特開2017-227970(P2017-227970A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

特開2017-227970レシートプリンタ及びその制御プログラム
<>
  • 特開2017227970-レシートプリンタ及びその制御プログラム 図000003
  • 特開2017227970-レシートプリンタ及びその制御プログラム 図000004
  • 特開2017227970-レシートプリンタ及びその制御プログラム 図000005
  • 特開2017227970-レシートプリンタ及びその制御プログラム 図000006
  • 特開2017227970-レシートプリンタ及びその制御プログラム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-227970(P2017-227970A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】レシートプリンタ及びその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/06 20060101AFI20171201BHJP
   G06Q 20/20 20120101ALI20171201BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20171201BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20171201BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   G07G1/06 Z
   G06Q20/20 370
   B41J29/38 Z
   B41J29/00 E
   G07G1/12 351Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-121806(P2016-121806)
(22)【出願日】2016年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】岩元 淳
【テーマコード(参考)】
2C061
3E142
5L055
【Fターム(参考)】
2C061AP10
2C061AQ04
2C061CG02
2C061CG15
2C061HJ06
2C061HJ08
2C061HK19
2C061HN15
3E142DA03
3E142DA04
3E142EA04
3E142EA23
3E142GA16
3E142GA33
3E142HA03
3E142JA03
5L055AA42
5L055EE09
(57)【要約】
【課題】 簡易な構成でありながら、電子レシートサービスを提供可能とする。
【解決手段】 実施形態のレシートプリンタは、印字手段、取得手段、第1の決定手段、制御手段、送信手段、第2の決定手段及び生成手段を含む。制御手段は、第1の決定手段により第1の方法が出力方法として決定された場合に、取引情報に基づいて取引の内容を表す文字列を印字するように印字手段を制御する。送信手段は、第1の決定手段により第2の方法が出力方法として決定された場合に、取引情報を含む電子レシートデータを端末に無線送信する。第2の決定手段は、第1の決定手段により第2の方法が出力方法として決定された場合に、電子レシートデータの送信先となる端末に応じて、電子レシートデータのフォーマットを決定する。生成手段は、第2の決定手段により決定されたフォーマットの電子レシートデータを送信手段が端末に無線送信する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字媒体に対して印字する印字手段と、
取引の内容を文字列により表した取引情報を取得する取得手段と、
第1の方法及び第2の方法の少なくとも一方をレシートの出力方法として決定する第1の決定手段と、
前記第1の決定手段により前記第1の方法が前記出力方法として決定された場合に、前記取引情報に基づいて前記取引の内容を表す前記文字列を印字するように前記印字手段を制御する制御手段と、
前記第1の決定手段により前記第2の方法が前記出力方法として決定された場合に、前記取引情報を含む電子レシートデータを端末に無線送信する送信手段と、
前記第1の決定手段により前記第2の方法が前記出力方法として決定された場合に、前記電子レシートデータの送信先となる前記端末に応じて、前記電子レシートデータのフォーマットを決定する第2の決定手段と、
前記第2の決定手段により決定されたフォーマットの電子レシートデータを前記送信手段が前記端末に無線送信する電子レシートデータとして生成する生成手段と、を具備したレシートプリンタ。
【請求項2】
前記第2の決定手段は、前記取引情報のデータ形式を前記フォーマットの一要素として決定し、
前記生成手段は、前記取引情報を、前記第2の決定手段により決定されたデータ形式で含む前記電子レシートデータを生成する、
