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特開2017-228500電気コネクタ、及び、電気コネクタ組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-228500(P2017-228500A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】電気コネクタ、及び、電気コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   H01R13/52 D
   H01R13/52 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-125744(P2016-125744)
(22)【出願日】2016年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(72)【発明者】
【氏名】松本 亜美
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 隆一
(72)【発明者】
【氏名】舟山 友幸
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087LL04
5E087QQ04
5E087RR12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】曝される水の量が増えても、防水性能を確保できる電気コネクタを提供すること。
【解決手段】本発明は、オス型ハウジング10と、メス型ハウジング30との嵌合方向Lに直交する、オス型ハウジング10の周方向に沿って延びる止水溝27と、を備える。水は毛細管現象により、オス型ハウジング10の前端11に向けて流れる。ところが、止水溝27の後縁に到ると、上壁37がなくなるので、水はそれまでの狭い空間から広い空間に曝される。したがって、後縁よりもオス型ハウジング10の前方側においては、毛細管現象が解かれるとともに、逆に、水には表面張力が生じるために、水は後縁よりも後方に留まろうとする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側電気コネクタと互いに嵌合される電気コネクタであって、
ハウジングと、
前記相手側電気コネクタとの嵌合方向に直交する、前記ハウジングの周方向に沿って延びる止水溝と、を備え、
前記止水溝は、
嵌合間口から前記止水溝に至る領域に溜まる水に表面張力を作用させる、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記止水溝は、
前記ハウジングの前記周方向の全域に連なって設けられるか、前記周方向の特定の領域に設けられる、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記止水溝は、
前記嵌合方向の中央よりも、前記嵌合方向の手前側に偏って設けられる、
請求項1又は請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、
前記相手側電気コネクタとの前記嵌合を案内し、前記嵌合方向に延びるガイドを備え、
前記ガイドは、
前記止水溝よりも前記嵌合方向の奥側のみに設けられる、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、
前記止水溝よりも前記嵌合方向の手前側に、前記周方向に沿って延びる、前記止水溝よりも開口面積の小さい誘導溝を備え、
前記誘導溝は、
前記嵌合間口から浸入する水が浸水する、
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記ハウジングは、
メス型コンタクトを保持する、オス型ハウジングであり、
前記止水溝は、
前記オス型ハウジングの外周面に形成される、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
互いに嵌合される、メス型コンタクトを保持する第一電気コネクタと、オス型コンタクトを保持する第二電気コネクタと、を備え、
前記第一電気コネクタ及び前記第二電気コネクタのいずれか一方が、
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の電気コネクタからなる、
