【実施例1】
【0033】
実施例1では、例えば電力系統を複数分割した領域内の監視制御のための地方給電指令所に設置されて電力系統の監視制御を行う中央装置と、さらには電力系統の個別箇所に設置され中央装置からの送信データにより作動する個別制御装置で構成されるシステム構成について説明する。
【0034】
図2は、電力系統の全体構成事例と本発明の実施例1に係る電圧無効電力監視制御装置のハード構成を示した図である。この図には電力系統100の構成例と電圧無効電力監視制御装置10のハード構成例が記述されているが、最初に電力系統100の構成例について説明し、その後に電圧無効電力監視制御装置のハード構成例について説明する。
【0035】
図2において100として区分され、例示された電力系統100は、主に送電系統部分を表示しているが、本発明の実施例1では、この範囲が電力系統を複数分割した領域に相当する。また電圧無効電力監視制御装置10が、電力系統を複数分割した領域内の監視制御のための地方給電指令所に設置されて電力系統の監視制御を行う中央装置に対応している。なお電力系統は広義の意味においては、100として示した範囲以外に発電系統や負荷系統を含む概念である。以下の説明においては特に必要のない限り広義の意味において使用している。
【0036】
電力系統は、電源110(110a、110b)、ノード(母線)120(120a、120b、120c、120d、120e、120f、120h、120i、120j)、変圧器130(130a、130b、130c、130d、130e)、ブランチ(線路)140(140b、140e、140f、140g、140h)、負荷150(150a150b、150c)などを主要な主回路構成機器として構成されており、適宜の箇所に電力調整用の機器として電力用コンデンサ(SC:Static Condenser)160(160a、160b、160c、160d)や分路リアクトル(ShR:Shunt Reactor)170(170a、170b)を配置している。
【0037】
なお変圧器130c、130eはタップ付き変圧器131であり、3次巻線に電力用コンデンサ160bや分路リアクトル170a、170bをそれぞれ接続している。また
図2には記載していないが、その他制御可能な装置(バッテリー、充放電可能な二次電池、EVの蓄電池、フライホイール、その他の調相設備(静止型無効電力補償装置SVC(Static Var Compensator)、静止型無効電力発生装置SVG(Static C Var Generator)、位相調整器付き変圧器LPC(Loop Power Controller)等)のいずれか又は複数を含んで構成されている。
【0038】
これら複数の各種機器で構成された電力系統の制御のために、電力系統の各所には各種の計測装置44が適宜の箇所に、夫々の目的に応じて配置されている。また、これら複数の各種機器のうち制御可能な機器について、これを制御するための個別制御装置45(45a、45b)が適宜の箇所に、夫々の目的に応じて配置されている。
【0039】
上記した各種機器などのうち、本発明に関わりの深い機器について、以下にその内容や構成、特徴などを記載しておく。
【0040】
まず電源110は、火力発電機、水力発電機、原子力発電機などの回転系電源のほかに、太陽光発電や風力発電といった分散型電源、およびインバータを介して電力系統に接続するインバータ連系電源などを含むものである。
【0041】
計測装置44は、電力系統におけるノード電圧V、ブランチ電流I、有効電力P、無効電力Q、力率Φ、タップ値、ノードやブランチや変圧器や電力用コンデンサや分路リアクトルなどの開閉器の入り切り情報などのいずれか一つまたは複数を計測する装置である。これは例えば、計器用変圧器VT(Voltage Transformer)、計器用変圧器PT(Potential Transformer)、計器用変流器CT(Current Transformer)であり、データ計測箇所識別IDや計測装置の内臓タイムスタンプを含んでデータを送信する機能を備えるテレメータTM(Telemeter)やスーパービジョンSV(Super Vision)などである。なお、GPSを利用した絶対時刻付きの電力情報(電圧のフェーザ情報)を計測する装置や位相計測装置(PMU:Phasor Measurement Units)や、他の計測機器でもよい。前記計測装置44は、電力系統100内にあるように記述しているが、電源110と変圧器130とタップ付き変圧器131と負荷150と電力用コンデンサ160と分路リアクトル170と計測装置44と個別制御装置45に接続する母線や線路などに設置されてもよい。
【0042】
図2の電力系統は、概ね以上のようなものである。これに対し本発明の実施例1に係る電圧無効電力監視制御装置10は、電力系統100の計測装置44から通信ネットワーク300を介して受信データ71を入力し、個別制御装置45に送信データ72を与える。この場合に、受信データ71のデータ内容は、他のデータを含んでいてもよいが基本的に基準母線計測値データD5である。電力系統100内の母線の内、基準母線に定めた母線において計測したデータに基づいて、例えば地方給電指令所に設置した電圧無効電力監視制御装置10の機能を達成することを意図している。
【0043】
ここで受信データ71のデータ内容である基準母線計測値データD5は具体的には、計測装置44にて計測されたノード電圧V、ブランチ電流I、力率Φ、有効電力P、無効電力Q、のいずれか一つまたは複数のデータであり、通信ネットワーク300を介して電圧無効電力監視制御装置10に受信され、内部の基準母線計測値データベースDB5に格納される。ただし、計測装置44から直接基準母線計測値データD5を受信する代わりに、その他の監視装置に一端集約されてから、通信ネットワーク300を介して基準母線計測値データベースDB5に格納してもよいし、計測装置44やその他の監視装置から通信ネットワーク300を介して基準母線計測値データベースDB5に格納してもよい。なお、基準母線計測値データD5は、データを識別するための固有番号と、タイムスタンプとを含んでもよい。なお、その他の監視装置とは、例えば、中央給電指令所や系統安定度監視サーバなどである。
【0044】
図2の電圧無効電力監視制御装置10のハード構成は以下のようである。電圧無効電力監視制御装置10は、一般的には計算機装置で構成されることになるので、表示部11、キーボードやマウス等の入力部12、通信部13、コンピュータや計算機サーバ(CPU:Central Processing Unit)14、メモリ15、及び各種のデータベースDBにより構成される。これらは相互にバス線43により接続されている。
【0045】
このうち表示部11は、例えば、ディスプレイ装置として構成されるが、ディスプレイ装置に代えて、またはディスプレイ装置と共に、プリンタ装置または音声出力装置等を用いる構成でもよい。
【0046】
入力部12は、例えば、キーボードスイッチ、マウス等のポインティング装置、タッチパネル、音声指示装置等の少なくともいずれか一つを備えて構成できる。
【0047】
通信部13は、通信ネットワーク300に接続するための回路及び通信プロトコルを備える。
【0048】
CPU14は、プログラムデータベースDB15から所定のコンピュータプログラムを読み込んで実行する。CPU14は、一つまたは複数の半導体チップとして構成してもよいし、または、計算サーバのようなコンピュータ装置として構成してもよい。
【0049】
メモリ15は、例えば、RAM(Random Access Memory)として構成され、プログラムデータベースDB15から読み出されたコンピュータプログラムを記憶したり、各処理に必要な計算結果データ及び画像データ等を記憶したりする。メモリ14に格納された画面データは、表示部11に送られて表示される。表示される画面の例は後述する。
