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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-227971(P2017-227971A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】触覚提示装置及び触覚提示方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20171201BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20171201BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20171201BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20171201BHJP
【FI】
   G06F3/041 480
   G06F3/041 600
   G06F3/044 120
   G06F3/01 560
   G06F3/0488
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-121833(P2016-121833)
(22)【出願日】2016年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】福井 峰雄
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC01
5E555BE10
5E555CA13
5E555CB14
5E555DD06
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】タッチパネルを押圧操作した操作者に対し、より良好な押圧感を感じさせる。
【解決手段】触覚提示装置20は、一方の面にタッチセンサ22が設けられたタッチパネル21と、錘28を有し、かつタッチパネル21の他方の面に対し、支持部材27を介して取付けられた圧電素子26とを備える。タッチパネル21に対する押圧操作がタッチセンサ22により検出されることをもって、圧電素子26に電圧が印加されて圧電素子26が伸縮させられる。この触覚提示装置20にあって、圧電素子26の伸縮によるタッチパネル21の振動における振幅の時間変化である振動波形が計測され、その計測結果に基づき、圧電素子26に支持部材27及び錘28を加えてなる振動体29の振動波形が求められる。求められた振動波形を打ち消すための振動波形で振動体29を振動させる補正電圧が求められ、次回以降の押圧操作に応じて圧電素子26に印加される電圧が補正される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面にタッチセンサが設けられたタッチパネルと、
錘を有し、かつ前記タッチパネルの他方の面に対し、支持部材を介して取付けられた圧電素子と、
前記タッチパネルに対する押圧操作が前記タッチセンサにより検出されることをもって、前記圧電素子に電圧を印加して同圧電素子を伸縮させる制御部と
を備える触覚提示装置であって、
前記圧電素子の伸縮による前記タッチパネルの振動における振幅の時間変化である振動波形を計測する振動波形計測部と、
前記振動波形計測部により計測された振動波形に基づき、前記圧電素子に前記支持部材及び前記錘を加えてなる振動体の振動波形を求める振動波形演算部と、
前記振動波形演算部で求められた振動波形を打ち消すための振動波形で前記振動体を振動させる補正電圧に基づき、次回以降の前記押圧操作に応じて前記制御部により前記圧電素子に印加される電圧を補正する電圧補正部と
がさらに設けられた触覚提示装置。
【請求項2】
一方の面にタッチセンサが設けられたタッチパネルの他方の面に圧電素子を直接取付け、前記タッチパネルに対する押圧操作が前記タッチセンサにより検出されることをもって、基準波形で変化する電圧を前記圧電素子に印加して同圧電素子を伸縮させ、前記タッチパネルを正弦波からなる基本波形で振動させるようにした触覚提示装置を基準触覚提示装置とした場合において、
前記制御部は、前記振動波形計測部による振動波形の計測に先立ち前記圧電素子に印加される電圧として、前記基準触覚提示装置において印加される前記基準波形の電圧を用いる請求項1に記載の触覚提示装置。
【請求項3】
前記振動波形演算部は、前記振動波形計測部により計測された振動波形をフーリエ変換することにより、前記振動体の固有振動数を求め、その固有振動数を逆フーリエ変換することにより、前記振動体の振動波形を求める請求項1又は2に記載の触覚提示装置。
【請求項4】
前記電圧補正部は、前記振動波形演算部で求められた振動波形の位相を180°ずらした振動波形で前記振動体を振動させるための補正電圧により、次回以降の前記押圧操作に応じて前記圧電素子に印加される電圧を補正する請求項1〜3のいずれか1項に記載の触覚提示装置。
【請求項5】
前記振動波形計測部は、前記タッチパネルを支持し、かつ同タッチパネルの振動の振幅を直接又は間接に検出する振動センサを備え、その振動センサの検出結果に基づき前記タッチパネルの振動波形を計測する請求項1〜4のいずれか1項に記載の触覚提示装置。
【請求項6】
