【解決手段】照射手段を着脱自在に設けることができる第一コネクタ20と、照射手段を利用して照射された照射光を受光する受光手段を着脱自在に設けることができる第二コネクタを有する。第一コネクタには、第二コネクタを設置することができる設置空間36が設けられている。第一コネクタに設けた照射手段から第二コネクタに設けた受光手段に至る、設置空間における照射光の経路途中に、少なくとも第一の遮蔽部材74と第二の遮蔽部材65を含む複数の遮蔽部材が経路を遮るように設けられている。第一の遮蔽部材と第二の遮蔽部材は、経路に沿う方向において互いに離間されており、設置空間に第二コネクタが設置されたときに経路から取り除かれる。
第一コネクタと第二コネクタを有する光コネクタ装置であって、前記第一コネクタには、照射手段を着脱自在に設けることができ、前記第二コネクタには、前記照射手段を利用して照射された照射光を受光する受光手段を着脱自在に設けることができ、
前記第一コネクタには、前記第二コネクタを設置することができる設置空間が設けられており、
前記第一コネクタに設けた前記照射手段から前記第二コネクタに設けた前記受光手段に至る、前記設置空間における前記照射光の経路途中に、少なくとも第一の遮蔽部材と第二の遮蔽部材を含む複数の遮蔽部材が前記経路を遮るように設けられており、
前記第一の遮蔽部材と前記第二の遮蔽部材は、前記経路に沿う方向において互いに離間されており、前記設置空間に前記第二コネクタが設置されたときに前記経路から取り除かれることを特徴とする光コネクタ装置。
前記第二コネクタにおいて、前記第一の遮蔽部材と当接する前記第二コネクタの少なくとも一部は、前記経路に沿う方向において、前記照射光を受光する前記受光手段の受光部分よりも前記第一遮蔽部材の近くに配置されている、請求項1乃至5のいずれかに記載の光コネクタ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光コネクタ装置によれば、遮光性及び防塵性を向上させ、更に、光コネクタ装置の小型化を図ることができる。しかしながら、この従来の光コネクタ装置には、遮蔽部材として機能するシャッタが一つしか設けられていない。本発明は、遮蔽部材を複数設けることによって光コネクタ装置の機能、例えば、遮光性を向上させることができる光コネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様による光コネクタ装置は、第一コネクタと第二コネクタを有する光コネクタ装置であって、前記第一コネクタには、照射手段を着脱自在に設けることができ、前記第二コネクタには、前記照射手段を利用して照射された照射光を受光する受光手段を着脱自在に設けることができ、前記第一コネクタには、前記第二コネクタを設置することができる設置空間が設けられており、前記第一コネクタに設けた前記照射手段から前記第二コネクタに設けた前記受光手段に至る、前記設置空間における前記照射光の経路途中に、少なくとも第一の遮蔽部材と第二の遮蔽部材を含む複数の遮蔽部材が前記経路を遮るように設けられており、前記第一の遮蔽部材と前記第二の遮蔽部材は、前記経路に沿う方向において互いに離間されており、前記設置空間に前記第二コネクタが設置されたときに前記経路から取り除かれることを特徴として有する。
この態様の光コネクタ装置によれば、遮蔽部材を複数設けることによって光コネクタ装置の遮光性や防塵性を向上させることができる。
【0006】
上記態様の光コネクタ装置において、前記第一の遮蔽部材と前記第二の遮蔽部材は、異なるタイミングで前記経路から取り除かれるのが好ましい。
この態様の光コネクタ装置によれば、第一の遮蔽部材又は第二の遮蔽部材のいずれか一方が誤って取り除かれた場合であっても、他方の遮蔽部材によって照射手段で照射された光の漏洩を確実に防止することができる。
上記態様の光コネクタ装置において、前記第一の遮蔽部材は、前記第二の遮蔽部材よりも先に前記経路から取り除かれてもよい。
【0007】
上記態様の光コネクタ装置において、前記第一の遮蔽部材と前記第二の遮蔽部材はそれぞれ、前記第一コネクタの一方の内壁と他方の内壁に設けられ、前記一方の内壁と前記他方の内壁は、前記経路に沿う方向と直交する方向において互いに対面しているのが好ましい。
この態様の光コネクタ装置によれば、照射光の経路に沿って第一の遮蔽部材と第二遮蔽部材を配置するにも拘わらず、それらを互いにより近接させた状態で配置することが容易となり、結果として、光コネクタ装置の小型化を図ることができる。