ことを特徴とする電気コネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関し、特に軽度の防水性能を備える電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に用いられる電気コネクタは、水が直接的に滴り落ちる部位に配置されるものとそうでないものがある。前者としては、エンジンルームを引き回される配線及び回路基板に用いられる電気コネクタがあり、後者としては、車内に配置される電装品、その他の配線及び回路基板に用いられる電気コネクタがある。前者に該当する電気コネクタは、例えば、オス型ハウジングとメス型ハウジングの間に、ゴム製のシールリングと称される、ハウジングとは別体の部材を介在させることで、高い防水性能を確保する。これに比べて、後者に該当する電気コネクタは、防水性能の要求が軽度であるために、シールリングを用いるのではなく、ハウジングの構造に手を加えることで防水性能を確保する例がある。
【0003】
例えば、特許文献1は、オス型ハウジングとメス型ハウジングとのわずかな隙間を伝って、毛細管現象によって水が広がり、嵌合方向の奥側にある端子挿入孔に達しうることを指摘している。特許文献1は、ハウジングの周方向に凹部を設け、この凹部に水を溜めることにより、水がそれよりも奥に伝わって流れるのを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−108499号公報(図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、凹部に水を溜める特許文献1の防水機構だと、凹部に水が満たされるまでは防水性能を発揮するが、凹部の容量を超えると、凹部から水があふれ出てしまう。つまり、特許文献1の提案は、凹部で規定される量を超える水に曝されると、防水性能が著しく低下する。
【0006】
以上より、本発明は、曝される水の量が増えても、防水性能を維持できる電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気コネクタは、相手側電気コネクタと互いに嵌合される電気コネクタであって、ハウジングと、相手側電気コネクタとの嵌合方向に直交する、ハウジングの周方向に沿って延びる止水溝と、を備える。
本発明における止水溝は、嵌合間口から止水溝に至る領域に溜まる水に表面張力を作用させる、ことを特徴とする。
【0008】
本発明における止水溝は、ハウジングの周方向の全域に連なって設けるか、周方向の特定の領域に設ける、ことができる。
【0009】
本発明における止水溝は、嵌合方向の中央よりも、嵌合方向の手前側に偏って設ける、ことができる。
【0010】
本発明におけるハウジングは、相手側電気コネクタとの嵌合を案内し、嵌合方向に延びるガイドを備える、ことができる。本発明において、このガイドは、止水溝よりも嵌合方向の奥側のみに設ける、ことが好ましい。
【0011】
本発明におけるハウジングは、止水溝よりも嵌合方向の手前側に、周方向に沿って延びる、止水溝よりも開口面積の小さい誘導溝を備える、ことができる。この誘導溝は、嵌合間口から浸入する水が浸水する、ことを前提とする。
【0012】
電気コネクタは、メス型コンタクトを保持するコネクタと、オス型のコンタクトを保持するコネクタと、が存在するが、本発明の電気コネクタは、いずれのコネクタにも適用できる。ただし、本発明においては、メス型コンタクトを保持する、オス型ハウジングに適用することが好ましく、この形態における止水溝は、オス型ハウジングの外周面に形成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気コネクタによれば、ハウジングの周方向に止水溝を設けるが、この止水溝は水を溜めることを目的とするのではなく、止水溝に至る領域に溜まる水に表面張力を作用させることにより、水が止水溝及びそれよりも先端に水が達するのを避ける。このように、本発明は、止水溝が水に対してあたかもストッパとして機能することにより、止水溝27よりも嵌合方向の奥側に流れるのを阻止する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る電気コネクタのオス型ハウジングを示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のIb−Ib線矢視断面図、(c)は(a)のIc−Ic線矢視断面図である。
図2】第1実施形態に係るメス型ハウジングを示し、(a)は斜視図、(b)は(a)の透視図である。
図3】第1実施形態に係る電気コネクタ組立体を示し、(a)は図1(b)に対応する断面図、(b)は図1(c)に対応する断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る電気コネクタのオス型ハウジングを示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のIVb−IVb線矢視断面図、(c)は(a)のIVc−IVc線矢視断面図である。