前記タッチパネルは、前記振動センサを介して車両のステアリングホイールに支持される請求項5に記載の触覚提示装置。
【請求項7】
一方の面にタッチセンサが設けられたタッチパネルの他方の面に対し、錘を有する圧電素子を、支持部材を介して取付け、前記タッチパネルに対する押圧操作が前記タッチセンサにより検出されることをもって、前記圧電素子に電圧を印加して同圧電素子を伸縮させるようにした触覚提示装置に適用される触覚提示方法であって、
前記圧電素子に印加される電圧の設定に先立ち、基準波形で変化する電圧を前記触覚提示装置の前記圧電素子に印加し、その圧電素子の伸縮による前記タッチパネルの振動における振幅の時間変化である振動波形を計測し、その計測した振動波形に基づき、前記圧電素子に前記支持部材及び前記錘を加えてなる振動体の振動波形を求め、その求めた振動波形を打ち消すための振動波形で前記振動体を振動させる補正電圧に基づき、前記基準波形の電圧を補正し、補正後の電圧を、前記触覚提示装置における前記圧電素子に印加される電圧として設定する触覚提示方法。
【請求項8】
一方の面にタッチセンサが設けられたタッチパネルの他方の面に圧電素子を直接取付け、前記タッチパネルに対する押圧操作が前記タッチセンサにより検出されることをもって、基準波形で変化する電圧を前記圧電素子に印加して同圧電素子を伸縮させ、前記タッチパネルを正弦波からなる基本波形で振動させるようにした触覚提示装置を基準触覚提示装置とした場合において、
前記触覚提示装置における前記振動波形の計測に先立ち前記圧電素子に印加される基準波形の電圧として、前記基準触覚提示装置において印加される前記基準波形の電圧を用いる請求項7に記載の触覚提示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者がタッチパネルを押圧操作した場合に、その操作者に対し擬似的に押圧感を伝達する触覚提示装置及び触覚提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、指Fで触れることで入力を行なう装置として、タッチパネル51が知られている。このタッチパネル51の一方の面の複数箇所には、操作面53を有するタッチセンサ52が設けられている。各タッチセンサ52は、操作面53に対する操作者の指Fの接触をそれぞれ検出し、検出した旨の信号を出力する。このタッチパネル51には、操作者が押圧操作を行なった場合に、押した触感(押圧感)が伝達されにくいという問題がある。
【0003】
そこで、同図9に示すように、タッチパネル51の他方の面に圧電素子54を直接取付けることにより構成された触覚提示装置50が考えられている(例えば、特許文献1参照)。この触覚提示装置50によると、タッチセンサ52によって、操作面53に対する指Fの接触が検出されると、図10(a)に示すように、基準波形で変化する電圧が圧電素子54に印加される。電圧の印加により圧電素子54が伸縮し、図10(b)に示すように、タッチパネル51及び圧電素子54が、正弦波からなる基本波形で振動する。操作者には、指Fを通じてタッチパネル51の振動が伝達されることで、押しボタンスイッチを操作した場合と同様のリアルな押圧感が伝達される。
【0004】
しかし、圧電素子54は衝撃に弱い。そのため、触覚提示装置50のタッチパネル51に衝撃が加わると、その衝撃はタッチパネル51を介して圧電素子54にダイレクトに伝わり、耐久性に影響を及ぼす。従って、車両等、衝撃が伝わりやすい箇所に上記触覚提示装置50を適用することは難しい。
【0005】
これに対しては、図11に示すように、タッチパネル61と圧電素子64との間に支持部材65を介在させるとともに、圧電素子64の端部に錘66を付加した触覚提示装置60が考えられている(例えば、特許文献2参照)。この触覚提示装置60でも、タッチセンサ62によって、操作面63に対する指Fの接触が検出されると、図12(a)に示すように、基準波形で変化する電圧が圧電素子64に印加される。
【0006】
この触覚提示装置60によれば、電圧の印加により圧電素子64が伸縮して振動すると、その振幅が錘66によって増幅されて、タッチパネル61に伝達される。また、タッチパネル61と圧電素子64との間に支持部材65が介在されることで、圧電素子64がタッチパネル61に直接取付けられる場合よりも、タッチパネル61に加わった衝撃が圧電素子64に伝わりにくくなる。そのため、車両等、衝撃が伝わりやすい箇所であっても触覚提示装置60を適用することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−118754号公報