【0008】
上記態様の光コネクタ装置において、前記第一の遮蔽部材は、前記第二コネクタの少なくとも一部との当接を通じて、前記第一コネクタの一方の内壁に接近する方向に回動し、前記第二の遮蔽部材は、前記第二コネクタの少なくとも一部との当接を通じて、前記第二コネクタと同じ方向に移動するとともに、前記第一コネクタの他方の内壁に接近する方向に回動するのが好ましい。
この態様の光コネクタ装置によれば、第一の遮蔽部材と第二の遮蔽部材が互いに近接した状態で配置されている場合、第一の遮蔽部材と第二の遮蔽部材を互いに接近する方向に回動させると、遮蔽部材同士が衝突してしまうおそれがあるが、第二の遮蔽部材については、第一の遮蔽部材と接近する方向に回動させるだけでなく、第二コネクタと同じ方向に移動させることによって、そのような衝突を防止することができる。
【0009】
上記態様の光コネクタ装置において、前記第二コネクタにおいて、前記第一の遮蔽部材と当接する前記第二コネクタの少なくとも一部は、前記経路に沿う方向において、前記照射光を受光する前記受光手段の受光部分よりも前記第一遮蔽部材の近くに配置されているのが好ましい。
この態様の光コネクタ装置によれば、受光手段の受光部分を第一の遮蔽部材と当接させることなく、第一の遮蔽部材を取り除くことができるため、受光部分が第一の遮蔽部材との接触によって汚れるおそれが減り、受光部分を清浄な状態に保つことが容易となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、遮蔽部材を複数設けることによって光コネクタ装置の機能、例えば、遮光性を向上させることができる光コネクタ装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一つの好適な実施形態について説明する。以下においては、説明の便宜のために本発明の好適な実施形態のみを示すが、勿論、これによって本発明を限定しようとするものではない。
【0013】
図1は、本発明の一つの好適な実施形態による光コネクタ装置の外観斜視図である。光コネクタ装置1は、第一コネクタ20と第二コネクタ90を含む。第一コネクタは、例えば、レセプタクルコネクタ20であってもよく、第二コネクタは、例えば、プラグコネクタ90であってもよい。
【0014】
レセプタクルコネクタ20は外部ハウジング30を含み、外部ハウジング30は更に、フランジ32と、その前側に設けた基部31と、その後側に設けた光モジュール収容部33を含む。基部31と光モジュール収容部33は、フランジ32を挟んで互いに対向配置されている。フランジ32には、螺子穴32aが設けられており、これらの螺子穴32aを利用して、レセプタクルコネクタ20を筐体(図示されていない)に螺子止め等することができる。
【0015】
基部31は、全体として略筒状に形成されており、略矩形断面を有する。基部31の内部には、プラグコネクタ90を設置する設置空間36が設けられている。設置空間36は、基部31を貫通し、更に、フランジ32の内部にまで及ぶ。基部31の前側に、設置空間36への挿入口31bが設けられている。この挿入口31bを通じて、プラグコネクタ90は、設置空間36に図示矢印「a1」方向にて挿入され、或いは、そこから図示矢印「a2」方向にて抜去される。設置空間36の底部中央には、プラグコネクタ90を設置空間36内へ案内するための案内用凸部31aがプラグコネクタ90の挿抜方向「a」に沿って設けられている。また、設置空間36の上部には、「a」方向と実質的に直交する「b」方向において可動とされたロックレバー21が設けられている。ロックレバー21は、板バネ23の働きによって「b1」方向に常時付勢されている。
【0016】
プラグコネクタ90は、全体として略直方形状を有し、また、レセプタクルコネクタ20の設置空間36の断面形状に対応して略矩形断面を有する。プラグコネクタ90の天井面には、上方に突出した平面視矩形の係止凸部91が設けられおり。設置空間36にプラグコネクタ90が設置されたときに、ロックレバー21と協働してプラグコネクタ90の設置状態をロックすることができるようになっている。
【0017】