図5】第2実施形態に係るメス型ハウジングを示し、(a)は斜視図、(b)は(a)の透視図である。
図6】第2実施形態に係る電気コネクタ組立体を示し、(a)は図4(b)に対応する断面図、(b)は図4(c)に対応する断面図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る電気コネクタのオス型ハウジングを示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のVIIb−VIIb線矢視断面図、(c)は(a)のVIIc−VIIc線矢視断面図である。
図8】第3実施形態に係る電気コネクタ組立体を示し、(a)は図7(b)に対応する断面図、(b)は図7(c)に対応する断面図である。
図9】第1実施形態による止水溝を説明する図であり、(a)は第1実施形態による止水溝を示し、(b)は溝が小さい例を示し、(c)は溝が挿入間口に連なる例を示す図である。
図10】本実施形態の変形例を示し、(a)は止水溝が部分的に形成される電気コネクタを示し、(b)は上ガイド溝が止水溝まで達していない電気コネクタを示し、(c)は止水溝がメス型ハウジングに形成される例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
以下では、第1実施形態〜第3実施形態の3つの実施形態を順に説明するが、第1実施形態が本発明における特徴的な要素である止水溝を備え、第2実施形態及び第3実施形態は、止水溝による効果を向上する例に関するものである。
【0016】
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る電気コネクタ組立体1は、図1図3に示すように、オス型ハウジング10とメス型ハウジング30を備えている。オス型ハウジング10は図示を省略するメス型コンタクトを保持することで本発明の電気コネクタ(第一電気コネクタ)を構成し、また、メス型ハウジング30は図示を省略するオス型コンタクトを保持することで本発明の相手側電気コネクタ(第二電気コネクタ)を構成する。オス型ハウジング10とメス型ハウジング30が互いに嵌合されると、メス型コンタクトとオス型コンタクトが電気的に接続される。以下、オス型ハウジング10、メス型ハウジング30の順にその構成を説明した後に、電気コネクタ組立体1が奏する作用及び効果について説明する。
【0017】
[オス型ハウジング10]
オス型ハウジング10は、電気的な絶縁性を備える樹脂を射出成形して得られるものであり、図1に示すように、メス型ハウジング30と嵌合の際に、メス型ハウジング30の受容キャビテイ35に先に挿入される前端11と、前端11と対向する後端13と、を備えている。図3(a),(b)に示すように、オス型ハウジング10とメス型ハウジング30が嵌合されると、オス型ハウジング10の前端11とメス型ハウジング30の奥壁45とが対向する。
なお、オス型ハウジング10及びメス型ハウジング30のそれぞれにおいて、互いに嵌合される側を前、その反対側を後と定義し、また、この前後を結ぶ方向を嵌合方向Lと定義する。
【0018】
オス型ハウジング10は、前端11と後端13を繋ぐ上壁15、下壁17、左側壁19及び右側壁21を備えている。上壁15と下壁17は高さ方向Hに所定の間隔を隔てて互いに平行をなし、左側壁19と右側壁21は幅方向Wに所定の間隔を隔てて互いに平行をなしている。また、上壁15と下壁17に対して、左側壁19と右側壁21が直交している。
【0019】
オス型ハウジング10は、図1及び図2に示すように、上壁15に上ガイド溝23が形成されている。上ガイド溝23は、メス型ハウジング30の上ガイド条49が挿入されることで、オス型ハウジング10とメス型ハウジング30の嵌合をスムーズに行うのに寄与する。
上ガイド溝23は、上壁15から下壁17に向けて所定の深さだけ窪んで形成されており、本実施形態においては、前端11と後端13を貫通して直線状に形成される。本実施形態では、2つの上ガイド溝23が幅方向Wに間隔を隔て、かつ、幅方向Wの中央に対して線対称の位置に設けられている。
【0020】
オス型ハウジング10は、図1及び図2に示すように、下壁17に下ガイド溝25が形成されている。下ガイド溝25も、メス型ハウジング30の上ガイド条51が挿入されることで、オス型ハウジング10とメス型ハウジング30の嵌合をスムーズに行うのに寄与する。
