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特開2017-228847導波路、モード変換器、及び導波路の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-228847(P2017-228847A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】導波路、モード変換器、及び導波路の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01P 3/12 20060101AFI20171201BHJP
   H01P 5/107 20060101ALI20171201BHJP
   H01P 11/00 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   H01P3/12 100
   H01P5/107 B
   H01P11/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-121978(P2016-121978)
(22)【出願日】2016年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】額賀 理
【テーマコード(参考)】
5J014
【Fターム(参考)】
5J014DA03
(57)【要約】
【課題】電磁波を伝送する領域に接する第2の導体層を外観検査によって確実に検査することができる導波路、モード変換器、及び導波路の製造方法を提供する。
【解決手段】一方の主面110aから他方の主面110bにかけて貫通部111が形成された透明基板110と、一方の主面110a及び他方の主面110bに形成された第1の導体層120と、貫通部111の壁面111aに形成されて、第1の導体層120同士を接続する第2の導体層130と、を備え、第1の導体層120と第2の導体層130とによって囲まれた領域101において電磁波を伝送する導波路100であって、貫通部111の領域101に接しない側の壁面111bに、透明基板110の側面110cから領域101に接する側の第2の導体層130を視認させるための視認領域150が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の主面から他方の主面にかけて貫通部が形成された透明基板と、前記一方の主面及び前記他方の主面に形成された第1の導体層と、前記貫通部の壁面に形成されて、前記第1の導体層同士を接続する第2の導体層と、を備え、前記第1の導体層と前記第2の導体層とによって囲まれた領域において電磁波を伝送する導波路であって、
前記貫通部の前記領域に接しない側の壁面に、前記透明基板の側面から前記領域に接する側の前記第2の導体層を視認させるための視認領域が設けられている、ことを特徴とする導波路。
【請求項2】
前記視認領域は、少なくとも、前記貫通部の前記領域に接しない側の壁面の中央部に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の導波路。
【請求項3】
前記貫通部の前記領域に接しない側の壁面には、前記第2の導体層が設けられていない、ことを特徴とする請求項1または2に記載の導波路。
【請求項4】
前記領域に接しない側から前記貫通部上にせり出す庇部を備える、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の導波路。
【請求項5】
前記庇部は、前記透明基板と別部材である、ことを特徴とする請求項4に記載の導波路。
【請求項6】
前記庇部は、前記貫通部内に落ち込み、当該貫通部の壁面に接触する接触部を備える、ことを特徴とする請求項4または5に記載の導波路。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の導波路と、
前記導波路の前記領域の内部に挿入されたピンと、
前記ピンに接続された平面回路と、を備える、ことを特徴とするモード変換器。
【請求項8】
一方の主面から他方の主面にかけて貫通部が形成された透明基板と、前記一方の主面及び前記他方の主面に形成された第1の導体層と、前記貫通部の壁面に形成されて、前記第1の導体層同士を接続する第2の導体層と、を備え、前記第1の導体層と前記第2の導体層とによって囲まれた領域において電磁波を伝送する導波路の製造方法であって、
前記貫通部の前記領域に接しない側の壁面に、前記透明基板の側面から前記領域に接する側の前記第2の導体層を視認させるための視認領域を形成する視認領域形成工程を有する、ことを特徴とする導波路の製造方法。
【請求項9】
前記視認領域形成工程は、
