特開2017-227828(P2017-227828A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-227828(P2017-227828A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】微小光回路および光モード変換器
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/122 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   G02B6/122 311
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-125575(P2016-125575)
(22)【出願日】2016年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】石倉 徳洋
(72)【発明者】
【氏名】阪本 真一
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147AB21
2H147AB24
2H147BB02
2H147BB09
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14B
2H147FC01
2H147FD20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】互いに高さが異なる2つ微小光導波路を有し、これら2つの微小光導波路同士の光接続効率が高い微小光回路、および、この微小光回路を備えた光モード変換器を提供する。
【解決手段】第一微小光導波路2及び第一微小光導波路が接続される境界面3eを有する第二微小光導波路3を備える微小光回路1であって、平面視において、第二微小光導波路の中心線と境界面との交点は、第二微小光導波路の側面における第一微小光導波路との2つの接続点を通る第一直線と、第二微小光導波路を横断する第二直線と、の間の領域に存在している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一底面と、前記第一底面から第一の高さにある第一表面と、前記第一底面と前記第一表面とに略直交する第一側面及び第二側面と、を有する第一微小光導波路と、
第二底面と、前記第二底面から前記第一の高さよりも高い第二の高さにある第二表面と、前記第二底面と前記第二表面とに略直交する第三側面及び第四側面と、前記第一微小光導波路が接続される境界面と、を有する第二微小光導波路と、
を備える微小光回路であって、
前記第一側面は、平面視において、第一接続点で前記第三側面に接続し、
前記第二側面は、平面視において、第二接続点で前記第四側面に接続し、
平面視において、前記第三側面および前記第四側面から等距離にある中心線と前記境界面との交点は、前記第一接続点および前記第二接続点を通る第一直線と、前記第一微小光導波路を横断しないように前記第二微小光導波路を横断する第二直線と、の間の領域に存在している、微小光回路。
【請求項2】
前記境界面の全ては、平面視において、前記第一直線と前記第二直線と、の間の領域に存在している、請求項1に記載の微小光回路。
【請求項3】
前記境界面の全ては、平面視において、前記第一直線と、前記中心線と前記境界面との交点を通る第三直線と、の間の領域に存在している、請求項1又は2に記載の微小光回路。
【請求項4】
前記境界面は、前記中心線からの前記境界面の距離が前記境界面のうちの前記第二直線s2に最も近い点Bに向かって単調に減少する区間を有し、
前記区間は前記点Bを含み、
前記区間において、前記距離の減少の割合は前記点Bに近いほど大きい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の微小光回路。
【請求項5】
前記境界面は、平面視において、前記中心線に対して対称である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の微小光回路。
【請求項6】
前記第三側面および前記第四側面間の距離は、実質的に一定である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の微小光回路。
【請求項7】
