【解決手段】 第1の絶縁層と、上記第1の絶縁層の少なくとも一方の面に形成された第1の導体層と、上記第1の絶縁層及び上記第1の導体層を貫通する2以上の金属部とを備えており、上記2以上の金属部が、上記第1の導体層により電気的に接続されている第1の配線板と、第2の絶縁層と、上記第2の絶縁層の少なくとも一方の面に形成された第2の導体層とを備えており、上記第2の導体層は、上記第1の配線板の2以上の金属部に対応する金属製接続端子を含んでいる第2の配線板と、を有する複合配線板であって、上記第1の配線板の各金属部と、上記第2の配線板の各金属製接続端子とがそれぞれ直接接合されていることを特徴とする複合配線板。
前記第1の配線板は、前記第1の絶縁層の他方の面に形成された第3の導体層をさらに備えており、前記2以上の金属部が、前記第3の導体層により電気的に接続されている請求項1に記載の複合配線板。
第1の配線板の幅方向において、前記金属部が隣り合う金属部列の金属部に対して重ならないように、各金属部が隣り合う金属部列の各金属部と互い違いになるように配置されている請求項7に記載の複合配線板。
第1の配線板の幅方向において、前記金属部が隣り合う金属部列の金属部に対して重ならないように、金属部列の全体が隣り合う金属部列の全体と互い違いになるように配置されている請求項7に記載の複合配線板。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1(a)は、本発明の複合配線板の一例を模式的に示す上面図であり、
図1(b)は
図1(a)のB−B´線断面図である。
【
図2】
図2は、第1の配線板と第2の配線板を抵抗溶接によって接合する工程を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3(a)は、本発明の複合配線板の他の一例を模式的に示す断面図であり、
図3(b)は、第1の配線板と第2の配線板を抵抗溶接によって直接接合させて
図3(a)に示す複合配線板を製造する工程を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の複合配線板の他の一例を模式的に示す上面図である。
【
図5】
図5は、本発明の複合配線板の他の一例を模式的に示す上面図である。
【
図6】
図6(a)、
図6(b)、
図6(c)及び
図6(d)は、第1の配線板の製造方法の一例を模式的に示す工程図である。
【0009】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明について具体的に説明する。本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0010】
以下、本発明の複合配線板の構成について、さらに詳述する。
図1(a)は、本発明の複合配線板の一例を模式的に示す上面図であり、
図1(b)は
図1(a)のB−B´線断面図である。
図1(a)に示す複合配線板1では、第1の配線板がフレキシブル配線板100であって、第1の絶縁層が可撓性絶縁層10であり、2つの金属部が金属ブロック60及び金属ブロック70である。また、第2の配線板がリジッド配線板200であって、第2の絶縁層がリジッド絶縁層210である。
図1(a)には、フレキシブル配線板100について、可撓性絶縁層10、2つの金属ブロック60及び金属ブロック70、並びに、金属ブロック60及び金属ブロック70を電気的に接続する第1の導体層21に参照符号を付して示している。また、リジッド配線板200について、第2の導体層221及びリジッド絶縁層210に参照符号を付して示している。
金属ブロック60及び金属ブロック70は列状に並んでいて、金属部列65を形成している。
フレキシブル配線板100には、第1の導体層21が短冊状に4列設けられている。そして、各第1の導体層21に、金属部列65がそれぞれ設けられている。