プラグコネクタ90の後側に、多角形状の挿入口95aが設けられている。挿入口95aは、2個の正方形を互いに45度ずらした状態で重ねた形状を有する。被挿着部材(図示されていない)は、この挿入口95aを通じて挿着空間95に「a1」方向にて挿着される。被挿着部材には光ファイバを固定することができ、光ファイバを固定した被挿着部材を挿着空間95に挿着させることによって光ファイバをフェルール11に設置することができる。被挿着部材の断面形状は、挿入口95aを構成する正方形の一方又は双方と対応する形状とされており、挿着空間95に対する被挿入部材の向きを容易に決定することができるようになっている。
【0018】
図2は、
図1に示したレセプタクルコネクタ20の前側斜視図である。レセプタクルコネクタ20に設けた設置空間36には、レセプタクルコネクタ20側に着脱自在に設けた照射手段からの光の射出口37aを形成するスリーブ37が設けられている。スリーブ37の射出口37aは、照射手段を利用して照射された光の経路の一部を構成し得る。遮蔽ユニット70の一部として構成された遮蔽部材74は、この射出口37aに蓋をした状態で設けることができる。更に、この照射光の経路を遮る位置に遮蔽部材65を設けることもできる。本実施形態ではこのように、少なくとも2つの遮蔽部材を照射光の経路を遮るように設けることによって光コネクタ装置1の遮光性を向上させ、更に、遮蔽部材74によって光コネクタ装置1の防塵性を向上させている。
【0019】
図3に、
図1に示したプラグコネクタ90の前側斜視図を示す。プラグコネクタ90の前面91cには、フェルール11が露出した状態で設けられており、フェルール11の周囲には、プラグコネクタ90が設置空間36に挿入される際にレセプタクルコネクタ20のスリーブ37(
図2参照)が挿入される挿入空間97が形成されている。更に、挿入空間97の下側であって、プラグコネクタ90の前面91cより後側に引っ込んだ位置に、窪み部93が設けられている。窪み部36の一部93aは、プラグコネクタ90を設置空間36に挿入する際に、遮蔽ユニット70の一部と当接する当接面として使用することができる。同様に、プラグコネクタ90の前面91cは、プラグコネクタ90を設置空間36に挿入する際に遮蔽部材65との当接面として使用することができる。
【0020】
プラグコネクタ90の底部中央に、設置空間36に設けた案内用凸部31aに対応して案内用凹部92が設けられている。プラグコネクタ90をレセプタクルコネクタ20の設置空間36に対して挿抜する際、これら案内用凸部31aと案内用凹部92を適合させることにより、レセプタクルコネクタ20をプラグコネクタ90に対して正しい向きで挿抜することができる。設置空間36への挿入をスムースにするため、プラグコネクタ90の底部前面に、テーパ94を形成してもよい。
【0021】
図4は、レセプタクルコネクタ20の中心線断面図である。レセプタクルコネクタ20は、外部ハウジング30に加え、この外部ハウジング30の内部に収容される内部ハウジング50を含む。内部ハウジング50は、光モジュールの一部を構成する。光モジュールには、内部ハウジング50の他、内部ハウジング50によって支持されるフェルール51、フェルール保持部53、及びフェルール保持部53をスリーブ37側に付勢するバネ52等が含まれる。光モジュールは、外部ハウジング30の一部である光モジュール収容部33に収容される。光モジュール収容部33は、全体として略筒状に形成されており、その内部には光モジュールを収容するための収容空間57が設けられている。収容空間57は、内部ハウジング50に形状に対応して矩形断面を有していてもよい。光モジュール収容部33の後端には、該光モジュール収容部33の端部側周縁を取り囲んだ状態でストッパ60を取り付けることができる。これにより、内部ハウジング50の後端面をストッパ60の環状フランジ部60aによって閉じて、光モジュール収容部33からの内部ハウジング50の抜け落ちを防止することができる。
【0022】
遮蔽部材65は、設置空間36の内壁、例えば、上側の内壁36aに設けてもよい。
図5に、遮蔽部材65とこれに取り付けた巻きバネ66を斜視図で示す。遮蔽部材65は、
図5に示す状態で内壁36aの所定の位置に軸支される。巻きバネ66の一方の端部66bは、遮蔽部材65に、他方の端部66aは、レセプタクルコネクタ20の上側の内壁36aに、それぞれ固定される。巻きバネ66の働きにより、遮蔽部材65は、軸ピン(図示されていない)を中心に、図示矢印「c1」方向に、換言すれば、設置空間36の内壁36aから離れる方向に常時付勢される。この結果、遮蔽部材65は、プラグコネクタ90の一部と当接するなどして力を加えられない限り、
図5や
