【解決手段】 実施形態のレシートシステムは、印字、取得、決定、制御及び送信の各手段を備えたレシートプリンタと、受信、分類及び記憶の各手段を備えた情報処理装置とを含む。取得手段は、取引の内容を文字列により表した取引情報を取得する。決定手段は、第1又は第2の方法をレシートの出力方法として決定する。制御手段は、出力方法が第1の方法の場合に、取引情報に基づいて取引の内容を表す文字列を印字するように印字手段を制御する。送信手段は、出力方法が第2の方法の場合に、取引情報が表す文字列を表す文字コードの集合を含む電子レシートデータを無線送信する。分類手段は、電子レシートデータに含まれた文字コードの集合が示す文字列を分類する。記憶手段は、電子レシートデータに含まれた文字コードの集合を、分類結果と関連付けて記憶する。
前記表示手段は、前記受信手段により受信された前記電子レシートデータに基づいて1つの前記取引の内容を表した画像の中に、前記分類手段による分類結果の少なくとも一部を表した画像を表示する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。
図1は本実施形態に係るレシートシステムを適用した会計システム100の構成を示す斜視図である。
会計システム100は、登録装置10、レシートプリンタ20及び情報端末30を含む。このうち、レシートプリンタ20及び情報端末30によりレシートシステムが構成される。
【0008】
登録装置10は、取引の内容を登録するための装置である。取引は、典型的には商品の販売である。そして登録装置10としては、典型的にはPOS(point-of-sale)端末が用いられる。登録装置10は、取引の内容を表したレシートの発行をレシートプリンタ20に要求する。レシートプリンタ20は、登録装置10からの要求に従って紙レシートを発行するか、又は電子レシートデータを情報端末30に無線送信する。情報端末30は、レシートプリンタ20が無線送信する電子レシートを受け取り、管理する。情報端末30は、典型的には携帯情報端末である。しかしながら情報端末30は、後述する機能を備えたものであれば、その実現形態はどのようなものであっても構わない。情報端末30は、情報処理装置の一例である。
【0009】
図2はレシートプリンタ20の要部回路構成を示すブロック図である。
レシートプリンタ20は、CPU(central processing unit)21、ROM(read-only memory)22、RAM(random-access memory)23、補助記憶ユニット24、操作パネル25、印字ユニット26、通信インタフェース(通信I/F)27、NFC(near field communication)ユニット28及びバス29を含む。
レシートプリンタ20においては、CPU21、ROM22、RAM23及び補助記憶ユニット24がバス29によって接続されることにより、レシートプリンタ20を制御するコンピュータを構成する。
【0010】
CPU21は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。CPU21は、ROM22及びRAM23に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラムに基づいて、レシートプリンタ20としての各種の動作を実現するべくレシートプリンタ20の各要素を制御する。
【0011】
ROM22は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。ROM22は、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM22は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM22は、CPU21が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合もある。
【0012】
RAM23は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。RAM23は、CPU21が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM23は、CPU21が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。
【0013】