前記第三側面と前記第四側面との距離は、前記第一微小光導波路から離れるにしたがって増加又は減少している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の微小光回路。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の微小光回路と、
前記微小光回路を覆うクラッドと、
を備える光モード変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微小光回路および光モード変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
光回路の高密度集積のために、サブミクロンスケールの微小光導波路を含む微小光回路が使用される。
一般に、微小光導波路におけるコアとクラッドとの屈折率差は大きいため、微小光導波路内を伝搬する光は微小領域に強固に閉じ込められる。閉じ込めの指標であるモード径は微小光導波路において1μmを大きく下回る。このような小さなモード径の微小光導波路は、光回路の高密度集積において非常に優位である。
【0003】
一方で、微小光導波路と光ファイバとの接続においては、両者のモード径の差を補う必要がある。微小光導波路のモード径は、通常の光ファイバのモード径10μmの1/10以下である。
【0004】
上述したモード径の差を補う方法として、T. Shoji, T. Tsuchizawa, T. Watanabe, K. Yamada, and H. Morita, “Low loss mode size converter from 0.3 μm square Si wire waveguides to singlemode fibres,” Electronics Letters, vol. 38, no. 25, pp. 1669-1670, Dec. 2002は、カットオフ条件以下の寸法を有する光導波路において、光モードをコアからクラッドに染み出させて、当該光導波路のモード径を拡げる構造を開示している。
【0005】
モード径を拡げる目的では光導波路の寸法は可能な限り小さいほうがよい。特に、光導波路の高さが小さいほど、光導波路の高さ方向における電界振幅成分が強いTMモードについてより高効率な光接続を実現できる。しかしながら、光導波路の高さをモード径の変換のみを考慮して決定すると、他の光部品との整合が困難になることがある。
そこで、高さが段階的に変化する光導波路の構造が検討されている。
【0006】
特許文献1には、互いに寸法の異なる入力端及び出力端を有するスポットサイズ変換器が開示されている。このスポットサイズ変換器では、互いに高さが異なり、幅が連続的に変化する2つ光導波路が用いられている。このような構造によれば、TE偏波およびTM偏波の両方についてモード変換損失を低減できると記載されている。
【0007】
特許文献2には、シリコンからなる第一のコアと、ポリマーからなり第一のコアを覆うように配置された第二のコアと、これらコアを覆うオーバークラッドと、を有する光モジュールが開示されている。このような構造によれば、オーバークラッドの屈折率を調整することにより、光ファイバとの接続損失を低減できると記載されている。
【0008】
非特許文献1には、互いに高さが異なる2つの光導波路を有するモード径変換器が開示されている。このような構成によれば、他の光部品(一端にあるSiO導波路、及び他端にあるSi導波路)との整合をとることができる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2015−191029号公報
【特許文献2】特開2004−133446号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】QING FANG; TSUNG-YANG LIOW; JUN FENG SONG; CHEE WEI TAN; MING BIN YU; GUO QIANG LO; DIM-LEE KWONG: “Suspended optical fiber-to-waveguide mode size converter for silicon photonics”, OPTICS EXPRESS, vol. 18, no. 8, pages 7763-7769, (2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に開示されているスポットサイズ変換器では、モード変換損失の偏波依存性を低減すために、光導波路の高さを特定の値に設定する必要がある。したがって、光導波路に接続される光部品の設計自由度を損なう場合がある。
