【解決手段】コイル部品10は、コイル20と、磁気コア50と、放熱板40とを備えている。コイル20は、被接着部222を有している。コイル20の被接着部222は、接着層70によって覆われている。放熱板40は、接着層70に接着して固定されている。コイル20の被接着部222以外の部位は、ディップ層80によって覆われている。磁気コア50は、ディップ層80に密着してコイル20を覆っている。接着層70は、ディップ層80とは異なる材料からなる。放熱板40は、10W/(m・K)以上の熱伝導率を有している。ディップ層80は、0.3mm以上、且つ、1.5mm以下の膜厚を有しており、且つ、1W/(m・K)以上の熱伝導率を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コイル部品を使用する際、コイル全体に熱が生じる。一方、放熱板をコイル全体に接触するように取り付けることはできない。従って、従来の放熱板のみを使用した放熱機構によっては、十分な放熱性を得られない場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、放熱板を使用した放熱機構であって放熱性を向上可能な放熱機構を有するコイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のコイル部品として、
コイルと、放熱板と、磁気コアとを備えるコイル部品であって、
前記コイルは、被接着部を有しており、
前記コイルの前記被接着部は、接着層によって覆われており、
前記放熱板は、前記接着層に接着して固定されており、
前記コイルの前記被接着部以外の部位は、ディップ層によって覆われており、
前記磁気コアは、前記ディップ層に密着して前記コイルを覆っており、
前記接着層は、前記ディップ層とは異なる材料からなり、
前記放熱板は、10W/(m・K)以上の熱伝導率を有し、
前記ディップ層は、0.3mm以上且つ1.5mm以下の膜厚を有しており、且つ、1W/(m・K)以上の熱伝導率を有している
コイル部品を提供する。
【0008】
また、本発明は、第2のコイル部品として、第1のコイル部品であって、
前記接着層の熱伝導率は、前記ディップ層の熱伝導率よりも高い
コイル部品を提供する。
【0009】
また、本発明は、第3のコイル部品として、第1又は第2のコイル部品であって、
前記接着層の熱伝導率は、1.5W/(m・K)以上である
コイル部品を提供する。
【0010】
また、本発明は、第4のコイル部品として、第1から第3までのいずれかのコイル部品であって、
前記接着層の厚さは、0.2mm以下である
コイル部品を提供する。
【0011】
また、本発明は、第5のコイル部品として、第1から第4までのいずれかのコイル部品であって、
前記接着層は、接着剤からなり、
前記接着剤の粘度は、5.0Pa・s以上である
コイル部品を提供する。
【0012】
また、本発明は、第6のコイル部品として、第1から第5までのいずれかのコイル部品であって、
前記放熱板は、絶縁性セラミックスからなる
コイル部品を提供する。
【0013】
また、本発明は、第7のコイル部品として、第6のコイル部品であって、
前記放熱板は、アルミナからなる
コイル部品を提供する。
【0014】
また、本発明は、第8のコイル部品として、第1から第7までのいずれかのコイル部品であって、
前記コイル部品は、ケースを備えており、
前記磁気コア及び前記放熱板は、前記ケースの内部に収容されており
前記放熱板は、前記ケースの内面に接触している
コイル部品を提供する。
【0015】
また、本発明は、第9のコイル部品として、第1から第8までのいずれかのコイル部品であって、
前記磁気コアは、硬化した結合剤と前記結合剤の内部に分散配置された磁性体粉末とを有する複合磁性体を少なくとも含んでいる
コイル部品を提供する。
【0016】
また、本発明は、第10のコイル部品として、第1から第9までのいずれかのコイル部品であって、
前記コイルは、巻回された被覆電線からなる本体部を有しており、
前記被覆電線の厚さは、2mm以下である
コイル部品を提供する。
【0017】
また、本発明は、第11のコイル部品として、第10のコイル部品であって、