【0050】
各種のデータベースDBは、具体的には以下のようなものである。データベースDBは、予測値データD1を記憶している予測値データベースDB1、配分要否判定基準データD2を記憶している配分要否判定基準データベースDB2、制御対象現在出力値D3を記憶している制御対象現在出力値データベースDB3、制御対象出力上下限値・刻み値D4を記憶している制御対象出力上下限値・刻み値データベースDB4、基準母線計測値データD5を記憶している基準母線計測値データベースDB5、基準母線目標値データD6を記憶している基準母線目標値データベースDB6、制御対象感度データD7を記憶している制御対象感度データベースDB7、換算係数D8を記憶している換算係数データベースDB8、制御対象変化可能周期データD9を記憶している制御対象変化可能周期データベースDB9、必要無効電力計算結果データD10を記憶している必要無効電力計算結果データベースDB10、無効電力配分対象選択結果データD11を記憶している無効電力配分対象選択結果データベースDB11、出力配分計算結果データD12を記憶している出力配分計算結果データベースDB12、制御指令値計算結果データD13を記憶している制御指令値計算結果データベースDB13、制御評価結果データD14を記憶している制御評価結果データベースDB14、プログラムD15を記憶しているプログラムデータベースDB15、変動成分計算結果データD16を記憶している変動成分計算結果データベースDB16から構成されている。
【0051】
なお、これらのデータベースに記憶されるデータのうち、系統計測データは、その他の監視制御装置を通して収集してもよいし、各種計測装置から入力してもよい。また、系統設備に関するデータは、手入力もしくは、中央給電指令所などからもらうことができる。また各データは予め整定され、データベースに保存されたデータであってもよい。またバス線43を介したデータのやりとりには、指令値・時刻・IDのデータも含めて行われる。
【0052】
図2は電圧無効電力監視制御装置10のハード構成を示しているが、
図1は電圧無効電力監視制御装置10をその内部における処理機能により記述している。
【0053】
図1の処理機能は、計算部41における一連の処理部により構成されており、入力系データベースDBIからのデータが計算部41における一連の処理により結果系データベースDBOのデータを形成していく処理過程として示されている。ここでは、
図2に示したデータベースDB1からDB14、DB16は、入力系データベースDBI、結果系データベースDBOのいずれかに位置付けられる。
【0054】
入力系データベースDBIには、予測値データベースDB1、配分要否判定基準データベースDB2、制御対象現在出力値データベースDB3、制御対象出力上下限値・刻み値データベースDB4、基準母線計測値データベースDB5、基準母線目標値データベースDB6、制御対象感度データベースDB7、換算係数データベースDB8、制御対象変化可能周期データベースDB9が位置づけられている。
【0055】
結果系データベースDBOには、必要無効電力計算結果データベースDB10、無効電力配分対象選択結果データベースDB11、出力配分計算結果データベースDB12、制御指令値計算結果データベースDB13、制御評価結果データベースDB14、変動成分計算結果データベースDB16が位置づけられている。
【0056】
計算部41は、変動成分計算部31、必要無効電力計算部32、無効電力配分対象選択部33、出力配分計算部34、制御指令値計算部35、出力指令部36、制御評価部37から構成されている。
【0057】
計算部41の一連の処理によれば、変動成分計算部31では、電力系統情報の予測値である予測値データD1を用いて変動成分を計算し、計算した変動成分計算結果データD16を変動成分計算結果データベースDB16に蓄積する。
【0058】
必要無効電力計算部32では、換算係数データベースDB8の換算係数データD8と、変動成分計算部31で計算した変動成分計算結果データD16を用いて必要無効電力を計算し、必要無効電力計算結果データD10として必要無効電力計算結果データベースDB10に蓄積する。
【0059】
無効電力配分対象選択部33では、制御対象変化可能周期データベースDB9の制御対象変化可能周期データD9と、必要無効電力計算部32で計算した変動成分計算結果データD16と、配分要否判定基準データベースDB2に記憶されている配分要否判定基準データD2、制御対象現在出力値データベースDB3に記憶されている制御対象現在出力値データD3、制御対象出力上下限値・刻み値データベースDB4に記憶されている制御対象出力上下限値・刻み値データD4を用いて無効電力配分対象を選択する。選択された無効電力配分対象選択結果は、無効電力配分対象選択結果データD11として無効電力配分対象選択結果データベースDB11に蓄積される。
【0060】
出力配分計算部34では、制御対象現在出力値データベースDB3に記憶されている制御対象現在出力値データD3と、制御対象出力上下限値・刻み値データベースDB4に記憶されている制御対象出力上下限値・刻み値データD4と、基準母線計測値データベースDB5に記憶されている基準母線計測値データD5と、基準母線目標値データベースDB6に記憶されている基準母線目標値データD6と、制御対象感度データベースDB7に記憶されている制御対象感度データD7と、計算した必要無効電力計算結果データD10と、無効電力配分対象選択結果データD11を用いて出力配分を計算し、出力配分計算結果データD12として出力配分計算結果データベースDB12に蓄積する。
【0061】
制御指令値計算部35では、基準母線計測値データベースDB5に記憶されている基準母線計測値データD5と、基準母線目標値データベースDB6に記憶されている基準母線目標値データD6と、制御対象感度データベースDB7に記憶されている制御対象感度データD7と、計算した出力配分計算結果データD12を用いて制御指令値を計算し、制御指令値計算結果データD13として制御指令値計算結果データベースDB13に蓄積する。
【0062】
出力指令部36では、計算した制御指令値計算結果データD13を出力指令する。
【0063】
制御評価部37では、計算した変動成分計算結果データD16と、計算した必要無効電力計算結果データD10と、無効電力配分対象選択結果データD11と、出力配分計算結果データD12と、制御指令値計算結果データD13とを用いて制御を評価する。評価結果は、制御評価結果データベースDB14に制御評価結果データD14として蓄積される。
【0064】
なお表示部には、上記データベースDBに蓄積された各種のデータが適宜の形式で、単独あるいは相関を示しながら表示される。例えば、予測値データD1と、配分要否判定基準データD2と、制御対象現在出力値データD3と、制御対象出力上下限値・刻み値データD4と、基準母線計測値データD5と、基準母線目標値データD6と、制御対象感度データD7と、計算した必要無効電力計算結果データD10と、無効電力配分対象選択結果データD11と、出力配分計算結果データD12と、制御指令値計算結果データD13、と制御評価結果データD14の一つ以上を表示する。
【0065】
以上に述べた計算部41の一連の処理を極く平易に述べると、電力系統の予測状態から変動成分を求め、この変動成分を抑制するに必要な必要無効電力を定め、当該必要無効電力を供給可能な制御対象機器とその制御量を定めたものということができる。以下の説明ではこれら一連の手順を実現するための手法が具体的に説明される。
【0066】