図1(a)には、金属部としての金属ブロックを計8つ示しているが、金属ブロックは2つずつ、互いに電気的に接続されていて、他の6つの金属ブロックとは電気的に接続されていない。
本明細書において第1の配線板が2以上の金属部を備えているということは、2以上の金属部が互いに電気的に接続されて存在していることを意味しており、第1の配線板内に、電気的に接続されていない金属部が2以上存在していても、本明細書における「2以上の金属部を備えている」ことを意味しない。
【0011】
リジッド配線板200には、第2の導体層221が短冊状に4列設けられている。第2の導体層221はそれぞれ、フレキシブル配線板100の4列の金属部列65に対応している。また、フレキシブル配線板100の4列の金属部列65に対応して、第2の導体層221は4列の金属製接続端子(
図1(a)には図示していない)を含んでいる。
【0012】
図1(b)にはフレキシブル配線板100及びリジッド配線板200の層構成を示している。
フレキシブル配線板100は、第1の主面11及び第1の主面11と反対側の第2の主面12を備える可撓性絶縁層10と、可撓性絶縁層10の第1の主面11に形成された第1の導体層21と、可撓性絶縁層10の第2の主面12に形成された第3の導体層22とを備えている。
フレキシブル配線板100は、第1の導体層21、可撓性絶縁層10及び第3の導体層22を貫通する2以上の孔50と、孔50にそれぞれ挿し込まれた金属部としての金属ブロック60及び金属ブロック70とを備えている。
金属ブロック60及び金属ブロック70は、フレキシブル配線板100内で第1の導体層21により電気的に接続されている。また、金属ブロック60及び金属ブロック70はフレキシブル配線板100内で第3の導体層22によっても電気的に接続されている。
【0013】
リジッド配線板200は、第1の主面211及び第1の主面211と反対側の第2の主面212を備えるリジッド絶縁層210と、リジッド絶縁層210の第1の主面211に形成された第2の導体層221と、リジッド絶縁層210の第2の主面212に形成された第4の導体層222とを備えている。
第2の導体層221は、第1の配線板の2以上の金属部に対応する金属製接続端子260及び金属製接続端子270を含んでいる。金属製接続端子260及び金属製接続端子270は、第2の導体層221の一部である。
【0014】
第1の配線板の金属部である金属ブロック60と第2の配線板の金属製接続端子260とが直接接合されており、かつ、第1の配線板の金属部である金属ブロック70と第2の配線板の金属製接続端子270とが直接接合されている。
この直接接合は抵抗溶接によりされており、金属ブロック60及び金属ブロック70は抵抗溶接の母材となっている。抵抗溶接により溶接部30(
図1(b)において波線で示す部分)が形成されていて、金属ブロック60の表面(他方の面62)の全体及び金属ブロック70の表面(他方の面72)の全体がともに溶接部30となっている。
また、金属ブロック60と金属ブロック70を電気的に接続している第3の導体層22の表面82が溶接部30となっていてもよい。
第1の配線板の金属部と第2の配線板の金属製接続端子が抵抗溶接により直接接合されていると、第1の配線板と第2の配線板が強固な接合で接続される。また、第1の配線板と第2の配線板の接続部である溶接部での電気抵抗の増加は生じない。
【0015】
本発明の複合配線板をリジッド配線板とフレキシブル配線板とからなる複合配線板とする場合には、第1の配線板をフレキシブル配線板とし、第2の配線板をリジッド配線板とすることが好ましい。フレキシブル配線板のほうが金属部の形成が容易であるため第1の配線板に適している。
第1の配線板がフレキシブル配線板である場合は、第1の絶縁層が可撓性絶縁層からなる。
可撓性絶縁層は絶縁樹脂からなることが好ましく、絶縁樹脂の構成材料は、ポリイミド、ガラスエポキシ等が挙げられ、これらの中ではポリイミドであることが好ましい。絶縁樹脂がポリイミドであると、その絶縁樹脂は柔軟性と絶縁性との双方を兼ね備える。従って、充分な絶縁性を確保しつつ用途に応じて形状を変形させることができる。