【0012】
特許文献2に開示されている光モジュールでは、シリコンからなる微細なシリコン線を露出させる必要がある。したがって、機械的強度の点で問題となることがある。もしくは、シリコンからなるコアとポリマーからなるコアを重ねる必要がある。このような異種材料の組合せた構造では、製造工程の煩雑さが問題となる場合がある。
【0013】
非特許文献1に開示されている光モジュールでは、光導波路の高さが光の伝搬方向に直交する境界面で不連続に変化している。このため、光導波路の境界面におけるTE偏波およびTM偏波の間の大きな損失の差が問題となる場合がある。
【0014】
本発明は、互いに高さが異なる2つ微小光導波路を有し、これら2つ微小光導波路同士の光接続効率が高い微小光回路、および、この微小光回路を備えた光モード変換器の提供を一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)本発明の一態様に係る微小光回路は、第一底面と、前記第一底面から第一の高さにある第一表面と、前記第一底面と前記第一表面とに略直交する第一側面及び第二側面と、を有する第一微小光導波路と、第二底面と、前記第二底面から前記第一の高さよりも高い第二の高さにある第二表面と、前記第二底面と前記第二表面とに略直交する第三側面及び第四側面と、前記第一微小光導波路が接続される境界面と、を有する第二微小光導波路と、を備え、前記第一側面は、平面視において、第一接続点で前記第三側面に接続し、前記第二側面は、平面視において、第二接続点で前記第四側面に接続し、平面視において、前記第三側面および前記第四側面から等距離にある中心線と前記境界面との交点は、前記第一接続点および前記第二接続点を通る第一直線と、前記第一微小光導波路を横断しないように前記第二微小光導波路を横断する第二直線と、の間の領域に存在している。
【0016】
(2)上記(1)の微小光回路において、前記境界面の全ては、平面視において、前記第一直線と前記第二直線と、の間の領域に存在していてもよい。
(3)上記(1)又は(2)の微小光回路において、前記境界面の全ては、平面視において、前記第一直線と、前記中心線と前記境界面との交点を通る第三直線と、の間の領域に存在していてもよい。
(4)上記(1)〜(3)の微小光回路において、前記境界面は、前記中心線からの前記境界面の距離が前記境界面のうちの前記第二直線s2に最も近い点Bに向かって単調に減少する区間を有し、前記区間は前記点Bを含み、前記区間において、前記距離の減少の割合は前記点Bに近いほど大きくてもよい。
(5)上記(1)〜(4)の微小光回路において、前記第三側面および前記第四側面間の距離は、実質的に一定であってもよい。
(6)上記(1)〜(5)の微小光回路において、前記第三側面と前記第四側面との距離は、前記第一微小光導波路から離れるにしたがって増加又は減少していてもよい。
(7)本発明の一態様に係る光モード変換器は、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の微小光回路と、前記微小光回路を覆うクラッドと、を備える。
【発明の効果】
【0017】
上記本発明のいくつかの態様によれば、互いに高さが異なる2つ微小光導波路を有し、これら2つ微小光導波路同士の光接続効率が高い微小光回路、および、この微小光回路を備えた光モード変換器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態に係る微小光回路および光モード変換器を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示す微小光回路を模式的に示す平面図である。
図3図1に示す微小光回路の中心線に沿う縦断面を模式的に示す断面図である。
図4】第一変形例に係る微小光回路を模式的に示す平面図である。
図5】第二変形例に係る微小光回路を模式的に示す平面図である。
図6】第三変形例に係る微小光回路を模式的に示す平面図である。
図7A】一実施形態に係る微小光回路及び従来例に係る微小光回路のTEモード光及びTMモード光に対する透過率を示すグラフである。
図7B】一実施形態に係る微小光回路及び従来例に係る微小光回路のTEモード光及びTMモード光に対する透過率を示すグラフである。
図7C】一実施形態に係る微小光回路及び従来例に係る微小光回路のTEモード光及びTMモード光に対する透過率を示すグラフである。