補助記憶ユニット24は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット24は、CPU21が各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU21での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット24は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。補助記憶ユニットとしては、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)、ハードディスクドライブ、あるいはSSD(solid state drive)などが利用できる。補助記憶ユニット24は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。なお、補助記憶ユニット24は備えられなくてもよい。
【0014】
操作パネル25は、例えば
図1に示すように、レシートプリンタ20の前面に備えられる。操作パネル25は、レシートプリンタ20を操作するための操作ボタン及びレシートプリンタ20の動作状態を表示するための表示デバイスを備える。
【0015】
印字ユニット26は、レシート用紙に対して任意の文字列を印字する。印字ユニット26は例えば、サーマル方式の印字ヘッドと、レシート用紙を搬送する搬送機構とを含んだ周知の構成であってよい。印字ユニット26によりレシート用紙へと取引の内容を印字することで形成されたレシートは、
図1に示す排出口20aからレシートプリンタ20の外部へと排出される。印字ヘッドは、ドットインパクト方式又はインクジェット方式などの他の如何なる方式のものを含んでいてもよい。この印字ユニット26としては、印字媒体としてのレシート用紙に対して印字する印字手段に相当する。
【0016】
通信インタフェース27は、登録装置10とCPU21とのデータの授受をインタフェースする。通信インタフェース27としては、例えばUSB(universal serial bus)又はRS−232C等の規格に準拠した周知のデバイスを利用できる。
【0017】
NFCユニット28は、
図1に示すようにレシートプリンタ20の上面に面して配置されたアンテナ28aを含む。NFCユニット28は、アンテナ28aに近接された情報端末30との間でNFC方式により無線通信する。
【0018】
バス29は、CPU21、ROM22、RAM23、補助記憶ユニット24、操作パネル25、印字ユニット26、通信インタフェース27及びNFCユニット28を相互に接続する。
【0019】
図3は情報端末30の要部回路構成を示すブロック図である。
情報端末30は、CPU31、ROM32、RAM33、補助記憶ユニット34、タッチパネル35、NFCユニット36、無線通信ユニット37及びバス38を含む。
情報端末30においては、CPU31、ROM32、RAM33及び補助記憶ユニット34がバス38によって接続されることにより、情報端末30を制御するコンピュータを構成する。なお、情報端末30のハードウェアとしては、例えば、既製のスマートフォンなどを用いることが可能である。
【0020】
CPU31は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。CPU31は、ROM32及びRAM33に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラムに基づいて、情報端末30としての各種の動作を実現するべく情報端末30の各要素を制御する。
【0021】
ROM32は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。ROM32は、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM32は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM32は、CPU31が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合もある。
【0022】
RAM33は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。RAM33は、CPU31が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM33は、CPU31が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。
【0023】