請求項1に記載のレシートプリンタ。
【請求項3】
前記第2の決定手段は、前記電子レシートデータに前記取引情報以外に含める追加データを前記フォーマットの一要素として決定し、
前記生成手段は、前記第2の決定手段により決定された前記追加データを含む前記電子レシートデータを生成する、
請求項1又は請求項2に記載のレシートプリンタ。
【請求項4】
前記第2の決定手段は、前記端末から取得した識別情報に基づいて前記電子レシートデータのフォーマットを決定する、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のレシートプリンタ。
【請求項5】
前記第2の決定手段は、前記端末から第1の通信方法を用いて前記端末から送信された前記識別情報を受信することで前記識別情報を取得し、
前記送信手段は、前記第1の通信方法とは異なる第2の通信方法を用いて前記電子レシートデータを前記端末に無線送信する、
請求項4に記載のレシートプリンタ。
【請求項6】
印字媒体に対して印字する印字手段と無線通信ユニットとを具備するレシートプリンタを制御するコンピュータを、
取引の内容を文字列により表した取引情報を取得する取得手段と、
第1の方法及び第2の方法の少なくとも一方をレシートの出力方法として決定する第1の決定手段と、
前記第1の決定手段により前記第1の方法が前記出力方法として決定された場合に、前記取引情報に基づいて前記取引の内容を表す前記文字列を印字するように前記印字手段を制御する印字制御手段と、
前記第1の決定手段により前記第2の方法が前記出力方法として決定された場合に、前記取引情報を含む電子レシートデータを端末に無線送信するように無線通信ユニットを制御する送信制御手段と、
前記第1の決定手段により前記第2の方法が前記出力方法として決定された場合に、前記電子レシートデータの送信先となる前記端末に応じて、前記電子レシートデータのフォーマットを決定する第2の決定手段と、
前記第2の決定手段により決定されたフォーマットの電子レシートデータを前記無線通信ユニットが前記端末に無線送信する電子レシートデータとして生成する生成手段と、
して機能させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、レシートプリンタ及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サービスの利用者が行った取引に関する電子レシート情報を電子レシートサーバで保管しておき、上記利用者が任意の情報端末から電子レシートサーバにアクセスすることで、利用者がレシートを見ることを可能とする電子レシートサービスは既に実現されている。
しかしながら、このような電子レシートサービスを利用者が利用しやすいように提供するためには、高性能な電子レシートサーバを用いるなど、大規模な設備が必要となる。
このような事情から、簡易な構成でありながら、電子レシートサービスを提供可能とすることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−194740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、簡易な構成でありながら、電子レシートサービスを提供可能とするレシートプリンタ及びその制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のレシートプリンタは、印字手段、取得手段、第1の決定手段、制御手段、送信手段、第2の決定手段及び生成手段を含む。印字手段は、印字媒体に対して印字する。取得手段は、取引の内容を文字列により表した取引情報を取得する。第1の決定手段は、第1の方法及び第2の方法の少なくとも一方をレシートの出力方法として決定する。制御手段は、第1の決定手段により第1の方法が出力方法として決定された場合に、取引情報に基づいて取引の内容を表す文字列を印字するように印字手段を制御する。送信手段は、第1の決定手段により第2の方法が出力方法として決定された場合に、取引情報を含む電子レシートデータを端末に無線送信する。第2の決定手段は、第1の決定手段により第2の方法が出力方法として決定された場合に、電子レシートデータの送信先となる端末に応じて、電子レシートデータのフォーマットを決定する。生成手段は、第2の決定手段により決定されたフォーマットの電子レシートデータを送信手段が端末に無線送信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係るレシートプリンタを適用した会計システムの構成を示す斜視図。
図2図1中のレシートプリンタの要部回路構成を示すブロック図。
図3図1中の情報端末の要部回路構成を示すブロック図。
図4図1中のレシートプリンタが備えるCPUによる制御処理のフローチャート。
図5図1中の情報端末が備えるCPUの制御処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。