図3は、プログラムデータベースDB15に格納された各種プログラムを例示している。プログラムデータベースDB15には、例えば、変動成分計算部31の機能を実現するための変動成分計算プログラムP31、必要無効電力計算部32の機能を実現するための必要無効電力計算プログラムP32、無効電力配分対象選択部33の機能を実現するための無効電力配分対象選択プログラムP33、出力配分計算部34の機能を実現するための出力配分計算プログラムP34、制御指令値計算部35の機能を実現するための制御指令値計算プログラムP35、出力指令部36の機能を実現するための出力指令プログラムP36、制御評価部37の機能を実現するための制御評価プログラムP37、表示部11の機能を実現するための画面表示プログラムP11が格納されている。
【0067】
図2に戻り、CPU14は、プログラムデータベースDB15からメモリ14に読み出された計算プログラム(変動成分計算プログラムP31、必要無効電力計算プログラムP32、無効電力配分対象選択プログラムP33、出力配分計算プログラムP34、制御指令値計算プログラムP35、出力指令プログラムP36、制御評価プログラムP37、画面表示プログラムP11)を実行して、変動成分計算と、必要無効電力計算と、無効電力配分対象選択と、出力配分計算と、制御指令値計算と、出力指令と、制御評価と、各種画面表示と、表示すべき画像データの指示と、各種データベース内のデータの検索等を行う。
【0068】
メモリ14は、表示用の画像データ、基準母線計測値データD5や各計算一時データ及び各計算結果データを一旦格納するメモリであり、CPU14によって必要な画像データを生成して表示部11(例えば表示ディスプレイ画面)に表示する。なお、電圧無効電力監視制御装置10の表示部11は、各制御プログラムやデータベースの書き換えを行うためだけの簡単な画面だけであってもよい。
【0069】
電力系統の電圧無効電力監視制御装置10には、複数個のデータベースDBが格納されている。プログラムデータベースDBを除く、他のデータベースDB(DB1からDB14、DB16)について、ここで取り扱うデータ内容についてさらに詳細に説明する。
【0070】
図4は、予測値データベースDB1に記憶された予測値データD1の一例を示している。
図4の予測値データベースDB1には、予測値データD1として、発電計画と負荷需要予測値などを用いて潮流計算により求められた各ノードの電圧Vと有効電力Pと無効電力Qなどのデータが時系列データとして記憶されている。予測値データD1は、監視制御装置や中央給電指令所やEMSなどの別システムで計算されたり記憶されたりするものを入手してもよいし、手動で入力されてもよいし、後述する実施例2のような構成をとって計算されてもよい。手動で入力する際には、入力部12によって手動で入力し記憶する。なお、入力の際はCPU14によって必要な画像データを生成して表示部11に表示するのがよい。入力の際は、補完機能を利用して、大量のデータを設定できるように半手動にしてもよい。
【0071】
図5は、配分要否判定基準データベースDB2に記憶された配分要否判定基準データD2の一例を示している。配分要否判定基準データベースDB2には、配分要否判定基準データD2として、
図5に示すような各変動(変動1、変動2、変動3)に対する配分要否を判定するための基準が記憶されている。なお、配分要否判定基準データD2は、監視制御装置や中央給電指令所やEMSから遠隔設定されてもよいし、手動で入力されてもよい。手動で入力する際には、入力部12によって手動で入力し記憶する。なお、入力の際はCPU14によって必要な画像データを生成して表示部11に表示する。入力の際は、補完機能を利用して、大量のデータを設定できるように半手動にしてもよい。
【0072】
より詳細に配分要否判定基準データベースDB2について説明すると、配分要否判定基準データD2として、例えば短周期の変動、中周期の変動、長周期の変動に対する配分要否の判定基準が記述されている。ここでは例えば、これらの変動を抑制するに必要な無効電力ΔQ1、ΔQ2、ΔQ3に対して、配分要否判定基準データD2の基準値が設定されている。基準値は予め設定するものであるが、例えば、常時の負荷変動でプラスにもマイナスにも変わりうるような無効電力に関しては、これに逐次対応して制御すると、無駄な制御をすることになるため、そのような変動を上回ると判定できる基準値を設定する。なお、そのような変動データの基準値は、系統データを蓄積して運用者が補正し、あるいは自動で補正されてもよい。
【0073】
図6は、制御対象現在出力値データベースDB3に記憶された制御対象現在出力値データD3の一例を示している。制御対象現在出力値データベースDB3には、制御対象現在出力値データD3として、
図6に示すような制御対象の発電機や無効電力共有装置の有効電力Pや無効電力Qが時刻ごとに記憶されている。
【0074】
図7は、制御対象出力上下限値・刻み値データベースDB4に記憶された制御対象出力上下限値・刻み値データD4の一例を示している。制御対象出力上下限値・刻み値データベースDB4には、制御対象出力上下限値・刻み値データD4として、
図7に示すような、発電機や無効電力供給装置毎の上限値と下限値と刻み値などのいずれか又は複数で構成され、記憶されている。これらのデータは、電圧無効電力監視制御装置10の入力部12を用いて記憶してもよいし、その他の監視装置から記憶されてもよい。
【0075】
基準母線計測値データベースDB5には、基準母線計測値データD5として、計測した時間とその計測値、例えば電圧V、などが含まれる。例えば、電力系統100に接続するノード120における電圧と、変圧器130に接続するノード120の電圧Vと、ノード120に接続する電源110の電圧Vや負荷150の電圧Vと、計測装置44やその他の監視装置などから通信ネットワークを介して計測する電力系統100に接続するその他のノードやブランチや電源や負荷や制御装置などの電圧V、などのいずれか一つまたは複数が記憶されている。なお、計測装置は、VTなどである。なお、基準母線計測値データD5は、監視制御装置や中央給電指令所やEMSから入手してもよいし、系統全体の計測装置から直接入手してもよい。
【0076】
基準母線目標値データベースDB6には、基準母線目標値データD6として、各時刻の目標値が記憶されている。目標値がスケジュールで設定されているのであれば、スケジュールが設定されている期間の分記憶されている。また、監視制御装置や中央給電指令所やEMSから遠隔で設定され記憶されてもよいし、手動で設定されてもよい。ここで、基準母線目標値は、「電気学会編、電力系統の電圧安定維持対策、電気学会技術報告II−73号、pp.10〜14(1979)」に記載の方法などに即して予め計算され記憶されているものとする。
【0077】
制御対象感度データベースDB7には、制御対象感度データD7として、ある制御対象の出力変化がそれらの母線に対してどれだけの変化を及ぼすかの数値が記憶されており、電圧Vや無効電力Qに関しての感度が記憶されている。監視制御装置や中央給電指令所やEMSから遠隔で設定され記憶されてもよいし、手動で設定されてもよいし、時々刻々前記感度が変化することを考慮して、次の方法で逐次計算されて保存されてもよい。
【0078】
なお、前記した制御対象感度は、感度行列であり、横山:「電力系統解析及び制御のための統一的感度係数決定法」、電気学会論文誌B、Vol.94、No.1、pp.17〜24(1974)やCONEJO, A., GOMEZ, T., and DE LA FUENTE, J.I.: ‘Pilot−Bus Selection for Secondary Voltage Control’, Eur. Trans. Electr. Power Eng., 1993, 3, (5), pp. 359−366に記載の方法などに即して予めまたは逐次計算され記憶されている。前記方法を用いることで、従来よく用いられるNewton−Raphson法潮流計算の部分的修正で前記感度行列を求めることができるという利点がある。
【0079】