補助記憶ユニット34は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット34は、例えばEEPROMなどであり、CPU31が各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU31での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット34は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。補助記憶ユニット34の記憶領域の一部は、レシートデータベース34a及びパターンマッチデータベース34bとして使用される。レシートデータベース34aは、電子レシートデータを蓄積記憶する。パターンマッチデータベース34bは、電子レシートデータに含まれ得る多数の文字列に対応付けて、その文字列を分類するためのカテゴリを記述したデータである。
【0024】
ROM32又は補助記憶ユニット34に記憶されるアプリケーションプログラムは、後述する制御処理に関して記述した制御プログラムを含む。なお、情報端末30の使用者への譲渡は、一般的に制御プログラムがROM32又は補助記憶ユニット34に記憶されない状態にて行われる。そしてリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して制御プログラムが使用者に譲渡され、この制御プログラムが上記の別途に譲渡された情報端末30の補助記憶ユニット34に使用者等による操作に従って書き込まれる。しかし、制御プログラムがROM32又は補助記憶ユニット34に記憶された状態で情報端末30が使用者へと譲渡されてもよい。そして、記録媒体としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどが利用できる。パターンマッチデータベース34bは、典型的には、制御プログラムの上記の書き込みを行う作業の一環として補助記憶ユニット34に構築される。しかしながら、それとは別の任意のタイミングでパターンマッチデータベース34bが構築されてもよい。また、パターンマッチデータベース34bは、構築が完了した後の任意のタイミングで、更新されてもよい。この場合、更新すべきデータについては、リムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して提供される。
【0025】
タッチパネル35は、情報端末30の入力デバイスおよび表示デバイスとして機能する。
NFCユニット36は、
図1に矢印で示すようにして情報端末30がアンテナ28aに近接された場合に、レシートプリンタ20のNFCユニット28との間でNFC方式により無線通信する。
無線通信ユニット37は、図示しない移動通信網を介したデータ通信のインタフェースである。無線通信ユニット37としては、移動通信網を介したデータ通信を行うための周知の通信デバイスを利用できる。
バス38は、CPU31、ROM32、RAM33、補助記憶ユニット34、タッチパネル35、NFCユニット36及び無線通信ユニット37を相互に接続する。
【0026】
次に以上のように構成された会計システム100の動作について説明する。なお、以下に説明する各種の処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
【0027】
登録装置10では、取引に関する登録処理が周知のように行われる。また登録装置10では、登録の対象となる取引が決済を伴うものであるならば、決済処理が周知のように行われる。具体的には、対象とする取引が商品の売買であるならば、登録装置10は、買上商品の登録を行って、取引毎の買上商品のリストを生成する。そして登録装置10は上記登録の完了後、このリストに含まれた買上商品に関する決済金額を決済するための処理を行う。なお、以降においては、対象とする取引が、物販店と買物客との間での商品の売買であることとして説明する。
【0028】
登録装置10は、決済が完了したならば、取引の内容を文字列で表すレシートデータの送信を伴って、レシートプリンタ20に対してレシートのプリントを要求する。
この要求は、通信インタフェース27で受信される。
【0029】
図4はCPU21による制御処理のフローチャートである。
Act1においてCPU21は、上記のプリント要求がなされるのを待ち受ける。そしてCPU21は、上記のプリントの要求が通信インタフェース27で受信されたならばYesと判定し、Act2へと進む。
【0030】
Act2においてCPU21は、通信インタフェース27により受信されたレシートデータを、RAM23又は補助記憶ユニット24に記憶させる。レシートデータは、取引の内容を文字列により表したものである。具体的にはレシートデータは例えば、店名、日付、時刻、商品名、価格、小計額、消費税額、合計額、預かり金額、あるいは釣り銭額などをそれぞれに表す文字列を表す。レシートデータが、これら文字列をどのような形式のデータとして含むかは任意である。レシートデータは典型的には、文字列を構成する文字のそれぞれを表す文字コードの集合である。しかしながらレシートデータは例えば、文字列を画像として表したイメージデータを含んでいてもよい。かくして制御プログラムに基づく制御処理をCPU21が実行することによって、CPU21を中枢部分とするコンピュータは、取引の内容を文字列により表した取引情報であるレシートデータを取得する取得手段として機能する。