可撓性絶縁層の厚さは特に限定されないが、30〜70μmであることが好ましい。30μmよりも小さいと曲がりやすく、さらに屈曲しやすい基板となるため、配線や他の部材との接合が破壊されやすくなる。また、70μmよりも大きいと、金属部を備えるためにパンチングを行って孔を形成した場合に孔の周辺にクラックが生じやすくなり、信頼性を低下させることがある。
【0016】
可撓性絶縁層の少なくとも一方の面には導体層が形成されている。
図1(b)には可撓性絶縁層の両面に導体層(第1の導体層及び第3の導体層)が形成されている例を示している。
導体層の構成材料は、特に限定されないが、銅、ニッケル等であることが好ましい。
これら構成材料は、電気伝導率が良好であり導体として適している。
第1の導体層及び第3の導体層の厚さは特に限定されないが、可撓性絶縁層よりも厚いことが好ましい。また、10〜300μmであることが好ましい。10μmよりも小さいと、ハンドリングの際に導体層が破壊され易くなり、不良率が増加してしまう。また、300μmよりも大きいと、フレキシブル配線板を曲げて使用する際に、曲げることで可撓性絶縁層への導体層からの圧縮応力が大きくかかるため、可撓性絶縁層が破壊されやすくなる。
【0017】
金属部は、第1の導体層、第1の絶縁層及び第3の導体層を貫通しており、抵抗溶接の母材となる。金属部の材料は、特に限定されないが、電気伝導率及び熱伝導率に優れる銅であることが好ましい。また、金属部は金属ブロックであることが好ましく、銅ブロックであることがより好ましい。金属部は、第1の配線板を貫通するように設けられた孔に挿し込まれていることが好ましい。孔に挿し込まれた金属ブロックは、第1の絶縁層及び導体層を貫通する金属部となる。
金属ブロックは、大電流を流すことに適しており、金属部の構成として他に考えられるスルーホールや有底フィルドビアといった構成である場合に比べて金属製接続端子との抵抗溶接に適している。
また、めっき等のケミカルプロセスを経てスルーホール内に形成されるフィルドビアとは異なり、内部にボイドが形成されたり、表面に陥没や盛り上がり等が生じたりすることがない。内部にボイドが形成されることがないため、金属ブロックの伝熱効率が小さくなることもなく、放熱性を確保することができる。また、金属ブロックは、フィルドビアと比べて容易に導体体積を大きくすることができる点でも好ましい。
また、金属ブロックの形状は、特に限定されないが、底面(表面)が平坦な柱状であることが好ましい。このような形状としては、例えば、円柱、四角柱、六角柱、八角柱等が挙げられる。
【0018】
金属部は、第2の配線板の金属製接続端子と抵抗溶接するための母材となる。具体的には、金属部の表面が第1の配線板の主面上に露出しており、金属部の表面を抵抗溶接可能な溶接部として使用することができる。金属部の表面のうち、第1の配線板の2つの主面のうちの一方の主面に位置する表面のみが溶接部として使用できる態様でもよく、2つの主面に位置する表面のそれぞれを溶接部として使用できる態様であってもよい。
また、金属部が抵抗溶接の母材からなることが好ましい。
金属部を金属製接続端子と抵抗溶接するためには、金属部の一方の面に電極として抵抗溶接機の溶接ツールを接触させ、金属部の他方の面に第2の配線板の金属製接続端子を接触させる。
そして、金属部の一方の面に接触させた溶接ツールから電流を流すと、金属部の他方の面と第2の配線板の金属製接続端子との間で発熱するので抵抗溶接を行うことができる。
【0019】
金属部は2以上設けられているため、第1の配線板と第2の配線板を多端子接続により接続することができる。金属部は後述するように第1の配線板に孔を形成して金属ブロックを挿し込むといった方法で製造することができるため、金属部を個片化してばらばらに用意する必要がなく第1の配線板に多くの金属部を設けることができる。そして、多くの金属部が設けられた第1の配線板を用いることによって第2の配線板との多端子接続を簡便に行うことができる。