【特許文献2】特開2004−94389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、後者の触覚提示装置60では、前者の触覚提示装置50とは異なり、タッチパネル61が正弦波からなる基本波形で振動せず、押しボタンスイッチを操作したときのようなリアルな押圧感が得られにくいという問題がある。これは、タッチパネル61の固有振動数と、圧電素子64に支持部材65及び錘66を加えてなる振動体67の固有振動数との相違が原因で、正弦波からなる基本波形(図10(b)参照)が、図12(b)に示すように歪むためと考えられる。そして、この歪んだ振動波形により、操作者に違和感を感じさせるおそれがある。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、タッチパネルを押圧操作した操作者に対し、より良好な押圧感を感じさせることのできる触覚提示装置及び触覚提示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する触覚提示装置は、一方の面にタッチセンサが設けられたタッチパネルと、錘を有し、かつ前記タッチパネルの他方の面に対し、支持部材を介して取付けられた圧電素子と、前記タッチパネルに対する押圧操作が前記タッチセンサにより検出されることをもって、前記圧電素子に電圧を印加して同圧電素子を伸縮させる制御部とを備える触覚提示装置であって、前記圧電素子の伸縮による前記タッチパネルの振動における振幅の時間変化である振動波形を計測する振動波形計測部と、前記振動波形計測部により計測された振動波形に基づき、前記圧電素子に前記支持部材及び前記錘を加えてなる振動体の振動波形を求める振動波形演算部と、前記振動波形演算部で求められた振動波形を打ち消すための振動波形で前記振動体を振動させる補正電圧に基づき、次回以降の前記押圧操作に応じて前記制御部により前記圧電素子に印加される電圧を補正する電圧補正部とがさらに設けられている。
【0011】
上記の構成によれば、操作者によってタッチパネルが押圧操作されて、そのことがタッチセンサによって検出されると、制御部によって圧電素子に電圧が印加される。圧電素子が伸縮し、これに伴い、圧電素子に支持部材及び錘を加えてなる振動体が振動する。この振動体の振動がタッチパネルに伝達されて、同タッチパネルの振動が操作者に伝達される。
【0012】
一方で、振動波形計測部では、圧電素子の伸縮によるタッチパネルの振動における振幅の時間変化である振動波形が計測される。この振動波形は、タッチパネルの振動波形に振動体の振動波形が重畳されたものである。計測された振動波形に基づき、振動体の振動波形が振動波形演算部によって求められる。そして、電圧補正部では、上記の求められた振動波形を打ち消すための振動波形でタッチパネル及び振動体を振動させる補正電圧に基づき上記電圧が補正される。
【0013】
次回以降、操作者によってタッチパネルが押圧操作されると、制御部では、上記補正後の電圧が圧電素子に印加される。タッチパネル及び振動体は、振動体の振動波形が打ち消されたような振動波形で振動する。そのため、操作者には、タッチパネルの振動波形に振動体の振動波形が重畳した場合よりも良好な押圧感が伝達される。
【0014】
上記触覚提示装置において、一方の面にタッチセンサが設けられたタッチパネルの他方の面に圧電素子を直接取付け、前記タッチパネルに対する押圧操作が前記タッチセンサにより検出されることをもって、基準波形で変化する電圧を前記圧電素子に印加して同圧電素子を伸縮させ、前記タッチパネルを正弦波からなる基本波形で振動させるようにした触覚提示装置を基準触覚提示装置とした場合において、前記制御部は、前記振動波形計測部による振動波形の計測に先立ち前記圧電素子に印加される電圧として、前記基準触覚提示装置において印加される前記基準波形の電圧を用いることが好ましい。
【0015】
基準触覚提示装置では、操作者によってタッチパネルが押圧操作されたことがタッチセンサによって検出されると、基準波形で変化する電圧が圧電素子に印加される。圧電素子が伸縮させられ、タッチパネルが正弦波からなる基本波形で振動させられる。そのため、操作者には、押しボタンスイッチを操作した場合のようなリアルな押圧感が伝達される。
【0016】
一方、触覚提示装置では、操作者によってタッチパネルが押圧操作されたことがタッチセンサによって検出されると、制御部によって圧電素子に電圧が印加される。この電圧として、基準触覚提示装置において印加される基準波形の電圧が用いられる。振動波形計測部での振動波形の計測、及び振動波形演算部での振動体の振動波形の演算を経て、電圧補正部での電圧の補正が行なわれる。
【0017】
次回以降、操作者によってタッチパネルが押圧操作されて、制御部により、上記補正後の電圧が圧電素子に印加されると、タッチパネル及び振動体は、振動体の振動波形が打ち消されたような振動波形で振動する。そのため、操作者には、上記基準触覚提示装置のタッチパネルを押圧操作した場合と同様の押圧感、すなわち、押しボタンスイッチを操作した場合のようなリアルな押圧感が伝達される。
【0018】
上記触覚提示装置において、前記振動波形演算部は、前記振動波形計測部により計測された振動波形をフーリエ変換することにより、前記振動体の固有振動数を求め、その固有振動数を逆フーリエ変換することにより、前記振動体の振動波形を求めることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、振動波形演算部では、振動波形計測部により計測された振動波形、すなわち、タッチパネルの振動波形に振動体の振動波形が重畳した振動波形、がフーリエ変換されることにより、振動体の固有振動数が求められる。そして、その固有振動数が逆フーリエ変換されることにより、振動体の振動波形が求められる。
【0020】