変換係数データベースDB8には、電力系統の変動について、この変動を抑制するのに必要な無効電力を定めるための変換係数が記憶されている。例えば変動が電力系統の電圧の変動である時、この電圧変動分を抑制するに必要な無効電力に換算するための係数を換算係数として記憶している。換算係数は、種々の種類の変動に対して準備され、あるいは変動が同一種であってもその変動周期ごとに準備されることが望ましい。
【0080】
制御対象変化可能周期データベースDB9には、電力系統に配置された制御可能機器ごとに、応答特性や調整力などを記憶している。例えば機械構造を有するために短周期での変動に対応するのは不向きであるが長周期での変動の抑制には適する、あるいは電力用素子で構成されているため短期での変動の抑制には適するが、コンデンサを含むため調整力には制限があるなどの情報を保持している。
【0081】
必要無効電力計算結果データベースDB10には、必要無効電力計算結果データD10として、
図9に示すような、予測された時系列平均電圧変動から求められる各変動に対する必要無効電力が記憶されている。
図9について詳細を後述する。
【0082】
無効電力配分対象選択結果データベースDB11には、無効電力配分対象選択結果データD11として、必要無効電力計算結果データD10と配分要否判定基準データD2を使用して判断される無効電力配分対象の選択結果が記憶されている。この無効電力配分対象選択結果データD11を持つことで、時々刻々変化する系統状態に対して、不要な配分をすることを回避できる効果がある。
【0083】
出力配分計算結果データベースDB12には、出力配分計算結果データD12として、
図10に示すような、出力配分の計算結果が記憶されている。
図10について詳細を後述する。
【0084】
制御指令値計算ベースDB13には、制御指令値計算結果データD13として、出力配分計算結果データD12から求められる制御指令値の計算結果が記憶されている。
【0085】
制御評価結果データベースDB14には、制御評価結果データD14として、
図11に示すような、電圧状態や配分効果としてどれだけ逸脱していないかを示す確率分布や各制御装置の使用頻度や回数などが記憶される。これにより、
図11に示すような画面で、指令値や目標値に従っているか、電圧と無効電力のバランスを維持できているか、操作回数を低減できているかなどを、運用者が容易に把握できるようになる効果がある。
図11について、詳細を後述する。
【0086】
次に電圧無効電力監視制御装置10の計算処理内容について
図8を用いて説明する。
図8は、電圧無効電力監視制御装置10の処理の全体を示すフローチャートの例である。簡単に流れを説明し、その後各部について詳述する。
【0087】
まず変動成分計算処理ステップS31では、電力系統情報の予測値である予測値データD1を用いて変動成分計算を行う。変動成分計算の結果は、変動成分計算結果データD16として変動成分計算結果データベースDB16に格納される。
【0088】
次に必要無効電力計算処理ステップS32では、変動成分計算結果データD16と換算係数データD8を用いて、必要無効電力計算を行う。必要無効電力計算の結果は、必要無効電力計算結果データD10として必要無効電力計算結果データベースDB2に格納される。
【0089】
次に無効電力配分対象選択処理ステップS33では、制御対象変化可能周期データD9と、配分要否判定基準データD2と、制御対象現在出力値データD3と、制御対象出力上下限値・刻み値データD4と、計算した必要無効電力計算結果データD10を用いて、無効電力配分対象選択を行う。無効電力配分対象選択の結果は、無効電力配分対象選択結果データD11として無効電力配分対象選択結果データベースDB11に格納される。
【0090】
次に出力配分計算処理ステップS34では、制御対象現在出力値データD3と、制御対象出力上下限値・刻み値データD4と、基準母線計測値データD5と、基準母線目標値データD6と、制御対象感度データD7と、計算した必要無効電力計算結果データD10と、無効電力配分対象選択結果データD11とを用いて、出力配分計算を行う。出力配分計算の結果は、出力配分計算結果データD12として出力配分計算結果データベースDB12に格納される。
【0091】
次に制御指令値計算処理ステップS35では、基準母線計測値データD5と、基準母線目標値データD6と、制御対象感度データD7と、計算した出力配分計算結果データD12とを用いて、制御指令値計算を行う。制御指令値計算の結果は、制御指令値計算データD13として制御指令値計算データベースDB13に格納される。
【0092】
次に出力指令処理ステップS36では、計算した制御指令値計算結果データD13を用いて、出力指令を行う。
【0093】
次に処理ステップS37では、計算した必要無効電力計算結果データD10と、無効電力配分対象選択結果データD11と、出力配分計算結果データD12と、制御指令値計算結果データD13と、変動成分計算結果データD16を用いて、制御評価の計算を行う。制御評価の結果は、制御評価結果データD14として制御評価結果データベースDB14に格納される。
【0094】
最後に画面表示処理ステップS11では、予測値データD1と、配分要否判定基準データD2と、制御対象現在出力値データD3と、制御対象出力上下限値・刻み値データD4と、基準母線計測値データD5と、基準母線目標値データD6と、制御対象感度データD7と、換算係数D8と、制御対象変化可能周期データD9と、計算した必要無効電力計算結果データD10と、無効電力配分対象選択結果データD11と、出力配分計算結果データD12と、制御指令値計算結果データD13と、制御評価結果データD14と、変動成分計算結果データD16の一つ以上の、画面表示を行う。なお、各種計算結果や計算途中でメモリに蓄積されるデータは、その他の監視装置の画面に逐次表示されてもよい。これにより、運用者が電圧無効電力監視制御装置10の運用状況を容易に把握できる。以上の処理の流れをステップ毎に説明する。なお、
図8の処理ステップの一部において計算が実行できないような事態が発生した場合には、別途アラートを出力し運転員による対応を促すのがよい。
【0095】
以下、各処理の具体内容について説明する。まず、変動成分計算処理ステップS31では、電力系統情報の予測値である予測値データD1を用いて変動成分計算を行い、その結果を変動成分計算結果データベースDB16に記憶する。
【0096】
ここで、
図9を用いて、変動成分計算方法の一例を説明する。
図9上部には、予測値データD1として、平均電圧Viの波形を示している。この平均電圧Viの波形は、発電計画と負荷需要予測値などを用いて潮流計算により求められた各ノードの電圧の平均値の時系列データを示している。平均電圧Viの波形は、変動しながら増減しており、短周期の変動と、中周期の変動と、長周期の変動を含んで形成されているとみることができる。この時系列波形に対して、予め設定された、短周期、中周期、長周期の各変動周期のフィルタを通すことにより、各変動周期の時系列波形に成分を分けることができる。
【0097】
図9の事例では、変動1が短周期の変動周期のフィルタを通して得た変動成分であり、差電圧ΔV1は短周期フィルタ出力の所定時間帯における最大値ΔV1maxと最小値ΔV1minの差として求めたものである。同様に変動2は短周期の変動周期のフィルタを通して得た変動成分であり、差電圧ΔV2は短周期フィルタ出力の所定時間帯における最大値ΔV2maxと最小値ΔV2minの差として求めたものである。変動3は短周期の変動周期のフィルタを通して得た変動成分であり、差電圧ΔV3は短周期フィルタ出力の所定時間帯における最大値ΔV3maxと最小値ΔV3minの差として求めたものである。これらの成分が変動成分計算結果データD16である。
【0098】