下ガイド溝25は、下壁17から上壁15に向けて所定の深さだけ窪んで形成されており、上ガイド溝23と同様に、前端11と後端13を貫通して直線状に形成される。本実施形態においては、下ガイド溝25は、幅方向Wの中央に設けられている。
【0021】
オス型ハウジング10は、その外周面に周方向に沿って延びる止水溝27を備えている。止水溝27は、オス型ハウジング10とメス型ハウジング30が嵌合された状態で、後端13の側から浸入し、オス型ハウジング10とメス型ハウジング30の間の微小な隙間を伝ってきた水が浸入し、さらに、止水溝27を越えて前端11の側に流れるのを阻止する作用を発揮する。この止水溝27による水の止水作用について、詳しくは後述する。
【0022】
本実施形態では、止水溝27は、オス型ハウジング10の周方向の全域に連なって形成されている。つまり、止水溝27は、嵌合方向Lに直交するように、上壁15、下壁17、左側壁19及び右側壁21のそれぞれに形成されている。止水溝27は、嵌合方向Lの中央よりも後端13の側、つまり嵌合方向Lの手前側に偏って設けられている。そうすることで、嵌合間口47から近い位置で水の浸入を止め、嵌合方向Lの奥側に水が至るのを阻止できる。
止水溝27は、上ガイド溝23及び下ガイド溝25に対応する部分は深溝27Bをなし、それ以外の部分は浅溝27Aをなしている。止水溝27による止水作用を発揮させるためである。
【0023】
[メス型ハウジング30]
メス型ハウジング30は、電気的な絶縁性を備える樹脂を射出成形して得られるものであり、図2及び図3に示すように、オス型ハウジング10と嵌合の際に、オス型ハウジング10の前端11を受け入れる前端31と、前端31と対向する後端33と、を備えている。メス型ハウジング30は、図2及び図3に示すように、オス型ハウジング10とメス型ハウジング30が嵌合されると、オス型ハウジング10の前端11と対向する奥壁45を備えている。奥壁45は、図示を省略するオス型コンタクトが保持されるとともに後方に向けて引き出される。
【0024】
メス型ハウジング30は、オス型ハウジング10を収容する受容キャビテイ35を備えている。受容キャビテイ35は、最小限の隙間を介してオス型ハウジング10を収容するように、直方体状に形成されている。受容キャビテイ35は、上壁37、下壁39、左側壁41、右側壁43及び奥壁45により取り囲まれているが、前端31の側はオス型ハウジング10が挿入される開口である嵌合間口47をなしている。
メス型ハウジング30は、図2(b)に示すように、上壁37の受容キャビテイ35に臨む内面に、一対の上ガイド条49,49が設けられている。また、メス型ハウジング30は、下壁39の受容キャビテイ35に臨む内面に、上ガイド条49が設けられている。上ガイド条49,49は、上壁37の嵌合方向Lの全域を貫通して直線状に、また、上ガイド条49は、下壁39の嵌合方向Lの全域を貫通して直線状に設けられている。
上ガイド条49は、メス型ハウジング30とオス型ハウジング10を嵌合する際に、オス型ハウジング10の上ガイド溝23,23に挿入されることで、メス型ハウジング30とオス型ハウジング10を相互に案内する。また、上ガイド条49は、メス型ハウジング30とオス型ハウジング10を嵌合する際に、オス型ハウジング10の下ガイド溝25に挿入されることで、メス型ハウジング30とオス型ハウジング10を相互に案内する。
【0025】
[電気コネクタ組立体1の作用及び効果]
電気コネクタ組立体1は、オス型ハウジング10をその前端11からメス型ハウジング30の嵌合間口47に向けて挿入し、オス型ハウジング10の前端11がメス型ハウジング30の奥壁45に達するまで押し込むと、図3に示される嵌合が完了した状態となる。
電気コネクタ組立体1は、嵌合完了状態において、図9(a)に示すように、メス型ハウジング30の嵌合間口47に向けて水WDが垂れてくることがあり、水WDが嵌合間口47に達すると、例えば、オス型ハウジング10の上壁15とメス型ハウジング30の上壁37の間の微小な隙間Gに浸入する。そうすると、隙間Gが狭いために、当該隙間Gに浸入した水WDには毛細管現象が生じるので、水WDは嵌合間口47から離れる向きに流れる。ここでは、上壁15と上壁37の間について言及したが、水WDの量によっては、他の隙間、例えば、オス型ハウジング10の下壁17とメス型ハウジング30の下壁39の間においても、同様の水WDの流れが生じる。
【0026】
毛細管現象により上壁15と上壁37の間の隙間Gを流れて、止水溝27に到ることがある。例えば、ある程度のまとまった量の水WDが嵌合間口47に垂れた場合である。ところが、本実施形態の場合には、止水溝27まで流れた水WDは、止水溝27の前縁29のところで流れが止められるので、止水溝27の内部に容易に流れ落ちることはない。これは、以下の理由による。