【0031】
Act3においてCPU21は、レシート送信が要求されたか否かを確認する。そしてCPU21は、レシート送信が要求されていなければNoと判定し、Act4へと進む。
Act4においてCPU21は、プリント指示がなされるか否かを確認する。CPU21は、操作パネル25における所定のボタン操作などによるプリント指示がなされていなければNoと判定し、Act5へと進む。
Act5においてCPU21は、タイムアップしたか否かを確認する。そしてCPU21は、タイムアップしていなければ、Act3へと戻る。
かくしてCPU21はAct3〜Act5においては、レシート送信が要求されるか、プリント指示されるか、あるいはタイムアップするのを待ち受ける。
【0032】
登録装置10の操作者である店員は、買物客が紙レシートの発行を要求する場合は、操作パネル25に含まれたボタンを予め定められた方法で操作するなどしてプリントを指示する。そうするとCPU21はAct4にてYesと判定し、Act6へと進む。
なお、CPU21は、Act3〜Act5の待ち受け状態における経過時間が予め定められた待機時間に到達したならば、Act5にてYesと判定する。そしてCPU21はこの場合にもAct6へと進む。
Act6においてCPU21は、レシートデータに基づき、取引内容を表す文字列をレシート用紙に印字ユニット26により印字するための印字データを生成する。
Act7においてCPU21は、上記の印字データを印字ユニット26に送り、この印字データに応じて印字ユニット26に印字させることにより紙レシートを発行する。そしてCPU21はこののち、Act1の待ち受け状態に戻る。かくして制御プログラムに基づく制御処理をCPU21が実行することによって、CPU21を中枢部分とするコンピュータは、レシートを発行するための印字を行うように印字ユニット26を制御する制御手段(印字制御手段)として機能する。
図5は紙レシートの一例を示す図である。
【0033】
一方、店員は、買物客が電子レシートの発行を要求する場合は、CPU21がAct3〜Act5の待ち受け状態にあるときに、情報端末30を
図1に矢印で示す状態でレシートプリンタ20に近接させるように買物客に指示する。この指示に応じて買物客が情報端末30をレシートプリンタ20へと近接させると、NFCユニット28とNFCユニット36との間での通信が可能となる。
このときに買物客は、情報端末30を、CPU31が次の制御処理を実行する状態としておく。あるいはCPU31は、NFCユニット28とNFCユニット36との間での通信が可能となったことに応じて、オペレーティングシステム又はファームウェアの働きにより次の制御処理が自動起動されてもよい。
【0034】
図6はCPU31の電子レシート受信のための制御処理のフローチャートである。
Act11においてCPU31は、NFCユニット36によるNFC通信が可能になるのを待ち受ける。そしてCPU31は、NFC通信が可能となったならばYesと判定し、Act12へと進む。
Act12においてCPU31は、NFCユニット36との通信相手がレシートプリンタ20であるか否かを確認する。そしてCPU31は、レシートプリンタ20との通信が可能となったのでなければ、Act11へと戻る。かくしてCPU12は、Act11及びAct12においては、レシートプリンタ20とのNFC通信が可能となるのを待ち受ける。そしてCPU31は、前述したようにNFCユニット28とNFCユニット36との間での通信が可能となったのであれば、Act12にてYesと判定し、Act13へと進む。
Act13においてCPU31は、NFCユニット36を介してレシートプリンタ20に対してレシート送信を要求する。この要求は、NFCユニット36から無線送信され、NFCユニット28により受信される。
【0035】
このとき、レシートプリンタ20においてCPU21は、
図4中のAct3〜Act5の待ち受け状態にある。そしてCPU21は、レシート送信の要求がNFCユニット28により受信されたことに応じて、Act3にてYesと判定し、Act8へと進む。