前記領域に接しない側から前記貫通部上にせり出す庇部を形成する第一工程と、
前記庇部が形成された前記貫通部に導電性物質を導入することにより、前記貫通部の前記領域に接する側の壁面に前記第2の導体層を形成すると同時に、前記貫通部の前記領域に接しない側の壁面に前記視認領域を形成する第二工程と、を有する、ことを特徴とする請求項8に記載の導波路の製造方法。
【請求項10】
前記第一工程では、前記透明基板と別部材で前記庇部を形成する、ことを特徴とする請求項9に記載の導波路の製造方法。
【請求項11】
前記第一工程は、
前記透明基板に前記貫通部を形成する工程と、
前記貫通部上にせり出すようにレジスト層を形成し、前記庇部とする工程と、を有する、ことを特徴とする請求項9または10に記載の導波路の製造方法。
【請求項12】
前記第一工程は、
前記透明基板にレーザー光を照射することにより、前記透明基板の一方の主面から他方の主面にかけて改質部を形成する工程と、
前記改質部に隣接するように金属層を形成する工程と、
前記改質部を除去することにより、前記貫通部を形成すると同時に、前記金属層による前記庇部を形成する工程と、を有する、ことを特徴とする請求項9または10に記載の導波路の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波路、モード変換器、及び導波路の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ミリ波帯を利用した数G[bps]の高速大容量通信が提案され、その一部が実現されつつある。特に、60[GHz]帯で動作する無線通信機器は、より重要性を増している。国内においては、59[GHz]から66[GHz]までの広い周波数帯域を、特定省電力で利用可能であることから、民生分野への普及が期待されている。加えて70[GHz]から90[GHz]のEバンド帯についても、同様な理由から注目されており、安価で小型のミリ波通信モジュールの実現が急務となっている。
【0003】
このような小型で安価なミリ波通信モジュールを実現する形態として、下記特許文献1には、単一の基板と、前記基板の一方の主面および他方の主面に形成された接地導体層と、前記基板の一方の主面側に形成された高周波伝搬用の平面回路と、前記基板の一方の主面から所望の深さまで形成された微細孔の内部に設けられ、前記平面回路と接続されたピンと、を少なくとも備えたモード変換器が開示されている。
【0004】
このモード変換器は、導波路として、ポスト壁導波路(PWW:Post-wall Waveguide)を備える。ポスト壁導波路は、誘電体基板の両面に対向した状態で形成された一対の導体層(第1の導体層)と、誘電体基板を貫通する複数の導体ポスト(第2の導体層)により前記一対の導体層の間を接続し、これら複数の導体ポストを互いに平行に並べることによって形成された一対のポスト壁とから方形状の導波路を構成したものである。すなわち、このポスト壁導波路は、従来の中空方形状の導波管が備える一対の広壁と一対の狭壁とを、それぞれ一対の導体層と一対のポスト壁とに置き換えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−158243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
導波路は、第1の導体層(一対の広壁)と第2の導体層(一対の狭壁、さらにはショート壁)で囲まれた領域において電磁波を伝送するものであり、当該領域に接する導体層は欠損なく形成されていることが好ましい。
ところで、第2の導体層としては、貫通配線群(スルーホール群)を用いることが一般的であり、基板に形成された貫通部の壁面の全面に導体層が形成されている。そのため、製造時の第2の導体層の検査として、前記領域に接する面を外観検査することが非常に困難であるという問題があった。
【0007】
仮に、導通検査を実施しても、第2の導体層の全てが、第1の導体層に接続されているため、その検査は非常に困難である。また、最終的な検査として高周波特性を測定することも可能であるが、この段階では第2の導体層に欠損があっても、その大きさが微小である場合、良品として判定される可能性がある。また、そのように判定された製品は、経年劣化により、その特性が悪化する等の懸念がある。