前記被覆電線の巻回方向と直交する所定平面における前記被覆電線の断面は、直線部と、端部とを有しており、
前記直線部は、所定方向に沿って直線状に延びており、
前記端部は、前記所定方向における前記直線部の端から、前記所定方向において所定長だけ弧状に突出しており、
前記接着層は、前記端部のうちの先端を含む部位であって前記所定長の30%以上の部位を覆うように設けられている
コイル部品を提供する。
【0018】
また、本発明は、第1のコイル部品の製造方法として、
コイルと、放熱板と、磁気コアとを備えるコイル部品の製造方法であって、
前記コイルの一部である被接着部に接着剤を塗布して接着層を形成し、前記放熱板を前記接着層に接着して固定する接着工程と、
前記放熱板が固定された前記コイルをディップ剤に浸し、これにより、前記コイルの前記被接着部を除く部位をディップ層によって覆うディップ工程と、
前記放熱板のうちの前記接着層側の部位とは反対側の部位に付着した前記ディップ層を取り除く除去工程と、
前記磁気コアを、前記ディップ層に密着させて前記コイルを覆う磁気コア形成工程と、を備える
コイル部品の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるコイル部品は、コイルの被接着部に接着された放熱板を備えている。更に、コイルの被接着部以外の部位は、比較的高い熱伝導率を有するディップ層によって覆われており、磁気コアは、ディップ層に密着してコイルを覆っている。この構造により、コイルに生じた熱は、放熱板を経由して外部に放熱されるととともに、ディップ層及び磁気コアを経由して外部に放熱される。換言すれば、本発明によれば、放熱板に加えて、ディップ層及び磁気コアも、コイルに生じる熱を外部に放熱するための放熱機構として機能する。この放熱機構により、放熱性を向上可能である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から
図3までを参照すると、本発明の実施の形態によるコイル部品10は、被覆された導電体からなるコイル20と、熱伝導体からなる放熱板40と、軟磁性体からなる磁気コア50とを備えている。コイル部品10は、例えば、車載用リアクトルとして使用できる。但し、本発明は、これに限られず、様々なコイル部品に適用可能である。
【0022】
図2及び
図3を参照すると、本実施の形態によるコイル20は、被覆電線30をエッジワイズ巻きして形成されている。但し、本発明は、これに限られず、コイル20は、被覆電線30をフラットワイズ巻きして形成してもよい。コイル20は、本体部22と、2つの端子部26,28とを有している。
【0023】
図2を参照すると、本体部22は、中心軸22Xの周りを巻回している。より具体的には、本体部22は、被覆電線30をY方向(前後方向:第1水平方向)と平行に延びる中心軸22Xの周りを螺旋状に巻回することによって形成されている。即ち、コイル20は、巻回された被覆電線30からなる本体部22を有している。
図3を参照すると、本実施の形態による本体部22は、XZ平面においてトラック形状を有している。但し、本発明は、これに限られず、本体部22は、XZ平面において、トラック形状以外の形状を有していてもよい。例えば、本体部22は、XZ平面において、円形状や矩形形状を有していてもよい。
【0024】
図2を参照すると、本体部22は、被覆電線30の巻回によって形成された複数の巻線224を有している。巻線224の夫々は、中心軸22Xの周りを略1周している。
図6を併せて参照すると、巻線224は、僅かな隙間をあけつつY方向に並んでいる。換言すれば、本体部22は、複数の巻線224に加えて、隣接する2つの巻線224間に形成された複数の隙間を有している。本実施の形態による被覆電線30は、被覆電線30の厚さ方向(Y方向)において薄く、且つ、被覆電線30の幅方向(即ち、Y方向及び被覆電線30の巻回方向の双方と直交する方向)において広い。換言すれば、被覆電線30は、平角形状を有している。但し、被覆電線30は、本実施の形態の平角形状に限らず、様々な形状を有していてもよい。
【0025】
図7を参照すると、被覆電線30は、銅などの金属からなる導電体32を、ポリ塩化ビニル等の絶縁体からなる薄い絶縁皮膜34によって覆ったものである。従って、本体部22を形成する前の状態において、導電体32は、絶縁されている。