図1は本実施形態に係るレシートプリンタを適用した会計システム100の構成を示す斜視図である。
会計システム100は、登録装置10、レシートプリンタ20及び情報端末30を含む。
【0008】
登録装置10は、取引の内容を登録するための装置である。取引は、典型的には商品の販売である。そして登録装置10としては、典型的にはPOS(point-of-sale)端末が用いられる。登録装置10は、取引の内容を表したレシートの発行をレシートプリンタ20に要求する。レシートプリンタ20は、登録装置10からの要求に従って紙レシートを発行するか、又は電子レシートデータを情報端末30に無線送信する。情報端末30は、レシートプリンタ20が無線送信する電子レシートを受け取り、管理する。情報端末30は、典型的には携帯情報端末である。しかしながら情報端末30は、後述する機能を備えたものであれば、その実現形態はどのようなものであっても構わない。
【0009】
図2はレシートプリンタ20の要部回路構成を示すブロック図である。
レシートプリンタ20は、CPU(central processing unit)21、ROM(read-only memory)22、RAM(random-access memory)23、補助記憶ユニット24、操作パネル25、印字ユニット26、通信インタフェース(通信I/F)27、NFC(near field communication)ユニット28、無線通信ユニット29及びバス210を含む。
レシートプリンタ20においては、CPU21、ROM22、RAM23及び補助記憶ユニット24がバス210によって接続されることにより、レシートプリンタ20を制御するコンピュータを構成する。
【0010】
CPU21は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。CPU21は、ROM22及びRAM23に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラムに基づいて、レシートプリンタ20としての各種の動作を実現するべくレシートプリンタ20の各要素を制御する。
【0011】
ROM22は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。ROM22は、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM22は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM22は、CPU21が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合もある。
【0012】
RAM23は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。RAM23は、CPU21が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM23は、CPU21が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。
【0013】
補助記憶ユニット24は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット24は、CPU21が各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU21での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット24は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。補助記憶ユニットとしては、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)、ハードディスクドライブ、あるいはSSD(solid state drive)などが利用できる。補助記憶ユニット24は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。なお、補助記憶ユニット24は備えられなくてもよい。
【0014】
操作パネル25は、例えば図1に示すように、レシートプリンタ20の前面に備えられる。操作パネル25は、レシートプリンタ20を操作するための操作ボタン及びレシートプリンタ20の動作状態を表示するための表示デバイスを備える。
【0015】
印字ユニット26は、レシート用紙に対して任意の文字列を印字する。印字ユニット26は例えば、サーマル方式の印字ヘッドと、レシート用紙を搬送する搬送機構とを含んだ周知の構成であってよい。印字ユニット26によりレシート用紙へと取引の内容を印字することで形成されたレシートは、図1に示す排出口20aからレシートプリンタ20の外部へと排出される。印字ヘッドは、ドットインパクト方式又はインクジェット方式などの他の如何なる方式のものを含んでいてもよい。この印字ユニット26は、印字媒体としてのレシート用紙に対して印字する印字手段に相当する。
