(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-227979(P2017-227979A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】交通信号灯
(51)【国際特許分類】
G08G 1/095 20060101AFI20171201BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20171201BHJP
F21V 29/90 20150101ALI20171201BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20171201BHJP
【FI】
G08G1/095 D
F21S2/00 660
F21V29/90
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-121970(P2016-121970)
(22)【出願日】2016年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】戸舘 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】三浦 駿
(72)【発明者】
【氏名】久保 陽拓
【テーマコード(参考)】
3K243
5H181
【Fターム(参考)】
3K243MA01
5H181AA01
5H181GG13
5H181HH14
(57)【要約】
【課題】交通信号灯の表示灯レンズ部への着雪を防止できて、メンテナンスも容易な構造の交通信号灯を提供する。
【解決手段】LEDを発光元とする交通信号灯1において、該交通信号灯1の灯器を構成するレンズ部10外面に送風する送風部2を設けたことを特徴とした交通信号灯による。送風部2は、レンズ部10外面と略平行に送風を行う。また、送風部2には、送風する風を温めるヒータ23が設けられている。さらに、外気温を感知して送風のON・OFFを行う。これにより、着雪を防止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを発光元とする交通信号灯において、該交通信号灯の灯器を構成するレンズ外面に送風する送風部を設けたことを特徴とした交通信号灯。
【請求項2】
前記送風部は、前記レンズ外面と略平行に送風を行うことを特徴とした請求項1に記載の交通信号灯。
【請求項3】
前記送風部には、送風する風を温めるヒータが設けられていることを特徴とした請求項1又は請求項2に記載の何れかの交通信号灯。
【請求項4】
前記送風部からの送風は、外気温を感知してON・OFFが行われるように制御されていることを特徴とした請求項1乃至請求項3に記載の何れかの交通信号灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通信号灯に関し、特に降雪時に信号灯のレンズ部に雪が付着しないようにした交通信号灯の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
交通信号灯は、降雪がある地域においては、信号灯のレンズ部に着雪があると、点灯色が視認できなくなり、交通信号の役割を果たさなくなるという問題がある。このため何らかの着雪防止策を講じる必要がある。従来、光源として白熱電球等を使用していた信号灯は、白熱電球自体が発熱するため、着雪した雪を解かすことができるため、レンズ部に着雪して認識できずに交通に支障をきたすほど問題となることがなかった。しかし、近年発光ダイオード(LED)を光源として使用した省エネタイプの信号灯が採用されるようになってきている。発光ダイオードの場合、発熱量が低いため着雪した雪を溶かすことができず、信号灯のレンズ部の着雪により点灯色を視認できないという問題がある。
【0003】
前記のような問題を解決するため、従来様々な方法が提案されている。例えば、特開平9−264011号公報(特許文献1)の「着雪防止具を備えた標識装置」や特許第5824217号公報(特許文献2)の「交通信号用灯器」が公知となっている。特許文献1の標識装置は、垂直線に対して僅かに前傾して取付けられた標識板の前面に、標識板の傾斜角度より大きく前傾状態で透明部材を取付けると共に透明部材の上方を、風のよどみを防止する曲面形状として着雪防止をしたものである。また、特許文献2の交通信号用灯器は、庇状フードを設けず、発光部の前方を覆い、前方に突出した凸形状を有する透光性のドーム部であって、ドーム部の内面の少なくとも上部側から側方側にかけて発光部寄りに暗色部有するドーム部を備え、ドーム部の暗色部によって、発光部の光が吸収され且つ上面視および側面視において遮光範囲が設けられた交通信号用灯器である。これによれば、庇状フードを取付けない結果、吹雪であっても庇状フードが集雪器として作用したり、衝立として作用して吹き込んでる雪の着雪を促進させない。また、カバー部の内面に発光部寄りに暗色部を設けたことで、発光部から発せられた光を吸収して熱に換え融雪を促す。というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−264011号公報