上壁15と上壁37が対向している領域は、隙間Gが狭いために、水WDは毛細管現象により、オス型ハウジング10の前端11、つまり嵌合方向Lの奥側に向けて流れる。ところが、止水溝27の前縁29に到ると、水WDはそれまでの狭い空間から広い空間に曝される。したがって、前縁29よりもオス型ハウジング10の前方側においては、毛細管現象が解かれるとともに、逆に、嵌合間口47から止水溝27に至る領域に留まる水WDに表面張力STが作用するために、図9(a)に示すように、水WDは前縁29よりも後方に留まろうとする。したがって、水WDは止水溝27の近傍までは流れてくるものの、止水溝27があたかもストッパになって止水溝27よりも嵌合方向Lの奥側に流れるのを阻止できる。この作用は、表面張力STを打ち破るエネルギを有するだけの水WDが垂れてこない限り有効である。
【0027】
例えば、水WDが勢いよく嵌合間口47に垂れてくると、表面張力STが打ち破られることもあり、そうすると、水WDは止水溝27に浸入し得る。しかし、浸入した水WDで止水溝27が満たされるまでは、止水溝27は表面張力STを付与するストッパとして機能し得る。
本実施形態においては、止水溝27を一つだけ設ける例を示しているが、嵌合方向Lに間隔をあけて複数の止水溝27を設けることにより、防水効果をより向上できる。
【0028】
ここで、止水溝27が上述した止水作用を発揮するか否かは、溝の幅及び深さが重要である。本発明者らの検討によれば、例えば、幅が0.5mm、深さが1.0mmの溝では、上述した止水作用を十分に得ることができずに、この溝に水が入ることを確認している。したがって、図8(b)に示すように、図9(a)と同様の位置に、図9(b)に溝55を設けたとしても、この溝55は止水溝27には該当しない。なお、ここでいう幅は嵌合方向Lの寸法をいい、深さは高さ方向Hの寸法をいう。
本発明者らの検討によると、幅が2.5mm、深さが1.0mmの溝であれば、上述した止水作用を発揮できることを確認している。もっとも、この値はあくまで一例であり、止水溝27の幅及び深さは、オス型ハウジング10及びメス型ハウジング30の仕様に応じて、シミュレーションを含め実験的に止水作用が生じるかを確認して定めることが望まれる。
以上の通りであり、電気コネクタ組立体1によれば、オス型ハウジング10に、一体的に形成される止水溝27を設けることにより、嵌合間口47に垂れてくる水WDの量が増えても、一定の防水性能を確保できる。
なお、図9(c)に示すように、本実施形態の止水溝27と同様の寸法を有する溝56を嵌合間口47に連なって設けても、止水溝としての機能を有さない。溝56よりも奥側の隙間Gが狭いために、毛細管現象が生じてしまい、水WDが奥に向けて流れてしまうからである。つまり、止水溝27は、毛細管現象が生じる狭い隙間Gよりも嵌合方向Lの奥側に設けられることにより、その止水作用を発揮する。
【0029】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る電気コネクタ組立体2を、図4図6を参照して説明する。
電気コネクタ組立体2は、止水溝27を設けることにより一定の防水性能を確保する点及び基本的な構成は電気コネクタ組立体1と一致する。ただし、電気コネクタ組立体2は、防水性能を向上するために、上ガイド溝24、下ガイド溝26、上ガイド条50及び下ガイド条52を、止水溝27よりも奥側のみに限定して設けている。なお、電気コネクタ組立体2において、電気コネクタ組立体1と同じ要素については、図1図3と同じ符号を図4図6に付けることで、その説明を省略する。
【0030】
電気コネクタ組立体2は、図6(a),(b)に示すように、オス型ハウジング10において、一対の上ガイド溝24,24及び下ガイド溝26が、それぞれ前端11から止水溝27までの間を貫通して設けられているが、止水溝27と後端13の間には設けられていない。メス型ハウジング30は、図5(a),(b)に示すように、第1実施形態に比べて短縮された上ガイド溝24及び下ガイド溝26のそれぞれに対応する位置に対応する長さの上ガイド条50及び下ガイド条52を備えている。上ガイド条50及び下ガイド条52は、奥壁45から前端31に向けた所定の範囲に限って形成されている。
【0031】
電気コネクタ組立体2は、電気コネクタ組立体1と同様に、オス型ハウジング10をその前端11からメス型ハウジング30の嵌合間口47に向けて挿入し、オス型ハウジング10の前端11がメス型ハウジング30の奥壁45に達するまで押し込むと、図6(a),(b)に示される嵌合完了状態となる。ただし、上ガイド溝24と上ガイド条50が相互に案内され、また、下ガイド溝26と下ガイド条52が相互に案内されるのは、止水溝27に到る範囲までに限られる。