【0016】
通信インタフェース27は、登録装置10とCPU21とのデータの授受をインタフェースする。通信インタフェース27としては、例えばUSB(universal serial bus)又はRS−232C等の規格に準拠した周知のデバイスを利用できる。
【0017】
NFCユニット28は、図1に示すようにレシートプリンタ20の上面に面して配置されたアンテナ28aを含む。NFCユニット28は、アンテナ28aに近接された情報端末30との間でNFC方式により無線通信する。
無線通信ユニット29は、情報端末30との間で無線通信する。無線通信ユニット29としては、例えばWi−Fi又はBluetooth(登録商標)に準拠した周知の通信デバイスを利用できる。
【0018】
バス210は、CPU21、ROM22、RAM23、補助記憶ユニット24、操作パネル25、印字ユニット26、通信インタフェース27及びNFCユニット28を相互に接続する。
【0019】
図3は情報端末30の要部回路構成を示すブロック図である。
情報端末30は、CPU31、ROM32、RAM33、補助記憶ユニット34、タッチパネル35、NFCユニット36、無線通信ユニット37及びバス38を含む。
情報端末30においては、CPU31、ROM32、RAM33及び補助記憶ユニット34がバス38によって接続されることにより、情報端末30を制御するコンピュータを構成する。なお、情報端末30のハードウェアとしては、例えば、既製のスマートフォンなどを用いることが可能である。
【0020】
CPU31は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。CPU31は、ROM32及びRAM33に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラムに基づいて、情報端末30としての各種の動作を実現するべく情報端末30の各要素を制御する。
【0021】
ROM32は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。ROM32は、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM32は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM32は、CPU31が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合もある。
【0022】
RAM33は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。RAM33は、CPU31が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM33は、CPU31が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。RAM33の記憶領域の一部は、売上登録された商品についての情報を管理するための商品リストエリアとして使用される。
【0023】
補助記憶ユニット34は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット34は、例えばEEPROMなどであり、CPU31が各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU31での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット34は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。補助記憶ユニット34は、利用者情報及び指定情報も含む。利用者情報は、情報端末30の使用者の誕生日など、情報端末30の使用者についての情報を含む。指定情報は、レシートデータのデータ形式を指定するための情報である。指定情報で指定されるデータ形式は例えば、XML(Extensible Markup Language)、HTML(Hypertext Markup Language)、JSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)、CSV(Comma-Separated Values)若しくはTSV(Tab-Separated Values)等のテキスト形式、BMP(Microsoft(登録商標) Windows(登録商標) Bitmap Image)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、GIF(Graphics Interchange Format)若しくはPNG(Portable Network Graphics)等の画像形式又はPDF(Portable Document Format)などの各種形式である。利用者情報及び指定情報は、情報端末30の使用者などによって予め定められる。