このため、電磁波を伝送する領域に接する第2の導体層を外観検査によって確実に検査することが好ましい。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電磁波を伝送する領域に接する第2の導体層を外観検査によって確実に検査することができる導波路、モード変換器、及び導波路の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の一態様に係る導波路は、一方の主面から他方の主面にかけて貫通部が形成された透明基板と、前記一方の主面及び前記他方の主面に形成された第1の導体層と、前記貫通部の壁面に形成されて、前記第1の導体層同士を接続する第2の導体層と、を備え、前記第1の導体層と前記第2の導体層とによって囲まれた領域において電磁波を伝送する導波路であって、前記貫通部の前記領域に接しない側の壁面に、前記透明基板の側面から前記領域に接する側の前記第2の導体層を視認させるための視認領域が設けられている。
【0010】
(2)上記(1)に記載の導波路であって、前記視認領域は、少なくとも、前記貫通部の前記領域に接しない側の壁面の中央部に設けられていてもよい。
(3)上記(1)または(2)に記載の導波路であって、前記貫通部の前記領域に接しない側の壁面には、前記第2の導体層が設けられていなくてもよい。
(4)上記(1)から(3)に記載の導波路であって、前記領域に接しない側から前記貫通部上にせり出す庇部を備えてもよい。
(5)上記(4)に記載の導波路であって、前記庇部は、前記透明基板と別部材であってもよい。
(6)上記(4)または(5)に記載の導波路であって、前記庇部は、前記貫通部内に落ち込み、当該貫通部の壁面に接触する接触部を備えてもよい。
【0011】
(7)本発明の一態様に係るモード変換器は、上記(1)から(6)に記載の導波路と、前記導波路の前記領域の内部に挿入されたピンと、前記ピンに接続された平面回路と、を備える。
【0012】
(8)本発明の一態様に係る導波路の製造方法は、一方の主面から他方の主面にかけて貫通部が形成された透明基板と、前記一方の主面及び前記他方の主面に形成された第1の導体層と、前記貫通部の壁面に形成されて、前記第1の導体層同士を接続する第2の導体層と、を備え、前記第1の導体層と前記第2の導体層とによって囲まれた領域において電磁波を伝送する導波路の製造方法であって、前記貫通部の前記領域に接しない側の壁面に、前記透明基板の側面から前記領域に接する側の前記第2の導体層を視認させるための視認領域を形成する視認領域形成工程を有する。
【0013】
(9)上記(8)に記載の導波路の製造方法であって、前記視認領域形成工程は、前記領域に接しない側から前記貫通部上にせり出す庇部を形成する第一工程と、前記庇部が形成された前記貫通部に導電性物質を導入することにより、前記貫通部の前記領域に接する側の壁面に前記第2の導体層を形成すると同時に、前記貫通部の前記領域に接しない側の壁面に前記視認領域を形成する第二工程と、を有してもよい。
(10)上記(9)に記載の導波路の製造方法であって、前記第一工程では、前記透明基板と別部材で前記庇部を形成してもよい。
(11)上記(9)または(10)に記載の導波路の製造方法であって、前記第一工程は、前記透明基板に前記貫通部を形成する工程と、前記貫通部上にせり出すようにレジスト層を形成し、前記庇部とする工程と、を有してもよい。
(12)上記(9)または(10)に記載の導波路の製造方法であって、前記第一工程は、前記透明基板にレーザー光を照射することにより、前記透明基板の一方の主面から他方の主面にかけて改質部を形成する工程と、前記改質部に隣接するように金属層を形成する工程と、前記改質部を除去することにより、前記貫通部を形成すると同時に、前記金属層による前記庇部を形成する工程と、を有してもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明の態様によれば、基板を貫通し電磁波を伝送する領域に接する第2の導体層を外観検査によって確実に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係るモード変換器を示す斜視図である。
図2】一実施形態に係る導波路を示す断面図である。
図3】一実施形態に係る導波路の製造方法を段階的に示す工程図である。
図4】一実施形態に係る導波路の製造方法を段階的に示す工程図である。
図5】一実施形態に係る導波路の製造方法の変形例を段階的に示す工程図である。
図6】一実施形態に係る導波路の製造方法の変形例を段階的に示す工程図である。
図7】一実施形態に係る導波路の変形例を示す断面図である。
図8】一実施形態に係る導波路の変形例を示す断面図である。
図9】一実施形態に係る導波路の変形例を示す断面図である。
図10】一実施形態に係る導波路の変形例を示す断面図である。
図11】一実施形態に係る導波路の変形例を示す断面図である。
図12】一実施形態に係る導波路の変形例を示す断面図である。
図13】一実施形態に係る導波路の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図面において、説明の便宜上、いくつかの部分が拡大され又は省略されているが、図面に表されている各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0017】