これにより、どの変動成分がどれだけの電圧変化幅を持つか容易に判断することができるようになる効果がある。ここでは、平均電圧Viの例を示したが、必要無効電力計算処理ステップS32にて必要無効電力に変換できるものであれば、代表電圧の時系列波形でもよいし、需要の時系列データなどでもよい。各変動周期のフィルタとしては、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタなどの、設定された変動周期を通過させるまたは設定された変動周期以外を除去する処理装置であればよい。これにより、所望の変動周期の変動の大きさを分解できる効果がある。前記フィルタの前記設定された変動周期は、あとで調整できるようにしている。これにより、設備が変化した際に、運用者が前記設備に対応した所望の変動周期の成分を抽出できるようになる効果がある。
【0099】
必要無効電力計算処理ステップS32は、変動成分計算処理ステップS31で記憶した変動成分計算結果データD16を用いて、必要無効電力計算を行い、その結果を必要無効電力計算結果データベースDB10に記憶する。ここで、変動成分計算処理ステップS31における説明と同様に、
図9を用いて、必要無効電力計算方法の前処理を説明する。
【0100】
各変動周期の時系列波形を
図9では変動1、変動2、変動3で示しており、それぞれの最大値と最小値を計算し、その差分を計算することで、差分ΔV1、ΔV2、ΔV3の変動幅を持っていることが計算できる。また、予め記憶している換算係数データD8を用いて、差分ΔV1、ΔV2、ΔV3の電圧変動を抑制するのに必要な無効電力ΔQ1、ΔQ2、ΔQ3を計算することができる。ここでは、平均電圧Viの例を示したが、必要無効電力に変換できるものであれば、代表電圧の時系列波形でもよいし、需要の時系列などでもよく、それぞれ必要な無効電力の換算を行い、必要無効電力を計算する。換算係数は、種々の種類の変動に対して準備され、あるいは変動が同一種であってもその変動周期ごとに準備されることが望ましい。
【0101】
無効電力配分対象選択処理ステップS33では、制御対象変化可能周期データD9と、配分要否判定基準データD2と、制御対象現在出力値D3と、制御対象出力上下限値・刻み値D4と、必要無効電力計算処理ステップS32で計算した必要無効電力計算結果データD10を用いて無効電力配分対象選択を行い、その結果を無効電力配分対象選択結果データベースDB11に記憶する。
【0102】
具体的には、まず変動を抑制するに必要な無効電力ΔQ1、ΔQ2、ΔQ3に対して、配分要否判定基準データD2の基準値を満足する場合に、無効電力配分対象を選択する計算に移行する。
図5に示した配分要否判定基準データベースDB2には、配分要否判定基準データD2として、短周期の変動1、中周期の変動2、長周期の変動3に対する配分要否の判定基準が記述されており、これに従い短周期の変動1については判定基準に満たないため無効電力配分対象外とし、中周期の変動2と長周期の変動3については判定基準を満足するため無効電力配分対象とするなどの選択を行う。
【0103】
これにより、対応不要な電圧変動などの事象に対する無効電力配分が不要となる効果がある。この基準値は予め設定するものであるが、例えば、常時の負荷変動でプラスにもマイナスにも変わりうるような無効電力に関しては、逐次制御すると、無駄な制御をすることになるため、そのような変動を上回ると判定できる基準値を設定する。なお、そのような変動データの基準値は、系統データを蓄積して運用者が補正し、あるいは自動で補正されてもよい。
【0104】
引き続き無効電力配分対象選択処理ステップS33では、制御対象現在出力値データD3と制御対象出力上下限値・刻み値データD4を用いて、制御対象が、現在調整力があるかを判定する。具体的には、制御対象の現在出力が上限値またはそれに近い値であれば、下げ方向には調整可能であるが、上げ方向には調整不能であるとして、必要無効電力が上下方向に必要な場合は、対象から外す。一方で、下げ方向に必要な場合は、調整力があるので対象に入れる。上げ方向の場合も同様である。制御対象の現在出力が上限値またはそれに近い値でないならば、調整可能として対象に入れる。
【0105】
最後に、無効電力配分対象選択処理ステップS33では、制御対象変化可能周期データベースDB9に事前に保持している制御対象変化可能周期データD9を用いて、各制御対象の変化可能周期から、対応する変動を選択する。制御対象変化可能周期データベースDB9には、電力系統に配置された制御対象(制御可能機器)ごとに、応答特性(変化可能周期)や調整力などを記憶しているので、これにより、無効電力配分対象となる制御可能機器を選択することができる。またその変動周期での変動を抑制するに適した制御可能機器による合計調整力も把握することができ、もし対応する制御対象が不足する場合には、変動周期の近い他の制御対象により補助できるように、事前に補助変動周期についても保持しておくのがよい。これにより、無効電力配分対象選択を漏れなくできる効果がある。それでも足りない場合には、アラームを出す。これにより、どの周期の変動に対して無効電力配分対象が不足しているかを運用者に知らせることができる効果がある。
【0106】
出力配分計算処理ステップS34では、制御対象現在出力値データD3と、制御対象出力上下限値・刻み値データD4と、基準母線計測値データD5と、基準母線目標値データ D6と、制御対象感度データD7と、変動成分計算処理ステップS31で記憶した必要無効電力計算結果データD10と、無効電力配分対象選択処理ステップS33で記憶した無効電力配分対象選択結果データD11を用いて、出力配分計算を行い、その結果を出力配分計算結果データベースDB12に記憶する。
【0107】
ここで、
図10を用いて、出力配分計算方法の一例を説明する。
図10の上部には横軸に距離d、縦軸に無効電力Qを示して、2つの発電機の無効電力出力特性G1、G2を例示している。
図10の上部に示すように、制御対象機器が発電機の場合、刻みが小さく、連続値として扱えるため、縦軸に無効電力Qref、横軸に距離dをとって示す発電機の無効電力出力特性G1、G2はある傾きを持った直線と表すことができる。
【0108】
図示の例では、距離d1における発電機G1の無効電力出力の上限がQg1max、発電機G2の無効電力出力の上限がQg2max、距離d0(初期)における発電機G1の無効電力出力がQg01、発電機G2の無効電力出力の上限がQg02である。この場合、発電機G1、G2の無効電力出力の上限Qg1max、Qg2maxと、初期値Qg01、Qg02は異なるため、それぞれの傾きは異なる。そこで、上限Qg1maxとQg2maxが同じ距離dとなるようにして、
図10上部を作成したときに、任意距離の点dkを左右に移動して、無効電力配分値、つまり無効電力指令値Qrefを算出することができる。前記出力配分計算の方法の計算式は制御指令値計算ステップS35にて後述する。これにより、無効電力を能力に従って等配分することができるため、一部の発電機が先に無効電力限界を迎えて、電圧安定性が極端に悪化するといった現象を防止することができ、供給信頼性を向上することができる。
【0109】
図10の下部には横軸に距離e、縦軸に無効電力Qを示して、2つの無効電力供給装置の無効電力出力特性C1、C2を例示している。
図10の下部では、離散的な無効電力供給装置を対象としているが、
図10の上部と同様の効果を得ることができる。ただし、離散的な無効電力供給装置が制御対象であるために階段状の波形となり、刻みは連続的でなく離散的に扱う必要がある。
【0110】
無効電力供給装置による無効電力配分の計算では、刻みごとに距離ekを左右に動かし、計算することにより、無効電力量を等配分することができる。また、刻みごとに左右に動かすため、制御回数も等配分することができ、一つの設備だけに操作回数が偏らないようにすることができる効果がある。これにより、設備の保守点検が偏ることを防止することができる効果がある。なお無効電力供給装置の制御は離散的であるが、離散値を近似して直線として処理することも可能である。