【0024】
かくして、CPU31、ROM32、RAM33及び補助記憶ユニット34は、コンピュータを構成する。CPU31は、当該コンピュータの中枢部分に相当する。ROM32及びRAM33は、当該コンピュータの主記憶部分に相当する。補助記憶ユニット34は、当該コンピュータの補助記憶部分に相当する。
【0025】
ROM32又は補助記憶ユニット34に記憶されるアプリケーションプログラムは、後述する制御処理に関して記述した制御プログラムを含む。なお、情報端末30の使用者への譲渡は、一般的に制御プログラムがROM32又は補助記憶ユニット34に記憶されない状態にて行われる。そしてリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して制御プログラムが使用者に譲渡され、この制御プログラムが上記の別途に譲渡された情報端末30の補助記憶ユニット34に使用者等による操作に従って書き込まれる。しかし、制御プログラムがROM32又は補助記憶ユニット34に記憶された状態で情報端末30が使用者へと譲渡されてもよい。そして、記録媒体としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどが利用できる。パターンマッチデータベース34bは、典型的には、制御プログラムの上記の書き込みを行う作業の一環として補助記憶ユニット34に構築される。しかしながら、それとは別の任意のタイミングでパターンマッチデータベース34bが構築されてもよい。また、パターンマッチデータベース34bは、構築が完了した後の任意のタイミングで、更新されてもよい。この場合、更新すべきデータについては、リムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して提供される。
【0026】
タッチパネル35は、情報端末30の入力デバイスおよび表示デバイスとして機能する。
NFCユニット36は、図1に矢印で示すようにして情報端末30がアンテナ28aに近接された場合に、レシートプリンタ20のNFCユニット28との間でNFC方式により無線通信する。
無線通信ユニット37は、レシートプリンタ20の無線通信ユニット29との間で無線通信する。無線通信ユニット37としては、無線通信ユニット29と同一の規格に準拠した周知の通信デバイスを利用できる。なお、無線通信ユニット37と無線通信ユニット29との通信は、図示しない機器を介しても良い。すなわち、無線通信ユニット37と当該機器とが無線通信し、当該機器と無線通信ユニット29とが無線通信をすることで、無線通信ユニット37と無線通信ユニット29との間での通信を実現する。また、無線通信ユニット37と無線通信ユニット29との通信は、図示しない複数の機器を介しても良い。この場合には、当該機器間の通信は、有線通信であっても良い。
バス38は、CPU31、ROM32、RAM33、補助記憶ユニット34、タッチパネル35、NFCユニット36及び無線通信ユニット37を相互に接続する。
【0027】
次に以上のように構成された会計システム100の動作について説明する。なお、以下に説明する各種の処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
【0028】
登録装置10では、取引に関する登録処理が周知のように行われる。また、登録の対象となる取引が決済を伴うものであるならば、決済処理が周知のように行われる。具体的には、対象とする取引が商品の売買であるならば、登録装置10は、買上商品の登録を行って、取引毎の買上商品のリストを生成する。そして登録装置10は上記登録の完了後、このリストに含まれた買上商品に関する決済金額を決済するための処理を行う。なお、以降においては、対象とする取引が、物販店と買物客との間での商品の売買であることとして説明する。
【0029】
登録装置10は、決済が完了したならば、取引の内容を文字列で表すレシートデータの送信を伴って、レシートプリンタ20に対してレシートのプリントを要求する。
この要求は、通信インタフェース27で受信される。
【0030】
図4はCPU21による制御処理のフローチャートである。
Act1においてCPU21は、上記のプリント要求がなされるのを待ち受ける。そしてCPU21は、上記のプリントの要求が通信インタフェース27で受信されたならばYesと判定し、Act2へと進む。
【0031】
Act2においてCPU21は、通信インタフェース27により受信されたレシートデータを、RAM23又は補助記憶ユニット24に記憶させる。レシートデータは、取引の内容を文字列により表したものである。具体的にはレシートデータは例えば、店名、日付、時刻、商品名、価格、小計額、消費税額、合計額、預かり金額、あるいは釣り銭額などをそれぞれに表す文字列を表す。レシートデータが、これら文字列をどのような形式のデータとして含むかは任意である。レシートデータは典型的には、文字列を構成する文字のそれぞれを表す文字コードの集合である。しかしながらレシートデータは例えば、店舗ロゴなどのイメージデータを含んでいてもよい。かくして制御プログラムに基づく制御処理をCPU21が実行することによって、CPU21を中枢部分とするコンピュータは、取引の内容を文字列により表した取引情報であるレシートデータを取得する取得手段として機能する。
