作で選択されると、後処理受付部102は、
図5(B)に示すような、選択ボタンB3〜B6が表示されたステープル設定画面D2を表示部473に表示し、操作部47を介して入力される設定を受け付ける。
【0052】
一方、後処理設定画面D1における選択ボタンB2が選択されると、後処理受付部102は、
図5(C)に示すような、選択ボタンB7〜B9が表示されたパンチ穴設定画面D3を表示部473に表示し、操作部47を介して入力される設定を受け付ける。
【0053】
両面印刷受付部103は、操作部47が操作されて「両面印刷」が操作者から要求されると、その要求を受け付ける。
【0054】
測定範囲決定部104は、排出トレイ152(
図1)に排出された用紙Pに対する後処理に応じて、測定範囲Eを決定する。
図6は、後処理の種類及び位置と測定範囲Eとの関係の一例を示した図である。測定範囲決定部104は、後処理の種類及び位置と測定範囲Eとの当該関係を示すデータテーブルを記憶している。以下、後処理の種類及び位置と、これに対応付けられた測定範囲Eを説明する。なお、下記において「上」とは用紙搬送方向先端側を示し、「下」とは用紙搬送方向後端側を示す。
【0055】
1.ステープルされる位置が「左上1つ」、「上2つ」の場合
ステープル処理が用紙Pの搬送方向に対して先端側に施される場合、測定範囲Eは用紙Pの先端から用紙搬送方向に予め定められた長さ(例えば、50mm)となる。
【0056】
2.ステープルされる位置が「左2つ」の場合
ステープル処理が用紙Pの搬送方向に施される場合、測定範囲Eは用紙Pの用紙搬送方向における全面となる。すなわち、ステープル処理が、用紙Pにおいて、用紙搬送方向に対する左側の端部位置であって、用紙搬送方向に長く延びる長さ方向を有してなる領域に施される場合は、測定範囲Eは用紙Pの全面となる。
【0057】
3.ステープルされる位置が「下2つ」の場合
ステープル処理が用紙Pの搬送方向に対して後端側に施される場合、測定範囲Eは用紙Pの後端から用紙搬送方向に予め定められた長さとなる。
【0058】
4.パンチ穴が開けられる位置が「左2つ」、「右2つ」の場合
パンチ処理が用紙Pの搬送方向に施される場合、測定範囲Eは用紙Pの全面となる。
【0059】
5.パンチ穴が開けられる位置が「上2つ」の場合
パンチ処理が用紙Pの搬送方向に対して先端側に施される場合、測定範囲Eは用紙Pの先端から用紙搬送方向に予め定められた長さとなる。
【0060】
切換制御部105は、測定範囲決定部104により決定された測定範囲Eの用紙Pの含水量を測定するように、含水量測定センサー21に対して指示信号を送信する。
【0061】
また、切換制御部105は、含水量測定センサー21によって測定される用紙Pの各面の含水量に基づいて、定着部13による定着後の用紙Pの各面含水量をそれぞれ算出する(詳細は後述)。そして、切換制御部105は、カール除去部50の状態を、状態T1又は状態T2のうち、当該算出した含水量が多い方の面側に用紙Pを湾曲させる方の状態に切り換える。すなわち、切換制御部105は、当該算出した含水量に基づいて、測定範囲Eに生じている用紙Pのカールを除去するように、カール除去部50を状態T1又は状態T2のいずれかに切り換える。具体的には、切換制御部105は、ケーシング回転用制御回路160及びローラー回転用制御回路165に対して指示信号を送信し、ケーシング回転用モーター60及びローラー回転用モーター65の駆動を制御することにより、カール除去部50を状態T1又は状態T2のいずれかに切り換える。
【0062】
次に、画像形成装置1の制御ユニット10で行われる処理動作の一例について、
図7に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理動作は、操作者から操作部47又は外部装置20を介して画像形成装置1に両面印刷が要求された場合に行われる動作である。
【0063】
まず、切換制御部105が、カール除去部50を、