【0032】
電気コネクタ組立体2は、図6(a),(b)に示すように、止水溝27と嵌合間口47の嵌合方向Lの間は、上ガイド溝24と上ガイド条50、及び、下ガイド溝26と下ガイド条52は設けられていない。仮に、上ガイド溝24と上ガイド条50、及び、下ガイド溝26と下ガイド条52が設けられていれば、嵌合間口47に水WDが垂れると、水WDは、上ガイド溝24と上ガイド条50の間の隙間、及び、下ガイド溝26と下ガイド条52の間の隙間を伝って、止水溝27まで流れる。
【0033】
ところが、電気コネクタ組立体2は、止水溝27と嵌合間口47の間には、ガイド(上ガイド溝24と上ガイド条50、及び、下ガイド溝26と下ガイド条52)が設けられていないので、ガイド部材を通じて止水溝27に水WDの流入するのを阻止できる。
ここで、止水溝27と嵌合間口47の間において、水WDは、例えばそれぞれが平坦な上壁15と上壁37の間の隙間Gを、止水溝27まで流れ得る。ところが、ガイドの部分には、嵌合方向Lに連続する凹凸形状が発生する。この形状は、複数の面で水WDに接触する狭い隙間Gとなるので、ガイドの部分は、毛細管現象が保たれやすくなるために、水WDが止水溝27に浸入しやすい。そこで、電気コネクタ組立体2は、止水溝27と嵌合間口47の間に水WDの浸入しやすいルートを設けるのを排することで、電気コネクタ組立体1に比べて高い防水性能を確保する。
【0034】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る電気コネクタ組立体3を、図7及び図8を参照して説明する。
電気コネクタ組立体3は、止水溝27を設けること、上ガイド溝24、下ガイド溝26、上ガイド条50及び下ガイド条52を、止水溝27よりも奥の側に限定して設けること及び基本的な構成は電気コネクタ組立体2と一致する。ただし、電気コネクタ組立体3は、止水溝27よりも手前に誘導溝28を備えることで、さらに高い防水性能を確保する。なお、電気コネクタ組立体3において、電気コネクタ組立体2と同じ要素については、図4図6と同じ符号を図7及び図8に付けることで、その説明を省略する。
【0035】
電気コネクタ組立体3は、図7及び図8に示すように、オス型ハウジング10の止水溝27に隣接して誘導溝28を備えている。誘導溝28は、止水溝27と後端13の間、つまり、止水溝27よりも嵌合方向Lの手前側に設けられ、止水溝27と同様に、オス型ハウジング10の周方向に連なって形成されている。ただし、誘導溝28は、止水溝27に比べて、幅及び深さが止水溝27よりも小さく、つまり止水溝27よりも開口面積が小さく形成されており、水WDに表面張力STを生じさせることを目的とするものではなく、水WDが浸入することを前提としている。つまり、例えば上壁15と上壁37の間(クリアランス)を流れてきた水WDは、止水溝27に到る前に誘導溝28に浸水することで、水WDの勢いが削がれる。したがって、水WDが誘導溝28を越えて止水溝27まで至ったとしても、止水溝27が備える表面張力STによる止水機能をより高めることができる。
【0036】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることができる。
第1〜3実施形態は、止水溝27をオス型ハウジング10の周方向の全域に設けているが、本発明は、これに限定されず、例えば、図10(a)に示すように、周方向の特定の領域に限って止水溝27を設けることもできる。止水溝27は、水WDが垂れやすい領域か垂れにくい領域か、あるいは、他の部材、例えば、オス型ハウジング10では記載を省略したメス型ハウジング30とのロックを行うための部材の存在、などを考慮して設ける位置を定めることができる。
【0037】
また、図10(b)に示すように、第2実施形態において、上ガイド溝24が止水溝27と独立して止水溝27と繋がらないように形成することもできる。この形態によれば、仮に止水溝27まで水が浸入したとしても、水WDがガイド部を通じて嵌合方向Lに進むのを阻止できる。なお、図示を省略するが、上ガイド条50は上ガイド溝24に対応して形成する。また、下ガイド溝26及び下ガイド条52についても、止水溝27と独立して止水溝27と繋がらないように形成することもできる。
【0038】
さらに、図10(c)に示すように、止水溝27をメス型ハウジング30に設けても、以上の実施形態と同様の止水作用を発揮できる。つまり、本発明は、オス型ハウジング10とメス型ハウジング30の間に止水溝27を備えていればよい。この場合、メス型ハウジング30の側が本発明の電気コネクタを構成するとともに、オス型ハウジング10の側が本発明の相手側電気コネクタを構成する。