この抵抗溶接を行う工程については後で詳しく説明する。
【0020】
本発明の複合配線板において、金属部の断面積は0.05〜4mm
2であることが好ましい。なお、金属部の断面積は、複合配線板を上面視した際の金属部の表面の面積である。
金属部の断面積が0.05mm
2以上であると、金属部自体の抵抗が充分に小さくなるので抵抗溶接のために流した電流により金属部が溶損することが防止される。また、金属部の断面積として4mm
2を超える大きな金属部は通常は必要とされない。
また、2以上の金属部において、隣り合う金属部間の距離が3mm以下であることが好ましい。さらに、隣り合う金属部間の距離が0.3mm以上であることが好ましい。
【0021】
リジッド配線板を構成する第2の絶縁層であるリジッド絶縁層としては、通常のリジッド配線板に使用される絶縁層を使用することができ、樹脂材料としてエポキシ樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、フェノール樹脂等を使用したものが挙げられる。また、これらの樹脂にガラス繊維等を組み合わせた絶縁層であってもよい。
【0022】
第2の配線板の少なくとも一方の面には導体層が形成されている。
図1(b)には第2の絶縁層の両面に導体層(第2の導体層及び第4の導体層)が形成されている例を示している。
導体層の構成材料は、特に限定されないが、銅、ニッケル等であることが好ましい。
これら構成材料は、電気伝導率が良好であり導体として適している。
【0023】
第2の導体層は第1の配線板の2以上の金属部に対応する金属製接続端子を含んでいる。金属製接続端子は、第2の導体層をパターン形成して得られる導体パターンの一部であることが好ましく、金属部を接合させる位置が金属製接続端子となる。また、抵抗溶接を行う際に2以上の金属製接続端子の間に電流が流れるようになっている。
金属製接続端子の材質は、第1の配線板の金属部と抵抗溶接できる材料であれば特に限定されるものではなく、フレキシブル配線板の金属部として好ましい材料である銅と抵抗溶接できる材料であることが好ましい。例えば銅、ステンレス、ニッケル等が挙げられる。
【0024】
本発明の複合配線板における直接接合とは、半田等の部材を介することなく、第1の配線板の金属部と、第2の配線板の金属製接続端子が接合されていることを意味している。具体的には、フレキシブル配線板の金属部とリジッド配線板の金属製接続端子が抵抗溶接されていることが好ましい。
【0025】
図2は、第1の配線板と第2の配線板を抵抗溶接によって接合する工程を模式的に示す断面図である。
図2には、
図1(b)に示す形態において抵抗溶接を行う様子を模式的に示している。
図2では、フレキシブル配線板100の金属部である金属ブロック60及び金属ブロック70に抵抗溶接機の溶接ツール91及び溶接ツール92をそれぞれ接触させて抵抗溶接を行う様子を模式的に示している。
図2では、金属ブロック60の一方の面61に抵抗溶接機の溶接ツール91が接触しており、金属ブロック70の一方の面71に抵抗溶接機の溶接ツール92が接触している。また、金属ブロック60の他方の面62はリジッド配線板200の金属製接続端子260と接触しており、金属ブロック70の他方の面72はリジッド配線板200の金属製接続端子270と接触している。
【0026】
溶接ツール91と溶接ツール92の間で電流を流すと、金属ブロック60の他方の面62と金属製接続端子260の間の界面抵抗により発熱が生じ、金属ブロック60の他方の面62と金属製接続端子260の間で抵抗溶接が行われる。また、金属ブロック70の他方の面72と金属製接続端子270の間の界面抵抗により発熱が生じ、金属ブロック70の他方の面72と金属製接続端子270の間で抵抗溶接が行われる。その結果、フレキシブル配線板100とリジッド配線板200が抵抗溶接によって接合された複合配線板1が製造される。