Act8においてCPU21は、Act2で受信したレシートデータに基づいて電子レシートデータを生成する。CPU21は、電子レシートデータを、レシートデータにより表される取引の内容の文字列を、文字コードの集合とする。例えば、レシートデータが文字コードの集合を含んだものであるならば、CPU21は、それをそのまま電子レシートデータに含めればよい。また、レシートデータがイメージデータを含んだものであるならば、CPU21は、周知の文字認識処理により文字コードの集合に変換した上で、この文字コードの集合を含んだデータとして電子レシートデータを生成する。なおCPU21は、レシートデータにより表される取引の内容の文字列の全てに対応する文字コードの集合を、電子レシートデータに含める。しかしながらCPU21は、レシートデータが表す一部の文字列に対応する文字コードの集合に関しては、電子レシートデータに含めなくてもよい。またCPU21は、レシートデータにより表される文字列とは別の文字列に対応する文字コードの集合を電子レシートデータに含めてもよい。電子レシートデータを具体的にどのようなデータとするかは、レシートプリンタ20の設計者などにより任意に定められてよい。
Act9においてCPU21は、上記のように生成した電子レシートデータをNFCユニット28から無線送信する。かくして制御プログラムに基づく制御処理をCPU21が実行することによって、CPU21を中枢部分とするコンピュータとNFCユニット28との協働により、取引情報が表す文字列の少なくとも一部を表す文字コードの集合を含む電子レシートデータを無線送信する送信手段として機能する。そしてCPU21は、この送信を完了したならば、Act1の待ち受け状態に戻る。
このようにCPU21は、Act3〜Act5の処理により、レシートの出力方法を、紙レシートの出力による第1の方法及び電子レシートの出力による第2の方法の一方として決定するのである。かくして制御プログラムに基づく制御処理をCPU21が実行することによって、CPU21を中枢部分とするコンピュータは上記の決定を行う決定手段として機能する。
【0036】
さて、情報端末30においてCPU31は、Act13にてレシート送信を要求した後には、Act14へと進む。
Act14においてCPU31は、レシートデータがNFCユニット36により受信されたか否かを確認する。そしてCPU31は、レシートデータが受信されないならばNoと判定し、Act15へと進む。
Act15においてCPU31は、タイムアウトしたか否かを確認する。そしてCPU31は、タイムアウトしていないならばAct14へと戻る。
かくしてCPU31はAct14及びAct15においては、レシートデータが受信されるか、あるいはタイムアウトするのを待ち受ける。CPU21は、Act14及びAct15の待ち受け状態における経過時間が予め定められた待機時間に到達したならば、Act15にてYesと判定する。そしてCPU31はこの場合は、
図6に示す処理を終了する。このときにCPU31は、電子レシートデータを正常に受信できなかったことを買物客に通知するための報知動作を行ってもよい。
【0037】
CPU31は、Act13におけるレシート送信の要求に対して、前述したようにレシートプリンタ20のNFCユニット28から電子レシートデータが無線送信されると、当該電子レシートデータをNFCユニット36が受信する。従って、NFCユニット36は受信手段に相当する。そしてCPU31は、このように電子レシートデータが受信されたならば、Act14でYesと判定し、Act16へと進む。
Act16においてCPU31は、NFCユニット36により受信された電子レシートデータをレシートデータベース34aに追加保存させる。
Act17においてCPU31は、電子レシートデータについての分類処理を行う。分類処理は、電子レシートデータが表す文字列を分類する処理である。この分類処理の具体的な内容は任意であってよいが、一例としては次のような処理である。
CPU31は、電子レシートデータに示された文字列のそれぞれを抽出する。例えば
図5に示す紙レシートに表された取引内容が電子レシートデータにも表されているならば、CPU31は、「○○店」「2016年1月1日」「12:00:00」「○○ハンバーグ」「\300」「△サラダ」「\250」等の文字列を抽出する。
【0038】
次にCPU31は、パターンマッチデータベース34bを参照して、上記の抽出した文字列のそれぞれのカテゴリを判定する。
図7はパターンマッチデータベース34bの記述内容の一例を示す図である。
図7の例では、例えば「××店」を含む文字列のカテゴリが「店名」であることを、また「ハンバーグ」を含む文字列のカテゴリが「食品」であることを表している。なお、「××」は、任意の文字列を表す。
CPU31は、文字列「○○店」「2016年1月1日」「12:00:00」「○○ハンバーグ」「\300」「△サラダ」及び「\250」のそれぞれに対して、「店名」「日付」「時刻」「食品」「価格」「食品」及び「価格」をそれぞれカテゴリとして判定する。
【0039】