図8】一実施形態に係る微小光回路におけるTEモード光の分布およびTMモード光の分布の変化を示すシミュレーション画像である。
図9】従来例に係る微小光回路におけるTEモード光の分布およびTMモード光の分布の変化を示すシミュレーション画像である。
図10】従来例に係る微小光回路を模式的に示す平面図である。
図11】従来例に係る微小光回路の中心線に沿う縦断面を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る微小光回路および光モード変換器を、添付図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、一実施形態に係る微小光回路および光モード変換器を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示す微小光回路の上面を示す平面図である。図3は、図1に示す微小光回路の中心線に沿う縦断面を示す断面図である。
【0021】
図1図3を参照して、微小光回路1は、第一微小光導波路2と第二微小光導波路3とを備えている。第一微小光導波路2は、第一底面2bと、第一底面2bから第一の高さh1にある第一表面2aと、第一底面2bと第一表面2aとに略直交する第一側面2c及び第二側面2dと、を有している。
【0022】
第二微小光導波路3は、第二底面3bと、第二底面3bから第一の高さh1よりも高い第二の高さh2にある第二表面3aと、第二底面3bと第二表面3aとに略直交する第三側面3c及び第四側面3dと、第一微小光導波路2が接続される境界面3eと、を有している。
第一側面2cは、平面視において、第一接続点c1で第三側面3cに接続している。第二側面2dは、平面視において、第二接続点c2で第四側面3dに接続している。
【0023】
図1図3に示す微小光回路1において、第一表面2a、第二表面3a、第一底面2b、及び第二底面3bは互いに略平行であり、境界面3eは第一表面2a(第二表面3a)及び第一底面2b(3b)に略垂直である。しかしながら、これら面の関係は、後述する効果が得られる限りにおいて、適宜に変更できる。
【0024】
第一微小光導波路2および第二微小光導波路3は、同種の材料から形成され、たとえばシリコン等の半導体材料により形成される。たとえば、シリコン(Si)−シリカ(SiO)−シリコン(Si)からなるSOI(Silicon On Insulator)基板の最上層のシリコン(Si)層を加工して、シリカ上に第一微小光導波路2および第二微小光導波路3、を一体に且つ同じプロセスで形成することができる。シリコンの加工には、エッチング等の公知の方法を用いることができる。
第一微小光導波路2およびその周囲のクラッド5からなる光導波路は、カットオフ条件を満たさない微小光導波路である。換言すれば、第一微小光導波路2の寸法よりも大きなモード径を有する光導波路である。たとえば、第一微小光導波路2をシリコン、クラッド5を石英で形成し、波長1.55μmの光導波に用いる場合、第一微小光導波路2の幅(図のX方向における寸法)は、たとえば、0.2μm以下にすればよい。
【0025】
微小光回路1の平面視において、第三側面3cおよび第四側面3dから等距離にある中心線(中心軸)Cと境界面3eとの交点Kは、第一接続点c1および第二接続点c2を通る第一直線s1と、第一微小光導波路2を横断しないように第二微小光導波路3を横断する第二直線s2と、の間の領域(ただし、第一直線s1上を除く)に存在している。図2の例に示されているように、境界面3eの全ては、平面視において、第一直線s1と第二直線s2と、の間の領域に存在していてもよい。さらに、境界面3eの全ては、平面視において、第一直線s1と、交点Kを通る第三直線s3と、の間の領域に存在していてもよい。
図2の例において、第一微小光導波路2および第二微小光導波路3は、境界面3eの近傍において、幅w1を有している。境界面3eは、接続点c1及びc2から、第一直線s1に沿って距離w2延びている。距離(幅)w2は実質的に0であってもよい。
境界面3eの水平方向における中央部分は、奥行き方向(すなわち、図のZ方向)に向かって凹んでいる。図2に示すように、境界面3eの最も奥にある点Bは、中心線C上にあってもよい。
【0026】
図4図6を参照しながら、上述した微小光回路1のいくつかの変形例について説明する。上述した微小光回路1と同じ構造を有する要素については説明を省略する。
図4は、第一変形例に係る微小光回路10を模式的に示す平面図である。微小光回路10は、境界面3eの形状を除いて、微小光回路1と同様の構造を有している。