【0026】
図1から
図3までを参照すると、端子部26及び端子部28は、X方向(横方向:第2水平方向)における本体部22の両側に夫々設けられている。端子部26は、本体部22の前端(+Y側の端)から引き出されており、本体部22の上下方向(Z方向)における上面(+Z側の面)を超えて上方(+Z方向)に延びている。端子部28は、本体部22の後端(−Y側の端)から引き出されており、本体部22の上面を超えて上方に延びている。端子部26及び端子部28の夫々は、コイル部品10の使用時に、外部の電子回路(図示せず)等に接続される。
【0027】
本実施の形態による端子部26及び端子部28の夫々は、単一のコイル20の一部であり、本体部22と一体の部材である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、端子部26及び端子部28の夫々は、本体部22と別体の部材であり、溶接、ネジ、リベットなどで本体部22に接続されていてもよい。
【0028】
図2から
図4までを参照すると、放熱板40は、アルミナ等の材料からなる矩形形状の平板である。アルミナは、良好な絶縁性を有する非磁性体であり、且つ、30W/(m・K)程度の高い熱伝導率を有している。このため、アルミナは、本実施の形態による放熱板40に適している。但し、本発明は、これに限られない。放熱板40は、アルミナ以外の絶縁性セラミックスから形成されていてもよい。更に、放熱板40は、必要な絶縁性及び熱伝導率を有する非磁性体である限り、絶縁性セラミックス以外の材料から形成してもよい。また、放熱板40は、矩形形状に限らず、様々な形状を有することができる。
【0029】
図3、
図5及び
図6を参照すると、コイル20は、被接着部222を有している。本実施の形態において、被接着部222は、コイル20の本体部22の下面(−Z側の面)の一部である。詳しくは、被接着部222は、本体部22の複数の巻線224の下端部の集合体である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、被接着部222は、本体部22の上面やX方向における側面であってもよい。
【0030】
図6を参照すると、被接着部222は、接着層70によって覆われている。接着層70は、比較的高い熱伝導率を有する熱硬化性絶縁樹脂等の接着剤からなる。接着層70は、例えば、アルミナ粉末とエポキシ樹脂やシリコーン樹脂との混合物からなる接着剤を熱硬化させたものである。
【0031】
図3及び
図5を参照すると、放熱板40は、上面40Uと、下面(露出部)40Lとを有している。本実施の形態において、上面40U及び下面40Lの夫々は、Z方向と直交する水平面(XY平面)である。
図6を参照すると、放熱板40は、接着層70に接着して固定されている。詳しくは、放熱板40の上面40Uは、接着層70に接着しており、放熱板40の下面40Lは、下方に露出している。本実施の形態において、接着層70は、放熱板40の上面40Uの略全体と接着している。
【0032】
図5及び
図6を参照すると、コイル20の被接着部222以外の部位は、ディップ層80によって覆われている。ディップ層80は、比較的高い熱伝導率を有する熱硬化性絶縁樹脂(例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂)からなる絶縁材である。ディップ層80は、接着層70の材料である接着剤よりも粘度が低く流動性が高いディップ剤を熱硬化することで形成されている。換言すれば、接着層70は、ディップ層80とは異なる材料からなる。
【0033】
図1を参照すると、本実施の形態による磁気コア50は、熱硬化した結合剤524と結合剤524の内部に分散配置された磁性体粉末522とを有する複合磁性体50Mである。磁性体粉末522は、鉄系合金やフェライト等の軟磁性材料からなり、結合剤524は、樹脂等の絶縁材からなる。本実施の形態による磁気コア50は、複合磁性体50Mのみからなる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、磁気コア50は、複合磁性体50Mに加えて、圧粉磁芯を備えていてもよい。即ち、磁気コア50は、複合磁性体50Mを少なくとも含んでいればよい。