かくして制御プログラムに基づく制御処理をCPU31が実行することによって、CPU31を中枢部分とするコンピュータは、電子レシートデータに含まれた情報が示す文字列を分類する分類手段として機能する。
【0040】
Act18においてCPU31は、分類処理の結果を反映するように、レシートデータベース34aに記憶された電子レシートデータを更新する。つまりCPU31は、レシートデータベース34aに記憶された電子レシートデータを、当該電子レシートデータに元から示されていた文字列に対応付けて、その文字列のカテゴリを表したデータに更新する。かくして制御プログラムに基づく制御処理をCPU31が実行することによって、CPU31を中枢部分とするコンピュータは、受信された情報を分類結果と関連付けて記憶デバイスとしての補助記憶ユニット34に記憶させる記憶制御手段として機能する。また、CPU31を中枢部分とするコンピュータのこの機能と、補助記憶ユニット34との協働により、記憶手段としての機能が達成される。そしてCPU31は、この更新を終えたならば、
図6に示す処理を終了する。
【0041】
一方、買物客は、買い物の内容を確認したい場合には、情報端末30を、CPU31が次の制御処理を実行する状態としておく。
【0042】
図8は買い物の内容を操作者に確認させるためのCPU31の制御処理のフローチャートである。
Act21においてCPU31は、ホーム画面をタッチパネル35に表示させる。ホーム画面は、内容表示の対象とする取引又はカテゴリを操作者に指定させるための画面である。ホーム画面は例えば、レシートデータベース34aに記憶されている電子レシートデータのリスト及びパターンマッチデータベース34bに記述されたカテゴリのリストを表す。
Act22においてCPU31は、内容表示の対象とする取引又はカテゴリが指定されるのを待ち受ける。そしてCPU31は、タッチパネル35での操作により内容表示の対象とする取引又はカテゴリが指定されたならばYesと判定し、Act23へと進む。
Act23においてCPU31は、取引の1つが指定されたか否かを確認する。そして取引の1つが指定されたのであればYesと判定し、Act24へと進む。
Act24においてCPU31は、指定された取引に関する電子レシートデータに基づいて取引内容画面を生成し、当該取引内容画面をタッチパネル35に表示させる。
【0043】
図9は取引内容画面の一例を示す図である。
図9に示す取引内容画面は、紙レシートとして
図5に示すものが印字される取引に関するものである。ただし、取引内容画面の基となる電子レシートデータは、Act18にて更新されたものであり、Act17での分類処理の結果を含む。このため
図9に示す取引内容画面は、
図5に示す紙レシートに示される情報に加えて、Act17での分類処理の結果を表している。なお、取引内容画面を具体的にどのようなフォームとするかは、例えばCPU31のための制御プログラムの作成者などにより任意に定められて良い。
【0044】
これに対してCPU31は、Act22の待ち受け状態にあるときにカテゴリの指定が行われたのであれば、Act23においてNoと判定し、Act25へと進む。
Act25においてCPU31は、リスト画面を生成し、当該リスト画面をタッチパネル35に表示させる。CPU31は一例として、次のような手順でリスト画面を生成する。(1)CPU31は、レシートデータベース34aに記憶された電子レシートデータのうちの予め定められた条件に合致する電子レシートデータを対象データとする。上記の条件は、例えば、「レシートデータベース34aに記憶された電子レシートデータの全て」又は「最近一ヶ月以内の日時を含む」などとすることが想定されるが、任意であってよい。条件は、例えばCPU31のための制御プログラムの作成者又は情報端末30の操作者などにより任意に定められて良い。(2)CPU31は、対象データから、指定されたカテゴリが関連付けられている文字列を全て抽出する。(3)CPU31は、対象データから、上記の抽出した文字列に対して予め定められた関係にある文字列を抽出する。(4)上記(2)で抽出した文字列を見出しとするとともに、各見出しに関係のあるものとして上記(3)で抽出した文字列を対応付けて表したリストを作成し、当該リストを表す画面としてリスト画面を生成する。
【0045】
図10はカテゴリとして「食品」が指定された場合のリスト画面の一例を示す図である。
以上のように、取引内容画面及びリスト画面は、受信された電子レシートデータに含まれる情報を、分類結果と関連付けて表わしたものである。かくして制御プログラムに基づく制御処理をCPU31が実行することによって、CPU31を中枢部分とするコンピュータは、タッチパネル35との協働によって表示手段としての機能を実現する。
【0046】
CPU31は、Act24又はAct25にていずれかの画面を表示させたのちには、Act26へと進む。