図3(A)に示した、ホームポジションである状態T1へ移行させるための初期処理を行う(S1)。初期処理においては、具体的には、切換制御部105が、ケーシング回転用制御回路160を制御することによって、カール除去部50を状態T1へ移行させると共に、ローラー回転用制御回路165を制御することによって、硬質ローラー51を矢印A2の方向に回転可能に配置する。
【0064】
そして、測定範囲決定部104が、操作者から「後処理」が要求されているか否かを判断する(S2)。すなわち、後処理受付部102は、操作者からの「後処理」の要求が受け付けられているか否かを判断する。
【0065】
測定範囲決定部104が、操作者から「後処理」が要求されていると判断すれば(S2でYES)、測定範囲決定部104は、後処理受付部102によって受け付けられている「後処理」の種類に応じて、測定範囲Eを決定する(S3)。例えば、「後処理」が「ステープル上2つ」である場合、
図6に示したように、測定範囲Eは「先端から50mm」に決定される。
【0066】
一方、測定範囲決定部104が、操作者から「後処理」が要求されていないと判断すれば(S2でNO)、測定範囲決定部104は、測定範囲Eを「全面」に決定する(S4)。
【0067】
次に、切換制御部105が、測定範囲Eに基づいて、含水量測定センサー21による用紙Pの含水量の測定範囲を、上記決定した測定範囲に設定する(S5)。含水量測定センサー21は、搬送路190を通じて搬送される用紙Pの第1面目(一方の面)における上記測定範囲E部分が、当該含水量測定センサー21の配設位置に差し掛かったときにのみ、用紙Pの含水量を測定し、測定範囲E以外の部分では用紙Pの含水量を測定しない。
【0068】
その後、切換制御部105は、含水量測定センサー21から送信されてくる、第1面目における上記測定範囲E部分の含水量を示す測定結果M1を取得する(S6)。
【0069】
制御部100は、画像形成部12により当該用紙Pの第1面目に画像を形成させ、当該用紙Pを排出ローラー対159によりスイッチバックさせて反転搬送路195に送り、搬送ローラー対19bにより、用紙Pを、レジストローラー198及び含水量測定センサー21よりも搬送方向上流域へ再度搬送させる。
【0070】
切換制御部105は、含水量測定センサー21に、上記決定した測定範囲で、用紙Pの第2面目(他方の面)についての含水量を、第1面目の場合と同様にして測定させる(S7)。含水量測定センサー21は、搬送路190を通じて搬送される用紙Pの第2面目における上記測定範囲E部分が、当該含水量測定センサー21の配設位置に差し掛かったときにのみ、用紙Pの含水量を測定し、測定範囲E以外の部分では用紙Pの含水量を測定しない。
【0071】
その後、切換制御部105は、含水量測定センサー21から送信されてくる、第2面目における上記測定範囲E部分の含水量を示す測定結果M2を取得する(S7)。
【0072】
ここで、切換制御部105は、測定結果M1,M2に基づいて、定着部13による定着後における、用紙Pの第1面目及び第2面目における上記測定範囲E部分の含水量M1’,M2’を算出する(S8)。
【0073】
例えば、画像形成装置1の製造者等は、予め実験等により、定着前の用紙Pの含水量を上記測定範囲毎に測定した測定結果A1と、当該測定対象とした用紙P第1面目についての上記定着後の含水量を上記測定範囲毎に測定した測定結果A1’とに基づいて、本画像形成装置1において、測定結果A1から測定結果A1’を算出で求められるようにするための係数X1を算出し、切換制御部105に当該係数X1を記憶させておく。製造者等は、同様にして、用紙P第2面目についての係数X2も切換制御部105に記憶させておく。
【0074】
S8では、例えば、切換制御部105は、上記測定結果M1,M2と、当該係数X1,X2を用いて、計算式1:定着後の含水量M1’=測定結果M1*係数X1、及び、計算式2:定着後の含水量M2’=測定結果M2*係数X2により、含水量M1’,M2’を算出する。
【0075】