図4に示す姿勢に維持され、スリーブ37の射出部37aから照射光が誤って外部に漏洩することは防止される。遮蔽部材65は、プラグコネクタ90の一部と当接させることにより、巻きバネ66の力に抗して図示矢印「c2」方向、換言すれば、内壁36aに接近する方向に回動させることが可能である。
【0023】
遮蔽部材74は、設置空間36の内壁、例えば、下側の内壁36bに設けてもよい。このように、遮蔽部材65と遮蔽部材74を、設置空間36におけるプラグコネクタ90の挿抜方向「a」と直交する「b」方向において互いに対面した内壁に配置することにより、それらをより近接させた状態で配置することが容易となる。この結果、光コネクタ装置を特に挿抜方向「a」においてより小型化することができる。
【0024】
遮蔽部材74が一部を構成する遮蔽ユニット70は、「a」方向に移動可能な状態でレセプタクルコネクタ20の内壁36bに設けた収容空間38に収容される。収容空間38は、「a」方向にて連通した窪み38aと窪み38bから成る。窪み38aは、外部ハウジング30の基部31とフランジ32の底部に設けた断面矩形の窪み、一方、窪み38bは、内部ハウジング50の前側から後側に向って設けられた断面矩形の窪みである。
【0025】
図6、
図7に、遮蔽ユニット70とその周辺部材であるバネ80を斜視図で示す。遮蔽ユニット70は、バネ80の働きにより、収容空間38において「a2」方向に常時付勢されている。
図6は、遮蔽ユニット70が収容空間38にて「a1」方向に移動する前の状態、つまり、
図4に示す状態を、
図6は、遮蔽ユニット70が収容空間38にて「a1」方向に移動した後の状態、例えば、プラグコネクタ90の一部と当接するなどして遮蔽ユニット70がバネ80に抗して移動したときの状態を、それぞれ示す。
【0026】
遮蔽ユニット70は、遮蔽部材74に加え、遮蔽部材74を図示矢印「d1」方向に常時付勢する押えバネ79、この押えバネ79をユニット本体71に支持する軸ピン76、更に、これらを支持するユニット本体71を含む。ユニット本体71の後方部分には、バネ80を支持するため、中央板73の左右各側にそれぞれ支柱75が設けてある。
【0027】
ユニット本体71の前方部分は枠体状に形成されている。枠体状に形成することにより、押えバネ79の力に抗して遮蔽部材74が図示矢印「d2」方向、換言すれば、設置空間36の内壁36bに接近する方向に回動したときに、遮蔽部材74を退避させるための逃げ空間78が設けられている。
【0028】
ユニット本体71の前端は、プラグコネクタ90の一部と当接させる当接部72として使用される。当接部72は、レセプタクルコネクタ20の設置空間36に突出している。当接部72には、下方に向う三日月状の切欠72aが設けられている。切欠72aを設けることにより、プラグコネクタ90の一部と当接部72との当接面積を大きく確保しつつも、遮蔽ユニット70が収容空間38において「a1」方向に移動したときに当接部72が設置空間36に設けたスリーブ37と衝突するのを防止することができる。
【0029】
遮蔽部材74は、押えバネ79の働きにより「d1」方向に常時付勢された状態にある。このため、遮蔽ユニット70が収容空間38において「a1」方向に移動する前、更に言えば、遮蔽部材74がスリーブ37の前端37b等との当接を通じて「d2」方向に付勢されていないとき、遮蔽部材74は、
図4や
図6に示す立設姿勢を維持する。従って、スリーブ37の射出口37aを実質的に閉塞させた状態とすることができる。
一方、遮蔽ユニット70が収容空間38において「a1」方向に移動したとき、遮蔽部材74は、スリーブ37の前端37b等との当接を通じて、
図6に示すように、押えバネ79に抗して「d2」方向に回動して逃げ空間78に退避する。この結果、スリーブ37の射出口37aは開口されることになる。
【0030】
図4に加え、
図8乃至
図10をも参照して、遮蔽部材の働きを説明する。これらの図は、
図4に対応する断面図であって、プラグコネクタ90が設置空間36に挿入されたときの遮蔽部材の状態を段階的に示したものである。
図8は、挿入の初期状態を、
図9は、中間状態を、
図10は、挿入完了状態を、それぞれ示す。尚、
図8の初期状態にあるとき、遮蔽ユニット70は、
図6に示す状態に、また、
図10の挿入完了状態にあるとき、遮蔽ユニット70は、
図7に示す状態にある。
【0031】