図1は、一実施形態に係るモード変換器1を示す斜視図である。
本実施形態のモード変換器1は、導波路100と、ピン200と、平面回路300と、を備える。図1には、導波路100の開口102をそれぞれ対向して配置されたモード変換器1A,1Bが図示されている。モード変換器1Aは送信側、モード変換器1Bは受信側であり、例えば、平面回路300からピン200を通じ、マイクロストリップの伝送モード(順TEM(Transverse Electro Magnetic wave)モード)を、導波路100の伝送モードであるTE10モードに変換する。
【0018】
導波路100は、透明基板110と、第1の導体層120と、第2の導体層130と、を備える。透明基板110は、光の透過性(透明及び半透明を含む)を有する基板であり、例えば、ガラス、樹脂、フッ素系樹脂、セラミックス、又はこれらの複合体等の誘電体からなるものを用いることができる。この透明基板110は、平面視矩形状を有し、一方の主面110aと、一方の主面110aと反対側の他方の主面110bと、一方の主面110aと他方の主面110bの四方を接続する側面110cと、を備える。
【0019】
第1の導体層120及び第2の導体層130としては、例えば、銅、銀、アルミニウム等の金属、又はこれらの合金、あるいはこれら金属を層状に重ねた金属層等の導電体からなるものを用いることができる。第1の導体層120は、透明基板110の一方の主面110aと他方の主面110bの略全面に形成されている。第1の導体層120は、グランド電位に接続された接地導体層である。第2の導体層130は、透明基板110を厚み方向に貫通する貫通部111(後述する図2参照)に形成されて、裏表の第1の導体層120同士を接続する。
【0020】
第1の導体層120は、導波路100の広壁を構成している。また、第2の導体層130は、互いに平行に並べられることによって導波路100の一対の狭壁を構成すると共に、当該一対の狭壁の端部の間に一列に並べられることによって導波路100のショート壁を構成している。
【0021】
隣り合う第2の導体層130の間隔は、ピン200から放射される高周波信号(電磁波)を外部に漏洩しないような間隔(例えば、その直径Dよりも小さい間隔)に設定される。導波路100は、これら第1の導体層120と第2の導体層130とに囲まれた領域101(ポスト壁導波路)において電磁波を伝送する。この領域101の一端には、第2の導体層130が配置されておらず、電磁波が放射される開口102となっている。
【0022】
ピン200は、導波路100の電磁波を伝送する領域101に挿入される。ピン200は、円柱状に形成され、第1の導体層120に設けられた開口121から、透明基板110の厚み方向の中途部まで挿入される。ピン200としては、例えば銅、銀、金等の金属、又はこれらの合金等の導電体からなるものを用いることができる。なお、ピン200は、円柱状に形成されたものに限らず、円筒状に形成されたものであってもよい。円筒状に形成された場合、その内側に誘電体が充填されていてもよい。
【0023】
平面回路300は、ピン200に接続され、第1の導体層120より外側に位置する。平面回路300は、例えば、マイクロストリップ線路(MSL:Micro-Strip Line)や、コプレーナ線路(CPW:CoPlanar Waveguide)、ストリップ線路等により構成されている。なお、本実施形態では、平面回路300としてMSLが形成されているが、CPW等の他のTEM線路であってもよい。平面回路300は、第1の導体層120の面上に図示しない誘電体層(絶縁部)を介して設けられている。
【0024】
平面回路300の基端側には、いわゆる接地−信号−接地(GSG)構造が設けられている。平面回路300は、図示しない半導体素子(高周波回路)と接続され、高周波信号を送受することが可能となっている。なお、高周波信号としては、ミリ波を挙げることができるが、伝送信号として伝搬可能な信号であれば、例えばテラヘルツ波(サブミリ波)等の更に高い周波数を有する信号であってもよい。
【0025】
図2は、一実施形態に係る導波路100を示す断面図である。なお、図2は、図1における矢視A−A断面に対応している。
本実施形態の導波路100は、透明基板110と、第1の導体層120と、第2の導体層130と、さらに、図2に示すように、庇部140と、視認領域150と、を備える。
【0026】
透明基板110には、一方の主面110aから他方の主面110bにかけて貫通部111が形成されている。貫通部111は、平面視円形状の孔部である。この貫通部111の壁面111a(領域101に接する側)には、第2の導体層130が設けられている。そして、この貫通部111の壁面111b(領域101に接しない側)には、視認領域150が設けられている。なお、領域101に接する側、領域101に接しない側は、図2において貫通部111を幅方向(径方向)において左右半分に分ける仮想的に設定した中心線を基準に規定することができる。