【0034】
図6を参照すると、磁気コア50は、ディップ層80に密着してコイル20の本体部22を覆っている。
図1及び
図2を参照すると、本実施の形態において、磁気コア50は、本体部22を完全に覆っており、コイル20の端子部26の上端部(+Z側の端部)及び端子部28の上端部のみが、磁気コア50の上面から上方に突出している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、本体部22の上面近傍の部位や本体部22のXY平面における外周部が、部分的に磁気コア50の外部に露出していてもよい。即ち、磁気コア50は、コイル20の本体部22を部分的に覆っていてもよい。
【0035】
図6を参照すると、被覆電線30の巻回方向と直交する所定平面(
図6においてYZ平面)において、磁気コア50とディップ層80との間の境界は、Y方向と平行に延びる直線に対して、少なくとも部分的に緩やかに湾曲しつつ延びている。また、ディップ層80は、緩やかな曲線を描きつつ放熱板40から延びている。
【0036】
以下、コイル部品10の製造方法について説明する。
【0037】
図10を参照すると、コイル部品10(
図1参照)は、例えば、step1(準備工程)、step2(接着工程)、step3(ディップ工程)、step4(除去工程)及びstep5(磁気コア形成工程)を経て製造される。換言すれば、コイル部品10の製造方法は、準備工程と、接着工程と、ディップ工程と、除去工程と、磁気コア形成工程とを備えている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、後述するように、コイル部品10の製造方法は、磁気コア形成工程に続く収容工程(step6)を備えていてもよい。
【0038】
図2を参照すると、まず、準備工程(
図10参照)において、コイル20及び放熱板40を準備する。詳しくは、被覆電線30をエッジワイズ巻きしてコイル20を形成する。また、アルミナ等の材料から放熱板40を形成する。
【0039】
図6を参照すると、次に、接着工程(
図10参照)において、コイル20(本体部22)の一部である被接着部222に接着剤を塗布して接着層70を形成する。次に、放熱板40を接着層70に接着して固定する。次に、接着層70を熱硬化させる。
【0040】
図3及び
図6を参照すると、次に、ディップ工程(
図10参照)において、放熱板40が固定されたコイル20をディップ剤(図示せず)に浸し、これにより、コイル20の被接着部222を除く部位をディップ層80によって覆う。例えば、コイル20の端子部26及び端子部28を治具(図示せず)によって保持し、コイル20の本体部22全体を、放熱板40と共にディップ剤に浸す。この方法によれば、コイル20のうちの被接着部222、端子部26の上部及び端子部28の上部を除く全ての部位がディップ層80によって覆われる。また、放熱板40のうちの上面40Uを除く全ての部位がディップ層80によって覆われる。
【0041】
図6を参照すると、次に、ディップ層80を熱硬化させる。コイル20をディップ剤に浸したとき、十分に粘性が低いディップ剤を使用することにより、コイル20の本体部22の巻線224間の隙間も含め、本体部22全体をディップ層80によって覆うことができる。この結果、本体部22を形成する際に、絶縁皮膜34(
図7参照)が部分的に破損していたとしても、本体部22全体が、ディップ層80によって絶縁される。但し、本体部22の導電体32(
図7参照)が絶縁皮膜34によって確実に絶縁されている限り、本体部22は、部分的にディップ層80によって覆われていなくてもよい。
【0042】
次に、除去工程(
図10参照)において、放熱板40のうちの接着層70側の部位(上面40U)とは反対側の部位(下面40L)に付着したディップ層80を取り除く。この結果、下面40Lは、ディップ層80に覆われることなく、外部に露出する。但し、下面40Lから外部の放熱が実質的に影響を受けない限り、下面40Lは、ディップ層80によって多少覆われていてもよい。
【0043】
図2を参照すると、次に、磁気コア形成工程(