微小光回路10の境界面3eは、接続点c1及びc2から、第一微小光導波路2(すなわち、図の−Z方向)に向かって延びている。すなわち、境界面3eは、第三側面3c及び第四側面3dの近傍において、第一直線s1と第三直線s3との間の領域に存在していない。
境界面3eの最も奥にある点Bは、中心線Cからずれており、第二直線s2と第三直線s3との間の領域に存在している。
【0027】
図5は、第二変形例に係る微小光回路20を模式的に示す平面図である。微小光回路20は、境界面3eの形状を除いて、微小光回路1と同様の構造を有している。
微小光回路20の境界面3eは、接続点c1及びc2から、第一直線s1に沿って距離w2延びている。距離(幅)w2は実質的に0であってもよい。境界面3eの最も奥にある点Bは、中心線Cからずれており、第二直線s2と第三直線s3との間の領域に存在している。
【0028】
図6は、第三変形例に係る微小光回路30を模式的に示す平面図である。微小光回路30は、境界面3eの形状を除いて、微小光回路1と同様の構造を有している。
微小光回路20の境界面3eは、接続点c1及びc2から、第一直線s1に沿って距離w2延びている。距離(幅)w2は実質的に0であってもよい。
境界面3eの水平方向における中央部分は、奥行き方向(すなわち、図の+Z方向)に向かって凹んでいる。より具体的に、境界面3eは、中心線Cからの境界面3eの距離whが境界面3eのうちの第二直線s2に最も近い点Bに向かって単調に減少する区間Pを有している。区間Pは点Bを含んでいる。区間Pにおいて、距離whの減少の割合は点Bに近いほど大きい。換言すると、第一微小光導波路2と第二微小光導波路3とが混在する、境界面3eの近傍において、奥行き方向の単位長さに占める第二微小光導波路3の面積は境界面3eの中央近傍において単調に減少し、その現象の割合は境界面3eの中央近傍に近いほど大きい。
【0029】
なお、本図の例において、点Bは中心線C上にあり、境界面3eは中心線Cに対して対称であるが、上述したような区間Pを有する限り、点Bの位置及び境界面3eの対称性は適宜に変更できる。また、区間Pは、点Bを含む境界面3eの一部にあればよい。
区間Pにおける境界面3eの形状の一例として、2次以上の高次多項式で表される形状が挙げられる。
【0030】
上述したような微小光回路(微小光導波路)内を伝搬する光のモード(電界強度)は、中心軸(中心線C)に垂直な断面における中心において最も強く、中心から遠ざかるにつれて弱くなる。微小光回路1,10,20,及び30では、奥行き方向(図のZ方向)において中心線C近傍の境界面3eが第三側面3c及び第四側面3d近傍の境界面3eよりも奥にあるため、微小光導波路の中央近傍を伝搬する光モードのより強い光が境界面3eにおいて受ける変化を小さくすることができる。
【0031】
すなわち、上述した微小光回路1,10,20,及び30によれば、平面視において、中心線Cと境界面3eとの交点Kが第一直線s1と第二直線s2との間の領域(ただし、第一直線s1上を除く)に存在しているため、境界面3eにおいて第一微小光導波路2及び第二微小光導波路3内を伝搬する光のモード形状の変化を緩やかにできる。したがって、互いに高さの異なる2つの微小光導波路2及び3間において、高効率な(損失の少ない)モード径の変換を実現できる。
特に、微小光導波路2及び微小光導波路3の高さ方向(すなわち、図のY方向)に電界が振幅するTMモードについて、微小光導波路2及び微小光導波路3間の高さの差によるモード径の変化をより緩やかにできる。
【0032】
上述した微小光回路1,20,及び30では、境界面3eの全てが奥行き方向(図のZ方向)において接続点c1及びc2と同じかそれらよりも奥にあるため、微小光導波路内を伝搬する光が境界面3eにおいて受ける変化をより緩やかにすることができる。
すなわち、上述した微小光回路1,20,及び30によれば、境界面3eの全てが、平面視において、第一直線s1と第二直線s2と、の間の領域に存在しているため、境界面3eにおいて微小光導波路2及び微小光導波路3内を伝搬する光のモード径の変化をより緩やかにできる。したがって、互いに高さの異なる2つの微小光導波路2及び3間において、より高効率なモード径の変換を実現できる。
【0033】
上述した微小光回路1及び30では、境界面3eの最も奥にある点Bが中心線C上にあるため、微小光導波路の中心を伝搬する光モードの最も強い光が境界面3eにおいて受ける変化をより効果的に低減することができる。