【特許文献2】特許第5824217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、特許文献2の従来の装置は、信号灯の前部にカバーを設ける構成である。この構造の場合、カバー内に埃等が付着すると内外の掃除を定期的に行わなければならず、メンテナンス作業が面倒である。また、レンズよりカバー部が前方に突設しているため、側方側からの視認性が劣る場合がある。さらに、カバー面に吹き付ける雪は、様々な環境状況によって性質が異なり、吹付方向や吹付速度も多様に変化するため、カバー表面への付着が避けられないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたもので、交通信号灯の表示灯レンズ部への着雪を確実に防止できて、メンテナンスも容易な構造の交通信号灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、LEDを発光元とする交通信号灯において、該交通信号灯の灯器を構成するレンズ外面に送風する送風部を設けたことを特徴とした交通信号灯である。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記送風部は、前記レンズ外面と略平行に送風を行うことを特徴とした請求項1に記載の交通信号灯である。
【0009】
また、請求項3の発明は、前記送風部には、送風する風を温めるヒータが設けられていることを特徴とした請求項1又は請求項2に記載の何れかの交通信号灯である。
【0010】
さらに、請求項4の発明は、前記送風部からの送風は、外気温を感知してON・OFFが行われるように制御されていることを特徴とした請求項1乃至請求項3に記載の何れかの交通信号灯である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、交通信号灯に送風部を設け、レンズ外面に送風することによって、付着しようとする雪を確実に吹き飛ばすことができる。また、レンズ外面に略平行に送風が行われることによって、レンズ部にはエアカーテンのような作用が働き着雪が防止される。また、送風部に、送付する風を温めるヒータが設けられていることにより、レンズ部に吹き付ける暖かい風によって、雪を確実に溶かすと共に払いのけることができる。さらに、送風は、外気温を感知してON・OFFが行われるように制御されていることによって電力消費を抑える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例の交通信号灯に取付けた状態の送風部を断面した要部側面図である。
【
図2】本発明の実施例の交通信号灯に取付けた状態の送風部を断面した後面図である。
【
図3】本発明の実施例の送風部の吹出し口部を断面した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の一形態を、
図1乃至
図5に基づいて説明する。
図1は本発明の実施例の交通信号灯に取付けた状態の送風部を断面した要部側面図、
図2は本発明の実施例の交通信号灯に取付けた状態の送風部を断面した後面図、
図3は本発明の実施例の送風部の吹出し口部を断面した正面図、
図4は本発明の実施例の正面側から見た斜視図、
図5は本発明の実施例の後面側からの見た斜視図である。
【0014】
ここで示す交通信号灯は、横型のLED3灯式の場合を示す。支柱(図示せず)に支持部材を介して取付けられる交通信号灯1は、その前面に円形のレンズ部10を設け、その内部に発光元であるLEDが組み込まれている。
【0015】
レンズ部10には、送風部2がそれぞれ設けられている。送風部2は、レンズ部10の上部からレンズ部10と平行に風を下方に吹き付け、付着しようとする雪を吹き飛ばす。
図1に示すように、送風部2は交通信号灯1の後面側に吹き付ける風を発生させるファン20が設けられ、ファン20はモータ24により回転され、下方を向いて開口した空気取り入れ口21から空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、交通信号灯1の上部を通過してレンズ部10の上部に設けた吹出し口22からレンズ部10に吹き付けられる。ファン20及びモータ24は、送風部2のケース内に設けられ、側面視コ字状に形成された吹出し口22側の凹部を交通信号灯1の上面部に引っ掻けるように取付ける。
【0016】
図2、
図3に示すように、送風部2のケース内のファン20によって発生させた風は、矢印で示すようにケース内に設けた整流板25によって分流されて、交通信号灯1の上部を通過してレンズ部10の表面に均等に吹き付けられる。
【0017】
本例の場合、ファン20から送風された風の下流側には、送風される風を可温するためのヒータ23が設けられる。ヒータ23を設けることによって、レンズ部10に吹き付ける風の温度を上昇させることができるので、付着しようとする雪を吹き飛ばすと共に、熔解させて付着をより効果的に防止することができる。
【0018】
送風部2の取り付けは、ファン20を内蔵したケース部を交通信号灯1本体から水平に立ち上げて設けた取付けネジ26で固定して取付ける。
【0019】
送風部2からの送風は、外気温を検知してON・OFFが行われるように制御されている。制御部(図示せず)は、外気温を検知して一定の温度以下になるとファン20のモータ24を作動させ、レンズ部10に送風する。このように制御することによって、レンズ部10への雪の付着が起こらない環境下での不必要な送風がされず、電力消費を抑えることができる。
【0020】
なお、交通信号灯が縦型の場合は、本例の横型と同様に送風部を取付け、交通信号灯を縦に設置して、横方向にレンズ部に送風すると同様の効果が得られる。
【0021】
本例において、送風部2は3灯式のレンズ部10それぞれに設けているが、それぞれを一体にして一つ設けてもよい。また、送風ファン20を一つにして3か所に分流して送風してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
この発明は、降雪地域の交通信号灯等の標識板への着雪を防止して、表示の視認性の低下を防止することに利用できる。
【符号の説明】
【0023】
1 交通信号灯
10 レンズ部
2 送風部
20 ファン
21 空気取入口
22 吹出し口
23 ヒータ
24 モータ
25 整流版
26 取付ネジ