図10参照)において、コイル20の本体部22を、箱状の金型(図示せず)の内部に配置する。このとき、本体部22に固定した放熱板40を、金型の底面上に配置する。次に、結合剤524に磁性体粉末522を混合して磁性スラリーを作成する。次に、磁性スラリーを金型の内部に注いで本体部22全体を覆う。次に、磁性スラリーを熱硬化させて磁気コア50を形成する。これにより、磁気コア50を、ディップ層80(
図6参照)に密着させてコイル20を覆う。次に、コイル部品10を、金型から取り出す。このとき、コイル部品10が製造されている。
【0044】
図1及び
図2を参照すると、コイル部品10を使用する際、コイル20の本体部22に熱が生じる。本体部22に生じた熱は、磁気コア50の熱膨張や磁気性能劣化等の悪影響をもたらす恐れがある。本実施の形態によるコイル部品10は、本体部22に生じた熱を外部に放熱するための放熱機構を有している。以下、コイル部品10の放熱機構について説明する。
【0045】
図3及び
図4を参照すると、放熱板40の下面40Lは、磁気コア50の下面から外部に露出している。この構造から理解されるように、コイル20の本体部22に生じた熱は、放熱板40を経由してコイル部品10の外部に放熱される。更に、本体部22に生じた熱は、ディップ層80(
図6参照)及び磁気コア50を経由してコイル部品10の外部に放熱される。換言すれば、本実施の形態によれば、放熱板40に加えて、ディップ層80及び磁気コア50も、コイル20に生じる熱を外部に放熱するための放熱機構として機能する。この放熱機構により、コイル部品10の放熱性を向上可能である。
【0046】
詳しくは、
図3及び
図5を参照すると、コイル部品10は、放熱板40を経由する放熱経路HW1に加えて、ディップ層80(
図6参照)及び磁気コア50を経由する複数の放熱経路HW2を有している。コイル20の本体部22の下部(−Z側の部位)に生じた熱は、主として放熱経路HW1を経由してコイル部品10の下方(−Z方向)に放熱される。一方、本体部22の上部(+Z側の部位)に生じた熱(上部熱)は、主として放熱経路HW2のうちの1つを経由してコイル部品10の上方(−Z方向)に放熱される。同様に、本体部22の+X側の部位に生じた熱(+X側熱)は、主として放熱経路HW2のうちの1つを経由してコイル部品10の+X側の外部に放熱され、本体部22の−X側の部位に生じた熱(−X側熱)は、主として放熱経路HW2のうちの1つを経由してコイル部品10の−X側の外部に放熱される。但し、上述した上部熱の一部、+X側熱の一部及び−X側熱の一部は、XZ平面における本体部22の内側を経由して、放熱板40やY方向における磁気コア50の端面からも外部に放熱される。
【0047】
図3及び
図4を参照すると、放熱板40は、コイル20の本体部22の被接着部222(即ち、本体部22の下端に位置する水平面)を、略完全に覆っている。また、放熱板40は、10W/(m・K)以上の高い熱伝導率を有している。放熱経路HW1は、このような放熱板40を経由しているため、放熱経路HW1の放熱効率は高い。
【0048】
図6を参照すると、ディップ層80は、0.3mm以上且つ1.5mm以下の膜厚Tdを有しており、且つ、1W/(m・K)以上の比較的高い熱伝導率を有している。本実施の形態における膜厚Tdは、被覆電線30の幅方向(
図6においてZ方向)において巻線224を覆うディップ層80の、被覆電線30の幅方向におけるサイズである。詳しくは、被覆電線30の幅方向における、ディップ層80と磁気コア50との間の境界と、巻線224との間の距離である。
図5を併せて参照すると、放熱経路HW2は、このようなディップ層80を経由しているため、放熱経路HW2の放熱効率は比較的高い。
【0049】
以上の説明から理解されるように、放熱経路HW1は、本実施の形態における放熱機構の主な放熱経路である。以下、放熱経路HW1による放熱について更に詳しく説明する。
【0050】