すなわち、上述した微小光回路1及び30によれば、境界面3eの全てが、平面視において、第一直線s1と第三直線s3と、の間の領域に存在しているため、境界面3eにおいて微小光導波路2及び微小光導波路3内を伝搬する光のモード径の変化をさらに小さくできる。したがって、互いに高さの異なる2つの微小光導波路2及び3間において、さらに高効率なモード径の変換を実現できる。
【0034】
上述した微小光回路30では、境界面3eの近傍において、奥行き方向の単位長さに占める第二微小光導波路3の面積が境界面3eの中央近傍において単調に減少している。その減少の割合は境界面3eの中央近傍に近いほど大きい。このため、微小光導波路の中心を伝搬する光モードの最も強い光が境界面3eにおいて受ける変化をさらに小さくすることができる。したがって、互いに高さの異なる2つの微小光導波路2及び3間において、より高効率なモード径の変換を実現できる。
特に、図6に例示されているように、点Bが中心線C上にある場合、上述した効果が最も顕著に得られる。
【0035】
上述した微小光回路1,10,20,及び30において、第三側面3cと第四側面3dとが互いに略平行であってもよい。この場合、第二微小光導波路3内において、より損失の少ない光の伝搬を実現できる。
【0036】
上述した微小光回路1,10,20,及び30において、前記第三側面と前記第四側面との距離は、前記第一微小光導波路から離れるにしたがって増加又は減少していてもよい。この場合、第二微小光導波路2の幅を、第二微小光導波路3の端部に接続される光部品のモード径に応じて調整することができる。
【0037】
上述した微小光回路1及び30において、境界面3eが平面視において中心線Cに対して対称であってもよい。この場合、上述した高効率なモード径の変換を、微小光回路内においてより均一に実現できる。
なお、上述した微小光回路1,10,20,及び30において、第一直線s1は中心線Cと直交していてもよく、直交していなくてもよい。即ち、第一接続点c1を通って且つ中心線Cに直交する直線上に第二接続点c2があってもよく、なくてもよい。また、境界面3eは、第一直線s1と点Bとの間において、1または2以上の屈曲点を有していてもよい。
また、境界面3eは、点Bの代わりに、中心線Cに略直交する直線部を有していてもよい。たとえば図2において、境界面3eは、点Bの代わりに、中心線Cに略直交して且つ第三直線s3上にある直線部を有していてもよい。
【0038】
光モード変換器100は、図1に例示されるように、上述した微小光回路1と、微小光回路1を覆うクラッド5と、を備えている。光モード変換器100は、上述した微小光回路10,20,又は30を備えていてもよい。
【0039】
クラッド5には、第一微小光導波路2及び第二微小光導波路3の材料よりも屈折率の低い材料を用いることができる。たとえば、第一微小光導波路2及び第二微小光導波路3をシリコン(Si)により形成する場合、クラッド5をシリカ(SiO)により形成できる。
クラッド5の端面5eには、光ファイバのような光部品を接続できる。なお、クラッド5には、端面5eに接続される光部品の構造に応じて、適宜の構造体を付与できる。
【0040】
上述した光モード変換器100によれば、高効率にモード径を変化できる微小光回路(1,10,20,30)を備えているため、高効率な光モード変換を可能とする光モード変換器を提供することができる。
【0041】
[実施例]
上述した微小光回路1の変換効率の評価をシミュレーションにより行った。比較のために、従来例に係る微小光回路についても同様の評価を行った。
【0042】
図10及び図11を参照して、従来例に係る微小光回路50は、第一微小光導波路2が接続される第二微小光導波路3の境界面を除いて、上述した微小光回路1と同様の構造を有している。
微小光回路50の境界面13eの中央は、第一微小光導波路2に向かって突出している。すなわち、中心線Cと境界面13eとの交点Kは、第一直線s1と、第二微小光導波路3を横断しないように第二微小光導波路2を横断する第四直線s4と、の間の領域に存在している。
【0043】
なお、微小光回路50の第一微小光導波路2および第二微小光導波路3は、境界面13eの近傍において、幅w11を有している。また、境界面13eは、中心線Cに対して対称であり、中心線C近傍において幅w12の区間を有している。
【0044】