上記触覚提示装置において、前記電圧補正部は、前記振動波形演算部で求められた振動波形の位相を180°ずらした振動波形で前記振動体を振動させるための補正電圧により、次回以降の前記押圧操作に応じて前記圧電素子に印加される電圧を補正することが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、振動波形演算部で求められた振動体の振動波形の位相を180°ずらした振動波形は、振動体の振動波形を反転した波形となる。そのため、位相をずらした上記振動波形が、タッチパネル及び振動体の振動波形に加えられると、振動体の振動波形が打ち消される。
【0022】
従って、振動体の振動波形の位相を180°ずらした振動波形で振動体を振動させるための補正電圧により、電圧が補正され、その補正後の電圧が、次回以降、操作者によってタッチパネルが押圧操作された場合に圧電素子に印加されることで、タッチパネル及び振動体は、振動体の振動波形が打ち消されたような振動波形で振動する。
【0023】
上記触覚提示装置において、前記振動波形計測部は、前記タッチパネルを支持し、かつ同タッチパネルの振動の振幅を直接又は間接に検出する振動センサを備え、その振動センサの検出結果に基づき前記タッチパネルの振動波形を計測することが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、圧電素子への電圧の印加により、圧電素子を含む振動体の全体が振動して、タッチパネルが振動すると、その振動の振幅は、同タッチパネルを支持する振動センサによって検出される。振動波形計測部では、振動センサの検出結果に基づきタッチパネルの振動波形が計測される。
【0025】
上記触覚提示装置において、前記タッチパネルは、前記振動センサを介して車両のステアリングホイールに支持されることが好ましい。
車両の走行中や、車載エンジンのアイドリング中には、ステアリングホイールに上下方向や左右方向の振動が伝わる。この振動は、上記振動センサを介してステアリングホイールに支持されたタッチパネルにも伝達される。この振動は、圧電素子にも伝わるが、その伝わる振動の強度は、タッチパネルに圧電素子が直接取付けられた場合よりも、タッチパネルに支持部材を介して圧電素子が取付けられた場合の方が小さい。従って、車両のステアリングホイールに支持された触覚提示装置に対しては種々の振動が伝わるが、圧電素子は衝撃を受けにくい。
【0026】
上記課題を解決する触覚提示方法は、一方の面にタッチセンサが設けられたタッチパネルの他方の面に対し、錘を有する圧電素子を、支持部材を介して取付け、前記タッチパネルに対する押圧操作が前記タッチセンサにより検出されることをもって、前記圧電素子に電圧を印加して同圧電素子を伸縮させるようにした触覚提示装置に適用される触覚提示方法であって、前記圧電素子に印加される電圧の設定に先立ち、基準波形で変化する電圧を前記触覚提示装置の前記圧電素子に印加し、その圧電素子の伸縮による前記タッチパネルの振動における振幅の時間変化である振動波形を計測し、その計測した振動波形に基づき、前記圧電素子に前記支持部材及び前記錘を加えてなる振動体の振動波形を求め、その求めた振動波形を打ち消すための振動波形で前記振動体を振動させる補正電圧に基づき、前記基準波形の電圧を補正し、補正後の電圧を、前記触覚提示装置における前記圧電素子に印加される電圧として設定する。
【0027】
上記の触覚提示方法によれば、触覚提示装置の圧電素子に印加される電圧の設定に先立ち、基準波形で変化する電圧がその圧電素子に印加される。圧電素子の伸縮によるタッチパネルの振動における振幅の時間変化である振動波形が計測される。計測された振動波形に基づき、圧電素子に支持部材及び錘を加えてなる振動体の振動波形が求められる。求められた振動波形を打ち消すための振動波形で振動体を振動させる補正電圧に基づき、基準波形の上記電圧が補正される。補正後の電圧が、触覚提示装置における圧電素子に印加される電圧として設定される。
【0028】
そして、触覚提示装置のタッチパネルが操作者によって押圧操作されて、そのことがタッチセンサによって検出されると、圧電素子に対し、上記のように設定された補正後の電圧が印加される。圧電素子が伸縮し、これに伴い、振動体がタッチパネルと一緒になって、その振動体の振動波形が打ち消されたような振動波形で振動する。そのため、操作者には、タッチパネルの振動波形に振動体の振動波形が重畳した場合よりも良好な押圧感が伝達される。
【0029】
上記触覚提示方法において、一方の面にタッチセンサが設けられたタッチパネルの他方の面に圧電素子を直接取付け、前記タッチパネルに対する押圧操作が前記タッチセンサにより検出されることをもって、基準波形で変化する電圧を前記圧電素子に印加して同圧電素子を伸縮させ、前記タッチパネルを正弦波からなる基本波形で振動させるようにした触覚提示装置を基準触覚提示装置とした場合において、前記触覚提示装置における前記振動波形の計測に先立ち前記圧電素子に印加される基準波形の電圧として、前記基準触覚提示装置において印加される前記基準波形の電圧を用いることが好ましい。
【0030】
上記基準触覚提示装置では、操作者によってタッチパネルが押圧操作されて、そのことがタッチセンサによって検出されると、基準波形で変化する電圧が圧電素子に印加される。圧電素子が伸縮させられ、タッチパネルが正弦波からなる基本波形で振動させられる。そのため、操作者には、押しボタンスイッチを操作した場合のようなリアルな押圧感が伝達される。
【0031】