図6を参照すると、接着層70は、コイル20の本体部22の被接着部222と、放熱板40との間に位置している。接着層70の熱伝導率は、放熱板40の熱伝導率に比べてかなり低い。従って、接着層70が放熱経路HW1に介在することで、放熱経路HW1の放熱効率は低下する。換言すれば、放熱経路HW1の熱抵抗が増加する。放熱経路HW1の熱抵抗を小さくするという観点からは、接着層70の熱伝導率は、できるだけ高い方が好ましい。より具体的には、接着層70の熱伝導率は、0.8W/(m・K)以上とする必要がある。また、放熱経路HW1による放熱を促進するという観点からは、接着層70の熱伝導率は、ディップ層80の熱伝導率よりも高くする必要がある。より具体的には、接着層70の熱伝導率は、1.5W/(m・K)以上であることが好ましい。
【0051】
但し、一般的に、接着層70の熱伝導率が高いほど、接着層70を形成する接着剤の粘度が高くなり、接着剤の取り扱いが難しくなる。接着層70を容易に形成するという観点からは、接着層70の熱伝導率は、5.0W/(m・K)以下とする必要がある。また、接着層70の熱伝導率が3.0W/(m・K)から5.0W/(m・K)の範囲内では、接着層70の熱伝導率を高くしても、放熱経路HW1の熱抵抗は、それほど減少しない。従って、接着層70の熱伝導率は、3.0W/(m・K)以下とすればよい。
【0052】
接着層70を容易に形成するという観点からは、接着層70を形成する接着剤は、所定の範囲の粘度を有していることが好ましい。より具体的には、接着層70の粘度は、5.0Pa・s以上かつ50Pa・s以下であることが好ましい。接着層70の粘度は、10Pa・s以上かつ30Pa・s以下であることが更に好ましい。
【0053】
放熱経路HW1の熱抵抗を小さくするという観点からは、接着層70の厚さTaは、薄い方が好ましい。一方、被接着部222と放熱板40とを確実に接着するという観点からは、厚さTaは、厚い方が好ましい。より具体的には、厚さTaは、0.1mm以上かつ0.2mm以下であることが好ましい。また、放熱経路HW1の熱抵抗を小さくするという観点からは、接着層70は、放熱板40の上面40Uの90%以上と面接触していることが好ましい。
【0054】
更に、熱による接着層70の歪を抑制して接着層70の破損を防止するという観点からは、接着層70の破壊ひずみは、10%以上であることが好ましい。
【0055】
図6及び
図7を参照すると、本実施の形態において、本体部22を形成する被覆電線30は、被覆電線30の巻回方向と直交する所定平面(
図6及び
図7においてYZ平面)における断面38を有している。断面38の夫々は、所定平面における巻線224の断面である。
【0056】
図7を参照すると、断面38の夫々は、直線部382と、端部386とを有している。直線部382は、所定平面における所定方向(被覆電線30の巻回方向と直交する方向であって、
図7においてZ方向)に沿って直線状に延びている。端部386は、所定方向における直線部382の端(
図7における−Z側の端)から、所定方向において所定長Lpだけ弧状に突出している。
【0057】
端部386は、被埋設部388を有している。被埋設部388は、接着層70の内部に埋設されている。換言すれば、接着層70は、被埋設部388を覆うように設けられている。本実施の形態によれば、被埋設部388を接着層70の内部に埋設することにより、接着層70は、広い範囲で、コイル20の本体部22と面接触できる。この結果、接着層70と本体部22との接触面積(放熱面積)を大きくでき、放熱経路HW1の熱抵抗を小さくできる。
【0058】
本実施の形態において、被埋設部388の先端(即ち、端部386の先端)は、放熱板40の上面40Uから僅かに上方に離れている。但し、本発明は、これに限られず、被埋設部388の先端は、放熱板40の上面40Uと接触していてもよい。被埋設部388の先端を上面40Uと接触させることにより、放熱面積を更に大きくすることができる。
【0059】
図6及び
図7を参照すると、放熱経路HW1の熱抵抗を小さくするという観点からは、接着層70の厚さTaをできるだけ小さくしつつ、放熱面積をできるだけ大きくすることが好ましい。この要求に応えるためには、端部386の所定長Lpに対して、被埋設部388の所定方向における長さLbの割合を大きくすることが好ましい。より具体的には、長さLbが所定長Lpの30%以上である場合、比較的少量の接着剤によって接着層70を形成しつつ、放熱経路HW1の熱抵抗を小さくして放熱効率を向上できる。加えて、コイル20の被接着部222と放熱板40との間の接着力を向上でき、且つ、コイル部品10の振動特性を改善できる。