【0027】
視認領域150は、透明基板110の側面110cから、領域101に接する側の第2の導体層130を視認させるための領域である。すなわち、視認領域150は、領域101に接する第2の導体層130を外観検査するための覗き窓を形成している。図2に示すように、貫通部111の領域101に接しない側の壁面111bには、第2の導体層130が設けられていない。このように、本実施形態の視認領域150は、貫通部111の領域101に接しない側の壁面111bの全面に設けられている。
【0028】
視認領域150は、少なくとも、貫通部111の領域101に接しない側の壁面111bの中央部112に設けられていることが好ましい。すなわち、壁面111bの中央部112以外に第2の導体層130が設けられていてもよい。なお、中央部112は、貫通部111を長手方向において三等分したときの中央部分として規定することができる。また、視認領域150には、肉眼で透視できる程度(光が透過できる程度)に薄く第2の導体層130が形成されていてもよい。
【0029】
貫通部111の壁面111bの上方には、庇部140が設けられている。本実施形態の庇部140は、領域101に接しない側の透明基板110の一方の主面110aと他方の主面110b上に形成されたレジスト層141である。レジスト層141は、樹脂層であって、例えば、フィルム状の感光性レジスト、具体的には、ポリイミド、フッ素樹脂、シリコーン、エポキシ、アクリル系のレジストからなるものを用いることができる。
【0030】
庇部140は、領域101に接しない側から貫通部111上にせり出している。庇部140の突出量Pは、貫通部111の直径Dよりも小さい。この庇部140の突出量Pは、例えば、貫通部111の直径Dの10%〜60%程度に設定するのが好ましく、より好ましくは、20%〜50%程度に設定することが好ましい。なお、庇部140の突出量Pは、第2の導体層130を形成する手法(後述するスパッタ法や真空蒸着法)によって飛翔する導電性物質の飛翔特性に基づいて設定することが好ましい。
【0031】
図3及び図4は、一実施形態に係る導波路100の製造方法を段階的に示す工程図である。
本手法では、先ず、図3(a)に示すように、基材としての透明基板110を用意する。透明基板110は、例えば、ウエハ状をした大面積のガラス基板であり、厚みは850μmである。
【0032】
次に、本手法では、図3(b)に示すように、透明基板110にレーザー光Lを照射することにより、透明基板110の一方の主面110aから他方の主面110bにかけて改質部113を形成する。
改質部113は、貫通部111に対応して透明基板110を貫通するように形成する。レーザー光Lとしては、例えば、パルス幅10ps以下の極短パルスレーザーを用いることができ、これを集光照射し、その焦点を走査することにより改質部113を形成することができる。なお、改質部113の寸法(長さ、太さ)は、レーザー光Lの照射の条件(焦点のサイズ、走査距離)により制御することができる。
【0033】
次に、本手法では、図3(c)に示すように、改質部113を除去することにより、貫通部111を形成する。
改質部113の除去は、容器(不図示)内に入れた所定の薬液中に改質部113を形成した透明基板110を浸漬することにより行う。これにより、改質部113は、透明基板110の一方の主面110aと他方の主面110bから薬液によりウェットエッチングされ、透明基板110内から除去される。
【0034】
その結果、図3(c)に示すように、改質部113が存在していた部分に、貫通部111が形成される。本実施形態では、薬液としてフッ酸を主成分とする酸溶液か、または、水酸化カリウムを主成分とする酸溶液を用いることができる。この工程は、改質部113が改質されていない部分に比べて非常に早くエッチングされる現象を利用するものである。すなわち、この工程では、改質部113のみがエッチングされるのではなく、透明基板110において改質部113でない他の部分もエッチングされるが、改質部113が優先的にエッチングされるため、その結果、改質部113が選択的に除去されるのである。貫通部111の孔径は、製造する部分の用途に応じて、10μm〜300μmの範囲で適宜設定することができる。なお、貫通部111の形成方法は、上述の方法に限定されず適宜公知の方法を用いることができる。
【0035】
次に、本手法では、図4(a)に示すように、貫通部111上にせり出すようにレジスト層141を形成し、庇部140とする。