【0027】
溶接ツール91と溶接ツール92の間で電流を流すと、電流は、
図2に矢印X、矢印Y及び矢印Zで示す、3つの経路を通って流れると考えられる。
矢印Xで示す経路(以下、経路Xともいう)は、金属ブロック60の他方の面62と金属製接続端子260の間を通り、金属製接続端子260と金属製接続端子270の間の第2の導体層221を経て、金属製接続端子270と金属ブロック70の他方の面72との間を通る経路である。この経路Xで流れる電流が抵抗溶接に寄与する電流である。
矢印Yで示す経路(以下、経路Yともいう)は、金属ブロック60と金属ブロック70の間の第1の導体層21を通る経路である。
矢印Zで示す経路(以下、経路Zともいう)は、金属ブロック60と金属ブロック70の間の第3の導体層22を通る経路である。
【0028】
本発明の複合配線板では、抵抗溶接に寄与する電流が流れる経路(
図2の経路X)の他に、電流が流れることのできる経路(
図2の経路Y及び経路Z)が設けられている。そのため、抵抗溶接に寄与する電流が流れる経路に流れる電流が大きくなり過ぎることが防止されて、第2の配線板側で第2の導体層に溶断が生じることを防止することができる。
第2の配線板側で第2の導体層に溶断が生じることを防止するためには、抵抗溶接に寄与する電流が流れる経路の他に、電流が流れることができる経路が少なくとも1つ設けられていればよい。そのため、第1の絶縁層の少なくとも一方の面に形成されていて、2以上の金属部を電気的に接続する第1の導体層が設けられていて、その第1の導体層が電流が流れることができる経路となっていればよい。第1の導体層は、2以上の金属部を第1の配線板内で電気的に接続できていれば、第1の絶縁層のどちらの面に形成されていてもよいので、
図2に示す第3の導体層22の位置に形成された導体層を第1の導体層とみなしてもよい。
【0029】
また、第1の絶縁層の他方の面、すなわち第1の導体層が形成された面と反対側の面において第3の導体層がさらに備えられていて、第3の導体層が第1の配線板内で2以上の金属部を電気的に接続していることが好ましい。この態様であると、抵抗溶接に寄与する電流が流れる経路の他に、電流が流れることができる経路が2つ設けられることになる。そのため、第2の配線板側で第2の導体層に溶断が生じることをより確実に防止することができて好ましい。
図1(b)に示す複合配線板は、この態様である。
また、
図1(b)に示す複合配線板1では、可撓性絶縁層10の第1の主面11側の面に形成された導体層を第1の導体層21とし、可撓性絶縁層10の第2の主面12側の面に形成された導体層を第3の導体層22としているが、第1の導体層21と第3の導体層23をどちらとみなすかは任意である。そのため、可撓性絶縁層10の第1の主面11側の面に形成された導体層を第3の導体層とみなし、可撓性絶縁層10の第2の主面12側の面に形成された導体層を第1の導体層とみなしても構わない。
【0030】
図3(a)は、本発明の複合配線板の他の一例を模式的に示す断面図であり、
図3(b)は、第1の配線板と第2の配線板を抵抗溶接によって直接接合させて
図3(a)に示す複合配線板を製造する工程を模式的に示す断面図である。
図3(a)に示す複合配線板2では、第1の配線板として、
図1(b)に示すフレキシブル配線板100とは構成の異なるフレキシブル配線板101を備えている。
フレキシブル配線板101は、可撓性絶縁層10の第1の主面11に第1の導体層21が形成されているが、可撓性絶縁層10の第2の主面12には導体層(第3の導体層)が形成されていない点で
図1(b)に示すフレキシブル配線板100と異なる。
フレキシブル配線板101は、第1の導体層21及び可撓性絶縁層10を貫通する2以上の孔50と、孔50にそれぞれ挿し込まれた金属部としての金属ブロック60及び金属ブロック70とを備えている。フレキシブル配線板101のその他の構成は