Act26においてCPU31は、内容表示の対象とする取引又はカテゴリの変更が指示されたか否かを確認する。そしてCPU31は、当該指示がなされていなければNoと判定し、Act27へと進む。
Act27においてCPU31は、ホーム画面の表示が指示されたか否かを確認する。そしてCPU31は、当該指示がなされていなければNoと判定し、Act26へと戻る。
かくしてCPU31はAct26及びAct27においては、表示対象の変更又は表示画面のホーム画面への変更が指示されるのを待ち受ける。そしてCPU31は、この待ち受け状態にあるときに、タッチパネル35での操作により内容表示の対象とする新たな取引又はカテゴリが指定されたならば、Act26でYesと判定し、Act23へと戻る。これによりCPU31は、Act23及びAct24又はAct25を前述と同様に実行することで、タッチパネル35の表示を新たに指定された取引又はカテゴリに応じた取引内容画面又はリスト画面に変更する。またCPU31は、Act26及びAct27の待ち受け状態にあるときに、タッチパネル35での操作によりホーム画面の表示が指示されたならば、Act27にてYesと判定し、Act21へと戻る。これによりCPU31は、Act21を前述と同様に実行することで、タッチパネル35の表示を、ホーム画面に戻す。
【0047】
以上のように会計システム100においては、レシートプリンタ20から情報端末30に対して、電子レシートデータがNFC通信により直接的に無線伝送される。そして電子レシートデータの保存、電子レシートデータに含まれる情報の分類、ならびに分類結果の保存は、情報端末30で行われる。従って、既存の電子レシートシステムのように電子レシートサーバを用いる必要はなく、そのような電子レシートシステムに比べて非常に簡易な構成でありながら、情報端末30で取引の内容を管理可能となる。しかも、電子レシートデータは、取引の内容を表す文字列を、文字コードの集合として含んでいるので、情報の分類のための処理を簡易に行うことが可能である。
【0048】
また情報端末30は、レシートプリンタ20から送信された電子レシートデータに含まれた情報を、分類結果と関連付けて表した取引内容画面及びリスト画面を表示することができる。これにより情報端末30のユーザが、情報端末30で取引の内容を確認可能となる。なお、取引内容画面は、電子レシートデータに基づいて一取引の内容を表した画像の中に分類結果の少なくとも一部を表す。従ってこの取引内容画面の表示により、情報端末30のユーザは、一度の買い物において、どのようなカテゴリの商品を購入したかなど、取引の詳細を把握することが可能となる。またリスト画面は、指定されたカテゴリに関連付けられた情報を表す。従ってこのリスト画面の表示により、情報端末30のユーザは、あるカテゴリに関する取引の履歴を把握することが可能となる。
【0049】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
図8に示す制御処理を実行する機能は備えず、レシートデータベース34aに記憶された電子レシートデータの内容の出力は、情報端末30以外の装置で行うようにしてもよい。例えば、無線通信ユニット37により、移動通信網を介して接続された他の装置に対して電子レシートデータに含まれた必要な情報を送信してもよい。あるいは、NFC通信により、レシートプリンタ20に対して電子レシートデータに含まれた必要な情報を送信し、印刷させてもよい。
【0050】
パターンマッチデータベース34bは、補助記憶ユニット34には記憶させずに、例えばストアサーバ等に記憶させておいてもよい。この場合にCPU31は、例えば、無線通信ユニット37から移動通信網を介して上記のストアサーバ等にアクセスし、ストアサーバ等に記憶されたパターンマッチデータベース34bを参照すればよい。
【0051】
登録装置10としての機能とレシートプリンタ20としての機能の双方を備えた商品販売データ処理装置として実現することも可能である。
【0052】
レシートプリンタ20と情報端末30との間の無線通信には、NFC方式以外の周知の方式、あるいは独自に定めて方式などを任意に適用可能である。
【0053】
レシートプリンタ20及び情報端末30の少なくとも一方において、NFCユニット28,36又はそのアンテナを内蔵せず、外付けとしてもよい。
【0054】
CPU21は、Act6及びAct7と、Act8及びAct9との双方を実行することとし、紙レシートの発行と電子レシートデータの送信との双方を行ってもよい。この場合、印字データの生成と電子レシートデータの生成とを、Act2の実行タイミングで行うようにしてもよい。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。