レジスト層141としては、フィルム状のレジスト(フィルムレジスト)を好適に使用することができる。このフィルムレジストを、貫通部111の一部を覆うように透明基板110の一方の主面110aと他方の主面110bのそれぞれに貼り付けることにより、庇部140を形成することができる。なお、図1に示すように、直線状に並ぶ貫通部111(第2の導体層130)には、一枚のフィルムレジストをテープ状に貼り付けて、複数の貫通部111に同時に庇部140を形成することが好ましい。
【0036】
次に、本手法では、図4(b)に示すように、庇部140が形成された透明基板110に、第1の導体層120、第2の導体層130、視認領域150を形成する。
第1の導体層120及び第2の導体層130は、スパッタ法、真空蒸着法、或いはこれらと電解めっき、無電解めっきとを組み合わせて形成することができる。透明基板110の両面に、スパッタ、或いは蒸着を行うことにより、一方の主面110aと他方の主面110bに第1の導体層120を形成し、また、貫通部111の領域101に接する側の壁面111aに第2の導体層130を形成することができる。
【0037】
貫通部111の領域101に接しない側の壁面111b上には庇部140がせり出して配置されているため、スパッタ、或いは蒸着により飛翔する導電性物質は、壁面111bに付着しない、若しくは付着し難くなる。このように、スパッタ法、真空蒸着法によって、庇部140が形成された貫通部111に導電性物質を導入することにより、貫通部111の領域101に接する側の壁面111aには、第2の導体層130を形成することができ、また同時に、貫通部111の領域101に接しない側の壁面111bには、視認領域150を形成することができる。
【0038】
電解めっき、無電解めっきと組み合わせる場合は、先ず、透明基板110にチタン(Ti)またはクロム(Cr)からなる膜(シード層)を、スパッタ法、真空蒸着法により形成する。これらの手法は、いずれも異方性の高いものを用いることが好ましい。透明基板110の両面から異方性の高いスパッタ、或いは蒸着を行うことにより、貫通部111の壁面111aのみに選択的に、TiまたはCrからなる膜を形成することができる。TiまたはCrからなる膜は、透明基板110との密着精度が損なわれない範囲において薄いほど望ましく、例えば、Cr/Cu、Ti/Cuなどで厚みは10nm〜500nmとされる。
【0039】
次に、TiまたはCrからなる膜の表面に、めっき法を用いて銅を積層させ、第1の導体層120及び第2の導体層130となる層を成長させる。銅めっきの厚みは、少なくともミリ波帯の高周波信号が流れるときに電流密度が高くなる表皮深さよりも厚いことが望ましい。60GHzの高周波信号における表皮深さが270nmなので、2μm程度とすれば十分である。なお、貫通部111の壁面111bには、庇部140によって、TiまたはCrからなる膜が成膜されない若しくは殆ど成膜されないため、めっき法を用いても銅が密着しない若しくはめっきが脱落する。このため、視認領域150が第2の導体層130によって閉塞されることはない。
以上のような工程によって、視認領域150を備える導波路100を製造することができる。
【0040】
このように、本手法では、一方の主面110aから他方の主面110bにかけて貫通部111が形成された透明基板110と、一方の主面110a及び他方の主面110bに形成された第1の導体層120と、貫通部111の壁面111aに形成されて、第1の導体層120同士を接続する第2の導体層130と、を備え、第1の導体層120と第2の導体層130とによって囲まれた領域101において電磁波を伝送する導波路100の製造方法であって、貫通部111の領域101に接しない側の壁面111bに、透明基板110の側面110cから領域101に接する側の第2の導体層130を視認させるための視認領域150を形成する視認領域形成工程(図3及び図4に示す工程)を有する。
【0041】
視認領域形成工程は、領域101に接しない側から貫通部111上にせり出す庇部140を形成する第一工程(主に図4(a)に示す工程)と、庇部140が形成された貫通部111に導電性物質を導入することにより、貫通部111の領域101に接する側の壁面111aに第2の導体層130を形成すると同時に、貫通部111の領域101に接しない側の壁面111bに視認領域150を形成する第二工程(主に図4(b)に示す工程)と、を有する。この手法によれば、庇部140がせり出した側(領域101に接しない側)の貫通部111の壁面111bには、導電性物質を付着させない若しくは殆ど付着させないようにすることができ、領域101に接する側(貫通部111の壁面111a)にのみ第2の導体層130を形成することができる。また、貫通部111の壁面111bには、第2の導体層130を設けない構成とすることが可能になり、これにより視認領域150を形成することができる。