【符号の説明】
【0039】
1 電気コネクタ組立体
10 オス型ハウジング
11 前端
13 後端
15 上壁
17 下壁
19 左側壁
21 右側壁
23,24 上ガイド溝
25,26 下ガイド溝
27 止水溝
28 誘導溝
29 前縁
30 メス型ハウジング
31 前端
33 後端
35 受容キャビテイ
37 上壁
39 下壁
41 左側壁
43 右側壁
45 奥壁
47 嵌合間口
49,50 上ガイド条
51,52 下ガイド条
G 隙間
H 高さ方向
L 嵌合方向
W 幅方向
ST 表面張力
WD 水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2017年6月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の電気コネクタによれば、ハウジングの周方向に止水溝を設けるが、この止水溝は水を溜めることを目的とするのではなく、止水溝に至る領域に溜まる水に表面張力を作用させることにより、水が止水溝及びそれよりも先端に水が達するのを避ける。このように、本発明は、止水溝が水に対してあたかもストッパとして機能することにより、止水溝よりも嵌合方向の奥側に流れるのを阻止する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る電気コネクタのオス型ハウジングを示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のIb−Ib線矢視断面図、(c)は(a)のIc−Ic線矢視断面図である。
図2】第1実施形態に係るメス型ハウジングを示し、(a)は斜視図、(b)は(a)の透視図である。
図3】第1実施形態に係る電気コネクタ組立体を示し、(a)は図1(b)に対応する断面図、(b)は図1(c)に対応する断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る電気コネクタのオス型ハウジングを示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のIVb−IVb線矢視断面図、(c)は(a)のIVc−IVc線矢視断面図である。
図5】第2実施形態に係るメス型ハウジングを示し、(a)は斜視図、(b)は(a)の透視図である。
図6】第2実施形態に係る電気コネクタ組立体を示し、(a)は図4(b)に対応する断面図、(b)は図4(c)に対応する断面図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る電気コネクタのオス型ハウジングを示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のVIIb−VIIb線矢視断面図、(c)は(a)のVIIc−VIIc線矢視断面図である。
図8】第3実施形態に係る電気コネクタ組立体を示し、(a)は図7(b)に対応する断面図、(b)は図7(c)に対応する断面図である。
図9】第1実施形態による止水溝を説明する図であり、(a)は第1実施形態による止水溝を示し、(b)は溝が小さい例を示し、(c)は溝が嵌合間口に連なる例を示す図である。
図10】本実施形態の変形例を示し、(a)は止水溝が部分的に形成される電気コネクタを示し、(b)は上ガイド溝が止水溝まで達していない電気コネクタを示し、(c)は止水溝がメス型ハウジングに形成される例を示している。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
オス型ハウジング10は、図1及び図2に示すように、下壁17に下ガイド溝25が形成されている。下ガイド溝25も、メス型ハウジング30のガイド条51が挿入されることで、オス型ハウジング10とメス型ハウジング30の嵌合をスムーズに行うのに寄与する。
下ガイド溝25は、下壁17から上壁15に向けて所定の深さだけ窪んで形成されており、上ガイド溝23と同様に、前端11と後端13を貫通して直線状に形成される。本実施形態においては、下ガイド溝25は、幅方向Wの中央に設けられている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
メス型ハウジング30は、オス型ハウジング10を収容する受容キャビテイ35を備えている。受容キャビテイ35は、最小限の隙間を介してオス型ハウジング10を収容するように、直方体状に形成されている。受容キャビテイ35は、上壁37、下壁39、左側壁41、右側壁43及び奥壁45により取り囲まれているが、前端31の側はオス型ハウジング10が挿入される開口である嵌合間口47をなしている。