【0111】
ここで、
図10の上部と下部は、発電機と無効電力供給装置に関する出力配分を計算する図であるが、これは、無効電力配分対象選択処理ステップS33にて選択した無効電力配分対象に基づいて、前記各変動に対して、計算することになる。なお、発電機と無効電力供給装置は無効電力の価値が異なるため、同時に配分計算を解かないことが基本であるが、発電機と無効電力供給装置の両方を使わないと、補償できない変動がある場合には、予め設定しておく重みを使って、
図10の直線の傾きの補正や、距離dkの最大値と距離ekの最大値をずらすといった工夫をすることで、運用者の考える価値に適合した出力配分を計算することができる効果がある。
【0112】
なお無効電力を制御可能な制御対象機器として、上記においては連続値として扱える発電機と、離散的な無効電力供給装置を例示したが、この他制御対象機器の代表的なものにはLRT、SC、ShRがある。LRTはタップを動かし、SCやShRは入切装置(スイッチ)を動かすことになるため、離散的にならざるを得ない。これらの制御対象機器では、タップやスイッチといった機械的機構部を操作することになるというのが離散的にならざるを得ない理由になっている。
【0113】
制御指令値計算処理ステップS35では、基準母線計測値データD5と、基準母線目標値データD6と、制御対象感度データD7と、出力配分計算処理ステップS34で記憶した出力配分計算結果データD12を用いて、制御指令値計算を行い、その結果を制御指令値計算ベース55に記憶する。出力配分計算処理ステップS34で算出した出力配分と、制御対象感度を用いた二次計画法を解くことにより、制御指令値を計算することができる。
【0114】
制御指令値計算は、例えば、A.Conejo、M.J.Aguilar、Secondary voltage control: Nonlinear selection of pilot buses,design of an optimal control law,and simulation results、IEE Proc.−Gener. Transm. Distrib., Vol. 145, No. 1.(1998),pp.77−81や、J.L. Sancha,J.L. FernAndez,A. Cortes,J.T. Abarca、SECONDARY VOLTAGE CONTROL: ANALYSIS, SOLUTIONS AND SIMULATION RESULTS FOR THE SPANISH TRANSMISSION SYSTEM、IEEE、1995に記載の方法などに即して行うことができる。
【0115】
ここでは、一例として後者の文献の次式を用いて、二次目的関数と線形制約の例について説明する。(1)式は二次目的関数であり、(2)〜(5)式は線形制約として各上下限制約を示したものである。
【0116】
但し、これらの一連の式において、ΔV
pは基準母線の電圧偏差、ΔV
gは制御対象機器母線の電圧修正値、ΔQ
gは制御対象機器母線の無効電力偏差、V
psは非制御対象機器のクリティカル母線の電圧、C
vは制御対象機器の電圧値刻みと基準母線の電圧値刻みに関する感度行列、C
vsは制御対象機器の電圧値刻みと基準母線として選択されていない負荷母線の電圧値刻みに関する感度行列、C
qは制御対象機器の電圧値刻みと制御対象機器の注入無効電力刻みに関する感度行列、αは閉ループ時定数を決定するパラメータ、mは目的関数の2つの構成要素の相対的重要性を決定する重みパラメータ、V
gmaxとQ
gmaxとV
psmaxは上限制約、V
gminとQ
gminとV
psminは下限制約、V
pとV
psとV
gとQ
gはこの目的関数を計算するために必要なリアルタイムの計測値、である。
【0117】
【数1】
【0118】
【数2】
【0119】
【数3】
【0120】
【数4】
【0121】
【数5】
【0122】
ここで、(1)式は2つの要素からなり、1つ目は基準母線電圧の逸脱を最小にし、2つ目は制御対象機器間の無効電力の目標値からの逸脱を最小にする要素である。(2)〜(5)式は各上下限制約である。なお、各感度行列は、制御対象感度データに相当するものであり、制御対象感度データベースDB7にて与えられる。これにより、基準母線目標値からの電圧偏差の最小化と、予め設定された各ゾーンに所属する発電機に対して、無効電力出力配分で決定された目標無効電力の逸脱を最小化する。
【0123】
なお、出力配分計算処理ステップS34で前述したように、予め設定された各ゾーンに所属する発電機に対して、
図10に示すような出力配分計算を行うことで、各ゾーン内では所属する発電機が同時に無効電力出力の限界に達するようにしている。これにより、無効電力を能力に従って等配分することができるため、一部の発電機が先に無効電力限界を迎えて、電圧安定性が極端に悪化するといった現象を防止することができ、供給信頼性を向上することができる。
【0124】
ここで、
図10の上部を用いて、出力配分計算処理ステップS34で前述した、無効電力配分の計算を補足する。前述の通り、
図10の上部では、縦軸を無効電力目標値Qref、横軸を距離dととったときに、発電機の無効電力出力特性はある傾きを持った直線となる。ここで、Qg1maxとQg2maxは発電機G1とG2の無効電力上限制約であり、Qg01とQg02は発電機G1とG2の無効電力の初期基準値であり、電圧無効電力監視制御装置から受信したり、予め設定されたりする値である。また、dは最適化問題の自由変数である。発電機の無効電力出力の上限制約と初期動作点は異なるため、それぞれの傾きは異なる。そこで、Qg1maxとQg2maxが同じ距離dとなるようにして、
図10の上部を作成したときに、dkを左右に移動して、無効電力配分値、つまり無効電力指令値Qrefを算出することができる。このとき、変数dを自由にしておき、以下の(6)式で示す無効電力の逸脱を最小化する。
【0125】
【数6】
【0126】
(6)式において、ΔQ
giは制御対象機器iの無効電力偏差、ΔQ
g0iは制御対象機器iの無効電力の初期基準値、k
iは制御対象機器iの設定された傾き(スロープ)であり、無効電力を調整するのは基準次第であり、Q
giは瞬時の制御対象機器iの無効電力値、である。
【0127】
なお、A.Conejo、M.J.Aguilar、Secondary voltage control: Nonlinear selection of pilot buses,design of an optimal control law,and simulation results、IEE Proc.−Gener. Transm. Distrib., Vol. 145, No. 1.(1998),pp.77−81や、大村、瓜生:「基幹電圧制御方策の複数の運転点を考慮した検討」,電気学会電力技術・電力系統技術合同研究会資料,PE−03−122,PSE−03−133,pp.7―11,2003、では基準母線の選択(設定)方法について述べており、この文献などに記載された基準母線選択方法などを用いて、基準母線を設定してもよいし、予め基準母線は設定されていてもよい。予め基準母線を設定する場合は、従来の知見により設定されていてもよいし、前記文献の方法を用いて、設定しなおしてもよいし、基準母線数を減らしてもよいし、増やしてもよい。これにより、現在の観測点に対して、基準母線を適切に設定することができる。
【0128】