上記の触覚提示方法によれば、触覚提示装置の圧電素子に印加される電圧の設定に先立ち、基準波形で変化する電圧がその圧電素子に印加されるところ、その電圧として、基準触覚提示装置において印加される基準波形の電圧が用いられる。振動波形の計測、及び振動体の振動波形の演算を経て、電圧の補正が行なわれる。
【0032】
そして、操作者によってタッチパネルが押圧操作されて、そのことがタッチセンサによって検出されると、上記補正後の電圧が圧電素子に印加される。タッチパネル及び振動体は、振動体の振動波形が打ち消されたような振動波形で振動する。そのため、操作者には、上記基準触覚提示装置のタッチパネルを押圧操作した場合と同様の押圧感、すなわち、押しボタンスイッチを操作した場合のようなリアルな押圧感が伝達される。
【発明の効果】
【0033】
上記触覚提示装置及び触覚提示方法によれば、タッチパネルを押圧操作した操作者に対し、より良好な押圧感を感じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】一実施形態における触覚提示装置が組込まれた車両用のステアリングホイールを示す図であり、(a)は側面図、(b)はステアリングホイールを図1(a)のA方向から見た正面図。
図2】一実施形態における触覚提示装置の概略構成図。
図3】一実施形態における触覚提示装置の電気的構成を示すブロック図。
図4】一実施形態において、操作者によってタッチパネルが押圧操作された場合に電子制御装置により実行される処理について説明するフローチャート。
図5】一実施形態におけるタッチパネルが、エンジン始動後、初めて押圧操作された場合の作用を説明する図であり、(a)は、圧電素子に印加される電圧の波形を示す特性図であり、(b)は、タッチパネル及び振動体の振動波形を示す特性図。
図6図5(b)の振動波形をフーリエ変換することにより得られる、周波数と振幅との関係を示す特性図。
図7図6の特性に基づき求められる振動体の振動波形を、位相を180°ずらした状態で示す特性図。
図8】一実施形態におけるタッチパネルが、2回目以降に押圧操作された場合の作用を説明する図であり、(a)は、図7の振動波形で振動体を振動させるための補正電圧にて補正されて、圧電素子に印加される電圧の波形を示す特性図であり、(b)はタッチパネル及び振動体の振動波形を示す特性図。
図9】従来の触覚提示装置の概略構成図。
図10図9の触覚提示装置におけるタッチパネルが押圧操作された場合の作用を説明する図であり、(a)は圧電素子に印加される電圧の波形を示す特性図であり、(b)は、タッチパネル及び圧電素子の振動波形を示す特性図。
図11図9とは異なるタイプの従来の触覚提示装置の概略構成図。
図12図11の触覚提示装置におけるタッチパネルが押圧操作された場合の作用を説明する図であり、(a)は圧電素子に印加される電圧の波形を示す特性図であり、(b)は、タッチパネル及び振動体の振動波形を示す特性図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、触覚提示装置及び触覚提示方法の一実施形態について、図1図8を参照して説明する。
図1(a),(b)に示すように、車両の運転席よりも前方には、回転軸線Lを中心として回転するステアリングシャフト(操舵軸)11が、運転席側(図1(a)の左側)ほど高くなるように傾斜した状態で配設されている。ステアリングシャフト11の後端部には、ステアリングホイール12が一体回転可能に取付けられている。
【0036】
なお、本実施形態では、ステアリングホイール12の各部(触覚提示装置20を含む)について説明する際には、ステアリングシャフト11の回転軸線Lを基準とする。この回転軸線Lに沿う方向をステアリングホイール12の「前後方向」といい、回転軸線Lに直交する面に沿う方向のうち、ステアリングホイール12の起立する方向を「上下方向」というものとする。従って、ステアリングホイール12の前後方向及び上下方向は、車両の前後方向(水平方向)及び上下方向(鉛直方向)に対し若干傾いていることとなる。
【0037】
ステアリングホイール12は、リム部(ハンドル部、リング部と呼ばれることもある)13、パッド部14及びスポーク部15を備えている。リム部13は、運転者によって把持されて回転操作(操舵)される部分であり、上記回転軸線Lを中心とした略円環状をなしている。パッド部14は、リム部13によって囲まれた空間に配置されている。スポーク部15は、リム部13及びパッド部14間の複数箇所に設けられている。
【0038】
図1及び図2に示すように、所定のスポーク部15における芯金16には、本実施形態の触覚提示装置20が組込まれている。触覚提示装置20の主要部は、タッチパネル21、複数の振動センサ25、圧電素子26、支持部材27及び錘28を備えている。
【0039】
タッチパネル21は、操作者としての運転者Dの指Fにより押圧操作されるものであり、略板状をなし、芯金16の後方近傍に配置されている。タッチパネル21の後面の複数箇所には、静電容量式のタッチセンサ22がそれぞれ設けられている。各タッチセンサ22は、高さの低い突部23を備えており、その突部23の後側の面は、指Fによって接触及び押圧される操作面24となっている。各タッチセンサ22では、指Fと、図示しない検出部とによってコンデンサが構成される。そして、各タッチセンサ22では、指Fが操作面24に触れることに伴うコンデンサの静電容量の変化が検出されることで、操作面24に対する指Fの接触状態が検出される。