ここでは一例として、照射手段をレセプタクルコネクタ20に、受光手段をプラグコネクタ90に、それぞれ設けた場合、換言すれば、レセプタクルコネクタ20を照射側、プラグコネクタ90を受光側とした場合の遮蔽部材の働きを説明する。その他の態様については同様に考えることができるだろう。
【0032】
レセプタクルコネクタ20に設ける照射手段には、例えば、フェルール51や、光ファイバ(図示されていない)を含めることができる。勿論、これに限らず、レーザ照射装置等、その他利用可能な照射手段を利用することもできる。光ファイバは、内部ハウジング50に設けた挿通孔56や、フェルール保持部53に設けた挿通孔53aを通じて、フェルール51の微細孔51bに挿通される。照射手段を含む内部ハウジング50は、光モジュールとして、レセプタクルコネクタ20の光モジュール収容部33に収容させることができる。
【0033】
プラグコネクタ90に設ける受光手段には、例えば、フェルール11や、光ファイバ(図示されていない)を含めることができる。勿論、これに限らず、反射鏡等、その他利用可能な受光手段を利用することもできる。光ファイバは、プラグコネクタ90に設けた挿入口95aや、フェルール保持部96に設けた挿通孔96aを通じて、フェルール11の微細孔11bに挿通される。フェルール11は、フェルール保持部96や、フェルール保持部96をプラグコネクタ90の内部フランジ98側に付勢するバネ12等とともに光モジュールを構成し得る。光モジュールは、プラグコネクタ90とともに、レセプタクルコネクタの挿抜空間36に配置することができる。
【0034】
遮蔽部材65と遮蔽部材74はともに、レセプタクルコネクタ20側の照射手段からプラグコネクタ90側の受光手段に至る、設置空間36における照射光の経路に沿って、例えば、フェルール37の射出口37aや、フェルール37の内部に位置する中央壁39の貫通穴39a等を通る経路に沿う方向、即ち、「a」方向において、互いに離間されている。
【0035】
光コネクタ装置1の使用時には、レセプタクルコネクタ20に着脱自在に設けた照射手段からプラグコネクタ90に着脱自在に設けた受光手段に対して光が照射されるが、
図4に示すように、プラグコネクタ90が設置空間36に未だ挿入されていないとき、遮蔽部材65と遮蔽部材74はともに、設置空間36における照射光の経路途中に配置されている。従って、本構成によれば、照射光の漏洩を少なくとも2個の遮蔽部材で二重に防止することができ、レセプタクルコネクタ20からの照射光が、プラグコネクタ90を通じて外部に漏れ出ることはない。
【0036】
図8に示す初期状態では、プラグコネクタ90の前面91cは、遮蔽部材65と正に衝突する状態にあるが、
図4に示す状態と同様に、未だ、当接はしていない。従って、遮蔽部材65と遮蔽部材74は双方ともに、設置空間36における照射光の経路途中から取り除かれておらず、レセプタクルコネクタ20に設けた照射手段からの照射光が外部に漏れ出すことはない。尚、このとき、ロックレバー21の前端部21aは、プラグコネクタ90の上方に突出した係止突部91の前面91aと正に衝突する状態にある。
【0037】
これに対し、
図9に示す中間状態では、ロックレバー21の前端部21aは、プラグコネクタ90の係止突部91の前面に設けた傾斜91aによって案内されて係止突部91の上部に乗り上げた状態となる。また、このとき、プラグコネクタ90の前面91cは遮蔽部材65と当接し、この当接を通じて遮蔽部材65はレセプタクルコネクタ20の内壁36aに接近する方向「c2」に回動され、例えば、内壁36aに設けた逃げ空間35に収容される等して設置空間36における照射光の経路途中から取り除かれる。一方、プラグコネクタ90の前面91cに設けた窪み部93は、遮蔽ユニット70の当接部72と正に当接した状態にあるが、未だ、遮蔽ユニット70を移動させるまでには至っていない。従って、少なくとも遮蔽部材74は、設置空間36における照射光の経路途中から取り除かれておらず、レセプタクルコネクタ20に設けた照射手段からの照射光が外部に漏れだすことはない。このように、本実施形態によれば、遮蔽部材65と遮蔽部材74は、異なるタイミングで照射光経路から取り除かれるため、いずれか一方の遮蔽部材が誤って取り除かれた場合であっても、他方の遮蔽部材によって光の漏洩を確実に防止することができる。
【0038】
尚、
図8、