以上に示した出力配分計算処理ステップS34の出力配分計算、および制御指令値計算処理ステップS35の制御指令値計算を、変動成分計算処理ステップS31で変動成分計算し、必要無効電力計算処理ステップS32で必要無効電力量を計算し、無効電力配分対象選択処理ステップS33で無効電力配分対象として選択された、変動成分に対する制御対象機器について、変動成分毎に計算することで、いずれの変動成分に対しても出力配分および出力指令ができ、時間経過とともに再生可能エネルギーは天候に起因して出力変動することや電源構成や系統構成の変更が発生しても、電力系統の電圧と無効電力のバランスが維持でき、さらには経済性の向上が可能となる。
【0129】
出力指令処理ステップS36では、制御指令値計算処理ステップS35で記憶した制御指令値計算結果データD13を用いて、出力指令を行う。送信先は、例えば、ある地域の電圧無効電力バランスを維持するための個別制御装置45であり、前記個別制御装置45は、予め設定された周期で、制御指令値計算結果データD13の一つ以上を受信し、電圧無効電力制御を実施する。
【0130】
制御評価処理ステップS37では、必要無効電力計算処理ステップS32で記憶した必要無効電力計算結果データD10と、無効電力配分対象選択処理ステップS33で記憶した無効電力配分対象選択結果データD11と、出力配分計算処理ステップS34で記憶した出力配分計算結果データD12と、制御指令値計算処理ステップS35で記憶した制御指令値計算結果データD13とを用いて、制御評価の計算として、運用者が目標値に正しく追従しているかを確認しやすくなるために、目標電圧と計測値の偏差を計算し、その結果を制御評価結果データベース56に記憶する。
【0131】
また制御評価処理ステップS37では、
図11に示すような、電圧状態や配分効果としてどれだけ逸脱していないかを示すΔV
pやΔV
gやΔQ
giなどの確率分布や各制御装置の使用頻度や回数などを計算する。
【0132】
これにより、
図11に示すような画面90上で、指令値や目標値に従っているか、電圧と無効電力のバランスを維持できているか、操作回数を低減できているかなどを、運用者が容易に把握できるようになる効果がある。
【0133】
なお
図11に示した画面90の表示例は、電圧無効電力監視制御装置10が監視、制御する電力系統の運用状態が可視化されて表示されたものの一例である。小画面91には系統データについて、入手した時刻などの状態が表示されている。小画面92には、タブで選択されたノード(図の例ではBus1)における計測値としての電圧が、各種制約条件(運用電圧上下限値、目標電圧幅、目標電圧)、現在の運転点と共に可視化されて時系列表示されている。小画面93には、タブで選択された変動要素ごとに確率密度を表示している。小画面94には、複数の無効電力供給装置の劣化の度合いを管理する意味合いから、各無効電力供給装置の操作回数を比較表示している。そのほか、図示はしていないが、
図9や
図10で示した無効電力Qの配分レベルの表示、配分による配分効果の表示、確率分布の場合に逸脱の程度の表示、各制御装置の使用頻度、回数の表示、あるいは傾向も表示する画面としてどういった対策がどの帯域で必要かを明示する表示、その場合の対策機器及び不足している容量の表示なども併せて行うのがよい。
【0134】
画面表示処理ステップS11では、予測値データD1と、配分要否判定基準データD2と、制御対象現在出力値データD3と、制御対象出力上下限値・刻み値データD4と、基準母線計測値データD5と、基準母線目標値データD6と、制御対象感度データD7と、必要無効電力計算処理ステップS32で記憶した必要無効電力計算結果データD10と、無効電力配分対象選択処理ステップS33で記憶した無効電力配分対象選択結果データD11と、出力配分計算処理ステップS34で記憶した出力配分計算結果データD12と、制御指令値計算処理ステップS35で記憶した制御指令値計算結果データD13と、制御評価処理ステップS37で記憶した制御評価結果データD14の一つ以上の、画面表示を行う。
【0135】
図11に示すような、電圧状態や配分効果としてどれだけ逸脱していないかを示す確率分布や各制御装置の使用頻度や回数などが記憶される。これにより、
図11に示すような画面で、指令値や目標値に従っているか、電圧と無効電力のバランスを維持できているか、操作回数を低減できているかなどを、運用者が容易に把握できるようになる効果がある。また、電力系統の電圧無効電力監視制御装置の目標値や制御量の計算において、複数の目的関数を用いる際に、重みづけする労力を低減できる。
【実施例2】
【0136】
本発明は電力系統の監視制御を行う中央装置と、電力系統の個別箇所に設置され中央装置からの送信データにより作動する個別制御装置で構成されるシステム構成を示しているが、
図12から
図15を用いて説明を行う実施例2における中央装置は、電力系統全体の監視制御を行う中央給電指令所と連携し、或は中央給電指令所に設置されて、領域内制御を行うことを念頭に入れている。
【0137】
この場合に、実施例2の中央装置である電圧無効電力監視制御装置10は、中央給電指令所が保有するデータを扱い、また電力系統から入手するデータもより多様なものとされる。
【0138】
実施例2では、実施例1における予測値データD1と、基準母線目標値データD6の1つ以上の計算部を設けており、これにより入力データ、構成、プログラム、および制御フローの点において実施例1とは相違している。
【0139】
この結果、実施例1によれば、他装置からの予測値データD1や基準母線目標値データD6を受け取ることできなくなったとしても、電圧無効電力監視制御装置10のみで、電力系統の電圧と無効電力のバランスを維持し、経済性を向上するいずれか一つまたは両方の効果を提供できるようになる。以下、実施例2に係る電圧無効電力監視制御装置の一例を説明する。但し、実施例1と同じ構成箇所で同じ動作の箇所については説明を省略する。
【0140】
図13は、電力系統の全体構成事例と本発明の実施例2に係る電圧無効電力監視制御装置のハード構成を示した図である。
図13の電力系統の全体構成は、基本的に
図2の電力系統の全体構成と同じである。但し、電圧無効電力監視制御装置10に対して電力系統から送られるデータには、基準母線計測値データD5以外に系統計測データD17を新たに含んでいる。系統計測データD17は電力系統の任意箇所における計測データであって、基準母線で計測されたデータである基準母線計測値データD5をも含むより広範囲、広義の計測値データである。この結果、何らかの事情により基準母線計測値データD5が入手困難な状態に陥ったとしても、系統計測データD17から基準母線の計測データが推定可能となる。なお監視制御の対象とする電力系統は、電力系統全体であっても、あるいは区分された領域のいずれであってもよい。
【0141】
電圧無効電力監視制御装置10のハード構成に関し、実施例2では新たに2つのデータベースDBが追設されている。これらは
図1の入力側データベースDBIに位置付けされる系統計測データベースDB17と、系統設備データベースDB18である。
【0142】
図12は、電圧無効電力監視制御装置10をその内部における処理機能により記述した図であり、実施例1の
図1に相当する。処理機能としては、計算部41に状態推定計算部38と、予測値計算部39と、基準母線目標値計算部40が追加された点が構成的には異なっている。また
図12の入力側データベースDBIには、系統計測データベースDB17と、系統設備データベースDB18を含んでいる。なお、予測値計算部39と基準母線目標値計算部40の結果は、後の処理の入力データとなるため、入力側データベースDBIに保存されているが、結果側データベースDBOとして呼び出されることもある。
【0143】
図14は、
図3に相当するプログラム構成を示す図であり、プログラム的にはプログラムデータベースDB15内に、状態推定計算プログラムP38と、予測値計算プログラムP39と、基準母線目標値計算プログラムP40が追加された点が構成的には異なっている。
【0144】