【0040】
複数の振動センサ25は、圧電素子26の伸縮により振動するタッチパネル21の振動波形を計測する振動波形計測部の一部を構成するものであり、タッチパネル21と上記芯金16との間に配置されている。タッチパネル21は、これらの振動センサ25によって、芯金16に対し、前後方向へ振動可能に支持されている。各振動センサ25は、タッチパネル21が振動した場合に、その変位量(振幅)を直接又は間接に検出する。なお、間接に検出する振動センサ25としては、例えば、タッチパネル21の振動に伴い加わる圧力を検出する圧力センサが用いられてもよい。
【0041】
圧電素子26は、タッチパネル21の前方に配置されており、支持部材27を介して、タッチパネル21の前面に取付けられている。圧電素子26としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックからなる薄板を電極層で挟みながら複数枚積層したものが用いられている。圧電素子26は、力が加えられるとその力を電圧に変換する性質と、電圧が加えられるとその電圧を力に変換する性質とを有する素子である。
【0042】
圧電素子26の後者の性質を利用して、圧電素子26に電圧を印加することにより、同圧電素子26を伸縮させてタッチパネル21を前後方向に振動させるようにしている。すなわち、圧電素子26を、タッチパネル21を振動させるアクチュエータとして機能させるようにしている。
【0043】
支持部材27は、ゴム等の弾性を有する材料によって形成されている。この支持部材27により、上記圧電素子26はタッチパネル21に弾性的に支持されている。なお、支持部材27として、ゴムに代えて、ばねが用いられてもよい。支持部材27はタッチパネル21の前面に対しても、圧電素子26の後面に対しても接着されている。
【0044】
錘28は、圧電素子26の振幅を増大してタッチパネル21に伝達するために用いられており、同圧電素子26において支持部材27から離間した箇所、ここでは端部に固定されている。
【0045】
上記圧電素子26に支持部材27及び錘28を加えたものによって振動体29が構成されている。
さらに、触覚提示装置20は、図3に示す電子制御装置31を備えている。電子制御装置31には、各タッチセンサ22、各振動センサ25及び圧電素子26がそれぞれ電気的に接続されている。電子制御装置31は、各種の制御に係る演算処理を実施する中央演算処理装置(CPU)、各種の制御用のプログラムやデータが記憶されたメモリ等を備えて構成されている。そして、電子制御装置31は、各タッチセンサ22及び各振動センサ25からの各検出信号に基づき各種演算を行ない、その演算結果に基づき圧電素子26に対する電圧の印加を制御する。
【0046】
次に、本実施形態の作用として、電子制御装置31が実行する処理について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。なお、このフローチャートの一連の処理は、車載エンジンの始動に伴い開始され、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0047】
電子制御装置31は、まず、ステップ110において、各タッチセンサ22の検出信号に基づき、操作者によってタッチパネル21が押圧操作されたかどうかを判定する。
上記ステップ110の判定条件が満たされている(押圧操作検出)と、ステップ120において、タッチパネル21に対する上記押圧操作が、エンジン始動後に初めてなされたものであるかどうかを判定する。これに対し、上記判定条件が満たされていない(タッチパネル21の押圧操作非検出)と、ステップ110の処理を繰り返す。
【0048】
上記ステップ120の判定条件が満たされている(初回の押圧操作である)と、ステップ130において、図5(a)に示すように、予め設定された基準波形で変化する電圧を圧電素子26に印加する。この基準波形は、次のようにして設定されたものである。
【0049】
従来の触覚提示装置50と同様の構成を有する触覚提示装置を基準触覚提示装置とする。この基準触覚提示装置では、一方の面にタッチセンサが設けられたタッチパネルの他方の面に圧電素子が直接取付けられている。そして、操作者によってタッチパネルが押圧操作されて、そのことがタッチセンサによって検出されると、基準波形で変化する電圧が圧電素子に印加される。圧電素子が伸縮させられ、タッチパネルが正弦波からなる基本波形で振動させられる。そのため、操作者には、押しボタンスイッチを操作した場合のような触感(押圧感)が伝達される。
【0050】
このように、基準触覚提示装置において印加される基準波形の電圧は、ステップ130において印加される基準波形の電圧とされる。
これに対し、本実施形態の触覚提示装置20では、従来の触覚提示装置60と同様に、端部に錘28の固定された圧電素子26が、支持部材27を介してタッチパネル21に取付けられている。この圧電素子26に対し、上記基準波形の電圧が印加されると、圧電素子26が伸縮し、これに伴い振動体29の全体が振動する。この振動体29の振動がタッチパネル21に伝達されて、同タッチパネル21の振動が、タッチパネル21を押圧操作している運転者Dの指Fに伝達される。
【0051】