メス型ハウジング30は、図2(b)に示すように、上壁37の受容キャビテイ35に臨む内面に、一対の上ガイド条49,49が設けられている。また、メス型ハウジング30は、下壁39の受容キャビテイ35に臨む内面に、下ガイド条51が設けられている。上ガイド条49,49は、上壁37の嵌合方向Lの全域を貫通して直線状に、また、下ガイド条51は、下壁39の嵌合方向Lの全域を貫通して直線状に設けられている。
上ガイド条49は、メス型ハウジング30とオス型ハウジング10を嵌合する際に、オス型ハウジング10の上ガイド溝23,23に挿入されることで、メス型ハウジング30とオス型ハウジング10を相互に案内する。また、下ガイド条51は、メス型ハウジング30とオス型ハウジング10を嵌合する際に、オス型ハウジング10の下ガイド溝25に挿入されることで、メス型ハウジング30とオス型ハウジング10を相互に案内する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
毛細管現象により上壁15と上壁37の間の隙間Gを流れて、止水溝27に到ることがある。例えば、ある程度のまとまった量の水WDが嵌合間口47に垂れた場合である。ところが、本実施形態の場合には、止水溝27まで流れた水WDは、止水溝27の後縁29のところで流れが止められるので、止水溝27の内部に容易に流れ落ちることはない。これは、以下の理由による。
上壁15と上壁37が対向している領域は、隙間Gが狭いために、水WDは毛細管現象により、オス型ハウジング10の前端11、つまり嵌合方向Lの奥側に向けて流れる。ところが、止水溝27の後縁29に到ると、水WDはそれまでの狭い空間から広い空間に曝される。したがって、後縁29よりもオス型ハウジング10の前方側においては、毛細管現象が解かれるとともに、逆に、嵌合間口47から止水溝27に至る領域に留まる水WDに表面張力STが作用するために、図9(a)に示すように、水WDは後縁29よりも後方に留まろうとする。したがって、水WDは止水溝27の近傍までは流れてくるものの、止水溝27があたかもストッパになって止水溝27よりも嵌合方向Lの奥側に流れるのを阻止できる。この作用は、表面張力STを打ち破るエネルギを有するだけの水WDが垂れてこない限り有効である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
ここで、止水溝27が上述した止水作用を発揮するか否かは、溝の幅及び深さが重要である。本発明者らの検討によれば、例えば、幅が0.5mm、深さが1.0mmの溝では、上述した止水作用を十分に得ることができずに、この溝に水が入ることを確認している。したがって、図9(a)と同様の位置に、図9(b)に示す溝55を設けたとしても、この溝55は止水溝27には該当しない。なお、ここでいう幅は嵌合方向Lの寸法をいい、深さは高さ方向Hの寸法をいう。
本発明者らの検討によると、幅が2.5mm、深さが1.0mmの溝であれば、上述した止水作用を発揮できることを確認している。もっとも、この値はあくまで一例であり、止水溝27の幅及び深さは、オス型ハウジング10及びメス型ハウジング30の仕様に応じて、シミュレーションを含め実験的に止水作用が生じるかを確認して定めることが望まれる。
以上の通りであり、電気コネクタ組立体1によれば、オス型ハウジング10に、一体的に形成される止水溝27を設けることにより、嵌合間口47に垂れてくる水WDの量が増えても、一定の防水性能を確保できる。
なお、図9(c)に示すように、本実施形態の止水溝27と同様の寸法を有する溝56を嵌合間口47に連なって設けても、止水溝としての機能を有さない。溝56よりも奥側の隙間Gが狭いために、毛細管現象が生じてしまい、水WDが奥に向けて流れてしまうからである。つまり、止水溝27は、毛細管現象が生じる狭い隙間Gよりも嵌合方向Lの奥側に設けられることにより、その止水作用を発揮する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
1 電気コネクタ組立体
10 オス型ハウジング
11 前端
13 後端
15 上壁
17 下壁
19 左側壁
21 右側壁
23,24 上ガイド溝
25,26 下ガイド溝
27 止水溝
28 誘導溝
29 後縁
30 メス型ハウジング
31 前端
33 後端
35 受容キャビテイ
37 上壁
39 下壁
41 左側壁
43 右側壁
45 奥壁
47 嵌合間口
49,50 上ガイド条
51,52 下ガイド条
G 隙間
H 高さ方向
L 嵌合方向
W 幅方向
ST 表面張力
WD 水