以上の主要な相違点について以下詳細に説明するが、最初にその前提としての系統計測データD17について説明する。なお基準母線計測値データD5は、基準母線で計測したデータという位置づけであるが、系統計測データD17は計測位置を特定せず、より広範囲の計測データということができる。
図13などの系統計測データD17としては、基準母線計測値データD5と同様に、計測装置44にて計測されたノード電圧V、ブランチ電流I、力率Φ、有効電力P、無効電力Q、のいずれか一つまたは複数のデータであり、通信ネットワーク300を介して受信され、系統計測データベースDB17に格納される。ただし、計測装置44から直接前記系統データを受信する代わりに、その他の監視装置に一端集約されてから、通信ネットワーク300を介して系統計測データベースDB17に格納してもよいし、計測装置44やその他の監視装置から通信ネットワーク300を介して系統計測データベースDB17に格納してもよい。なお、系統計測データD17は、データを識別するための固有番号と、タイムスタンプとを含んでもよい。なお、その他の監視装置とは、例えば、中央給電指令所や系統安定度監視サーバなどである。
【0145】
次に、系統設備データD18について説明する。
図13などの系統設備データベースDB18には、系統設備データD18として、系統構成、線路インピーダンス(R+jX)、対地静電容量(アドミタンス:Y)、電源データ、などが含まれ記憶されている。なお、系統構成は、系統の母線と線路と電源と負荷と変圧器と各制御装置の一つまたは複数の接続関係が含まれる。なお、系統設備データD18は、監視制御装置や中央給電指令所やEMSから入手してもよいし、手動で入力されてもよい。手動で入力する際には、入力部12によって手動で入力し記憶する。なお、入力の際はCPU14によって必要な画像データを生成して表示部11に表示する。入力の際は、補完機能を利用して、大量のデータを設定できるように半手動にしてもよい。
【0146】
系統計測データD17と系統設備データD18を用いることで、実施例1の計算処理内容に対して実施例2では追加処理が生じている。電力系統電圧無効電力監視制御装置10の処理の全体を示すフローチャートの例である
図15において、計算が追加された箇所を説明する。
【0147】
図15に示したフローチャートのうち、処理ステップS31から処理ステップS37までの一連の処理、及び処理ステップS11については、実施例1と同様である。実施例2では、その前処理として、ステップS38、S39、S40が追加されている。
【0148】
図15の状態推定計算処理ステップS38では、系統計測データD17と、系統設備データD18と、適宜に設定された計算設定データを用いて、
図14に追加した状態推定計算プログラムP38の計算により、系統計測時の系統状態を計算し、状態推定計算結果を記憶する。なお状態推定計算結果の記憶は記憶装置内の適宜の箇所に行われていればよいが、必要に応じて専用のデータベースとして状態推定計算結果データベースを設けることができる。
【0149】
なお、状態推定計算プログラムP38による状態推定計算とは、変電所、発電所、送電線をはじめとした電力送配電機器の観測データ、ならびに接続データをもとに、観測データ中の異常データの有無を判定と除去を行い特定の時間断面における尤もらしい系統状態を推定する計算機能のことである。ここで、状態推定計算は、例えば、Lars Holten, Anders Gjelsvlk、 Sverre Adam、 F. F. Wu, and Wen−Hs Iung E. Liu, Comparison of Different Methods for State Estimation, IEEE Transaction on Power Systems, Vol. 3 (1988), pp.1798−1806の各種方法などに即して行うことができる。
【0150】
予測値計算処理ステップS39では、状態推定計算結果データと、総需要予測結果データと、発電機燃料消費特性データと、変電所負荷対総需要比率データと、変電所負荷PQ相関関係データを用いて、予測値計算プログラムP39により、系統計測時から将来の系統状態を予測計算し、予測値データベースDB1に記憶する。総需要予測結果データは、同ステップで例えば、原亮一:「電力システムの需給運用に関わる時系列データの解析・予測技術」,電気学会論文誌B,Vol.134,No.4,2014,pp.276−279の文献に記載の需要予測の方法や、所健一・他:「短時間先電力需要予測手法の開発」,電気学会電力技術・電力系統技術合同研究会,PE−08−120,PSE−08−129,2008,pp.25−28などに記載の方法に即して計算してもよいし、中央給電指令所にて行われる総需要予測結果データを、定期的に通信ネットワーク300を介して入手してもよいし、予め設定されていてもよい。
【0151】
実施例2の場合に、中央装置である電圧無効電力監視制御装置10は、電力系統全体の監視制御を行う中央給電指令所と連携し、或は中央給電指令所に設置されて、領域内制御を行うことを想定しているが、中央給電指令所との連携により、主に状態推定計算処理ステップS38、予測値計算処理ステップS39で使用するデータを入手することができる。
【0152】
予測値計算処理ステップS39における予測値計算は、例えば、石田隆張・他:「LP法を用いた基幹系統への予測先行型電圧無効電力制御方式」、電学論B、117巻8号、1997、pp.1116−1120の方法などに即して行うことができる。
【0153】
具体的には、総需要予測結果データと、発電機燃料消費特性データからELD(経済負荷配分)を用いて各発電機の発電機有効電力出力を予測計算する。また、総需要予測結果データと、変電所負荷対総需要比率データから(7)式を用いて変電所個別有効電力負荷を予測計算する。なお(7)式において、P
liは変電所iの有効電力負荷予測結果、P
allは総需要予測結果、ratio
iは変電所iの有効電力負荷の対総需要比率である。
【0154】
【数7】
【0155】
また、変電所個別有効電力負荷の予測結果と、変電所負荷PQ相関関係データから(8)式を用いて変電所個別無効電力負荷を予測計算する。(8)式において、Q
liは変電所iの無効電力負荷予測結果、f
iは変電所iのPQ相関関係である。
【0156】
【数8】
【0157】
また、発電機有効電力出力予測結果と、変電所個別有効電力負荷予測結果と、変電所個別無効電力負荷予測結果より交流法潮流計算手法を用いて将来時間断面における潮流状態を予測計算する。これにより予測値データD1を得ることができる。ここで、交流法潮流計算手法は、例えば、WILLIAM F TINNEY、CLIFFORD E HART,Power Flow Solution by Newton‘s Method,IEEE Transaction on Power APPARATUS AND SYSTEMS,VOL.PAS−86,NO.11(1967)pp.1449−1967の方法などに則して行うことができる。
【0158】
基準母線目標値計算処理ステップS40では、予測値データD1と、状態推定結果データと系統設備データD18を用いて、基準母線目標値計算を行う。基準母線目標値は、実施例1に示したように、電気学会編、電力系統の電圧安定維持対策、電気学会技術報告II−73号、pp.10〜14(1979)に記載の方法などに即してオフラインで計算されてもよいし、染谷純樹・他:「東日本系統における内点法による基準電圧最適制御の検討」,平成15年電気学会全国大会,6−159,pp.273−274などに記載の方法に即して計算してもよい。これにより、時間経過とともに再生可能エネルギーは天候に起因して出力変動することを予測し、いずれの変動成分に対しても出力配分および出力指令ができるので、電力系統の電圧と無効電力のバランスが維持でき、さらには経済性の向上が可能となる。