このときには、上記基準触覚提示装置とは異なり、押しボタンスイッチを操作した場合のような押圧感が得られにくい。これは、タッチパネル21の固有振動数と、振動体29の固有振動数との相違が原因で、タッチパネル21及び圧電素子26の振動の基本波形に、振動体29の振動波形が重畳して、基本波形が歪むためと考えられる。
【0052】
上記の点を考慮し、本実施形態では、図4の上記ステップ130の実行後に、ステップ140において、圧電素子26の伸縮によるタッチパネル21の振動における振幅の時間変化である振動波形(図5(b)参照)を計測する。この計測には、振動センサ25によって検出されるタッチパネル21の振幅が用いられる。
【0053】
次に、ステップ150,160において、上記ステップ140で計測された振動波形(図5(b)参照)に基づき、振動体29の振動波形を求める。より詳しくは、ステップ150では、上記ステップ140で計測された振動波形をフーリエ変換することにより、振動体29の固有振動数を求める。図6は、図5(b)の振動波形をフーリエ変換することにより得られる、周波数と振幅との関係を示している。振幅は、周波数αを含む周波数域と、周波数αよりも高い周波数βを含む周波数域とで、他の周波数域よりも大きくなる。このことから、タッチパネル21の固有振動数が周波数α又はそれに近い値であり、振動体29の固有振動数が周波数β又はそれに近い値であると考えられる。そこで、振動体29の固有振動数を決定するに当たり、周波数αを含む周波数域を除く周波数域が、対象の周波数域とされる。この対象の周波数域のうちで振動の振幅が最大となるときの周波数が、振動体29の固有振動数とされる。
【0054】
ステップ160では、求められた固有振動数を逆フーリエ変換することにより、振動体29の振動波形を求める。
ステップ170において、上記ステップ160で求められた振動波形を打ち消すための振動波形で振動体29を振動させる補正電圧に基づき、触覚提示装置20の圧電素子26に印加される電圧を補正する。より詳しくは、ステップ160で求められた振動波形の位相を、図7に示すように180°ずらした振動波形で振動体29を振動させるための補正電圧により上記電圧を補正する。
【0055】
次に、図4のステップ180において、車載エンジンを停止させるための操作(キー操作)が行なわれたかどうかを判定する。この判定条件が満たされていない(エンジン運転中である)と、上記ステップ110に戻る。
【0056】
一方、上記ステップ120の判定条件が満たされていないと、すなわち、タッチパネル21に対する押圧操作があり、かつその押圧操作が、エンジン始動後、2回目以降の押圧操作であると、ステップ190へ移行する。ステップ190では、上記ステップ170の処理により補正された後の電圧(図8(a)参照)を圧電素子26に印加する。
【0057】
ステップ190の処理は、車載エンジンを停止させるための操作が行なわれるまでは、操作者によってタッチパネル21が押圧操作される毎に実行される。
そして、上記ステップ170又はステップ190の処理を実行した後、車載エンジンを停止させるための操作が行なわれてステップ180の判定条件が満たされると、上述した一連の処理を停止する。
【0058】
ここで、上記各振動センサ25と、ステップ140の処理を行なう電子制御装置31とによって、振動波形計測部が構成されている。ステップ130,190の処理を行なう電子制御装置31によって制御部が構成されている。ステップ150,160の処理を行なう電子制御装置31によって振動波形演算部が構成されている。ステップ170の処理を行なう電子制御装置31によって電圧補正部が構成されている。
【0059】
上記一連の処理によると、例えば、図5のタイミングt1で、エンジン始動後、初めて操作者によってタッチパネル21が押圧操作されたことが検出されると、図4のフローチャートに従い、ステップ110→120→130の順に処理が行なわれる。図5(a)に示すように、基準波形で変化する電圧が圧電素子26に印加されて、タイミングt2以降に圧電素子26が伸縮し、振動体29及びタッチパネル21が図5(b)に示すように歪んだ振動波形で振動するところ、図4のステップ140→150→160→170の順に処理が行なわれることで、電圧が補正される。
【0060】
その後、図8のタイミングt11で、操作者によってタッチパネル21が押圧操作されたことが検出されると、図4のステップ110→120→190の順に処理が行なわれる。図8(a)に示す補正後の電圧が圧電素子26に印加されて、タイミングt12以降に圧電素子26が伸縮し、タッチパネル21及び振動体29が図8(b)に示すように、歪みの少ない正弦波からなる振動波形で振動する。この振動波形は、図5(b)に示す振動体29及びタッチパネル21の振動波形に、図7に示す振動波形(振動体29の振動波形の位相を180°ずらした振動波形)を加えて、図5(b)の振動波形に含まれる振動体29の振動波形を打ち消したのと同様の波形を有している。表現を変えると、タッチパネル21の振動波形は、振動体29の振動波形を含まない振動波形、すなわち、基準触覚提示装置と同様の振動波形(正弦波からなる基本波形)となる。
【0061】
従って、図9に示すように、タッチパネル51に圧電素子54が直接取付けられた場合に得られる、押しボタンスイッチを操作した場合と同様な押圧感が運転者Dに伝達される。この押圧感は、タッチパネル21の振動波形に振動体29の振動波形が重畳した場合(図5(b)参照)よりも良好なものである。