図9によく示されているように、プラグコネクタ90において、遮蔽部材65と当接するプラグコネクタ90の当接面91cは、照射光を受光する受光手段の受光部分であるフェルール11の先端端面11aよりも、遮蔽部材65の近くに配置されているため、受光手段の受光部分11aを遮蔽部材65と当接させることなく、遮蔽部材65を取り除くことができる。この結果、受光部分11aが遮蔽部材65との接触によって汚れるおそれが減り、受光部分11aを清浄な状態に保つことが容易となる。
【0039】
図10に示す挿入完了状態では、ロックレバー21の前端部21aは、係止突部91を完全に乗り越えてプラグコネクタ90の係止突部91の後面91bと突き合わされそこに係止される。この結果、プラグコネクタ90は、レセプタクルコネクタ20の設置空間36にロックされた状態となる。このロック状態は、ロックレバー21を板バネ23に抗して「b1」方向に沿って押し下げない限り、解除されることはない。
【0040】
また、このとき、プラグコネクタ90は、前面91cに設けた窪み部93の当接面93aにおいて遮蔽ユニット70の当接部72と当接し、この当接を通じて、遮蔽ユニット70や遮蔽部材74を、プラグコネクタ90の挿入方向「a1」と同じ方向に沿って収容空間38内をスライド移動させ、更に、遮蔽部材74を、スリーブ37の先端37b等との当接を通じて、レセプタクルコネクタ20の内壁36b、或いは、遮蔽ユニット70の逃げ空間78に接近する方向「d2」(
図9等参照)に回動させる。この結果、遮蔽部材74は、設置空間36における照射光の経路途中から取り除かれる。よって、照射手段と受光手段の間で、光の送受信を行うことができる。
【0041】
ここで、遮蔽部材74が回動する方向「d2」と、遮蔽部材65が回動する方向「c2」は、互いに接近する方向であることに注意していただきたい。遮蔽部材65と遮蔽部材74が互いに近接した状態で配置されている場合、これらを互いに接近する方向に回動させると、遮蔽部材同士が衝突してしまうおそれがあるが、遮蔽部材74については、遮蔽部材65と接近する方向に回動させるだけでなく、プラグコネクタ90と同じ方向に移動させることによって、そのような衝突を防止する構造となっている。
【0042】
挿入完了状態では、遮蔽部材65、74ともに設置空間36における照射光の経路途中から取り除かれるため、レセプタクルコネクタ20に設けた照射手段とプラグコネクタ90に設けた受光手段を近接させた状態とすることができる。この結果、プラグコネクタ90に設けたフェルール11の前側部分を取り囲む挿入空間97に、レセプタクルコネクタ20に設けたスリーブ37の一部が挿入されるとともに、フェルール11の先端面11aを含む前側部分が、スリーブ37に挿入され、フェルール11の前面11aと、レセプタクルコネクタ20に設けたフェルール51の前面51aが、レセプタクルコネクタ20の中央壁39を介して互いに付き合わされ、中央壁39に設けた貫通穴39aを通じて、照射手段(フェルール11等)から照射された照射光は、受光手段(フェルール51等)によって受光されることになる。
【0043】
本発明の更に別の態様、特徴及び効果は、本発明を実施するよう意図された最良の態様を含めて、多数の特定の実施形態及び実施例を示すだけで、以下の詳細な説明から容易に明らかとなろう。又、本発明は、他の及び異なる実施形態で構成することもでき、そしてその多数の細部は、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、種々の明らかな観点において変更することができる。従って、図面及び説明は、例示に過ぎず、これに限定されるものではない。
【0044】
例えば、上に説明した実施形態では、レセプタクルコネクタ20を照射側、プラグコネクタ挿入側を受光側とした例を説明したが、これに限らず、レセプタクルコネクタ20を受光側、プラグコネクタ挿入側を照射側としてもよい。また、レセプタクルコネクタ20ではなく、プラグコネクタ90に複数の遮蔽部材を設けてもよく、或いは、プラグコネクタとレセプタクルコネクタの双方にそれぞれ遮蔽部材を設けてもよい。本発明はこれらの変形を含む。
【0045】
また、本実施形態では、レセプタクルコネクタ20にプラグコネクタ90を挿入することによって設置空間36に設置するものとしたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、レセプタクルコネクタ20の上方を開放し、開放された上方からプラグコネクタ90を接近させることにより設置する構造等としてもよい。
更に、本実施形態では、遮蔽部材を2個設ける事にしているが、勿論、3個以上の遮蔽部材を設けてもよい。