なお、製造者等は、本画像形成装置1の定着温度、搬送速度、機内湿度、機内温度に基づいて上記係数X1,X2を決定して、当該決定した係数X1,X2を切換制御部105に記憶させるようにしてもよい。
【0076】
また、製造者等は、上記定着後の含水量の測定結果又は/及び本画像形成装置1の定着温度、搬送速度、機内湿度、機内温度を用いて、測定結果A1から測定結果A1’を算出で求められるようにするためのパラメーターX11(第1面目),X12(第2面目)を用紙Pについて決定しておき、当該決定した係数X11,X12を切換制御部105に記憶させておき、切換制御部105が、測定結果M1にパラメーターX11を加算又は減算することによって含水量M1’を算出し、測定結果M2にパラメーターX12を加算又は減算することによって含水量M2’を算出するようにしてもよい。
【0077】
但し、第2面目の定着後の含水量と比較すべき第1面目の定着後の含水量は、定着部13による定着が2回行われた後のものとなるため、上記係数X1の算出については、定着部13による定着が2回行われた後の含水量を上記測定範囲毎に測定した測定結果A1’を用いることが好ましい。パラメーターX11の決定についても同様である。
【0078】
続いて、切換制御部105が、含水量M1’と含水量M2’とを比較し、含水量M1’が含水量M2’よりも大きいと判断すれば(S8でYES)、
図2の図中右側に用紙Pのカールが生じる(含水量の少ない面側にカールする。この時点では、用紙Pは反転により第1面目が図中左側の面となっている)ことが予測されるので、切換制御部105は、カール除去部50の状態を、状態T1となるように切り換える(S9)。具体的には、切換制御部105が、ケーシング回転用制御回路160を制御することによって、カール除去部50を
図3(A)に例を示す状態T1にすると共に、ローラー回転用制御回路165を制御することによって、硬質ローラー51を
図3(A)の矢印A2の方向に回転可能に位置させる。
【0079】
一方、S8において、切換制御部105が、含水量M1’が含水量M2’以下であると判断すれば(S8でNO)、
図2の図中左側に用紙Pのカールが生じることが予測されるので、切換制御部105は、カール除去部50の状態を、状態T2となるように切り換える(S10)。
【0080】
次に、切換制御部105は、全ての印刷処理が終了したか否かを判断し(S11)、切換制御部105は、全ての印刷処理が終了したと判断すれば(S11でYES)、この処理動作を終了し、一方、切換制御部105が、印刷処理は終了していない(印刷すべき用紙Pが残っている)と判断すれば(S11でNO)、処理はS6へ戻る。
【0081】
上記実施形態によれば、カール除去のために用紙Pをそのいずれの面側に湾曲させるかが、上記後処理が行われる用紙P部分についての含水量に基づいて決定される。すなわち、用紙Pの含水量を測定する測定範囲Eは、用紙P(記憶媒体)に対する後処理の種類及び位置に応じて決定される。例えば、後処理がステープル処理であり、ステープルされる位置が用紙Pの上2か所である場合、用紙Pの先端側が測定範囲Eに決定される。また、ステープルされる位置が用紙Pの左2か所である場合、用紙Pの全範囲が測定範囲Eに決定される。このため、後処理が施される記録媒体部分のカールを的確に除去でき、ステープル処理(綴じる処理)やパンチ処理(穿孔処理)などの後処理を適切に行うことができ、綺麗な仕上がりが得られる。
【0082】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、本発明に係る通信装置の一実施形態として画像形成装置の複合機を用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、他の電子機器、例えば、コピー機能、ファクシミリ機能を有した他の画像形成装置でもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、
図1乃至
図7を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。