【0042】
本手法では、第一工程において、透明基板110と別部材で庇部140を形成している。この手法によれば、透明基板110の特性にあまり影響されずに庇部140を設計できるため、例えば、第二工程で貫通部111に導入する導電性物質の飛翔特性に適するように、庇部140の大きさ、形状、その材質を適宜選択することができる。
【0043】
また、本手法では、第一工程において、図3(c)に示すように、透明基板110に貫通部111を形成する工程と、図4(a)に示すように、貫通部111上にせり出すようにレジスト層141を形成し、庇部140とする工程と、を有している。この手法によれば、貫通部111を形成した後に、レジスト層141を形成するため、レジスト層141がエッチャント(薬液)によって剥離されないようにすることができる。
【0044】
本手法で製造された導波路100には、図2に示すように、貫通部111の壁面111bに、視認領域150が設けられている。この構成によれば、透明基板110の側面110cから、領域101に接する側(貫通部111の壁面111a)の第2の導体層130を視認することができる。すなわち、導波路100の製造時の第2の導体層130の検査として、領域101に接する面を外観検査することができる。このため、第2の導体層130の欠損の有無を正確に判定することができる。
【0045】
この視認領域150は、少なくとも、貫通部111の領域101に接しない側の壁面111bの中央部112に設けられていることが好ましい。第2の導体層130の欠損の発生頻度は、透明基板110の厚み方向の中央部112で圧倒的に発生し易いためである。このため、視認領域150を、少なくとも、貫通部111の壁面111bの中央部112に設けることで、第2の導体層130の欠損を確実に発見することができる。
また、図2に示すように、貫通部111の壁面111bに、第2の導体層130を設けないようにすれば、透明基板110の側面110cから、貫通部111の壁面111aに形成された第2の導体層130の全域を観察できるため、第2の導体層130の欠損をより確実に発見することができる。
【0046】
また、領域101に接しない側から貫通部111上にせり出す庇部140を備えていれば、視認領域150を形成できるだけでなく、製品となった後も貫通部111内に異物が侵入しないようにすることができる。
また、庇部140が、透明基板110と別部材であれば、透明基板110の特性にあまり影響されずに庇部140を設計でき、また、視認領域150を形成後、不要であれば庇部140の除去も容易にできる。
【0047】
このように、上述の本実施形態によれば、一方の主面110aから他方の主面110bにかけて貫通部111が形成された透明基板110と、一方の主面110a及び他方の主面110bに形成された第1の導体層120と、貫通部111の壁面111aに形成されて、第1の導体層120同士を接続する第2の導体層130と、を備え、第1の導体層120と第2の導体層130とによって囲まれた領域101において電磁波を伝送する導波路100であって、貫通部111の領域101に接しない側の壁面111bに、透明基板110の側面110cから領域101に接する側の第2の導体層130を視認させるための視認領域150が設けられている、という構成を採用することによって、透明基板110を貫通し電磁波を伝送する領域101に接する第2の導体層130を外観検査によって確実に検査することができる。
また、この導波路100と、導波路100の領域101の内部に挿入されたピン200と、ピン200に接続された平面回路300と、を備えるモード変換器1によれば、第2の導体層130の欠損に起因する経年劣化による特性の低下を防止することができる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【0049】
例えば、本発明は、以下のような変形例を採用し得る。なお、以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0050】
図5及び図6は、一実施形態に係る導波路100の製造方法の変形例を段階的に示す工程図である。
この導波路100の製造方法は、庇部140を形成する第一工程において、図5(b)に示すように、透明基板110にレーザー光Lを照射することにより、透明基板110の一方の主面110aから他方の主面110bにかけて改質部113を形成する工程と、図5(c)に示すように、改質部113に隣接するように金属層142を形成する工程と、図6(a)に示すように、改質部113を除去することにより、貫通部111を形成すると同時に、金属層142による庇部140を形成する工程と、を有する。すなわち、本手法では、貫通部111を形成する前に、庇部140となる金属層142を形成している。なお、図5(a)、図5(b)及び図6(b)に示す工程は、上述した図3(a)、図3(b)及び図4(b)に示す工程と同じである。