図1(b)に示すフレキシブル配線板100と同様である。
第2の配線板としてのリジッド配線板200の構成は
図1(b)に示すリジッド配線板200と同様である。
【0031】
図3(b)には、フレキシブル配線板101の金属部である金属ブロック60及び金属ブロック70に抵抗溶接機の溶接ツール91及び溶接ツール92をそれぞれ接触させて抵抗溶接を行う様子を模式的に示している。
【0032】
溶接ツール91と溶接ツール92の間で電流を流すと、電流は、
図3(b)に矢印X及び矢印Yで示す2つの経路を通って流れると考えられる。
矢印Xで示す経路(以下、経路Xともいう)は、金属ブロック60の他方の面62と金属製接続端子260の間を通り、金属製接続端子260と金属製接続端子270の間の第2の導体層221を経て、金属製接続端子270と金属ブロック70の他方の面72との間を通る経路である。この経路Xで流れる電流が抵抗溶接に寄与する電流である。
矢印Yで示す経路(以下、経路Yともいう)は、金属ブロック60と金属ブロック70の間の第1の導体層21を通る経路である。
【0033】
この形態でも、抵抗溶接に寄与する電流が流れる経路(
図3(b)の経路X)の他に、電流が流れることのできる経路(
図3(b)の経路Y)が設けられている。そのため、抵抗溶接に寄与する電流が流れる経路に流れる電流が大きくなり過ぎることが防止されて、第2の配線板側で第2の導体層に溶断が生じることを防止することができる。
【0034】
図4は、本発明の複合配線板の他の一例を模式的に示す上面図である。
図4に示す複合配線板3では、フレキシブル配線板102が4列の金属部列を備えている。
リジッド配線板202は、この4列の金属部列に対応して、4列の第2の導体層221及び4列の金属製接続端子を含んでいる。
なお、金属製接続端子の形状は、
図4には図示していないが、金属ブロックの上面形状を示す円よりも一回り大きい、
図4に両矢印W
3で示す幅を有する円形状である。
そして、フレキシブル配線板102の幅方向(
図4に両矢印Wで示す方向)において、各金属部が隣り合う金属部列の各金属部と互い違いになるように配置されている。
以下、このことを具体的に説明する。
フレキシブル配線板102には、第1の導体層21が短冊状に4列設けられていて、第1の導体層21にはそれぞれ金属部列が設けられている。すなわち、第1の導体層21a、第1の導体層21b、第1の導体層21c、第1の導体層21dにはそれぞれ金属部列65a、金属部列65b、金属部列65c、金属部列65dが設けられている。
金属部列65aを構成する金属ブロック60a及び金属ブロック70aに着目すると、隣り合う金属部列65bを構成する金属ブロック60b、金属ブロック70bのいずれともその位置がフレキシブル配線板の長さ方向(
図4に両矢印Lで示す方向)においてずれていることがわかる。
金属部列65cを構成する金属ブロック60c、金属ブロック70c、金属部列65dを構成する金属ブロック60d、金属ブロック70dについても同様に配置されている。
このように金属部列を配置することによって、金属部(金属ブロック)の幅(
図4に両矢印W
2で示す幅)を、第2の導体層の幅(
図4に両矢印W
1で示す幅)以上にすることができる。また、金属製接続端子の幅(
図4に両矢印W
3で示す幅)を第2の導体層の幅(
図4に両矢印W
1で示す幅)よりも大きくすることができる。そして、金属部と金属製接続端子の接合面積を大きくすることができるので、金属部と金属製接続端子の接合強度を高めることができる。
【0035】
図5は、本発明の複合配線板の他の一例を模式的に示す上面図である。
図5に示す複合配線板4では、フレキシブル配線板103が4列の金属部列を備えている。
リジッド配線板203は、この4列の金属部列に対応して、4列の第2の導体層221及び4列の金属製接続端子を含んでいる。
なお、金属製接続端子の形状は、
図5には図示していないが、金属ブロックの上面形状を示す円よりも一回り大きい、