【0032】
Act3においてCPU21は、レシート送信が要求されたか否かを確認する。そしてCPU21は、レシート送信が要求されていなければNoと判定し、Act4へと進む。
Act4においてCPU21は、プリント指示がなされるか否かを確認する。CPU21は、操作パネル25における所定のボタン操作などによるプリント指示がなされていなければNoと判定し、Act5へと進む。
Act5においてCPU21は、タイムアップしたか否かを確認する。そしてCPU21は、タイムアップしていなければ、Act3へと戻る。
かくしてCPU21はAct3〜Act5においては、レシート送信が要求されるか、プリント指示されるか、あるいはタイムアップするのを待ち受ける。
【0033】
登録装置10の操作者である店員は、買物客が紙レシートの発行を要求する場合は、操作パネル25に含まれたボタンを予め定められた方法で操作するなどしてプリントを指示する。そうするとCPU21はAct4にてYesと判定し、Act6へと進む。
なお、CPU21は、Act3〜Act5の待ち受け状態における経過時間が予め定められた待機時間に到達したならば、Act5にてYesと判定する。そしてCPU21はこの場合にもAct6へと進む。
Act6においてCPU21は、レシートデータに基づき、取引内容を表す文字列をレシート用紙に印字ユニット26により印字するための印字データを生成する。
Act7においてCPU21は、上記の印字データを印字ユニット26に送り、この印字データに応じて印字ユニット26に印字させることにより紙レシートを発行する。そしてCPU21はこののち、Act1の待ち受け状態に戻る。かくして制御プログラムに基づく制御処理をCPU21が実行することによって、CPU21を中枢部分とするコンピュータは、レシートを発行するための印字を行うように印字ユニット26を制御する制御手段(印字制御手段)として機能する。
【0034】
一方、店員は、買物客が電子レシートの発行を要求する場合は、CPU21がAct3〜Act5の待ち受け状態にあるときに、情報端末30を図1に矢印で示す状態でレシートプリンタ20に近接させるように買物客に指示する。この指示に応じて買物客が情報端末30をレシートプリンタ20へと近接させると、NFCユニット28とNFCユニット36との間での通信が可能となる。
このときに買物客は、情報端末30を、CPU31が次の制御処理を実行する状態としておく。あるいはCPU31は、NFCユニット28とNFCユニット36との間での通信が可能となったことに応じて、オペレーティングシステム又はファームウェアの働きにより次の制御処理が自動起動されてもよい。
【0035】
図5はCPU31の電子レシート受信のための制御処理のフローチャートである。
Act11においてCPU31は、NFCユニット36によるNFC通信が可能になるのを待ち受ける。そしてCPU31は、NFC通信が可能となったならばYesと判定し、Act12へと進む。
Act12においてCPU31は、NFCユニット36との通信相手がレシートプリンタ20であるか否かを確認する。そしてCPU31は、レシートプリンタ20との通信が可能となったのでなければ、Act11へと戻る。かくしてCPU12は、Act11及びAct12においては、レシートプリンタ20とのNFC通信が可能となるのを待ち受ける。そしてCPU31は、前述したようにNFCユニット28とNFCユニット36との間での通信が可能となったのであれば、Act12にてYesと判定し、Act13へと進む。
Act13においてCPU31は、NFCユニット36を介してレシートプリンタ20に対してレシート送信を要求する。すなわち、CPU31は、補助記憶ユニット34に記憶された利用者情報と指定情報とを含むレシート要求を生成して、このレシート要求を送信するようNFCユニット36に指示する。このレシート要求は、NFCユニット36から無線送信され、NFCユニット28により受信される。
【0036】
このとき、レシートプリンタ20においてCPU21は、図4中のAct3〜Act5の待ち受け状態にある。そしてCPU21は、レシート要求がNFCユニット28により受信されたことに応じて、Act3にてYesと判定し、Act8へと進む。