【0060】
上述のように、長さLbは、所定長Lpの30%以上であることが好ましい。また、放熱効率を向上させるという観点からは、長さLbは、所定長Lpの50%以上であることが更に好ましい。本実施の形態において、被埋設部388の長さLbは、所定長Lpの30%以上である。即ち、本実施の形態における被埋設部388は、端部386のうちの先端を含む部位であって、所定長Lpの30%以上の部位である。
【0061】
図7を参照すると、本実施の形態において、被覆電線30の厚さTcは、2mm以下である。厚さTcを2mm以下とすることで、端部386の形状を半円形状に容易に近づけることができる。端部386の形状を半円形状に近づけことにより、放熱面積を大きくして放熱効率を向上できる。放熱効率を向上するという観点から、厚さTcは、1.5mm以下であることが更に好ましい。
【0062】
本実施の形態は、既に説明した変形例に加えて、以下に説明するように、更に様々に変形可能である。
【0063】
図8及び
図9を参照すると、変形例によるコイル部品10Aは、コイル部品10(
図2参照)の各部材に加えて、アルミニウム等の非磁性体からなるケース60を備えている。
【0064】
図9に示されるように、ケース60は、底板62と、4つの側板64とを有している。底板62は、矩形の平板形状を有しており、XY平面上を延びている。側板64は、底板62の4つの辺からZ方向に沿って上方に延びている。底板62は、内面(上面)622を有している。側板64の夫々は、内面642を有している。ケース60には、収容部68が形成されている。収容部68は、コイル部品10(
図1参照)に対応した形状およびサイズを有している。より具体的には、収容部68は、内面622及び4つの内面642によって囲まれた直方体形状の空間である。
【0065】
図10を参照すると、コイル部品10A(
図8参照)は、コイル部品10(
図1参照)に収容工程(step6)を施すことで製造できる。収容工程において、コイル部品10は、収容部68(
図9参照)に収容される。但し、本発明は、これに限られない。例えば、磁気コア形成工程において金型(図示せず)に代えてケース60(
図9参照)を使用することで、コイル部品10Aを製造してもよい。
【0066】
図2及び
図8から理解されるように、上述の製造の結果、磁気コア50及び放熱板40は、ケース60の内部に収容されている。
図4及び
図9から理解されるように、放熱板40は、ケース60の内面622に接触している。従って、放熱経路HW1(
図3参照)を経由して放熱板40の下面40Lに伝わった熱は、ケース60の底板62からコイル部品10Aの外部に放熱される。更に、放熱経路HW2(
図3参照)を経由して磁気コア50の側面に伝わった熱は、ケース60の側板64からコイル部品10Aの外部に放熱される。
【0067】
図11及び
図12を参照すると、別の変形例によるコイル部品10Bは、コイル部品10(
図2参照)と同様な基本構造を有している。コイル部品10Bは、コイル部品10のコイル20及び放熱板40に代えて、コイル20Bと、放熱板40Bとを備えている。
【0068】
コイル20Bは、平角形状の被覆電線30Bをエッジワイズ巻きして形成されている。コイル20Bは、本体部22Bと、2つの端子部26B,28Bとを有している。本体部22Bは、被覆電線30Bを中心軸22Xの周りを螺旋状に巻回することによって形成されている。端子部26B及び端子部28Bは、X方向における本体部22Bの両側に夫々設けられている。端子部26Bは、本体部22Bの前端から引き出されており、本体部22Bの上面を超えて上方に延びた後に前方(+Y方向)に延びている。端子部28Bは、本体部22Bの後端から引き出されており、本体部22Bの上面を超えて上方に延びている。
【0069】
コイル20Bは、被接着部222Bを有している。被接着部222Bは、コイル20Bの本体部22Bの下面の一部である。放熱板40Bは、コイル部品10(
図6参照)と同様に、被接着部222Bに接着されている。
【0070】
コイル部品10Bによっても、コイル部品10(
図2参照)と同様な効果が得られる。