【0051】
金属層142としては、改質部113を除去するエッチャントに耐性のある金属を使用することが好ましい。例えば、エッチャントとしてフッ酸を主成分とする酸溶液を使用する場合、金属層142として金(Au)を用いることができる。この金属層142は、改質部113を形成した後、当該改質部113を除去する前に成膜し、パターニングを行っておく必要がある。金属層142の成膜法としては、スパッタ、蒸着、或いはこれらと電解めっき、無電解めっきの組み合わせ等公知の手法を用いることができる。金属層142を改質部113に隣接させ、当該改質部113を除去すると、貫通部111がエッチングにより徐々に広がり、金属層142による庇部140が形成される(図5(c)及び図6(a)参照)。
図5及び図6に示す庇部140として金属層142を使用する製造方法を用いても、上述したような視認領域150を備える導波路100を製造することができる。すなわち、領域101に接する壁面111aにのみ第2の導体層130を形成し、透明基板110の側面110cから当該第2の導体層130を容易に観察することができる。
【0052】
また、図7に示すように、庇部140は、貫通部111内に落ち込み、当該貫通部111の壁面111bに接触する接触部143を備えてもよい。この構成によれば、庇部140と透明基板110との接触面積が増えるため、庇部140の密着性を向上させることができる。特に、レジスト層141によって庇部140を形成する場合、貫通部111に落ち込んだ接触部143を形成し易い。
また、図8に示すように、庇部140の貫通部111への落ち込んだ部分がなだらかになった曲部144を備えてもよい。レジスト層141として樹脂を使用した場合、このような曲部144を形成し易い。
【0053】
また、図9に示すように、第1の導体層120が形成された透明基板110を挟み込むように樹脂層160を設けてもよい。貫通部111には、樹脂が充填されていない(空気からなる)ため、側面110cからの観察は容易である。なお、樹脂層160は、複数の層で形成されていてもよい。
また、図10に示すように、貫通部111に、透明な樹脂層170を充填してもよい。樹脂層170が、光の透過性があるもの(透明、半透明を含む)であれば、側面110cからの観察は容易である。なお、樹脂層160も、樹脂層170と同じもので形成してもよい。
【0054】
また、図11に示すように、樹脂層160の上に配線層(平面回路300等)を形成してもよい。なお、図11は、図1における矢視B−B断面に対応している。ピン200は、領域101に形成された溝部114に円筒状に成膜されている。また、平面回路300は、樹脂層160の上からピン200の内側まで成膜されて、ピン200と接続されている。また、これら配線層の上にさらに樹脂層を設けてもよい。
【0055】
また、図12に示すように、庇部140は無くてもよい。例えば、視認領域150を形成後、機械加工により庇部140を除去してもよい。また、庇部140がフィルムレジストであれば、視認領域150を形成後、その上に形成された第1の導体層120ごと当該フィルムレジストを剥がして除去してもよい。
【0056】
また、図13に示すように、庇部140に傾斜面145を形成してもよい。傾斜面145は、領域101に向かうに従って一方の主面110aまたは他方の主面110bに近接するように傾斜している。この構成によれば、スパッタ法、真空蒸着法によって飛翔する導電性物質を、傾斜面145によって領域101に接する側の壁面111aに誘導することができる。また、庇部140の体積(重量)も減るため、製品の軽量化を図ることができる。
【0057】
また、例えば、上記実施形態では、貫通部111が孔部である構成について例示したが、貫通部111はこの構成に限定されるものではなく、例えば、スリット状に形成されていてもよい。この貫通部としては、上述した特許文献1の図12図16に示すような形態を採用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1…モード変換器、100…導波路、101…領域、110…透明基板、110a…一方の主面、110b…他方の主面、110c…側面、111…貫通部、111a…壁面、111b…壁面、112…中央部、113…改質部、120…第1の導体層、130…第2の導体層、140…庇部、141…レジスト層、142…金属層、143…接触部、150…視認領域、200…ピン、300…平面回路、L…レーザー光

図1
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