図5に両矢印W
3で示す幅を有する円形状である。
そして、フレキシブル配線板103の幅方向(
図5に両矢印Wで示す方向)において、各金属部列の全体が隣り合う金属部列の全体と互い違いになるように配置されている。
以下、このことを具体的に説明する。
フレキシブル配線板103には、第1の導体層21が短冊状に4列設けられていて、第1の導体層21にはそれぞれ金属部列が設けられている。すなわち、第1の導体層21e、第1の導体層21f、第1の導体層21g、第1の導体層21hにはそれぞれ金属部列65e、金属部列65f、金属部列65g、金属部列65hが設けられている。
金属部列65fに着目すると、その上下で隣り合う金属部列65e及び金属部列65gのいずれともその位置が金属部列全体としてフレキシブル配線板の長さ方向(
図5に両矢印Lで示す方向)においてずれていることがわかる。金属部列65e、金属部列65g及び金属部列65hについても隣り合う金属部列全体に対してフレキシブル配線板の長さ方向においてずれている。すなわち、金属部列65e、金属部列65f、金属部列65g及び金属部列65hは互い違いに配置されているといえる。
このように金属部列を配置することによって、金属部(金属ブロック)の幅(
図5に両矢印W
2で示す幅)を、第2の導体層の幅(
図5に両矢印W
1で示す幅)以上にすることができる。また、金属製接続端子の幅(
図5に両矢印W
3で示す幅)を第2の導体層の幅(
図5に両矢印W
1で示す幅)よりも大きくすることができる。そして、金属部と金属製接続端子の接合面積を大きくすることができるので、金属部と金属製接続端子の接合強度を高めることができる。
【0036】
以下、本発明の複合配線板を構成する第1の配線板の製造方法の一例について説明する。
図6(a)、
図6(b)、
図6(c)及び
図6(d)は、第1の配線板の製造方法の一例を模式的に示す工程図である。
【0037】
(1)導体基板準備工程
まず、導体基板準備工程として、可撓性絶縁層の少なくとも一方の面に導体層が形成されてなる導体基板を準備する。導体層は、第1の導体層及び/又は第3の導体層となる。
図6(a)には、絶縁樹脂からなり、第1の主面11及び第1の主面11と反対側の第2の主面12を備えた可撓性絶縁層10の第1の主面11に第1の導体層21が形成され、第2の主面12に第3の導体層22が形成された両面導体基板5を準備する工程を示している。
可撓性絶縁層10、第1の導体層21及び第3の導体層22を構成する材料としては複合配線板の説明で述べたものと同様であるためその説明は省略する。
【0038】
(2)孔形成工程
次に、第1の導体層21、可撓性絶縁層10及び第3の導体層22を貫通する孔50を形成する。
孔はパンチングにより形成することが好ましく、
図6(a)にはパンチングに用いるパンチ80が第1の導体層21側に配置された様子を示している。
図6(b)には、孔50が形成された両面導体基板を示している。
【0039】
(3)金属ブロック挿し込み工程
次に、金属ブロックを孔に挿し込むことによって、可撓性絶縁層及び導体層を貫通する金属部を形成する。金属ブロックの挿し込みは、パンチングを行った側の面とは逆側の面から行うことが好ましい。
図6(c)には、第3の導体層22側から金属ブロック60及び金属ブロック70を孔50に挿し込む例を示している。
さらに、必要に応じて、導体層に対してパターン形成を行って必要な配線を形成することが好ましい。また、金属ブロックの表面の平面度を向上させるためのコイニングを行うことも好ましい。
上記工程によって、
図6(d)に示すようなフレキシブル配線板100を製造することができる。
【0040】
なお、第2の配線板については従来公知のリジッド配線板の製造方法に従って製造したものを好ましく使用することができる。このようにして準備した第1の配線板及び第2の配線板を抵抗溶接により直接接合することによって、複合配線板を製造することができる。