このような微小光回路50及び上述した微小光回路1について、境界面における光の透過率及び光モード(電界強度)の変化を評価した。なお、微小光回路1及び50はいずれもシリコンで形成され、石英で形成されたクラッド5により覆われている。w2=w12=0.14μmであり、h2=h12=0.22μmであり、微小光回路1及び50内を伝搬する光の波長は1.55μmである。
【0045】
有限要素法を用いて、境界面3e近傍における第一微小光導波路2の光モード分布(電界強度分布)と第二微小光導波路3光モード分布との一致度(重なり積分値)を求めた。この一致度から、微小光回路1の境界面3eにおける透過率をTEモード光及びTMモード光のそれぞれについて求めた。同様に、微小光回路50の境界面13eにおける透過率を求めた。
【0046】
図7Aは、h1=0.08μmの微小光回路1(実施例1)及びh11=0.08μmの微小光回路50(比較例1)について、第一微小光導波路2の幅w1(w11)に対する透過率を示している。図7Bは、h1=0.10μmの第一微小光導波路2(実施例2)及びh11=0.10μmの微小光回路50(比較例2)について、第一微小光導波路2の幅w1(w11)に対する透過率を示している。図7Cは、h1=0.12μmの第一微小光導波路2(実施例3)及びh11=0.12μmの微小光回路50(比較例3)について、第一微小光導波路2の幅w1(w11)に対する透過率を示している。
【0047】
図7A図7Cから、h1(h11)が0.08μm以上0.12μm以下、及び、w1(w11)が1.0μm以上1.6μm以下の範囲において、TEモード光及びTMモード光のいずれに対しても、微小光回路1の透過率が微小光回路50の透過率よりも高いことが分かる。特にTMモード光に対して、透過率の差が顕著である。これは、境界面において、微小光導波路の高さが不連続に変化していることに起因すると考えられる。
また、図7A図7Cの比較より、h1(h11)が0.10μm(図7B)の場合に、透過率の差が最も大きいことが分かる。
【0048】
図8は、w1=1.2μm及びh1=0.10μmの微小光回路1(実施例2)の境界面3e近傍における、第一微小光導波路2及び第二微小光導波路3内の光モード分布のシミュレーション結果を示している。(a)は第一微小光導波路2内におけるTEモード光の分布を、(b)は第一微小光導波路2内におけるTMモード光の分布を、(c)は第二微小光導波路3内におけるTEモード光の分布を、(d)は第二微小光導波路3内におけるTMモード光の分布を、それぞれ示している。
図9は、w11=1.2μm及びh11=0.10μmの微小光回路50(比較例2)の境界面13e近傍における、第一微小光導波路2及び第二微小光導波路3内の光モード分布のシミュレーション結果を示している。同様に、(a)は第一微小光導波路2内におけるTEモード光の分布を、(b)は第一微小光導波路2内におけるTMモード光の分布を、(c)は第二微小光導波路3内におけるTEモード光の分布を、(d)は第二微小光導波路3内におけるTMモード光の分布を、それぞれ示している。
図8及び図9において、(a)から(b)への変化が境界面3e(13e)におけるTEモード光の分布の変化示し、(c)から(d)への変化が境界面3e(13e)におけるTMモード光の分布の変化示している。
【0049】
これら結果から、微小光回路1及び微小光回路50のいずれにおいても、境界面におけるTEモード光の分布の変化は比較的小さいことが分かる。
境界面におけるTMモード光の分布の変化は、特に、微小光回路50において顕著であり、境界面において大きな損失が発生していることが分かる。これに比較して、微小光回路1の境界面3eにおけるTMモード光の分布の変化は、非常に限定的である。
微小光回路1の境界面3eは、光モードが集中する微小光導波路の中央近傍において凹んでおり、光モードが少ない側面近傍において突出しているために、伝搬光のモード径の変化が境界面3eにおいて緩やかになり、その結果、TMモード光の変化が小さくなっていると考えられる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0051】
1,10,20,30…微小光回路、2…第一微小光導波路、2a…第一表面、2b…第一底面、2c…第一側面、2d…第二側面、3…第二微小光導波路、3a…第二表面、3b…第二底面、3c…第三側面、3d…第四側面、3e…境界面、5…クラッド、100…光モード変換器、C…中心線、c1…第一接続点、c2…第二接続点、K…境界面と中心線との交点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11