【0062】
さらに、本実施形態では、エンジン始動後、タッチパネル21に対する初回の押圧操作が行なわれる毎に、圧電素子26の伸縮によるタッチパネル21の振動波形が計測され、その計測結果に基づき電圧が補正される。エンジン始動後、2回目以降のタッチパネル21に対する押圧操作が行なわれる毎に、補正後の電圧が圧電素子26に印加される。
【0063】
従って、触覚提示装置20の構成部品の形状及び大きさのばらつき、同触覚提示装置20のステアリングホイール12に対する組付けのばらつき、経時変化等があっても、タッチパネル21の振動波形の計測、振動体29の固有振動数及び振動波形の各演算、さらには電圧の補正を適正に行なうことができる。
【0064】
ところで、車両の走行中や、車載エンジンのアイドリング中には、ステアリングホイール12に上下方向や左右方向の振動が伝わる。この振動は、上記振動センサ25を介して芯金16に支持されたタッチパネル21にも伝達される。この振動は、圧電素子26にも伝わるが、その伝わる振動の強度は、タッチパネル51に圧電素子54が直接取付けられた従来の触覚提示装置50(図9参照)よりも、タッチパネル21に支持部材27を介して圧電素子26が固定された本実施形態の触覚提示装置20(図2参照)の方が小さい。これは、車両側からの振動に応じ、支持部材27が弾性変形することで、振動が圧電素子26に伝わりにくくなるからである。従って、車両用のステアリングホイール12に組込まれた触覚提示装置20に対しては、種々の振動が伝わるが、圧電素子26が衝撃を受けるのを抑制することができる。触覚提示装置20を長期間にわたり支障なく使用し続けることが可能となる。
【0065】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
・エンジン始動後、タッチパネル21に対し、2回目以降の押圧操作が行なわれる毎に、補正された電圧を圧電素子26に印加する上記実施形態とは異なり、補正された電圧を予め決定しておき、タッチパネル21が押圧操作される毎に、その補正された電圧を圧電素子26に印加するようにしてもよい。
【0066】
この変形例に係る触覚提示装置の構成は、上記実施形態における触覚提示装置20と同様である。そのため、変形例の説明に際し、触覚提示装置及びその構成部材については、触覚提示装置20におけるものと同じ符号を用いるものとする。
【0067】
この変形例によれば、触覚提示装置20の圧電素子26に印加される電圧の設定に先立ち、基準波形で変化する電圧がその圧電素子26に印加されるところ、その電圧として、基準触覚提示装置において印加される基準波形の電圧が用いられる。基準触覚提示装置は、上記実施形態で説明したものと同じである。振動波形の計測、及び振動体29の振動波形の演算を経て、電圧の補正が行なわれる。
【0068】
そして、操作者によってタッチパネル21が押圧操作されて、そのことがタッチセンサ22によって検出されると、上記補正後の電圧が圧電素子26に印加される。タッチパネル21及び振動体29は、その振動体29の振動波形が打ち消されたような振動波形で振動する。そのため、操作者には、上記基準触覚提示装置のタッチパネルを押圧操作した場合と同様の押圧感、すなわち、押しボタンスイッチを操作した場合のようなリアルな押圧感が伝達される。
【0069】
この変形例では、操作者がエンジン始動後、初めてタッチパネル21を押圧操作した場合にも、2回目以降の押圧操作時と同様に、押しボタンスイッチを操作した場合と同様なリアルな押圧感を得ることができるメリットがある。
【0070】
・電圧を補正する処理の実行頻度が、車載エンジンが始動される毎に行なわれる上記実施形態とは異なる実行頻度に変更されてもよい。電圧を補正する処理は、例えば、エンジン始動が所定回数行なわれる毎や、所定日数が経過する毎に、行なわれてもよい。
【0071】
この場合、補正された後の電圧は、次回の電圧を補正する処理が行なわれるまで使い続けられる。
・支持部材27として剛体からなるものが用いられてもよい。これは、タッチパネル21と圧電素子26との間に支持部材27を介在させることで、圧電素子26がタッチパネル21に直接取付けられる場合よりも、タッチパネル21に加わった衝撃を圧電素子26に伝わりにくくすることが可能であるからである。
【0072】
・触覚提示装置20は、ステアリングホイール12においてスポーク部15とは異なる箇所、例えばパッド部14に組込まれてもよい。
・触覚提示装置20は、ステアリングホイール12とは異なる車両の構成品、例えば、インストルメントパネル等の内装品にも適用可能である。
【0073】
・触覚提示装置20は、車両とは異なる用途にも適用可能である。触覚提示装置20は、衝撃が加わりやすい用途に適用された場合には、支持部材27によって圧電素子26に衝撃が加わるのを抑制できるため、特に有効である。
【符号の説明】
【0074】
12…ステアリングホイール、20…触覚提示装置、21…タッチパネル、22…タッチセンサ、25…振動センサ(振動波形計測部の一部を構成)、26…圧電素子、27…支持部材、28…錘、29…振動体、31…電子制御装置(振動波形計測部の一部を構成するとともに、制御部、振動波形演算部及び電圧補正部を構成)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12