Act8においてCPU21は、レシート要求に含まれる利用者情報及び指定情報に基づいて、情報端末30に送信する電子レシートデータのフォーマットを決定する。すなわち、CPU21は、電子レシートデータに、レシートデータをどのようなデータ形式で含めるか、追加データを含めるか否か、並びに追加データを含めるならば、どのようなデータを当該追加データとするか、等を決定する。電子レシートデータのフォーマットの決定は、CPU21が以下のように行う。CPU21は、電子レシートデータに含めるレシートデータのデータ形式を、指定情報で指定されるデータ形式とすることを決定する。さらに、CPU21は、レシート要求に含まれる利用者情報に基づいて、電子レシートデータに追加データを含めるか否か、及び追加データを含める場合にはどのようなデータを当該追加データとするかを決定する。CPU21は、例えば、利用者情報に含まれる誕生日と今日の日付が同一である場合、誕生日を記念することを目的としたデータを追加データとすることを決定する。追加データは、例えば、動画、音声、画像又はテキストなどの種々のデータである。かくして制御プログラムに基づく制御処理をCPU21が実行することによって、CPU21を中枢とするコンピュータは、電子レシートデータのフォーマットを決定する第2の決定手段として機能する。
【0037】
Act9においてCPU21は、Act8で決定されたフォーマットの電子レシートデータを生成する。すなわち、CPU21は、Act2でRAM23又は補助記憶ユニット24に保存したレシートデータを、Act8で決定されたデータ形式に変換する。なお、Act2で保存したレシートデータがAct8で決定されたデータ形式と同一である場合には、CPU21は当該変換を行わない。そして、CPU21は、Act8の決定に基づいて、追加データを電子レシートデータに含める場合には追加データを取得する。CPU21は、当該追加データが補助記憶ユニット34に記憶されている場合には、補助記憶ユニット34から当該追加データを読み出す。あるいは、CPU21は、当該追加データが補助記憶ユニット34に記憶されておらず登録装置10に記憶されている場合には、登録装置10から当該追加データを取得する。またあるいは、CPU21は、図示しないその他の装置から当該データを取得しても良い。その後、CPU21は、変換されたレシートデータと取得した追加データを含むものとして電子レシートデータを生成する。かくして制御プログラムに基づく制御処理をCPU21が実行することによって、CPU21を中枢とするコンピュータは、電子レシートデータを生成する生成手段として機能する。
【0038】
Act10においてCPU21は、上記のように生成した電子レシートデータを情報端末30に送信するよう無線通信ユニット29に指示する。この指示に応じて無線通信ユニット29は、当該電子レシートデータを情報端末30に送信する。かくして制御プログラムに基づく制御処理をCPU21が実行することによって、CPU21を中枢部分とするコンピュータと無線通信ユニット29との協働により、取引情報を含む電子レシートデータを端末に無線送信する送信手段として機能する。また、このとき、CPU21を中枢部分とするコンピュータは、送信制御手段として機能する。そしてCPU21は、この送信を完了したならば、Act1の待ち受け状態に戻る。
このようにCPU21は、Act3〜Act5の処理により、レシートの出力方法を、紙レシートの出力による第1の方法及び電子レシートの出力による第2の方法の一方として決定するのである。かくして制御プログラムに基づく制御処理をCPU21が実行することによって、CPU21を中枢部分とするコンピュータは上記の決定を行う第1の決定手段として機能する。
【0039】
さて、情報端末30においてCPU31は、Act13にてレシート送信を要求した後には、Act14へと進む。
Act14においてCPU31は、レシートデータが無線通信ユニット37により受信されたか否かを確認する。そしてCPU31は、レシートデータが受信されないならばNoと判定し、Act15へと進む。
Act15においてCPU31は、タイムアウトしたか否かを確認する。そしてCPU31は、タイムアウトしていないならばAct14へと戻る。
かくしてCPU31はAct14及びAct15においては、レシートデータが受信されるか、あるいはタイムアウトするのを待ち受ける。CPU21は、Act14及びAct15の待ち受け状態における経過時間が予め定められた待機時間に到達したならば、Act15にてYesと判定する。そしてCPU31はこの場合は、図5に示す処理を終了する。このときにCPU31は、電子レシートデータを正常に受信できなかったことを買物客に通知するための報知動作を行ってもよい。
【0040】
CPU31は、電子レシートデータが受信されたならば、Act14でYesと判定し、Act16へと進む。
Act16においてCPU31は、無線通信ユニット37により受信された電子レシートデータを補助記憶ユニット34に追加保存させる。そして、CPU31は、図5に示す処理を終了する。
【0041】
以上のようにレシートプリンタ20は、電子レシートデータを情報端末30に対して無線送信する。このため、既存の電子レシートサービスのように電子レシートサーバを必要とせずに、簡易な構成で電子レシートサービスを提供することができる。
ところで、レシートプリンタ20が送信する電子レシートデータのフォーマットを固定とすると、電子レシートサービスの利便性がよくない場合がある。しかしながらレシートプリンタ20は、電子レシートデータの送信先となる情報端末30に応じて、電子レシートデータのフォーマットを決定する。レシートプリンタ20が送信する電子レシートデータのフォーマットを、その電子レシートデータを受信する情報端末30ごとに異ならせることができる。この結果、電子レシートサービスの提供者から利用者への電子レシートデータの提供を、当該提供者又は利用者のニーズに応じたフォーマットで行うことが可能となる。
【0042】
レシートプリンタ20は、電子レシートデータには、情報端末30の使用者などによって指定されたデータ形式のレシートデータを含める。このため、当該使用者は、当該使用者が望むデータ形式のレシートデータを入手することができる。これにより例えば、当該使用者は、レシートデータを家計簿ソフトなどのアプリケーションで利用する場合は、そのアプリケーションでの使用に適するデータ形式のレシートデータを得ることが可能となる。
【0043】
また、レシートプリンタ20は、電子レシートデータに追加データを含める。これにより、レシートデータ以外に、動画、音声、画像又はテキストなどの様々なデータを情報端末30の使用者に提供することができる。
【0044】
また、レシートプリンタ20は、電子レシートデータのフォーマットを、情報端末30から送信された利用者情報及び指定情報に基づいて決定する。このため、情報端末30で利用者情報及び指定情報を変更することにより、レシートプリンタ20から送信される電子レシートデータのフォーマットを変更できる。つまり、情報端末30の使用者は、自らが所望するフォーマットで電子レシートデータを取得することが可能である。
【0045】
また、レシートプリンタ20は、レシート要求をNFCユニット28に受信させ、電子レシートデータを無線通信ユニット29に送信させる。これにより、NFCよりも通信速度の速い無線通信を用いることで、NFCによって送信する場合よりも大容量の電子レシートデータを送信することができる。
【0046】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
実施形態では、CPU21は、電子レシートデータに追加データを含めるか否か、及び追加データを含める場合にはどのようなデータを当該追加データとするかを、利用者情報に基づいて決定した。しかしながら、当該決定は利用者情報に基づかなくても良い。例えば、CPU21は、レシートデータに基づいて当該決定を行っても良い。一例として、CPU21は、特定の商品がレシートデータに含まれる場合に、当該特定の商品を購入した人の為に用意されたデータを追加データとして含めることを決定する。また例えば、CPU21は、全ての電子レシートデータに追加データを含めることを決定しても良い。一例として、CPU21は、宣伝を目的とした特定のデータを追加データとして全ての電子レシートデータに含めることを決定する。
【0047】
CPU21は、電子レシートデータを分割して、NFCユニット28と無線通信ユニット29との2つのユニットに送信させても良い。例えば、CPU21は、電子レシートデータに含まれるレシートデータを情報端末30に送信するようNFCユニット28に指示し、電子レシートデータに含まれる追加データを情報端末30に送信するよう無線通信ユニット29に指示する。これらの指示に応じて、NFCユニット28及び無線通信ユニット29のそれぞれは、当該分割された電子レシートデータを情報端末30に送信する。
【0048】
登録装置10としての機能とレシートプリンタ20としての機能の双方を備えた商品販売データ処理装置として実現することも可能である。
【0049】
レシートプリンタ20と情報端末30との間の無線通信には、NFC方式以外の周知の方式、あるいは独自に定めて方式などを任意に適用可能である。
【0050】
レシートプリンタ20及び情報端末30の少なくとも一方において、NFCユニット28,36又はそのアンテナを内蔵せず、外付けとしてもよい。
【0051】
レシートプリンタ20及び情報端末30の少なくとも一方において、無線通信ユニット29,37又はそのアンテナを内蔵せず、外付けとしてもよい。
【0052】
CPU21は、Act6及びAct7と、Act8〜Act10との双方を実行することとし、紙レシートの発行と電子レシートデータの送信との双方を行ってもよい。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
100…会計システム、10…登録装置、20…レシートプリンタ、21,31…CPU、22,32…ROM、23,33…RAM、24,34…補助記憶ユニット、34a…レシートデータベース、34b…パターンマッチデータベース、25…操作パネル、26…印字ユニット、27…通信インタフェース、28,36…NFCユニット、28a…アンテナ、29,37…無線通信ユニット、35…タッチパネル。
図1
図2
図3
図4
図5